JPH0781600A - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

車両用操舵制御装置

Info

Publication number
JPH0781600A
JPH0781600A JP22463893A JP22463893A JPH0781600A JP H0781600 A JPH0781600 A JP H0781600A JP 22463893 A JP22463893 A JP 22463893A JP 22463893 A JP22463893 A JP 22463893A JP H0781600 A JPH0781600 A JP H0781600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
steering
steering angle
wheels
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22463893A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Kawagoe
健次 川越
Masaharu Sato
正晴 佐藤
Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP22463893A priority Critical patent/JPH0781600A/ja
Publication of JPH0781600A publication Critical patent/JPH0781600A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】水溜まりや路面突起通過の際に車輪に入力され
る車両の前後力の偏差から生じるヨーモーメントを相殺
する反対周りのキャンセルモーメントを,操舵角変更機
構による操舵角制御することによって発生して操縦安定
性を向上することができる車両用操舵制御装置を提供す
る。 【構成】前左右輪のサスペンションリンクに取付けられ
たロードセル等の前後力検出器の出力値fFL,fFRから
前左右各輪に入力される前後力FFL,FFRを算出し(S1,
S2)、前記キャンセルモーメントを発生するための後輪
操舵角δR を通常の後輪操舵角制御分δROと加味して算
出し(S3, S4)、この後輪操舵角δR を達成するための後
輪操舵用シリンダに与えられる油圧制御信号CS1 ,C
2 を,実後輪操舵角δRRが一致するまで出力して前記
キャンセルモーメントを得る構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の前輪及び後輪の
何れか一方又は双方に設けられた操舵角変更装置による
当該車輪の操舵角変更量を制御可能とした操舵制御装置
に関し、特にステアリングホイールによる操舵入力とは
個別に当該車輪の操舵角変更量を可変とする,四輪操舵
(以下,単に4WSとも記す)車両等に好適なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】四輪操舵の基本的な目的は、車両のステ
アリング特性を改善することにある。具体的に現今の四
輪操舵車両では、低速走行時にステアリングホイールを
操舵して転舵輪である前輪を転舵させた場合には,後輪
を前輪と逆方向に操舵する所謂逆相操舵によって小回り
性を向上し、高速走行時にあっては後輪を前輪と同方向
に操舵する所謂同相操舵によって安定性を向上する。ま
た、この四輪操舵の効果を高めるために,非転舵輪であ
る後輪のみならず、転舵輪である前輪にも前記電子/油
圧等の制御手段による操舵角変更機構を設けて、車両全
体のステアリング特性をトータルに向上しようとするも
のも提案されている。
【0003】このような四輪操舵,特に後輪の操舵制御
装置としては、例えば「後輪の位相反転制御による操縦
安定性の向上」論文(自動車技術会前刷集No.891968(19
89))がある。この操舵制御装置は、車速及びステアリン
グホイールによる操舵角に基づいて,制御対象となる後
輪の操舵角を制御するものである。また、一方で特開平
1−172070号公報や特開平1−132472号公
報に記載される操舵制御装置も提案されている。これら
の公報に記載される操舵制御装置は、制動中のブレーキ
作動液圧から,車輪に入力されて車両後方への作用する
力の左右アンバランスを検出又は算出し、この車両後方
入力の左右アンバランスに基づいて制御対象となる後輪
の操舵角を制御するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の走行
中に,左右何れかの片輪だけが水膜の路面に侵入した
り、或いは片輪のみが段差や突起のある路面を通過する
と、車両が不用意に旋回しようとしてその挙動が不安定
になる。これは車輪に入力される車両前後方向への力が
左右輪で異なる,即ち車両の左右両側で異なるために、
車両の中心を通る垂直軸周りにヨーモーメントが発生す
る。具体的に水膜の路面に侵入したり路面突起を通過し
たりする片輪には,車両後方に向かう入力が作用するた
め、この後方入力によって,車両にはその中心を通る垂
直軸周りに,当該入力に車両中心からの垂直距離を乗じ
た大きさとなるヨーモーメントが発生する。そして、こ
のような状況下では,運転者はステアリングホイールを
微妙に操舵して自らこのヨーモーメントを打ち消すサイ
ドフォースが得られるように転舵輪である前輪を操舵し
ながら,車両が不用意に旋回しないように制御しなけれ
ばならない。
【0005】このような車両前後方向入力のアンバラン
スに対して、前記「後輪の位相反転制御による操縦安定
性の向上」論文に記載される操舵制御装置では、車速及
びステアリングホイールによる操舵角にのみ基づいて制
御対象となる車輪の操舵角を設定制御しているために、
