JP5219973B2 - せん断加工性に優れる圧延銅箔ならびにこれを用いた負極集電体、負極板および二次電池 - Google Patents

せん断加工性に優れる圧延銅箔ならびにこれを用いた負極集電体、負極板および二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池をはじめとする二次電池の負極集電体材料として好適な圧延銅箔、特に、せん断加工においてダレが発生しにくい圧延銅箔、ならびにこれを用いた負極集電体、負極板および電池に関する。
携帯電話、ノート型パソコン等のポータブル機器の普及に伴い、小型で高容量の二次電池の需要が伸びている。また、電気自動車やハイブリッド車等に用いられる中・大型の二次電池の需要も急増している。二次電池のなかでも、リチウムイオン二次電池は、軽量でエネルギー密度が高いことから多くの分野で使用されている。
リチウムイオン二次電池としては、アルミニウム箔にLiCoO2、LiNiO2、LiMn24等の化合物をコーティングしたものを正極として用い、銅箔に炭素質材料等を活物質としてコーティングしたものを負極に用いるものが知られている(図4)。
銅箔には圧延銅箔と電解銅箔がある。圧延銅箔は、圧延による加工歪が材料中に蓄えられて硬化するため、二次電池負極板の材料として、強度、伸び、疲労特性等の点で優れている。市販されている圧延銅箔の多くは、タフピッチ銅または無酸素銅といった純銅を素材とするものである。圧延銅箔の製造プロセスでは、タフピッチ銅または無酸素銅のインゴットを熱間圧延した後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し、最後に最終冷間圧延で18、12、9、6μm等の所定厚みに仕上げる。
一般的に、銅箔負極板の製造は、電解銅箔や粗面加工した後の圧延銅箔を用いて、次のプロセスで行われる。
(1)活物質と結着剤とを溶剤に混練分散したペーストを、銅箔の片面もしくは両面に塗布して負極板材とする。
(2)150〜200℃の温度で数時間から数十時間加熱し乾燥する。
(3)必要に応じ、負極板材に加圧する。
(4)せん断加工を施し、所定形状の負極板へ成型する。
せん断加工とは、板材にせん断変形を加え材料を分離する加工法を言い、例としては、プレス機による打ち抜き加工、シャーリングによる切断加工、丸刃スリッターによる切断加工等がある。
リチウムイオン二次電池では、充電時にはリチウムイオンが正極から負極に移動し、放電時にはリチウムイオンが負極から正極に移動する。リチウムイオンの移動に伴って負極活物質が膨張収縮するため、銅箔は充放電によって機械的な繰り返しストレスを受ける。このストレスにより負極活物質が銅箔から剥離したり銅箔に亀裂が生じたりすると、電池の充放電サイクル寿命が短くなる。そこで、サイクル寿命の向上を目的に、銅箔の改善が試みられてきた。
特開2000−303128(特許文献1)では、電池製造工程で受ける熱履歴によって圧延銅箔が再結晶を起こして強度が低下してしまうこと(軟化)を防止するため、合金元素を添加して固溶させると共に、添加元素の酸化物形成を防止するために酸素含有量を30ppm以下に抑えている。
特開2008−4462(特許文献2)では、電解銅箔の結晶粒を加熱処理によって大きくすることにより、充放電時の膨張圧縮によって結晶粒間に生じる歪を低減し、充放電サイクル特性を改善している。
銅箔の結晶組織レベルの改善については、フレキシブルプリント回路(FPC)基板用圧延銅箔の分野でも様々な検討が行われている。例えば、特開2000−212661(特許文献3)ではFPC用圧延銅箔の屈曲性と軟化特性の改良を目的として、タフピッチ銅中の酸素濃度を限定してCu2O介在物量を調整している。特開2000−256765(特許文献4、「0019」)では、直径1〜5μmの介在物量、および直径が5μm以上の介在物量を抑制すると屈曲性が改良されることを報告している。特開2003−193211(特許文献5、「0029」)では極薄化エッチング加工を施した後の表面を平滑化する目的で、大きな介在物の生成を防止している。
上記のようにFPCの分野では、第二相粒子(介在物)に着目した幾つかの発明が開示され、FPCの特性に対する第二相粒子の弊害が指摘されている。さらに、第二相粒子は圧延の過程で銅箔にピンホールを発生させ、このピンホールがFPCの銅箔回路断線の原因となる。ピンホール発生に至らなくても、第二相粒子の存在や脱落により銅箔回路の形状に異常が生じることもある。このように、FPC用途では第二相粒子は原則として好ましくないものであった。そのため、従来技術では第二相粒子の総量を制限しており、特定サイズの第二相粒子を圧延銅箔、特に電池負極用圧延銅箔の特性改善のために積極的に利用するものではなかった(特許文献3〜5)。
特開2000−303128号公報 特開2008−4462号公報 特開2000−212661号公報 特開2000−256765号公報 特開2003−193211号公報
