JPWO2007046275A1 - 防眩性フィルム、偏光板及び表示装置 - Google Patents

防眩性フィルム、偏光板及び表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、画素サイズの小型化等による高精細な画像の鮮明性を低下させることなく、外光の写り込みや、コントラストの低下を有効に防止出来、所望の微細凹凸構造を生産性よく効果的・安定的に形成した防眩性フィルムを提供し、更にそれを用いた偏光板、及び表示装置を提供する。この防眩性フィルムは、基材フィルム上に、ドットの長径が1〜30μm、ドットの高さが0.5〜10μmである微細な凸構造部を1mm2あたり10〜10000個有し、更に該凸構造部を被覆するように透明樹脂層が形成されており、かつ該凸構造部と該透明樹脂層の屈折率が同一であることを特徴とする。

Description

本発明は防眩性フィルム、偏光板及び表示装置に関し、防眩性に優れ、所望の微細凹凸構造を生産性よく効果的・安定的に形成した防眩性フィルム、偏光板及び表示装置に関する。
近年、薄型軽量ノートパソコンの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。また、視認性向上のために反射防止層を設けたり、また、写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面を凹凸にして反射光を散乱させる防眩層を付与した、コンピュータやワープロ等の液晶画像表示装置(液晶ディスプレイともいう)が多く使用されるようになってきた。
反射防止層や防眩層は用途に応じてさまざまな種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々の前面板を液晶ディスプレイの偏光子等に貼り合わせることで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の写り込みが気にならないようにするものである。
画像表示装置の前面板最表面に適切な微細凹凸構造を設けることによって、上記のような性質を持たせることができる。例えば、微粒子を用いる方法(例えば、特許文献1参照。)、表面にエンボス加工を施す方法(例えば、特許文献2参照。)等種々の方法がある。
しかしながら、微粒子を用いる方法は、バインダー層中に微粒子を含有させることのみによって微細凹凸構造を形成する為、微粒子を適切に分散することが必要であり、所望の微細凹凸構造を効果的に安定に形成することがむずかしく、防眩性フィルムとしての十分なぎらつき防止効果を得ることに大きな障害を有していた。特に、微粒子を用いる方法は、微粒子の存在密度が制御できず、また微粒子が複数重なる部分で、凸部の高さが周囲より高くなるため、安定に均一な凹凸構造を作ることができないことが欠点であった。またエンボス加工により微細凹凸構造を形成する方法は、生産性に劣り、特に微細凹凸構造を安定に形成することは極めて困難である。
特許文献3にはスピノーダル分解を利用した樹脂の相分離を利用した微細凹凸形成方法の記載があるが、反応条件により相分離の状態が変わりやすく、防眩性フィルムを安定に作ることが難しい。
特許文献4にはドット状に点在させた硬化樹脂上に、表面が平滑となるようハードコート層を設ける技術が公開されているが、該発明では防眩性は発現することはなく、本発明ではフィルム表面を平滑にすることを目指すものではない。
また、近年、画像の高画質が進む中で、防眩性を有しつつ、かつコントラストの高い表示装置が求められている。例えば液晶表示装置の最表面は、微粒子法などの従来の防眩性フィルムではコントラストが不充分であり、またクリアハードコート反射防止フィルムでは外光の写り込みが問題となる。この欠点に対応するため、防眩性フィルム上に光干渉による反射防止層(低屈折率層)をコーティングした防眩性反射防止フィルムに関する技術が多数提案されている(例えば、特許文献3〜8参照。)。しかしながら、これらによってもより視認性の優れた表示装置を得る上で、充分な防眩性やコントラストを得るまでに至っていない。
また、特許文献11には防眩性ハードコートフィルムにオーバーコート層を設ける記載があるが、防汚性、易洗浄性、光反射防止性等を目的としたものであり、本発明でいう凸構造部を被覆し、防眩性が発現することに関する記載は一切ない。
特開昭59−58036号公報 特開平6−234175号公報 特開2005−227407号公報 特開2000−84477号公報 特開2001−281410号公報 特開2004−4404号公報 特開2004−125985号公報 特開2004−24967号公報 特開2004−4777号公報 特開2003−121620号公報 特開2003−26832号公報
従って本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は画素サイズの小型化等による高精細な画像の鮮明性を低下させることなく、外光の写り込みや、コントラストの低下を有効に防止出来、所望の微細凹凸構造を生産性よく効果的・安定的に形成した防眩性フィルムを提供し、更にそれを用いた偏光板、及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
1.基材フィルム上に、ドットの長径が1〜30μm、ドットの高さが0.5〜10μmである微細な凸構造部を1mm2あたり10〜10000個有し、更に該凸構造部を被覆するように透明樹脂層が形成されており、かつ該凸構造部と該透明樹脂層の屈折率が同一であることを特徴とする防眩性フィルム。
2.前記透明樹脂層の上に更に、反射防止層または防汚層が形成されたことを特徴とする前記1に記載の防眩性フィルム。
3.前記凸構造部、前記透明樹脂層によって構成される防眩層表面の表面粗さ(Ra)が50〜1000nm、凸部または凹部の平均中心間距離(Sm)が10〜200μmであることを特徴とする前記1または2に記載の防眩性フィルム。
4.前記凸構造部の高さに対し、前記透明樹脂層の厚みが1〜5μm厚いことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
5.前記凸構造部または前記透明樹脂層が活性光線硬化型樹脂であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
6.前記凸構造部または前記透明樹脂層が熱硬化性樹脂であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
7.前記凸構造部が、沸点が140〜250℃、25℃測定の粘度が1〜15mPa・sである少なくとも1種類の溶媒を60質量%以上含むインキ組成物から形成されることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
8.前記溶媒が、下記の一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記7に記載の防眩性フィルム。
一般式(1) R1−O−(C2x−O)n−R2
R1、R2 :水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
n : 1〜3の整数
x:2〜4の整数
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の防眩性フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
10.前記1〜8のいずれか1項に記載の防眩性フィルム、前記9に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
本発明により画素サイズの小型化等による高精細な画像の鮮明性を低下させることなく、外光の写り込みや、コントラストの低下を有効に防止出来、所望の微細凹凸構造を生産性よく効果的・安定的に形成した防眩性フィルムを提供出来、更にそれを用いた偏光板、及び表示装置を提供することが出来た。
凸構造部と凸構造部の無い部分の両者を透明樹脂層が覆うことで、なだらかな凹凸が形成される様子を示した模式図である。 本発明に好ましい微細凹凸構造部の模式図である。 本発明に用いられるフレキソ印刷の一例を示す模式図である。 ツーロール方式によるものフレキソ印刷の模式図である。 インキの供給を押出しコーターにより行うフレキソ印刷の模式図である。 アニロックスロールの斜視図である。 アニロックスのセルを説明するための斜視図である。 本発明に係るインクジェット方法に用いることのできるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。 本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。 本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す模式図である。 基材フィルム上にフレキソ印刷により微細凹凸構造形成を行う方法の一例である。 防眩性反射防止フィルムを液晶表示装置に適用した時の観察時の環境を模式的に示した図である。 透明樹脂層の被覆による防眩性向上効果を示す図である。
符号の説明
1 シームレス樹脂版
2 樹脂版ロール
3 版胴
4 アニックスロール
5 圧胴
6 ドクターブレード
7 ファンテンロール
8 インキ
9 押出しコーター
10 基材フィルム
11 基板
12 圧電素子
13 流路版
13a インク流路
13b 壁部
14 共通液室構成部材
15 インク供給パイプ
16 ノズルプレート
16a ノズル
17 駆動用回路プリント板
18 リード部
19 駆動電極
20 溝
21 保護板
22 流体抵抗
23、24 電極
25 上部隔壁
26 ヒータ
27 ヒータ電源
28 伝熱部材
29 活性光線照射部
30 インクジェットヘッド
31 液滴
32 ノズル
35 バックロール
501 フィルムロール
502 基材フィルム
503 コータ
504A、B、C バックロール
505A、B 乾燥ゾーン
506A、B、C UV照射部
508 インキ供給タンク
509 フレキソ樹脂版
510 アニロックスロール
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特許文献11に記載されているようなドットとドットが離れていて、ドット間が平面基材の状態の場合、ドットのみでは該平面基材部分によって満足な防眩性を示さないが、オーバーコートすることで、そのドット間平面基材部分が傾斜状態のオーバーコートで覆われて著しく防眩性が向上することを見出したものである。
図13は、透明樹脂層の被覆による防眩性向上効果を示す図である。
(防眩性評価方法)
ドットのみの防眩性フィルムと、ドットを透明樹脂層で被覆した防眩性フィルムを試料として、オプテック社製 ゴニオフォトメーター GP−1−3Dを用いて反射角度分布を測定する。投光径φ=10mm、受光径φ=3mm。
防眩性の数値化は、走査角度±1〜3.5°(正反射領域を除く)の散乱光強度の積分値の対数値で表す。
図13の結果より以下の関係がある。
散乱光強度積分値の対数 防眩性
ドットのみ −1.5 低
ドットを透明樹脂層で被覆 −0.48 高
本発明の防眩性フィルムは、基材フィルム上に、ドットの長径が1〜30μm、ドットの高さが0.5〜10μmである微細な凸構造部を1mm2あたり10〜10000個有し、更に該凸構造部を被覆するように透明樹脂層が形成されており、かつ該凸構造部と該透明樹脂層の屈折率が同一であることを特徴とする。
本発明の防眩性フィルムは、グラビア法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等のパターン作製方法により、上記凸構造部(ドットとも言う)を作成し、該凸構造部を活性光線もしくは加熱により硬化した後、その上に、マイクログラビア法、押出し塗布法、ワイヤーバー法、スプレーコート法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の薄膜均一塗布法により、透明樹脂層を均一塗布することで作製される。この際、凸構造部は、面内ではFMスクリーニング等の手段により一定のランダム配置を取り、高さは一定の範囲内で均一に作製されることで、表面粗さ(Ra)は全面において安定し、かつ凹凸の形成は一律の間隔とならないことで、ディスプレイの画素との間でモアレを発生することがない。凸構造部の高さと透明樹脂層の膜厚を適切に設定することで、透明樹脂層の表面には適度で安定した表面粗さを持つ凹凸が形成され、防眩効果を維持しつつ、光散乱によるヘイズの増加が抑えられ、散乱光による白濁が押えられるため、コントラストの高い画像を見ることができる。また、凸構造部の屈折率を、透明樹脂層の屈折率と同一とすることにより、内部散乱効果を抑制し、ディスプレイ側からの透過光がギラつくことも押えることができる。
本発明者らは、上記グラビア法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等によれば、印刷速度を10m/毎分以上、500m/毎分という速度でも凸構造部を有する防眩性フィルムを作製することが出来、高精細な画像の鮮明性を低下させることなく、外光の写り込みや、コントラストの低下を有効に防止出来、所望の微細凹凸構造を生産性よく効果的・安定的に形成した防眩性フィルムが得られ、また、それを用いた防眩性反射防止フィルム、偏光板及び表示装置が得られることを見出したものである。
凸構造部形成方法は、特に限定されるものではないが、中でもフレキソ印刷法は生産速度が速いこと、微小な凸構造を形成できることから、またインクジェット法は凸構造部の存在パターンをフレキシブルに変更できること、凸構造の断面形状をお椀状に形成でき、透明樹脂層を設けたあとの表面形状をなだらかな凹凸にしやすいことで優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
《凸構造部、透明樹脂層》
本発明でいう凸構造部(ドットともいう)を図をもって説明する。
図1は基材フィルム上に凸構造部をパターン状に形成し、更に透明樹脂層を塗布することで、凸構造部と凸構造部の無い部分の両者を透明樹脂層が覆うことで、なだらかな凹凸が形成される様子を示した模式図である。
本発明で規定するドットの高さとは、下地である基材フィルム表面を底部として凸構造部の頂部までの高さと定義し、同様にドットの長径とは基材に接している凸構造部底の最大長と定義する。
表面の微細な凸構造部は、市販の触針式表面粗さ測定機或いは市販の光学干渉式表面粗さ測定機等によって測定することができる。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μmの範囲(55μm×75μm)について2次元的に測定し、凸部を底部側より等高線のごとく色分けして表示し、フィルム面を基準とした凸部高さ及び凸構造部の長径である凸部径を測定する。また、凸構造部個数は得られた凸構造部の個数を1mmあたりに換算して求めることができる。これらの測定は、基材フィルムの該当箇所の任意の10点を測定してその平均値として求める。
図2は、基材フィルム上に形成された本発明に好ましい透明樹脂層を被覆した凹凸構造の模式図である。
図2(a)は凸構造部の斜視図であり、(b)は断面図である。
表面粗さ(Ra)を求める時の凸部の高さは図中eで示されるものであり凸部と凹部との高低差をいう。透明樹脂層表面の凹凸構造は市販の触針式表面粗さ測定機或いは市販の光学干渉式表面粗さ測定機等によって測定することができる。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機によって、一定の範囲内について凹凸を2次元的に測定し、凹凸を底部側より等高線のごとく色分けして表示する。ここで各微細凹凸構造の隣接する凹部底を基準としたその高さを求め平均値とする。
隣り合う凸部又は凹部間の平均中心間距離(Sm)は、JIS B0601中で輪郭要素曲線の平均長さとして定義されるものと同一であり、図中g(この場合は凸部)で表されるが、凸部又は凹部の頂点を該凸部又は凹部の中心とし、隣り合う凸部又は凹部中心間の距離を平均したものである。凸部又は凹部間の平均距離は触針式表面粗さ測定機などにより測定出来、例えばダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して微細凹凸構造面上を一定方向に走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることが出来、その結果より凸部又は凹部間の距離を測定し平均値を求めることができる。或いは前述のごとく光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することができる。
本発明で規定する表面粗さ(Ra)は、JIS B0601により定義され、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
