以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来、コントラスト向上を目的として、微細な凹凸構造を有する防眩性フィルム上に反射防止層を塗布する技術があるが、防眩性フィルムの微細な凹凸構造上で反射防止層を形成する塗布液がレベリングを起こし、微細な凹凸構造による意図した防眩性能が失われるといった問題があった。
本発明者は鋭意検討の結果、本発明の構成により、反射防止層の膜厚が防眩層の微細な凹凸構造を追随することにより、防眩性が保たれたまま反射率が低減でき、更に膜強度、耐傷性擦傷性を改良できることを見出したものである。
即ち、本発明の反射防止フィルム(以下、防眩性反射防止フィルムともいう)の製造方法は、透明基材上に微細な凹凸構造をもつ防眩層を少なくとも1層有し、かつ該防眩層に直接または他の層を介して低屈折率層が形成する反射防止フィルムの製造方法であって、該低屈折率層をインクジェット方式により形成し、かつ該低屈折率層を20〜100質量%の固形分を含み25℃の粘度が6.5〜15mPa・sの塗布液により形成することを特徴とする。
従って、該防眩層の凸部分に形成した低屈折率層の層厚hd1と凹部分に形成した低屈折率層の層厚hd2が以下の関係式を満たす反射防止フィルムであることが好ましい
。
(式)hd1/hd2≧0.4
更に、該低屈折率層は、好ましくはインクジェット方式により微小液滴の付着により形成されることが特徴である。
該インクジェット方式により、従来の塗布方式による反射防止層の形成に比較し、高濃度、高粘度の塗布液(インク)を用い、湿潤膜厚(hw)を薄く塗布することができる。これにより塗布液の固化速度が向上し、従来の塗布液のような凹凸構造上でのレベリングを回避できることを見出したものである。そのため、防眩性を発現する微細な凹凸構造は、反射防止フィルムの最表面に意図した凹凸構造を有する状態で形成されるため防眩性は損なわれない。また実質的に均一膜厚となることで屈折率がより低減され、膜強度、耐傷性擦傷性も向上する。
以下、本発明を詳細に説明する。
《低屈折率層》
本発明に係る低屈折率層の屈折率は、支持体である基材フィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。屈折率は、ハードコート層上に設けた反射防止層の分光反射率の測定結果から求める。分光反射率はFE−3000(大塚電子製)を用いて、サンプルの裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して測定を行い、分光反射率をFE−3000のソフトウエアで解析及びフイッティングを行い屈折率を求める。
また、反射防止層の分光反射率は低いほど好ましいが、可視光領域の波長における平均値が1.5%以下であることが好ましく、最低反射率は0.8%以下であることが好ましい。また、可視光の波長領域において平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの構成を図1(a)に示す。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、図で示したように低屈折率層をインクジェット法式により直接または他の層を介して、後述する防眩層上に20〜100質量%の固形分を含み25℃の粘度が6.5〜15mPa・sの塗布液により形成することが特徴である。
従って、該防眩層の凸部分に形成した低屈折率層の層厚hd1と凹部分に形成した低屈折率層の層厚hd2が以下の関係式を満たす反射防止フィルムであることが好ましい
。
(式)hd1/hd2≧0.4
hd1、hd2については図1(b)を参照。
上記式における層厚比hd1/hd2の値は、好ましくは0.4以上1.2以下であり
、より好ましくは、0.6以上1.0以下であり、特に好ましくは0.8以上1.0以下
である。層厚比が≧0.4である時に、防眩性と耐擦傷性の両立した低反射率の防眩性反
射防止フィルムが得られる。
低屈折率層の膜厚は、0.05〜0.20μmの範囲が反射防止の効果、耐擦傷性の観点から好ましく、より好ましくは0.06〜0.15μmである。
上記低屈折率層の膜厚は電子顕微鏡の断層写真により求めることができる。作成した反射防止フィルムについて、断層写真を2〜10万倍の拡大倍率で撮影し、目視で確認した凸部分、凹部分それぞれ10箇所の膜厚を断層写真からスケールを使って実測し平均した値を膜厚とした。用いる電子顕微鏡は市販のものを使用でき、例えば日立走査透過電子顕微鏡 HD−2700を用いることができる。
低屈折率層を微小液滴の付着により形成する方法は特に限定されるものではないが、公知のスプレイ塗布方式やインクジェット方式を用いることが好ましく、特に本発明では再現性、均一性の点で、インクジェット方式を用いることが好ましい。
以下、インクジェット方式を用いる低屈折率層の形成について詳細に説明する。
図2は、本発明に好適なインクジェット方式に用いられるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
図2(a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線矢視拡大図である。図中、11は基板、12は圧電素子、13は流路板、13aはインク流路、13bは壁部、14は共通液室構成部材、14aは共通液室、15はインク供給パイプ、16はノズルプレート、16aはノズル、17は駆動用回路プリント板(PCB)、18はリード部、19は駆動電極、20は溝、21は保護板、22は流体抵抗、23、24は電極、25は上部隔壁、26はヒータ、27はヒータ電源、28は伝熱部材、30はインクジェットヘッドである。
集積化されたインクジェットヘッド30において、電極23、24を有する積層された圧電素子12は、流路13aに対応して、該流路13a方向に溝加工が施され、溝20と駆動圧電素子12bと非駆動圧電素子12aに区分される。溝20には充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子12には、上部隔壁25を介して流路板13が接合される。すなわち、前記上部隔壁25は、非駆動圧電素子12aと隣接する流路を隔てる壁部13bとで支持される。駆動圧電素子12bの幅は流路13aの幅よりも僅かに狭く、駆動用回路プリント板(PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子12bはパルス状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子12bは厚み方向に変化し、上部隔壁25を介して流路13aの容積が変化し、その結果ノズルプレート16のノズル16aよりインク液滴を吐出する。
流路板13上には、伝熱部材28を介してヒータ26がそれぞれ接着されている。伝熱部材28はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材28は、ヒータ26からの熱を効率良く流路板13に伝え、かつ、ヒータ26からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としており、したがって、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、あるいは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変化し、その容積変化によりノズルからインク液滴となって噴射する。圧電素子には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルよりインクがインク液滴となって噴射する。
図3は、本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
図3において、図3の(a)はヘッド部の断面図、図3の(b)はノズルプレートの平面図である。図中、10は基材フィルム、31はインク液滴、32はノズル、29は活性光線照射部である。ノズル32より噴射したインク液滴31は基材フィルム10方向に飛翔して付着する。基材フィルム10上に着弾したインク液滴は、その上流部に配置されている活性光線照射部より、活性光線を直ちに照射され、硬化する。なお、35は基材フィルム10を保持するバックロールである。
本発明においては、図3の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズルは、千鳥状に配置することが好ましく、また、基材フィルム10の搬送方向に並列に多段に設けることが好ましい。また、インク吐出の際にインクジェットヘッド部に微細な振動を与え、インク滴がランダムに透明基材上に着弾するようにすることが好ましい。これによって、干渉縞の発生を抑制することができる。微細な振動は、高周波電圧、音波、超音波などによって与えることができるが、特にこれらに限定されない。
本発明の低屈折率層の形成方法は、多ノズルからインク小液滴を吐出して形成するインクジェット方式を用いることが好ましい。図4に、本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す。
図4において、図4の(a)は、インクジェットヘッド30を透明基材フィルム10の幅手方向に配置し、透明基材フィルム10を搬送しながらその表面に低屈折率層を形成する方法(ラインヘッド方式)であり、図4の(b)はインクジェットヘッド30が副走査方向に移動しながらその表面に低屈折率層を形成する方法(フラットヘッド方式)であり、図8の(c)はインクジェットヘッド30が、透明基材フィルム10上の幅手方向を走査しながらその表面に低屈折率層を形成する方法(キャプスタン方式)であり、いずれの方式も用いることができるが、本発明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。なお、図4の(a)〜(c)に記載の29のように、インクとして後述の活性光線硬化型樹脂を用いる場合に使用する活性光線照射部を取り付けてもよい。
また、本発明においては、図4の(a)、(b)、(c)の基材フィルムの搬送方向の下流側に、別の活性光線照射部を設けてもよい。
本発明において、防眩層の凹凸形状に対して低屈折率層を所望の膜厚で塗布する為に、インク液滴としては0.1〜20plが好ましく、0.5〜10plがより好ましく、0.5〜5plが特に好ましい。また、異なるインクジェットヘッド部からそれぞれ異なる液滴量のインクを吐出してもよく、同じインクジェットヘッド部から液滴量を変えてインクを吐出してもよく、この時の吐出間隔も一定間隔でもランダムであってもよい。
次いで、本発明に係る低屈折率層用インク液組成物について説明する。
本発明に用いられる低屈折率層用インク液組成物(塗布液ともいう)は、有機珪素化合物もしくはその加水分解物或いはその重縮合物、中空シリカ系微粒子、活性光線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂あるいは金属アルコキシドまたはその加水分解物を含有することが好ましく、特に屈折率が皮膜状態で屈折率が1.45以下である活性光線硬化型樹脂、または熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。
(有機珪素化合物)
本発明の低屈折率層用インク液組成物に用いることができる有機珪素化合物は下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1) Si(OR)4
式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
低屈折率層への添加方法としては、これらのテトラアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記中空シリカ系微粒子の分散液に加え、テトラアルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を中空シリカ系微粒子の表面に沈着させる。このとき、テトラアルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
また、本発明では低屈折率層に、下記一般式(2)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有させることもできる。
式中、R1〜R6は炭素数1〜16、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10のアリール基、炭素数7〜14、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
Rfは−(CaHbFc)−を表し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなRfとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。具体的に、このような含フッ素シリコーン系化合物としては、(MeO)3SiC2H4C2F4C2H4Si(MeO)3、(MeO)3SiC2H4C4F8C2H4Si(MeO)3、(MeO)3SiC2H4C6F12C2H4Si(MeO)3、(H5C2O)3SiC2H4C4F8C2H4Si(OC2H5)3、(H5C2O)3SiC2H4C6F12C2H4Si(OC2H5)3で表されるメトキシジシラン化合物等が挙げられる。
バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、形成される透明被膜自体が疎水性を有しているので、透明被膜が充分緻密化しておらず、多孔質であったり、またクラックやボイドを有している場合であっても、水分や酸・アルカリ等の薬品による透明被膜への進入が抑制される。さらには、基材表面や下層に含まれる金属等の微粒子と水分や酸・アルカリ等の薬品とが反応することもない。このため、このような透明被膜は、優れた耐薬品性を有している。
また、バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、このような疎水性のみならず、滑り性がよく(接触抵抗が低く)、このため耐傷性強度に優れた透明被膜を得ることができる。
また、本発明に係る低屈折率層にはシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
低屈折率層のその他のバインダーとして用いられるポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂が挙げられる。
(中空シリカ系微粒子)
本発明の低屈折率層は、外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子を含有することも好ましい。
中空シリカ系微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
尚、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P2O3、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P2O3、Sb2O3、MoO3、ZnO2、WO3等との1種または2種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
尚、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例表した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空シリカ系微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
中空シリカ系微粒子の低屈折率層中の含有量は、10〜50質量%であることが好ましい。低屈折率の効果を得る上で、15質量%以上が好ましく、50質量%を超えるとバインダー成分が少なくなり膜強度が不十分となる。特に好ましくは20〜50質量%である。
(活性光線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂)
本発明に係る低屈折率層は、活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂から形成されることがより好ましい。特に、皮膜状態で屈折率が1.45以下である活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂から形成されることが好ましい。
低屈折率層の液組成物に好ましく用いられる活性光線硬化型樹脂について説明する。
活性光線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性光線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性光線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、好ましく用いられるエポキシ系活性光線反応性化合物を示す。
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることができる。
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
上記のエポキシ化合物を活性光線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
エポキシ系活性光線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性光線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
