JP7150397B2 - ホワイトソース用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ホワイトソース用油脂組成物に関するものであり、特に当該油脂組成物を使用して製造した口どけが良好なホワイトソース、及びそれを含む加工食品にも関するものである。
ホワイトソースは様々な食品と組み合わせて用いられている食品素材であり、各種食材を加えたり、硬さを調節したりすることで、例えば、グラタン、シチュー、ドリア、ラザニア、クリームコロッケといった加工食品が作られる。
ホワイトソースの一般的な作り方としては、溶かしたバターに小麦粉を加え、加熱して、さらさらとした状態になったら牛乳を加え、粘度が出るまで更に加熱し、塩、コショウで味付けするという方法がとられている。
その一方で、ルウと呼ばれる食品素材を用いて、溶かしたルウと牛乳とを組み合わせて加熱することでホワイトソースを作ることも多い。ここで、ルウとは、溶かしたバターと小麦粉を混合加熱して、フレーク状やペースト状とした食品素材である。
ホワイトソースの食感を改良する目的で、これまでにホワイトソースやルウに用いる油脂について種々検討されている。
例えば、特許文献1には、特定のトリグリセリド組成を有する油脂を用いることで保形性や口どけの良さを両立した、固形ルウ用油脂組成物が記載されている。しかし、ここに示されている油脂組成物は、融点が高く口どけの悪化の原因となるS3トリグリセリド(構成する脂肪酸のすべてが炭素数16-24の飽和脂肪酸であるトリグリセリド)を多く含むものであり、口どけとしては更なる改良が望まれていた。また、特許文献2には、カゼイン分解物を含む水溶液と油脂を用いることで、良好な口どけや艶のクリームが得られるルウ用油脂組成物が記載されている。しかし、この文献中には前記油脂組成物の具体的な組成については何ら示されていない。
国際公開第2016/143530号 特許第5802045号公報
そこで、本発明の課題は、口どけが良好なホワイトソースが得られるホワイトソース用油脂組成物を提供することであり、さらに前記油脂組成物を使用して製造した口どけが良好なホワイトソース及びそれを用いて製造した加工食品を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するために、鋭意研究したところ、油脂組成物中のトリアシルグリセロールが特定の関係を満たすときに、良好な口どけが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の態様を含み得る。
〔1〕油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、15℃における固体脂含量(SFC)が38%以上かつ20℃におけるSFCが24%以下であることを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す。以下同じ)。
〔2〕油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、ヤシ油の極度硬化油を含むことを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す。以下同じ)。
〔3〕パームミッドフラクションを含むことを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の油脂組成物。
〔4〕前記油脂組成物が、可塑性の油脂組成物であることを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の油脂組成物。
〔5〕〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有することを特徴とする、ホワイトソース。
〔6〕〔5〕に記載のホワイトソースを含むことを特徴とする、加工食品。
本発明のホワイトソース用油脂組成物はある温度で急激に結晶が溶解する特徴をもつ。これによって、本発明の油脂組成物を用いた食品は、喫食時に良好な口どけが感じられる。すなわち、M3の含量(質量%)、HM2の含量(質量%)、及びH2Uの含量(質量%)が特定の関係を満たすように調整することで、誰でも簡単に、口どけ良好なホワイトソース、及びそれを含む加工食品を製造することができるようになり、需要者の要求を満たすことができる。
以下、本発明の「ホワイトソース用油脂組成物」について順を追って説明する。
(油脂組成物)
本発明の「油脂組成物」は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上である油脂組成物である。より好ましくは当該値が7500以上であり、さらに好ましくは8000以上であり、最も好ましくは8000以上11000以下である。以下、詳細に説明する。
(油脂組成物のトリアシルグリセロール組成)
本発明の「油脂組成物」は、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの式A×B×Cの値は、例えば、後記するラウリン系油脂およびパーム系油脂(パーム油、パームオレイン、パームミッドフラクション等)を、後記する範囲で配合することで、上記規定の範囲に適宜調整することが可能である。