表面粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重なり合わない条件で24時間調湿したのち、上記環境下で測定して求めることができる。ここでいう重なり合わない条件とは、例えば、試料のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や試料と試料の間に紙を挟んで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム(光学干渉式表面粗さ測定機の代表例)等を挙げることができる。
本発明の透明樹脂層表面の凹凸構造の表面粗さ(Ra)は、50〜1000nm、さらに好ましくは、100〜500nmである。また透明樹脂層表面の凹凸構造の平均中心間距離(Sm)は10〜200μmであることが好ましく、さらに好ましくは10〜50μmである。これらの範囲を超えると防眩効果とコントラストを両立させることが難しくなる。上記Ra、Smは、各種印刷法や材料の選択による凸構造部の高さ、凸構造パターンの配置、透明樹脂層の厚みの調整、透明樹脂層に使用するインキ組成物(インキ液ともいう)の粘度等の物性調整等により制御することができる。
本発明の凸構造部と透明樹脂層の屈折率は同一であることが本発明の効果を得る上で必要であるが、同一であるとは屈折率の差が、0.02未満であることを示す。更に屈折率差が0であることがより好ましい。
凸構造部、及び透明樹脂層の屈折率の測定は、該凸構造部、及び透明樹脂層を形成するインキ組成物を基材フィルムに塗布し、得られた皮膜を屈折率計により測定して求めることができる。
例えば、該凸構造部、及び透明樹脂層を形成するインキ組成物をマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が0.1W/cmで、照射量を0.1J/cmとして塗布層を硬化させ、厚さ5μmの皮膜を形成し、アッベの屈折計で屈折率を測定する。
凸構造部と透明樹脂層の屈折率が同一であることにより、防眩層内では内部散乱が発生せず、透明性が高く、黒のしまりの良い画像を得ることができる。
凸構造部と透明樹脂層の屈折率を同一にするには、インキ組成物の材料や構成を適宜選択することにより調整することが可能である。
凸構造部は、ドットの長径が1〜30μm、さらに好ましくは3〜10μmであり、ドットの高さが0.5〜10μm、さらに好ましくは、2〜5μmの一定のサイズと高さを有していることが好ましく、ドットの配置は、FMスクリーニング等の方法により、ランダムな配置とされることが好ましい。ここでドットの長径とは、ドットが円形の場合は直径を、三角形、四角形、多角形、不定形の場合は同一面積に換算した直径を表す。ドットの高さとは、前述の通り基材フィルム面からドットの最も高い部分の高さの差をいう。
FMスクリーニング法とはドットとドットの間隔すなわち周期性(frequency)を変調する(modulate)すること、基本ドットを打つ頻度(ドットの密度)で濃淡を表現する方法である。FMスクリーニング法は、ランダム・スクリーニング法またストカスティック・スクリニーング法と呼ばれることもある。FMスクリーニング法とは、ドットとドットの間隔すなわち周期性を変調する方法を指す。具体的には、クリスタル・ラスター・スクリーニング法(アグファ・ゲバルト社)、ダイヤモンド・スクリーン法(ライノタイプ・ヘル社)、クラス・スクリーニング法およびフルトーン・スクリーニング法(サイテックス社)、ベルベット・スクリーニング法(ウグラ・コーハン社)、アキュトーン・スクリーニング法(ダネリー社)、メガドット・スクリーニング法(アメリカン・カラー社)、クリア・スクリーニング法(シーカラー社)、モネット・スクリーニング法(バルコ社)等が知られている。これら方法はいずれもドット発生のアルゴリズムは異なっているが、ドット密度の変化により濃淡を表現する方法であり、FMスクリーニング法の種々の態様であるということができる。
FMスクリーニングでは、インクが乗るドットのサイズは一定とし、画像の濃度に応じてドットの出現頻度が変化する。FMスクリーニングにおける各ドットのサイズはいわゆる網点に比べて小さいので、必要とするパターンを高分解能で再現することが可能である。FMスクリーニングにおけるドットは、いわゆる網点とは異なり、ドットの配列が周期的ではない。FMスクリーニングでは、ドットの配列が周期的でないので、モアレは生じないという特徴を持っている。
本発明の透明樹脂層は、前述の凸構造部の上に塗布され、凸構造部を被覆することにより、凸構造部のみで形成される凹凸をなだらかにして、好ましい表面形状を得ることで、優れた防眩性を発現させることができる。
透明樹脂層の厚みは、凸構造部の高さに対し、1〜5μm厚いことが好ましい。また、凸構造部を全面被覆するために、塗布膜厚は、凸構造部の高さの2倍以上5倍以下であることが好ましい。塗布液膜厚が厚いことにより、凸構造部を完全に覆うことができるが、厚すぎると、乾燥時の乾燥ムラ等の影響を受け、膜厚の均一性が損われる。透明樹脂層に含まれる樹脂の内、50%以上は凸構造部に用いられる樹脂と同一であることが好ましく、このことにより、凸構造部と透明樹脂層の十分な接着性を確保でき、かつ屈折率を同一にすることができる。
(凸構造部、及び透明樹脂層を形成するインキ組成物)
本発明では、凸構造部、及び透明樹脂層を形成する組成物のことをインキ組成物と称する。
本発明に係る凸構造部、及び透明樹脂層を形成するインキ組成物は、特に制限されるものではないが、活性光線硬化型樹脂、光重合開始剤、光反応開始剤、光増感剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、微粒子、溶媒等を含むことが好ましい。バインダーとしては、上記活性光線硬化型樹脂、または熱硬化性樹脂が好ましい。
上記インキ組成物の屈折率は、1.35〜1.9の範囲で選択することができる。インキ組成物の透過率は、80%以上、好ましくは90%以上であることが好ましい。
インキ組成物の粘度は測定温度25℃において、0.1〜20mPa・sであることが好ましく、0.5〜10mPa・sの範囲が更に好ましい。粘度が0.5mPa・s未満の場合は粘度が低過ぎて所望の形状の凸構造部パターンが得られなくなり、20mPa・sを超えるとインキの流動性が悪くインキの転移性も低下する為好ましくない。
インキ組成物の粘度は、後述する沸点が140〜250℃、25℃測定の粘度が1〜15mPa・sである少なくとも1種類の溶媒をインキ組成物の60質量%以上用いることにより調整されることが好ましい。
インキの粘度の測定は、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができる。粘度計としては、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定出来、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A等を挙げることができる。
本発明の凸構造部、及び透明樹脂層を形成するインキ組成物として、好ましく用いられる活性光線硬化型樹脂について説明する。
活性光線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性光線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性光線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、好ましく用いられるエポキシ系活性光線反応性化合物を示す。
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることができる。
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
上記のエポキシ化合物を活性光線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
エポキシ系活性光線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性光線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
活性光線反応性化合物エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性光線反応性樹脂である。
本発明に有用な活性光線反応性エポキシ樹脂は、活性光線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R1a(R2b(R3c(R4dZ〕w+〔MeXvw-
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えば、I、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R1、R2、R3、R4は同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXvw-の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、テトラフルオロホスフェート(PF4 -)、テトラフルオロアンチモネート(SbF4 -)、テトラフルオロアルセネート(AsF4 -)、テトラクロロアンチモネート(SbCl4 -)等を挙げることが出来る。
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることが出来る。
この様なオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることができる。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することができる。
また、エポキシアクリレート基を有する活性光線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることができる。この活性光線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
本発明に有用な活性光線硬化型樹脂を含むインキ組成物において、光重合開始剤は、一般的には、活性光線硬化性エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することも出来、この場合、活性光線ラジカル重合開始剤と活性光線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
また、本発明では、光重合開始剤としてオキセタン化合物を用いることもできる。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
本発明で用いることのできる紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
インキ組成物中の活性光線硬化型樹脂の固形分濃度は10〜95質量%であることが好ましく、塗布方法等により最適な濃度が選ばれる。
また、活性光線硬化型樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に係るインキ組成物には、SnO、ITO、ZnO等の導電性微粒子や架橋カチオンポリマー粒子等の帯電防止剤を含有させることも好ましい。本発明では帯電防止剤を透明樹脂層に添加することも好ましい。
本発明において、インキ組成物中に微粒子を含有させることも好ましく、例えば、無機微粒子または有機微粒子を添加することができる。
無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。これらは球状、平板状、無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることができる。
本発明では、凸構造部、透明樹脂層共に上記微粒子を含有する場合、その平均粒径は、5〜300nmが好ましく、更に好ましくは20〜100nmである。粒径や屈折率の異なる2種以上の微粒子を含有させてもよい。また、含有量は凸構造部若しくは透明樹脂層に対し5〜50質量%であることが好ましい。
本発明において、凸構造部もしくは透明樹脂層が活性光線硬化型樹脂を含む場合、活性光線の照射方法としては、インキを透明基体上に転移印刷させ、溶媒等を蒸発させた後、活性光線を照射することが好ましい。照射のタイミングは形成するパターン形状を考慮して決定することが出来、例えば、インクが無溶媒の場合は、転移印刷直後〜2min後に照射すること、またインクが溶媒を含む場合はインク中の溶媒が揮発し終った直後〜2min後に照射することができる。
本発明でいうインキを基材フィルム上に転移印刷、もしくはインク中の溶媒が揮発し終った直後とは、具体的にはインキが転移印刷後から5秒までの間をさす。また、活性光線の照射は、インキの流動性を低下させ、所望のパターン形状が形成できる程度に照射すればよく、ハーフキュア状態でもよい。この場合には、別途下流側に設置した活性光源を照射して、完全に硬化させることができる。本発明では凸構造部の形成及び透明樹脂層の形成に活性光線硬化型樹脂を使用することが好ましい。
本発明に使用することができる活性光線としては、紫外線、電子線、γ線等で、パターン状に形成された活性光線硬化型樹脂を活性化させる光源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
本発明においては、活性光線照射の時の雰囲気中の酸素濃度が10%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。
また、本発明においては、活性光線の硬化反応を効率的に進めるため、基材フィルム等を加熱することもできる。加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは転移印刷したインキ表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、フレキソ印刷部の基材フィルムを挟んで反対側に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。
加熱温度としては、使用する活性光線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、基材フィルムへの熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
次いで、本発明の凸構造部もしくは透明樹脂層形成に用いられるインキ組成物に使用する熱硬化性樹脂について説明する。
本発明で用いることのできる熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、或いは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Br2でブロム化する、或いはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ビニルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解した物である。また、分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としてはビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
フェノール樹脂は、フェノール類とフォルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
また、上述した活性光線硬化型樹脂の一部も、熱硬化性樹脂として用いることができる。
尚、本発明に用いられる熱硬化性樹脂からなるインキ組成物には、活性光線硬化型樹脂を含むインキ組成物に記載した酸化防止剤や紫外線吸収剤を適宜用いてもよい。
本発明において、フレキソ印刷やインクジェット法により形成した凸構造部や透明樹脂層が熱硬化性樹脂を含む場合、加熱方法としては、インキを基材フィルム上に転移印刷させた直後に加熱処理を行うことが好ましい。
本発明でいうインキを基材フィルム上に転移印刷させた直後とは、具体的にはインキが転移印刷と同時または5秒以内に加熱が開始されることが好ましく、予め基材フィルムの温度を上げておくことができる。例えば、基材フィルムをヒートロール上に巻き付けて、これにインキを転移印刷させることが出来、より好ましくは転移印刷と同時または2秒の間である。また、ノズル部と加熱部の距離が接近し過ぎて、熱がヘッド部に伝達すると、ノズル部での硬化によりノズル詰まりを起こすため注意が必要である。また、必要に応じて加熱間隔が5秒を超えることによって、転移印刷したインキの流動、変形させなだらかな微細凹凸構造を得ることもできる。
加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは転移印刷したインキ表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、フレキソ印刷部の基材フィルムを挟んで反対側に設けるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。加熱温度としては、使用する熱硬化性樹脂の種類により一概には規定出来ないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
