JP7424776B2 - 即席調理食品用油脂組成物およびこれを含む即席調理食品 - Google Patents

即席調理食品用油脂組成物およびこれを含む即席調理食品 Download PDF

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Description

本発明は、即席調理食品用油脂組成物およびこれを含む即席調理食品に関する。
従来、簡便さと美味しさから、即席調理食品として、カレールウ、ハヤシルウ、ホワイトルウ等の固形ルウが家庭、食堂、給食等に広く使用されている。このような固形ルウは、小麦粉、食用油脂、調味料等を配合して混合加熱した後、包材となる成形容器の型に流し込み、冷却固化させることによって製造されている。また、この固形ルウは、一般に常温で流通・販売され、調理時には熱水に溶解しカレーやシチュー等として喫食に供されている。
固形ルウなどの即席調理食品は、流通時に高温に晒されると、油脂成分のうち融点の低い部分が融解して表面に浮出して再結晶化し、粗大結晶を形成して表面が白色化したり、表面のザラツキや触感の悪さが発生することで、製品価値を低下させてしまう場合がある。
このような即席調理食品の表面の白色化などを抑制するための技術として、例えば、特許文献1、2が知られている。
特開2015-123017号公報 特開2008-131922号公報
しかしながら、近年、原料供給事情などにより、牛脂やラードなどの動物系油脂の一部を植物系油脂に置き換える試みがなされており、植物系油脂の割合が増えると、さらに即席調理食品の白色化が起こりやすくなる。このような状況にあって、特許文献1、2の即席調理食品用油脂組成物の場合、即席調理食品の白色化を抑制することが難しい場合がある。
さらに、固形ルウなどの即席調理食品には、ロウ臭と呼ばれる、食べた時の口溶けの悪さによる蝋のような風味が生じる場合があり、ロウ臭を抑制することも検討すべき点であると考えられている。特許文献1、2の即席調理食品用油脂組成物の場合、食べた時の口溶けが必ずしも良好でなく、ロウ臭を十分に抑制することは難しいという問題もある。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭を確実に抑制することができる即席調理食品用油脂組成物、および、これを含む即席調理食品を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の即席調理食品用油脂組成物は、トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有することを特徴としている。
本発明の即席調理食品は、前記の即席調理食品用油脂組成物を含有することを特徴としている。
本発明の即席調理食品用油脂組成物は、即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭を確実に抑制することができる。
以下、本発明の即席調理食品用油脂組成物の一実施形態について説明する。
本発明の即席調理食品用油脂組成物は、例えば、原料となる1種又は2種以上の油脂を加温下で溶解し、必要に応じて食品添加物等のその他の成分とを添加し、公知の方法で均一に分散し溶解することによって製造することができる。
本発明の即席調理食品用油脂組成物は、油脂中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有する。
油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。トリグリセリドを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸である。
各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの飽和脂肪酸は、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。
飽和脂肪酸としては、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)等が挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの不飽和脂肪酸は、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)およびエルシン酸(22:1)等が挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数と二重結合数の組み合わせである。
油脂は、1分子のグリセロールに2分子の飽和脂肪酸Sと1分子の不飽和脂肪酸Uが結合した2飽和トリグリセリドとして、1位および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合した対称型トリグリセリド(SUS)と、1位および2位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位に不飽和脂肪酸Uが結合した非対称型トリグリセリド(SSU)とを含むことができる。また、油脂は、1位、2位、および3位の全てに飽和脂肪酸Sが結合した3飽和トリグリセリドを含むことができる。さらに、油脂は、その他に1分子のグリセロールに2分子の不飽和脂肪酸Uと1分子の飽和脂肪酸Sが結合した2不飽和トリグリセリド、1位、2位、および3位の全てに不飽和脂肪酸Uが結合した3不飽和トリグリセリドを含むことができる。