一方、二次電池負極集電体用の圧延銅箔において、従来から負極板製造プロセスにおける歩留低下の要因になりながら、解決に至っていない課題がある。せん断加工の際にせん断圧力で銅箔表面が塑性変形してダレが発生する問題である(せん断加工後の銅箔断面を示す図2参照)。ダレは、生産効率を低下させるのみならず、負極活物質と銅箔との密着性を阻害して電池性能を低下させる。
ダレの発生は、乾燥工程の熱履歴における銅箔の軟化により助長される。軟化を抑制するだけなら、特許文献1で提案されているように、圧延銅箔素材を銅合金化すれば良い。しかし銅に合金元素を添加すると、導電性が低下するだけでなく、せん断加工の際にプレス金型や刃の寿命が短くなる。さらに、合金化により圧延銅箔の製造コストが上昇するという問題もある。一方、負極集電体用圧延銅箔のダレを防止するために、純銅素材の金属組織を制御することは、これまで検討されていなかった。
そこで、本発明では、銅箔素材を銅合金化することなく、純銅素材のまま、せん断加工性を改善し、リチウムイオン二次電池をはじめとする二次電池の負極集電体材料として好適な、せん断加工性に優れた圧延銅箔ならびにこれを用いた負極集電体、負極板および二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、乾燥工程を経て軟化した圧延銅箔につき、せん断加工性を改善する方策を鋭意研究した。その結果、非金属介在物、析出物、晶出物等の第二相粒子を、その寸法、形態、組成に応じて適正な頻度で銅の母地中に分散させれば、せん断加工性が向上することを見出した。本発明は、この発見に基づき成されたものであり、下記圧延銅箔、負極集電体、負極板および二次電池を提供する。
(1)二次電池の負極集電体として用いられる銅または銅合金箔であって、銅または銅合金の母地中に分散する第二相粒子のうち、直径1〜5μmの第二相粒子が500〜5000個/mm2、直径5μmを超える第二相粒子が10個/mm2未満であり、直径1〜5μmの第二相粒子の90%以上が、5.0以下のアスペクト比を有することを特徴とする負極集電体用圧延銅箔
(2)直径1〜5μmの第二相粒子の90%以上が酸化銅であることを特徴とする、上記(1)に記載の負極集電体用圧延銅箔。
)酸素を150〜300質量ppm含有するタフピッチ銅を素材として製造されることを特徴とする、上記(1)または2)に記載の負極集電体用圧延銅箔。
)上記タフピッチ銅の酸素および銀を除く微量元素の合計が25質量ppm以下であることを特徴とする、上記()に記載の負極集電体用圧延銅箔。
)上記微量元素中の硫黄濃度が10質量ppm以下であることを特徴とする、上記()または()に記載の負極集電体用圧延銅箔。
)上記(1)〜()いずれか1項に記載の圧延銅箔より構成される負極集電体。
)上記()に記載の負極集電体の少なくとも片面に、炭素質材料または黒鉛質材料を主成分とする負極活物質層を有する負極板。
)上記()に記載の負極集電体の少なくとも片面に、金属リチウム、金属スズ、スズ化合物、ケイ素単体、およびケイ素化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種以上を含有する活物質層を有する負極板。
)上記(7)または()に記載の負極板を、セパレータを介し、リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質の主成分とする正極板と絶縁することで極板群を構成し、該極板群を電池ケースに収容し、非水電解液を注液してなる二次電池。


本発明の負極集電体用圧延銅箔は、せん断加工の際にダレが発生しにくく、従来の圧延銅箔に比べ、生産効率が高く、二次電池負極材料として使用すると優れた電池性能を確保できる。
銅合金の母地中に第二相粒子が分散している構造を示す走査電子顕微鏡写真である。 せん断加工後の銅箔断面を示す概略図である。 第二相粒子の長径L2および短径L1を示す概略図である。 一般的な二次電池の構造を示す概略図である。
(第二相粒子の寸法と頻度)
本発明の第二相粒子とは、銅に他の元素が含まれる場合に生成し、銅母相(マトリックス)とは異なる相を形成する粒子をいう。直径1〜5μmおよび直径5μmを超える第二相粒子の数は、鏡面仕上げした銅箔圧延面(圧延面に平行、かつ厚み方向と直交する面)を任意に500箇所選択して得られた1視野0.002mm2の走査電子顕微鏡写真(図1参照)から該当する直径範囲の粒子数を測定して得られる。ここで、直径とは、図3のように粒子の短径(L1)と長径(L2)を測定し、L1とL2の平均値をいう。
本発明では、直径が1μm以上5μm以下の第二相粒子を500個/mm2以上、5000個/mm2以下に規定する。銅箔が直径1〜5μmの第二相粒子を500個/mm2以上の頻度で含有すると、せん断加工で生じるダレが小さくなる。これは第二相粒子がクラックの起点として作用することにより、せん断加工後半における銅の破壊が促進されるためである。