活性光線反応性化合物エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性光線反応性樹脂である。
本発明に有用な活性光線反応性エポキシ樹脂は、活性光線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R1)a(R2)b(R3)c(R4)dZ〕w+〔MeXv〕w-
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えば、I、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R1、R2、R3、R4は同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXv〕w−の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、テトラフルオロホスフェート(PF4 -)、テトラフルオロアンチモネート(SbF4 -)、テトラフルオロアルセネート(AsF4 -)、テトラクロロアンチモネート(SbCl4 -)等を挙げることができる。
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることができる。
この様なオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることができる。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することができる。
また、エポキシアクリレート基を有する活性光線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることができる。この活性光線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
本発明に有用な活性光線硬化型樹脂を含むインク液において、光重合開始剤は、一般的には、活性光線硬化型エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することも出来、この場合、活性光線ラジカル重合開始剤と活性光線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
また、本発明では、光重合開始剤としてオキセタン化合物を用いることもできる。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インク化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
また、活性光線硬化型樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に使用することができる活性光線としては、紫外線、電子線、γ線等で、パターン状に形成された活性光線硬化型樹脂を活性化させる光源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm2以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm2〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
本発明においては、活性光線照射の時の雰囲気中の酸素濃度が10%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。
また、本発明においては、活性光線の硬化反応を効率的に進めるため、基材フィルム等を加熱することも出来る。加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは着弾したインク表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、フレキソ印刷部の基材フィルムを挟んで反対側に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。
加熱温度としては、使用する活性光線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、基材フィルムへの熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
次いで、本発明の低屈折率層用インク液組成物に用いられる熱硬化性樹脂について説明する。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、或いは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Br2でブロム化する、或いはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ビニルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解した物である。また、分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としてはビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
フェノール樹脂は、フェノール類とフォルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
また、上述した活性光線硬化型樹脂の一部も、熱硬化性樹脂として用いることができる。
尚、本発明に用いられる熱硬化性樹脂からなるインク液、及び液組成物には、活性光線硬化型樹脂を含むインク液組成物に記載した酸化防止剤や紫外線吸収剤を適宜用いてもよい。
熱硬化性樹脂への加熱方法は、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、フィルム搬送に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。加熱温度としては、使用する熱硬化性樹脂の種類により一概には規定出来ないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
〈フッ素系樹脂〉
本発明では、皮膜状態で屈折率が1.45以下である活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂を用いることが好ましいが、より好ましい屈折率は1.30〜1.40の範囲である。
(屈折率の測定)
屈折率の測定は、上記樹脂を含有する液組成物を基材フィルムに塗布し、得られた皮膜を屈折率計により測定して求めることができる。
例えば、樹脂を含有する液組成物をマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が0.1W/cm2で、照射量を0.1J/cm2として塗布層を硬化させ、厚さ5μmの皮膜を形成し、アッベの屈折計で屈折率を測定する。
上記活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂の化合物の中でも、分子中に1個以上のフッ素原子及び1個以上のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するフッ素含有アクリル系モノマー、フッ素含有ポリマー、もしくはフッ素含有オリゴマーを含むことが好ましい。
下記一般式(b)もしくは一般式(c)で表される化合物が好ましく用いられる。
上記一般式(b)中、R1は、水素原子、炭素数が1〜3のアルキル基、もしくはハロゲン原子を表す。Rfは、完全もしくは部分フッ素化されたアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環、またはアリール基を表す。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ヘテロ基、アリール基、または上記Rfで定義される基を表す。R1、R2、R3、およびRfは、それぞれフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。また、R2、R3、およびRfに任意の二つ以上の基が互いに結合して環構造を形成してもよい。
また、上記一般式(b)中、Aは、完全もしくは部分フッ素化されたn価の有機基を表す。R4は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはハロゲン原子を表す。R4はフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。nは2〜8の整数を表す。
フッ素原子含有アクリレート化合物の具体例としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−n−ブチル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−n−ペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−n−オクチル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−n−デシル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロ−n−ドデシル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロイソブチル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロイソオクチル(メタ)アクリレート、1H,1H−ペルフルオロイソドデシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−ペルフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ペルフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ペルフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H,1H,11H−ペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロ−n−プロピル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロ−n−ブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロ−n−ヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロ−n−オクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロ−n−デシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロイソブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(ペルフルオロイソオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4−テトラフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,6H−ペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、1H,1H,8H−ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1H,1H,10H−ペルフルオロデシル(メタ)アクリレート、1H,1H,12H−ペルフルオロドデシル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートジフルオロブチレート、ディフェンサ OP(大日本インキ化学工業(株)製)、オプスターJN(JSR(株)製)、オプスターJM(JSR(株)製)、ライトエステルM−3F(共栄社化学(株)製)、ライトエステルFM−108(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。なお、ここで用いられるフッ素原子含有アクリレート化合物は1種類だけを使用してもよいが、必要に応じて2種類以上のフッ素原子含有アクリレート化合物を任意の割合で混合して使用しても構わない。
本発明に用いられる低屈折率層用インク液組成物は全体で20〜100質量%の固形分を含む。より好ましくは25〜85質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。
本発明の低屈折率層用インク液組成物の粘度は、25℃において6.5〜15mP・sである。粘度が6.5mP・s未満の場合は粘度が低過ぎて所望の形状のパターンが得られ難く、15mP・sを超えるとインクの流動性が悪くインクの出射性も低下する。
低屈折率層用インク液組成物の粘度は、用いる樹脂、他の添加剤、溶媒等の種類や固形分の比率によって調整することが可能であり、特に樹脂の種類と量、及び後述する溶媒の種類と量で調整することが好ましい。
インクの粘度の測定は、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることが出来る。粘度計としては、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定出来、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電機社製のVISCO MATE MODEL VM−1G等を挙げることが出来る。
(接触角)
本発明の低屈折率層用インク液と下層である後述する防眩層や他の層との接触角(θ)は、45〜70°であることが本発明の効果を得る上で好ましく、より好ましくは、50〜60°である。75°以上や40°以下では、インク液滴の形状が一定とならないことがある。
低屈折率層用インク液の表面張力を調整するためには、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂、フッ素系オリゴマー、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系シランカップリング剤等の活性剤を0質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。添加量が多すぎると、凸部高さが低くなりすぎたり、撥水撥油効果により低屈折率層が防眩層の凹凸上に塗布できなくなったりする。界面活性剤は、インク組成、溶媒組成、下地基材の表面エネルギーにも依存するため、必ずしも添加されることが必須ではない。以下に本発明に用いられる界面活性剤について説明する。
本発明に用いられるシリコーンオイルは、ケイ素原子に結合した有機基の種類により、ストレートシリコーンオイルと変性シリコーンオイルに大別できる。ストレートシリコーンオイルとは、メチル基、フェニル基、水素原子を置換基として結合したものをいう。変性シリコーンオイルとは、ストレートシリコーンオイルから二次的に誘導された構成部分をもつものである。一方、シリコーンオイルの反応性からも分類することができる。これらをまとめると、以下のようになる。
シリコーンオイル
1.ストレートシリコーンオイル
1−1.非反応性シリコーンオイル:ジメチル、メチルフェニル置換等
1−2.反応性シリコーンオイル:メチル水素置換等
2.変性シリコーンオイル
ジメチルシリコーンオイルに、さまざまな有機基を導入することで生まれたものが、変性シリコーンオイル
2−1.非反応性シリコーンオイル:アルキル、アルキル/アラルキル、アルキル/ポリエーテル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル置換等、
アルキル/アラルキル変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を長鎖アルキル基あるいはフェニルアルキル基に置換えたシリコーンオイル、
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、親水性のポリオキシアルキレンを疎水性のジメチルシリコーンに導入したシリコーン系高分子界面活性剤、
高級脂肪酸変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を高級脂肪酸エステルに置換えたシリコーンオイル、
アミノ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をアミノアルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル、
エポキシ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をエポキシ基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル、
カルボキシル変性あるいはアルコール変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をカルボキシル基あるいは水酸基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル
2−2.反応性シリコーンオイル:アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコール置換等
これらの内、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
