JP5209453B2 - 油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、油脂組成物に関するものであり、特に長期保存しても油脂の結晶が微細で均一である油脂組成物であり、かつ当該油脂組成物を使用して製造した食品の口溶け及びフレーバーリリースが良い油脂組成物に関するものである。
可塑性油脂(マーガリン、ショートニング等)やルウ(カレールウ等)等の食品に配合される油脂としては、通常、固形状の油脂が使用される。固形状の油脂は、保存中に油脂の結晶が粗大化或いは粒状化することがある。油脂の結晶が粗大化或いは粒状化した場合、油脂の口溶けが悪くなるため、製品の商品価値を低下させるという問題がある。
このような問題を解決するための方法として、例えば、パーム油を含有する油中水型乳化油脂組成物を乳化時に高圧処理乳化機により微細乳化した後、冷却混和することで、冷却中の油脂の結晶化が促進され、保存中の固さ変化や結晶粗大化を抑制できることが特許文献1に開示されている。
特開2005−168476号公報
しかし、特許文献1記載の方法は、高圧処理乳化機という特殊な機械を使用していることから、設備投資が必要となるため望ましいものではなかった。
また、可塑性油脂やルウ等の食品には、香料、スパイス等が配合されることが多い。これらの香り立ち、すなわち、フレーバーリリースは、配合される油脂の影響を受けることが知られている。そのため、可塑性油脂やルウ等の食品に配合される油脂には、香料、スパイス等由来のフレーバーリリースが良いことが求められている。
従って、本発明の目的は、長期保存しても油脂の結晶が微細で均一である油脂組成物であり、かつ当該油脂組成物を使用して製造した食品の口溶け及びフレーバーリリースが良い油脂組成物を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために、(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比が0.15〜1.00であり、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるP2Oの含量が20.0質量%〜35.0質量%であり、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量が0.70質量%〜3.00質量%であり、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が3.0質量%未満であることを特徴とする油脂組成物(ただし、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸であり、PPOは1及び2位がパルミチン酸、3位がオレイン酸で構成されるトリアシルグリセロールと、2及び3位がパルミチン酸、1位がオレイン酸で構成されるトリアシルグリセロールを表し、POPは1及び3位がパルミチン酸、2位がオレイン酸で構成されるトリアシルグリセロールを表す。P2Oの含量は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPO含量とPOP含量の合計量のことを表す。また、Stはステアリン酸であり、StStStはステアリン酸3つで構成されるトリアシルグリセロールを表す。以下、同じ。)を提供する。
本発明によると、長期保存しても油脂の結晶が微細で均一である油脂組成物であり、かつ当該油脂組成物を使用して製造した食品の口溶け及びフレーバーリリースが良い油脂組成物を提供することができる。
〔油脂組成物〕
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比が0.15〜1.00であり、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量が0.10質量%〜5.00質量%であり、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が3.0質量%未満である。以下、詳細に説明する。
(油脂組成物のトリアシルグリセロール及び脂肪酸組成)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比が0.15〜1.00である。好ましくは当該質量比が0.20〜0.90であり、さらに好ましくは0.20〜0.80であり、最も好ましくは0.20〜0.73である。
(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比は、例えば、後記するパームオレインのエステル交換油及びパーム系油脂(パーム油、パームステアリン、パームミッドフラクション等)を、後記する範囲で配合することで、上記規定の範囲とすることが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量が0.10質量%〜5.00質量%である。好ましくは当該含量が0.30質量%〜4.00質量%であり、より好ましくは0.70質量%〜3.00質量%であり、さらに好ましくは0.90質量%〜2.80質量%であり、最も好ましくは0.95質量%〜2.50質量%である。本発明の実施の形態に係る油脂組成物がルウに使用される場合、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量は好ましくは0.90質量%〜2.80質量%であり、より好ましくは0.95質量%〜2.50質量%である。