直径1〜5μmの第二相粒子が500個/mm2未満であると、クラックの起点が少なくなるためダレが大きくなる。一方、5000個/mm2を超えると、充放電ストレスを受けた際に銅箔に亀裂が発生しやすくなり、電池の充放電サイクル寿命が短くなる。
充放電サイクル寿命への弊害は、大きな第二相粒子ほど増大する。そこで、上記に加え、直径5μmを超える第二相粒子を10個/mm2未満に規定する。
(第二相粒子の形態)
第二相粒子には、その組成や銅箔の製造履歴に応じ種々の形態のものがある。第二相粒子の形態もせん断加工性に影響し、等方的形態の第二相粒子ほど、せん断加工性の改善効果が大きくなる。
直径1〜5μmの第二相粒子に占める5.0以下のアスペクト比(長径と短径との比)を有する第二相粒子が90%未満であると、クラックの起点となる第二相粒子が少なくなり、せん断加工性の改善効果が著しく小さくなる。また、構造が不均一となるので充放電ストレスを受けた際に銅箔に亀裂が発生しやすくなり、電池の充放電サイクル寿命が短くなる。そこで、直径1〜5μmの第二相粒子の90%以上が、5.0以下のアスペクト比を有することが好ましい。更に好ましくは94%以上である。
ここで、本発明での第二相粒子の形態とは、圧延面に平行で、かつ厚み方向と直交する断面において観察される形態である。アスペクト比は、長径(L2)に対する短径(L1)の割合L2/L1であり、上記記載のとおり第二相粒子数を測定する際に得られた直径1〜5μmの第二相粒子のアスペクト比である。
(第二相粒子の組成および製法)
本発明の銅箔に第二相粒子を導入する方法として、
(a)クロム、ジルコニウム等の固体銅中での溶解度が少ない金属元素を、純銅に添加して析出させる方法、
(b)酸素、硫黄等の非金属元素を純銅に添加して、酸化銅、硫化銅などの化合物を生成させる方法、
(c)金属元素と非金属元素を同時に添加し両者の化合物(例えば、Ni2Si、MgP、Al23、MnS等)を生成させる方法、
などがある。
クロム、ジルコニウム等は熱間圧延、溶体化処理で固溶され、時効処理で直径1μm未満の微細粒子として析出し、析出硬化作用を示す。直径1μm以上の第二相粒子を形成するためには、上記時効処理を比較的高い温度で長時間行い析出物粒子を成長させればよいが、強度の低下を伴う。
酸素を純銅へ添加すると、粒子径が制御しやすく、硬質で圧延変形しにくく等方性に優れた酸化銅粒子を形成できる。
硫黄は銅中への溶解度が非常に低く(600℃で1質量ppm程度)、含有量のほとんどが硫化銅となる。しかし、硫化銅は圧延で長く延びやすく、5.0以下のアスペクト比を達成することが困難となる。
Ni2Si、MgP、Al23、MnS等の第二相粒子の場合、鋳造時に粗大な粒子が形成されやすい。粗大粒子は充放電サイクル寿命を低下させる。粗大粒子を減らすためには、鋳造条件を制御し粒子の成長を抑えること、高温の熱処理により鋳造で生成した粒子を固溶させること、が必要である。
上記の第二相粒子の寸法、頻度、形態を得るためには、酸素を純銅に添加し酸化銅粒子を生成させる方法が、上記方法のなかで最も好適である。
酸化銅粒子を利用して本発明の第二相粒子の寸法、頻度、形態を達成するためには、直径1〜5μmの第二相粒子に占める酸化銅の割合を、90%以上、より好ましくは96%以上に調整することが好ましい。酸化銅からなる第二相粒子は、一般に銅マトリックス中で等方性に優れた形態で存在し、かつ適切な硬度を有するため、せん断加工の際に銅マトリックス内でクラックの起点となりやすいからである。
(銅箔素材)
従来から圧延銅箔の素材として使用されているものとして、タフピッチ銅(JIS−C1100)および無酸素銅(JIS−C1020)が挙げられる。タフピッチ銅は、100〜500質量ppmの酸素および、10〜100質量ppmの不可避的不純物(酸素を除く)を含有する純銅であり、銅分は99.90質量%以上に規格化されている。無酸素銅は、10質量ppm以下の酸素および、10〜100質量ppmの不可避的不純物(酸素を除く)を含有する。これら不可避的不純物の元素の一部は、銅中で第二相粒子(介在物、晶出物、析出物等)を形成する。
上記タフピッチ銅を改良して、本発明の第二相粒子の寸法および頻度、形態を得ることが可能である。すなわち、酸素を150質量ppm以上300質量ppm以下、微量元素(酸素および銀を除く、銅以外の元素)の合計を25質量ppm以下、この微量元素中に含まれる硫黄を10質量ppm以下に調整することで、本発明に好適な銅箔用素材が得られる。
ここで、酸素が150質量ppm未満になると、直径1〜5μmの第二相粒子数が500個/mm2を下回る。また、酸素が300質量ppmを超えると、直径1〜5μmの第二相粒子数が5000個/mm2を超え、400質量ppmを超えると、更に直径5μm以上の第二相粒子が10個/mm2以上になる。
