JP5267696B1 - キノフタロン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】色彩的特性に優れた顔料となる新規なキノフタロン化合物の提供。
【解決手段】式(2)の化合物に置換ナフタレンジカルボン酸無水物、さらに置換フタル酸無水物を縮合させて対応するキノフタロン化合物を合成する。
Figure 0005267696

(式中、R51〜R55は、水素原子、ハロゲン原子などの基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なキノフタロン化合物およびキノフタロン顔料に関するものである。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インキ、記録ペン等が盛んに利用されている。また、撮影機器ではCCD等の撮像素子において、ディスプレーではLCDやPDP、有機エレクトロルミネッセンス、電子紙(電子ペーパー)におけるカラー画像を記録・再現するためにカラーフィルタが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルタでは、フルカラー画像を表示あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の元素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性や色彩的特性を有し、さまざまな使用条件に適合する色素がないのが実情であり、改善が強く望まれている。
上記の各用途で使用する黄色色素としては、その用途によって求められる色彩的特性や各用途に対する要求品質が異なるが、記録物の耐光性や耐熱性の観点から色素としては主に顔料が使用されており、例えば、カラーフィルタ用途では、C.I.ピグメントイエロー138、同139、同150、同185等が、インクジェット用インク用途やトナー用途ではC.I.ピグメントイエロー1、同12、同13、同17、同62、同65、同74、同83、同93、同95、同128、同155、同180等が使用されている。
一方、従来、キノフタロン化合物としては、多くの化合物が知られているが、色素化合物、特に顔料として好適な、特に高彩度、高着色力で、高耐熱性、高耐光性などを兼ね備えた優れた化合物はあまり知られていない。
キノフタロン化合物としては、C.I.ピグメントイエロー138の分散を安定化するための顔料分散剤が知られている。例えば、特許文献1には、スルホン酸を含有したキノフタロン化合物が、特許文献2には、フタルイミドメチル基が付加したキノフタロン化合物が開示されている。ただし、これらはいずれも、C.I.ピグメントイエロー138の分散を容易にするための顔料分散剤であって、開示されている化合物が色素として有用であることを示すものではない。
また、キノフタロン化合物としては、C.I.ピグメントイエロー138の結晶を調製するための結晶化剤が知られている。例えば、特許文献3には、C.I.ピグメントイエロー138のキナルジン環部にスルホン酸やフタルイミドメチル基が付加したキノフタロン化合物が、特許文献4には、縮合しているフタル酸類が1つであるキナルジン誘導体およびナフタレン誘導体が開示されている。ただし、これらはいずれも、C.I.ピグメントイエロー138の結晶を調整するための結晶調製剤であって、開示されている化合物が色素として有用であることを示すものではない。
また、特許文献5には、下記化合物(1)を出発原料にしたキノフタロン化合物が、経時での分散安定性が改善された顔料組成物として開示されている。
Figure 0005267696
また、特許文献6には、キノフタロン構造が2量体化した化合物を使用することにより、着色力、鮮明性などに優れた顔料組成物が得られるとの記載がある。
しかしながら、これらのキノフタロン化合物は、開示されている化合物が色素として有用であることを示すものではなく、また、その組成物においても着色力不足などの問題が十分には改善されていないのが現状である。
また、特許文献7〜9には、8−アミノキナルジンのアミノ基側に縮合している酸無水物がナフタレン環を有するキノフタロン化合物について開示されている。しかし、これらのアミノ基側にナフタレン環を有するキノフタロン顔料では、彩度や鮮明性等の色素としての特性がまだ不十分である。
特開2002−179979号公報 特開2008−95007号公報 特表2004−501911号公報 特表2006−527290号公報 特開2008−81566号公報 特開2008−74985号公報 特開昭51−147544号公報 特開昭51−146544号公報 特開昭51−150438号公報
本発明の課題は、着色力、色相等の色彩的特性に優れたキノフタロン化合物を提供することにある。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、新規なキノフタロン化合物を得、これが色彩的特性に優れるものであることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるキノフタロン化合物に関する。
Figure 0005267696
[一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子示し、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基からなる群から選ばれた置換基を有してもよいナフチレン基を示し、Zは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基からなる群から選ばれた置換基を有してもよいフェニレン基を示す。]
また、本発明は、下記一般式(1A)〜(1C)のいずれかである前記キノフタロン化合物に関する。
Figure 0005267696

Figure 0005267696

Figure 0005267696
[上記一般式(1A)〜(1C)中、R6〜R10、R21〜R25、R36〜R40は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子示し、R11〜R20、R26〜R35、R41〜R50は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。]
また、本発明は、一般式(1A)〜(1C)のR11〜R20、R26〜R37、R43〜R52が、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子である前記キノフタロン化合物に関する。
また、本発明は、前記キノフタロン化合物からなる顔料(ただし、カラーフィルタ用着色剤を除く)に関する。
本発明によれば、上記一般式(1)で表されるキノフタロン化合物は、彩度および着色力に優れた色素を提供することができる。
図1は、実施例1で製造したキノフタロン化合物(a)の赤外吸収スペクトルである。 図2は、実施例2で製造したキノフタロン化合物(b)の赤外吸収スペクトルである。 図3は、実施例3で製造したキノフタロン化合物(c)の赤外吸収スペクトルである。 図4は、実施例4で製造したキノフタロン化合物(d)の赤外吸収スペクトルである。 図5は、実施例5で製造したキノフタロン化合物(e)の赤外吸収スペクトルである。 図6は、実施例6で製造したキノフタロン化合物(f)の赤外吸収スペクトルである。 図7は、実施例7で製造したキノフタロン化合物(g)の赤外吸収スペクトルである。 図8は、実施例12で製造したキノフタロン化合物(l)の赤外吸収スペクトルである。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書における「C.I.」とは、カラーインデックスを意味する。
