JP2002110156A - 非水系リチウム二次電池用正極活物質の製造方法およびその正極活物質、それを用いた非水系リチウム二次電池 - Google Patents

非水系リチウム二次電池用正極活物質の製造方法およびその正極活物質、それを用いた非水系リチウム二次電池

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JP2002110156A JP2000295712A JP2000295712A JP2002110156A JP 2002110156 A JP2002110156 A JP 2002110156A JP 2000295712 A JP2000295712 A JP 2000295712A JP 2000295712 A JP2000295712 A JP 2000295712A JP 2002110156 A JP2002110156 A JP 2002110156A
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Muneyuki Tanaka
宗幸 田中
Motoe Nakajima
源衛 中嶋
Teruo Uchikawa
晃夫 内川
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遷移金属酸リチウム正極活物質を正電極に用
いている非水系リチウム二次電池の充放電容量を従来の
ものよりも大きくする。 【解決手段】 Co, Mnなどの化合物の少なくとも1種と
リチウム化合物とを混合焼成してリチウム遷移金属酸化
物とし、その焼成した粒子を例えば熱プラズマ処理をし
て、その少なくとも表面を溶融した後凝固させて球状化
した上で、その粒子を酸素を有する雰囲気で熱処理し、
その結晶構造を前記リチウム遷移金属酸化物の結晶構造
に戻すことによって作製した正極活物質は大きな充放電
容量を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水系リチウム二
次電池の正極活物質およびその製造方法に関し、この正
極活物質の出力放電特性とサイクル安定性の改善と二次
電池の小型化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、化石燃料依存による地球温暖化、
そして排ガスCO2, NOxによる大気汚染など環境問題が顕
在化し各国で各種規制が検討あるいは実施されている。
また21世紀後半には石油資源枯渇によるエネルギー不
足が憂慮されている。
【0003】このためエネルギーの利用効率向上や石油
依存率を下げた社会への移行が検討されている。例えば
自動車においてはガソリンエンジンとモータを併用した
各種ハイブリッド型自動車が開発されガソリンエンジン
単独車よりエネルギー効率を50%程度上げている。ま
た、電源としては効率の良い燃料電池が開発され家庭用
電源や電気自動車の電源として実用化が検討されてい
る。
【0004】これらのハイブリッド型自動車のエネルギ
ー貯蔵用として、他の二次電池より電池電圧が高くエネ
ルギー密度が高いリチウム二次電池が適しており開発が
盛んである。特に、ハイブリッド型自動車のエネルギー
貯蔵用としては高い出力密度が必要であり、高出力放電
特性と高いサイクル安定性が要求されている。
【0005】一般に、リチウム二次電池は正極、負極お
よびセパレータを容器内に配置し、有機溶媒による非水
電解液を充たして構成されている。正極活物質はアルミ
ニウム箔等の集電体に正極活物質を塗布し加圧成形した
ものである。正極活物質としてはコバルト酸リチウム(L
iCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、スピネル型マン
ガン酸リチウム(LiMn2O4) などに代表されるようなリチ
ウムと遷移金属の複合酸化物(以下、リチウム遷移金属
酸化物と言うことがある。)の粉体が主として用いら
れ、例えば特開平8-17471 号公報にはその製法が詳しく
開示されている。これら正極活物質の合成は一般にリチ
ウム化合物(LiOH, Li2CO3 等) 粉末と遷移金属化合物(M
nO2, CoO, NiO 等) 粉末を混合し、焼成してリチウム遷
移金属酸化物とする方法が広く採用されている。正極活
物質を集電体に塗布するには、正極活物質に重量比で数
%〜数十%程度の炭素粉を混ぜ、さらにPVDF(ポリ
フッ化ビリニデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエ
チレン)等の結着材と混練してペースト状にして集電体
箔上に厚み20μm〜100 μmに塗布、乾燥、プレス工程
を経て正電極が作られている。
【0006】一般に正極活物質は、電気伝導率が10-1
10-6S/cm2 で一般の導体と比べ低い。アルミニウム集電
体と正極活物質間の電気伝導度および電気的接触状況
は、電池のサイクル特性、放電レート特性に大きな影響
を与える。そこで、アルミニウム集電体と正極活物質間
もしくは活物質相互間の電気伝導率を更に高めるよう
に、正極活物質よりも電気伝導率の高い炭素粉等の導電
助材が使用される。従来のスピネル型マンガン酸リチウ
ム正極活物質を集電体箔に塗布形成した後の正極活物質
の粒形態を見ると、粒径はサブミクロンオーダーの一次
粒子が凝集した二次粒子から成っている。通常、その粒
形態は様々な大きさと形状を持ち、さらに凝集の仕方の
バラツキにより二次粒子径も0.1 μm〜100 μm程度の
バラツキがありその分布にも均一性が見られなかった。
そして、正極活物質としては、専ら粉砕して粒径を細か
くし比表面積を大きくした状態で、電極表面に塗布する