具体的な商品としては、日本ユニカー(株)社のL−45、L−9300、FZ−3704、FZ−3703、FZ−3720、FZ−3786、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3785、Y−7499、信越化学社のKF96L、KF96、KF96H、KF99、KF54、KF965、KF968、KF56、KF995、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、FL100等がある。
本発明に用いられるシリコーン界面活性剤は、シリコーンオイルのメチル基の一部を親水性基に置換したものを用いることができる。置換の位置は、シリコーンオイルの側鎖、両末端、片末端、両末端側鎖等がある。親水性基としては、ポリエーテル、ポリグリセリン、ピロリドン、ベタイン、硫酸塩、リン酸塩、4級塩等がある。
非イオン界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない界面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。本発明に用いられる非イオン界面活性剤は疎水基としてジメチルポリシロキサンを有することが好ましい。
疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。他の界面活性剤を用いることでは得られない効果である。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191等が挙げられる。
また、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。主鎖骨格の鎖長が長く、直鎖状の構造であることから、優れている。親水基と疎水基が交互に繰り返したブロックコポリマーであることにより、シリカ微粒子の表面を1つの活性剤分子が、複数の箇所で、これを覆うように吸着することができるためと考えられる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
これらのシリコーンオイルまたはシリコーン界面活性剤の中では、ポリエーテル基を有するものが好ましい。
接触角の測定方法を図5に示す。図示しない注射器状の液滴調整器に測定する水溶液試料を入れる。(a)に示すように、上下左右に位置を変更可能な図示しない試料台に表面を水平に調整した固体試料を載置し、光学鏡でこの固体試料表面を観察する。光学鏡には回転可能な回転クロスが組み込まれている。固体試料の直上に配置された液滴調整器の針先に液滴を作る。
次に、(b)に示すように、固体試料の表面を上昇させ、液滴を固体試料表面に触れさせる。その後、(c)に示すように、元の位置まで固体試料を下降させ、針先より液滴を固定試料表面に移行させ、更に、液滴を回転クロスの中心に合わせる。
そして、(d)に示すように、回転クロスを回転させて液滴と固体試料表面の接線を作り、その角度θを読み取る。このθが接触角である。
この読み取り方法では個人誤差があるので、液滴が円の一部であるという仮定に基づき、(e)〜(g)に示す接触角の読み取り方法が行われる。
まず、(e)に示すように、回転クロスを45°に合わせ、クロスが液滴の両側と左右対称に接するように試料台を調整する。次に、(f)に示すように、試料台を上昇させ、クロスの中心を液滴の頂点に合わせる。そして、(g)に示すように、液滴の頂点と固体試料と液滴の接点を結び、その延長上の角度を測定する。その角度が接触角θの半値θ/2となる。本発明の接触角は、DropMaster(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
(溶媒)
本発明に用いられる低屈折率層用インク液組成物に用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。
本発明に用いられる低屈折率層用インク液組成物においては、上記溶媒の中でも沸点が140〜250℃、25℃での粘度が1〜15mPa・sの溶媒が少なくとも1種類以上、固形分を除く質量の60質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは沸点が180〜230℃、25℃での粘度が1〜10mPa・sの溶媒が少なくとも1種類以上、70質量%以上含まれることが好ましい。この理由は、上記低屈折率層用インク液組成物に含まれる溶媒は、転移印刷、または着弾後に所望のパターン形状が維持される程度に速やかに揮発、乾燥されることが望ましいが、上記範囲を超えると、下地との密着性が劣り、更に形成された低屈折率層で乾燥ムラが発生し易くなるためである。
本発明でいう沸点とは、1気圧、即ち1.013×105N/m2の圧力下での沸点である。沸点の測定は公知の技術を適用できる他、単体の場合には化学便覧等の文献中に記載の値も参照することができる。
上記の沸点、粘度を満たす溶媒の中でも、下記の一般式(3)で表される化合物がより好ましく用いられる。
一般式(3) R1−O−(CxH2x−O)n−R2
R1、R2:水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
n:1〜3の整数
x:2〜4の整数
更に好ましくは、x=2または3、R2がアセチル基である化合物である。
本発明のインクに好ましく用いられる溶媒について、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
更に、上記一般式(3)で表される化合物について、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の他、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:酢酸2−(エトキシエトキシ)エチル)、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート(別名:1,2−ジアセトキシプロパン)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等も、好ましく用いられる。
これらの溶媒の中から沸点、粘度の異なる溶媒を混合してその比率を適宜変更することで、低屈折率層の膜厚を制御することもできる。
各溶媒の粘度は、前述のビスコメイトVM−1G(山一電機(株)製)を用いて測定できる。
低屈折率層用インク液は塗布された後、紫外線や電子線等の活性光線を照射したり、あるいは加熱処理により硬化されるが、前記熱硬化性樹脂または活性光線硬化型樹脂を含むインクを微小液滴として基材に着弾後、該液滴を直ぐに加熱または活性光線を照射して固化することが好ましい。
前記加熱もしくは活性光線の照射を直ぐに行うとは、インクが基材に着弾後、直後〜5分以内に加熱もしくは照射することを言い、低屈折率層の膜厚を均一にし、防眩層の凸部分に形成された低屈折率層の膜厚hd1と凹部分に形成された低屈折率層の膜厚hd2の比率を前記関係式を満たすようにする為には、0.1秒〜1分以内に行うことが好ましく、0.1秒〜30秒以内で行うことがより好ましく、0.1秒〜1秒以内に行うことが特に好ましい。
本発明において、透明基材上に塗布した防眩層が未硬化の状態、あるいは完全に硬化が終了した後のいずれの時期で、インクジェット方式により低屈折率層を形成するインク液滴を着弾させてもよい。
防眩層がハーフキュア(半硬化状態)のときにインク液滴を着弾させて低屈折率層を形成させることは、生産性に優れるだけでなく、防眩層と低屈折率層との密着性を向上することもできる為好ましい。
かくして、本発明に係る低屈折率層は、防眩層の防眩性を発現する微細な凹凸形状を損なわずに表面に凹凸形状を付与することが可能となる。該低屈折率層表面のJIS B 0601で規定される算術平均表面粗さRaは、0.05μm〜1.00μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.10μm〜0.50μmの範囲である。
《防眩層》
本発明に係る防眩層とは、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置等の使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。フィルム表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることができる。
このような凹凸を形成する方法としては、透明基材への加工、透明基材上に設けるハードコート層への加工、反射防止層を塗布した後での反射防止フィルムへの加工等を選択できるが、反射防止フィルムへの加工は、凹凸形状の凸部が反射防止層を突き破るなど、反射防止層を変形させて反射防止効果を損なうことがあるため、本発明では透明基材への加工、ハードコート層への加工が好ましく、本発明ではハードコート層への加工がより好ましい。
本発明で言う凹凸構造としては、直円錐、斜円錐、角錐、斜角錐、楔型、凸多角体、半球状等から選ばれる構造、並びにそれらの部分形状を有する構造が挙げられる。なお、半球状は、必ずしもその表面形状は真球形状である必要はなく、楕円体形状や、より変形した凸曲面形状であってもよい。また、凹凸形状の稜線が線状に伸びた、プリズム形状、レンチキュラーレンズ形状、フレネルレンズ形状も挙げられる。その稜線から谷線にかけての斜面は平面状、曲面状、もしくは両者の複合的形状であってもよい。
ハードコート層もしくは後述する透明基材の表面に凹凸形状を形成する方法として、例えば、下記の方法等が挙げられる。
(1)ロールや原盤に目的とする形状のネガ型を形成しておき、エンボスにて形状を付与する方法。
(2)ロールや原盤に目的とする形状のネガ型を形成しておき、熱硬化性樹脂をネガ型に充填し、加熱硬化後ネガ型から剥離する方法。
(3)ロールや原盤に目的とする形状のネガ型を形成しておき、紫外線または電子線硬化樹脂を塗布し凹部に充填後、樹脂液を介して凹版上に透明支持体を被覆したまま紫外線または電子線を照射し、硬化させた樹脂とそれが接着した透明支持体とをネガ型から剥離する方法。
(4)目的とする形状のネガ型を流延ベルトに形成しておき、キャスティング時に目的とする形状を付与する溶剤キャスト法。
(5)光または加熱により硬化する樹脂を透明基板に凸版印刷し、光または加熱により硬化して凹凸を形成する方法。
(6)透明支持体表面に光または加熱して硬化する樹脂をインクジェット方式により印刷し、光または加熱により硬化して透明支持体表面を凹凸形状にする方法。
(7)表面を工作機械等で切削加工する方法。
(8)球、多角体等各種形状の粒子を、透明支持体表面に半ば埋没する程度に押し込んで一体化し、透明支持体表面を凹凸形状にする方法。
(9)球、多角体等各種形状の微粒子を少量のバインダーに分散したものを透明支持体表面にとして塗布し、透明支持体表面を凹凸形状にする方法。
(10)透明支持体表面に、バインダーを塗布し、その上に球、多角体等各種形状の粒子を散布し、透明支持体表面を凹凸形状にする方法。
本発明では、(6)及び(9)のハードコート層への凹凸形状の作成方法が好ましい。
最初に本発明の反射防止フィルムを構成する防眩層の一例として(9)の凹凸形状の作成方法について説明する。
〈微粒子を用いる防眩層の作成〉
本発明に用いられる防眩層は、ハードコート層に微粒子を含有させることで微細な凹凸形状を形成でき、下記のような平均粒径0.01μm〜4μmの微粒子をハードコート層中に含有させることが好ましい。以下、該防眩層を防眩性ハードコート層とも呼ぶ。
(防眩性ハードコート層に含有される粒子)
防眩性ハードコート層中に含有される粒子としては、例えば、無機または有機の微粒子が用いられる。
無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることが出来る。また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることが出来る。
本発明では特に、酸化ケイ素微粒子またはポリスチレン系樹脂微粒子であることが好ましい。
上記記載の無機または有機の微粒子は、防眩性ハードコート層の作製に用いられる樹脂等を含む塗布組成物に加えて用いることが好ましい。また、これらの微粒子の平均粒径としては、0.01μm〜4μmであることが好ましく、より好ましくは、0.01μm〜3μmである。
本発明に用いられる防眩性ハードコート層に防眩性を付与するためには、無機または有機微粒子の含有量は、防眩性ハードコート層作製用の樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、更に好ましくは、0.1質量部〜20質量部となるように配合することである。より好ましい防眩効果を付与するには、平均粒径0.1μm〜1μmの微粒子を防眩性ハードコート層作製用の樹脂100質量部に対して1質量部〜15質量部を用いるのが好ましい。又、異なる平均粒径の微粒子を2種以上用いることも好ましい。
(防眩性ハードコート層の算術平均表面粗さ(Ra)
本発明に用いられる防眩性ハードコート層はその表面が微細凹凸形状を有するものであるが、前記のように該防眩性ハードコート層上に設けられる反射防止層の最表面の凹凸が、JIS B 0601で規定される算術平均表面粗さ(Ra)を0.05μm〜1.00μmの範囲に入るように上記記載の微粒子を適宜選択して添加し、調整することが好ましい。
(防眩性ハードコート層の微細な凹凸)
本発明に用いられる防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸は、上記記載の微粒子の添加量、粒径、膜厚等を調整することにより、より好ましい凹凸を有する防眩性ハードコート層を得ることが出来る。また、本発明に用いられる防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸は、隣接する凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm2当たり5〜20個有する微細構造として形成されていることが好ましい。
防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸は市販の触針式表面粗さ測定機或いは市販の光学干渉式表面粗さ測定機等によって測定することが出来る。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μm2の範囲(55μm×75μm)について凹凸を2次元的に測定し、凹凸を底部側より等高線のごとく色分けして表示する。
ここで隣接する底部を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部の数をカウントし、100μm2の面積当たりの数で示した。測定は防眩性反射防止フィルム1m2当たり任意の10点を測定してその平均値として求めた。
また、本発明に係る防眩性ハードコート層の表面は、表面の平均水準を基準とした高さが0.2μm以上の凸部を100μm2当たり80個以上有する微細構造を有することが好ましいが、この微細構造についても、上記と同様に光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μm2の範囲(55μm×75μm)について凹凸を2次元的に測定し、平均水準未満の部分、平均水準以上〜高さが0.2μm未満の部分、高さが0.2μm以上の部分の少なくとも3つ以上の領域に色分けして表示し、高さが0.2μm以上の部分で凸となっている部分の数をカウントし、100μm2の面積当たりの数で示すことが出来る。
(防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸の平均山谷間隔)
本発明に用いられる防眩性ハードコート層は、表面の微細な凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmであることが好ましく、更に好ましくは、10μm〜40μmである。
ここで、微細凹凸構造の形状は、触針式表面粗さ測定機などにより測定出来、例えばダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して微細凹凸構造面上を一定方向に3mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることが出きる。或いは前述のごとく光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することが出来る。
ここで、平均山谷間隔とは、前記の表面粗さ曲線における凹凸変化が微小な部分(平坦に近い部分)に基づいて表面粗さ曲線の凹凸変化が凸部として評価出来る基準線を想定し、その基準線からの当該凸部の高さの平均を中心線として、表面粗さ曲線がその中心線を下から上(又は上から下)に通過する際の交点に基づきその交点間の距離の平均として定義することが出来る。
(防眩性ハードコート層の屈折率)
本発明に用いられる防眩性ハードコート層の屈折率は、低反射性フィルムを得るための光学設計上から屈折率が1.5〜2.0、特に1.6〜1.7であることが好ましい。防眩性ハードコート層の屈折率は添加する微粒子または無機マトリックスの屈折率や含有量によって調製することが出来る。
(防眩性ハードコート層の膜厚)
十分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、防眩性ハードコート層の乾燥膜厚は0.5μm〜15μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、3〜10μmであり、より好ましくは5〜10μmである。
(防眩性ハードコート層のヘイズ)
本発明に記載の効果(コントラスト向上)を得る為に、防眩性ハードコート層のヘイズは、5%〜40%であることが好ましく、更に好ましくは、6%〜30%である。
ここで、ヘイズの測定は、ASTM−D1003−52に準じて測定出来る。