本発明で用いられるインキ組成物として、凸構造部もしくは透明樹脂層作成のため、上述した活性光線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用いることができるが、好ましくは活性光線硬化型樹脂を用いることである。
本発明の凸構造部及び透明樹脂層用インキは、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素系樹脂、フッ素系オリゴマー、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系シランカップリング剤等の活性剤を0.1質量部以上5質量部以下含有することが好ましい。添加量が多すぎると、撥水撥油効果により透明樹脂層が凸構造部の上に塗布できなくなり、好ましくなく、添加量が少ないと凸構造の形状が一定とならないことがある。界面活性剤量は、インク組成、溶媒組成、下地基材の表面エネルギーにも依存するため、添加されることが必須ではない。
本発明に用いられるシリコーンオイルは、ケイ素原子に結合した有機基の種類により、ストレートシリコーンオイルと変性シリコーンオイルに大別できる。ストレートシリコーンオイルとは、メチル基、フェニル基、水素原子を置換基として結合したものをいう。変性シリコーンオイルとは、ストレートシリコーンオイルから二次的に誘導された構成部分をもつものである。一方、シリコーンオイルの反応性からも分類することができる。これらをまとめると、以下のようになる。
シリコーンオイル
1.ストレートシリコーンオイル
1−1.非反応性シリコーンオイル:ジメチル、メチルフェニル置換等
1−2.反応性シリコーンオイル:メチル水素置換等
2.変性シリコーンオイル
ジメチルシリコーンオイルに、さまざまな有機基を導入することで生まれたものが、変性シリコーンオイル
2−1.非反応性シリコーンオイル:アルキル、アルキル/アラルキル、アルキル/ポリエーテル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル置換等、
アルキル/アラルキル変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を長鎖アルキル基あるいはフェニルアルキル基に置換えたシリコーンオイル、
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、親水性のポリオキシアルキレンを疎水性のジメチルシリコーンに導入したシリコーン系高分子界面活性剤、
高級脂肪酸変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を高級脂肪酸エステルに置換えたシリコーンオイル、
アミノ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をアミノアルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル、
エポキシ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をエポキシ基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル、
カルボキシル変性あるいはアルコール変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をカルボキシル基あるいは水酸基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイル
2−2.反応性シリコーンオイル:アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコール置換等
これらの内、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
具体的な商品としては、日本ユニカー(株)社のL−45、L−9300、FZ−3704、FZ−3703、FZ−3720、FZ−3786、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3785、Y−7499、信越化学社のKF96L、KF96、KF96H、KF99、KF54、KF965、KF968、KF56、KF995、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、FL100等がある。
本発明に用いられるシリコーン界面活性剤は、シリコーンオイルのメチル基の一部を親水性基に置換したものを用いることができる。置換の位置は、シリコーンオイルの側鎖、両末端、片末端、両末端側鎖等がある。親水性基としては、ポリエーテル、ポリグリセリン、ピロリドン、ベタイン、硫酸塩、リン酸塩、4級塩等がある。
非イオン界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない界面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。本発明に用いられる非イオン界面活性剤は疎水基としてジメチルポリシロキサンを有することが好ましい。
疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、後述する低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。他の界面活性剤を用いることでは得られない効果である。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191等が挙げられる。
また、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。主鎖骨格の鎖長が長く、直鎖状の構造であることから、優れている。親水基と疎水基が交互に繰り返したブロックコポリマーであることにより、シリカ微粒子の表面を1つの活性剤分子が、複数の箇所で、これを覆うように吸着することができるためと考えられる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
これらのシリコーンオイルまたはシリコーン界面活性剤の中では、ポリエーテル基を有するものが好ましい。
本発明に係る上記インキには、必要に応じて溶媒を含有させることができる。例えば、水系溶媒に前記活性光線硬化型樹脂モノマー成分、或いは熱硬化性樹脂モノマー成分を溶解もしくは分散させてもよく、或いは有機溶媒を用いてもよい。
本発明に係るインキにおいて用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。
本発明に係る凸構造部を形成するインキ組成物においては、上記溶媒の中でも沸点が140〜250℃、25℃での粘度が1〜15mPa・sの溶媒が少なくとも1種類以上、60質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは沸点が180〜230℃、25℃での粘度が1〜10mPa・sの溶媒が少なくとも1種類以上、70質量%以上含まれることが好ましい。この理由は、上記凸構造部形成用インキ組成物に含まれる溶媒は、転移印刷、または着弾後に所望のパターン形状が維持される程度に速やかに揮発、乾燥されることが望ましいが、上記範囲を超えると、下地との密着性が劣り、更に形成された凸構造部パターン間で乾燥ムラが発生し、続いて行われる透明樹脂層による被覆が均一に行われず、防眩性フィルムの物性の劣化、製造ロット間、製造ロット内の光学性能に対する不均一性等発生し易くなるためである。
本発明でいう沸点とは、1気圧、即ち1.013×10N/mの圧力下での沸点である。沸点の測定は公知の技術を適用できる他、単体の場合には化学便覧等の文献中に記載の値も参照することができる。
上記の沸点、粘度を満たす溶媒の中でも、下記の一般式(1)で表される化合物がより好ましく用いられる。
一般式(1) R1−O−(C2x−O)n−R2
R1、R2 :水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
n : 1〜3の整数
x:2〜4の整数
更に好ましくは、x=2または3、R2がアセチル基である化合物である。
本発明のインキに好ましく用いられる溶媒について、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
更に、上記一般式(1)で表される化合物について、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の他、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:酢酸2-(エトキシエトキシ)エチル)、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート(別名:1,2-ジアセトキシプロパン)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等も、好ましく用いられる。
これらの溶媒の中から沸点、粘度の異なる溶媒を混合してその比率を適宜変更することで、凸構造部、パターン形状を制御することもできる。
《凸構造部の作製》
以下に、凸構造部の作製方法の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〈フレキソ印刷による凸構造部の形成の例〉
一般にフレキソ印刷とは、フレキシブルなゴム又は樹脂からなる凸版と、水又はアルコールを主とする溶剤系の蒸発乾燥型のインキを用いた印刷方法である。
基材フィルム表面へフレキソ印刷を用いて凸構造部をパターン状に形成し、更にその上に透明樹脂層を、マイクログラビア法、押出し塗布法、ワイヤーバー法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の薄膜均一塗布法により、均一に塗布することにより、高度な生産性を維持したまま微細凹凸構造を形成することができる。
まず本発明に好ましく用いられるフレキソ印刷について図をもって説明する。
図3、図4は本発明に係るフレキソ印刷の一例を示す模式図である。
連続走行する基材フィルム10は圧胴5と樹脂版ロール2と転移印刷後に基材フィルム上に微細凹凸構造を形成するシームレス樹脂版1によって構成される版胴3に挟まれ、ドクターブレード6によって転移インキ量が調整されたアニロックスロール4によってインキ8を版胴3に供給し基材フィルム上に転移印刷される。
フレキソ印刷における、版胴3に対するインキ供給は、アニロックスロール4により行われ、アニロックスロール面のインキ量の制御は、図3に示すドクターブレード方式、又は図4に示すツーロール方式によるものなどが一般的に知られている。図4に示すツーロール方式は、インキパンからインキ8をファウンテンロール7でアニロックスロール4に、更に版胴3にインキを供給し、基材フィルム10にインキを転移印刷するものである。図4の方式によればインキ8は、アニロックスロール4の彫刻線数、セルの深さ及び形状で調整する他に、ファウンテンロール7とアニロックスロール4間の(変動し易い)ニップ圧の強弱でインキ供給量を制御するものでありインキの転移量が安定しないという問題がある為、本発明では図3の方法が好ましい。
また別の方式として、図5にインキの供給を押出しコーターにより行うフレキソ印刷の模式図を示す。
インキ8は押出しコーター9により樹脂版ロール2に装着されたシームレス樹脂版1上に直接押し出され、版胴3と圧胴5に挟まれ連続走行している基材フィルム10に転移印刷される。この装置の場合はアニロックスロールが無いため、インキの供給量は押出しコーターの精度に左右される。
図3に示すドクターブレード方式における、版胴3へのインキ転移量は、アニロックスロール4の彫刻線数とセルの形状で決まりインキ転移量としては安定できるものである。そして、アニロックスロールのセルに充填するインキは、アニロックスロール表面の過剰インキをドクターブレードで掻きとるため、転移するインキは彫刻線数とセルの形状、容積で決められるものである。そして、アニロックスロールのセルは、例えば鉄シリンダー表面に必要に応じて銅メッキを施して、その面に彫刻でセルを形成し、ニッケル或いはクロムメッキで硬度のある表面加工を行う。アニロックスロールの材質は、鉄シリンダー表面に銅メッキ等を行ったタイプ、またはセラミックコーテイングしたタイプがあるが、本発明では耐摩耗性及び、彫刻線数の細線化が容易な点からセラミックコーテイングしたタイプが好ましい。
図6はアニロックスロールの斜視図である。
図7はアニロックスのセルを説明するための斜視図である。
アニロックスロール4は、図6に示すようにセラミックス面を、銅面に設けるグラビア版と同様に化学腐食によっても形成できるが、腐食液の処理や深さのばらつきを生じ易い点から、機械もしくはレーザー彫刻によりセルbを設けることが望ましい。そして、アニロックスロールの表面は、通常ミルによる押圧加工の後クロムメッキ加工して作られるが耐摩耗性、耐食性及びインキ転移性の点から酸化クローム、タングステンカーバイドなどの無機酸化物を熔射形成したものが好ましい。
アニロックスロール4の彫刻形状は、格子型のセルの他に、図示はしないが、ヘリカル型、ピラミッド型、斜線型、六角形状のハニカムパターンなどの形状があり、特に限定されるものではないが、高速印刷時におけるインキ転移の再現性の点からハニカムパターンであることが好ましい。そして、図6及び図7に示す彫刻線数やセルbの深さdは、インキの転移量に大きな影響を与えるもので、本発明に係る防眩性フィルム表面上の微細凹凸構造を形成するには、600線/2.54cm以上、セルの深さdが5〜30μmであることが好ましい。彫刻形状と線数の選択は被印刷体の種類や印刷スクリーン線数に合せて考慮されるが、被吸収性が少ないプラスチックフィルムには線数の細かいものが好ましく使用される。そして、セルの土手a(非凹部)は、耐摩耗性に支障がない程度に小さく設けた方がインキチャージ量を多くできる点から好ましく、具体的には土手幅をセル幅の0.1〜0.5倍に設けることが好ましい。アニロックスロールは、フレキソ印刷において版面にインキ量の供給量をドクタリングで制御するものである。そして、ドクタリングの過程で摩耗・損傷が起こり、セルが浅くなりインキ転移量が減少する原因となる。したがって、従来の金属(鉄、又は銅に彫刻、クロームメッキ仕上げ)と比較して、セラミックスのアニロックスロールは、ドクタリングによる摩耗量が少なく凹凸パターンの繰り返し安定性に大きく貢献できるものである。
本発明は、好ましくは図3に示すようなフレキソ印刷装置により、50〜1000mm径のシームレス樹脂版1を樹脂版ロール2に装着した版胴3と、好ましくはセラミックスコーティングしたアニロックスロール4とを用いて、基材フィルム10にインキを転移印刷し、活性光線を照射するかまたは加熱して、基材フィルム上に凸構造部を形成するものである。
上記樹脂版ロール2の材質は特に限定されるものではなく、強度を維持できるものであればよく、鉄、ステンレス、アルミ等の金属、または合成または天然ゴムであることが好ましく、金属とゴムの複合部材でもよい。本発明では樹脂版ロール2の径はシームレス樹脂版1が樹脂版ロール2に装着された時の径(ロールの直径)が50〜1000mmの範囲になるように選択されればよい。シームレス樹脂版1の径が50mm未満では回転速度が速過ぎて強度を維持出来ないこと、また凸構造部のパターンの繰り返しの周期が短くて防眩効果が低下することがあり好ましくない。径が1000mmを超えると、装置が大きくなり過ぎて運転費用がかかりコスト的に不利であり、また回転むらが生じやすくパターン形成の精度が低下する。
本発明においてシームレス樹脂版1に用いる樹脂版は、光反応物質であるポリマーとモノマーとの光重合を応用した感光性樹脂版を用いることが好ましい。この感光性樹脂版は、フォトポリマー、紫外線の露光により光重合するモノマー、ポリマーとモノマー間とで光重合を開始する増感剤、及び版材の物理的性状を調整する可塑剤等の組成物から構成され、感光性樹脂版上に従来のマスク製版により上記パターンを刻印するか、または、シリンダー(軸芯)の全面に塗布等により設けた感光性樹脂層にレーザー光を照射することにより直接該パターンを彫刻することもできる。
本発明において用いる感光性樹脂組成物は、フレキソ印刷版用として公知のものが使用できる。一般的にはバインダーポリマーと少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマーと光開始剤を主成分とする組成物が用いられる。さらに、この感光性樹脂層に要求される特性に応じて増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤などの添加剤を含むことができる。