油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量は、例えば、後記する高エルシン酸菜種油の極度硬化油を、後記する範囲で配合することで、上記規定の範囲とすることが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が3.0質量%未満である。好ましくは当該含量が2.0質量%未満、より好ましくは1.5質量%未満であり、さらに好ましくは1.0質量%未満であり、最も好ましくは0.3質量%未満である。
油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量は、例えば、後記する高エルシン酸菜種油の極度硬化油を、後記する範囲で配合することで、上記規定の範囲とすることが可能である。
(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量、及び油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が前記規定の範囲であると、油脂組成物の結晶状態、口溶け、フレーバーリリースの全てにおいて良好な結果が得られる。
また、本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるP2Oの含量が好ましくは15.0質量%〜40.0質量%であり、より好ましくは18.0質量%〜37.0質量%であり、最も好ましくは20.0質量%〜35.0質量%である。P2Oの含量は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPO含量とPOP含量の合計量のことを表す。
油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるP2Oの含量は、例えば、後記するパームオレインのエステル交換油及びパーム系油脂(パーム油、パームステアリン、パームミッドフラクション等)を、後記する範囲で配合することで、上記規定の範囲とすることが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る油脂組成物によれば、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるトランス脂肪酸の含量を低含量にすることが可能であり、0質量%〜0.6質量%にすることができる。トランス脂肪酸の含量は、好ましくは0質量%〜0.5質量%、さらに好ましくは0質量%〜0.4質量%、最も好ましくは0質量%〜0.2質量%である。なお、トランス脂肪酸含量は、AOCS法(Celf−96)に準じてガスクロマトグラフィー法にて測定することができる。
(油脂組成物の配合)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、例えば、高エルシン酸菜種油の極度硬化油、パームオレインのエステル交換油、及びパーム系油脂(特にパーム油、パームステアリン、パームミッドフラクション)を含有して構成される。
<高エルシン酸菜種油の極度硬化油>
本願において高エルシン酸菜種油の極度硬化油は、構成脂肪酸中にエルシン酸を20〜60質量%含む菜種油をヨウ素価が10以下(好ましくはヨウ素価0〜1)になるように水素添加して得られる食用油脂であり、例えば、市販品の高エルシン酸菜種油の極度硬化油(商品名:ハイエルシン菜種極度硬化油、横関油脂株式会社製)を使用することができる。水素添加の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02〜0.3Mpa、160〜200℃の条件にて行うことができる。
高エルシン酸菜種油の極度硬化油は、油脂組成物中に0.2質量%〜10.0質量%含有させることが好ましい。より好ましくは0.5質量%〜8.0質量%、さらに好ましくは1.0質量%〜6.0質量%、最も好ましくは2.0質量%〜5.0質量%である。高エルシン酸菜種油の極度硬化油の含有量を上記範囲にすることにより、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量を0.10質量%〜5.00質量%に調整すること及び油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量を3.0質量%未満に調整することが容易となる。
<パームオレインのエステル交換油>
本願においてパームオレインのエステル交換油は、パームオレインをエステル交換して得られる油脂のことである。本願においてパームオレインは、パーム油又はパーム油の分別油を分別処理して得られる軟質部のことである。パームオレインのヨウ素価は、50〜65であることが好ましく、54〜60であることが最も好ましい。
パームオレインのエステル交換油のヨウ素価は、50〜65であることが好ましく、54〜60であることが最も好ましい。パームオレインのエステル交換油のヨウ素価が上記範囲にあると、得られる油脂組成物が結晶性に優れたものとなる。
分別の方法は、特に限定されないが、ドライ分別、乳化分別、溶剤分別等により行うことができ、特に、ドライ分別により経済的に行うことができる。
ドライ分別は、一般的には槽内で攪拌しながら分別原料油脂を冷却し、結晶を析出させた後、圧搾及び/又はろ過によって硬質部(結晶画分)と軟質部(液状画分)を得ることにより行うことができる。分別温度は、求められる分別油脂の性状によっても異なるが33〜43℃で行うことができる。
エステル交換の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも行うことができる。
化学的エステル交換は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行うことができる。
