JP5112890B2 - 四輪駆動車用駆動力伝達システム - Google Patents

四輪駆動車用駆動力伝達システム Download PDF

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Description

本発明は、二輪駆動が可能であって、四輪駆動時には走行条件に応じた駆動力を従動輪へ伝達するフルタイム四輪駆動システムに関し、特に、走行条件が四輪駆動を必要としない場合には、自動的に二輪駆動に切り替えることで、四輪駆動時の燃費低下を防止する四輪駆動車用駆動力伝達システムに関する。
従来、ドライバーによる車内切替スイッチ等の操作で四輪駆動と後輪による二輪駆動に切り替えることができる後輪駆動車をベースとする四輪駆動車において、前輪への駆動力の配分制御を中央差動装置(センターデフ)で行う四輪駆動車用駆動力伝達装置としては、例えば図10のものが知られている。
図10において、駆動力伝達装置300は四輪駆動車302に設けられ、エンジン304からの駆動力を変速機306で変速して駆動力伝達装置300内の駆動力配分装置308に入力する。
二輪駆動走行時に中央差動装置310に備わる断続機構が切断されている場合は、駆動力はそのまま後輪プロペラシャフト314を介して後輪差動装318に伝達され、後輪差動装置318は左後輪320と右後輪322の回転速度差を吸収しつつ左後輪320及び右後輪322に等しいトルクを与え回転させる。
四輪駆動走行時に中央差動装置310に備わる断続機構が接続されている場合は、駆動力は中央差動装置310に連結されたチェーンベルト機構312と前輪プロペラシャフト316を介して前輪差動装置324にも伝達され、前輪差動装置324は左前輪326と右前輪328の回転速度差を吸収しつつ左前輪326及び右前輪328に等しいトルクを与え回転させる。
中央差動装置310は後輪320、322及び前輪326、328の回転速度差を吸収しつつ所定の前後トルク配分比率で適切にトルクを与え回転させる。
図11は、図10の中央差動装置310の実施例をスケルトンで示す説明図である。図11において、中央差動装置310は変速機306からの駆動力を入力する入力軸332、入力軸332に連結した遊星歯車機構344を構成する遊星キャリア346、遊星キャリア346に回転自在に軸支した遊星ギア348、遊星ギア348に係合する外輪ギア350と太陽ギア352、外輪ギア350に連結して後輪プロペラシャフト314に駆動力を出力する後輪出力軸334を備える。
また、前輪出力軸336に駆動力を出力するスプロケット340と、歯部362にスプロケット軸356を介して連結したスプロケット338及びチェーンベルト342で構成するチェーンベルト機構312、入力軸332に連結した歯部358、太陽ギア352に太陽ギア軸354を介して連結した歯部360を備える。
更に、歯部358、360、362にスプライン係合可能なスリーブ364、スリーブ364をスライドさせ歯部358、360、362とスリーブ364の結合を切り替えるシフト軸366を備え、外輪ギア350の外輪部368と太陽ギア軸354の間にはリミテッドスリップデフとして機能する流体継手370が備わる。
図11(A)は、四輪駆動の状態を示し、スリーブ364が歯部360、362に係合して、歯部360に連結する太陽ギア352と歯部362に連結するスプロケット338は固定された状態で回転する。すなわち、入力軸332から遊星キャリア346に入力した駆動力は、遊星ギア348、外輪ギア350を介して後輪出力軸334に出力すると共に、遊星ギア348、太陽ギア352、太陽ギア軸354、歯部360、スリーブ364、歯部362、スプロケット338、チェーンベルト342、スプロケット340を介して前輪出力軸336にも出力される。
図11(B)は、二輪駆動の状態を示し、スリーブ364が歯部358、360に係合し、遊星キャリア346と太陽ギア352は固定された状態で回転するため遊星ギア348は自転しない。遊星ギア348が自転しないため外輪ギア350は太陽ギア352と同じ速度で回転する。すなわち、入力軸332から遊星キャリア346に入力した駆動力は、遊星ギア346、外輪ギア348を介して後輪出力軸334にのみ出力される。
また、図10に示すように、前輪差動装置324と前輪駆動軸372との連結を切断可能なディスコネクト機構374を設けたシステムもある。このようなシステムでは、ドライバーの操作で中央差動装置310を図11(A)から図11(B)の二輪駆動状態に切り替えた後にディスコネクト機構374を切断することで、前輪差動装置324及び前輪駆動力伝達区間330の構成要素の回転を止めることができる。
図12は他の従来例であり、ドライバーによる車内切替スイッチ等の操作で四輪駆動と前輪による二輪駆動に切り替えることができる前輪駆動車をベースとする四輪駆動車において、後輪への駆動力の配分制御を多板クラッチ機構で行う四輪駆動車用駆動力伝達装置である。
図12において、駆動力伝達装置400は四輪駆動車402に設けられ、エンジン404からの駆動力を変速機406で変速して前輪差動装置424及び前輪差動装置424のリングギア412を介し駆動力分岐装置408に入力する。前輪差動装置424は左前輪426と右前輪428の回転速度差を吸収しつつ左前輪426と右前輪428に等しいトルクを与え回転させる。