銅中の、酸素および銀を除く微量元素は、第二相粒子として存在する酸化銅粒子のなかに混入して粒子の寸法や形態を変化させる。また、微量元素の酸化物、微量元素と銅の化合物、微量元素同士の化合物等が、新たな第二相粒子として生成する。したがって、微量元素が増加すると、第二相粒子の寸法、頻度、形態の制御が困難になる。そこで、本発明のタフピッチ銅では酸素および銀を除く微量元素の合計が25質量ppm以下であることが好ましい。なお、銀は安定で反応性が低い元素のため、0.1質量%以下であれば、酸化銅粒子の性状を変化させたり、銅中で新たな第二相粒子を形成したりすることはない。したがって本発明では銀は微量元素に加算しない。銅に銀を添加すると、導電性を低下させることなく、耐熱性や強度を改善することができる。銀が0.1質量%を超えると銅箔の延性が低下する。
銅中に比較的高濃度で含有されている微量元素として硫黄がある。硫黄は、タフピッチ銅インゴットを溶製する際に、原料に付着する油分等から容易に混入するため、特に注意が必要である。硫黄が混入すると第二相粒子のアスペクト比が大きくなり、硫黄が10質量ppmを超えると、5.0以下のアスペクト比を有する直径1〜5μmの第二相粒子が90%未満となる。
(銅箔の製造方法)
タフピッチ銅の製造方法も、本発明の第二相粒子の寸法、頻度、形態に影響を及ぼす。タフピッチ銅の製造工程では、電気銅、銅スクラップ等の純銅原料を溶解し、酸素濃度を調整した後、この溶銅を冷却して凝固させ、インゴットを製造する。酸化銅粒子は、凝固の過程で銅の母地のなかに生成する。凝固速度を遅くすると酸化銅粒子は大きくなり、凝固速度を速くすると酸化銅粒子は小さくなる。
インゴットは、熱間圧延により厚さ10mm程度の板に加工され、その後焼鈍と冷間圧延を繰り返して箔に仕上げられる。酸化銅粒子は硬質であり冷間圧延では変形しないが、熱間圧延では変形する。熱間圧延温度が高いほど変形は大きく(アスペクト比が大きく)なり、圧延温度が980℃を超えると5.0以下のアスペクト比を有する直径1〜5μmの第二相粒子を90%以上に調整することが難しくなる。
(電池の構成)
本発明に関わる負極板および二次電池は、上記銅箔を負極集電体として用いることを特徴とするものであり、本発明の圧延銅箔以外の構成については限定されず、一般に用いられている公知のものを用いることができる。
(負極板)
本発明の負極板は、本発明の負極集電体と、負極集電体の片面もしくは両面に結着剤と共に付着される負極活物質より構成される。
負極活物質としては、リチウムの吸蔵放出が可能な炭素質物、金属、金属化合物(金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物)、リチウム合金などが挙げられる。
前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料;熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ系炭素、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体などに500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料;等が挙げられる。
前記金属としては、リチウム、アルミニウム、マグネシウム、スズ、けい素等を挙げることができる。
前記金属酸化物としては、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等が挙げられる。
前記金属硫化物としては、スズ硫化物、チタン硫化物等が挙げられる。
前記金属窒化物としては、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等が挙げられる。
リチウム合金としては、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等が挙げられる。
負極活物質含有層には結着剤を含有させることができる。負極用結着剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)を含む混合物が挙げられる。CMCおよびSBRを含む結着剤を使用することによって、負極活物質と集電体との密着性をより高くすることができる。
負極活物質含有層には、導電剤を含有させることができる。導電剤としては、アセチレンブラック、粉末状膨張黒鉛などのグラファイト類、炭素繊維粉砕物、黒鉛化炭素繊維粉砕物等が挙げられる。
(正極)
正極は、正極集電体と、前記正極集電体の片面もしくは両面に形成される正極活物質含有層より構成される。
正極集電体としては、アルミニウム板、アルミニウムメッシュ材等が挙げられる。