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼであるリパーゼ製剤を原料油脂に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.04〜5質量%添加した後、40〜80℃、好ましくは40〜70℃で0.5〜48時間、好ましくは0.5〜24時間攪拌しながら反応を行うことができる。
パームオレインのエステル交換油は、油脂組成物中に5.0質量%〜70.0質量%含有させることが好ましい。より好ましくは10.0質量%〜65.0質量%、最も好ましくは15.0質量%〜60.0質量%である。パームオレインのエステル交換油の含有量を上記範囲にすることにより、PPO/POPの質量比を0.15〜1.00に調整することが容易となり、得られる油脂組成物も結晶性に優れたものとなる。
<パーム系油脂>
本願においてパーム系油脂は、パーム油及びパーム油の分別油のことを意味する。パーム系油脂としては、パーム油及びパーム油の分別油であれば何れも使用することができる。具体的には、(1)パーム油の1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン、(2)パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、(3)パームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)、等が例示できる。特にパーム油、パームステアリン、パームミッドフラクションから選ばれる1種以上の油脂を油脂組成物に含有させることが好ましい。パーム油の分別油の分別方法は、前記した方法により行うことができる。
「パーム油」
パーム油を使用する場合には、油脂組成物中に3.0質量%〜50.0質量%含有させることが好ましい。より好ましくは5.0質量%〜40.0質量%、最も好ましくは8.0質量%〜30.0質量%である。パーム油の含有量を上記範囲にすることにより、PPO/POPの質量比を0.15〜1.00に調整することが容易となる。
「パームステアリン」
本願においてパームステアリンは、パーム油を分別処理して得られる硬質部のことである。パームステアリンのヨウ素価は、28〜48であることが好ましく、30〜42であることがより好ましく、31〜38であることが最も好ましい。パームステアリンのヨウ素価が上記範囲にあると、市場での流通量が多く、配合調整が容易となる。
パームステアリンを使用する場合には、油脂組成物中に5.0質量%〜60.0質量%含有させることが好ましい。より好ましくは7.0質量%〜55.0質量%、最も好ましくは10質量%以上50.0質量%未満である。本発明の実施の形態に係る油脂組成物がルウに使用される場合、油脂組成物中に10質量%以上50.0質量%未満含有させることが好ましい。パームステアリンの含有量を上記範囲にすることにより、PPO/POPの質量比を0.15〜1.00に調整することが容易となる。
「パームミッドフラクション」
本願においてパームミッドフラクションは、パームオレインを分別して得られる硬質部のことである。パームミッドフラクションのヨウ素価は、40〜50であることが好ましく、42〜49であることがより好ましく、43〜48であることが最も好ましい。パームミッドフラクションのヨウ素価が上記範囲にあると、得られる食品が口溶けに優れたものとなる。
パームミッドフラクションを使用する場合には、油脂組成物中に20.0質量%〜70.0質量%含有させることが好ましい。より好ましくは22.0質量%〜65.0質量%、最も好ましくは25.0質量%〜60.0質量%である。パームミッドフラクションの含有量を上記範囲にすることにより、PPO/POPの質量比を0.15〜1.00に調整することが容易となる。
PPO/POPの質量比を0.15〜1.00に調整するため及びP2Oの含量を15.0質量%〜40.0質量%に調整するための具体例としては、例えば、前述のパームステアリンと前述のパーム油と前述のパームオレインのエステル交換油を上記範囲で配合すること、前述のパームミッドフラクションと前述のパームオレインのエステル交換油を上記範囲で配合すること等が挙げられる。
前述のパームステアリンと前述のパーム油と前述のパームオレインのエステル交換油との配合比は、質量比で、パームステアリン:パーム油:パームオレインのエステル交換油=3:10:5〜27:10:60であることが好ましい。
前述のパームミッドフラクションと前述のパームオレインのエステル交換油との配合比が、質量比で、パームミッドフラクション:パームオレインのエステル交換油=10:18〜10:3であることがより好ましい。
(油脂組成物中のその他の配合)
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、効果を損なわない程度であれば、油脂成分として動植物油を適宜配合することができる。具体的には、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、ゴマ油、米油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂及び乳脂等やこれらのエステル交換油及び分別油が挙げられる。また、これらの動植物油の部分水素添加油(油脂を部分的に水素添加することで硬くした油脂であり、硬化油とも呼ばれる)を用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物の油脂成分としては、パームステアリン、パームオレインのエステル交換油、パーム油、及び高エルシン酸菜種油の極度硬化油を組み合わせたものや、パームオレインのエステル交換油、パームミッドフラクション、及び高エルシン酸菜種油の極度硬化油を組み合わせたものが好ましい。