などの試みがなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】通常用いられている正
極活物質のうちコバルト酸リチウム(LiCoO2)は充放電容
量が大きく、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn2O4)
は充放電容量の比較的小さなものである。電気自動車用
電源として用いる二次電池としては充放電容量の大きな
正極活物質を用いることが好ましいが、二次電池から大
きな電流を取り出すには大きな電極面積を必要とし、そ
のために正極活物質も多量に用いることになる。コバル
ト酸リチウム(LiCoO2)は高価なコバルトを用いているの
で、これらを正極活物質として用いると、二次電池の価
格も高くなる。そこでコバルト酸リチウム(LiCoO2)を正
極活物質としている二次電池においてもさらに充放電容
量を大きくして、二次電池の大きさを小さくすることが
望まれる。
【0008】また、比較的安価なマンガンを用いている
スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn2O4) を正極活物質
に使用することは望ましいことであるが、よく知られて
いるようにLiMn2O4 正極活物質を用いている二次電池は
LiCoO2などを正極活物質に用いたものに比して充放電容
量が小さい。そこでLiMn2O4 を用いている二次電池の充
放電容量を大きくして、LiMn2O4 を電気自動車の電源に
用いることも望ましいことである。
【0009】そこで本発明は、リチウム遷移金属酸化物
からなる正極活物質を正電極に用いている非水系リチウ
ム二次電池の充放電容量を従来のものよりも大きくする
ことができる、正極活物質の製造方法とその正極活物質
を提供することを目的としている。
【0010】また本発明は、繰り返し充放電を行ったと
きにもその充放電容量の低下の少ない二次電池となる、
非水系リチウム二次電池用正極活物質の製造方法とその
正極活物質を提供することをも目的としている。
【0011】また本発明は、大電流放電においても特性
の低下の少ない非水系リチウム二次電池となる、正極活
物質の製造方法とその正極活物質を提供することをも目
的としている。
【0012】さらに本発明は、比較的原価の安いスピネ
ル型マンガン酸リチウム(LiMn2O4)正極活物質を用いた
非水系リチウム二次電池の充放電容量を従来のものより
も大きくすることのできる、正極活物質の製造方法とそ
の正極活物質を提供することをも目的としている。
【0013】さらに、本発明では、これら改良した正極
活物質を用いている非水系リチウム二次電池を提供する
ことも目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の非水系リチウム
二次電池用正極活物質の製造方法は、焼成によってそれ
ぞれ酸化物となる遷移金属化合物とリチウム化合物とを
所定割合で混合し、それを焼成してリチウムと遷移金属
の複合酸化物とした上で、前記リチウムと遷移金属の複
合酸化物からなる粒子の少なくとも表面を溶融した後凝
固し、その後その粒子を熱処理することを特徴とする。
【0015】また本発明の非水系リチウム二次電池用正
極活物質の製造方法は、焼成によってそれぞれ酸化物と
なるマンガン化合物とコバルト化合物の少なくとも一種
とリチウム化合物とを所定割合で混合し、それを焼成し
てリチウムと遷移金属の複合酸化物とした上で、前記リ
チウムと遷移金属の複合酸化物からなる粒子の少なくと
も表面を溶融した後凝固し、その後その粒子を熱処理す
ることを特徴とする。
【0016】さらにまた本発明の非水系リチウム二次電
池用正極活物質の製造方法は、焼成によってそれぞれ酸
化物となるマンガン化合物とリチウム化合物とを所定割
合で混合し、それを焼成してスピネル型マンガン酸リチ
ウムとした上で、前記スピネル型マンガン酸リチウムか
らなる粒子の少なくとも表面を溶融凝固し、その後その
粒子を熱処理することを特徴とする。
【0017】前記溶融凝固は熱プラズマ処理であること
が好ましく、その熱プラズマ処理は前記リチウムと遷移
金属の複合酸化物の融点以上の温度で、雰囲気をアルゴ
ン、酸素、大気あるいは窒素とし、圧力を50KPa から大
気圧として行うのがよい。
【0018】また前記溶融凝固によって変質した結晶組
織を前記熱処理によってリチウムと遷移金属の複合酸化
物の元の結晶構造に戻すことが好ましく、その熱処理
は、大気あるいは酸素雰囲気中で、温度500 〜900 ℃で
行うのがよい。
【0019】本発明の非水系リチウム二次電池用正極活
物質は、リチウムと遷移金属の複合酸化物からなる粒子
であり、その少なくとも表面が溶融凝固して球状化され
ていることを特徴とする。
【0020】また本発明の非水系リチウム二次電池用正
極活物質は、スピネル型マンガン酸リチウム、コバルト
酸リチウムの少なくとも一種からなる粒子であることが
好ましく、その少なくとも表面が溶融凝固して球状化さ
れていることを特徴とする。
【0021】さらにまた本発明の非水系リチウム二次電
池用正極活物質は、スピネル型マンガン酸リチウムから
なる粒子であることがより好ましく、その少なくとも表
面が溶融凝固による球状化されていることを特徴とす
る。
【0022】前記溶融凝固による球状化は熱プラズマに
曝すことによって行われていることが好ましい。
【0023】前記粒子の粒径の分布範囲は0.5 〜100 μ
mでその平均粒径は0.6 〜50μmであることが好まし
く、前記粒子の球状化率は3 %以上であることが好まし
い。また、前記粒子の限定粒子率(円形度0.9 〜1.0 、
粒径5 〜15μm領域にある粒子の体積比率)は7%以上