上式A×B×Cの値が前記規定の範囲であると、油脂組成物が特定の温度で急激に溶解する特徴を示し、これを用いることで良好な口どけのホワイトソースが得られる。
ここで、理論にはとらわれないが、上式A×B×Cの値が7000以上で良好な口どけのホワイトソースが得られるのは、以下のようなメカニズムによると考えられる。
構成炭素数が大きく異なる油脂を混合した場合、油脂の融点が低下して油脂結晶量が減少する「融点降下」という現象が起こることが知られている。
本発明のホワイトソース用油脂組成物は、「融点降下」の現象を適度に生じさせることで、ある温度で急激に結晶が溶解する特徴を示すものである。
本発明のホワイトソース用油脂組成物は、口どけの良い油脂として知られるラウリン系油脂の主要なトリアシルグリセロールである「M3」および「HM2」、同じく口どけの良い油脂として知られるパームミッドフラクションの主要なトリアシルグリセロールである「H2U」とに着目し、これらトリアシルグリセロールの含量から適度な「融点降下」の生じる範囲を規定することで、より良好な口どけを実現したものである。
上式A×B×Cの値が7000未満である場合はM3、HM2、H2Uの各含量が少ないか、偏りがある場合であり、結果として融点降下の生じる程度が小さく、急激な溶解が示されず、口どけは限定的なものとなってしまうものと思われる。
また、本発明の「油脂組成物」は、15℃における固体脂含量(SFC)が38%以上かつ20℃におけるSFCが24%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、15℃におけるSFCが40%以上かつ20℃におけるSFCが22%以下であり、最も好ましくは15℃におけるSFCが42%以上かつ20℃におけるSFCが21%以下である。
15℃、20℃におけるSFC値が上記の範囲であると、油脂組成物が特定の温度で急激に溶解する特徴を示し、これを用いることで良好な口どけのホワイトソースが得られる。
(油脂組成物の配合)
本発明の「油脂組成物」は、例えば、ラウリン系油脂(特に完全水素添加したもの)及びパーム系油脂(特にパームミッドフラクション)を含有して構成される。
<ラウリン系油脂>
本発明でいう「ラウリン系油脂」は、炭素数12の飽和脂肪酸であるラウリン酸を全構成脂肪酸中に40質量%以上含有するものをいう。
このようなラウリン系油脂の原料油脂としては、ヤシ油、パーム核油、及びそれらの分別油、エステル交換油、硬化油から1種または2種以上を組み合わせて選択することが好ましく、特にヤシ油の極度硬化油を選択することが好ましい。ラウリン酸が全構成脂肪酸中40質量%以上である範囲であれば、ヤシ油、パーム核油由来の油脂以外の植物油脂やその加工油脂を混合してもよい。混合させる植物油脂が水素添加された硬化油を用いる場合には、トランス脂肪酸を存在させないために二重結合すべてに水素を添加した極度硬化油にすることが好ましい。
ヤシ油の極度硬化油は、ヤシ油をヨウ素価が10以下(好ましくはヨウ素価0~1)になるように水素添加して得られる食用油脂であり、例えば、市販品(商品名:ヤシ硬化油34、日清オイリオグループ株式会社製)を使用することができる。水素添加の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02~0.3Mpa、160~200℃の条件にて行うことができる。
ラウリン系油脂としてヤシ油の極度硬化油を用いる場合には、油脂組成物中に15質量%~65質量%含有させることが好ましい。より好ましくは15質量%~35質量%ないしは45質量%~65質量%、最も好ましくは15質量%~25質量%ないしは35質量%~65質量%である。パームオレインのエステル交換油の含有量を上記範囲にすることにより、上式A×B×Cの値を7000以上に調整することが容易となり、得られる油脂組成物の口どけも優れたものとなる。
<パーム系油脂>
本発明でいう「パーム系油脂」は、パーム油及びその分別油、硬化油、エステル交換油を意味し、特にパーム油の分別油であるパームミッドフラクションを油脂組成物に含有させることが好ましい。
分別の方法は、特に限定されないが、ドライ分別、乳化分別、溶剤分別等により行うことができ、特に、ドライ分別により経済的に行うことができる。
ドライ分別は、一般的には槽内で攪拌しながら分別原料油脂を冷却し、結晶を析出させた後、圧搾及び/又はろ過によって硬質部(結晶画分)と軟質部(液状画分)を得ることにより行うことができる。
パームミッドフラクションを使用する場合には、上記油脂組成物中に35質量%~85質量%含有させることが好ましい。より好ましくは40質量%~80質量%、さらに好ましくは45質量%~75質量%、最も好ましくは50質量%~70質量%である。パームミッドフラクションの含有量を上記範囲にすることにより、上式A×B×Cの値を7000以上に調整することが容易となる。
(油脂組成物中のその他の配合)
本発明の「油脂組成物」は、効果を損なわない程度であれば、油脂成分として動植物油を適宜配合することができる。具体的には、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、ゴマ油、米油、牛脂、豚脂及び乳脂等やこれらのエステル交換油及び分別油が挙げられる。また、これらの動植物油の部分水素添加油(油脂を部分的に水素添加することで硬くした油脂であり、硬化油とも呼ばれる)を用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の「油脂組成物」の油脂成分としては、例えば、ヤシ油の極度硬化油とパームミッドフラクションを組み合わせたものが好ましい。