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、その形状は特に制限されないが、固形状であることが好ましい。ここで、本願において固形状とは、一定の形を持ち、20℃で流動しない状態であることをいう。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、必要に応じて通常の油脂に用いられる添加剤を適宜配合することができる。具体的には、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、油脂の結晶調整等を目的としたグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ビタミンE、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、オリザノール、ジグリセリド、シリコーン、植物ステロール、トコフェロール及びレシチン等が挙げられる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物の製造方法は、(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量、及び油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が前記範囲となるように調製すれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、前記高エルシン酸菜種油の極度硬化油、前記パームオレインのエステル交換油、前記パーム系油脂を原料油脂とし、前記含量となるように配合し、溶解混合することで製造することができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物は、固形状の油脂が配合される油脂食品の油脂として好適に用いることができる。具体的には、例えば、カレー、シチュー、ハヤシ、ホワイトソース等の加工食品に用いられるルウ用の油脂、マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂組成物用の油脂等に好適に用いることができる。
本発明の実施の形態に係る油脂組成物を用いて製造される油脂食品としては、ルウ(カレールウ等)、可塑性油脂組成物(マーガリン、ショートニング等)等が挙げられる。油脂食品中における本発明の実施の形態に係る油脂組成物の含量は、油脂食品の種類によって異なるため、特に限定されるものではない。油脂食品は、本発明の実施の形態に係る油脂組成物を用いること以外は、従来公知の方法で製造ことができる。
〔ルウ〕
本発明の実施の形態に係るルウは、上記本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含有する。
本発明の実施の形態に係るルウは、その形状は特に限定されないが、固形状で、汎用性のある固形ルウであることが好ましい。
本発明の実施の形態に係るルウは、カレールウ、シチュールウ、ハヤシルウ、ホワイトルウ等として用いることができ、特にカレールウとして好適に使用できる。
本発明の実施の形態に係るルウは、油分を25〜75質量%含有することが好ましく、30〜60質量%含有することがより好ましく、30〜50質量%含有することが最も好ましい。ここで、油分とは、本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含めたルウに含まれる油脂成分すべてのことを意味する。
本発明の実施の形態に係るルウの油分中には、効果を損なわない程度であれば、油脂成分として動植物油を適宜配合することができる。具体的には、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、ゴマ油、米油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂及び乳脂等やこれらのエステル交換油及び分別油が挙げられる。また、これらの動植物油の部分水素添加油を用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の実施の形態に係るルウは、油分中における本発明の実施の形態に係る油脂組成物の含量が50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましく、90〜100質量%であることが更に一層好ましく、100質量%(油分が上記本発明の実施の形態に係る油脂組成物のみからなる)であることが最も好ましい。
本発明の実施の形態に係るルウの油分として本発明の実施の形態に係る油脂組成物とそれ以外の油脂成分を併用する場合には、ルウの油分中の(油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比、油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量、及び油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が前述の規定の範囲を満たすようにそれぞれの油分を配合することが好ましい。
本発明の実施の形態に係るルウには、小麦粉が用いられる。小麦粉の配合量は特に制限されることはないが、ルウ中における小麦粉の含量は、30〜75質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。