当該前後方向入力のアンバランスから生じるヨーモーメ
ントに対しては何らの制御効果もない。
【0006】また、前記特開平1−172070号公報
や特開平1−132472号公報に記載される操舵制御
装置では、制動中のブレーキ作動液圧から車両後方入力
の左右アンバランスを検出又は算出することができ、こ
の制動中に関しては当該車両後方入力の左右アンバラン
スによって生じるヨーモーメントに対して制御効果を得
ることを可能とするが、非制動時にはやはり制御効果が
ない。
【0007】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、車輪に入力されて車両の前後方向に作用
する力のアンバランスから生じるヨーモーメントに対し
て,反対周りのモーメントを発生することにより、前記
のような状況下における操縦安定性を向上することがで
きる車両用操舵制御装置を提供することを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本件発明者等は前記諸問
題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果,以下の知見を得て本
発明を開発した。即ち、四輪操舵車両等に設けられてい
る操舵角変更機構を用いて車両の前後方向に作用する力
のアンバランスから生じるヨーモーメントを低減するた
めに,当該ヨーモーメントと反対周りのモーメントを発
生することが可能であることに着目した。この際、車輪
に入力されて車両前後方向に作用する力を検出すること
が肝要であるが,例えばサスペンションリンクを構成す
る車両前後方向に延びるリンクやアーム等にロードセル
等の検出器を取付け、この検出器からの出力値から,当
該リンクやアーム等に作用する力,即ち車両前後方向に
作用する力を検出することができる。そして、この力の
左右輪間の偏差から車両に作用するヨーモーメントを算
出し、このヨーモーメントを打ち消すようなモーメント
を発生するのに必要な制御対象となる車輪の操舵角を算
出し、この操舵角を変更制御することで操縦安定性を向
上できることを見出した。
【0009】而して本発明の車両用操舵制御装置は、図
1の概念図に示すように車両の左右各輪に入力されて車
両前後方向に作用する前後力を検出する前後力検出手段
と、前輪及び後輪の何れか一方又は双方の操舵角を変更
する操舵角変更手段と、前記前後力検出手段により検出
された車両の左右各輪間の前後力の偏差に基づいて,当
該前後力の偏差によって生じる車両ヨーモーメントと反
対周りの車両モーメントを発生するために必要な前記操
舵角変更手段の操舵角変更量を制御する操舵角制御手段
とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
【作用】本発明の車両用操舵制御装置では、図1の概念
図に示すように車両の前輪及び後輪の何れか一方又は双
方の操舵角を前記操舵角変更手段によって変更可能と
し、例えばサスペンションリンクを構成する車両前後方
向に延びるリンクやアーム等に取付けられたロードセル
等の出力から,前後力検出手段によって車両の左右各輪
に入力されて車両前後方向に作用する前後力を検出し、
この車両の左右各輪の前後力の偏差によって生じる車両
ヨーモーメントと反対周りの車両モーメントを発生する
ために必要な前記操舵角変更手段の操舵角変更量を,前
記操舵角制御手段によって当該左右各輪間の前後力の偏
差に基づいて制御することとした。
【0011】
【実施例】図2〜図5は本発明の車両用操舵制御装置
を,後輪の操舵を可能とした四輪操舵車両に展開した一
実施例を示すものである。ここでは、前述したような四
輪操舵車両における基本的なステアリング特性の改善制
御内容は周知であるとして、外乱,即ち車輪に入力され
る車両前後方向の前後力に対する制御についてのみ詳述
する。
【0012】まず、図2に四輪操舵車両の全体的な構成
を簡潔に示す。同図において、10FL,10FRは左
右の前輪であり、10RL,10RRは左右の後輪であ
る。各車輪10FL〜10RRは少なくとも車両に対し
て水平方向に揺動可能に支持されたハブキャリアに回転
自在に支持されている。このうち、前輪10FL,10
FRに対しては両ハブキャリア間を,夫々タイロッド1
2を介してラックアンドピニオン式ステアリングギヤ装
置14のラック軸に連結している。このラック軸にはス
テアリングシャフト16に連結された図示されないピニ
オンが噛合しており、ステアリングホイール15を回転
させることにより前輪を機械式に主操舵できるように構
成されている。
【0013】また、同図の2は車両に搭載された後輪操
舵装置を示す。この後輪操舵装置2では、後輪10R
L,10RRに対して両ハブキャリア間を,夫々タイロ
ッド18を介して後輪操舵用の操舵軸20で連結してい
る。そして、操舵軸20は後輪操舵用両ロッド形複動シ
リンダ22のピストンロッドとして機能しており、当該
後輪操舵用シリンダ22内は操舵軸20と一体のピスト
ン24によって左右のシリンダ室26L,26Rに分割
され、これらシリンダ室26L,26Rに供給される油
量に応じて操舵軸20がストロークされる。なお、各シ
リンダ室26L,26R内には同等の弾性係数並びに自
由長を有するスプリング28が内装されており、各シリ
ンダ室26L,26Rへの油圧が解除されるとピストン
24がシリンダ22の中央部に移動されてセンタリング
され、後輪10RL,10RRが中庸位置に復帰され
る。更に、前記後輪操舵用シリンダ22の各シリンダ室
26L,26Rには、リザーバ34から吸引した油圧ポ
ンプ30からの所定圧の作動油が制御弁32及びカット
オフ弁36を介して供給される。具体的に,油圧ポンプ
30は制御弁32のポンプポートPに接続され、当該制
御弁32のリターンポートRがリザーバ34に接続さ