本発明に用いられる防眩性ハードコート層のヘイズ値を好ましい範囲に調整する為の手段としては、上記記載の有機微粒子及び/または、無機微粒子を防眩性ハードコート層中に含有させることが好ましいが、中でも、二酸化ケイ素が均一に分散しやすい為好ましく用いられる。また、二酸化ケイ素のような微粒子を有機物により表面処理したものも好ましく用いられる。
防眩性ハードコート層は、前記低屈折率層で用いる紫外線等活性光線硬化型樹脂、または熱硬化性樹脂をバインダーとして含有することが好ましい。
また、同様に光重合開始剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等を含有することも好ましい。
防眩性ハードコート層を塗設する際の溶媒は、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、または混合して使用出来る。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、更に好ましくは5質量%〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
防眩性ハードコート層塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押出コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることが出来る。
塗布量はウェット膜厚で5μm〜30μmが適当で、好ましくは10μm〜20μmである。塗布速度は10m/分〜60m/分が好ましい。
防眩性ハードコート層組成物は塗布乾燥された後、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射され硬化処理されることが好ましいが、前記活性エネルギー線の照射時間は0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、1秒〜2分である。
〈インクジェット方式を用いる防眩層の作成〉
本発明では、透明基材上にインクジェット方式により凹凸部を形成し防眩層とすることが好ましい。更に、予め透明基材もしくは他の硬化樹脂層上にインクジェット方式により凸部を形成した後、該凸部を透明樹脂でオーバーコートする防眩層の形成の方がより高い防眩性を実現でき好ましい。
従って、本発明に用いられる防眩層は、透明基材上にインクジェット方式により微細な凸部を形成し、該凸部の径は15〜40μm、凸部の高さは2〜10μmの凸部であり、更に該凸部を被覆するように透明樹脂層が形成されることが好ましい。該防眩層の算術平均表面粗さRaは、前記のように0.05μm〜1.00μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.10μm〜0.50μmの範囲である。
該凸部の形成は下記パターン作製方法を用いたインクジェット方式により形成されることが好ましい。次いで、該凸部を活性光線もしくは加熱により硬化した後、その上に、マイクログラビア法、押出し塗布法、ワイヤーバー法、スプレーコート法、フレキソ印刷法、インクジェット方式等の薄膜均一塗布法により、透明樹脂層を均一塗布することで作製される。
図6は、本発明の凸部の形成と透明樹脂層による被覆を模式的に表した図である。
図7は、本発明に好ましい微細凹凸構造の模式図である。
(a)は透明基材フィルム上に形成された凸部を透明樹脂層により被覆した断面図であり、(b)は透明基材フィルム上に後述する硬化樹脂層を設け、更に凸部、透明樹脂層を配した断面図である。
防眩層の凸部を形成する為のインクジェット方式に用いられる装置は、前記低屈折率層の項で説明したものが好ましく用いられる。
本発明において、微細な凹凸構造を形成するため、インク液滴としては0.1〜20plが好ましく、0.5〜10plがより好ましく、0.5〜5plが特に好ましい。また、異なるインクジェットヘッド部からそれぞれ異なる液滴量のインクを吐出してもよく、同じインクジェットヘッド部から液滴量を変えてインクを吐出してもよく、この時の吐出間隔も一定間隔でもランダムであってもよい。
凸部は、凸部長径が15〜40μm、さらに好ましくは15〜30μmであり、凸部の高さが2〜10μm、さらに好ましくは、2〜8μmの一定のサイズと高さを有していることが好ましく、凸部の配置は、FMスクリーニング等の方法により、ランダム配置とされることが好ましい。ここで凸部径とは、凸部が円形の場合は直径を、三角形、四角形、多角形、不定形の場合は同一面積に換算した直径を表す。凸部の高さとは、基材フィルム面からドットの最も高い部分の高さの差をいう。
FMスクリーニング法とはドットとドットの間隔すなわち周期性(frequency)を変調する(modulate)すること、基本ドットを打つ頻度(ドットの密度)で濃淡を表現する方法である。FMスクリーニング法は、ランダム・スクリーニング法またストカスティック・スクリニーング法と呼ばれることもある。FMスクリーニング法とは、ドットとドットの間隔すなわち周期性を変調する方法を指す。具体的には、クリスタル・ラスター・スクリーニング法(アグファ・ゲバルト社)、ダイヤモンド・スクリーン法(ライノタイプ・ヘル社)、クラス・スクリーニング法およびフルトーン・スクリーニング法(サイテックス社)、ベルベット・スクリーニング法(ウグラ・コーハン社)、アキュトーン・スクリーニング法(ダネリー社)、メガドット・スクリーニング法(アメリカン・カラー社)、クリア・スクリーニング法(シーカラー社)、モネット・スクリーニング法(バルコ社)等が知られている。これら方法はいずれもドット発生のアルゴリズムは異なっているが、ドット密度の変化により濃淡を表現する方法であり、FMスクリーニング法の種々の態様であるということができる。
FMスクリーニングでは、インクが乗るドットのサイズは一定とし、画像の濃度に応じてドットの出現頻度が変化する。FMスクリーニングにおける各ドットのサイズはいわゆる網点に比べて小さいので、必要とするパターンを高分解能で再現することが可能である。FMスクリーニングにおけるドットは、いわゆる網点とは異なり、ドットの配列が周期的ではない。FMスクリーニングでは、ドットの配列が周期的でないので、モアレは生じないという特徴を持っている。
防眩層の形成に用いられる凸部形成用インク液及び透明樹脂層の液組成物については、低屈折率層の項で説明した活性光線硬化型樹脂、または熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、同様に光重合開始剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等を含有することが好ましい。
インク液、及び透明樹脂層の液組成物中の活性光線硬化型樹脂の固形分濃度は10〜95質量%であることが好ましく、塗布方法等により最適な濃度が選ばれる。
インクジェット方式による防眩層の乾燥膜厚は、透明基材から防眩層の最大高さの平均値を言うが、3〜15μmが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。3μm未満では防眩性が不十分になったり、場合によっては満足な硬度が得られなかったりする。また、15μmを越えると膜物性のうち屈曲耐性が著しく劣化し、防眩層形成後の搬送や切断等の取り扱い時に微小な折れが発生し易くなり生産性が低下する。乾燥膜厚は常法により、マイクロメーターによる測定や、フィルム切片の顕微鏡観察分析等により測定することができる。
乾燥膜厚は、例えば、本発明の透明樹脂層が活性光線硬化樹脂または熱硬化性樹脂からなる場合、樹脂の固形分量と樹脂の溶媒との比率を調整することで所望の乾燥膜厚を得ることができる。
凸部を形成するインク液滴の粘度は、25℃において2〜15mP・sであることが好ましく、更に好ましくは5〜10mP・sである。粘度が2mP・s未満の場合は粘度が低過ぎて所望の形状のパターンが得られなくなり、15mP・sを超えるとインクの流動性が悪くインクの出射性も低下する為好ましくない。インク液には低屈折率層の項で説明した溶媒が好ましく用いられる。
本発明の透明樹脂層で用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸セルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等を挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することが出来る。また、分子内にエーテル結合をもつものが特に好ましく、グリコールエーテル類も好ましく用いられる。
グリコールエーテル類としては、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されない。プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルAc、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルAc、エチレングリコールジエチルエーテル等を挙げることが出来る、尚Acはアセテートを表す。
本発明の透明樹脂層は、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂、フッ素系オリゴマー、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系シランカップリング剤等の活性剤を0.1質量%以上5質量%以下含有することが好ましい。
本発明では、凸部、透明樹脂層共にSnO2、ITO、ZnO等の導電性微粒子や架橋カチオンポリマー粒子等の帯電防止剤を含有させることができる。本発明では、帯電防止剤を透明樹脂層に添加することが好ましい。
本発明では、凸部、透明樹脂層共に微粒子を含有させることもでき、例えば、無機微粒子または有機微粒子を添加することができる。
無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。これらは球状、平板状、無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることができる。
上記微粒子を含有する場合、その平均粒径は、5〜300nmが好ましく、更に好ましくは20〜100nmである。粒径や屈折率の異なる2種以上の微粒子を含有させてもよい。また、含有量は凸部若しくは透明樹脂層に対し5〜50質量%であることが好ましい。
凸部もしくは透明樹脂層が活性光線硬化型樹脂を含む場合、活性光線の照射方法としては、インクを透明基体上に着弾させ、溶媒等を蒸発させた後、活性光線を照射することが好ましい。照射のタイミングは形成するパターン形状を考慮して決定することが出来、例えば、インクが無溶媒の場合は、着弾後〜2min以内に照射すること、またインクが溶媒を含む場合はインク中の溶媒が揮発し終った直後〜2min以内に照射することが好ましい。
使用することができる活性光線としては、前記した光源を用いることができる。
本発明の防眩層においては、透明基材上に直接インクジェット方式により凸部を形成することができるが、より好ましくは1層以上の硬化性樹脂層、あるいは塗布方式で形成した平滑型の光拡散層を形成した後、その硬化性樹脂層、または平滑型の光拡散層表面上に凸部を形成することが好ましい。これらの層の乾燥膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。
硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層には、凸部形成用インク組成物及び透明樹脂層で用いたのと同様の活性線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂を好ましく用いることができるが、特に紫外線硬化樹脂が好ましい。また、硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層の形成に際しては、上記各樹脂の他に、凸部形成用インク組成物で記載したのと同様な光重合開始剤、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機微粒子、有機微粒子等を適宜添加することができる。
また、本発明においては、硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層は、複数層で構成されてもよいが、インク液滴を着弾させる硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層の最表層が、可塑剤を含有していることが好ましい。
可塑剤は、0.1〜10質量%を含有することが好ましい。例えば、前記硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層の塗布組成物にあらかじめ可塑剤を添加することが好ましく、あるいは硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層の塗設前に、あらかじめ基材表面に可塑剤を塗布もしくは付着させておくこともできる。これらによって、硬化後のインク滴の密着性が改善される。
硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層で用いることのできる可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。また、トリメチロールプロパントリベンゾエート等も好ましく用いることができる。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
特に、特開2002−146044号公報記載のエポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等の添加物を有するセルロースエステルも好ましく用いられる。
上記化合物としては、KE−604とKE−610は荒川化学工業(株)からそれぞれ酸価237と170で市販されている。同じく、荒川化学工業(株)からアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物のエステル化物として、KE−100及びKE−356が、それぞれの酸価は8と0で市販されている。また、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物は、播磨化成(株)からそれぞれの酸価167、168のG−7及びハートールR−Xで市販されている。
また、エポキシ樹脂としては、アラルダイドEPN1179及びアラルダイドAER260は旭チバ(株)から市販されている。
ケトン樹脂としては、ハイラック110及びハイラック110Hは日立化成(株)から市販されている。
パラトルエンスルホンアミド樹脂としては、トップラーとして、フジアミドケミカル(株)から市販されている。
本発明に用いられる硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層を塗設する際の溶媒は、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、または混合して使用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5質量%〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
上記説明した組成からなる硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層組成物塗布液を透明基材上に塗布する方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押出コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布量はウェット膜厚で5μm〜30μmが適当で、好ましくは10μm〜20μmである。塗布速度は10m/分〜60m/分が好ましい。また、乾燥膜厚としては、0.1〜10μmが好ましい。
硬化性樹脂層組成物、あるいは平滑型の光拡散層は塗布乾燥された後、インクの硬化と同様の方法で、紫外線や電子線等の活性光線を照射したり、あるいは加熱処理により硬化されることが好ましいが、前記活性光線の照射時間は0.1秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、0.1〜10秒である。
本発明においては、上記方法で透明基材上に塗布した硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層が未硬化の状態、あるいは完全に硬化が終了した後のいずれの時期で、インクジェット方式により、凸部を形成するインク液滴を着弾させ、引き続き透明樹脂層で被覆してもよいが、好ましくは硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層が硬化した後に、インクジェット方式によりインク液滴を着弾させて凸部を形成することが好ましい。硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層がハーフキュア(半硬化状態)のときにインク液滴を着弾させて凸部を形成させ、引き続き透明樹脂層で被覆することが、微細な凹凸が形成しやすく、かつ生産性にも優れるため好ましく、更に、凸部や透明樹脂層と硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層表面との密着性を向上することができる。
本発明において、凸部を形成後、表面をプラズマ処理した後、該凸部を被覆するように透明樹脂層を形成することが好ましいが、プラズマ処理は、特に、大気プラズマ処理を施すことが好ましく、ヘリウム、アルゴン等の希ガスもしくは窒素、空気などの放電ガスと必要に応じて、酸素、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、水蒸気、メタン、4フッ化メタンなどを1種以上含有する反応ガスを用いることができる。特開2000−356714号公報には、具体的なプラズマ処理方法を参考にして、硬化樹脂層表面にプラズマ処理を施すことができる。