本発明の実施の形態に係るルウには、油脂(油分)及び小麦粉以外の成分として、通常、ルウに配合される成分を適量使用することができる。具体的には、香辛料(カレー粉等)、食塩、砂糖、乳化剤、糖類、調味料、増粘安定剤、乳製品(牛乳、チーズ、粉乳、生クリーム等)、甘味料、酸味料、着色料、酸化防止剤、蛋白、pH調整剤、果実、果汁、はちみつ、着香料、水等を使用することができる。
本発明の実施の形態に係るルウの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法で製造することができる。例えば、加熱溶解した油脂(油分)に小麦粉を加えて混合し、110〜120℃で撹拌しながら加熱焙煎した後、ここにカレー粉等の香辛料、食塩、糖類、調味料等の副材料を添加して、混合することでルウを調製することができる。さらに、得られたルウを型に入れて、風冷等の冷却方法によって、0〜25℃で5〜120分間冷却し、固化させることにより、固形ルウとすることができる。
〔可塑性油脂組成物〕
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物は、上記本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含有する。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物は、油相中に油分を含有しており、可塑性油脂組成物の油相中おける油分含量は、80〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることが最も好ましい。ここで、油分とは、本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含めた可塑性油脂組成物の油相中に含まれる油脂成分すべてのことを意味する。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物の油相には、本発明の効果を損なわない範囲において、油脂成分として本発明の実施の形態に係る油脂組成物以外の動植物油を含有させることもできる。動植物油は、通常、可塑性油脂に配合させる油脂であれば、特に制限なく使用することができるが、例えば、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、ゴマ油、米油、パーム核油、ヤシ油、乳脂、バター等が挙げられる。また、これらの動植物油の部分水素添加油を用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
可塑性油脂組成物の油相に含まれる油分中における本発明の実施の形態に係る油脂組成物の含量は、80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、95〜100質量%であることが更に一層好ましく、100質量%(油相中の油分が上記本発明の実施の形態に係る油脂組成物のみからなる)であることが最も好ましい。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物の油相に含まれる油分として本発明の実施の形態に係る油脂組成物とそれ以外の油脂成分を併用する場合には、可塑性油脂組成物の油相に含まれる油分中の(全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比、全構成脂肪酸に占めるベヘン酸の含量、及び全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が前述の規定の範囲を満たすようにそれぞれの油分を配合することが好ましい。
また、本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物は、水相を有するものと、水相を有さないものとに大別される。
水相を有する可塑性油脂組成物の形態としては、油中水型乳化物、水中油型乳化物、二重乳化型乳化物が挙げられるが、油中水型乳化物であることが好ましい。油中水型乳化物タイプの可塑性油脂組成物としては、マーガリン、ファットスプレッドが挙げられる。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物が油中水型乳化物、水中油型乳化物、二重乳化型乳化物である場合、油相の含量は、48〜98質量%であることが好ましく、60〜98質量%であることが好ましい、水相の含量は、2〜52質量%であることが好ましく、2〜40質量%であることがより好ましい。可塑性油脂組成物の油相、水相の含量が上記範囲であると、得られる可塑性油脂組成物が低温での可塑性の良いものとなる。
油相には、油分(本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含む全油脂成分)、乳化剤、香料等が配合される。水相には、水、食塩、脱脂粉乳、呈味成分等が配合される。
水相を有さない可塑性油脂組成物の形態としては、ショートニングが挙げられる。可塑性油脂組成物がショートニングである場合、油相の含量は100質量%となる。ショートニングには、油分(本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含む全油脂成分)、乳化剤等が配合される。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物には、乳化剤を配合することができる。乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の合成乳化剤でない乳化剤が挙げられる。可塑性油脂組成物中における乳化剤の配合量は、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることが更に好ましい。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物は、その他の成分として、通常、可塑性油脂組成物に配合される成分を配合することができる。その他の成分としては、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β‐カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)、ルチン等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白等の乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。