れ、一方、カットオフ弁36の一方の出力ポートS1
シリンダ22の一方のシリンダ室26Lに接続され、当
該カットオフ弁36の他方の出力ポートS 2 がシリンダ
22の他方のシリンダ室26Rに接続されて、更に制御
弁32の二つの出力ポートA,Bが夫々,カットオフ弁
36の二つの入力ポートN1 ,N2に個別に接続されて
いる。また油圧ポンプ30は、例えば車両に搭載された
エンジンによって回転駆動され、リザーバ34内の作動
油を吐出し、これが制御弁32に供給される。なお、こ
のうち油圧ポンプ32やリザーバ34は前記ラックアン
ドピニオン式ステアリングギヤ装置に並設された図示さ
れないパワステアリング機構のものと兼用してもよい。
【0014】前記カットオフ弁36は、所謂フェールセ
ーフ弁としての機能を有する4ポート2位置電磁方向切
換弁で構成されている。そして、図2では,このカット
オフ弁36の右方にはリターンスプリング62が配設さ
れ、左方に配設された電磁ソレノイド63は後述するコ
ントローラからの制御信号CFで励磁されるようにして
ある。従って、この電磁ソレノイド63が励磁されてい
ないノーマル状態においては図2の右切換え位置とな
り、この状態で当該カットオフ弁36の両入力ポートN
1 ,N2 即ち前記制御弁32の両出力ポートA,Bが連
通状態となって当該制御弁32の出力油圧はそのままリ
ターンされると共に、カットオフ弁36の両出力ポート
1 ,S2 即ち前記シリンダ22の両シリンダ室26
L,26Rが連通状態となって,両シリンダ室26L,
26R内のスプリング28によって両シリンダ室26
L,26R内の油圧は均衡されて操舵軸20がセンタリ
ングされ、後輪10RL,10RRは直進状態,即ち非
操舵状態となり、従って前記制御信号CFの出力されて
ない状態でフェイルセーフ(失陥補償)が行われる。な
お、このスプリング28は,通常旋回で車輪に生じるコ
ーナリングフォースによって容易に変形しない弾性係数
を有するものである。
【0015】一方、このカットオフ弁36の電磁ソレノ
イド63がコントローラからの制御信号CFによって励
磁されると、前記リターンスプリング62の弾性力に抗
して当該カットオフ弁36は図2の左切換え位置に切換
えられる。この状態で、このカットオフ弁36の一方の
入力ポートN1 は前記一方の出力ポートS1 と連通さ
れ,他方の入力ポートN2 は他方の出力ポートS2 と連
通されるから、前記制御弁32の一方の出力ポートAが
シリンダ22の左シリンダ室26Lと連通され,同時に
制御弁32の他方の出力ポートBがシリンダ22の右シ
リンダ室26Rと連通される。
【0016】一方、前記制御弁32は、前述からも理解
できるように各二つずつの入出力ポートを有する4ポー
ト3位置,スプリングセンタ形の電磁方向切換弁で構成
されており、図2の左方の電磁ソレノイド60aは後述
するコントローラからの制御信号CS1 で励磁され,右
方の電磁ソレノイド60bはコントローラからの制御信
号CS2 で励磁される。ここで、当該制御弁32の両電
磁ソレノイド60a,60bが励磁されていない状態で
は,図2の両側のリターンスプリング61a,61bの
弾性力が均衡して制御弁32は中央切換え位置となり、
この状態で当該制御弁32のポンプポートPとリターン
ポートRとが連通状態となり、各出力ポートA,Bは夫
々遮断状態となる。従って、この状態では油圧ポンプ3
2の吐出油圧はそのままリザーバ34に帰還されると共
に,前記カットオフ弁36が作動状態である場合にシリ
ンダ22の左右のシリンダ室26L,26Rは夫々内部
の油圧が封じ込められて保持モードとなる。
【0017】この状態から、前記コントローラの制御信
号CS1 により図2の左方の電磁ソレノイド60aが励
磁されると,図の右方のリターンスプリング61bの弾
性力に抗して制御弁32は同図の左切換え位置となり、
この状態で当該制御弁32のポンプポートPと一方の出
力ポートAとが連通状態となり、リターンポートRと他
方の出力ポートBとが連通状態となる。従って、この状
態で前記カットオフ弁36が作動状態である場合に油圧
ポンプ30からの吐出圧が,作動油をシリンダ22の左
シリンダ室26Lに供給して操舵軸20のピストン24
が図2の右方に移動され、結果的に右シリンダ室26R
内の作動油はリザーバ34に帰還されるから、後輪10
RL,10RRは左切りモードとなる。
【0018】一方、前記コントローラの制御信号CS2
により図2の右方の電磁ソレノイド60bが励磁される
と,図の左方のリターンスプリング61aの弾性力に抗
して制御弁32は同図の右切換え位置となり、この状態
で当該制御弁32のポンプポートPと前記他方の出力ポ
ートBとが連通状態となり、リターンポートRと一方の
出力ポートAとが連通状態となる。従って、この状態で
前記カットオフ弁36が作動状態である場合に油圧ポン
プ30からの吐出圧が,作動油をシリンダ22の右シリ
ンダ室26Rに供給して操舵軸20のピストン24が図
2の左方に移動され、結果的に左シリンダ室26L内の
作動油はリザーバ34に帰還されるから、後輪10R
L,10RRは右切りモードとなる。
【0019】前記コントローラについては後段に詳述す
るとして、車両のステアリングシャフト16には,ステ
アリングホイール15の操舵角θを検出する操舵角セン
サ8が設けられており、この操舵角センサ8からは操舵
角θの大きさに応じ且つ例えばステアリングホイール1
5を右切りしたときに正,左切りしたときに負となる電
圧信号からなる操舵角検出信号をコントローラ3に向け
て出力する。また、車両には,車両の前後方向速度(車
速)Vを検出する車速センサ6が設けられており、車速
Vの大きさに応じ且つ例えば車両の前進時に正,後退時
に負となる電圧信号からなる車速検出信号をコントロー
ラ3に向けて出力する。
【0020】また、後輪10RL,10RRの操舵軸2
0の近傍には,当該操舵軸20の位置から後輪10R