図8は、透明基材上にインクジェット方式により凸部を形成したのち該凸部を被覆するように透明樹脂層を形成した防眩性フィルムを製造するフローの一例を示す模式図である。詳しくは、透明基材上に硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層を塗布方式で塗設した後、インクジェット方式で凸部を形成したのち該凸部を被覆するように透明樹脂層を形成した防眩層に、次いで低屈折率層をインクジェット方式で設けて防眩性反射防止フィルムを製造するフローの一例を示してある。
図8において、積層ロール101より繰り出された透明基材102は、搬送されて、第1コータステーションAで、押し出し方式の第1コータ103により硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層を塗設する。このとき、硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層は単層構成でも、それぞれを組み合わせた複数層から構成されている層でもよい。硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層を塗設した透明基材102は、次いで乾燥ゾーン105Aで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材102の両面より、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。乾燥後、硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層にバインダーとして活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、活性光線照射部106Aで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させたり、照射量や照射条件を制御してハーフキュア状態とすることもでき、あるいは硬化せずに直接インクジェット出射部109へと搬送することもできる。
次いで、インクジェット方式を用いて凸部を設ける第2コータステーションBに搬送されるが、硬化性樹脂層は、ハーフキュア状態であることが好ましい。あるいは、凸部を形成する前にプラズマ処理部107で表面処理を施してもよい。インクジェット出射部109には、インク供給タンク108が接続されており、そこからインク液が供給される。インクジェット出射部109は、図3の(b)で示すような複数のインクジェットノズルを透明基材の幅全域に千鳥状、好ましくは多段に配置し、インク液滴を硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層上に出射して、その表面に凸部を形成する。また、2種以上のインク液滴を出射する場合には、2列以上配置したインクジェットノズルより、各々のインク液滴を出射してもよいし、あるいはランダムに任意のインクジェットノズルよりインク液滴を出射してもよい。また、インクジェット出射部を複数配置し、各々のインク出射部より異なるインク液滴を出射してもよい。本発明においては、0.1〜100pl、場合によっては0.1〜10plという微細な液滴を出射するため、インク液滴の飛翔性に対し、外気の気流の影響を受けやすくなるため、第2コータステーションB及び第4コータステーションD全体を、隔壁等で覆って防風処理を施すことが好ましい。また、1pl以下の極めて微細な液滴を精度高く飛翔させるため、インクジェット出射部109と透明基材102あるいはバックロール104B、104D間に電圧を印加し、インク液滴に電荷を与えて電気的にインク液滴の飛翔安定性を補助する方法も好ましい。また、着弾したインク液滴の変形を防止するため、透明基材を冷却して着弾後のインク液滴の流動を速やかに低下させる方法を用いることも好ましい。あるいは、インク液滴が出射後、着弾するまでの飛翔中に含有する溶媒を揮発させて、インク液滴中の含有溶媒量が減少した状態で着弾させることが、より微細な凸部を形成する上で好ましい。そのため、インク飛翔空間の温度を高くしたり、あるいは気圧を、1気圧以下、例えば20〜100kPaに制御したりする方法も好ましい。また、インク飛翔空間の雰囲気溶媒濃度を下げることも好ましく、飽和濃度の50%以下、より好ましくは1〜30%である。
硬化性樹脂層あるいは平滑型の光拡散層表面に着弾したインク液滴は、活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、インクジェット出射部109の直後に配置されている活性光線照射部106Bで、活性光線、例えば、紫外線等を照射して硬化させる。また、インク液滴が熱硬化性樹脂を用いている場合には、加熱部110、例えば、ヒートプレートにより加熱、硬化される。また、バックロール104Bをヒートロールとして加熱する方法も好ましい。
第2コータステーションBにおいて、活性光線照射部106Bの照射光が、インクジェット出射部109のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、活性光線照射部106Bとインクジェット出射部109とを適度な間隔で配置する、あるいは活性光線照射部106Bとインクジェット出射部109とを間に、遮光壁等を設置することが好ましい。また、加熱部110の熱が、インクジェット出射部109のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、インクジェット出射部109を保温カバーで被覆する、あるいは図8で示すように、加熱部110を透明基材102の裏面側に配置し、インクジェット出射部109に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
着弾したインク液滴により形成された凸部が維持できる程度に硬化処理を行った透明基材102は、乾燥ゾーン105Bで不要な有機溶媒等を蒸発させた後、更に、活性光線照射部106Cで、活性光線を照射して、硬化を完了しても、ハーフキュア状態であっても良いがハーフキュア状態である方が好ましい。
凸部を設けた透明基材102は、次いで凸部を被覆する透明樹脂層が塗設される第3コータステーションCに搬送されるが、凸部を透明樹脂層で被覆する前にプラズマ処理部107で表面処理を施すことが好ましい。
透明樹脂層を塗設した透明基材102は、次いで乾燥ゾーン105Cで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材102の両面より、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。更に、活性光線照射部106Dで、活性光線を照射して、硬化を完了させる。
凸部を有する防眩層を設けた透明基材102は、次いで第4コータステーションDにおいてインクジェット出射部109により低屈折率層を塗設し、活性光線照射部106E及び乾燥ゾーン105Dで硬化する。低屈折率層の塗設前に、前記透明樹脂層の表面をプラズマ処理部107で表面処理を施すことも好ましい。
更に複数の反射防止層や防汚層を設ける場合には必要なコータステーションを設置すればよく(不図示)、第1コータステーションAと同様にして、塗布、乾燥、硬化処理を行って防眩性反射防止フィルムが作製され、その後巻き取りロール113で巻き取られる。尚、透明基材102は、各コータステーションで塗布、乾燥、硬化処理後、適宜に巻き取りロールで巻き取られてもよい。
《透明基材》
本発明に用いられる透明基材としては、製造が容易であること、活性光線硬化型樹脂層との密着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましく、透明フィルムであることが好ましい。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルムが好ましい。
また本発明で好ましく用いられるノルボルネン系樹脂フィルムとは、ノルボルネン構造を有する非晶性ポリオレフィンフィルムで、例えば三井石油化学(株)製のAPOや日本ゼオン(株)製のゼオネックス、JSR(株)製のARTON等がある。
本発明においては、中でも特にセルロースエステル系フィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。市販のセルロースエステルフィルムとしては、例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4FR(コニカミノルタオプト(株)製)等が、製造上、コスト面、透明性、密着性等の観点から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
また、エンボス加工等により表面に凹凸形状が形成されている透明基材フィルムであってもよい。
《反射防止フィルムの作製》
本発明において、基材フィルム上に防眩層を形成し、高屈折率層組成物、低屈折率層組成物を用いて順次コーティングする工程により反射防止層を製造することが好ましい。また、防汚層、バックコート層をコーティングすることも好ましい。
好ましい防眩性を有する反射防止フィルムの構成を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
透明基材/防眩層/低屈折率層
透明基材/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
透明基材/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
透明基材/帯電防止層/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
透明基材/防眩層/低屈折率層/防汚層
透明基材/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
透明基材/帯電防止層/防眩層/低屈折率層/防汚層
透明基材/帯電防止層/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
バックコート層/透明基材/防眩層/低屈折率層
バックコート層/透明基材/防眩層/低屈折率層/防汚層
バックコート層/透明基材/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
〈高屈折率層〉
本発明では、反射防止性を更に高める為に、前記低屈折率層の下層に下記高屈折率層を複数層設けることができる。
本発明に好ましい高屈折率層は、平均粒子径が10〜200nmである金属酸化物微粒子、金属化合物、活性光線硬化型樹脂を含有することが好ましい。
(金属酸化物微粒子)
本発明の高屈折率層には金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることが出来、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。本発明においては、中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが好ましく、特に好ましくは酸化インジウム−スズ(ITO)である。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測してもよいし、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、支持体である透明基材の屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.50〜1.90の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑える事もできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
前記金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層の厚さは5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。
使用する金属酸化物微粒子と後述する活性光線硬化型樹脂等のバインダーとの比は、金属酸化物微粒子の種類、粒子サイズなどにより異なるが体積比で前者1に対して後者2から前者2に対して後者1程度が好ましい。
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の使用量は高屈折率層中に5質量%〜85質量%が好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20〜75質量%が最も好ましい。使用量が少ないと所望の屈折率や本発明の効果が得られず、多過ぎると膜強度の劣化などが発生する。
上記金属酸化物微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明では、更にコア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性を更に向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
コアは酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型等)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ等を用いることができるが、ルチル型の酸化チタンを主成分としてもよい。
シェルは酸化チタン以外の無機化合物を主成分とし、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、硫化亜鉛等を主成分とした無機化合物が用いられる。この内アルミナ、シリカ、ジルコニア(酸化ジルコニウム)であることが好ましい。また、これらの混合物でもよい。
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2〜50質量%である。好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは4〜25質量%である。シェルの被覆量が多いと微粒子の屈折率が低下し、被覆量が少な過ぎると耐光性が劣化する。二種以上の金属酸化物微粒子を併用してもよい。
コアとなる酸化チタンは、液相法または気相法で作製されたものを使用できる。また、シェルをコアの周りに形成させる手法としては、例えば、米国特許第3,410,708号、特公昭58−47061号、米国特許第2,885,366号、同第3,437,502号、英国特許第1,134,249号、米国特許第3,383,231号、英国特許第2,629,953号、同第1,365,999号に記載されている方法等を用いることができる。
(金属化合物)
本発明に用いられる金属化合物は下記一般式(4)で表される化合物またはそのキレート化合物を用いることができる。
一般式(4) AnMBx−n
式中、Mは金属原子、Aは加水分解可能な官能基または加水分解可能な官能基を有する炭化水素基、Bは金属原子Mに共有結合またはイオン結合した原子団を表す。xは金属原子Mの原子価、nは2以上でx以下の整数を表す。
加水分解可能な官能基Aとしては、例えば、アルコキシル基、クロル原子等のハロゲン、エステル基、アミド基等が挙げられる。上記式(4)に属する金属化合物には、金属原子に直接結合したアルコキシル基を2個以上有するアルコキシド、または、そのキレート化合物が含まれる。好ましい金属化合物としては、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドまたはそれらのキレート化合物を挙げることができる。チタンアルコキシドは反応速度が速くて屈折率が高く、取り扱いも容易であるが、光触媒作用があるため大量に添加すると耐光性が劣化する。ジルコニウムアルコキシドは屈折率が高いが白濁し易いため、塗布する際の露点管理等に注意しなければならない。また、チタンアルコキシドは紫外線硬化樹脂、金属アルコキシドの反応を促進する効果があるため、少量添加するだけでも塗膜の物理的特性を向上させることができる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
遊離の金属化合物に配位させてキレート化合物を形成するのに好ましいキレート化剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等であって分子量1万以下のものを挙げることができる。これらのキレート化剤を用いることにより、水分の混入等に対しても安定で、塗膜の補強効果にも優れるキレート化合物を形成できる。
金属化合物の添加量は、高屈折率層に含まれる該金属化合物由来の金属酸化物の含有量が0.3〜5質量%であるように調整することが好ましい。0.3質量%未満では耐擦傷性が不足し、5質量%を超えると耐光性が劣化する傾向がある。
(活性光線硬化型樹脂)
活性光線硬化型樹脂は金属酸化物微粒子のバインダーとして塗膜の成膜性や物理的特性の向上のために添加される。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線や電子線のような活性光線の照射により直接、または光重合開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じる官能基を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。官能基としては(メタ)アクリロイルオキシ基等のような不飽和二重結合を有する基、エポキシ基、シラノール基等が挙げられる。中でも不飽和二重結合を2個以上有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを好ましく用いることができる。必要に応じて光重合開始剤を組み合わせてもよい。このような活性光線硬化型樹脂としては、例えば多官能アクリレート化合物等が挙げられ、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。ここで、多官能アクリレート化合物とは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレート化合物のモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