具体的には、先ず、本発明の実施の形態に係る油脂組成物を含む油相を溶解し、必要により水相を混合乳化した後、冷却し、結晶化させることで製造することができる。冷却、結晶化は、冷却可塑化させることが好ましい。
冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上である。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せも挙げられる。
また、油相の溶解後又は混合乳化後は、殺菌処理することが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
〔加工食品〕
本発明の実施の形態に係る加工食品は、前記油脂食品(例えば、上記本発明の実施の形態に係るルウ、上記本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物等)を使用して製造される。加工食品中における前記油脂食品の配合量は、加工食品の種類によって異なるため、特に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係るルウを使用して製造される本発明の実施の形態に係る加工食品としては、カレーソース(単にカレーと呼ばれることもある)、シチュー、ハヤシソース(ハヤシ、デミグラスソースと呼ばれることもある)、ホワイトソース等が挙げられ、これらの加工食品は、レトルト食品(インスタント食品、即席食品と呼ばれることもある)として使用することもできる。特にカレーソースが好適なものとして挙げられる。これらの加工食品の製造方法は、特に限定されるものではなく、本発明の実施の形態に係るルウ、野菜、肉等を用いて、従来公知の方法で製造することができる。
本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物を使用して製造される本発明の実施の形態に係る加工食品としては、パン、菓子等が挙げられる。これらの加工食品の製造方法は、特に限定されるものではなく、本発明の実施の形態に係る可塑性油脂組成物、を用いて、従来公知の方法で製造することができる。
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、長期保存しても油脂の結晶が微細で均一である油脂組成物であり、かつ当該油脂組成物を使用して製造した食品の口溶け及びフレーバーリリースが良い油脂組成物を提供することができる。
したがって、本発明の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
1)口溶けが良く、更にフレーバーリリースが良い油脂食品(特に、ルウ又は可塑性油脂組成物)を提供できる。
2)口溶けが良く、更にフレーバーリリースが良い加工食品(特に、ルウ又は可塑性油脂組成物を使用したもの)を提供できる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1〜7及び比較例1〜5の油脂組成物の調製)
表1及び表2に示す配合で下記の原料油脂(油脂1〜油脂8)を混合し、実施例1〜7の油脂組成物及び比較例1〜5の油脂組成物を得た。原料油脂のヨウ素価は「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」の方法に準じて測定した。
〔油脂1〕
パームステアリン(ヨウ素価33、製法:パーム油を乾式分別して得られた硬質部、日清オイリオグループ株式会社社内製)を油脂1とした。
〔油脂2〕
菜種油の部分水素添加油(ヨウ素価74、商品名:菜種硬化油34、トランス脂肪酸含量37.3質量%、日清オイリオグループ株式会社製)を油脂2とした。
〔油脂3〕
高エルシン酸菜種油の極度硬化油(ヨウ素価0、商品名:ハイエルシン菜種極度硬化油、横関油脂株式会社製)を油脂3とした。
〔油脂4〕
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を油脂4とした。
〔油脂5〕
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで得られた軟質部(パームオレイン:ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を、減圧下110℃に加熱することにより十分に乾燥させた後、対油0.2質量%のナトリウムメトキシドを添加し、減圧下110℃30分間攪拌し、エステル交換反応を進行させた。エステル交換反応終了後、水洗、脱色、脱臭を行うことでパームオレインのエステル交換油(ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、これを油脂5とした。
〔油脂6〕