L,10RRの実後輪操舵角δRRを検出する後輪操舵角
センサ9が設けられている。この後輪操舵角センサ9は
後左右輪10RL,10RRの中庸位置からの実後輪操
舵角δRRの大きさに応じ且つ両後輪10RL,10RR
が左切りされているときに正,右切りされているときに
負となる電圧信号からなる実後輪操舵角検出信号をコン
トローラ3に向けて出力する。
【0021】また、前左右輪10FL,10FRには、
各輪に入力されて車両の前後方向に作用する前後力を検
出するための前後力検出器4FL,4FRが設けられて
いる。この前後力検出器4FL,4FRは、図3に詳記
するように前左右輪10FL,10FRのマルチリンク
サスペンション5FL,5FRを構成し,車両の前後方
向若しくはやや前後方向に向けて配設されたテンション
ロッド7FL,7FRに取付けられたロードセル等で構
成されており、タイヤ,ロードホイール,ハブナックル
等を介してテンションロッド7FL,7FRの軸方向に
伝達される前左右各輪10FL,10FRへの入力を,
車両の前後方向への前後力FFL,FFRとして検出し、こ
の前後力FFL,FFRの大きさに応じ且つ車両後方への入
力で正,車両前方への入力で負となる電圧信号からなる
前後力検出信号をコントローラ3に向けて出力する。な
お、この前後力検出器4FL,4FRからの検出信号の
出力値を夫々,fFL,fFRと記す。
【0022】前記コントローラ3は、少なくともA/D
変換機能を有する入力インタフェース回路,中央演算装
置(CPU),記憶装置(ROM,RAM),D/A変
換機能を有する出力インタフェース回路等を有するマイ
クロコンピュータを備えてなる。このコントローラ3に
より通常のコーナリング時のステアリング特性を改善す
る四輪操舵制御の詳細な内容についてはここでは詳述し
ないが、前記車速センサ6からの車速検出値や操舵角セ
ンサ8から得られる操舵角検出値,操舵角速度検出値,
操舵角加速度検出値等に応じて,ステアリングホイール
15による前輪の操舵と同相の後輪操舵を行うことによ
り、車速低速域ではステアリング特性を弱アンダステア
方向に変更制御して旋回性能を向上し、中高速域ではス
テアリング特性をアンダステア方向に強めるように変更
制御して旋回時,レーンチェンジ時等の車両の安定正を
向上させると共にコーナリングの収束性を向上する。更
に、主に低速域で速い操舵入力が与えられた場合には操
舵開始直後に瞬間的に後輪を逆相操舵することにより,
旋回に必要なヨーレートの立ち上がりを向上して操舵に
対する応答性,即ち回頭性を向上し、然る後,前記後輪
の同相操舵を行うことによって,コーナリング中の走行
安定性を向上することをも可能としている。この通常の
後輪操舵制御における操舵角変更量の演算は、このコン
トローラ3内の前記マイクロコンピュータで行われる,
図示されない個別のプログラムに則って行われており、
その後輪操舵制御分δROを前記記憶装置に記憶してい
る。
【0023】一方、本実施例の四輪操舵装置では,前記
後輪操舵装置2及びコントローラ3,前後力検出器4F
L,4FR等を用いて、人為的な駆動力や制動力以外
に,車輪に入力されて車両の前後方向に作用する前後力
のアンバランスから生じる不安定な車両挙動を改善す
る。具体的な演算並びに制御はコントローラ3内のマイ
クロコンピュータによって行われるのであるが、その前
に本実施例による前後力アンバランスの制御原理につい
て説明する。
【0024】まず、図7aに示すように車両の左右輪の
何れか一方の車輪,例えば図では前左輪10FLが水膜
の厚い水溜まりに侵入したり,路面突起や段差を通過し
たりしようとする場合、他方の車輪,同図aでは前右輪
10FRは平滑な舗装路面を走行しているとして,前記
前左輪10FLにのみ当該車輪の回転に伴う大きな前後
力FFLが作用する。一方で、前右輪への前後力FFRはほ
ぼ“0”である。ここで、車両の中心が前左右輪10F
L,10FRのトレッドTの中央に存在するとして,前
左右輪10FL,10FRに入力された前後力の左右偏
差(FFL−FFR)から、当該車両の中心を通る垂直軸周
りに発生する車両ヨーモーメントMは下記1式で表され
る。なお、車両ヨーモーメントMは同図aにおいて車両
の中心を通る垂直軸左周り(反時計周り)で正とし、当
該垂直軸右周り(時計周り)で負とする。
【0025】 M=T・(FFL−FFR)/2 ……… (1) 従って、この車両ヨーモーメントMによってヨー慣性I
の車両には、同じく車両中心を通る垂直軸周りに下記2
式で表されるヨー角加速度αが発生する。 α=M/I =T・(FFL−FFR)/2I ……… (2) この車両ヨーモーメントMによるヨー角加速度αによっ
て、図7bに示すように車両は当該角加速度αの作用す
る方向に回転されようとする。そこで、従来の車両にお
いては,運転者がステアリングホイールを微妙に操舵す
ることにより転舵輪にサイドフォースを与え、これによ
り前記前後力の左右偏差によるヨーモーメントを打ち消
す車両モーメントを発生させ、車両挙動を安定させてい
ることは前述の通りであるが、水溜まりや路面突起,段
差を通過してしまえば理論的に前後力の左右偏差はなく
なるから、前記ステアリングホイールの操舵がその瞬間
に車両を逆方向に旋回させてしまうことにもなりかねな
い。これは、ステアリングホイールに係る微妙なセルフ
アライニングトルクや横加速度の変動を運転者が感じな
がら操舵しているためであり、既知のようにヨーモーメ
ントが単純な一次遅れ系であらわれる場合に,運転者は
それとほぼ同期するようにステアリングホイールを操舵
しなければならないことを意味する。
【0026】逆に言えば前記前後力の左右偏差を検出或
いは算出することができれば,当該前後力の左右偏差に
よる車両ヨーモーメントMを算出することができること
になる。従って、この車両ヨーモーメントMを打ち消す