本発明の「油脂組成物」は、必要に応じて通常の油脂に用いられる添加剤を適宜配合することができる。具体的には、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、油脂の結晶調整等を目的としたグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ビタミンE、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、オリザノール、ジグリセリド、シリコーン、植物ステロール、トコフェロール及びレシチン等が挙げられる。
本発明の「油脂組成物」の製造方法は、上式A×B×Cの値が7000以上の範囲となるように調製すれば、特に限定されるものではない。例えば、上述したラウリン系油脂やパーム系油脂などを配合したものを、装置を用いて混合攪拌することが挙げられる。従来公知の装置を用いて行うことができ、例えば、パドルミキサー、アジホモミキサー、ディスパーミキサー等を用いることができる。
(可塑性油脂組成物)
また、本発明の「油脂組成物」は、以下に示すような可塑性であってもよい。
本発明の可塑性の「油脂組成物」は、油相中に油分を含有しており、可塑性の油脂組成物の油相中おける油分含量は、80~100質量%であることが好ましく、85~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましく、100質量%(油相中の油分が上記本発明の油脂組成物のみからなる)であることが最も好ましい。ここで、油分とは、本発明の可塑性の油脂組成物において油相中に含まれる油脂成分すべてのことを意味する。
本発明の可塑性の「油脂組成物」の油相には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記「油脂組成物」以外の動植物油をさらに含有させることもできる。動植物油は、通常、可塑性油脂に配合させる油脂であれば、特に制限なく使用することができるが、例えば、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、ゴマ油、米油、乳脂、バター等が挙げられる。また、これらの動植物油の部分水素添加油を用いることもできる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の可塑性の「油脂組成物」の油相に含まれる油分として本発明の油脂組成物とそれ以外の油脂成分を併用する場合には、可塑性の油脂組成物の油相に含まれる油分中の上式A×B×Cの値が前述の規定の範囲を満たすようにそれぞれの油分を配合することが好ましい。
また、本発明の可塑性の「油脂組成物」は、水相を有するものと、水相を有さないものとに大別される。
水相を有する可塑性の「油脂組成物」の形態としては、油中水型乳化物、水中油型乳化物、二重乳化型乳化物が挙げられるが、油中水型乳化物であることが好ましい。前述の油中水型乳化物タイプの可塑性の油脂組成物としては、マーガリン、ファットスプレッドが挙げられる。
本発明の可塑性の「油脂組成物」が油中水型乳化物、水中油型乳化物、二重乳化型乳化物である場合、油相の含量は、48~98質量%であることが好ましく、60~98質量%であることが好ましい、水相の含量は、2~52質量%であることが好ましく、2~40質量%であることがより好ましい。可塑性の油脂組成物の油相、水相の含量が上記範囲であると、得られる可塑性の油脂組成物が低温での可塑性の良いものとなる。
油相には、油分(本発明の油脂組成物を含む全油脂成分)、乳化剤、香料等が配合される。水相には、水、食塩、脱脂粉乳、呈味成分等が配合される。
水相を有さない可塑性の「油脂組成物」の形態としては、ショートニングが挙げられる。可塑性の油脂組成物がショートニングである場合、油相の含量は100質量%となる。ショートニングには、油分(本発明の油脂組成物を含む全油脂成分)、乳化剤等が配合される。
本発明の可塑性の「油脂組成物」には、乳化剤を配合することができる。乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の合成乳化剤でない乳化剤が挙げられる。可塑性の油脂組成物中における乳化剤の配合量は、0.01~5質量%であることが好ましく、0.05~2質量%であることがより好ましく、0.1~1質量%であることが更に好ましい。
本発明の可塑性の「油脂組成物」は、その他の成分として、通常、可塑性の油脂組成物に配合される成分を配合することができる。その他の成分としては、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β‐カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)、ルチン等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白等の乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明の可塑性の「油脂組成物」の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。