そして、本発明において、「トリグリセリドを構成する脂肪酸の最大鎖長差」とは、1分子のグリセロールに結合している3分子の脂肪酸の内、最も炭素数が小さい脂肪酸と最も炭素数が大きい脂肪酸との炭素数の差を言う。この最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有する即席調理食品用油脂組成物を含むことで、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭を確実に抑制することができる。最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドの割合の上限値としては、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有する即席調理食品用油脂組成物は、例えばラウリン系油脂、パーム起源油脂、エルシン酸系油脂の内2種以上をエステル交換反応することで得ることができる。
本発明の即席調理食品用油脂組成物は、即席調理食品の製造時の固化性を向上させること等を考慮すると、35℃における30分後の等温結晶化SFCの下限値が1%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましい。等温結晶化SFCは、油脂を加熱し完全に溶解した後、所定の温度および時間で保持した時のSFCを表している。
即席調理食品のロウ臭をさらに抑制する観点から、35℃における30分後の等温結晶化SFCの上限値が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、9%以下であることがさらに好ましく、5.5%以下であることが特に好ましい。最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有し、さらに35℃における30分後の等温結晶化SFCが所定の範囲内であると、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面の白色化を抑制しつつも、ロウ臭が少なく口溶けが良好な即席調理食品用油脂組成物を得ることができる。
本発明の即席調理食品用油脂組成物に含まれるトリグリセリドは、構成脂肪酸中にベヘン酸を0.03~1.5%含有することが好ましい。これによって、トリグリセリド間でメチル基末端の積層にひずみが生じ、加熱溶解した即席調理食品の口中での固化速度を遅延させることで、即席調理食品喫食時のロウ臭をより確実に抑制することができる。
油脂は、全トリグリセリドに対する軟質トリグリセリドの割合の上限値が50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。ここで、「軟質トリグリセリド」とは、1)3つの不飽和脂肪酸を有するトリグリセリド、2)2つの不飽和脂肪酸と1つの飽和脂肪酸を有するトリグリセリド、3)1つの不飽和脂肪酸と、炭素数17以下の2つの飽和脂肪酸を有するトリグリセリドを言う。軟質トリグリセリドの割合がこの範囲であると、即席調理食品に含まれる低融点部分が少なくなり、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面における白色化の発生を抑制することができる。
油脂は、トリグリセリドを構成する脂肪酸に含まれる炭素数12の脂肪酸(C12)の割合の上限値が30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましく、15%以下であることが特に好ましい。炭素数12の脂肪酸がこの範囲内であると、分子運動を起こしやすい炭素数12以下の脂肪酸量を抑えることができ、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面における白色化の発生を抑制することができる。
また、トリグリセリドを構成する脂肪酸に含まれる炭素数16の脂肪酸(C16)の割合の下限値が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。トリグリセリドを構成する脂肪酸に含まれる炭素数16の脂肪酸(C16)の割合の上限値としては、50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
さらに、トリグリセリドを構成する脂肪酸に含まれる炭素数18の脂肪酸(C18)の割合の下限値が30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。トリグリセリドを構成する脂肪酸に含まれる炭素数18の脂肪酸(C18)の割合の上限値としては、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。
トリグリセリドを構成する脂肪酸に含まれるC12脂肪酸、C16脂肪酸およびC18脂肪酸の割合がこの範囲であると、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭を抑制することができる。
また、C12脂肪酸とC16脂肪酸の比率(C16量(%)/C12量(%))は、1.5~4.0であることが好ましく、2.0~3.5であることがより好ましく、2.5~3.0であることがさらに好ましく、C12脂肪酸とC18脂肪酸の比率(C18量(%)/C12量(%))は、2.5~5.0であることが好ましく、3.0~4.5であることがより好ましく、3.5~4.0であることがさらに好ましい。C12脂肪酸とC16脂肪酸の比率(C16量(%)/C12量(%))とC12脂肪酸とC18脂肪酸の比率(C18量(%)/C12量(%))の比率がこの範囲であると、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭をより確実に抑制することができる。
