JP5125216B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
ところで、前置きエンジン前輪駆動(FF)車や4輪駆動(4WD)車のように、操舵用の車輪即ち転舵輪が走行用の駆動輪を兼ねる車両においは、エンジンルームにおけるレイアウトの制約が大きく、エンジンより出力されるトルクを左右輪に分配するディファレンシャル装置の左右における等剛性を成立させることが難しい。例えば、エンジンや変速機の配置上、ディファレンシャル装置に連結されたドライブシャフトの左右の軸の長さの差が大きく、左右のジョイント屈曲角に差が出ることがある。このため、車両進行の乱れを引き起し、ステアリング操舵力や保舵力が変化を起こしてしまったり、運転者に対して困難且つ煩雑なステアリング操作を強いることになってしまったりする。
なおさらに、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項3に係る発明において、前記操舵補助力補正手段は、車両の加速時に、前記電流指令値が大きくなる補正量を設定するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において、前記操舵補助力補正手段は、前記補正量を前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに応じて変化させるように構成されていることを特徴としている。
図1は、本発明を前置きエンジン前輪駆動車に適用した場合の第1の実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は通常の車両に搭載されているバッテリであって、このバッテリ1から出力されるバッテリ電圧Vbがヒューズ2を介して操舵補助力制御手段としての制御装置3に入力される。この制御装置3は、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ5を駆動制御する。
ステアリング装置10は、ステアリングホイール11が装着されたステアリングシャフト12を有し、このステアリングシャフト12が例えばラックピニオン形式のステアリングギヤ機構13に連結され、このステアリングギヤ機構13がタイロッド等の連結機構14を介してエンジン(図示せず)からの駆動力が伝達される左右の転舵輪15に連結されている。
また、ステアリングシャフト12には、ステアリングホイール11に入力された操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ17が配設されていると共に、電動モータ5にはモータ回転角θmを検出する回転角センサ18が配設され、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクT及び回転角センサ18で検出したモータ回転角θmが制御装置3へ入力されている。
さらに、制御装置3には車両の車速Vxを検出する車速センサ19で検出した車速Vxが入力されている。
この操舵補助トルク指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助電流指令値Irefをとると共に、車速Vxをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが"0"からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値Irefが"0"を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
すなわち、運転者がステアリングホイール11を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ5がアシストトルクTmを発生する。その結果、転舵輪15が転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。
J・αm+ Fr・sign(ωm) + SAT = Tm + T …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ωm、回転角加速度αm、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを検出することができる。ここで、アシストトルクTmは操舵補助電流指令値Irefに比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助電流指令値Irefを適用する。
前後加減速度検出部42は、車速センサ19で検出した車速Vxを微分して車両前後方向の前後加減速度αxを算出する。
ここで、収斂性補償部51は、車速センサ19で検出した車速V及び角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、モータ角速度ωmに車速Vxに応じて変更される収斂性制御ゲインKvを乗じて収斂性補償値Icを算出する。
今、車両がステアリングホイール11を直進状態の中立位置として停車しているものとする。この状態でステアリングホイール11が操舵されていない場合には、操舵トルクセンサ17で検出される操舵トルクTが“0”であり、車速Vxも“0”であるので、操舵補助電流指令値演算部21で操舵トルクT及び車速Vxをもとに操舵補助電流指令値算出マップを参照したときに操舵補助電流指令値Irefが“0”となる。
このため、d−q軸電流指令値演算部25で算出される3相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefも零となり、電動モータ5が停止しているので、モータ電流検出部70で検出されるモータ電流Ia、Ib及びIcも“0”となるので、減算器71a、71b及び71cから出力される電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcも“0”となるため、電流制御部72から出力される電圧指令値Va、Vb及びVcも“0”となり、パルス幅変調回路73からのインバータ制御信号の出力が停止され、インバータ74が停止していることにより、電動モータ5に供給するモータ電流Ia、Ib及びIcも“0”を継続して電動モータ5が停止状態を継続する。
このとき、操舵補助力補正部23では、SAT推定部41でモータ角速度ωm及びモータ角加速度αmが共に“0”であるが、操舵トルクTとアシストトルクTmに対応する操舵補助電流指令値Irefとが略等しくなるので、前記(2)式で算出されるセルフアライニングトルクSATは操舵トルクTと操舵補助電流値Irefの加算値となる。しかしながら、車両が停止状態であって、車速センサ19で検出される車速Vxが“0”であるので、前後加減速度検出部42で検出される前後加減速度αxも“0”であるため、加減速度補正ゲイン算出部43で算出される加減速度補正ゲインGαが“0”を維持するので、乗算器44の乗算出力は“0”となり、さらに操舵トルクTの絶対値|T|が大きな値となるので、操舵トルク補正ゲインGtも小さい値となり、乗算器47の乗算出力は“0”となり、操舵補助力補正値Asは“0”を維持する。
したがって、減算器71a、71b及び71cから3相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefがそのまま電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcとして出力され、これが電流制御部72でPI制御されてから電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefに変換されてパルス幅変調回路73に供給されることにより、このパルス幅変調回路73らかインバータ制御信号が出力され、これがインバータ74に供給されることにより、このインバータ74から三相モータ電流Ia、Ib及びIcか出力されて、電動モータ5が回転駆動され、操舵トルクTに応じた操舵補助力を発生する。