車両モーメント(以下キャンセルモーメントと記す)M
R を後輪の操舵によって発生することが可能である。こ
こでキャンセルモーメントMR が車両ヨーモーメントM
と等しいとすれば、キャンセルモーメントMR は、後輪
操舵により後左右各輪に発生するサイドフォースSR
車両中心から後左右各輪までの車両前後方向距離LR
対して下記3式が成立する。
【0027】 MR =SR ・2・LR =M ……… (3) 前記サイドフォースSR は、後輪操舵角δR 及び後輪コ
ーナリングパワCpRに対して下記4式で表される。な
お、後輪コーナリングパワCpR は既知のように,輪荷
重変動,滑り角の小さい状況下でタイヤ特性並びに車両
特性によって決まる定数である。
【0028】 SR =δR ・CpR ……… (4) 従って、4式を3式に代入してキャンセルモーメントM
R に関する下記5式を得る。 MR =δR ・CpR ・2・LR =M ……… (5) この5式に前記1式を代入することにより後輪操舵角δ
R に関する下記6式を得る。
【0029】 δR =T・(FFL−FFR)/(2・(2・CpR ・LR )) ……… (6) このうち前輪トレッドT,後輪コーナリングパワC
R ,車両中心から後左右各輪までの車両前後方向距離
R は定数であるから、前左右輪10FL,10FRに
作用する前後力FFL,FFRを得ることができれば後輪の
操舵角δR を算出することができる。ところが、前記図
3に示すロードセル等の前後力検出器4FL,4FRは
例えば前記テンションロッド7FL,7FRに取付けら
れ,それがホイルセンタからオフセットしていることや
当該テンションロッドの軸方向が必ずしも車両の前後方
向に一致していないことなどの理由により、当該前後力
検出器4FL,4FRではホイルセンタに作用して車両
ヨーモーメントMを発生させる前後力FFL,FFRを直接
的に検出できないことがある。そこで、本実施例では、
実車実験によりロードセル等の前後力検出器からの出力
値fとホイルセンタに作用する前後力Fとの相関を得
て,これを図4の特性線図に示すようにマップ化するこ
とにより各ロードセル等の前後力検出器4FL,4FR
の出力値fFL,fFRから前後力FFL,FFRを端的に得る
ことができるようにしている。
【0030】また、前記後輪操舵角δR を制御するにあ
たり、前記通常のステアリング特性改善のための後輪操
舵角制御分δROを加味して制御する。従って、実際の後
輪操舵角δR は前記車速V並びに前輪操舵角θの関数で
表される制御分δROを加味した下記7式に従う。 δR =T・(FFL−FFR)/(2・(2・CpR ・LR ))+δRO ……… (7) なお、前記通常後輪操舵角制御分δROは,例えば一次遅
れ系で表される定常ヨーレートゲインを満足し且つ適宜
フィードバックゲインKを乗じたものとして下記8式の
ように表される。ここで、τ,tは車速Vの関数であ
り、またフィードバックゲインKを車速Vの関数として
もよい。θは前記ステアリングホイールの操舵角であ
る。この後輪操舵角制御分δROの詳細については,例え
ば本出願人が先に提案した特開平2−106469号公
報等を参照されたい。
【0031】 δRO/θ=K(1+τS)/(1+TS) ……… (8) この後輪操舵制御の原理に基づく演算制御処理は前記コ
ントローラのマイクロコンピュータに記憶された処理プ
ログラムに則って行われる。このプログラムは図5のフ
ローチャートに従って所定時間ΔT毎(例えば10mse
c.毎)にタイマ割込処理される。
【0032】まず、ステップS1では前記ロードセル等
からなる前後力検出器4FL,4FRからの前後力出力
値fFL,fFRを読込む。次にステップS2に移行して、
前記ステップS1で読込まれた前後力出力値f FL,fFR
を用いて前記図4に示す特性線図から前左右輪10F
L,10FRのホイルセンタに作用する前後力FFL,F
FRを算出する。
【0033】次にステップS3に移行して、前記記憶装
置に記憶されている通常のステアリング特性改善制御に
おける最新の後輪操舵制御分δROを読込む。次にステッ
プS4に移行して、前記7式に基づいて後輪操舵角δR
を算出する。次にステップS5に移行して、前記後輪操
舵角センサ9からの実後輪操舵角δ RRを読込む。
【0034】次にステップS6に移行して、前記後輪操
舵角δR が実後輪操舵角δRRに一致するか否かを判定
し、両者が一致する場合にはステップS7に移行し、そ
うでない場合にはステップS8に移行する。前記ステッ
プS7では、後輪操舵制御が不要であるか或いは必要な
後輪操舵制御が完了したと判断して,コントローラ3か
らの制御信号CS1 或いはCS2 の出力を停止し、メイ
ンプログラムに復帰する。
【0035】一方、前記ステップS8では、前記ステッ
プS4で得られた後輪操舵角δR を達成するための制御
信号CS1 ,若しくはCS2 を形成する。次にステップ
S9に移行して、前記ステップS4で形成された制御信
号CS1若しくはCS2 を前記制御弁32に向けて出力
して,メインプログラムに復帰する。
【0036】次に本実施例の操舵制御装置による作用を
説明する。ここでは後輪操舵用シリンダ22のピストン
24は両シリンダ室26L,26R内のスプリング28
によって中央位置にセンタリングされている状態から説
明する。まず、前記カットオフ弁36がON作動してい
る状態で,車両が平坦な舗装路面を定速直進走行してい
るとすると、前左右輪10FL,10FRには当該車速
におけるタイヤの回転に伴うほぼ均等で極めて小さな前
後力FFL,FFR(≒0)が作用しているから、両前左右
輪10FL,10FRに設けられたロードセル等の前後
力検出器4FL,4FRからは各前後力FFL,FFRに応
じた出力値fFL,fFRが出力される。そこで前記ステッ
プS1で読込まれたこのロードセル等の前後力検出器4
FL,4FRからの出力値fFL,fFRに基づき、前記ス