活性光線硬化型樹脂の添加量は、高屈折率組成物では固形分中の50質量%未満であることが好ましい。
本発明に係る活性光線硬化型樹脂の硬化促進のために、光重合開始剤と分子中に重合可能な不飽和結合を2個以上有するアクリル系化合物とを質量比で3:7〜1:9含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。
(溶媒)
本発明に用いられる高屈折率層をコーティングする際に用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。
〈防汚層〉
本発明の防眩性を有する反射防止フィルムは、最表層に防汚層が設けられていることが好ましい。
本発明に好ましい防汚層は、フッ素含有シラン化合物を防汚層形成用組成物に含有することが好ましく、フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物溶液をコーティングして作製する。特に、フッ素含有シラン化合物がシラザンもしくはアルコキシシランであることが好ましい。
また、前記フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物のなかでも、シラン化合物中のフルオロアルキル基が、Si原子1つに対し、1つ以下の割合でSi原子と結合されており、残りは加水分解性基もしくはシロキサン結合基であるシラン化合物が好ましい。
ここでいう加水分解性の基としては、例えばアルコキシ基等の基であり、加水分解によりヒドロキシル基となり、それにより前記シラン化合物は重縮合物を形成する。
例えば、上記シラン化合物は水と(必要なら酸触媒の存在下)、副生するアルコールを留去しながら、通常、室温〜100℃の範囲で反応させる。これによりアルコキシシランは(部分的に)加水分解し、一部縮合反応が起こり、ヒドロキシル基を有する加水分解物として得ることができる。加水分解、縮合の程度は、反応させる水の量により適宜調節することができるが、本発明においては、防汚処理に用いるシラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせるため溶液の固形分濃度を薄く希釈して用いることが好ましい。
好ましくは、防汚層形成用組成物において、前記フルオロアルキル基を有するシラン化合物は下記一般式(5)で表され、かつ該シラン化合物の濃度を0.01〜5質量%に希釈した溶液として用いて、防汚処理することである。
一般式(5) CF3(CF2)m(CH2)n−Si−(ORa)3
ここにおいて、mは1〜10の整数。nは0〜10の整数。Raは同一もしくは異なるアルキル基を表す。
前記一般式(5)で表される化合物中、Raは炭素原子数3つ以下であり炭素と水素のみからなるアルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル等の基が好ましい。
これら本発明において好ましく用いられるフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物としては、CF3(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CH2)2Si(OC3H7)3、CF3(CH2)2Si(OC4H9)3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC3H7)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OC3H7)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)(OC3H7)2、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)2OC3H7、CF3(CF2)7(CH2)2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)7(CH2)2SiCH3(OC2H5)2、CF3(CF2)7(CH2)2SiCH3(OC3H7)2、(CF3)2CF(CF2)8(CH2)2Si(OCH3)3、C7F15CONH(CH2)3Si(OC2H5)3、C8F17SO2NH(CH2)3Si(OC2H5)3、C8F17(CH2)2OCONH(CH2)3Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)(OC2H5)2、CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)(OC3H7)2、CF3(CF2)7(CH2)2Si(C2H5)(OCH3)2、CF3(CF2)7(CH2)2Si(C2H5)(OC3H7)2、CF3(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CH2)2Si(CH3)(OC2H5)2、CF3(CH2)2Si(CH3)(OC3H7)2、CF3(CF2)5(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CF2)5(CH2)2Si(CH3)(OC3H7)2、CF3(CF2)2O(CF2)3(CH2)2Si(OC3H7)、C7F15CH2O(CH2)3Si(OC2H5)3、C8F17SO2O(CH2)3Si(OC2H5)3、C8F17(CH2)2OCHO(CH2)3Si(OCH3)3などが挙げられるが、この限りでない。
上記フッ素系シラン化合物としては、例えば信越化学工業株式会社製KP801M、X−24−9146、ジーイー東芝シリコーン株式会社XC98−A5382、XC98−B2472、ダイキン工業(株)オプツールDSX、株式会社フロロテクノロジー製FG5010などが挙げられ、表面処理のための化合物としては、パーフルオロアルキルシラザン、パーフルオロアルキルシラン、もしくはパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、特にパーフルオロアルキルトリアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルトリアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルジトリアルコキシシランが挙げられる。
これらのシラン化合物を用いる際には、フッ素を含まない有機溶媒で0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜5質量%、更に好ましくは0.05〜2質量%に希釈された状態で用いることが好ましい。
本発明において、前記シラン化合物溶液を調製するためにフッ素を含まない有機溶媒が好ましく用いられるが、以下のものが挙げられる。
本発明に用いられる防汚層用の塗布組成物の溶媒としては、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルとしては具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなど。又、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルとしては特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルなど、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酪酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドその他の溶媒などが挙げられる。或いは、これらの溶媒が、適宜混合されて用いられる。混合される溶媒としては、特にこれらに限定されるものではない。
特に好ましい溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種類以上の有機溶媒である。
これらの溶媒中には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのような常圧における沸点が100℃未満のもの(低沸点溶媒)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブチルアルコールのような沸点が100℃以上のもの(高沸点溶媒)を併用することが好ましく、特に沸点が60〜98℃のものと、100〜160℃のものを併用することが好ましい。併用する場合の低沸点溶媒と高沸点溶媒の比率は、低沸点溶媒は組成物中、98.0質量%以上であり、高沸点溶媒が0.5〜2質量%であることが好ましい。
本発明に用いられる防汚層形成用組成物においては、酸を添加してpHを5.0以下に調整し用いることが好ましい。酸は前記シラン化合物の加水分解を促し、重縮合反応の触媒として作用するので、基材表面にシラン化合物の重縮合膜の形成を容易にし、防汚性を高めることができる。pHは1.5〜5.0の範囲が良く、1.5以下では溶液の酸性が強過ぎて、容器や配管をいためる恐れがあり、5以上では反応が進行しにくい。好ましくはpH2.0〜4.0の範囲である。
本発明においては、防汚処理に用いるシラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせることが好ましい。その為に溶液の固形分濃度を希釈したところで用いる。処理液に水を添加し過ぎると、その分ポットライフが短くなる。
本発明においては硫酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、ホウ酸、フッ酸、好ましくは塩酸、硝酸等の無機酸のほか、スルホ基(スルホン酸基ともいう)またはカルボキシル基を有する有機酸、例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メチルスルホン酸等が用いられる。有機酸は1分子内に水酸基とカルボキシル基を有する化合物であればいっそう好ましく、例えば、クエン酸または酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸が用いられる。また、有機酸は水溶性の酸であることが更に好ましく、例えば上記クエン酸や酒石酸の他に、レブリン酸、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルコハク酸、フマル酸、オキサロ酢酸、ピルビン酸、2−オキソグルタル酸、グリコール酸、D−グリセリン酸、D−グルコン酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、イソクエン酸、乳酸等が好ましく用いられる。また、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アトロバ酸等も適宜用いることができる。
添加量は、前記シラン化合物の部分加水分解物100質量部に対して0.1質量部〜10質量部、好ましくは0.2質量部〜5質量部がよい。また、水の添加量については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上であればよく、100%〜300%相当量、好ましくは100%〜200%相当量を添加するのがよい。
フッ素含有のシラン化合物を用いることによって、防汚層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましいのみでなく、耐傷性が高く、またフィルム同士のブロッキングに特に優れるという効果がある。
〈バックコート層〉
本発明の反射防止フィルムでは、透明基材となるセルロースエステルフィルムの活性エネルギー線硬化樹脂層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、活性エネルギー線硬化樹脂層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる反射防止フィルムは、活性エネルギー線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノールまたは炭化水素類(トルエン、キシレン)等がある。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
バックコート層を塗設する順番はセルロースエステルフィルムの活性エネルギー線硬化樹脂層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。または2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。
前記低屈折率層で説明したビックケミージャパン社製の界面活性剤BYKシリーズ、GE東芝シリコーン社製のジメチルシリコーンシリーズは、低屈折率層以外の反射防止層にも好ましく用いることができる。
〈表面処理〉
上記本発明に係る防眩層を形成した後該防眩層の表面に表面処理行い、該表面処理を行った防眩層表面に反射防止層(低屈折率層や高屈折率層)を形成することが好ましい。また、防汚層を設ける前に低屈折率層に表面処理を行うことも好ましい。
表面処理は、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられ、好ましくはアルカリ処理法、コロナ処理法であり、特に好ましくはアルカリ処理法を用いることができる。コロナ処理とは、大気圧下、電極間に1kV以上の高電圧を印加し、放電することで行う処理のことであり、春日電機(株)や(株)トーヨー電機などで市販されている装置を用いて行うことができる。コロナ放電処理の強度は、電極間距離、単位面積当たりの出力、ジェネレーターの周波数に依存する。コロナ処理装置の一方の電極(A電極)は、市販のものを用いることができるが、材質はアルミニウム、ステンレスなどから選択ができる。もう一方はプラスチックフィルムを抱かせるための電極(B電極)であり、コロナ処理が、安定かつ均一に実施されるように、前記A電極に対して一定の距離に設置されるロール電極である。これも通常市販されているものを用いることが出来、材質は、アルミニウム、ステンレス、及びそれらの金属で出来たロールに、セラミックス、シリコン、EPTゴム、ハイパロンゴムなどがライニングされているロールが好ましく用いられる。本発明に用いられるコロナ処理に用いる周波数は、20kHz以上100kHz以下の周波数であり、30kHz〜60kHzの周波数が好ましい。周波数が低下するとコロナ処理の均一性が劣化し、コロナ処理のムラが発生する。また、周波数が大きくなると、高出力のコロナ処理を行う場合には、特に問題ないが、低出力のコロナ処理を実施する場合には、安定した処理を行うことが難しくなり、結果として、処理ムラが発生する。コロナ処理の出力は、1〜5w・min./m2であるが、2〜4w・min./m2の出力が好ましい。電極とフィルムとの距離は、5mm以上50mm以下であるが、好ましくは、10mm以上35mm以下である。間隙が開いてくると、一定の出力を維持するためにより高電圧が必要になり、ムラが発生し易くなる。また、間隙が狭くなり過ぎると、印加する電圧が低くなり過ぎ、ムラが発生し易くなる。更にまた、フィルムを搬送して連続処理する際に電極にフィルムが接触し傷が発生する。
アルカリ処理方法としては、ハードコート層を塗設したフィルムをアルカリ水溶液に浸す方法であれば特に限定されない。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が使用可能であり、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度、例えば水酸化ナトリウム濃度は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
アルカリ処理温度は通常10〜80℃、好ましく20〜60℃である。
アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。アルカリ処理後のフィルムは酸性水で中和した後、十分に水洗いを行うことが好ましい。
本発明においては、防眩層を形成した後表面をプラズマ処理し反射防止層(低屈折率層や高屈折率層)を形成することが好ましいが、プラズマ処理は、特に、大気プラズマ処理を施すことが好ましく、ヘリウム、アルゴン等の希ガスもしくは窒素、空気などの放電ガスと必要に応じて、酸素、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、水蒸気、メタン、4フッ化メタンなどを1種以上含有する反応ガスを用いることができる。特開2000−356714号公報には、具体的なプラズマ処理方法を参考にして、硬化樹脂層表面にプラズマ処理を施すことができる。
高屈折率層、バックコート層や防汚層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法を用いて、塗布により形成することができる。塗布に際しては、基材フィルムが、幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、上記塗布を行い、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。