正極活物質含有層は、例えば、正極活物質と結着剤とを含有する。正極活物質としては、二酸化マンガン、二硫化モリブデン、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24等のカルコゲン化合物が挙げられる。これらのカルコゲン化合物は、2種以上の混合物で用いても良い。正極用結着剤としては、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような熱可塑性エラストマー系樹脂、またはフッ素ゴムのようなゴム系樹脂を用いることができる。
正極活物質含有層には、導電補助材としてアセチレンブラック、粉末状膨張黒鉛などのグラファイト類、炭素繊維粉砕物、黒鉛化炭素繊維粉砕物等をさらに含有することができる。
(セパレータ)
正極と負極の間には、セパレータか、固体もしくはゲル状の電解質層を配置することができる。セパレータとしては、例えば20〜30μmの厚さを有するポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム等を用いることができる。
(非水電解質)
非水電解質には、液状、ゲル状もしくは固体状の形態を有するものを使用することができる。また、非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質とを含むことが望ましい。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。使用する非水溶媒の種類は、1種類もしくは2種類以上にすることが可能である。
電解質としては、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)等が挙げられる。電解質は、単独でも混合物の形態でも使用することができる。
(原料)
銅箔の原料には、スクラップは使用せず、高品位の電気銅を用いた。酸素濃度は酸化第二銅を添加することで調整した。微量元素の影響を調べる実験では、高品位電気銅に銀又は微量元素を添加した。
微量元素を添加せずに作製した試料につき、グロー放電質量分析法(GD−MS)による全元素定量分析を行った。その結果、検出された元素とその濃度(質量ppm)は、S:3.2、Fe:0.8、As:0.4、Sb:0.7、Bi:0.2、Pb:0.1、Se:0.2、Te:0.1、Ag:8.3であり、これ以外の元素は分析下限0.1質量ppmで検出されなかった。すなわち銀又は微量元素を添加しない場合、原料由来の銅と酸素以外の元素の合計は14.0質量ppmであり、これから銀を除いた微量元素の濃度は5.7質量ppmであった。
(圧延銅箔の作製)
高周波誘導炉を用い、内径60mmの黒鉛るつぼ中で3kgの高品位電気銅を溶解し、必要に応じて微量元素を添加した後、酸化第二銅を添加した。次に、この溶湯を鋳型に注湯し、厚み30mm、幅60mm、高さ約150mmの直方体形状のインゴットを製造した。その際、冷却速度を変化させるために、鋳込み温度および鋳型の材質を以下のように変化させた。
(1)鋳込み温度:1100〜1300℃の範囲で変化させた。鋳込み温度を下げることにより凝固速度が速くなる。
(2)鋳型材質:レンガ、黒鉛、鋳鉄、純銅の四種類の条件で行った。
次に、このインゴットを800〜1000℃の範囲の所定温度に保持した加熱炉に3時間挿入し、加熱炉から取り出し後、厚さ8mmまで熱間圧延した。熱延材表面の酸化スケールをグラインダーで除去した。その後、再結晶焼鈍と冷間圧延を繰り返して、最終の圧延で箔厚みを18μm〜6μmに仕上げた。
最終圧延の加工度が90%になるように、最終焼鈍の板厚を調整した。ここで圧延加工度rは、r=(to−t)/to(t:圧延後の厚み、to:圧延前の厚み)とする。
得られた圧延銅箔について、下記方法により、第二相粒子、引張強さと伸び、せん断加工性およびサイクル寿命を評価した。
(第二相粒子の評価)
負極活物質の乾燥工程を模して圧延銅箔試料を200℃で1時間加熱した。圧延面を機械研磨して鏡面に仕上げた後、走査電子顕微鏡を用いて、第二相粒子の寸法および個数を測定した。直径1〜5μmの第二相粒子および直径5μmを超える第二相粒子の個数測定は視野0.002mm2の顕微鏡写真500枚に対して行った。
上記測定に使用した直径1〜5μmの第二相粒子のアスペクト比を測定し、アスペクト比が5.0以下の粒子の割合を求めた。また、直径1〜5μmの第二相粒子を任意で50個選択し、それぞれについてEDS(エネルギー分散型X線分析装置)により成分を分析し、50個中の酸化銅粒子の割合を求めた。ここで、銅濃度と酸素濃度の合計が90質量%以上の第二相粒子を酸化銅粒子と定義した。
(引張試験)
負極活物質の乾燥工程を模して圧延銅箔試料を200℃で1時間加熱した。加熱後の試料に対し、IPC(Institute for Interconnecting and Packaging Electronics Circuits)規格、IPC−TM−650;Method 2.4.19に準じて引張強さと伸びを求めた。試験片は、幅12.7mm、長さ150mmとし、試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように採取した。引張り速度は50mm/minとした。