バインダーポリマーとしては、例えばモノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーを重合して得られる熱可塑性エラストマーが用いられる。モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が、また共役ジエンモノマーとしてはブタジエン、イソプレン等が挙げられる。具体例としてはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などを挙げることができる。
少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマーとしては、バインダーポリマーと相溶性のあるもので、例えばt−ブチルアルコールやラウリルアルコールなどのアルコールとアクリル酸、メタクリル酸とのエステル、或いはラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミドなどのマレイミド誘導体、又はジオクチルフマレートなどのアルコールとフマール酸のエステル、さらにはヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールとアクリル酸、メタクリル酸とのエステルなどを挙げることができる。
光開始剤としては、ベンゾフェノンのような芳香族ケトン類やベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン等のベンゾインエーテル類などの公知の光重合開始剤の中から選択し、また組み合わせて使用される。
感光性樹脂層は種々の方法で調製することができる。例えば配合される原料を適当な溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、コーターにより適当な支持体上に塗布して設けることもできるし、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させ、そのまま板とすることができる。また溶剤を用いず、ニーダー或いはロールミルで混練し、押し出し機、射出成形機、プレスなどにより所望の厚さの板に成形することができる。
感光性樹脂シートを樹脂版ロールに巻き付けるにあたっては、シームレス樹脂版を形成する為に感光性樹脂の端部同士に隙間が出来ないよう、正確にシートを切断して用いることが必要である。通常感光性樹脂版を樹脂版ロールに巻き付けた後、感光性樹脂の軟化点以上に加温して感光性樹脂の端部同士を溶融接着させる。加温時間は通常20分から1時間で、温度と樹脂の軟化点に応じて端部同士が融着することを目安に決められる。次いでグラインダーで感光性樹脂表面を研磨してつなぎ目を完全に無くすと同時に精度を出した後、感光性樹脂の軟化点以上に再度加温処理を行うことがシームレス化において好ましい。その時間は温度によるが10から40分程度で、感光性樹脂表面全体に光沢が見られるようになるまで行う。長時間加温し続けると印刷版としての精度が損なわれるので一時間以内で処理することが望ましい。またベース材であるゴム、ポリエステルフィルム、アルミニウム板、スチール板或いは、シリンダーに装着できるアルミニウム製樹脂版ロールに直接継ぎ目がないように感光性樹脂層を塗設しシームレス化することもできる。
本発明ではシームレス樹脂版のゴム硬度は30〜80度の範囲であることが好ましく、精度よく安定した微細凹凸構造の転移印刷を行う上で樹脂版のゴム硬度がこの範囲にあることが好ましい。ロール状シームレス樹脂版1のゴム硬度は、樹脂版の厚みによっても影響される為、厚みが0.5〜10mmの範囲の樹脂版において30〜80度の範囲であることが好ましい。より好ましくは40〜80度の範囲である。
樹脂版のゴム硬度が30度未満であると、版が柔らか過ぎて所望の微細凹凸構造を形成するのに難があり、また版自体も摩耗し易くなる為好ましくない。樹脂版のゴム硬度が80度を超えると、版胴が高速回転して印刷する際の柔軟性に欠けインキ転移量の再現性に乏しくなる。ゴム硬度はJIS K 6253に記載の方法に準じてデュロメータ等で測定した値で示される。
シームレス樹脂版上に微細凹凸構造のパターンを刻印する方法としてマスク製版が利用される。マスク製版では、感光性樹脂材料の層を設けた樹脂版に原版マスクであるネガフィルムでカバーして露光する。感光性樹脂層は光、特に波長350〜450nmの紫外線エネルギーで硬化、或いは不溶化するものである。未露光部の未硬化樹脂は水、アルカリ水溶液、或いはアルコールなどの有機溶剤に可溶性の状態で維持される。したがって、未露光部をそれに応じた溶剤で洗い出す(現像工程)ことにより、露光された部分のみが残って凸版(フレキソ版)を形成するものである。
また、最近の刷版方法としては、修正画像信号に基づいて硬化済の樹脂版に直接レーザー光或いは彫刻機で彫刻することにより完全なエンドレス版を作製することができる。或いは、未露光の感光性樹脂版に円筒状のまま修正済画像信号で変調されたレーザー光で走査しパターニングした後通常の方法で現像する方法がエンドレスの版を形成する上からも好ましい。
上記フレキソ印刷により、基材フィルム上に、ドットの長径が1〜30μm、ドットの高さが0.5〜10μmである微細な凸構造を1mmあたり10〜10000個作製することで、本発明の凸構造部を形成する。
〈インクジェット方式による凸構造部の形成の例〉
次いで、本発明に用いられるインクジェット方式よる凸構造部の形成の例について説明する。
図8は、本発明に用いられるインクジェット方法に用いることのできるインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
図8(a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図8(b)は図8(a)のA−A線矢視拡大図である。図中、11は基板、12は圧電素子、13は流路板、13aはインク流路、13bは壁部、14は共通液室構成部材、14aは共通液室、15はインク供給パイプ、16はノズルプレート、16aはノズル、17は駆動用回路プリント板(PCB)、18はリード部、19は駆動電極、20は溝、21は保護板、22は流体抵抗、23、24は電極、25は上部隔壁、26はヒータ、27はヒータ電源、28は伝熱部材、30はインクジェットヘッドである。
集積化されたインクジェットヘッド30において、電極23、24を有する積層された圧電素子12は、流路13aに対応して、該流路13a方向に溝加工が施され、溝20と駆動圧電素子12bと非駆動圧電素子12aに区分される。溝20には充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子12には、上部隔壁25を介して流路板13が接合される。すなわち、前記上部隔壁25は、非駆動圧電素子12aと隣接する流路を隔てる壁部13bとで支持される。駆動圧電素子12bの幅は流路13aの幅よりも僅かに狭く、駆動用回路プリント板(PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子12bはパルス状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子12bは厚み方向に変化し、上部隔壁25を介して流路13aの容積が変化し、その結果ノズルプレート16のノズル16aよりインク液滴を吐出する。
流路板13上には、伝熱部材28を介してヒータ26がそれぞれ接着されている。伝熱部材28はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材28は、ヒータ26からの熱を効率良く流路板13に伝え、かつ、ヒータ26からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としており、したがって、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、あるいは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変化し、その容積変化によりノズルからインク液滴となって噴射する。圧電素子には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルよりインクがインク液滴となって噴射する。
図9は、本発明で用いることのできるインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
図9において、図9の(a)はヘッド部の断面図、図9の(b)はノズルプレートの平面図である。図中、10は基材フィルム、31はインク液滴、32はノズル、29は活性光線照射部である。ノズル32より噴射したインク液滴31は基材フィルム10方向に飛翔して付着する。基材フィルム10上に着弾したインク液滴は、その上流部に配置されている活性光線照射部より、活性光線を直ちに照射され、硬化する。なお、35は基材フィルム10を保持するバックロールである。
本発明においては、図9の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズルは、千鳥状に配置することが好ましく、また、基材フィルム10の搬送方向に並列に多段に設けることが好ましい。また、インク吐出の際にインクジェットヘッド部に微細な振動を与え、インク滴がランダムに透明基材上に着弾するようにすることが好ましい。これによって、干渉縞の発生を抑制することができる。微細な振動は、高周波電圧、音波、超音波などによって与えることができるが、特にこれらに限定されない。
本発明に用いられる凸構造部の形成方法は、多ノズルからインク小液滴を吐出して形成するインクジェット方式を用いることが好ましい。図10に、本発明で好ましく用いることのできるインクジェット方式の一例を示す。
図10において、図10の(a)は、インクジェットヘッド30を基材フィルム10の幅手方向に配置し、基材フィルム10を搬送しながらその表面に凸構造部を形成する方法(ラインヘッド方式)であり、図10の(b)はインクジェットヘッド30が副走査方向に移動しながらその表面に凸構造部を形成する方法(フラットヘッド方式)であり、図10のc)はインクジェットヘッド30が、基材フィルム10上の幅手方向を走査しながらその表面に凸構造部を形成する方法(キャプスタン方式)であり、いずれの方式も用いることができるが、本発明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。なお、図10の(a)〜(c)に記載の29は、インクとして後述の活性光線硬化型樹脂を用いる場合に使用する活性光線照射部である。
また、本発明においては、図10の(a)、(b)、(c)の基材フィルムの搬送方向の下流側に、別の活性光線照射部を設けてもよい。
本発明において、微細な凸構造を形成するため、インク液滴としては0.1〜100plが好ましく、0.1〜50plがより好ましく、0.1〜10plが特に好ましい。上記条件でインク液滴を出射することにより、ドットの長径が1〜30μm、ドットの高さが0.5〜10μmである微細な凸構造を得ることができる。
また、インク液滴の粘度は、25℃において0.1〜20mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜10mPa・sである。
透明樹脂層は、上記凸構造部の項で詳細に説明した活性光線硬化型樹脂、光重合開始剤、光反応開始剤、光増感剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、微粒子、溶媒等を適宜用いてインキ組成物を調製し、更に任意の塗布方法により凸構造部の上に塗布を行う。
透明樹脂層の塗布方法は特に限定されるものではないが、前記インキ組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法、フレキソ印刷法等公知の方法で塗設することが好ましい。
次いで、図11に本発明に好ましく用いられるフレキソ印刷による凸構造部の形成、引き続いて行われるダイコーターを用いた塗布法による透明樹脂層の形成の一例を示す。
図11において、ロール501より繰り出された基材フィルム502は搬送されて、フレキソ印刷部Aにおいてフレキソ印刷によりパターン状の凸構造部が塗設される。ここではインキ供給タンク508からインキ液がアニロックスロール510へ供給され、フレキソ印刷部であるパターン構造を有する樹脂版509にインキが転移される。転移印刷したインキは、活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、フレキソ印刷部である樹脂版509の後に配置されている活性光線照射部506Aで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させる。また、インキが熱硬化性樹脂を用いている場合には、乾燥ゾーン505A、例えば、ヒートプレートにより加熱、硬化される。また、バックロール504Aをヒートロールとして加熱する方法も好ましい。
フレキソ印刷部Aにおいて、活性光線照射部506Aの照射光が、樹脂版509のインキに直接影響を与えないように、活性光線照射部506Aと樹脂版509とを適度な間隔で配置する、或いは活性光線照射部506Aと樹脂版509との間に、遮光壁等を設置することが好ましい。また、乾燥ゾーン505Aの熱が、樹脂版509のインキに直接影響を与えないように、樹脂版509を断熱カバーで被覆する、或いは図で示すように、乾燥ゾーン505Aの乾燥風が遮断されるような仕切りを設置することが好ましい。
転移印刷したインキにより形成されたパターンが維持できる程度に硬化処理を行った基材フィルム502は、乾燥ゾーン505Aで不要な有機溶媒等を蒸発させて硬化を完了させる。
次いで、透明樹脂層塗布部Bにおいて、コーター503より供給されるハードコート層用組成物が凸構造部を含む全面に塗布され、凸構造部非形成部との間で凹凸構造が形成される。透明樹脂層が活性光線硬化型樹脂を含有する場合は、活性光線照射部506B及び506Cにより活性光線が照射される。また、乾燥ゾーン505Bにより乾燥・固化される。
活性光線照射部506A、B、Cの部分では、20〜120℃に温度制御されたバックロール504A、B、C上の基材フィルム502に活性光線を照射することが好ましい。
本発明で、フレキソ印刷によるパターン状の凸構造部を形成する方法は、基材フィルムを1〜500m/min、好ましくは10〜300m/minで移送しながら形成することが好ましい。
インキを転移印刷させる際の基材フィルムは帯電に斑がないことが好ましく、直前で徐電することが好ましく、或いは均一に帯電させてもよい。
また、インキを転移印刷させて形成したパターンをヘイズ、透過鮮明度などの防眩性を測定し、所定の値であることを確認し、ずれや変動が確認された場合、その結果をフィードバックしてインキの調整や樹脂版の交換を行うことが好ましい。
《基材フィルム》
本発明に用いられる基材フィルムとしては、製造が容易であること、活性光線硬化型樹脂層との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルムが好ましい。
また本発明で好ましく用いられるノルボルネン系樹脂フィルムとは、ノルボルネン構造を有する非晶性ポリオレフィンフィルムで、例えば三井石油化学(株)製のAPOや日本ゼオン(株)製のゼオネックス、JSR(株)製のARTON等がある。
本発明においては、中でも特にセルロースエステル系フィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。市販のセルロースエステルフィルムとしては、例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4FR(コニカミノルタオプト(株)製)等が、製造上、コスト面、透明性、接着性等の観点から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
《防眩性反射防止フィルム》
本発明は前記凸構造部、及び透明樹脂層を有する防眩性フィルムの微細凹凸構造を有する面に、下記低屈折率層を設け防眩性反射防止フィルムとすることが好ましい。
特に、本発明においては、低屈折率層は、外殻層を有し内部が多孔質または空洞となっている中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層塗布液をコーティングすることが好ましい。
〈低屈折率層〉
本発明に係る低屈折率層の屈折率は、支持体である基材フィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層形成用組成物は、(a)下記一般式(2)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物或いはその重縮合物及び、(b)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子が組成物を構成することが好ましい。
一般式(2) Si(OR)
(式中、Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。)
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤等を添加してもよい。
〔中空シリカ系微粒子〕