しかしながら、車両の停車状態から車両を例えば直進走行状態で発進させて加速すると、この加速状態では車両が前置きエンジン前輪駆動車であって、転舵輪に伝達される駆動力のアンバランスにより、駆動力の変化が大きく車速変化量が大きくなりステアリングホイール11が取られる現象即ち所謂加速時トルクステアが発生する。
このステアリングシャフト12に伝達される逆入力トルクは、ステアリングホイール11を回転させようとするため、これを阻止するために運転者がステアリングホイール11を保持すると、操舵トルクセンサ17で逆入力トルクを検出することになり、操舵補助電流指令値演算部21で逆入力トルクに応じた操舵補助電流指令値Irefが算出される。
このとき、電動モータ5が回転停止状態を継続しているので、モータ回転情報演算部22で算出されるモータ角速度ωm及びモータ角加速度αmが“0”を継続することにより、指令値補償部24の指令補償値Icomも“0”を継続し、操舵補助電流補正値Iref′がそのまま補償後操舵補助電流指令値Iref″としてd−q軸電流指令値演算部25に供給され、このd−q軸電流指令値演算部25でトルクステアによる逆入力トルクを相殺する操舵補助力を電動モータ5で発生させる3相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefが算出される。
この場合も、車両が直進走行状態で走行している状態で、ブレーキペダルを踏み込む踏力を大きくすることにより、制動装置で車両の各車輪に比較的大きな制動力を与えた場合に、車輪に伝達される制動力のアンバランスやタイヤ及びサスペンションへの様々な方向からの力が加わって車両が左右の一方向に片流れし、ステアリング機構10の転舵輪15側からステアリングシャフト12を捩じろうとするトルクを発生させ、特にステアリング保舵時においては保舵力が負荷となり、転舵輪15側及びサスペンション側から捩じるトルクはタイロッド等の連結機構14及びステアリングギヤ機構13を介してステアリングシャフト12に伝達される。
この急制動時に発生する制動時車両片流れの抑制は、SAT推定部41で推定されるセルフアライニングトルクSATが大きな値となる程操舵補助力補正値Asが大きくなり、前後加減速度検出部42で検出する前後加減速度αxが減速度を表す負値の絶対値が大きくなる程加減速度補正ゲインGαが負値の大きな値となって、操舵補助力補正値Asが大きな値となり、急制動時に生じる車両片流れが大きくなるに応じて操舵補助力補正値Asが大きくなって、操舵補助電流指令値Irefを補正した操舵補助電流補正値Iref′が小さいとなり、車両片流れを確実に抑制することができる。
この第2の実施形態においては、前述した第1の実施形態における操舵トルクに応じて操舵トルク補正ゲインGtを算出する場合に代えて、ステアリング装置10の操舵角を検出して操舵角に応じた補正ゲインを算出するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図7に示すように、前述した第1の実施形態における図2の構成において、操舵トルクTを絶対値化する絶対値化回路45及び操舵トルクの絶対値|T|に基づいて操舵トルク補正ゲインGtを算出する操舵トルク補正ゲイン算出手段46が省略され、これらに代えてステアリングシャフト12の操舵角φを検出する操舵角検出部81と、この操舵角検出部81で検出した操舵角φを絶対値化する絶対値化回路82と、この絶対値化回路82から出力される操舵角φの絶対値|φ|を基に図8に示す操舵角補正ゲイン算出マップを参照して操舵角補正ゲインGφを算出する操舵角補正ゲイン算出部83とが設けられ、操舵角補正ゲイン算出部83で算出された操舵角補正ゲインGφが乗算器48に供給されていることを除いては前述した図2と同様の構成を有し、図2との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
このステップS6では、収斂性補償部51と同様にモータ角速度ωmに車速Vxに応じて設定された補償係数Kvを乗算して収斂性補償値Icを算出してからステップS7に移行する。
Tma= Kt・Iq−Jm・α ……(3)
ここで、Ktはモータのトルク定数、Jmはモータのロータ部の慣性モーメントである。
ωm=(Vm−Im・Rm)/K0 …………(4)
ここで、Rmはモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
Claims (7)
- 転舵輪を転舵するステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記ステアリング機構に与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算して前記電動モータを駆動制御する操舵補助力制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記転舵輪側から前記ステアリング機構に入力されるセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段と、車両前後加減速度を検出する前後加減速度検出手段とを備え、前記操舵補助力制御手段は、前記セルフアライニングトルク推定手段で推定したセルフアライニングトルク及び前記前後加減速度検出手段で検出した加減速度に基づいて加減速時に生じる車両の不安定挙動を抑制するように前記電動モータで発生する操舵補助力を補正する操舵補助力補正手段を備え、
前記操舵補助力補正手段は、前記セルフアライニングトルクが大きい程前記操舵補助力を補正する補正量を大きくするように構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記操舵補助力補正手段は、前記前後加減速度が大きい程前記操舵補助力を補正する補正量を大きくするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵補助力補正手段は、前記電流指令値を補正することにより操舵補助力を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵補助力補正手段は、車両の加速時に、前記電流指令値が大きくなる補正量を設定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵補助力補正手段は、車両の減速時に、前記電流指令値が小さくなる補正量を設定するように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵補助力補正手段は、前記補正量を前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに応じて変化させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記操舵補助力補正手段は、前記補正量を前記操舵角検出手段で検出した操舵角に応じて変化させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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