<キノフタロン化合物>
本発明の一般式(1)で表されるキノフタロン化合物について説明する。まず、一般式(1)におけるR1〜R5の置換基について説明する。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基の他、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ジエチルアミノエチル基、ベンジル基、4−メチルべンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペントキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基の他、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等の置換基を有するアルコキシル基が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
また、酸性基としては、−SO3H、−COOHが挙げられ、これら酸性基の1価〜3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C64(CO)2N−CH2−)、および、置換基を有してもよいスルファモイル基(H2NSO2−)における「置換基」としては、上記のハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基等が挙げられる。
また、一般式(1)におけるYで表わされるナフチレン基の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基が挙げられるが、これらは、上記R1〜R5で説明した置換基と同義である。
また、一般式(1)におけるZで表わされるアリーレン基の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基が挙げられるが、これらは、上記R1〜R5で説明した置換基と同義である。
上記の置換基の内、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H、−COOH、フタルイミドメチル基、置換基を有しても良いスルファモイル基が挙げられ、より好ましい置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基が挙げられ、さらに好ましい置換基としては、ハロゲン原子が挙げられる。
さらに、本発明のキノフタロン化合物は、一般式(1A)〜(1C)のいずれかであることが好ましい。ここで、R6〜R20、R21〜R35、R36〜R50における、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基は、一般式(1)で説明した基と同義である。
また、本発明のキノフタロン化合物は、一般式(1A)〜(1C)のR6〜R20、R21〜R35、R36〜R50が、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H、−COOH、フタルイミドメチル基、置換基を有しても良いスルファモイル基であることがより好ましく、さらに水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基であることがより好ましく、さらに水素原子またはハロゲン原子であることがより好ましい。
本発明のキノフタロン化合物の具体例として、下記に示すキノフタロン化合物(a)〜(y)等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005267696
Figure 0005267696
Figure 0005267696
Figure 0005267696
<キノフタロン化合物の製造法>
本発明で使用されるキノフタロン化合物は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。以下、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物の一般的な製造法について述べる。まず、下記一般式(2)で表される8−アミノキナルジン類1当量に対して、下記一般式(3)で表されるナフタレンジカルボン酸無水物類もしくは無水ナフタル酸類2〜3当量を、安息香酸中、窒素雰囲気下、160〜200℃で加熱して縮合反応させることで、下記一般式(4)で表される化合物を得ることができる。
Figure 0005267696
[式中、R51〜R55は、一般式(1)におけるR1〜R5と同義である。]
Figure 0005267696
[式中、Yは、一般式(1)におけるYと同義である。]
Figure 0005267696
[式中、R56〜R60およびYは、一般式(1)におけるR1〜R5およびYと同義である。]
つづいて、上記一般式(4)で表される化合物を、水酸化カリウム水溶液中で60℃〜100℃で加熱することで、下記一般式(5)で表される化合物を得ることができる。
Figure 0005267696
[式中、R61〜R65およびYは、一般式(1)におけるR1〜R5およびYと同義である。]
つづいて、上記一般式(5)で表される化合物1当量に対して、下記一般式(6)で表される無水フタル酸類1〜2当量を、安息香酸中、窒素雰囲気下、160〜200℃で加熱して縮合反応させることで、一般式(1)で表されるキノフタロン化合物を得ることができる。ただし、キノフタロン化合物の製造方法はこれらの方法に限定されるものではない。
Figure 0005267696
[式中、Zは、一般式(1)におけるZと同義である。]
本発明のキノフタロン化合物は、その使用用途に合わせて、2種類以上のキノフタロン化合物を併用してもよい。このとき別々に製造したキノフタロン化合物同士を混合しても良いし、同時に2種類以上のキノフタロン化合物を合成することによって製造して、使用しても良い。
<キノフタロン化合物の顔料化>
本発明のキノフタロン化合物は、その置換基の種類によって顔料の性質を示すことがある。キノフタロン化合物が顔料の性質を示す場合、ソルトミリング処理等の方法により、顔料粒子の微細化および整粒を施すことにより、顔料としてより好適に使用することができる。好ましい顔料の一次粒子径は、使用する用途によって異なるが、10nm以上であることが好ましく、また、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、20〜80nmの範囲である。