まず、前記(b)で表される外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子について説明する。
中空シリカ系微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
尚、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等との1種または2種以上を挙げることが出来る。このような多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
尚、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例表した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
(有機珪素化合物)
前記一般式(2)で表される有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
低屈折率層への添加方法としては、これらのテトラアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記中空シリカ系微粒子の分散液に加え、テトラアルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を中空シリカ系微粒子の表面に沈着させる。このとき、テトラアルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
また、本発明では低屈折率層に、下記一般式(3)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有させることもできる。
前記一般式(3)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物について説明する。
式中、R1〜R6は炭素数1〜16、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10のアリール基、炭素数7〜14、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
Rfは−(Cabc)−を表し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなRfとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。具体的に、このような含フッ素シリコーン系化合物としては、(MeO)3SiC242424Si(MeO)3、(MeO)3SiC244824Si(MeO)3、(MeO)3SiC2461224Si(MeO)3、(H52O)3SiC244824Si(OC253、(H52O)3SiC2461224Si(OC253で表されるメトキシジシラン化合物等が挙げられる。
バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、形成される透明被膜自体が疎水性を有しているので、透明被膜が充分緻密化しておらず、多孔質であったり、またクラックやボイドを有している場合であっても、水分や酸・アルカリ等の薬品による透明被膜への進入が抑制される。さらには、基板表面や下層である導電層中に含まれる金属等の微粒子と水分や酸・アルカリ等の薬品とが反応することもない。このため、このような透明被膜は、優れた耐薬品性を有している。
また、バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、このような疎水性のみならず、滑り性がよく(接触抵抗が低く)、このためスクラッチ強度に優れた透明被膜を得ることができる。さらに、バインダーが、このような構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、下層に導電層が形成されている場合には、バインダーの収縮率が、導電層と同等か近いものであるため導電層と密着性に優れた透明被膜を形成することができる。さらに、透明被膜を加熱処理する際に、収縮率の違いから、導電層が剥離して、透明導電性層に電気的接触のない部分が生じることもない。このため、膜全体として充分な導電性を維持できる。
フッ素置換アルキル基含有シラン化合物と、前記外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子とを含む透明被膜は、スクラッチ強度が高い上に、消しゴム強度または爪強度で評価される膜強度が高く、鉛筆硬度も高く、強度の上で優れた透明被膜を形成することができる。
本発明に係る低屈折率層にはシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
低屈折率層のその他のバインダーとして用いられるポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂が挙げられる。
低屈折率層は、全体で5〜80質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、中空シリカ微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。バインダーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。
(溶媒)
本発明に係る低屈折率層は有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
有機溶媒の含有量は、低屈折率層塗布組成物中の固形分濃度の1〜4質量%であることが好ましい。有機溶媒は塗布ムラを防止して均一膜厚とするために1質量%以上が好ましく、4質量%を超えると乾燥負荷が大きくなり、乾燥装置の大型化、長時間化となり好ましくない。
〈高屈折率層〉
本発明では、反射防止性を更に高める為に、前記低屈折率層の下層に下記高屈折率層を複数層設けることができる。
本発明に好ましい高屈折率層は、(c)平均粒子径が10〜200nmである金属酸化物微粒子、(d)金属化合物、(e)活性光線硬化型樹脂を含有することが好ましい。
(金属酸化物微粒子)
本発明の高屈折率層には金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることが出来、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。本発明においては、中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが好ましく、特に好ましくは酸化インジウム−スズ(ITO)である。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測してもよいし、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、支持体である基材フィルムの屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.50〜1.90の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑える事もできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
前記金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層の厚さは5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。
使用する金属酸化物微粒子と後述する活性光線硬化型樹脂等のバインダーとの比は、金属酸化物微粒子の種類、粒子サイズなどにより異なるが体積比で前者1に対して後者2から前者2に対して後者1程度が好ましい。
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の使用量は高屈折率層中に5質量%〜85質量%が好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20〜75質量%が最も好ましい。使用量が少ないと所望の屈折率や本発明の効果が得られず、多過ぎると膜強度の劣化などが発生する。
上記金属酸化物微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明では、更にコア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性を更に向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
コアは酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型等)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ等を用いることができるが、ルチル型の酸化チタンを主成分としてもよい。
シェルは酸化チタン以外の無機化合物を主成分とし、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、硫化亜鉛等を主成分とした無機化合物が用いられる。この内アルミナ、シリカ、ジルコニア(酸化ジルコニウム)であることが好ましい。また、これらの混合物でもよい。
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2〜50質量%である。好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは4〜25質量%である。シェルの被覆量が多いと微粒子の屈折率が低下し、被覆量が少な過ぎると耐光性が劣化する。二種以上の金属酸化物微粒子を併用してもよい。
コアとなる酸化チタンは、液相法または気相法で作製されたものを使用できる。また、シェルをコアの周りに形成させる手法としては、例えば、米国特許第3,410,708号、特公昭58−47061号、米国特許第2,885,366号、同第3,437,502号、英国特許第1,134,249号、米国特許第3,383,231号、英国特許第2,629,953号、同第1,365,999号に記載されている方法等を用いることができる。
(金属化合物)
本発明に用いられる金属化合物は下記一般式(4)で表される化合物またはそのキレート化合物を用いることができる。
一般式(4) AnMBx-n
式中、Mは金属原子、Aは加水分解可能な官能基または加水分解可能な官能基を有する炭化水素基、Bは金属原子Mに共有結合またはイオン結合した原子団を表す。xは金属原子Mの原子価、nは2以上でx以下の整数を表す。
加水分解可能な官能基Aとしては、例えば、アルコキシル基、クロル原子等のハロゲン、エステル基、アミド基等が挙げられる。上記式(4)に属する金属化合物には、金属原子に直接結合したアルコキシル基を2個以上有するアルコキシド、または、そのキレート化合物が含まれる。好ましい金属化合物としては、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドまたはそれらのキレート化合物を挙げることができる。チタンアルコキシドは反応速度が速くて屈折率が高く、取り扱いも容易であるが、光触媒作用があるため大量に添加すると耐光性が劣化する。ジルコニウムアルコキシドは屈折率が高いが白濁し易いため、塗布する際の露点管理等に注意しなければならない。また、チタンアルコキシドは紫外線硬化樹脂、金属アルコキシドの反応を促進する効果があるため、少量添加するだけでも塗膜の物理的特性を向上させることができる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
遊離の金属化合物に配位させてキレート化合物を形成するのに好ましいキレート化剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等であって分子量1万以下のものを挙げることができる。これらのキレート化剤を用いることにより、水分の混入等に対しても安定で、塗膜の補強効果にも優れるキレート化合物を形成できる。
金属化合物の添加量は、高屈折率層に含まれる該金属化合物由来の金属酸化物の含有量が0.3〜5質量%であるように調整することが好ましい。0.3質量%未満では耐擦傷性が不足し、5質量%を超えると耐光性が劣化する傾向がある。
(活性光線硬化型樹脂)
活性光線硬化型樹脂は金属酸化物微粒子のバインダーとして塗膜の成膜性や物理的特性の向上のために添加される。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線や電子線のような活性光線の照射により直接、または光重合開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じる官能基を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。官能基としては(メタ)アクリロイルオキシ基等のような不飽和二重結合を有する基、エポキシ基、シラノール基等が挙げられる。中でも不飽和二重結合を2個以上有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを好ましく用いることができる。必要に応じて光重合開始剤を組み合わせてもよい。このような活性光線硬化型樹脂としては、例えば多官能アクリレート化合物等が挙げられ、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。ここで、多官能アクリレート化合物とは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレート化合物のモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
活性光線硬化型樹脂の添加量は、高屈折率組成物では固形分中の50質量%未満であることが好ましい。
本発明に係る活性光線硬化型樹脂の硬化促進のために、光重合開始剤と分子中に重合可能な不飽和結合を2個以上有するアクリル系化合物とを質量比で3:7〜1:9含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。
(溶媒)
本発明の高屈折率層をコーティングする際に用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。
(防汚層)
本発明の防眩性フィルムもしくは防眩性反射防止フィルムは、最表層に防汚層が設けられていることが好ましい。
本発明に好ましい防汚層は、フッ素含有シラン化合物を防汚層形成用組成物に含有することが好ましく、フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物溶液をコーティングして作製する。特に、フッ素含有シラン化合物がシラザンもしくはアルコキシシランであることが好ましい。
また、前記フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物のなかでも、シラン化合物中のフルオロアルキル基が、Si原子1つに対し、1つ以下の割合でSi原子と結合されており、残りは加水分解性基もしくはシロキサン結合基であるシラン化合物が好ましい。
ここでいう加水分解性の基としては、例えばアルコキシ基等の基であり、加水分解によりヒドロキシル基となり、それにより前記シラン化合物は重縮合物を形成する。
例えば、上記シラン化合物は水と(必要なら酸触媒の存在下)、副生するアルコールを留去しながら、通常、室温〜100℃の範囲で反応させる。これによりアルコキシシランは(部分的に)加水分解し、一部縮合反応が起こり、ヒドロキシル基を有する加水分解物として得ることができる。加水分解、縮合の程度は、反応させる水の量により適宜調節することができるが、本発明においては、防汚処理に用いるシラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせるため溶液の固形分濃度を薄く希釈して用いることが好ましい。
好ましくは、防汚層形成用組成物において、前記フルオロアルキル基を有するシラン化合物は下記一般式(5)で表され、かつ該シラン化合物の濃度を0.01〜5質量%に希釈した溶液として用いて、防汚処理することである。
一般式(5) CF3(CF2m(CH2n−Si−(ORa)3
ここにおいて、mは1〜10の整数。nは0〜10の整数。Raは同一もしくは異なるアルキル基を表す。
前記一般式(5)で表される化合物中、Raは炭素原子数3つ以下であり炭素と水素のみからなるアルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル等の基が好ましい。