テップS2では図4の特性線図に従って両前後力FFL
FRを算出するが、両前後力FFL,FFRの左右偏差(F
FL−FFR)がほぼ零となり、またステアリングホイール
15の操舵角が零若しくはほぼ零であることから,通常
のステアリング特性の改善で行われる後輪操舵角制御分
δROも零若しくはほぼ零となり、前記ステップS4で行
われる7式の演算による後輪操舵角δR は零若しくはほ
ぼ零となり、ステップS6で当該後輪操舵角δR が実後
輪操舵角δRRに一致している場合にはステップS7によ
って制御信号CS1 若しくはCS2 は出力されないま
ま、そうでない場合でも前記ステップS8,S9で形成
されて出力される制御信号CS1 若しくはCS2 もほぼ
零となって、制御弁32は中央の切換え位置に保持さ
れ、これにより油圧ポンプ30からの吐出圧に伴う作動
油はそのままリザーバ34に帰還され、後輪操舵用シリ
ンダ22のピストン24は中央位置にセンタリングされ
た状態が維持されて通常の定速直進走行状態が維持され
る。
【0037】この状態から、図6に示すように例えば前
左輪10FLだけが水膜の厚い水溜まりに侵入すると
か,或いは路面の突起や段差を通過しようとすると、車
輪がそれらの障害物に衝突する衝撃や,タイヤの回転を
阻止するような抵抗力によって当該前左輪10FLには
車両後方向きの前後力FFLが作用し、これにより当該前
左輪10FLに設けられたロードセル等の前後力検出器
4FLはこの前後力FFLの大きさに応じた出力値fFL
出力する。一方、前右輪10FRに作用する前後力FFR
は未だ極めて小さいから,当該前右輪10FRに設けら
れたロードセル等の前後力検出器4FRはこの前後力F
FRの大きさに応じた出力値fFRを出力する。ここで前記
ステップS1で読込まれた両前後力検出器4FL,4F
Rの出力値fFL,fFRに基づき、前記ステップS2で算
出される前左右輪10FL,10FR間の前後力FFL
FRには相応の偏差が発生する。従って、ステアリング
ホイール15を操舵しない状態で,車両にはこの前後力
の偏差(FFL−FFR)に応じて前記1式に従うヨーモー
メントM及び2式に従うヨー角加速度αが作用しようと
する。ところが、前記ステップS4では前記通常後輪操
舵制御分δRRが零の状態で、このヨーモーメントMを打
ち消すキャンセルモーメントMR を発生するための正値
の後輪操舵角δR が算出され、この正値の後輪操舵角δ
R を達成するために前述のように後左右輪10RL,1
0RRを左切りするための制御信号CS 1 が前記ステッ
プS8で形成され、ステップS9で出力された当該制御
信号CS 1 によって制御弁32は左切換え位置に切換え
られ、油圧ポンプ30の吐出圧に伴う作動油は後輪操舵
用シリンダ22の左シリンダ室26Lに供給されるから
ピストン24が図2の右方に移動され、これにより操舵
軸20が右方に移動されて後左右輪10RL,10RR
は図示されないキングピン軸周りに左切りされる。この
後輪操舵は前記ステップS5で読込まれた実後輪操舵角
δRRと後輪操舵角δ R とがステップS6で一致するまで
継続され、当該ステップS6で両者が一致すると判定さ
れた場合には,前記ステップS7で前記制御信号CS1
の出力が停止されるため、制御弁32は前記中央の切換
え位置に切換えられて後輪操舵用シリンダ22の両シリ
ンダ室26L,26R内の油圧はその直前の状態に封じ
込められて,その状態の後輪操舵角δR (若しくは実後
輪操舵角δRR)が維持される。これにより運転者は特別
にステアリングホイール15を操舵しなくとも車両の直
進走行状態が維持される。
【0038】このとき、運転者が水溜まりへの侵入や突
起や段差の通過に対して事前に或いはその直後に,ステ
アリングホイール15を右切りした場合、前述した通常
の後輪操舵角制御分δROが発生するが、前記ステップS
3で読込まれるこの後輪操舵角制御分δROは同相操舵に
あって負値となって前記車両ヨーモーメントMを打ち消
す方向に作用するものであり、しかも前記ステップS4
で演算される7式で算出される後輪操舵角δR は当該後
輪操舵角制御分δRO分だけ小さな値となるから、前記一
連の処理プログラムでこの後輪操舵角δR を達成すれば
車両全体で発生するキャンセルモーメントMR の大きさ
は前記車両ヨーモーメントMに一致してそれを相殺する
から、前記ステアリングホイール15を操舵しない場合
と同様に車両の直進走行状態が維持される。なお、前述
した通常の後輪操舵角制御分δROが低速時の逆相操舵に
あっては正値となり、前記ステップS4で演算される7
式の後輪操舵角δR はその分だけ大きくなるが、低速走
行中であれば水溜まりに侵入したり突起や段差を通過し
たりする際に前左輪10FLに作用する前後力FFLは小
さく、またこのような場合に運転者が与えるステアリン
グホイール15の操舵角が非常に小さいものであるか
ら,前記通常の後輪操舵角制御分δROも非常に小さく且
つ瞬間的なものであるために全体的な車両キャンセルモ
ーメントMR 自体が小さく、車両の挙動を不安定にする
ようなものとはなり得ない。
【0039】しかも、前記水溜まりの水膜の厚さが変化
して前左輪10FLに作用する前後力FFLが変化した場
合にも、前記ステップS1〜S9で行われるフィードバ
ック制御によって設定される後輪操舵角δR は当該前後
力FFLの変化に追従するから、このような場合にあって
も車両の直進走行状態が維持される。このようにして水
溜まりや突起,段差を通過してしまうと、再び前左右輪
10FL,10FRに作用する前後力FFL,FFRは極め
て小さくほぼ等しい状態に復帰するから、左切りされた
後左右輪10RL,10RRを中庸状態,即ち直進走行
状態に復帰させるために前記ステップS1〜S4で後輪
操舵角δR はほぼ零に設定され、この後輪操舵角δR
達成するまで後左右輪10RL,10RRを右切りする