であることが好ましい。
【0024】本発明の非水系リチウム二次電池は、リチ
ウムと遷移金属の複合酸化物からなる正極活物質を集電
体に形成してなる正極を備えたリチウム二次電池におい
て、前記リチウムと遷移金属の複合酸化物は、少なくと
も表面が溶融凝固して球状化されている粒子であり、集
電体に付けられている正極活物質の密度は2.54×10 3Kg/
m3以上であることを特徴とする。
【0025】前記リチウムと遷移金属の複合酸化物はス
ピネル型マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウムの少
なくとも一種であることが好ましく、スピネル型マンガ
ン酸リチウムであることが特に好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明におけるリチウム遷移金属
酸化物は非水系リチウム二次電池用正極活物質として有
用なもので、例えばスピネル型マンガン酸リチウム、コ
バルト酸リチウムが適当であり、コバルト酸リチウムを
正極活物質として用いた場合その二次電池の充放電特性
が特に大きくなり、安価なマンガンを用いているスピネ
ル型マンガン酸リチウムを正極活物質として用いた場合
でも従来に比して大きな充放電特性が得られる。
【0027】本発明によって非水系リチウム二次電池用
正極活物質は図1のフローチャートに従って製造され
る。まず工程1で原料として、焼成によって酸化物とな
る遷移金属、例えばコバルト、マンガン、の化合物(例
えばCo3O4, CoO2, Mn3O4, MnCO 3 )と、焼成によって酸
化物となるリチウム化合物(例えばLi2CO3, LiOH)とを
所定の割合で混合する。この混合比率は作ろうとしてい
るリチウム遷移金属酸化物におけるリチウムと遷移金属
とのストイキオメトリーな原子比率あるいはそれよりも
遷移金属の少し多い割合、例えばLiMn2O4 を作るときに
はLi/Mn を0.58としておく。これらの粉末を工程2で水
を加えて樹脂製のボールミル中で例えば50時間混合す
る。原料には必要により添加元素として充放電特性を改
善するためにCr, Al, Co, Niの酸化物やガラス形成物質
としてB2O3, Bi2O3, V2O5, PbOなどを加えることもでき
る。また混合液にはPVA溶液を固形分に換算して1w
t%前後添加することが好ましい。
【0028】工程3で混合液をスプレードライヤで造粒
し乾燥させて10〜100 μmの顆粒を作製する。顆粒は焼
成ができる粒度をしていればよい。工程4は焼成であ
り、この焼成によって用いた原料が酸化物となって、ス
ピネル型マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウムなど
リチウム遷移金属酸化物となる。焼成は大気中や酸素中
700℃〜1100℃で数時間から10時間行う。焼成
後の粒子の粒子径が大きい場合には、正極活物質として
集電体箔上に塗布したときに、正極上に凹凸が生じた
り、傷が発生することがあるので、焼成後ライカイ機な
どで解砕(粉砕)と篩い分けを行う(工程5)。
【0029】次に、この粒子を工程6で熱プラズマ処理
して、少なくともその表面を溶融した後凝固して球状化
する。工程5で篩い分けした粒子は解砕したものなので
その表面は破砕されていて角の付いた粒子であるが、熱
プラズマ処理によって5000K〜10000Kの温度
に瞬時に曝されて粒子表面が数1000Kになる。それ
によって少なくとも粒子表面が溶融するので粒子表面の
張力が生じて球状となり、その後冷却されて凝固する
(以下、溶融凝固と言うことがある。)。この熱プラズ
マ処理を施した粒子にその後工程7で熱処理をする。熱
処理は大気あるいは酸素雰囲気500℃〜900℃の温
度で行う。この熱処理は2時間以上が好ましい。熱プラ
ズマ処理をしたリチウム遷移金属酸化物の粒子は熱プラ
ズマ処理時に酸素の遊離と複相が生じているので目的と
しているリチウム遷移金属酸化物の結晶構造からはずれ
ているものも生じている。そこで上記熱処理を施すこと
によって元の結晶構造をしたリチウム遷移金属酸化物に
戻すものである。また急激な冷却によって結晶に歪みな
どが生じることがあるので、そのような歪みを取り除く
ことができると考えられる。
【0030】図1のフローチャートにおける熱プラズマ
処理は、例えば図2に示すような高周波熱プラズマの発
生装置を用いることができる。図2の発生装置20は、
外周に高周波誘導コイル21を巻き付けており、その内
部に高周波電磁誘導により熱プラズマを発生するもので
ある。発生装置20の上部には熱プラズマ処理をする材
料とキャリアガスとを供給する材料供給口22と、プラ
ズマを発生するためのプラズマ作動用ガス供給口23が
設けられている。また発生装置20の側壁には排気口2
4が設けられている。
【0031】熱プラズマの発生条件としては、周波数
0.5〜20MHz特に1〜15MHz、投入電力3〜
50KWとすればよく、圧力は50KPa〜100KP
a(大気圧)程度とすることが好ましい。導入するプラ
ズマガスとしてはAr、窒素、酸素、大気などが好まし
く、これらを混合しても良い。キャリアガスとしては、
アルゴン、窒素などを用いることができる。
【0032】発生装置20のなかにプラズマ25を発生
させて、排気口24から吸引して内部圧力を制御しなが
らキャリアガスとともにリチウム遷移金属酸化物の粒子
をプラズマ25中に供給すると、粒子の表面が溶融しそ
の後の冷却で球状化をした球状化粒子26が生成され
る。この熱プラズマ処理をした粒子を図1の工程7で熱
処理をする。
【0033】なお、図1のフローチャートにおける熱プ