これら本発明において好ましく用いられるフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するシラン化合物としては、CF3(CH22Si(OCH33、CF3(CH22Si(OC253、CF3(CH22Si(OC373、CF3(CH22Si(OC493、CF3(CF25(CH22Si(OCH33、CF3(CF25(CH22Si(OC253、CF3(CF25(CH22Si(OC373、CF3(CF27(CH22Si(OCH33、CF3(CF27(CH22Si(OC253、CF3(CF27(CH22Si(OC373、CF3(CF27(CH22Si(OCH3)(OC372、CF3(CF27(CH22Si(OCH32OC37、CF3(CF27(CH22SiCH3(OCH32、CF3(CF27(CH22SiCH3(OC252、CF3(CF27(CH22SiCH3(OC372、(CF32CF(CF28(CH22Si(OCH33、C715CONH(CH23Si(OC253、C817SO2NH(CH23Si(OC253、C817(CH22OCONH(CH23Si(OCH33、CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OCH32、CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OC252、CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OC372、CF3(CF27(CH22Si(C25)(OCH32、CF3(CF27(CH22Si(C25)(OC372、CF3(CH22Si(CH3)(OCH32、CF3(CH22Si(CH3)(OC252、CF3(CH22Si(CH3)(OC372、CF3(CF25(CH22Si(CH3)(OCH32、CF3(CF25(CH22Si(CH3)(OC372、CF3(CF22O(CF23(CH22Si(OC37)、C715CH2O(CH23Si(OC253、C817SO2O(CH23Si(OC253、C817(CH22OCHO(CH23Si(OCH33などが挙げられるが、この限りでない。
上記フッ素系シラン化合物としては、例えば信越化学工業株式会社製KP801M、X−24−9146、ジーイー東芝シリコーン株式会社XC98−A5382、XC98−B2472、ダイキン工業(株)オプツールDSX、株式会社フロロテクノロジー製FG5010などが挙げられ、表面処理のための化合物としては、パーフルオロアルキルシラザン、パーフルオロアルキルシラン、もしくはパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、特にパーフルオロアルキルトリアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルトリアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルジトリアルコキシシランが挙げられる。
これらのシラン化合物を用いる際には、フッ素を含まない有機溶媒で0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜5質量%、更に好ましくは0.05〜2質量%に希釈された状態で用いることが好ましい。
本発明において、前記シラン化合物溶液を調製するためにフッ素を含まない有機溶媒が好ましく用いられるが、以下のものが挙げられる。
本発明に用いられる防汚層用の塗布組成物の溶媒としては、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルとしては具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなど。又、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルとしては特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、具体的にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルなど、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酪酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドその他の溶媒などが挙げられる。或いは、これらの溶媒が、適宜混合されて用いられる。混合される溶媒としては、特にこれらに限定されるものではない。
特に好ましい溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種類以上の有機溶媒である。
これらの溶媒中には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのような常圧における沸点が100℃未満のもの(低沸点溶媒)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブチルアルコールのような沸点が100℃以上のもの(高沸点溶媒)を併用することが好ましく、特に沸点が60〜98℃のものと、100〜160℃のものを併用することが好ましい。併用する場合の低沸点溶媒と高沸点溶媒の比率は、低沸点溶媒は組成物中、98.0質量%以上であり、高沸点溶媒が0.5〜2質量%であることが好ましい。
本発明に用いられる防汚層形成用組成物においては、酸を添加してpHを5.0以下に調整し用いることが好ましい。酸は前記シラン化合物の加水分解を促し、重縮合反応の触媒として作用するので、基材表面にシラン化合物の重縮合膜の形成を容易にし、防汚性を高めることができる。pHは1.5〜5.0の範囲が良く、1.5以下では溶液の酸性が強過ぎて、容器や配管をいためる恐れがあり、5以上では反応が進行しにくい。好ましくはpH2.0〜4.0の範囲である。
本発明においては、防汚処理に用いるシラン化合物溶液に積極的には水を添加せず、調製後、主として乾燥時に、空気中の水分等により加水分解反応を起こさせることが好ましい。その為に溶液の固形分濃度を希釈したところで用いる。処理液に水を添加し過ぎると、その分ポットライフが短くなる。
本発明においては硫酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、ホウ酸、フッ酸、好ましくは塩酸、硝酸等の無機酸のほか、スルホ基(スルホン酸基ともいう)またはカルボキシル基を有する有機酸、例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メチルスルホン酸等が用いられる。有機酸は1分子内に水酸基とカルボキシル基を有する化合物であればいっそう好ましく、例えば、クエン酸または酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸が用いられる。また、有機酸は水溶性の酸であることが更に好ましく、例えば上記クエン酸や酒石酸の他に、レブリン酸、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、コハク酸、メチルコハク酸、フマル酸、オキサロ酢酸、ピルビン酸、2−オキソグルタル酸、グリコール酸、D−グリセリン酸、D−グルコン酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、イソクエン酸、乳酸等が好ましく用いられる。また、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アトロバ酸等も適宜用いることができる。
添加量は、前記シラン化合物の部分加水分解物100質量部に対して0.1質量部〜10質量部、好ましくは0.2質量部〜5質量部がよい。また、水の添加量については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上であればよく、100%〜300%相当量、好ましくは100%〜200%相当量を添加するのがよい。
フッ素含有のシラン化合物を用いることによって、防汚層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましいのみでなく、耐傷性が高く、またフィルム同士のブロッキングに特に優れるという効果がある。
(反射防止層の形成)
本発明では反射防止層を設ける方法は特に限定されないが、塗布により形成することが好ましい。
本発明において、基材フィルム上に凸構造部及び透明樹脂層により凹凸構造を形成し、上記の高屈折率層組成物、低屈折率層組成物を用いて順次コーティングする工程により反射防止層を製造することが好ましい。また、前記防汚層をコーティングすることも好ましい。
好ましい防眩性反射防止フィルムの構成を下記に示すが、これらに限定されるものではない。ここで本発明の防眩層とは、本発明に係る凸構造部及び透明樹脂層からなる層を意味する。
基材フィルム/本発明の防眩層/低屈折率層
基材フィルム/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/本発明の防眩層/低屈折率層/防汚層
基材フィルム/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/低屈折率層/防汚層
基材フィルム/帯電防止層/本発明の防眩層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
本発明では、上記本発明の防眩層を形成した後本発明の防眩層の表面に表面処理行い、該表面処理を行った本発明の防眩層表面に本発明に係る低屈折率層(及び高屈折率層)を形成することが好ましい。また、防汚層を設ける前に該低屈折率層に表面処理を行うことも好ましい。
表面処理は、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられ、好ましくはアルカリ処理法、コロナ処理法であり、特に好ましくはアルカリ処理法を用いることができる。コロナ処理とは、大気圧下、電極間に1kV以上の高電圧を印加し、放電することで行う処理のことであり、春日電機(株)や(株)トーヨー電機などで市販されている装置を用いて行うことができる。コロナ放電処理の強度は、電極間距離、単位面積当たりの出力、ジェネレーターの周波数に依存する。コロナ処理装置の一方の電極(A電極)は、市販のものを用いることができるが、材質はアルミニウム、ステンレスなどから選択ができる。もう一方はプラスチックフィルムを抱かせるための電極(B電極)であり、コロナ処理が、安定かつ均一に実施されるように、前記A電極に対して一定の距離に設置されるロール電極である。これも通常市販されているものを用いることが出来、材質は、アルミニウム、ステンレス、及びそれらの金属で出来たロールに、セラミックス、シリコン、EPTゴム、ハイパロンゴムなどがライニングされているロールが好ましく用いられる。本発明に用いられるコロナ処理に用いる周波数は、20kHz以上100kHz以下の周波数であり、30kHz〜60kHzの周波数が好ましい。周波数が低下するとコロナ処理の均一性が劣化し、コロナ処理のムラが発生する。また、周波数が大きくなると、高出力のコロナ処理を行う場合には、特に問題ないが、低出力のコロナ処理を実施する場合には、安定した処理を行うことが難しくなり、結果として、処理ムラが発生する。コロナ処理の出力は、1〜5w・min./mであるが、2〜4w・min./mの出力が好ましい。電極とフィルムとの距離は、5mm以上50mm以下であるが、好ましくは、10mm以上35mm以下である。間隙が開いてくると、一定の出力を維持するためにより高電圧が必要になり、ムラが発生し易くなる。また、間隙が狭くなり過ぎると、印加する電圧が低くなり過ぎ、ムラが発生し易くなる。更にまた、フィルムを搬送して連続処理する際に電極にフィルムが接触し傷が発生する。
アルカリ処理方法としては、ハードコート層を塗設したフィルムをアルカリ水溶液に浸す方法であれば特に限定されない。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が使用可能であり、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度、例えば水酸化ナトリウム濃度は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
アルカリ処理温度は通常10〜80℃、好ましく20〜60℃である。
アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。アルカリ処理後のフィルムは酸性水で中和した後、十分に水洗いを行うことが好ましい。
反射防止層の各層は、凹凸構造部及び透明樹脂層上に、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法を用いて、塗布により形成することができる。塗布に際しては、基材フィルムが、幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、上記塗布を行い、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。
更に、本発明の防眩性フィルムを用いた防眩性反射防止フィルムは、基材フィルム上に前記反射防止層を積層した後、ロール状に巻き取った状態で50〜150℃、1〜30日の範囲で加熱処理を行う製造方法によって製造することができる。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば、50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、150℃であれば1〜3日の範囲が好ましい。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましく、50〜80℃付近で3〜7日間程度行うことが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
上記反射防止層や防汚層等の機能性薄膜がコーティングされた防眩性フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであっても良く、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。またガラス繊維などの充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
このようにして長巻の基材フィルム上に機能性薄膜がコーティングされ、プラスチックコアに巻き取られたロールを、巻き取った状態で前記加熱処理を行うとき、該ロールを回転させることが好ましく、回転は、1分間に1回転以下の速度が好まく、連続でも良く断続的な回転であっても良い。又、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行うことが好ましい。
コアに巻き取られた長巻の防眩性フィルムロールを加熱処理中に回転させる為加熱処理室に専用の回転台を設けることが好ましい。
回転は、断続の場合は停止している時間を10時間以内とすることが好ましく、停止位置は、円周方向に均一となる様にすることが好ましく、停止時間は10分以内とすることがより好ましい。最も好ましくは、連続回転である。
連続回転での回転速度は、1回転に要する時間は好ましくは10時間以下とすることであり、早いと装置的に負担となるため実質的には、15分から2時間の範囲が好ましい。
尚、回転機能を有する専用の台車の場合には、移動や保管中にも光学フィルムロールを回転させることが出来て好ましく、この場合、保管期間が長い場合に生じるブラックバンド対策として回転が有効に機能する。
(偏光板)
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には該フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC4FR、以上コニカミノルタオプト(株)製)も好ましく用いられる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、30〜300nm、Rtが70〜400nmの位相差を有していることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957、特願2002−155395記載の方法で作製することができる。或いは更にディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することができる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(表示装置)
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することができる。本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルムは平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、MVA型液晶表示装置、IPS型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。特に、本発明の目的である色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔セルロースエステルフィルム1の作製〕