ソルトミリング処理とは、キノフタロン化合物と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用してキノフタロン化合物が破砕される。キノフタロン化合物をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、キノフタロン化合物100重量部に対して、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、キノフタロン化合物100重量部に対して、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
キノフタロン化合物をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、キノフタロン化合物100重量部に対して、2〜200重量部の範囲であることが好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例中、特に断りの無い限り「部」とは「質量部」を意味する。
実施例に先だって、本発明のキノフタロン化合物の同定方法について説明する。
(キノフタロン化合物の同定方法)
本発明のキノフタロン化合物の同定は、元素分析、赤外吸収スペクトル、およびMALDI TOF−MSスペクトルを用いた。元素分析は、パーキン・エルマー社製 2400 CHN Elemant Analyzerを用いた。赤外吸収スペクトルは日本分光(株)社製のフーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−410を使用して、分解能2cm−1、KBr錠剤法にて測定した。MALDI TOF−MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物の同定を行った。
[実施例1]
(キノフタロン化合物(a)の製造)
安息香酸メチル100部に、8−アミノキナルジン40部、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物115部、安息香酸154部を加え、180℃に加熱し、水を留去しながら6時間攪拌を行った。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール1200部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾別した後、さらにメタノールで洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。つづいて、上記生成物に、水900部、水酸化カリウム150部を加え、90℃に加熱し、16時間撹拌を行った。室温まで冷却後、36%塩酸200部を滴下した。析出した結晶を濾別した後、さらにメタノールで洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。つづいて上記生成物を、安息香酸メチル300部に加え、さらにテトラクロロ無水フタル酸87部、安息香酸123部を加え、180℃に加熱し、水を留去しながら5時間攪拌を行った。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール1200部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾別した後、さらにメタノールで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、キノフタロン化合物(a)141部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(a)であることを同定した。キノフタロン化合物(a)の赤外吸収スペクトルを図1に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(a)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例2]
(キノフタロン化合物(b)の製造)
実施例1で使用した2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物115部の代わりに、1,2−ナフタル酸無水物115部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(b)138部(収率:90%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(b)であることを同定した。キノフタロン化合物(b)の赤外吸収スペクトルを図2に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(b)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例3]
(キノフタロン化合物(c)の製造)
実施例1で使用した2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物115部の代わりに、1,8−ナフタル酸無水物115部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(c)136部(収率:89%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(c)であることを同定した。キノフタロン化合物(c)の赤外吸収スペクトルを図3に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(c)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例4]
(キノフタロン化合物(d)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、テトラブロモ無水フタル酸141部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(d)182部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(d)であることを同定した。キノフタロン化合物(d)の赤外吸収スペクトルを図4に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(d)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例5]
(キノフタロン化合物(e)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、テトラフルオロ無水フタル酸67部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(e)126部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(e)であることを同定した。キノフタロン化合物(e)の赤外吸収スペクトルを図5に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(e)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例6]