(せん断加工性の評価方法)
負極活物質の乾燥工程を模して圧延銅箔試料を200℃で1時間加熱した。次に、プレス打ち抜き加工により、円形の試料を打ち抜いた。ダイスの孔径は5.000mmとした。ポンチは円筒形とし、その直径は、試料厚みに応じて次の通りとした。厚み18μmの試料:4.994mm、厚み12μmの試料:4.996mm、厚み9μmの試料:4.997mm、厚み6μmの試料:4.998mm。打ち抜き速度は10mm/minとし、材料押さえは行わなかった。
打ち抜いた試料の破面を断面から観察し、図2に示すダレの寸法を測定した。測定位置は、圧延方向に平行な破面部位とした。ダレが箔厚の1/5以下の場合に良好なせん断加工性が得られたと判定した。
(サイクル寿命の評価方法)
以下の手順で図4に示す円筒型のリチウムイオン二次電池を作製し、サイクル寿命を測定した。
(1)負極活物質として鱗片状黒鉛粉末50重量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム5重量部、そして増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース1重量部に対して水99重量部に溶解した増粘剤水溶液23重量部を、混錬分散して負極用ペーストを得た。この負極用ペーストを圧延銅箔試料表面にドクターブレード方式で厚さ200μmに両面塗布し、200℃で1時間加熱し乾燥した。加圧して厚さを160μmに調整した後、せん断加工により成型し負極板6を得た。
(2)正極活物質としてLiCoO2粉末50重量部、導電剤としてアセチレンブラック1.5重量部、結着剤としてPTFE50重量%水性分散体7重量部、増粘剤としてカルボキシルメチルセルロース1重量%水溶液41.5重量部を、混練分散して正極用ペーストを得た。この正極用ペーストを、厚さ30μmのアルミニウム箔からなる集電体上にドクターブレード方式で厚さ約230μmに両面塗布して、200℃で1時間加熱乾燥した。加圧して厚さを180μmに調整した後、せん断加工により成型し正極板5を得た。
(3)正極板5と負極板6とを、厚さ20μmのポリプロピレン樹脂製の微多孔膜からなるセパレータ7を介して絶縁した状態で渦巻状に巻回した電極群を電池ケース8に収容した。
(4)負極板6から連接する負極リード9を、前記ケース8と下部絶縁板10を介して電気的に接続した。同様に正極板5から連接する正極リード3を、封口板1の内部端子に上部絶縁板4を介して電気的に接続した。これら手順の後、非水電解液を注液し、封口板1と電池ケース8とを絶縁ガスケット2を介してかしめ封口して、直径17mm、高さ50mmサイズで電池容量が780mAhの円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
(5)電解液は、エチレンカーボネート30体積%、エチルメチルカーボネート50体積%、プロピオン酸メチル20体積%の混合溶媒中に、電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1.0モル溶解した電解液を所定量注液した。この電解液を正極活物質層および負極活物質層内に含浸させた。
作製した電池を用い、充放電サイクル特性を評価した。20℃の環境下で充放電を行い、3サイクル目における放電容量を初期容量とし、初期容量に対して放電容量が80%に低下するまでサイクル数を計数し、これをサイクル寿命とした。充電条件:4.2Vで2時間の定電流−定電圧充電を行い、電池電圧が4.2Vに達するまでは550mA(0.7CmA)の定電流充電を行った後、さらに電流値が減衰して40mA(0.05CmA)になるまで充電した。放電条件:780mA(1CmA)の定電流で3.0Vの放電終止電圧まで放電した。サイクル寿命が500回以上になった場合に良好なサイクル特性が得られたと判定した。
実施例A(酸素濃度および鋳造条件の影響)
酸素濃度および鋳造条件が直径1〜5μmの第二相粒子の個数へ及ぼす影響を、実施例3、6〜8、10、12〜14および17〜19ならびに比較例1、2、4、5、9、11、15、16および20〜22で検討した。結果を表1に示す。
種々の酸素濃度の溶湯を鋳型および鋳込み温度を変えて鋳造し、インゴットを製造した。インゴットを900℃で3時間加熱した後に厚み8mmまで熱間圧延を行い、冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚みを6〜18μmの箔に仕上げ、第二相粒子、引張り強さと伸び、せん断加工性およびサイクル寿命を評価した。純銅鋳型には冷却水配管を通して水冷し、他の鋳型は空冷とした。鋳型材質の影響としては、レンガ<黒鉛<鋳鉄<純銅の順に凝固速度が速くなる。また、鋳込み温度が低いほど凝固速度が速くなる。この実験(実施例1)では微量元素を添加していないので、銀は8.3質量ppmであり、酸素および銀を除く微量元素の合計は5.7質量ppm、硫黄は3.2質量ppmである。
