JP7150397B2 - ホワイトソース用油脂組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、15℃における固体脂含量(SFC)が38%以上かつ20℃におけるSFCが24%以下であることを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す。以下同じ)。
〔2〕油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、ヤシ油の極度硬化油を含むことを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す。以下同じ)。
〔3〕パームミッドフラクションを含むことを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の油脂組成物。
〔4〕前記油脂組成物が、可塑性の油脂組成物であることを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の油脂組成物。
〔5〕〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有することを特徴とする、ホワイトソース。
〔6〕〔5〕に記載のホワイトソースを含むことを特徴とする、加工食品。
(油脂組成物)
本発明の「油脂組成物」は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上である油脂組成物である。より好ましくは当該値が7500以上であり、さらに好ましくは8000以上であり、最も好ましくは8000以上11000以下である。以下、詳細に説明する。
本発明の「油脂組成物」は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの式A×B×Cの値は、例えば、後記するラウリン系油脂およびパーム系油脂(パーム油、パームオレイン、パームミッドフラクション等)を、後記する範囲で配合することで、上記規定の範囲に適宜調整することが可能である。
ここで、理論にはとらわれないが、上式A×B×Cの値が7000以上で良好な口どけのホワイトソースが得られるのは、以下のようなメカニズムによると考えられる。
構成炭素数が大きく異なる油脂を混合した場合、油脂の融点が低下して油脂結晶量が減少する「融点降下」という現象が起こることが知られている。
本発明のホワイトソース用油脂組成物は、「融点降下」の現象を適度に生じさせることで、ある温度で急激に結晶が溶解する特徴を示すものである。
本発明のホワイトソース用油脂組成物は、口どけの良い油脂として知られるラウリン系油脂の主要なトリアシルグリセロールである「M3」および「HM2」、同じく口どけの良い油脂として知られるパームミッドフラクションの主要なトリアシルグリセロールである「H2U」とに着目し、これらトリアシルグリセロールの含量から適度な「融点降下」の生じる範囲を規定することで、より良好な口どけを実現したものである。
上式A×B×Cの値が7000未満である場合はM3、HM2、H2Uの各含量が少ないか、偏りがある場合であり、結果として融点降下の生じる程度が小さく、急激な溶解が示されず、口どけは限定的なものとなってしまうものと思われる。
本発明の「油脂組成物」は、例えば、ラウリン系油脂(特に完全水素添加したもの)及びパーム系油脂(特にパームミッドフラクション)を含有して構成される。
本発明でいう「ラウリン系油脂」は、炭素数12の飽和脂肪酸であるラウリン酸を全構成脂肪酸中に40質量%以上含有するものをいう。
ヤシ油の極度硬化油は、ヤシ油をヨウ素価が10以下(好ましくはヨウ素価0~1)になるように水素添加して得られる食用油脂であり、例えば、市販品(商品名:ヤシ硬化油34、日清オイリオグループ株式会社製)を使用することができる。水素添加の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02~0.3Mpa、160~200℃の条件にて行うことができる。
本発明でいう「パーム系油脂」は、パーム油及びその分別油、硬化油、エステル交換油を意味し、特にパーム油の分別油であるパームミッドフラクションを油脂組成物に含有させることが好ましい。
本発明の「油脂組成物」は、効果を損なわない程度であれば、油脂成分として動植物油を適宜配合することができる。具体的には、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、ゴマ油、米油、牛脂、豚脂及び乳脂等やこれらのエステル交換油及び分別油が挙げられる。また、これらの動植物油の部分水素添加油(油脂を部分的に水素添加することで硬くした油脂であり、硬化油とも呼ばれる)を用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の「油脂組成物」は、以下に示すような可塑性であってもよい。
具体的には、先ず、本発明の「油脂組成物」を含む油相を溶解し、必要により水相を混合乳化した後、冷却し、結晶化させることで製造することができる。冷却、結晶化は、冷却可塑化させることが好ましい。
冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、更に好ましくは-5℃/分以上である。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せも挙げられる。
また、油相の溶解後又は混合乳化後は、殺菌処理することが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
本発明の「ホワイトソース」は、上記の油脂組成物(上述した可塑性の油脂組成物を含む)を含有するものであり、前記油脂組成物を使用して製造されるものであれば特に制限されない。ホワイトソース中における前記油脂組成物の配合量は、ホワイトソースを用いて製造する加工食品の種類によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、ホワイトソース100質量%に対して、上記油脂組成物は、3~15質量%であることが好ましく、4~12質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。3質量%以上であると、油脂のコク味が感じられやすくなるため、好ましく、15質量%以下であると油っぽさが抑えられる点で、好ましい。
本発明の「加工食品」は、上記ホワイトソースを含むものであり、上記ホワイトソースを使用して製造されるものであれば特に制限されない。加工食品中における前記油脂組成物の配合量は、加工食品の種類によって異なるため、特に限定されない。
表1に示す配合で下記の原料油脂(油脂1~油脂3)を混合し、実施例1~4の油脂組成物及び比較例1~2の油脂組成物を得た。
<油脂1>
ヤシ油(商品名:精製やし油(S)、日清オイリオグループ株式会社社製)を油脂1とした。
ヤシ油の極度硬化油(商品名:ヤシ硬化油34、日清オイリオグループ株式会社製)を油脂2とした。
パーム油(商品名:精製パーム油(S)、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで得られた軟質部(パームオレイン:ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を、さらに分別することで硬質部(パームミッドフラクション:ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、これを油脂3とした。
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで得られた軟質部(パームオレイン:ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を、減圧下110℃に加熱することにより十分に乾燥させた後、対油0.2質量%のナトリウムメトキシドを添加し、減圧下110℃30分間攪拌し、エステル交換反応を進行させた。エステル交換反応終了後、水洗、脱色、脱臭を行うことでパームオレインのエステル交換油(ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、これを油脂4とした。
また、表1に示す油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3、HM2、H2U含量、並びに油脂組成物の固体脂含量(SFC)の測定は以下の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
前記した実施例1~3の油脂組成物及び比較例1~2の油脂組成物を使用し、以下の方法により、表2に示す配合でホワイトソースを調製した。
◎ :口中で非常になめらかであり、非常に良好
○ :口中でなめらかであり、良好
△ :口中でややべたつきを感じるが、まずまず良好
× :口中でべたつきを感じ、不良
一方、A×B×C値が7000未満で15℃SFCが38%未満である比較例1の油脂組成物、A×B×C値が7000未満で20℃SFCが24%より高い比較例2の油脂組成物を用いて調製した比較例3、4のホワイトソースは、良好な口溶けが得られるものでなかった。
前記した実施例5~7のホワイトソース及び比較例3~4のホワイトソースを使用し、以下の方法により、クリームコロッケを調製した。
一方、比較例3、4のホワイトソース用いて調製した比較例5~6のクリームコロッケは、良好な口溶けが得られるものでなかった。
Claims (6)
- 油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、15℃における固体脂含量(SFC)が38%以上かつ20℃におけるSFCが24%以下であることを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す)。
- 油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、ヤシ油の極度硬化油を含むことを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す)。
- パームミッドフラクションを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
- 前記油脂組成物が、可塑性の油脂組成物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有することを特徴とする、ホワイトソース。
- 請求項5に記載のホワイトソースを含むことを特徴とする、加工食品。
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