ために前記ステップS8〜S9では制御信号CS2 が形
成出力され、実操舵角δRRが,後輪操舵角δR であるほ
ぼ零となった時点でステップS6〜S7によって制御信
号CS2 の出力が停止されて後左右輪10RL,10R
Rは中庸状態,即ち直進走行状態に復帰される。
【0040】前記において前右輪10FRが水溜まりや
突起,段差を通過する際には、前記制御対象となる車輪
が左右逆転すると共に、車両ヨーモーメントM,キャン
セルモーメントMR ,後輪操舵角δR ,実後輪操舵角δ
RR,の符号が逆転し、また制御信号CS1 は制御信号C
2 に,制御信号CS2 は制御信号CS1 に変化するだ
けで、車両における制御の実態は前記とほぼ同様であ
る。
【0041】また、車両の旋回中或いは旋回への移行期
にあっては,前記運転者がステアリングホイール15を
操舵した場合と同様に、通常の後輪操舵制御分δROが加
味されるだけで、前後力のアンバランスによる車両ヨー
モーメントを相殺する制御については前記とほぼ同様で
ある。また、旋回中に生じるコーナリングフォースは,
論理的に旋回半径が非常に小さい場合を除いて旋回内外
輪,即ち左右輪での相違が小さいから、その分力となる
車両への前後力の左右偏差も小さく,アンバランス制御
に対しては影響が小さい。
【0042】また、前記直進走行にあって,前輪が駆動
輪である場合にアクセルペダル操作による加減速が行わ
れた場合や、ブレーキペダル操作による制動が行われた
場合は、左右輪間でブレーキ特性やタイヤ特性が大幅に
相違ない限り,前左右輪には同等の前後力が作用するか
ら、車両ヨーモーメントは発生せず,特に後輪操舵制御
は実行されない。
【0043】換言すれば、左右輪間でブレーキ特性やタ
イヤ特性に大幅な相違があった場合には前左右輪間で前
後力の偏差が生じ、或いは左右輪間で路面摩擦係数の異
なる,所謂スプリットμ路や、車輪のバウンシングや車
両のローリングモーションを伴う不整地走行にあって前
左右輪間で前後力の偏差が生じた場合にも、前記後輪操
舵制御によれば,当該前後力の左右偏差による車両ヨー
モーメントを相殺するキャンセルモーメントを有効に発
生して,車両の挙動を安定化することができる。
【0044】なお、本実施例では前後力検出器としてサ
スペンションを構成するテンションロッドにロードセル
を取付けて用いたが、これに代替えして歪みゲージを用
いるとか、或いはロードホイルの回転力の変動を検出す
るなどの手段を適宜に講ずることが可能である。また、
本実施例では前左右輪で前後力を検出し且つ後輪の操舵
角を制御する方式を制御の対象としたが、例えば前左右
輪で前後力を検出し,前輪の操舵角を制御するとか、前
後左右各輪で前後力を検出し,前後輪の操舵角を適宜に
設定された配分率で制御するといったように、前後力の
検出と操舵の制御対象輪との組み合わせは車両に要求さ
れる特性から適宜に選定されてしかるべきである。
【0045】また、本実施例では車両の前後方向速度を
検出するために単に車速センサなる検出器を用いたが、
実際に車速を高い分解能で検出することが困難な場合に
は既存の車輪速センサで得られた車輪速から疑似車速を
算出設定したり、加速度センサから得られる車両加速度
を時間積分して使用したりすることも可能である。勿
論、旋回中のステアリング特性を改善するために行われ
る通常の四輪操舵を行うための補助的な機能や構成を組
み合わせることも可能であり、またこれを全く組み合わ
せないことも可能である。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明の車両用操舵
制御装置によれば、車両の左右各輪の前後力の偏差によ
って生じる車両ヨーモーメントと反対周りの車両モーメ
ントを発生するために必要な操舵角変更手段の操舵角変
更量を,操舵角制御手段によって当該左右各輪間の前後
力の偏差に基づいて制御する構成としたために、当該車
両ヨーモーメントは低減或いは相殺されて、運転者は微
妙なステアリングホイールの操舵を行わなくとも車両の
挙動は不安定にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用操舵制御装置を示す概念図であ
る。
【図2】本発明の車両用操舵制御装置を備えた四輪操舵
車両の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】図2の四輪操舵車両において前左右輪に入力さ
れて車両前後方向への前後力を検出するための検出器の
説明図である。
【図4】図3の前後力検出器からの出力値と前後力との
特性線図である。
【図5】図2の車両用操舵制御装置で行われる前後力の
アンバランスによる車両挙動を安定化する後輪操舵制御
のフローチャートである。
【図6】図5の後輪操舵制御による車両挙動の制御効果
の説明図である。
【図7】図5の後輪操舵制御を行わない場合の車両挙動
の説明図である。
【符号の説明】
2は後輪操舵装置 3はコンローラ 4FL,4FRは前後力検出器 5FL,5FRはフロントマルチリンクサスペンション 6は車速センサ 7FL,7FRはテンションロッド 8は操舵角センサ 9は後輪操舵角センサ 10FL〜10RRは車輪 12はタイロッド 14はステアリングギヤ装置 15はステアリングホイール 16はステアリングシャフト 18はタイロッド 20は操舵軸 22は後輪操舵用シリンダ 24はピストン 26L,26Rはシリンダ室 28はスプリング 30は油圧ポンプ 32は制御弁 34はリザーバ 36はカットオフ弁

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の左右各輪に入力されて車両前後方
    向に作用する前後力を検出する前後力検出手段と、前輪
    及び後輪の何れか一方又は双方の操舵角を変更する操舵
    角変更手段と、前記前後力検出手段により検出された車