具体的には、先ず、本発明の「油脂組成物」を含む油相を溶解し、必要により水相を混合乳化した後、冷却し、結晶化させることで製造することができる。冷却、結晶化は、冷却可塑化させることが好ましい。
冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、更に好ましくは-5℃/分以上である。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せも挙げられる。
また、油相の溶解後又は混合乳化後は、殺菌処理することが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
(ホワイトソース)
本発明の「ホワイトソース」は、上記の油脂組成物(上述した可塑性の油脂組成物を含む)を含有するものであり、前記油脂組成物を使用して製造されるものであれば特に制限されない。ホワイトソース中における前記油脂組成物の配合量は、ホワイトソースを用いて製造する加工食品の種類によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、ホワイトソース100質量%に対して、上記油脂組成物は、3~15質量%であることが好ましく、4~12質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。3質量%以上であると、油脂のコク味が感じられやすくなるため、好ましく、15質量%以下であると油っぽさが抑えられる点で、好ましい。
本発明の「ホワイトソース」の製造に用いられる原料としては、例えば、小麦粉、澱粉、調味料、香辛料、着香料等、従来からホワイトソースの製造に用いられる原料が用いられる。必要に応じて、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、サポニン等の水溶性乳化剤やキサンタンガム、アラビアガム等の多糖類系乳化安定剤、大豆蛋白質、カゼインナトリウム等の蛋白質系乳化安定剤、食塩、グルタミン酸ナトリウム、砂糖、ビーフエキス等の調味料、りん酸塩、クエン酸塩等のpH調整剤も使用することができる。
本発明の「ホワイトソース」の製造方法としては、常法が用いられ、例えば、本発明の油脂組成物を加熱して溶解し、そこに小麦粉を少量ずつ入れルウを形成させた後、牛乳を投入し、粘度が出たところで調味料を入れ、クリーム状のホワイトソースをバットに取り出し、粗熱を取り除いた後に冷蔵庫で冷やす方法である。その後、本発明のホワイトソースは通常のホワイトソースと同様に、必要に応じ他の具材と共に、レトルトパウチまたは缶に充填されレトルト処理を施してもよい。
(加工食品)
本発明の「加工食品」は、上記ホワイトソースを含むものであり、上記ホワイトソースを使用して製造されるものであれば特に制限されない。加工食品中における前記油脂組成物の配合量は、加工食品の種類によって異なるため、特に限定されない。
本発明の「ホワイトソース」を使用して製造される本発明の加工食品としては、例えば、グラタン、シチュー、ドリア、ラザニア、クリームコロッケ、パスタソース等が挙げられ、これらの加工食品は、レトルト食品(インスタント食品、即席食品と呼ばれることもある)として加工されることもある。これらの加工食品の製造方法は、従来公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、クリームコロッケであれば、野菜、肉、魚介等の具材を調理し、これに本発明のホワイトソースを混ぜて一体化した後、ボウルに移して粗熱を取り、適度な大きさに分けて成形した後、衣をつけてフライ調理する方法が挙げられる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
(油脂組成物の調製及び測定)
表1に示す配合で下記の原料油脂(油脂1~油脂3)を混合し、実施例1~4の油脂組成物及び比較例1~2の油脂組成物を得た。
(原料油脂)
<油脂1>
ヤシ油(商品名:精製やし油(S)、日清オイリオグループ株式会社社製)を油脂1とした。
<油脂2>
ヤシ油の極度硬化油(商品名:ヤシ硬化油34、日清オイリオグループ株式会社製)を油脂2とした。
<油脂3>
パーム油(商品名:精製パーム油(S)、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで得られた軟質部(パームオレイン:ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を、さらに分別することで硬質部(パームミッドフラクション:ヨウ素価45、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、これを油脂3とした。
<油脂4>
パーム油(ヨウ素価52、商品名:精製パーム油、日清オイリオグループ株式会社製)を分別することで得られた軟質部(パームオレイン:ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を、減圧下110℃に加熱することにより十分に乾燥させた後、対油0.2質量%のナトリウムメトキシドを添加し、減圧下110℃30分間攪拌し、エステル交換反応を進行させた。エステル交換反応終了後、水洗、脱色、脱臭を行うことでパームオレインのエステル交換油(ヨウ素価56、日清オイリオグループ株式会社社内製)を得て、これを油脂4とした。