以下のセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子及び溶媒を用いてセルロースエステル溶液(ドープ)を調製し、溶液流延製膜法にてセルロースエステルフィルム1を作製した。
セルロースエステル(セルローストリアセテート、アセチル基置換度2.9、Mn=160000、Mw/Mn=1.8) 100kg
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 5kg
可塑剤(エチルフタリルエチルグリコレート) 5kg
紫外線吸収剤(チヌビン109、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)
1.0kg
紫外線吸収剤(チヌビン171、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)
1.0kg
微粒子(アエロジルR972V、日本アエロジル(株)製) 0.3kg
溶媒(酢酸メチル) 440kg
溶媒(エタノール) 110kg
上記のセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子及び溶媒を用いてセルロースエステル溶液(ドープ)を調製した。
次に、33℃に温度調整したセルロースエステル溶液を、ダイに送液して、ダイスリットからステンレスベルト上に均一に流延した。ステンレスベルトの流延部は裏面から37℃の温水で加熱した。流延後、金属支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブという)に44℃の温風をあてて乾燥させ、剥離の残留溶媒量が120質量%で剥離し、剥離の際の張力をかけて1.1倍の縦延伸倍率となるように延伸し、次いで、残留溶媒量が35質量%から10質量%となる間にテンターでウェブ端部を把持し、幅手方向に1.1倍の延伸倍率となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持した後、幅方向の張力を緩和させた後、幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、幅1.5m、膜厚80μm、長さ3000mのセルロースエステルフィルム1を作製した。
〔微粒子添加による防眩性フィルム1の作製〕
上記セルロースエステルフィルム1の表面(B面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)上に、下記のハードコート層用塗布液1を孔径20μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が0.1W/cmで、照射量を0.1J/cmとして塗布層を硬化させ、厚さ5μmの防眩性ハードコート層を形成し防眩性フィルム1を作製した。形成した凹凸についてWYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて平均表面粗さ(Ra)の測定を行った結果、0.55μmであった。
また、凸部の平均中心間距離は77μmであった。
ハードコート層用塗布液1より、合成シリカ微粒子を除いた塗布液を別途作製し、前述と同様な塗布・硬化条件で作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.517であった。
(ハードコート層塗布液1)
下記材料を攪拌、混合し、ハードコート層塗布液1とした。
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 200質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
25質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
合成シリカ微粒子 平均粒子径 1.8μm 40質量部
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤;FZ2207(日本ユニカー製)10質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 固形分で0.6質量部
〔エンボス加工による防眩フィルム2の作製〕
上記セルロースエステルフィルム1の作製において、テンターによる延伸処理後、鋳型を設けたロール(凹凸形成後、凸部高さ1μm、凸部大きさ(長辺)10μm、凸部間距離50μmになるような微細凹凸構造を刻印したもの)とバックロールから構成される凹凸形成部で溶媒を含むフィルムを挟んでフィルムのB面(ステンレスバンド支持体に接していた側をB面とし、その反対側をA面とする。)側に鋳型を設けた熱ロールを押し当てて、A面側にはバックロールを配置し、両ロール間を通すことによってB面側に凹凸を形成した以外は同様にして、エンボス加工したセルロースエステルフィルム2を作製した。尚、凹凸形成部近傍には、除電ワイヤーを設置してフィルムの帯電を抑制した。
上記エンボス加工したセルロースエステルフィルム2の表面(B面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)上に、下記のハードコート層用塗布液2を孔径20μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が0.1W/cmで、照射量を0.1J/cmとして塗布層を硬化させ、厚さ5μmの防眩性ハードコート層を形成し防眩性フィルム2を作製した。
形成された凹凸についてWYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて平均表面粗さ(Ra)の測定を行った結果、0.82μmであった。また、凸部の平均中心間距離は65μmであった。
ハードコート層用塗布液2を、別途前述と同様な塗布・硬化条件で作成した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.521であった。
(ハードコート層塗布液2)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 60質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 40質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
酢酸エチル 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
シリコン化合物 0.5質量部
(BYK−307(ビックケミージャパン社製))
〔フレキソ印刷法による凸構造部を有する防眩性フィルム3〜16の作製〕
上記作製したセルロースエステルフィルム1の表面(A面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)上に、下記凸構造部用インキ液1〜6を孔径20μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して調製し、図11の製造装置によりフレキソ印刷で凸構造部を形成した。フレキソ印刷の印刷パターンはアグファゲバルト社のクリスタル・ラスター・スクリーニング法を用い、2400〜4000dpi(2.54cm当たりのドット数)、1〜10%濃度のパターンを用いた。
凸構造部を形成後、乾燥ゾーン505Aにて90℃で乾燥の後、紫外線ランプ506Aを用い、紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させた。また、アニロックスロールからの塗布液供給量を制御して、凸構造部の平均高さを制御した。
(シームレス樹脂版の仕様)
感光性樹脂版:2−ヒドロキシエチルアクリレート98部とブタンジオールジアクリレート1部を反応して得られたコアとメタアクリル酸20部とN−ブチルアクリレート80部を反応させて得られたコアシェル型ミクロゲル(コア/シェル=2/1)71g、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート25g、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン4gを混合して得られた感光性樹脂組成物を厚み2mmのポリエステルフィルムの上に塗布したのち、波長360nmの紫外線により、1000mJ/cmの露光を行いレーザー彫刻用印刷原版を得た。次いで下記レーザー彫刻条件で微細凹凸構造を彫刻し、図3のように樹脂版ロールに真空引きしながら装着し、全体を120℃20分間加熱を行ったところ継ぎ目が見えなくなりシームレス樹脂版になった。
樹脂版径は500mm、樹脂版のゴム硬度は50とした。ゴム硬度はJIS K 6253に記載の方法に準じてデュロメータで測定した。
こうして作製された凸構造部の上に、下記透明樹脂層用インキ液1〜3を、減圧押出し法によって膜厚を変化させて塗布し、表3、表4記載の防眩性フィルム3〜16を作製した。
〔インクジェット法による凸構造部を有する防眩性フィルム17〜31の作製〕
セルロースエステルフィルム1の表面(B面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)上に、下記凸構造部用インキ液4〜6をインクジェット方式によりインク液滴として2〜16plで出射し、乾燥後0.2秒後に活性光線照射部より紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させ、凸構造部を形成した。
インクジェット出射装置は、ラインヘッド方式(図10の(a))を使用し、ノズル径が3.5μmのノズルを256個有するインクジェットヘッドを10基を準備した。インクジェットヘッドは図9に記載の構成のものを使用した。インク供給系は、インク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、インク供給タンクからインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温(40℃)し、出射温度は40℃、駆動周波数は20kHzで行った。尚、防眩性フィルム17、18、29については、静電方式インクジェットを用いて、インク液滴を1pl以下として凸構造部を作製した。
こうして作製された凸構造部の上に、下記透明樹脂層用インキ液1〜3を、減圧押出し法によって膜厚を変化させて塗布し、表3、表4記載の防眩性フィルム17〜30を作製した。防眩性フィルム31は、防眩性フィルム20に対して透明樹脂層を塗設しなかった。
(凸構造部用インキ液1)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
酢酸エチル 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.2質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部用インキ液1を調製した。
凸構造部用インキ液1を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.522であった。
(凸構造部用インキ液2)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
ITO分散粒子(平均粒子径 65nm) 70質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
10質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.2質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 100質量部
酢酸エチル 100質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部用インキ液2を調製した。
凸構造部用インキ液2を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作成した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.556であった。
(凸構造部用インキ液3)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 50質量部
酸化チタン微粒子分散物(酸化チタン微粒子濃度 20質量%、分散溶媒イソプロパノール、粒径35nm) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
10質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 100質量部
メチルエチルケトン 100質量部
界面活性剤(ポリジメチルシロキサン;KF96(信越化学製)) 0.2質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部用インキ液3を調製した。
凸構造部用インキ液3を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作成した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.573であった。
(凸構造部用インキ液4)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
酢酸エチル 150質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.2質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部用インキ液4を調製した。
凸構造部用インキ液4を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.522であった。
(凸構造部用インキ液5)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
ITO分散粒子 (平均粒子径 65nm) 50質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
10質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.2質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 300質量部
酢酸エチル 300質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部用インキ液5を調製した。
凸構造部用インキ液5、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.556であった。
(凸構造部用インキ液6)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
酸化チタン微粒子分散物(酸化チタン微粒子濃度 20質量%、分散溶媒イソプロパノール、粒径35nm) 70質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
10質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150質量部
メチルエチルケトン 150質量部
界面活性剤(ポリジメチルシロキサン;KF96(信越化学製)) 0.2質量部
上記組成物を混合撹拌し、凸構造部用インキ液6を調製した。
凸構造部用インキ液6を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.573であった。
(透明樹脂層用インキ液1)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 60質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 40質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
4質量部
酢酸エチル 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.5質量部
上記組成物を混合撹拌し、透明樹脂層用インキ液1を調製した。
透明樹脂層用インキ液1を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.522であった。
(透明樹脂層用インキ液2)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
ITO分散粒子(平均粒子径 65nm) 70質量部
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤;FZ2207(日本ユニカー製))