(キノフタロン化合物(f)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、3,4−ジクロロ無水フタル酸66部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(f)124部(収率:91%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(f)であることを同定した。キノフタロン化合物(f)の赤外吸収スペクトルを図6に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(f)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例7]
(キノフタロン化合物(g)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、無水トリメリット酸58部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(g)119部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(g)であることを同定した。キノフタロン化合物(g)の赤外吸収スペクトルを図7に示す。なお、得られたキノフタロン化合物(g)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例8]
(キノフタロン化合物(h)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、4−メチル無水フタル酸49部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(h)111部(収率:91%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(h)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(h)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例9]
(キノフタロン化合物(i)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、4−トリフルオロメチルフタル酸71部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(i)124部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(i)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(i)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例10]
(キノフタロン化合物(j)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、4−メトキシフタル酸60部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(j)116部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(j)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(j)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例11]
(キノフタロン化合物(k)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、4−ヒドロキシフタル酸55部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(k)109部(収率:89%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(k)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(k)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例12]
(キノフタロン化合物(l)の製造)
実施例1で使用したテトラクロロ無水フタル酸87部の代わりに、4−スルホフタル酸水溶液(50%)149部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(l)121部(収率:87%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(l)であることを同定した。キノフタロン化合物(l)の赤外吸収スペクトルを図8に示す。
[実施例13]
(キノフタロン化合物(m)の製造)
実施例1で使用した8−アミノキナルジン40部の代わりに、6−ブロモ−8−アミノキナルジン60部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(m)159部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(m)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(m)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例14]
(キノフタロン化合物(n)の製造)
実施例1で使用した8−アミノキナルジン40部の代わりに、7−フルオロ−8−アミノキナルジン45部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(n)144部(収率:91%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(n)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(n)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例15]
(キノフタロン化合物(o)の製造)
実施例1で使用した8−アミノキナルジン40部の代わりに、4−ヒドロキシ−8−アミノキナルジン44部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(o)143部(収率:91%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(o)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(o)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例16]
(キノフタロン化合物(p)の製造)
実施例1で使用した8−アミノキナルジン40部の代わりに、6−メチル−8−アミノキナルジン44部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(p)144部(収率:92%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(p)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(p)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例17]
