JP5018240B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
そこで、アシスト電流指令値の微分値が所定閾値以上であるときに、アイドルアップ指令を行うことで、電源電圧の落ち込みを予測して、迅速に電源電圧の落ち込みを防止するという電動パワーステアリング装置の制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記各特許文献に記載の従来装置にあっては、上記入力電力を増やすことで電源電圧の低下を抑制するようにしているが、制御装置への入力電圧値を考慮していないため、電源電圧値が高い場合など、必ずしもアイドルアップが必要でない場合にもアイドルアップされてしまい、無駄な電力が制御装置へ入力されることになる。
そこで、本発明は、電源電圧値に応じて消費電力の削減を行うことにより、電源電圧の低下を防止することができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
車速を検出する車速検出手段と、車載バッテリの電圧値を検出する電圧検出手段とを有し、前記電流指令値演算手段は、前記車速検出手段で検出した車速が所定車速以下である停車中若しくは極低速走行中であるとき、前記電圧検出手段で検出したバッテリ電圧値が低いほど、当該バッテリ電圧値の低下を抑制するべく前記ベクトル制御におけるd軸電流指令値を小さく演算することを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記電流指令値演算手段は、進角制御によって前記d軸電流指令値を演算するものであって、前記電圧検出手段で検出したバッテリ電圧が低いほど、前記進角制御における進角を小さく演算することを特徴としている。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tはコントローラ15に入力される。
また、本実施形態の電動モータ12は、例えば3相ブラシレスモータであり、図2に示すように、U相コイルLu、V相コイルLv及びW相コイルLwの一端が互いに接続されてスター結線とされ、各コイルLu、Lv及びLwの他端がコントローラ15に接続されて個別にモータ駆動電流Iu、Iv及びIwが供給される。また、電動モータ12は、ロータの回転位置を検出するレゾルバ、エンコーダ等で構成されるロータ位置検出回路を備え、回転角センサ13はこのロータ位置検出回路から出力されるロータ回転位置をもとにモータ回転角θを検出するようになっている。
トルク指令値演算部31は、トルクセンサ3で検出した操舵トルクT及び車速センサ16で検出した車速検出値Vを入力として、公知の手順によりトルク指令値Trefを算出し、これをq軸電流指令値演算部35及びd軸電流指令値演算部36に出力する。
換算部33は、モータ角速度ωおよびモータ回転角θを入力として逆起電圧eu,ev,ewを算出する。
q軸電流指令値演算部35は、逆起電圧ed,eq、トルク指令値Tref、モータ角速度ωおよび後述するd軸電流指令値Idrefを入力として、電流指令値Iqrefを決定する。具体的には、q軸電流指令値演算部35では、Iqref=2/3(Tref×ω−ed×Idref)/eqを演算する。
そして、2相/3相変換部37は、電流指令値Iqref,Idrefおよびモータ回転角θが入力されて、電流指令値Iqref,Idrefを3相の電流指令値Iuvref,Ivvref,Iwvrefに変換し、これらをモータ電流制御部40に出力する。
減算回路41u,41v,41wは、電流検出回路22u,22v,22wで検出した各相のモータ電流Iu,Iv,Iwと、3相の電流指令値Iuvref,Ivvref,Iwvrefとの偏差をそれぞれ算出し、その偏差をPI制御部42に出力する。
そして、PWM制御部25では、これら電圧指令値Vu,Vv,Vwを入力としてインバータ回路24へのPWMのゲート信号を算出し、インバータ回路24は、そのゲート信号によってPWM制御される。これにより、各相電流Iu,Iv,Iwが電流指令値Iuvref,Ivvref,Iwvrefとなるように制御される。
このような制御を実現するために弱め界磁制御という制御方法が用いられ、通常、d軸の電流指令値Idref=0であったものが、弱め界磁制御の場合は、等価的にIdref=0ではなくなる。d軸電流指令値Idrefは界磁磁束に対応した電流成分であり、d軸電流指令値Idrefを負の方向に増加させるとd軸上の界磁磁束を弱めることと等価となる。界磁磁束が弱められると逆起電力が小さくなるため、より高速でモータを回転させることが可能となる。このような弱め界磁制御を実行して、急速なハンドル操舵においてもハンドル操舵のフィーリングを良くする工夫を施している。