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで得られた軟質部(パームオレイン:ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を、さらに分別することで硬質部(パームミッドフラクション:ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、これを油脂6とした。
〔油脂7〕
パーム油の極度硬化油(ヨウ素価0、商品名:パーム極度硬化油、横関油脂株式会社製)を油脂7とした。
〔油脂8〕
大豆油(ヨウ素価130、商品名:大豆白絞油、日清オイリオグループ株式会社製)を油脂8とした。
〔測定方法〕
表1及び表2に示す油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPO、POP、StStSt含量、並びに油脂組成物中のベヘン酸含量及びトランス脂肪酸含量の測定は以下の方法により測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStSt含量は、JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)を参考にしたガスクロマトグラフィー法により測定した。また、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPO含量及びPOP含量は、JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)を参考にしたガスクロマトグラフィー法によるPOP含量とPPO含量の合計量の分析、及びJ.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)を参考にした銀イオンカラム−高速液体クロマトグラフィーによるPOP含量とPPO含量の組成比の分析を組み合わせることにより測定した。
油脂組成物中のベヘン酸含量及びトランス脂肪酸含量は、AOCS Ce1f−96に準じて測定した。
(調製油脂組成物の結晶状態の評価)
実施例1〜7の油脂組成物及び比較例1〜5の油脂組成物を一度完全に溶解した後、各油脂組成物をスライドガラスに1滴落として直ちにカバーガラスで挟み込み、60℃で30分以上放置した。その後、カバーガラスを5℃で1時間(調製直後品として評価)、1ヶ月、2ヵ月保存した後、偏光顕微鏡を用いて油脂組成物の結晶状態を観察した。
各油脂組成物の結晶状態を、下記評価基準により比較評価した。評価結果を表1及び表2に示した。
(結晶状態の評価基準)
◎ :結晶が微細かつ均一である
○ :結晶がほぼ均一である
△ :結晶が粗大し始めている
× :結晶が粗大している
Figure 0005209453
Figure 0005209453
表1から分かるように、実施例1〜7の油脂組成物は、調製後から2ヶ月経っても結晶状態がほぼ均一であり、結晶状態が良好なものであった。
一方、表2から分かるように、ベヘン酸含量が0.10質量%未満である比較例1の油脂組成物、PPO/POPが0.15未満である比較例2の油脂組成物、StStSt含量が3.0質量%以上である比較例3の油脂組成物、PPO/POPが1.00を超える比較例4の油脂組成物及びベヘン酸含量が5.00質量%を超える比較例5の油脂組成物は、1〜2ヵ月後には結晶が粗大し始めているか、粗大しており、結晶状態が満足いくものではなかった。
(マーガリンの調製及び評価)
前記した実施例5〜7の油脂組成物及び比較例1〜5の油脂組成物を使用し、以下の方法により、表3及び表4に示す配合でマーガリンを調製した。
表3及び表4に示す配合で各油脂組成物と乳化剤、香料を混合することで油相を調製した。次に、表3及び表4に示す配合で水相を調製し、調製した油相と水相を表3及び表4に示す配合比で混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、実施例8〜10のマーガリン及び比較例6〜10のマーガリンを得た。
各マーガリンを食した時の口溶け及びフレーバーリリースを、下記評価基準により比較評価した。評価結果を表3及び表4に示した。
(口溶けの評価基準)
◎ :口中で非常になめらかであり、非常に良好
○ :口中でなめらかであり、良好
△ :口中でややべたつきを感じるが、まずまず良好
× :口中でべたつきを感じ、不良
(フレーバーリリースの評価基準)
◎ :香料由来のフレーバーがかなり引き立っており、非常に良好
○ :香料由来のフレーバーが引き立っており、良好
△ :香料由来のフレーバーが若干抑えられているが、まずまず良好
× :香料由来のフレーバーが抑えられており、不良
Figure 0005209453
Figure 0005209453
表3から分かるように、実施例5〜7の油脂組成物を用いて調製した実施例8〜10のマーガリンは、口溶け及びフレーバーリリースが良く、良好なものであった。
一方、表4から分かるように、ベヘン酸含量が0.10質量%未満である比較例1の油脂組成物、PPO/POPが0.15未満である比較例2の油脂組成物、StStSt含量が3.0質量%以上である比較例3の油脂組成物、PPO/POPが1.00を超える比較例4の油脂組成物及びベヘン酸含量が5.00質量%を超える比較例5の油脂組成物を用いて調製した比較例6〜10のマーガリンは、口溶け及びフレーバーリリースの両評価共に良好な結果が得られるものはなかった。
(カレーソースの調製及び評価)
前記した実施例1〜7の油脂組成物及び比較例1〜5の油脂組成物を用い、以下の方法でカレーソースを調製した。