(測定方法)
また、表1に示す油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3、HM2、H2U含量、並びに油脂組成物の固体脂含量(SFC)の測定は以下の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3、HM2、H2U含量は、JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)を参考にしたガスクロマトグラフィー法により測定した。
油脂組成物のSFCは、社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。SFCの%は単に割合を示す。
Figure 0007150397000001
(ホワイトソースの調製及び評価)
前記した実施例1~3の油脂組成物及び比較例1~2の油脂組成物を使用し、以下の方法により、表2に示す配合でホワイトソースを調製した。
表2に示す配合にしたがい、各油脂組成物を弱火で加熱して溶かし、そこに小麦粉を撹拌しながら少量ずつ投入し、油脂組成物と小麦粉を十分になじませた。混合物がさらさらした状態になった後、撹拌しながら牛乳を投入し、粘度が出たところで、塩、コショウを投入した。その後、クリーム状のホワイトソースをバットに取り出し、粗熱を取り除いた後、冷蔵庫で十分冷却することで、実施例5~7のホワイトソース及び比較例3~4のホワイトソースを得た。
各ホワイトソースを食した時の口溶けを、下記評価基準により比較評価した。評価結果を表2に示した。
(口溶けの評価基準)
◎ :口中で非常になめらかであり、非常に良好
○ :口中でなめらかであり、良好
△ :口中でややべたつきを感じるが、まずまず良好
× :口中でべたつきを感じ、不良
Figure 0007150397000002
表2から分かるように、実施例1~3の油脂組成物を用いて調製した実施例5~7のホワイトソースは、口溶けが良好なものであった。
一方、A×B×C値が7000未満で15℃SFCが38%未満である比較例1の油脂組成物、A×B×C値が7000未満で20℃SFCが24%より高い比較例2の油脂組成物を用いて調製した比較例3、4のホワイトソースは、良好な口溶けが得られるものでなかった。
(クリームコロッケの調製及び評価)
前記した実施例5~7のホワイトソース及び比較例3~4のホワイトソースを使用し、以下の方法により、クリームコロッケを調製した。
予め5℃に冷やした実施例5~7のホワイトソース及び比較例3~4のホワイトソースを30gずつ秤量し、それに小麦粉、卵、パン粉の順に適量塗布して、俵型に成形した後、180℃の温度で6分間揚げて、実施例8~10のホワイトソース及び比較例5~6のクリームコロッケを得た。
各クリームコロッケを食した時の口溶けを、上記段落〔0057〕と同じ評価基準により比較評価した。評価結果を表3に示した。
Figure 0007150397000003
表3から分かるように、実施例4~6のホワイトソースを用いて調製した実施例8~10のクリームコロッケは、口溶けが良好なものであった。
一方、比較例3、4のホワイトソース用いて調製した比較例5~6のクリームコロッケは、良好な口溶けが得られるものでなかった。

Claims (6)

  1. 油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、15℃における固体脂含量(SFC)が38%以上かつ20℃におけるSFCが24%以下であることを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す)。
  2. 油脂組成物中の全トリアシルグリセロールに占めるM3の含量(質量%)をA、HM2の含量(質量%)をB、H2Uの含量(質量%)をCとしたときの、式A×B×Cの値が7000以上であり、ヤシ油の極度硬化油を含むことを特徴とする、ホワイトソース用油脂組成物(ただし、Mは炭素数14以下の飽和脂肪酸、Hは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表し、M3はM3つで構成されるトリアシルグリセロール、HM2はH1つとM2つで構成されるトリアシルグリセロール、H2UはH2つとU1つで構成されるトリアシルグリセロールを表す)。
  3. パームミッドフラクションを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 前記油脂組成物が、可塑性の油脂組成物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の油脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有することを特徴とする、ホワイトソース。
  6. 請求項5に記載のホワイトソースを含むことを特徴とする、加工食品。
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