(キノフタロン化合物(q)の製造)
実施例1で使用した8−アミノキナルジン40部の代わりに、6−トリフルオロメチル−8−アミノキナルジン57部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(q)153部(収率:90%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(q)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(q)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例18]
(キノフタロン化合物(r)の製造)
実施例1で使用した8−アミノキナルジン40部の代わりに、6−メトキシ−8−アミノキナルジン48部を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、キノフタロン化合物(r)149部(収率:91%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(r)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(r)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例19]
(キノフタロン化合物(s)の製造)
実施例12で得られたキノフタロン化合物(l)20部にクロロホルム300部を加え、氷冷下で塩化オキサリル4.4部、N,N−ジメチルホルムアミド1部を添加して、50℃で2時間攪拌した。反応混合液を氷浴中で水500部に加え、析出した結晶をろ過して下記キノフタロン化合物(s’)19部(収率:90%)を得た。
Figure 0005267696
つづいて、キノフタロン化合物(s’)15部にクロロホルム200部を加え、氷冷下でジエチルアミノエチルアミン3.4部を添加し、室温で2時間攪拌した。反応混合液を水350部に加え、析出した結晶をろ過して水洗し、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(s)15部(収率:88%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(s)であることを同定した。
[実施例20]
(キノフタロン化合物(t)の製造)
実施例12で得られたキノフタロン化合物(l)20部をメタノール300部に加えて撹拌し溶解させた。さらに、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王社製コータミン24P;カチオン部分の分子量が228)モル当量分を徐々に添加し、析出した結晶をろ過して水洗し、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(t)26部(収率:91%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(t)であることを同定した。
[実施例21]
(キノフタロン化合物(u)の製造)
実施例12で得られたキノフタロン化合物(l)20部をメタノール300部に加えて撹拌し溶解させた。さらに、10%塩化カルシウム水溶液モル当量分を徐々に添加し、析出した結晶をろ過して水洗し、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(u)18部(収率:89%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(u)であることを同定した。
[実施例22]
(キノフタロン化合物(v)の製造)
実施例1で得られたキノフタロン化合物(a)44部を95%硫酸540部に溶解し、これに38部のN−ヒドロキシメチルフタルイミドを添加し、85℃にて7時間攪拌した。冷却後、この反応溶液を氷水3600部中に滴下し、析出したキノフタロン化合物を瀘別、水洗してそのペーストを得た。得られたペーストを、水5000部に再分散し、室温下にて1時間攪拌した。濾別、水洗後、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(v)52部(収率:93%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(v)であることを同定した。
[実施例23]
(キノフタロン化合物(w)の製造)
実施例1で得られたキノフタロン化合物(a)26部を無水塩化アルミニウム110部、塩化ナトリウム25部、無水塩化第二鉄1.3部を150℃に撹拌加熱している中に加える。180〜200℃で約20時間塩素ガスを通じた後、熔融物を水1500部中に注入し、析出したキノフタロン化合物を瀘別、水洗後、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(w)33部(収率:94%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(w)であることを同定した。なお、得られたキノフタロン化合物(w)は、水、メタノール、ブタノールに溶解しないことを確認し、顔料であることを確認した。
[実施例24]
(キノフタロン化合物(x)の製造)
実施例1で得られたキノフタロン化合物(a)26部を98%硫酸214部と25%発煙硫酸236部中に溶解し、85℃にて2時間攪拌し、スルホン化反応を行った。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に滴下し、析出したキノフタロン化合物を瀘別、水洗してそのペーストを得た。得られたペーストを、水8000部に再分散し、室温下にて1時間攪拌した。濾別、水洗後、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(x)26部(収率:89%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(x)であることを同定した。
[実施例25]
(キノフタロン化合物(y)の製造)
実施例24で得られたキノフタロン化合物(x)25部にクロロホルム300部を加え、氷冷下で塩化オキサリル4.4部、N,N−ジメチルホルムアミド1部を添加して、50℃で2時間攪拌した。反応混合液を氷浴中で水500部に加え、析出した結晶をろ過して下記キノフタロン化合物(y’)23部(収率:91%)を得た。
Figure 0005267696
つづいて、キノフタロン化合物(x’)18部にクロロホルム200部を加え、氷冷下でジエチルアミノエチルアミン3.3部を添加し、室温で2時間攪拌した。反応混合液を水350部に加え、析出した結晶をろ過して水洗し、80℃で一昼夜乾燥させ、キノフタロン化合物(x)18部(収率:89%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、キノフタロン化合物(x)であることを同定した。
以上、実施例1〜25で合成したキノフタロン化合物において、質量分析および元素分析を行った結果を表1および表2に示す。
Figure 0005267696