ラズマ処理に代えて、レーザビーム、電子ビームを粒子
に照射してその少なくとも表面を溶融凝固して球状化す
ることもできる。またあるいは、可燃性ガスと酸素の混
合ガスを燃焼させた約1800℃程度の火炎で粒子を溶融
し、その後ガス対流させることによって球状化させる火
炎溶融法等を用いることもできる。
【0034】本発明のリチウム遷移金属酸化物からなる
正極活物質はその粒子が0. 5μm〜100μmの粒度
分布をしていることが好ましい。望ましい粒度の分布の
下限は1μmで上限は100μm。さらに望ましい範囲
は下限2μmで上限30μmである。体積頻度は一部の
粒径が突出して高いと粒子の充填性が低下するためなる
べく体積頻度は平均して低くおしなべて平らな山のよう
な分布が良く、例えば体積頻度の一番高い値が全体の1
0%以下であるのが良い。更に望ましくは5%以下であ
る。
【0035】平均粒径D50 は0. 6μm以上で100μ
mの間にあり望ましくは3〜20μmの間にあることが
望ましい。更に望ましい範囲は、5〜10μmである。
【0036】このような比較的広い粒度分布と粒径とな
っているので、集電体箔上に塗布するとき粒子と粒子の
間に粒子が入り込みやすく充填密度が高くなる。また、
まんべんなく均一な厚さに塗布できる。
【0037】正極活物質が球状化されているほど粒子間
の摩擦が軽減され充填率も向上する。球状化率が3%以
下であるとその効果がなく、3%以上で効果が確認され
た。望ましくは10%以上になっているのがよい。また
限定粒子率では7%以上がよく、望ましくは20%以上
さらに望ましくは40%以上である。
【0038】本発明の正極活物質を用いて非水系リチウ
ム二次電池の正電極を作製する工程を図3にフローチャ
ートで示している。このフローチャートで工程31は原
料であり、正極活物質と炭素系導電材と結着材を秤量し
て工程32で混合する。炭素系導電材としてはカーボン
ブラック、グラファイト、アセチレンブラックあるいは
導電性のある他の化合物を使用することができ、その使
用量は1〜15wt%程度で、具体的には例えば5.5
wt%である。結着材としてはポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、ポリフッ化ビニル(PVF)などが挙げることが
でき、その量は3〜20wt%で具体的には例えば4.
5wt%である。正極活物質と炭素系導電材と結着材と
を工程32で乳鉢で十分に混合し、別途準備したアルミ
集電体箔(例えば厚さ15μm)の上に工程33でドク
ターブレード法などで厚さ100μmに塗布する。これ
を工程34で乾燥、工程35で約1.5トン/cm2の圧力
を加えて加圧して工程36にあるように正電極とする。
【0039】本発明の球状化されたリチウム遷移金属酸
化物からなる正極活物質を用いた正電極は、高い密度に
充填できるが実用的には2. 54×103Kg/m3以上が良
い。望ましくは2. 8×103Kg/m3以上、更に望ましくは
3. 0×103Kg/m3以上が良い。本発明のリチウム遷移金
属酸化物は球状化により比表面積が最小となっているの
で、例えばスピネル型マンガン酸リチウムで問題とされ
ている電解液のマンガン溶出を低減させることができ
る。また、塗布抵抗が小さく滑らかで筋が入るようなこ
とがなく塗布がし易くなる。
【0040】本発明による正極活物質およびそれから作
った正電極の充放電特性を評価するための非水系リチウ
ム二次電池を図4に示す。この二次電池40の容器とし
てビーカーを用いており、その中に電解液41が充たさ
れている。電解液41中には正電極42と負電極43が
対向配置されている。正電極42は図3のフローチャー
トに従って本発明の正極活物質を用いて準備したもので
ある。負電極43は通常の炭素系材料に代えて、リチウ
ム電極を用いている。正電極42と負電極43のリード
間には充電用電源44,負荷抵抗45,電圧計46が並
列に挿入されているとともに、電源44と負荷抵抗45
を切り換えるための切り換えスイッチ47が設けられて
いる。
【0041】電解液41としてリチウム含有電解質を非
水溶媒に溶解して調整することができる。このような電
解液は市販されているものを使用することもできる。例
えば具体的には1.2 MLiPF6 を電解質としたエチルカー
ボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒を用いるこ
とができる。
【0042】図4の二次電池40を電源44に繋いで充
電を行いその後負荷抵抗に接続して0. 33Cで放電し
たときの初期放電容量(3時間でカットオフ電位3.2
Vになるまで放電させたときの正極活物質単位重量当た
りの放電量)、50サイクル目の放電容量、2Cで放電
したときの放電容量(30分でカットオフ電位3.2V
になるまで放電させたときの正極活物質単位重量当たり
の放電量)と電極密度と初期放電容量から計算した体積
当たりの放電容量を表す体積容量を測定する。
【0043】実験1 本実験では、図1のフローチャートに従って、原料とし
て二酸化マンガンと炭酸リチウムを使用し、原子比でL
i/Mn比が0. 58になるよう秤量し、樹脂製のボー
ルミルを用いて湿式で50時間混合した。混合液はPVA
溶液を添加後、スプレードライヤにより造粒し造粒粉を
乾燥させて10〜80μmの粒度を持つ顆粒を作成し
た。作成した顆粒は以後、表1の条件で処理を行った。
【0044】
【表1】
【0045】球状化を行うための熱プラズマの発生装置
は図2に示したものを用い、運転においてはあらかじめ
装置内をArガスで置換し周波数13.56 MHz、5 KW
の電力をコイルに供給し数1000Kの熱プラズマを発
生させたのちにArガスをキャリアガスとして装置内に