評価結果を表1に示す。鋳造条件が同じ場合、酸素濃度の上昇に伴い、直径1〜5μmの第二相粒子の個数が増加している(比較例1及び2、実施例3、7、12〜14、比較例15及び16)。また、酸素濃度が高くなると直径5μmを超える第二相粒子が生成し、その個数は酸素濃度上昇とともに増加している(実施例14、比較例15及び16)。なお、各試料とも、直径1〜5μmの第二相粒子の内、アスペクト比が5.0以上の粒子の割合は90%以上、酸化銅粒子の割合は90%以上である。
酸素濃度が150〜300質量ppmで、適切な凝固速度でインゴットが製造された、実施例3、6〜8、10、12〜14および17〜19では、本発明が規定するサイズと数の第二相粒子が得られ、良好なせん断加工性とサイクル寿命が得られている。
酸素濃度が150質量ppmに満たない比較例1、2および20〜22では、直径1〜5μmの粒子が500個/mm2未満であり、その結果ダレが箔厚の1/5を超えている。
酸素濃度が300質量ppmを超える比較例15および16では、直径1〜5μmの粒子が5000個/mm2を超え、さらに比較例16では直径5μmを超える粒子が10個/mm2を超えている。その結果、比較例15、16のサイクル寿命は500回に満たない。
純銅鋳型を使用した比較例4、および融点直上の1100℃で鋳込んだ比較例5は、凝固速度が速過ぎたため、ダレ低減に寄与しない直径1μm未満の微細な第二相粒子が多く析出し、直径1〜5μmの粒子が500個/mm2を下回ってしまった。このためダレが箔厚の1/5を超えた。
1300℃の高温で鋳込んだ比較例9、およびレンガ製鋳型を使用した比較例11は、凝固速度が遅過ぎたため、第二相粒子が顕著に粗大化した。その結果、直径5μmを超える粒子が10個/mm2を超え、サイクル寿命が顕著に低下した。さらに、比較例11については、粒子の粗大化により直径1〜5μmの粒子が500個/mm2を下回ってしまい、ダレが箔厚の1/5を超えた。
実施例B(熱間圧延条件の影響)
熱間圧延条件が直径1〜5μmおよび直径5μmを超える第二相粒子の個数へ及ぼす影響を、実施例13、23〜26ならびに比較例27で検討した。
酸素濃度を約250質量ppmに調整した溶湯を1200℃で鋳鉄製の鋳型に鋳込みインゴットを製造した。インゴットを種々の温度(熱間圧延温度)に保持した加熱炉に3時間挿入し、加熱炉から取り出し後、厚さ8mmまで熱間圧延した。その後、再結晶焼鈍と冷間圧延を繰り返し、厚みを12μmに仕上げて評価した。なお、微量元素を添加してないので、銀は8.3質量ppmであり、酸素および銀を除く微量元素の合計は5.7質量ppm、硫黄は3.2質量ppmである。
評価結果を表2に示す。熱間圧延温度が高くなるに従い、5.0以下のアスペクト比を有する直径1〜5μmの第二相粒子の割合が低くなっている。各試料とも、直径1〜5μmの第二相粒子中の酸化銅粒子割合は90%以上である。
980℃以下の温度で熱間圧延を行った実施例13、23〜26では、直径1〜5μmの第二相粒子の90%以上が5.0以下のアスペクト比を有しており、良好なせん断加工性とサイクル寿命が得られた。
一方、980℃を超える1000℃で熱間圧延を行った比較例27では、直径1〜5μmの第二相粒子の頻度は500〜5000個/mm2であったものの、5.0以下のアスペクト比を有する第二相粒子は90%未満であった。長く延びた第二相粒子はダレ低減に寄与しないばかりでなくサイクル寿命の劣化も招くため、比較例27のダレは箔厚の1/5を超え、サイクル寿命は500回に満たなかった。
なお、熱間圧延温度が800℃と低温であった実施例23では、良好なせん断加工性とサイクル寿命は得られたが、熱間圧延中のインゴット表面に軽い割れが発生したので、割れ部分を面削で除去した後、箔に加工した。したがって、安定した製造はやや困難であった。
実施例C(微量元素の影響)
微量元素がサイクル寿命へ及ぼす影響を、微量元素を添加することにより、実施例12、28〜30、33、35、37、39および40ならびに比較例31、32、34、36および38で検討した。
高品位電気銅を溶解し、微量元素混入を想定し所定元素を所定量添加後、酸素濃度を約220質量ppmに調整した。この溶湯を1200℃で鋳鉄製鋳型に鋳込みインゴットを製造した。900℃で3時間加熱した後に厚み8mmまで熱間圧延を行い、冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚みを12μmに仕上げ、第二相粒子、せん断加工性およびサイクル寿命を評価した。