Figure 0005267696
以下に、本発明により得られるキノフタロン化合物を産業的に使用する例として、トナーにおける使用を参考例として説明するが、本発明のキノフタロン化合物を産業的に使用する形態はこれによって限定されるものではない。参考例および比較例中、特に断りの無い限り「部」とは「質量部」を意味する。また、「PY」とは、カラーインデックスの「ピグメントイエロー」を意味する。
参考例1〜25、比較例1〜5
(粉砕法トナー)
実施例1〜25で製造した各キノフタロン化合物を用い、スチレン−アクリル酸共重合体(ハイマーSBM100、三洋化成工業社製)100部、キノフタロン化合物5部をボールミルにて撹拌混合後、溶融混練、冷却し、粉砕分級して粉砕法トナーを得た。比較例1〜5として、表3に示す公知の顔料を用いて同様に粉砕法トナーを得た。
参考例26〜50、比較例6〜10
(凝集法トナー)
実施例1〜25で製造した各キノフタロン化合物を用い、下記の方法により凝集法トナーを製造した。比較例6〜10として、表4に示す公知の顔料を用いて同様に凝集法トナーを得た。
(1)着色剤分散液の製造
各キノフタロン化合物20部のそれぞれにイオン交換水80部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15、花王社製)3部を添加し、機械式分散にて分散処理して各化合物の着色分散液を得た。
(2)ポリマー乳化液の製造
反応器に、エステルワックスエマルジョン330部((SELOSOL R−586、中京油脂社製)固形分として)、イオン交換水13000部を入れ、90℃に昇温し、アルキルベンゼンスルホン酸塩3部、スチレン2500部、n−ブチルアクリレート650部、メタクリル酸170部、8%過酸化水素水溶液330部、8%アスコルビン酸水溶液330部を添加した。90℃で7時間反応を継続してポリマー乳化液を得た。
(3)トナーの製造
上記ポリマー乳化液150部に、着色分散液9.5部を注入し混合撹拌した。この中に、0.5%の硫酸アルミニウム溶液40部を撹拌しながら注入した。60℃に昇温し、2時間撹拌を継続し、ろ過、洗浄、乾燥し、凝集法トナーを得た。
参考例51〜75、比較例11〜15
(懸濁重合法トナー)
実施例1〜25で製造した各キノフタロン化合物を用い、下記の方法により懸濁重合法トナーを製造した。比較例11〜15として、表5に示す公知の顔料を用いて同様に懸濁重合法トナーを得た。
(1)水系分散媒体の製造
反応器に、イオン交換水710部と0.1モル/リットルの燐酸三ナトリウム水溶液450部を加えて65℃に加温し、1.0モル/リットルの塩化カルシウム水溶液68部を徐々に加え、コロイド状燐酸カルシウムを含む分散液を含む水系分散媒体を調整した。
(2)トナーの製造
スチレンモノマー165部、n−ブチルアクリレート35部にキノフタロン化合物14部を加えてサンドグライダーで分散させた分散液にエステルワックス(カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃))30部を加え、80℃で溶解させた。次いで、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを2部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)11部を加えたものを前記水系分散媒体中に撹拌しながら徐々に加え、水中にモノマーを含む溶液を分散させた。次いで、65℃、10時間重合反応を行った。pH調整、ろ過、洗浄、乾燥し懸濁重合法トナーを得た。
(トナーの評価)
上記各参考例、比較例で得られたトナーのそれぞれ50部に疎水性シリカ0.3部を外添し、電子写真プリンターで以下の方法で評価を行った。また、凝集法トナーおよび懸濁重合法トナーにおいては、着色剤の分散性と分散液の安定性も併せて評価した。評価結果を表3〜5に示す。
〈透明性〉
ベタ画像をOHPシート上にプリントし、画像の透明性を観察した。評価基準は下記の通りである。
A:良好、 B:やや悪い、 C:不良
〈着色力〉
ベタ画像をOHPシート上にプリントし、画像の着色力を観察した。評価基準は下記の通りである。
A:良好、 B:やや悪い、 C:不良
〈分散性〉
分散媒への色素の分散性を観察した。評価基準は下記の通りである。
A:良好、 B:やや悪い、 C:不良
〈分散安定性〉
色素の凝集や沈降がなく、経時で安定した分散状態を有するか否かを観察した。評価基準は下記の通りである。
A:良好、 B:やや悪い、 C:不良
なお、表3〜5中のキノフタロン化合物(z)は、下記の構造式で示される化合物である。
Figure 0005267696
Figure 0005267696
表3に示す通り、参考例と比較して、比較例では粉砕法トナー製造において透明性と着色力が劣る。
Figure 0005267696
表4に示す通り、参考例と比較して、比較例では凝集法トナー製造において分散性、分散液安定性が悪く、透明性と着色力でも劣る。
Figure 0005267696
表5に示す通り、参考例と比較して、比較例では懸濁重合法トナー製造において分散性、分散液安定性が悪く、透明性と着色力でも劣る。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするキノフタロン化合物。
    Figure 0005267696

    [一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子示し、Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基からなる群から選ばれた置換基を有してもよいナフチレン基を示し、Zは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基からなる群から選ばれた置換基を有してもよいフェニレン基を示す。]
  2. 下記一般式(1A)〜(1C)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のキノフタロン化合物。
    Figure 0005267696

    Figure 0005267696

    Figure 0005267696

    [上記一般式(1A)〜(1C)中、R6〜R10、R21〜R25、R36〜R40は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子示し、R11〜R20、R26〜R35、R41〜R50は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、並びに置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。]
  3. 11〜R20、R26〜R35、R41〜R50が、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子である請求項1または2に記載のキノフタロン化合物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のキノフタロン化合物からなる顔料(ただし、カラーフィルタ用着色剤を除く)
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