粉末試料を供給した。プラズマ内で粒子表面が溶融した
ときに粒子と粒子が接触して大きな粒子が生じることの
ない様に供給時に粉末の供給量を調整した。その結果1
時間で約200gを処理することができた。
【0046】図5は前述の工程で作成した正極活物質の
SEM像である。熱プラズマ処理を行った実施例1と比
較例1の材料は真球状の粒子が確認できる。図5の各S
EM像を比較すると実施例1 と比較例1 の粒子表面が滑
らかであり熱プラズマにより材料が融点の1500℃程
度まで加熱され粒子の少なくとも表面が溶融し表面張力
により球状化したと考えられる。
【0047】図6は粒度分布測定器( 堀場製作所製L
A-920)で各試料の粒度分布を測定したものを示す。図
6から熱プラズマ処理を行った実施例1 と比較例1 は粗
大な粒子が生じることも無く、熱プラズマ処理を行わな
かった比較例2と同等な粒度分布となっている。一方焼
成後解砕をしていない比較例3は粗大な粒子となってい
る。
【0048】図7はこれらの試料についてX線回折を行
った結果である。実施例1の熱プラズマ処理を行った後
に熱処理を行なった場合はLiMn2O4 の単相になってい
る。しかし、熱処理を行わなかった比較例1は目的とす
るLiMn2O4 以外のLiMnO2、Mn2O 3 、Mn3O4 等の相が確認
できる。比較例2と比較例3の試料は実施例1と同様に
LiMn2O4 の単相であった。格子定数については図中に記
載した。実施例1、比較例2および比較例3は同等の格
子定数であった。比較例1についてもLiMn2O4 のピーク
のみについて計算すると同等の値であった。比較例2と
3の試料は、焼成によってスピネル型マンガン酸リチウ
ムになっているが、これらの試料の少なくとも表面を熱
プラズマによって溶融凝固して球状化した比較例1はLi
Mn2O4 以外の結晶が生じている。比較例1の試料を大気
中600℃で熱処理を10時間施した実施例1ではLiMn
2O4 以外の結晶が消えて、LiMn2O4 単相に戻っており、
しかもピーク強度が高まっていることがわかる。
【0049】正極活物質の特性を評価するために正電極
の作製に当たっては、図3のフローチャートに従って、
本実施例の各正極活物質、炭素系導電材及び結着材を重
量%で表してそれぞれ、90:5.5:4.5(wt%)の割合で混
合し、均一に混合されたスラリーを、厚み15μm のア
ルミ集電体箔上に塗布した後90℃で乾燥し、プレスに
て1.5トン/cm2で加圧し、約100μm厚さの塗膜を
形成した。
【0050】ここで作製した正電極を用いて図4に示す
試験用非水系リチウム二次電池を作った。通常リチウム
二次電池の負極には炭素系材料を使用するが、ここでは
評価結果に負極の特性が加味されないようリチウム電極
43を用いた。電解液41には1.2 MLiPF6 を電解質と
したエチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合
溶媒を用いた。表2に正電極内の正極活物質の密度と
0. 33Cで放電したときの初期放電容量、50サイク
ル目の放電容量、2Cで放電したときの放電容量、電極
密度と初期放電容量から計算した体積当たりの放電容量
を表す体積容量を示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2のデータから実施例1で得られた材料
の特性は初期放電容量、50サイクル目の放電容量、2C
での放電容量維持率が比較例1〜3よりも高く、熱プラ
ズマによって溶融凝固を行って球状化を行った後、熱処
理を行って元の結晶構造に戻した実施例1では優れた放
電特性が得られていることが判る。また実施例1は体積
容量が比較例1〜3に比べ10%以上高いことが判る。
これは、電池の容量が10%以上向上できていることを
意味する。
【0053】実施例1の試料は熱プラズマによって少な
くとも粒子表面が溶融凝固して球状化しているので、組
成が均一になりやすく、短時間で冷却(急冷)されてい
るため成分の偏析が起きにくい。それを熱処理している
ので熱プラズマ処理していない材料よりも結晶が均一で
ピーク強度が高くなっている(図7参照)。またその後
熱処理により充放電に寄与しないMn2O3 やMn3O4 が無く
なりLiMn2O4 の単相になっている。これらのことから望
ましい結果が得られたものと考える。
【0054】実験2 ここでは粒度分布を変えた正極活物質を作るために実験
1と同様に10〜80μmの粒度を持つ二酸化マンガン
と炭酸リチウムの混合顆粒を用いて、その後の工程を表
3に示すように変えて処理を行った。
【0055】
【表3】
【0056】実験1によって、熱プラズマ処理前の粒度
分布が熱プラズマ処理後の粒度分布に反映されることが
判っていたので、電極を塗布する際に大きな粒子が引っ
かかり塗布面に筋が入る等の問題が生じないように焼成
後106 μmの篩を通過させた。比較例4、実施例2およ
び実施例3については容易に篩を通過したが実施例4と
実施例5においては篩を通過しない部分がありライカイ
機により解砕してから篩を通過させた。これは比較例
4,実施例2と3の試料では焼成温度が低いので、粒成
長がなくそのままで篩を通過したが、実施例4と5の試
料では焼成温度が高く焼成時に粒成長があったものと考
えられる。ここで熱プラズマ処理は実験1と同様に行っ
た。
【0057】図8は表3の条件で作成した各試料の粒度
分布を示したものである。粒度分布はいずれも実験1と
同様に測定した。焼成温度が低い比較例4の粒度分布は
0.2〜4μmであった。実施例2は0.5〜10μ
m、実施例3は1〜100μm、実施例4は0.5〜4
0μm、実施例5は0.5〜70μmなので、これらを