評価結果を表3に示す。ここで、微量元素合計とは、銅、酸素および銀以外の元素の合計濃度であり、元々含有する濃度(5.7質量ppm)に添加元素量を加算することで求めている。また、硫黄合計は、元々含有する硫黄濃度(3.2質量ppm)に添加硫黄量を加算したものである。
実施例28〜30ならびに比較例31および32は硫黄を添加したものである。硫化銅の生成および酸化銅への硫黄の混入により、直径1〜5μmの第二相粒子に占めるアスペクト比が5.0以下の粒子の割合が低下し、直径1〜5μmの第二相粒子に占める酸化銅粒子の割合も減少した。硫黄が10質量ppmを超える比較例31および32では、直径1〜5μmの第二相粒子のアスペクト比が5.0以上の粒子の割合が90%未満であり、酸化銅粒子の割合も90%未満であった。その結果、ダレが箔厚の1/5を超え、サイクル寿命が500回を下回った。
実施例33および比較例34は、原料へのすずめっき付き銅スクラップ混入を想定し、溶湯に微量のすずを添加したものである。酸化すずの生成および酸化銅へのすずの混入により、直径1〜5μmの第二相粒子に占める酸化銅粒子の割合が減少し、第二相粒子が大型化した。この結果、直径1〜5μmの粒子数が減少し、直径5μmを超える粒子が増加した。酸素および銀以外の微量元素の合計が25質量ppmを超える比較例34では、酸化銅粒子の割合が90%未満となり、直径5μm以上の粒子が10個/mm2を超え、サイクル寿命が500回に満たなかった。
実施例35および比較例36は、原料への黄銅スクラップ混入を想定し、溶湯に微量の亜鉛を添加したものである。すずを添加した場合と同様の結果が得られた。
実施例37および比較例38は、品位の低い電気銅を原料として用いたことを想定し、溶湯に電気銅の主要な不可避的不純物と想定される微量元素を添加したものである。微量元素増量により、酸化銅粒子の割合が減少し、直径1〜5μmの第二相粒子に占めるアスペクト比が5.0以上の粒子の割合が低下し、直径5μmを超える粒子が増加した。酸素、銀以外の微量元素の合計が25質量ppmを超える比較例38では、直径1〜5μmの第二相粒子に占めるアスペクト比が5.0以上の粒子の割合が90%未満で、酸化銅粒子の割合も90%未満であった。その結果、ダレが箔厚の1/5を超え、サイクル寿命が500回に満たなかった。
実施例39および40は、強度および耐熱性を改善するために、銀を添加したものである。本発明が規定するサイズと数の第二相粒子が得られ、良好なせん断加工性とサイクル寿命が得られている。少量の銀を添加しても本発明の効果が発揮されることが示されている。
Figure 0005219973
Figure 0005219973
Figure 0005219973
1:封口板
2:絶縁ガスケット
3:正極リード
4:上部絶縁板
5:正極板
6:負極板
7:セパレータ
8:電池ケース
9:負極リード
10:下部絶縁板

Claims (9)

  1. 二次電池の負極集電体として用いられる銅または銅合金箔であって、銅または銅合金の母地中に分散する第二相粒子のうち、直径1〜5μmの第二相粒子が500〜5000個/mm2、直径5μmを超える第二相粒子が10個/mm2未満であり、直径1〜5μmの第二相粒子の90%以上が、5.0以下のアスペクト比を有することを特徴とする負極集電体用圧延銅箔。
  2. 直径1〜5μmの第二相粒子の90%以上が、酸化銅であることを特徴とする、請求項1に記載の負極集電体用圧延銅箔。
  3. 酸素を150〜300質量ppm含有するタフピッチ銅を素材として製造されることを特徴とする、請求項1または2に記載の負極集電体用圧延銅箔。
  4. 上記タフピッチ銅の酸素および銀を除く微量元素の合計が25質量ppm以下であることを特徴とする、請求項に記載の負極集電体用圧延銅箔。
  5. 上記微量元素中の硫黄濃度が10質量ppm以下であることを特徴とする、請求項またはに記載の負極集電体用圧延銅箔。
  6. 請求項1〜いずれか1項に記載の圧延銅箔より構成される負極集電体。
  7. 請求項に記載の負極集電体の少なくとも片面に、炭素質材料または黒鉛質材料を主成分とする負極活物質層を有する負極板。
  8. 請求項に記載の負極集電体の少なくとも片面に、金属リチウム、金属スズ、スズ化合物、ケイ素単体、およびケイ素化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種以上を含有する活物質層を有する負極板。
  9. 請求項7または8に記載の負極板を、セパレータを介し、リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質の主成分とする正極板と絶縁することで極板群を構成し、該極板群を電池ケースに収容し、非水電解液を注液してなる二次電池。
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