まず、換算部36aにトルク指令値Trefが入力され、ベース角速度ωbが算出される。一方、機械角演算部36bでは、モータ角速度ωを入力とし、機械角度に変換した機械角速度ωmを出力する。arccos演算部36cでは、ベース角速度ωbと機械角速度ωmとを入力とし、角度Φ=arccos(ωb/ωm)が実行されて、角度Φが出力される。次に、sin演算部36dで角度Φを入力として、sinΦが出力される。
指令値補正部36hでは、掛算部36gから出力されるd軸電流指令値(通常のd軸電流指令値)Idrefに、バッテリ電圧Vbatに感応したゲインKを乗じたK・Idrefを、d軸電流指令値Idrefとして出力する。
ここで、上記ゲインマップは、バッテリ電圧Vbatが高くなるほどゲインKが“0”から“1”に向かって大きくなる特性を有する。例えば、バッテリ電圧Vbatが0VではK=0、バッテリ電圧Vbatが所定電圧Vbat1ではK=1となり、0<Vbat<Vbat1ではゲインKは“0”から“1”の間の値をとるように設定されている。
次に、第1の実施形態の動作及び効果について説明する。
この状態から機械角速度ωmが早くなり、ベース角速度ωbより高速になると、arccos演算部36cの出力である角度Φが0でなく、sinΦが“0”から“1”の間の値を発生するので、掛算部36gの出力値Idref=−|Iqb|・sinΦは値を発生する。
一方、据え切り操舵をしており、車速V=0であるものとすると、スイッチ36iは図4の破線に示す状態となる。このとき、バッテリ電圧Vbatが落ち込んでおらず、Vbat≧Vbat1である場合には、指令値補正部36hでゲインKが“1”に算出されるため、掛算部36gの出力値が減少補正されることなく、当該掛算部36gの出力値Idrefがそのまま最終的なd軸電流指令値として設定されて、通常の弱め界磁制御が実行される。
すなわち、Vbat<Vbat1である場合には、指令値補正部36hでゲインKがバッテリ電圧Vbatに応じて“0”から“1”の間で算出される。そのため、最終的なd軸電流指令値Idrefは掛算部36gの出力値より小さくなる。
したがって、上記のようにd軸電流指令値Idrefを小さく設定することにより、モータ駆動回路への入力電流を制限し、消費電力を削減することができる。その結果、バッテリ電圧の低下を緩和することができる。
つまり、バッテリ電圧Vbatが低いほど、モータ駆動回路への入力電流が制限されることになり、バッテリ電圧Vbatが高い場合には、通常の弱め界磁制御を実行して操舵フィーリングを向上し、バッテリ電圧Vbatが低い場合には、操舵フィーリングを向上するよりも、バッテリ電圧の低下防止を重視する制御となっている。
さらに、電圧検出手段で検出したバッテリ電圧が所定電圧以下であるとき、当該バッテリ電圧が低いほどd軸電流指令値を小さく演算するので、バッテリ電圧が高い状態であるときには通常の弱め界磁制御を実行してモータの高速回転を可能とすることができ、ハンドルの急操舵に対してもフィーリングの良いハンドル操舵を確保することができる。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において弱め界磁制御をベクトル制御のd軸電流指令値によって実現しているのに対し、ベクトル制御の進角制御によって実現するようにしたものである。
図6は、第2の実施形態における制御演算装置23の構成を示すブロック図である。ここでは、図3に示す第1の実施形態における制御演算装置23と同様の処理を行う部分には図3と同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
一方、電流検出回路22u,22v,22wで検出したモータ電流Iu,Iv,Iwは、3相/2相変換部62でモータ電流Iq,Idに変換される。この変換には、モータ回転角θが利用される。
PI制御部64は、これらの偏差ΔId,ΔIqをなくすようにPI制御を施し、電圧指令値Vd,Vqを出力する。そして、これら電流指令値Vd,Vqは、2相/3相変換部65で3相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換される。この変換には、モータ回転角θ及び後述する進角演算部66で演算される進角の角度Φが利用される。具体的には、電流指令値Vd,Vqに対して次式が実行され、電圧指令値Vu,Vv,Vwが演算される。
Vv=−Vd・cos(θ+Φ−2π/3)+Vq・sin(θ+Φ−2π/3),
Vw=−Vd・cos(θ+Φ+2π/3)+Vq・sin(θ+Φ+2π/3) ………(1)