0.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
メチルエチルケトン 500質量部
インキ液の粘度は40℃、東京計器社製のB型粘度計BLを用い測定した結果、3Pa・sであった。
上記組成物を混合撹拌し、透明樹脂層用インキ液2を調整した。
透明樹脂層用インキ液2を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.556であった。
(透明樹脂層用インキ液3)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 100質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
酸化珪素微粒子分散物(酸化珪素微粒子濃度 20質量%、分散溶媒イソプロパノール、粒径35nm) 100質量部
光重合開始剤(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
10質量部
界面活性剤(シリコーン系界面活性剤;FZ2207(日本ユニカー製))
0.5質量部
上記組成物を混合撹拌し、透明樹脂層用インキ液3を調製した。
透明樹脂層用インキ液3を、塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.471であった。
《測定、評価》
(凸構造部径、凸構造部高さ、凸構造部個数、Ra、Smの測定)
凸構造部径、凸構造部高さ、凸構造部個数(1mm当たり)は、透明樹脂層を塗布する前のフイルム試料を用いて、WYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて、約4000μmの範囲(55μm×75μm)について2次元的に測定し、凸部を底部側より等高線のごとく色分けして表示し、フィルム面を基準とした凸部高さ及び凸構造部の長径である凸部径を測定した。また、凸構造部個数は得られた凸構造部の個数を1mmあたりに換算して求めた。これらの測定は、基材フィルムの該当箇所の任意の10点を測定してその平均値として求めた。
表面粗さ(Ra)、平均中心間距離(Sm)は、透明樹脂層を形成した後の試料を用いて、WYKO社製光学干渉式表面粗さ測定機を用いて、JIS B0601の測定方法により測定した。
(防眩効果)
窓のあるオフィスにて、各フィルムを机の上に広げ、天井の蛍光灯照明及び外光のフィルムへの写り込みを下記のように評価した。
5:蛍光灯の輪郭、及び外光がぼけて写り込みが全く気にならない
4:5と3の中間
3:蛍光灯の輪郭、及び外光の写り込みが僅かに認められる
2:3と1の中間
1:蛍光灯の輪郭、及び外光が分かり写り込みが気になる
(ぎらつき)
作製したフィルムについて、目視にてぎらつきを判定した。
5:ぎらつきが全く分からない
4:ぎらつきが極僅かに分かる
3:ややぎらつきが分かる
2:3と1の中間
1:ぎらつきがかなり気になる
(白濁)
作製したフィルムについて、目視にて白濁を判定した。
5:白濁が全く気にならない
4:5と3の中間
3:白濁がやや気になる
2:3と1の中間
1:白濁がかなり気になる
以上の測定、評価結果を下記表3、表4に示す。
表3、表4より、微粒子添加による微細凹凸構造を付与した防眩性フィルム1は、微粒子の分散性のばらつきの為か、ぎらつきが劣り、白濁も見られた。エンボス加工により微細凹凸構造を付与した防眩性フィルム2は防眩効果、ぎらつきがやや劣っており白濁も見られた。また、防眩性フィルム2の先頭と後尾で微細凹凸構造の高さ、大きさが異なっており、鋳型を観察すると鋳型の一部に溶けたフィルムによる目詰まりを起こしていた。
それに対し、本発明の防眩性フィルム3〜28は、防眩効果、ぎらつきに優れ、白濁も気にならないレベルであった。また、防眩性フィルムの先頭と後尾の微細凹凸構造の高さ、大きさが揃っており、高い均一性、生産安定性を有していることが分かった。
また、凹凸部を透明樹脂層で被覆しなかった防眩性フィルム31に対して、凹凸部を透明樹脂層で被覆した防眩性フィルム20は、防眩性向上の効果が明らかである。
実施例2
次いで、実施例1で作製した防眩性フィルム1〜30のハードコート層または透明樹脂層表面に下記表面処理を行った。
〈表面処理〉
アルカリ処理:各防眩性フィルムを、50℃に加熱した1.5mol/l−NaOH水溶液に2分間浸漬しアルカリ処理を行い、水洗後、0.5質量%−HSO水溶液に室温で30秒間浸漬し中和させ、水洗、乾燥を行った。
〔防眩性反射防止フィルムの作製〕
次いで、防眩性フィルム1〜30のハードコート層または透明樹脂層上に下記低屈折率層を塗設した。
(反射防止層の作製:低屈折率層)
下記の低屈折率層塗布組成物1を押出しコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、紫外線を0.1J/cm照射して硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設け、防眩性反射防止フィルム1〜30を作製した。尚、この低屈折率層の屈折率は1.37であった。
また作製した防眩性反射防止フィルムについて、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。反射防止性能は広い波長領域において反射率が小さいほど良好であるため、測定結果から450〜650nmにおける最低反射率を求めた。測定は、観察側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率の測定を行った。測定の結果、上記防眩性反射防止フィルムはいずれも反射率で0.7〜1.2の間に反射率を有し良好な結果を示した。
(低屈折率層塗布組成物1の調製)
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン289gとエタノール553gを混和し、これに0.15%酢酸水溶液157gを添加し、25℃のウォーターバス中で30時間攪拌することで加水分解物Aを調製した。
テトラエトキシシラン加水分解物A 110質量部
中空シリカ系微粒子(下記P−2)分散液 30質量部
KBM503(シランカップリング剤、信越化学(株)製) 4質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207、日本ユニカー(株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 400質量部
イソプロピルアルコール 400質量部
〈中空シリカ系微粒子P−2分散液の調製〉
平均粒径5nm、SiO濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiOとして0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAlとして1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO・Al核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO・Al多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO28質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ系微粒子(P−2)分散液を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は47nm、MOx/SiO(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
〔偏光板の作製〕
次いで、各防眩性反射防止フィルム1〜30を用いて偏光板を作製した。
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記防眩性反射防止フィルム1〜30、裏面側のセルロースエステルフィルム コニカミノルタタックKC8UCR5(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保護フィルムは位相差を有するセルロースエステルフィルムであり、リターデーション値はRo=43nm、Rt=132nmであった。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光膜と貼合する側を鹸化した防眩性反射防止フィルム、セルロースエステルフィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した防眩性反射防止フィルム、セルロースエステルフィルムの上にのせて、更に反射防止層が外側になるように積層し、配置した。
工程4:工程3で積層した防眩性反射防止フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルム試料を圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと防眩性反射防止フィルム1〜30とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板1〜30を作製した。
《液晶表示装置の作製》
液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
市販の32型液晶テレビ(MVA型セル)の予め貼合されていた表面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板1〜30をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、位相差を有するセルロースエステルフィルムの面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置1〜30を各々作製した。
《評価》
得られた液晶表示装置1〜30を用いて、図12で示した様な環境で観察し、前記防眩効果、ぎらつき、及び下記視認性及び動画を表示したときの黒のしまりを各々下記の基準に従い目視にて評価した。尚、照明は40W蛍光灯(松下電器製FLR40S−EX−D/M)10本を天井に設置した。また窓から外光が差し込む状態で評価した。
(視認性及び動画を表示したときの黒のしまり)
前述の様に天井からは蛍光灯による人工照明と窓からの外光が差し込んでいる環境下でTV番組の動画像を同ディスプレイに表示し、比較実験を行った。ディスプレイ正面から1m離れた位置で動画像を観察し官能評価を行った。
5:画面上部の蛍光灯の写り込みが気にならず、画面中央部は外光があっても黒がしまって見え、観察中、観察直後においても疲れず違和感がない
4:5と3の中間
3:画面上部の蛍光灯の写り込みが僅かに認められ、画面中央部は外光があると黒がややしまりに欠け、観察後やや疲れる
2:3と1の中間
1:画面上部の蛍光灯の写り込みが認められ、画面中央部は外光の影響で黒のしまりに欠け、見ていると目が疲れる
防眩性反射防止フィルム/液晶表示装置の構成及び上記評価結果を下記表5に示す。
表5より、微粒子添加による微細凹凸構造を付与した液晶表示装置1は、微粒子の分散性のばらつきの為か防眩効果、ぎらつきの改善が中途であり黒のしまりに劣っていた。エンボス加工により微細凹凸構造を付与した液晶表示装置2は均一な凹凸構造の形成に難があり、ぎらつき、黒のしまりに劣っていた。
それに対して、本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた液晶表示装置3〜28は、防眩効果、ぎらつき、黒のしまりに優れていることが明らかである。
実施例3
〔インクジェット法による凸構造部を有する防眩性フィルム32〜51の作製〕
実施例1で作成した凸構造部用インキ液4を、表6に示される溶媒及び量に変更した以外は同様の方法で、凸構造部用インキ液7を作製し、インクジェット方式により表7に記載の凸構造部を形成した。
各溶媒の粘度は、ビスコメイトVM−1G(山一電機(株)製)を用い、25℃における値を測定した。
凸構造部用インキ液7を基材フィルムに塗布乾燥後・紫外線の照度が0.1W/cmで、照射量が0.1J/cmで硬化させて作製した膜をアッベの屈折計で測定した所、屈折率は1.522であった。
〔防眩性フィルム32〜51の作製〕
作製された凸構造部の上に、実施例1で調製した透明樹脂層用インキ液1を減圧押出し法によって塗布し、防眩性フィルム32〜51を作製した。
〔防眩性フィルムの部分ムラ評価〕
作製した防眩性フィルムをA4サイズ(297×210mm)に切断し、防眩層の形成されていない面に、1mm厚の黒色アクリル板(日東樹脂工業(株)製アクリル樹脂板)を貼り合わせて裏面の反射をなくし、防眩層の部分ムラを以下の判定基準により目視にて判定した。比較として、実施例1で作製した比較の防眩性フィルム1、2、本発明の防眩性フィルム19を同時に評価した。
5…部分ムラは全くない
4…部分ムラはほとんどない
3…部分ムラがかすかに確認できる
2…部分ムラはあるが実用上問題はない
1…部分ムラが明確に視認できる
測定結果を表8に示す。
〔防眩性反射防止フィルムの作製〕
実施例2記載の方法で、防眩性フィルム32〜51の透明樹脂層上に低屈折率層を塗設した。
〔微小範囲のぎらつきの評価〕
得られた防眩性反射防止フィルムを、ガラス基板に接着し、ライトボックス〔コニカミノルタ(株)製:AD−LUX SLIM A4〕上に固定されたマスクパターン(開口率25%)上で微小な範囲のギラツキ度合いを、ルーペ(東海産業(株)製:ピークズームルーペ10−20倍)により20倍に拡大して観察し、以下の基準で評価した。
比較として、実施例2で作製した比較の防眩性反射防止フィルム1、2、本発明の防眩性反射防止フィルム19を同時に評価した。
5…微小な範囲のギラツキは全くない
4…微小な範囲のギラツキはほとんどない
3…微小な範囲のギラツキはあるが実用上問題はない
2…微小な範囲のギラツキが認められる
1…微小な範囲のギラツキが多数ある
測定結果を表8に示す。
表8より、本発明の防眩性フィルムは、防眩効果、ぎらつき、白濁に優れた性能を示すと共に、微小な範囲でのギラツキ、防眩性の部分ムラも少なく、製造安定性にも優れていることが明らかである。

Claims (10)

  1. 基材フィルム上に、ドットの長径が1〜30μm、ドットの高さが0.5〜10μmである微細な凸構造部を1mm2あたり10〜10000個有し、更に該凸構造部を被覆するように透明樹脂層が形成されており、かつ該凸構造部と該透明樹脂層の屈折率が同一であることを特徴とする防眩性フィルム。
  2. 前記透明樹脂層の上に更に、反射防止層または防汚層が形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の防眩性フィルム。
  3. 前記凸構造部、前記透明樹脂層によって構成される防眩層表面の表面粗さ(Ra)が50〜1000nm、凸部または凹部の平均中心間距離(Sm)が10〜200μmであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩性フィルム。
  4. 前記凸構造部の高さに対し、前記透明樹脂層の厚みが1〜5μm厚いことを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
  5. 前記凸構造部または前記透明樹脂層が活性光線硬化型樹脂であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
  6. 前記凸構造部または前記透明樹脂層が熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
  7. 前記凸構造部が、沸点が140〜250℃、25℃測定の粘度が1〜15mPa・sである少なくとも1種類の溶媒を60質量%以上含むインキ組成物から形成されることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の防眩性フィルム。
  8. 前記溶媒が、下記の一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の防眩性フィルム。
    一般式(1) R1−O−(C2x−O)n−R2
    R1、R2 :水素原子、アリール基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基。炭化水素鎖は直鎖でも分岐していてもよい。但し、R1、R2の少なくとも一方は水素原子以外の置換基である。
    n : 1〜3の整数
    x:2〜4の整数
  9. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の防眩性フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の防眩性フィルム、請求の範囲第9項に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
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