更に、本発明の反射防止フィルムは、ロール状に巻き取った状態で50〜150℃、1〜30日の範囲で加熱処理を行う製造方法によって製造することができる。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば、50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、150℃であれば1〜3日の範囲が好ましい。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましく、50〜80℃付近で3〜7日間程度行うことが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
上記反射防止フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであっても良く、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。またガラス繊維などの充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
このようにして長巻の基材フィルム上に機能性薄膜がコーティングされ、プラスチックコアに巻き取られたロールを、巻き取った状態で前記加熱処理を行うとき、該ロールを回転させることが好ましく、回転は、1分間に1回転以下の速度が好まく、連続でも良く断続的な回転であっても良い。又、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行うことが好ましい。
《偏光板》
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の防眩性反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には該フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4FR、以上コニカミノルタオプト(株)製)も好ましく用いられる。本発明の防眩性反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、30〜300nm、Rtが70〜400nmの位相差を有していることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957、特願2002−155395記載の方法で作製することができる。或いは更にディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することができる。本発明の防眩性を有する反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
また、反射防止処理を施した偏光板表面の反射色相は、反射防止膜の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、FPDテレビ等の最表面に使用する場合にはニュートラルな色調が要望される。この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17である。
《表示装置》
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することができる。本発明の防眩性反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の防眩性反射防止フィルムは平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、MVA型液晶表示装置、IPS型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。特に、色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔セルロースエステルフィルム1の作製〕
〈ポリマーXの合成〉
攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管及び温度計の付いたガラスフラスコに、表3記載の種類及び比率(モル組成比)のモノマーXa、Xb混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸2g及びトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、表3記載の種類及び比率(モル組成比)のモノマーXa、Xb混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.4gを3時間かけて滴下した。その後更に、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、更に2時間反応を継続させ、ポリマーXを得た。得られたポリマーXは常温で固体であった。ポリマーXの重量平均分子量は下記測定法により表3に示した。
尚、表3記載の、MMA、HEAはそれぞれ以下の化合物の略称である。
MMA:メタクリル酸メチル
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
(重量平均分子量測定)
重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
〈ポリマーYの合成〉
特開2000−128911号公報に記載の重合方法により塊状重合を行った。即ち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、投入口及び環流冷却管を備えたフラスコにモノマーYaとして、下記メチルアクリレート(MA)を投入し、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素ガスで置換した下記チオグリセロールを攪拌下添加した。チオグリセロール添加後、内容物の温度を適宜変化させ4時間重合を行い、内容物を室温に戻し、それにベンゾキノン5質量%テトラヒドロフラン溶液を20質量部添加し、重合を停止させた。内容物をエバポレーターに移し、80℃で減圧下、テトラヒドロフラン、残存モノマー及び残存チオグリセロールを除去し、表3に記載のポリマーYを得た。得られたポリマーYは常温で液体であった。該ポリマーYの重量平均分子量は上記測定法により表3に示した。
メチルアクリレート 100質量部
チオグリセロール 5質量部
〈ドープの組成〉
(二酸化珪素分散液)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(1次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は200ppmであった。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。
(ドープ添加液)
メチレンクロライド 50質量部
ポリマーX 12質量部
ポリマーY 7質量部
二酸化珪素分散希釈液 10質量部
チヌビン109(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製) 1.2質量部
チヌビン171(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製) 0.8質量部
以上について、メチレンクロライドとポリマーXとポリマーYを攪拌しながら完全溶解させた後、二酸化珪素分散液を添加させて攪拌混合させてドープ添加液を調製した。
(主ドープ液の調製)
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.92) 100質量部
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 30質量部
ドープ添加液 前記作製質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
日本精線(株)製のファインメットNFで上記主ドープ液を濾過し、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が105%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。テンターで延伸後130℃で幅手張力を緩和して幅保持を開放した後、120℃、130℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ7μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、セルロースエステルフィルム1を得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。セルロースエステルフィルム1の残留溶剤量は各々0.1%未満であり、膜厚は40μmであった。
〔防眩性フィルム1の作製〕
上記セルロースエステルフィルム1の表面(B面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)上に、下記のハードコート層用塗布液1を孔径20μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が0.1W/cm2で、照射量を0.1J/cm2として塗布層を硬化させ、厚さ5μmの防眩性ハードコート層を形成し防眩性フィルム1を作製した。形成した防眩性フィルムについてWYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて算術平均表面粗さ(Ra)の測定を行った結果、133nmであった。また、凸部の平均中心間距離は37μmであった。
(ハードコート層用塗布液1)
下記材料を攪拌、混合し、ハードコート層用塗布液1とした。
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製)キサアクリレート、日本化薬製) 200質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
25質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
合成シリカ微粒子 平均粒子径 1.8μm 40質量部
界面活性剤(シリコン系界面活性剤;FZ2207(日本ユニカー製)10質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 固形分で0.6質量部
〔防眩性フィルム2(インクジェット法による防眩性フィルム)の作製〕
(第1層の作製)
セルロースエステルフィルム1の表面に(B面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)、下記の硬化樹脂層塗布組成物1をスリットダイで塗布し、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に85℃で乾燥し、続いて活性光線照射部より115mJ/cm2の照射強度で紫外線照射して硬化樹脂層とし、第1層を作製した。下記の組成物による乾燥膜厚は、5μmであった。
(固形分)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
(溶媒)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 25質量部
前記第1層の上に、下記凸部塗布液1をインクジェット方式によりインク液滴として2〜16plで出射し、乾燥後0.2秒後に活性光線照射部より紫外線の照度が0.1W/cm2で、照射量が100mJ/cm2で硬化させ、凸部を形成した。
インクジェット出射装置は、ラインヘッド方式(図4の(a))を使用し、ノズル径が3.5μmのノズルを256個有するインクジェットヘッドを10基準備した。インクジェットヘッドは図3に記載の構成のものを使用した。インク供給系は、インク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、インク供給タンクからインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温(40℃)し、出射温度は40℃、駆動周波数は20kHzで行った。
凸部形成後フィルム表面に、1%酸素を含有する窒素雰囲気の大気圧下で、100KHzの高周波電圧でプラズマ放電により表面処理した後、下記透明樹脂層用塗布液1を減圧押出し法によって塗布し、防眩性フィルム2を作製した。
形成した防眩性フィルムについてWYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて算術平均表面粗さRaの測定を行った結果、127nmであった。また、凸部の平均中心間距離は28μmであった。
(凸部塗布液1)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 180質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸部塗布液を調製した。
(透明樹脂層塗布液1)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 40質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
6質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
上記組成物を混合撹拌し、透明樹脂層塗布液を調整した。
〔防眩性フィルム3の作製〕
下記凸部塗布液2を用いた以外は防眩性フィルム2と同様の方法で、防眩性フィルム3を作製した。
(凸部塗布液2)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 80質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸部塗布液を調製した。
作製した防眩性フィルム3についてWYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて平均表面粗さ(Ra)の測定を行った結果、146nmであった。また、凸部の平均中心間距離は33μmであった。
〔バックコート層の形成〕
上記ハードコート層を塗設した面の反対側に、下記バックコート層塗布液をウェット膜厚14μmとなるようにダイコートし、85℃にて乾燥し巻き取り、バックコート層を設けた。
(バックコート層用塗布液)
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
ジアセチルセルロース 0.6質量部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液(日本アエロジル(株)製アエロジル200V)
0.2質量部
〈大気圧プラズマ処理〉
特願2005−351829号の図7記載の大気圧プラズマ処理装置を用い、ハードコート層表面に下記の大気圧プラズマ処理を行った。
電極間隙を0.5mmとして、以下に示す放電ガスを放電空間に供給し、神鋼電機社製高周波電源を使用して、周波数13.5MHz、印加電圧Vp=9.5kV及び出力密度1.5W/cm2として放電を形成させて表面処理を行った。
(放電ガス)
窒素ガス 80.0体積%
酸素ガス 20.0体積%
〔高屈折率層の形成〕
ハードコート層の表面に、下記高屈折率層塗布液をダイコートし、80℃で乾燥した後、120mJ/cm2の紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化後の膜厚が110nmとなるように高屈折率層を設けた。高屈折率層の屈折率は1.60であった。
(高屈折率層塗布液)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 40質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 0.9質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.0質量部
ウレタンアクリレート(商品名:U−4HA、新中村化学工業社製)
0.6質量部
粒子分散液A(下記) 20質量部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.4質量部
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.2質量部
FZ−2207(10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、日本ユニカー社製) 0.4質量部
(粒子分散液Aの調製)
メタノール分散アンチモン複酸化物コロイド(固形分60%、日産化学工業(株)製、アンチモン酸亜鉛ゾル、商品名:セルナックスCX−Z610M−F2)6.0kgにイソプロピルアルコール12.0kgを攪拌しながら徐々に添加し、粒子分散液Aを調製した。
〔防眩性反射防止フィルム1の作製〕
上記防眩性フィルム1上に、下記の低屈折率層塗布液1を押出しコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、紫外線を0.1J/cm2で、照射量が100mJ/cm2で硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、防眩性反射防止フィルム1を作製した。尚、低屈折率層塗布液の粘度は1.8mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.37であった。
尚、粘度は25℃において山一電機社製のVISCO MATE MODEL VM−1Gを用いて測定し、屈折率はアッベの屈折計で測定した。