まとめると0. 5〜100μmの粒度で良好な特性を示
すのがわかった。
【0058】ここで得た各試料を実験1と同様に図3の
フローチャートに従ってアルミ集電体箔上に塗布して正
電極として、各試料を正極活物質として図4に示す非水
系リチウム二次電池を用いて電池特性を評価した。表4
は正極活物質の密度と0. 33Cで放電したときの初期
放電容量、50サイクル目の放電容量、2Cで放電した
ときの放電容量、電極密度と初期放電容量から計算した
体積当たりの放電容量を表す体積容量を示す。
【0059】
【表4】
【0060】図8と表4のデータから、粒度分布の下限
が0. 2μmと小さい比較例4では50サイクル目の放
電容量が低下し実用的でないため、粒度分布が0. 5μ
m以上となっている実施例2,3,4,5が良い。上限
は電極を塗布する際に大きな粒子が引っかかり塗布面に
筋が入る等の問題が生じないように100μm以下が良
い。適切な平均粒径D50 は図8と表4のデータから0.
6μm以上で11μmの間にあるが、およそ0.6μm
〜50μmの範囲が良い。電極密度は高いほど電池に正
極材料が多く充填できるが実用的には50サイクル目の
放電容量が低下しない実施例2の2. 54×103Kg/m3
上が良い。
【0061】実験3 ここでは熱プラズマ処理後の熱処理条件を決める実験と
して、実施例1と同様にして作製したスピネル型マンガ
ン酸リチウムの熱プラズマ処理球状化粒子で熱処理条件
を表5に示すように変えて処理して正極活物質を作っ
た。熱処理の有無によって特性が大きく変わることが実
験1から明らかになっていたので、ここでは熱処理温度
を400℃から1000℃まで変えるとともに、実施例
8では雰囲気を酸素とした。
【0062】
【表5】
【0063】ここで得た各試料を実験1と同様に図3の
フローチャートに従ってアルミ集電体箔上に塗布して正
電極を作製して、各試料を正極活物質として図4に示す
非水系リチウム二次電池を用いて電池特性を評価した。
その評価は0. 33Cで放電したときの初期放電容量と
50サイクル目の放電容量について行い、その結果を表
6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】表5,表6のデータから熱処理温度は比較
例5の400℃では初期放電容量、50サイクル目の放電
容量ともに低すぎて実用的でない。一方、比較例6の熱
処理温度1000℃では初期放電容量に問題は無いが50
サイクル目で放電容量が約30%低下した。リチウム二
次電池は500サイクル以上使用するので、このサイク
ル特性では実用的でない。この結果から熱処理温度は5
00〜900℃の範囲が良いことがわかった。熱処理時
間については実施例1では10時間であったが実施例6
〜9のように2時間でも良いことがわかる。また熱処理
時の雰囲気は実施例7の大気中よりも実施例8の酸素中
のほうが特性が優れていることが分かった。
【0066】実験4 ここではスピネル型マンガン酸リチウム粒子表面を溶融
凝固して球状化をする熱プラズマ処理条件を決める実験
として、熱プラズマ処理条件と焼成条件以外は実施例1
と同様に処理して正極活物質を作製した。ここで各試料
の熱プラズマ処理条件は表7に示す。なお焼成はすべて
大気中900℃で5時間行った。
【0067】
【表7】
【0068】ここで得た各試料の球状化率(%)とし
て、SEMにより粒子形態を撮影後、画像処理装置を用
いて球状化している粒子の個数比率を算出した。また顆
粒の形状を評価するためにシスメックス 製フロー式粒
子像分析装置FPIA-2100 により調べた。本装置はC
CDカメラを用いて粒子を数千個撮影し1個1個の粒子
の投影面積、周囲長を計測し円相当径、円形度を算出す
る。円相当径は数1で、円形度は数2で計算される。こ
こで円相当径とは測定して得られた粒子の投影面積を持
つ真円の直径であり、円形度はその直径から求めた円周
長と前記投影像の周囲長の比である。
【0069】
【数1】
【0070】
【数2】
【0071】図9は測定の一例で、実施例11と比較例
7の粒子について円形度を円相当径との関係で示してい
るグラフである。横軸は円相当径、縦軸が円形度で、各
粒子のデータを図中に点で示している。この装置は、本
発明の特徴である球状粒子の分布状態をグラフ化し数値
化することができる。特に特徴が現れるのは円相当径
(粒径)が5〜15μmで円形度が0. 9〜1. 0領域
に分布する粒子の体積比率である。この体積比率を本明
細書では限定粒子率と表示している。下側の図ではSE
Mで球状化が0%の比較例7では円相当径(粒径)が5
〜15μmで円形度が0. 9〜1. 0の粒子が殆ど無
い、一方球状化を確認している実施例11では粒子の分
布が確認できる。この比較例7の限定粒子率は1. 2%
で実施例11は16. 0%であった。同様にして求めた
他の試料についても限定粒子率の値を表8に示す。
【0072】またここで得た各試料を実験1と同様に図
3のフローチャートに従ってアルミ集電体箔上に塗布し
て正電極として、各試料を正極活物質として図4に示す
非水系リチウム二次電池を用いてその特性の評価を行い
表8に合わせて示している。
【0073】
【表8】
【0074】比較例7と実施例10〜14は投入電力を
変えて球状化率と電極特性への影響を調べたものであ
る。表7,表8の結果より、比較例7の1KWでは球状
化が確認できなかったが、供給電力を上げ投入電力を3
KW以上にすることで球状化することが確認できた。球
状化率3%の実施例10であっても0%の比較例7に比
して体積容量で8. 5%の向上が得られたので、球状化
率は3%以上あればよいことがわかる。更に投入電力を
上げた試料は球状化率の上昇と共に電極密度が上昇し体