トルク指令値Trefを入力として換算部66aにおいてベース角速度ωbが算出され、一方、角速度演算部32で算出されたモータ角速度ωを入力とする機械角演算部66bにおいて機械角速度ωmが算出され、arccos演算部66cにおいて、角度Φ=arccos(ωm/ωb)に基づき、角度Φが算出される。
具体的には、角度Φを補正するためのゲインKは、電圧センサ27の出力であるバッテリ電圧Vbatをもとに、ゲインマップを参照して算出する。
また、スイッチ66eは、車速センサ16で検出した車速検出値Vが所定車速V1より大きいときには、図中実線で示す状態となっており、arccos演算部66cから出力されるd軸電流指令値Idrefを最終的なd軸電流指令値として出力する。一方、車速検出値Vが所定車速V1以下であるときには、スイッチ66eは図中破線で示す状態に切り換わり、角度補正部66dから出力されるd軸電流指令値Idrefを最終的なd軸電流指令値として出力する。
モータの機械角速度ωmがベース角速度ωbより遅い場合、arccos演算部66cの出力である角度Φが“0”となるので、進角演算部66の出力である角度Φも“0”となって、弱め界磁制御は実行されない。
この状態から機械角速度ωmが早くなり、ベース角速度ωbより高速になると、arccos演算部66cの出力である角度Φが0でなくなる。このとき、車速Vが所定車速V1以下であるものとすると、スイッチ66eが図7の破線で示す状態となる。そして、バッテリ電圧Vbatが電圧Vbat1以上であるものとすると、角度補正部66dでゲインK=1として算出されるので、arccos演算部66cの出力値が減少補正されることなく、当該arccos演算部66cの出力値Φを最終的な角度Φとして弱め界磁制御が実行される。
また、バッテリ電圧Vbatが0Vであるものとすると、角度値補正部66dでゲインK=0として算出されるので、最終的な角度Φ=0となり、弱め界磁制御は実行されない。
なお、上記各実施形態においては、電圧感応ゲインKを図8に示すゲインマップを参照して算出することもできる。図8(a)は、バッテリ電圧Vbatが0VであってもゲインKが“0”ではなく、例えば、K=K1(例えば、0.3)を有するものである。このようなゲインマップを採用することにより、弱め界磁制御のためのd軸電流をある程度確保して、バッテリ電圧の低下を抑制することができると共に操舵フィーリングの良さも確保することができる。
このように、ゲインマップの特性は、バッテリ電圧の低下防止と操舵フィーリング向上との兼ね合いによって決定することができる。
Claims (4)
- ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて、d−q軸のベクトル制御を用いて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、前記電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
車速を検出する車速検出手段と、車載バッテリの電圧値を検出する電圧検出手段とを有し、前記電流指令値演算手段は、前記車速検出手段で検出した車速が所定車速以下である停車中若しくは極低速走行中であるとき、前記電圧検出手段で検出したバッテリ電圧値が低いほど、当該バッテリ電圧値の低下を抑制するべく前記ベクトル制御におけるd軸電流指令値を小さく演算することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記電流指令値演算手段は、通常のd軸電流指令値に対して、前記電圧検出手段で検出したバッテリ電圧が低いほど小さくなる電圧感応ゲインを乗じることで、当該バッテリ電圧が低いほど、前記d軸電流指令値を小さく演算することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記電流指令値演算手段は、進角制御によって前記d軸電流指令値を演算するものであって、前記電圧検出手段で検出したバッテリ電圧が低いほど、前記進角制御における進角を小さく演算することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記電流指令値演算手段は、前記車速検出手段で検出した車速が所定車速以下であり、且つ前記電圧検出手段で検出したバッテリ電圧が所定電圧以下であるとき、当該バッテリ電圧が低いほど、前記d軸電流指令値を小さく演算することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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