    両の左右各輪間の前後力の偏差に基づいて,当該前後力
    の偏差によって生じる車両ヨーモーメントと反対周りの
    車両モーメントを発生するために必要な前記操舵角変更
    手段の操舵角変更量を制御する操舵角制御手段とを備え
    たことを特徴とする車両用操舵制御装置。
JP22463893A 1993-09-09 1993-09-09 車両用操舵制御装置 Pending JPH0781600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22463893A JPH0781600A (ja) 1993-09-09 1993-09-09 車両用操舵制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22463893A JPH0781600A (ja) 1993-09-09 1993-09-09 車両用操舵制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0781600A true JPH0781600A (ja) 1995-03-28

Family

ID=16816854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22463893A Pending JPH0781600A (ja) 1993-09-09 1993-09-09 車両用操舵制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0781600A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005204489A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
US7383917B2 (en) 2004-03-26 2008-06-10 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Running stability control device for vehicle based upon longitudinal forces of wheels
JP2008284892A (ja) * 2007-05-15 2008-11-27 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2022021178A (ja) * 2020-07-21 2022-02-02 株式会社Soken 操舵制御装置、および警告装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005204489A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
JP4604495B2 (ja) * 2004-01-19 2011-01-05 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
US7383917B2 (en) 2004-03-26 2008-06-10 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Running stability control device for vehicle based upon longitudinal forces of wheels
JP2008284892A (ja) * 2007-05-15 2008-11-27 Nsk Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2022021178A (ja) * 2020-07-21 2022-02-02 株式会社Soken 操舵制御装置、および警告装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3463415B2 (ja) 車両のヨーイング挙動制御装置
AU2013290175B2 (en) Steering and control systems for a three-wheeled vehicle
US5019982A (en) Method of controlling rear wheels of a four-wheel steering motor vehicles
JPH04252717A (ja) 能動型サスペンション
JP2576118B2 (ja) 車両の操舵装置
JPH0781600A (ja) 車両用操舵制御装置
JP3463530B2 (ja) 車両運動制御装置
JPH07144653A (ja) 車両のヨーイング運動量制御装置
JP2575491B2 (ja) 能動型サスペンション
JP2548294B2 (ja) 車両用走行制御装置
JPS62238171A (ja) 車両の4輪操舵装置
JP2871230B2 (ja) 前後輪操舵制御装置
JPH08324409A (ja) 車輌のハイドロプレーニング検出装置
JP2569942B2 (ja) 後輪操舵装置
JP3003716B2 (ja) 車両の後輪操舵装置
JPH061132A (ja) 車両用キャンバ角制御装置
JPS62255282A (ja) 走行路面状態判別装置
JPH0195968A (ja) 4輪操舵車両の操舵制御装置
JPH034429B2 (ja)
JPH04331669A (ja) 車両のステアリング特性制御装置
JPS60259572A (ja) 車両の4輪操舵装置
JPH0530672B2 (ja)
JPH05147418A (ja) サスペンシヨン制御方法
JPH04135976A (ja) 四輪操舵装置
JPH05278625A (ja) 車両の後輪操舵装置