積容量が上昇している。望ましい球状化率は20%以
上、更に望ましい球状化率は50%以上である。
【0075】限定粒子率と体積容量との相関は球状化率
と同様に限定粒子率が高いほど特性が向上しており、限
定粒子率が7 %以上の実施例10で特性が向上している
ことが確認できる。望ましい限定粒子率(円形度0.9 〜
1.0 かつ粒径が5 〜15μm)は20%以上、更に望ましい
球状化率は40%以上である。なお、比較例7の試料はS
EMで粒子が球状化していることが確認できなかった
が、偶然限定粒子率の数値が出ているものと考えられ
る。
【0076】実施例15は熱プラズマ処理装置を取り替
え投入電力の周波数を13.56MHzから4MHzに変更した場合
の影響を調べたものである。表7と表8の結果から周波
数4MHzの試料(実施例15)は投入電力の同じである周
波数13.56MHzの実施例12と比較すると球状化率、限定
粒子率、電極密度、体積容量は低下しているが、球状化
処理の行われなかった比較例7と比較すると熱プラズマ
処理による球状化の効果は確認できた。
【0077】また、実施例16、実施例17、実施例1
8は装置内の雰囲気をそれぞれ大気、酸素、窒素に変え
て実施したものであるがアルゴン雰囲気の場合と同様に
体積容量向上の効果が確認できた。実施例19は装置内
の圧力を下げ影響を調べたものである。表8から大気圧
に比べ球状化率、電極密度、体積容量が低下している
が、球状化が生じなかった比較例7と比較すると熱プラ
ズマ処理による球状化の効果は確認できた 実験5 原料として四三酸化コバルトと炭酸リチウムを使用し、
原子比でLi/Co比が1. 00になるよう秤量し、樹
脂製のボールミルにより湿式で50時間混合した。混合
液にはPVA溶液を添加後、スプレードライヤにより造
粒し乾燥させて10〜80μmの顆粒を作成した。作成
した顆粒は大気中900℃で焼成後、ライカイ機で解砕
し目開き32μmの篩を通過させ実施例20と比較例8
の試料に用いた。実施例20の試料では実施例1と同様
にAr雰囲気中で周波数13.56MHz、電力5KW を投入し大
気圧で熱プラズマ処理を行い熱処理を大気中600℃で
10時間行い、SEMで球状の粒子ができていることを
確認したものである。比較例8の試料は熱プラズマ処理
を行わず熱処理のみ大気中600℃で10時間行った。
【0078】ここで得た試料を実験1と同様に正極活物
質として、評価して電極密度と0.33Cで放電したと
きの初期放電容量と体積容量を測定してその結果を表9
に示している。
【0079】
【表9】
【0080】この結果から熱プラズマ処理を行った実施
例20の試料は熱プラズマ処理を行わなかった比較例8
に比較して電極密度、初期放電容量が向上し体積容量が
15%向上することが確認できCo系正極活物質として
有効であることが判った。
【0081】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明の製
造方法で得た正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物粒
子の少なくとも表面が溶融凝固して球状化していてそれ
が熱処理されているものであり、従来の正極活物質(例
えば比較例2,3)に比して、初期放電容量で約10%
の向上が得られ、50サイクル目の放電容量の低下が小
さいものとなっている。また、大電流放電においても特
性の低下の小さい正極活物質となっている。体積容量に
おいては従来品に比して15%以上の向上が得られてい
る。
【0082】コバルト酸リチウムを正極活物質とした場
合にも同様に大きな充放電容量が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って正極活物質を作製するためのフ
ローチャートを示す。
【図2】本発明において熱プラズマ処理を行うために用
いる高周波熱プラズマの発生装置の概略構成図である。
【図3】本発明の正極活物質を用いて正電極を作製する
ためのフローチャートを示す。
【図4】非水系リチウム二次電池の概略構成図である。
【図5】正極活物質の粒子構造を示すSEM写真であ
る。
【図6】正極活物質の粒子分布を示すグラフである。
【図7】正極活物質のX線回折チャートである。
【図8】正極活物質の粒子分布を示すグラフである。
【図9】実施例11と比較例7の粒子について円形度を円
相当径との関係で示しているグラフである。
【符号の説明】
20 高周波熱プラズマの発生装置 21 高周波誘導コイル 22 材料供給口 23 プラズマ作動用ガス供給口 24 排気口 25 プラズマ 26 球状化した粒子 40 (非水系リチウム)二次電池 41 電解液 42 正電極 43 負電極 44 (充電用)電源 45 負荷抵抗 46 電圧計 47 切り換えスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内川 晃夫 鳥取県鳥取市南栄町70番地2号 日立金属 株式会社鳥取工場内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB05 AC06 AD04 AE05 5H029 AJ03 AJ05 AJ14 AK03 AM03 AM05 AM07 CJ02 CJ08 DJ16 DJ17 HJ01 HJ05 HJ13 HJ14 5H050 AA02 AA07 AA08 AA19 BA17 CA09 FA17 FA19 GA02 GA10 HA01 HA05 HA13 HA14

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成によってそれぞれ酸化物となる遷移