本発明の即席調理食品用油脂組成物における油脂のヨウ素価の下限値は、即席調理食品喫食時のロウ臭をさらに抑制する観点から、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。即席調理食品の表面の白色化をさらに抑制する観点から、ヨウ素価の上限値は45以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下がさらに好ましい。
本発明の即席調理食品用油脂組成物に使用される油脂の種類としては、植物油脂、動物油脂、乳脂、これらの分別油、硬化油(部分水素添加油又は極度硬化油)、エステル交換油脂などを例示することができる。これらは、油脂中の、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドの割合や、軟質トリグリセリドの含有量などを適宜調整するために、1種または2種以上を選択することができる。最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有する即席調理食品用油脂組成物を得るためには、1種以上の油脂をエステル交換反応したものが好適に用いられる。
植物油脂としては、パーム油、ヤシ油、パーム核油、菜種油、大豆油、コーン油、米油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、サフラワー油、落花生油等が挙げられる。
植物油脂は、パーム油起源の油脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。パーム油起源の油脂としては、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油やエステル交換油脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン、パームハードステアリン等)、軟質部(パームオレイン、パームダブルオレイン等)、中融点部等を用いることができる。
動物油脂としては、動物の脂肉から溶出法により採取した脂肪を精製したものを用いることができる。具体的には、牛脂、ラードおよびこれらの硬化油(部分水素添加油又は極度硬化油)等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。動物油脂は、即席調理食品に対して、即席調理食品用油脂組成物とは別に使用してもよく、即席調理食品用油脂組成物中に配合してもよい。
そして、本発明の即席調理食品用油脂組成物には、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が40~55質量%であるラウリン系油脂(A1)と、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上であるパーム油起源の油脂(A2)とのエステル交換油脂(A)を使用することが好ましい。このようなエステル交換油脂を用いると、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭をより確実に抑制することができる。
そして、エステル交換油脂(A)は、ラウリン系油脂(A1)が好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%と、パーム油起源の油脂(A2)が好ましくは40~90質量%、より好ましくは50~85質量%、さらに好ましくは60~80質量%とをエステル交換反応して得られたものであることが好ましい。ラウリン系油脂(A1)の量が多過ぎると、分子運動を起こしやすい炭素数12以下の脂肪酸量が増えるため、白色化を生じやすくなってしまう。
エステル交換油脂(A)の原料であるラウリン系油脂(A1)は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が40~55質量%であることが好ましく、45~50質量%であることがより好ましい。このようなラウリン系油脂(A1)としては、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのうち、ヤシ油に比べて融点が高く、高融点のエステル交換油脂(A)を容易に得ることができる点を考慮すると、パーム核油およびその分別油や硬化油が好ましい。硬化油の場合、水素添加量によってトランス酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には完全水素添加した極度硬化油が好ましい。
ラウリン系油脂(A1)は、ヨウ素価の上限値が2以下であることが好ましい。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂(A1)を用いると、他の油脂に対して核となりやすく、核発生を誘発するため固化が遅れるのを抑制できる。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂(A1)としては、極度硬化油を用いることができる。
エステル交換油脂(A)の原料であるパーム油起源の油脂(A2)としては、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油、エステル交換油脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部、軟質部、中融点部等を用いることができる。パーム油起源の油脂(A2)として硬化油を使用する場合、部分硬化油、低温硬化油、極度硬化油等を用いることができるが、中でも極度硬化油が好ましい。