各油脂組成物100g及び小麦粉100gを、加熱攪拌鍋に入れ、かき混ぜながら120℃に達するまで加熱した。次に、各油脂組成物及び小麦粉の混合物を、攪拌混合しながら品温を約110℃まで下げ、カレー粉30g、食塩28g、調味料26g、砂糖17gを順次添加し、更に攪拌混合することでカレールウを調製した。調製したカレールウを更に攪拌しながら品温60℃まで冷却した後、ポリプロピレン製の型に流し込み、冷蔵庫で冷却することで固形カレールウを調製した。カレーソース中のカレールウ含量が20質量%となるように、固形カレールウをお湯に溶かすことで実施例11〜17のカレーソース及び比較例11〜15のカレーソースを得た。
各カレーソースを食した時の口溶け及びフレーバーリリースを、下記評価基準により比較評価した。評価結果を表5及び表6に示した。
(口溶けの評価基準)
◎ :口中で非常になめらかであり、非常に良好
○ :口中でなめらかであり、良好
△ :口中でややべたつきを感じるが、まずまず良好
× :口中でべたつきを感じ、不良
(フレーバーリリースの評価基準)
◎ :香味が強く感じられ、非常に良好
○ :香味が感じられ、良好
△ :香味が弱いが、まずまず良好
× :香味が感じられず、不良
Figure 0005209453
Figure 0005209453
表5から分かるように、実施例1〜7の油脂組成物を用いて調製した実施例11〜17のカレーソースは、口溶け及びフレーバーリリースが良く、良好なものであった。
一方、表6から分かるように、ベヘン酸含量が0.10質量%未満である比較例1の油脂組成物、StStSt含量が3.0質量%以上である比較例3の油脂組成物及びベヘン酸含量が5.00質量%を超える比較例5の油脂組成物を用いて調製した比較例11、13、15のカレーソースは、口溶け及びフレーバーリリースの両評価共に良好な結果が得られるものはなかった。また、PPO/POPが0.15未満である比較例2の油脂組成物及びPPO/POPが1.00を超える比較例4の油脂組成物を用いて調製した比較例12、14のカレーソースは、口溶け及びフレーバーリリースの両評価共に良好な結果が得られた。
なお、PPO/POPが0.15未満である比較例2の油脂組成物及びPPO/POPが1.00を超える比較例4の油脂組成物は、カレーソースの評価で良好な結果が得られたが、結晶状態の評価及びマーガリンの評価は満足いくものではなかったため、総合的には満足いくものではないと判断した。

Claims (11)

  1. (油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比が0.15〜1.00であり、
    油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるP2Oの含量が20.0質量%〜35.0質量%であり、
    油脂組成物を構成する全脂肪酸に占めるベヘン酸の含量が0.70質量%〜3.00質量%であり、
    油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるStStStの含量が3.0質量%未満であることを特徴とする油脂組成物。
    (ただし、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸であり、PPOは1及び2位がパルミチン酸、3位がオレイン酸で構成されるトリアシルグリセロールと、2及び3位がパルミチン酸、1位がオレイン酸で構成されるトリアシルグリセロールを表し、POPは1及び3位がパルミチン酸、2位がオレイン酸で構成されるトリアシルグリセロールを表す。P2Oの含量は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPO含量とPOP含量の合計量のことを表す。また、Stはステアリン酸であり、StStStはステアリン酸3つで構成されるトリアシルグリセロールを表す。以下、同じ。)
  2. 高エルシン酸菜種油の極度硬化油、パームオレインのエステル交換油、及びパーム系油脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 前記パーム系油脂は、パーム油、パームステアリン、及びパームミッドフラクションから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の油脂組成物。
  4. 前記油脂組成物が、ルウ用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  5. 前記ベヘン酸の含量が0.90質量%〜2.80質量%であり、パームステアリンを10質量%以上50質量%未満含有することを特徴とする請求項4に記載の油脂組成物。
  6. 前記油脂組成物が、可塑性油脂組成物用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  7. 前記油脂組成物が、固形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  8. (油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPPOの含量/油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるPOPの含量)の質量比が0.15〜0.44であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有することを特徴とする油脂食品。
  10. 前記油脂食品がルウ又は可塑性油脂組成物であることを特徴とする請求項に記載の油脂食品。
  11. 請求項又は請求項10に記載の油脂食品を使用したことを特徴とする加工食品。
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