(低屈折率層塗布液1)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 500質量部
イソプロピルアルコール 500質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A(下記、固型分21%換算) 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 3.0質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系微粒子1(下記、固形分20%、平均粒径45nm、粒径変動係数30%) 40質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製ALCH) 3.0質量部
FZ−2207(10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、日本ユニカー社製) 3.0質量部
(テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製)
テトラエトキシシラン230g(商品名:KBE04、信越化学工業社製)とエタノール440gを混合し、これに2%酢酸水溶液120gを添加した後に、室温(25℃)にて28時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
(イソプロピルアルコール分散中空シリカ系微粒子1の調製)
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl2O3として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al2O3核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al2O3多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をイソプロピルアルコールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ系微粒子1の分散液を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は45nm、MOx/SiO2(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径及び粒径の変動係数は動的光散乱法により測定した。
〔防眩性反射防止フィルム2の作製〕
上記防眩性フィルム3上に、下記の低屈折率層塗布組成物2を押出しコーターで塗布した以外は反射防止フィルム1と同様の方法で、防眩性反射防止フィルム2を作製した。尚、低屈折率層塗布液の粘度は3.2mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液2)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 3.3質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
0.17質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 0.17質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 77質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
〔防眩性反射防止フィルム3の作製〕
上記防眩性フィルム3上に、上記の低屈折率層塗布液2を表4に示す平均乾燥膜厚(hd)となるよう、インクジェット方式によりインク液滴として2〜16plで出射し、乾燥後0.2秒後に活性光線照射部より紫外線の照度が0.1W/cm2で、照射量が100mJ/cm2で硬化させ、防眩性反射防止フィルム3を作製した。
インクジェット出射装置は、ラインヘッド方式(図4の(a))を使用し、ノズル径が10.5μmのノズルを256個有するインクジェットヘッドを10基準備した。インクジェットヘッドは図3に記載の構成のものを使用した。インク供給系は、インク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、インク供給タンクからインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温(40℃)し、出射温度は40℃、駆動周波数は20kHzで行った。
〔防眩性反射防止フィルム4〜19の作製〕
上記防眩性フィルム1〜3上に、下記低屈折率層塗布液3〜14を表4に示す平均乾燥膜厚(hd)となるよう、インクジェット方式により塗布した以外は、防眩性反射防止フィルム3と同様の方法で、防眩性反射防止フィルム4〜19を作製した。
(低屈折率層塗布液3)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 10質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
0.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 0.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 72質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 17質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は5.1mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液4)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 25質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
1.3質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 1.3質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 60質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は6.2mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液5)
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 150質量部
イソプロピルアルコール 70質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A(下記、固型分21%換算) 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 3.0質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系微粒子1(下記、固形分20%、平均粒径45nm、粒径変動係数30%) 40質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製ALCH) 3.0質量部
FZ−2207(10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、日本ユニカー社製) 3.0質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は3.8mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液6)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は8.3mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液7)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系微粒子1 25質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 14質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 9質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は4.6mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.37であった。
(低屈折率層塗布液8)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系微粒子1 25質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 14質量部
プロピレングリコール 9質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は18mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.37であった。
(低屈折率層塗布液9)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 24質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 24質量部
尚、この低屈折率層の屈折率は1.38、粘度は7.6mPa・sであった。
(低屈折率層塗布液10)
アクリルモノマー;OP−38Z(フッ素化アクリル樹脂、大日本インキ化学工業(株)製) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコール 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は14.8mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液11)
アクリルモノマー;オプスターJM5010(JSR(株)製) 130質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は6.6mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.41であった。
(低屈折率層塗布液12)
アクリルモノマー;ライトエステルFM−108(共栄社化学(株)製)
100質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は5.2mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.41であった。
(低屈折率層塗布液13)
アクリルモノマー;ライトエステルM−3F(共栄社化学(株)製) 90質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、この低屈折率層の屈折率は1.35、粘度は6.1であった。
(低屈折率層塗布液14)
アクリルモノマー;ディフェンサFH800ME(大日本インキ化学工業(株)製)
300質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
2.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 2.5質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は9.8mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.47であった。
〔防眩性反射防止フィルム20〜23の作製〕
上記防眩性フィルム3上に、下記低屈折率層塗布液15を表4に示す平均膜厚(hd)となるようインクジェット方式により塗布し、紫外線を照射するまでの時間を、防眩性反射防止フィルム20は0.1秒、防眩性反射防止フィルム21は2秒、防眩性反射防止フィルム22は45秒、防眩性反射防止フィルム23は2分とした以外、防眩性反射防止フィルム3と同様の方法で、防眩性反射防止フィルム20〜23を作製した。
(低屈折率層塗布液15)
アクリルモノマー;ペンタエリスリトールジアクリレートジフルオロブチレート
50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
3.0質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 3.0質量部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 38質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
尚、低屈折率層塗布液の粘度は9.6mPa・sであり、得られた低屈折率層の屈折率は1.37であった。
《防眩性反射防止フィルムの評価》
作製した防眩性反射防止フィルムについて、下記のようにして算術平均表面粗さ、膜厚、防眩性、反射率及び擦傷性を評価した。
(算術平均表面粗さ)
JIS B 0601:2001に準じて、光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を使用して、透明支持体(b面)、ハードコート層及び反射防止フィルムの各表面1.2mm×0.9mmの面積に対して、算術平均表面粗さを求めた。
(膜厚)
作成した反射防止フィルムについて、日立走査透過電子顕微鏡 HD−2700を用いて、断層写真を10万倍の拡大倍率で撮影し、目視で確認した凸部分、凹部分それぞれ10箇所の膜厚を断層写真からスケールを使って実測し平均した値をhd1、hd2の各々の膜厚とした。またhd1とhd2の平均値を平均膜厚とした。
(防眩性)
窓のあるオフィスにて、各フィルムを机の上に広げ、天井の蛍光灯照明及び外光のフィルムへの写り込みを下記のように評価した。
5:蛍光灯の輪郭、及び外光がぼけて写り込みが全く気にならない
4:5と3の中間
3:蛍光灯の輪郭、及び外光の写り込みが僅かに認められる
2:3と1の中間
1:蛍光灯の輪郭、及び外光が分かり写り込みが気になる
(反射率)
作製した防眩性反射防止フィルムについて、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。反射防止性能は広い波長領域において反射率が小さいほど良好であるため、測定結果から450〜650nmにおける最低反射率を求めた。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率の測定を行った。
(擦傷性)
試料に23℃、55%RHの環境下で、#0000のスチールウール(SW)に250g/cm2の荷重をかけ、10往復したときの1cm幅当たりの傷の本数を測定した。なお、傷の本数は荷重をかけた部分の中で最も傷の本数の多い所で測定する。10本/cm以下であれば実用上問題ないが、5本/cm以下が好ましく、3本/cm以下がさらに好ましい。
表4から本発明の試料は比較例に比べ、防眩性、反射率、擦傷性に優れていることが分かった。また、低屈折率層の塗布〜紫外線を照射するまでの時間は短いほど防眩性、反射率、擦傷性に優れており、0.1秒が最も良好であった。
実施例2
実施例1で作製した防眩性反射防止フィルム1〜23を用い、下記のようにして偏光板を作製し、その偏光板を液晶表示パネル(画像表示装置)に組み込み、視認性を評価した。
下記の方法に従って、防眩性反射防止フィルムと該フィルムに支持体として用いられているセルローストリアセテートフィルム各々1枚を偏光板保護フィルムとして用いて偏光板を作製した。
(a)偏光膜の作製
厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
(b)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:セルローストリアセテートフィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。防眩性反射防止フィルムの反射防止層を設けた面には予め剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けて保護した。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したセルローストリアセテートフィルムと反射防止フィルムで挟み込んで、積層した。
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cm2の圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意した。
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、偏光板を作製した。
市販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレイ MultiSync LCD1525J:型名 LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた偏光板を張り付け液晶表示装置を作製した。
(評価)
表示装置として動画での視認性を確認した。比較の防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置はシーンによって写り込みや色ムラが気になるのに対し、本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた表示装置はコントラストも高く視認性に全く問題なく良好であった。