パーム油起源の油脂(A2)は、ヨウ素価が30~55であることが好ましく、30~40であることがより好ましい。パーム油起源の油脂(A2)のヨウ素価がこの範囲内であると、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品喫食時のロウ臭をより確実に抑制することができる。
パーム油起源の油脂(A2)は、極度硬化油を5~45質量%の範囲内で含有することが好ましく、20~45質量%の範囲内で含有することがより好ましい。極度硬化油をこの範囲内で含有すると、即席調理食品に含まれる動物油脂の一部を即席調理食品用油脂組成物に置き換えても、即席調理食品の表面の白色化をより確実に抑制することができる。
ラウリン系油脂(A1)と、パーム油起源の油脂(A2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。
ラウリン系油脂(A1)における全構成脂肪酸中のラウリン酸の割合、パーム油起源の油脂(A2)における全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量、エステル交換反応の終了は、ガスクロマトグラフ法により確認することができる。
構成脂肪酸中にベヘン酸を含有する油脂としては、ハイエルシン酸菜種極度硬化油、魚油極度硬化油等が例示され、ハイエルシン酸菜種極度硬化油が特に好ましい。構成脂肪酸中にベヘン酸を含有する油脂は、そのまま用いても、他の1種以上の油脂とエステル交換反応して用いても良いが、結晶核となりやすく、即席調理食品の表面の白色化を抑制しやすい観点から、そのまま用いることがより好ましい。
本発明の即席調理食品用油脂組成物における油脂の含有量は、70~99.9質量%であることが好ましく、90~99.8質量%であることがより好ましく、96~99.8質量%であることが特に好ましい。
本発明の即席調理食品用油脂組成物は、その他の配合成分として、各種の食品添加物や食品素材を配合することができる。具体的には、例えば、食品添加物としては、乳化剤、酸化防止剤、着色料、フレーバー、食品素材としては、調味料、食塩、香味油等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
次に、本発明の即席調理食品の一実施形態について説明する。
本発明の即席調理食品用油脂組成物を用いた即席調理食品としては、ソース類、シチュー類等の加工食品に用いられる固形ルウなどを例示することができる。
本発明の即席調理食品は、常法に従って、即席調理食品用油脂組成物と小麦粉と必要に応じてその他の原料を配合して混合加熱した後、型に流し込み、冷却固化させることによって製造することができる。
例えば、カレールウの場合は、本発明の即席調理食品用油脂組成物および動物油脂を加熱溶解し、小麦粉を加えて混合物を作製し、この混合物を撹拌しながら加熱焙煎してルウを作製する。加熱焙焼は、例えば混合物を80~120℃で撹拌しながら行うことができる。その後、ここにカレーパウダー等の香辛料や、その他に必要に応じて調味料等の副原料を添加して、混合する。例えば、蒸気釜にて100℃前後でじっくりと煮込んでもよい。その後、ペースト状になったルウをプラスチックトレー等の容器(型)に流し込み、風冷等の冷却方法により、例えば0~25℃で冷却して固化させることによって製造することができる。プラスチックトレーに充填されたカレールウは、密封され、トレーごと包装される。
固形ルウ等の即席調理食品における即席調理食品用油脂組成物および動物油脂の合計配合量は、特に限定されないが、例えば25~70質量%であり、小麦粉の配合量は、特に限定されないが、例えば25~70質量%である。
固形ルウ等の即席調理食品における本発明の即席調理食品用油脂組成物の配合量は、特に限定されないが、例えば動物油脂(即席調理食品用油脂組成物中の動物油脂を除く)に対して、好ましくは20~50質量%、より好ましくは25~43質量%である。
固形ルウ等の即席調理食品には、本発明の即席調理食品用油脂組成物および小麦粉以外の成分として、通常、即席調理食品に配合される成分を適宜に使用することができる。具体的には、カレーパウダー等の香辛料、澱粉、食塩、糖類、糖アルコール類、アスパルテーム、ステビア等の甘味料、乳化剤、アミノ酸、核酸等の調味料、増粘安定剤、牛乳、チーズ、粉乳、生クリーム等の乳製品、クエン酸、L-酒石酸、乳酸等の酸味料、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、アスコルビン酸、茶抽出物等の酸化防止剤、蛋白、pH調整剤、食品保存料、酒類、果実、果汁、はちみつ、フレーバー、コーヒー、カカオマス、ココアパウダー、ナッツペースト、豆類、野菜類、肉類、魚介類、コンソメ、ブイヨン、水等が挙げられる。
本発明の即席調理食品用油脂組成物を用いた即席調理食品は、加熱等によって溶解させることで、即席で加工食品を製造することができ、その具体例としては、カレーソース、ホワイトソース、デミグラスソース、ハヤシソース等のソース類や、ビーフシチュー、クリームシチュー等のシチュー類が挙げられる。
ソース類やシチュー類は、肉や野菜と調味料等を加えて煮込んだスープ類に、固形ルウ等の即席調理食品を包材から取り出し、手で割り入れて製造することができる。
本発明の即席調理食品は、表面の白色化が抑制されており、喫食時の口どけが良好であり、ロウ臭が抑制されている。
本発明の即席調理食品用油脂組成物および即席調理食品は、以上の実施形態に限定されるものではない。