    金属化合物とリチウム化合物とを所定割合で混合し、 それを焼成してリチウムと遷移金属の複合酸化物とした
    上で、 前記リチウムと遷移金属の複合酸化物からなる粒子の少
    なくとも表面を溶融した後凝固し、 その後、その粒子を熱処理することを特徴とする非水系
    リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼成によってそれぞれ酸化物となるマン
    ガン化合物とコバルト化合物の少なくとも一種とリチウ
    ム化合物とを所定割合で混合し、 それを焼成してリチウムと遷移金属の複合酸化物とした
    上で、 前記リチウムと遷移金属の複合酸化物からなる粒子の少
    なくとも表面を溶融した後凝固し、 その後、その粒子を熱処理することを特徴とする非水系
    リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼成によってそれぞれ酸化物となるマン
    ガン化合物とリチウム化合物とを所定割合で混合し、 それを焼成してスピネル型マンガン酸リチウムとした上
    で、 前記スピネル型マンガン酸リチウムからなる粒子の少な
    くとも表面を溶融凝固し、 その後、その粒子を熱処理することを特徴とする非水系
    リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記溶融凝固は熱プラズマ処理であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の非水系リ
    チウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱プラズマ処理は前記リチウムと遷
    移金属の複合酸化物の融点以上の温度で、雰囲気をアル
    ゴン、酸素、大気あるいは窒素とし、圧力を50KPa から
    大気圧として行うことを特徴とする請求項4記載の非水
    系リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記溶融凝固によって変質した結晶構造
    を前記熱処理によって前記リチウムと遷移金属の複合酸
    化物の元の結晶構造に戻すことを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか記載の非水系リチウム二次電池用正極活物
    質の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱処理は、大気あるいは酸素雰囲気
    中で、温度500 〜900 ℃で行うことを特徴とする請求項
    6記載の非水系リチウム二次電池用正極活物質の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 リチウムと遷移金属の複合酸化物からな
    る粒子であり、その少なくとも表面が溶融凝固して球状
    化されていることを特徴とする非水系リチウム二次電池
    用正極活物質。
  9. 【請求項9】 スピネル型マンガン酸リチウム、コバル
    ト酸リチウムの少なくとも一種からなる粒子であり、そ
    の少なくとも表面が溶融凝固して球状化されていること
    を特徴とする非水系リチウム二次電池用正極活物質。
  10. 【請求項10】 スピネル型マンガン酸リチウムからな
    る粒子であり、その少なくとも表面が溶融凝固による球
    状化されていることを特徴とする非水系リチウム二次電
    池用正極活物質。
  11. 【請求項11】 前記溶融凝固による球状化は熱プラズ
    マに曝すことによって行われていることを特徴とする請
    求項8〜10のいずれか記載の非水系リチウム二次電池
    用正極活物質。
  12. 【請求項12】 前記粒子の粒径の分布範囲は0.5 〜10
    0 μmでその平均粒径は0.6 〜50μmであることを特徴
    とする請求項8〜11のいずれか記載の非水系リチウム
    二次電池用正極活物質。
  13. 【請求項13】 前記粒子の球状化率は3 %以上である
    ことを特徴とする請求項8〜12のいずれか記載の非水
    系リチウム二次電池用正極活物質。
  14. 【請求項14】 前記粒子の限定粒子率(円形度0.9 〜
    1.0 、粒径5 〜15μm領域にある粒子の体積比率)は7
    %以上であることを特徴とする請求項8〜13のいずれ
    か記載の非水系リチウム二次電池用正極活物質。
  15. 【請求項15】 リチウムと遷移金属の複合酸化物から
    なる正極活物質を集電体に形成してなる正極を備えたリ
    チウム二次電池において、 前記リチウムと遷移金属の複合酸化物は、少なくとも表
    面が溶融凝固して球状化されている粒子であり、集電体
    に付けられている正極活物質の密度は2.54×10 3Kg/m3
    上であることを特徴とする非水系リチウム二次電池。
  16. 【請求項16】 前記リチウムと遷移金属の複合酸化物
    はスピネル型マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム
    の少なくとも一種であることを特徴とする請求項15記
    載の非水系リチウム二次電池。
  17. 【請求項17】 前記リチウムと遷移金属の複合酸化物
    はスピネル型マンガン酸リチウムであることを特徴とす
    る請求項16記載の非水系リチウム二次電池。
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