以下に、実施例により本発明の乳化油脂組成物などについて詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1>油脂組成物の調製
(エステル交換油脂1、2)
エステル交換油脂1、2は次の方法で調製した。表1に示す割合で、パーム核極度硬化油、パーム油、パーム極度硬化油を混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、更に脱臭を行ってエステル交換油脂1、2を得た。
Figure 0007424776000001
このエステル交換油脂1、2に、必要に応じて他の油脂を加え、油脂組成物を調製した(実施例1~8、比較例1、2)。
<2>カレールウの作製
表2の配合でカレールウを作製した。
Figure 0007424776000002
〈カレールウの製法〉
[1]牛脂、実施例および比較例の油脂組成物を、撹拌羽根を備えた加熱釜に量り入れ、80℃で加熱溶解した。
[2][1]の加熱釜に薄力粉を入れ、撹拌しながら80~120℃で滑らかになるまで炒め、ルウを作製した。
[3]得られたルウにカレーパウダーを加え、滑らかになるまで炒め合わせカレールウを作製した。
[4]得られたカレールウは80℃に調温し、溶融状態で80gをプラスチック製のシャーレ(90φ×20mm)に移し、0℃の恒温器内で20分間冷却した。得られた固形のカレールウは25℃の恒温器に移し4週間保管した。
上記カレールウ表面の白色化について、以下の基準で評価した。なお、評価は△以上を課題が解決できたものとした。
(白色化)
25℃で4週間保管した固形のカレールウについて、表面の油脂結晶粗大化による白色化を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:良好な艶を有しており、白色化は見られなかった。
○:白色化は見られなかったが、やや艶が失われていた。
△:艶がなく、ややざらついている。
×:白色化し、ざらつきがある。
<3>カレーソースの作製
作製したカレールウ100質量部に対して食塩10質量部、糖類10質量部、水800質量部を加え撹拌しながら10分間煮立たせ、カレーソースを作製した。
その後、品温45℃におけるカレーソースのロウ臭を以下の基準に従い、パネル20名で評価した。評価を実施するにあたりパネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが共通認識を持つようにした。また、官能評価におけるパネルの偏りを排除し、評価の精度を高めるために、サンプルの試験区番号や内容はパネルに知らせず、ランダムに提示した。
(ロウ臭)
評価基準
◎:ロウ臭が無く、口溶けが極めて良好である。
○:ロウ臭が少なく、口溶けが良好である。
△:ロウ臭が少しあり、口溶けがやや不良である。
×:ロウ臭が強く、不良である。
<4>評価結果
結果を表3に示す。
Figure 0007424776000003
表3に示したように、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有する実施例1~8は、動物油脂に対して即席調理食品用油脂組成物を43質量%配合したところ、カレールウ表面の白色化および喫食時のロウ臭が抑制されていることが確認された。さらに、35℃における30分後の等温結晶化SFCが4%以上、トリグリセリドの構成脂肪酸中にベヘン酸を0.03~1.5%含有する実施例4~8は、白色化およびロウ臭の抑制効果が顕著であることが確認された。
一方、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドの含有量が40%未満である比較例1、2は、白色化、ロウ臭を同時に抑制できないことが確認された。また、比較例2より、等温結晶化SFCおよびベヘン酸含有量が所定の範囲であっても、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドの含有量が40%未満であると、ロウ臭抑制できないことが確認された。
このようにトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドの含有量を40%以上含有する本発明の即席調理食品用油脂組成物は、動物油脂の一部と置き換えて使用した即席調理食品の表面の白色化および喫食時のロウ臭を確実に抑制できることが確認された。

Claims (5)

  1. トリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、最大鎖長差が4以上であるトリグリセリドを40%以上含有し、前記トリグリセリドは、構成脂肪酸中にベヘン酸を0.03~1.5%含有することを特徴とする即席調理食品用油脂組成物。
  2. 35℃における30分後の等温結晶化SFCが4%以上であることを特徴とする請求項1の即席調理食品用油脂組成物。
  3. C12脂肪酸とC16脂肪酸の比率(C16量(%)/C12量(%))は、1.5~4.0であることを特徴とする請求項1または2の即席調理食品用油脂組成物。
  4. C12脂肪酸とC18脂肪酸の比率(C18量(%)/C12量(%))は、2.5~5.0であることを特徴とする請求項1または2の即席調理食品用油脂組成物。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の即席調理食品用油脂組成物を含有することを特徴とする即席調理食品。
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