また、駆動力分岐装置408の出力はプロペラシャフト414を介して後輪差動装置418内の多板クラッチ機構410に伝達され、二輪駆動時に多板クラッチ機構410が開放されている場合は、駆動力は後輪差動装置418内の差動機構416に伝達されないが、四輪駆動走行時に多板クラッチ機構410が締結されている場合は、駆動力は差動機構416にも伝達され、差動機構416は左後輪420と右後輪422の回転速度差を吸収しつつ左後輪420及び右後輪422に等しいトルクを与え回転させる。
図13は、図12の多板クラッチ機構410の実施例をスケルトンで示す説明図である。図13において、多板クラッチ機構410は駆動力分岐装置408からプロペラシャフト414を介して駆動力を入力する入力軸432、差動機構416に駆動力を出力する出力軸434、入力軸432と出力軸434の間で伝達する駆動力の断続あるいは配分をするクラッチ板436、クラッチ板436を押圧するボールカム機構438、ボールカム機構438を作動させる電磁石装置442及びパイロットクラッチ機構440を備える。
四輪駆動と二輪駆動の切り替え、及び後輪への駆動力配分は電磁石装置442により制御される。入力軸432に駆動力が入力している状態で電磁石装置442のコイル442aに通電すると、コア442bとアーマチュア442cに磁気回路が構成され、コア442bがアーマチュア442cを吸引し、アーマチュア442cの端部442dがパイロットクラッチ機構440のクラッチ板440aを押圧する。
パイロットクラッチ機構440が締結し、入力軸432の回転がボールカム機構438を作動させ、クラッチ板436を押圧する。多板クラッチ機構410は、開放状態と締結状態の間で駆動力配分を制御し、開放状態で出力軸434に駆動力は伝達されず二輪駆動となる。
特開平1−23330号公報
しかしながら、図10に示すような従来の四輪駆動車用動力伝達装置にあっては、後輪による二輪駆動時にも路面との摩擦抵抗により左前輪326及び右前輪328が回転することで、前輪差動装置324、前輪プロペラシャフト316及びチェーンベルト機構312を含む前輪駆動力伝達区間330の各構成要素が回転してしまい、オイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等により燃費低下を招いてしまう問題がある。
また、二輪駆動時の前輪駆動力伝達区間330の各構成要素の回転を止めるためにディスコネクト機構374を設けたシステムでも、二輪駆動ポジションへの切り替えがドライバーの操作に委ねられているため、四輪駆動が必要でない走行状態であっても四輪駆動ポジションのままで走行している限り、前輪駆動力伝達区間330の各構成要素は回転しており、ディスコネクト機構374のないシステムと同様に、オイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等により燃費低下を招いてしまう。
更に、二輪駆動で走行中に路面状態が急激に変化して駆動輪である後輪320、322のスリップが発生した際に、ドライバーが切替スイッチ等を操作して四輪駆動に切り替えようとしても、車体の挙動変化に対してスイッチ操作に時間が掛かり過ぎ、瞬時の危険回避が不可能である。
たとえ瞬時にスイッチ操作ができたとしても、図11(B)に示す二輪駆動状態から図11(A)に示す四輪駆動状態への切り替えは、後輪出力軸334に連動する歯部360と前輪出力軸336に連動する歯部362の回転速度が一致していなければスリーブ364との係合が円滑に行われない。後輪320、322にスリップが発生した状態では歯部360と歯部362は回転速度差があり、特に、大きなスリップが急激に発生した場合は四輪駆動への切り替えが困難になる。
また、図12に示すような従来の四輪駆動車用動力伝達装置にあっても、前輪による二輪駆動時にも路面との摩擦抵抗により左後輪420及び右後輪422が回転することで、後輪差動装置418内の差動機構416が回転してしまい、更に、多板クラッチ機構410を開放して左後輪420、右後輪422に駆動力を伝達しない場合でも、駆動力分岐装置408とプロペラシャフト414は常に回転してしまう。すなわち、前輪による二輪駆動時にも後輪駆動力伝達区間430の各構成要素が回転してしまい、オイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等により燃費低下を招いてしまう問題がある。
本発明は、四輪駆動走行時に走行条件が四輪駆動を必要としない場合には、自動的に二輪駆動に切り替えると共に、従動輪駆動力伝達区間の回転を止めることで、燃費低下を伴わない四輪駆動車用動力伝達システムを提供することを目的とする。
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明は、二輪駆動が可能であって、通常は四輪駆動時には走行条件に応じた駆動力を従動輪に伝達する四輪駆動車用駆動力伝達システムに於いて、動力源からの駆動力を入力軸に入力し駆動輪出力軸に出力すると共に、従動輪出力軸への駆動力配分を制御する駆動力配分装置と、従動輪出力軸からの駆動力を入力し左右従動輪駆動軸に出力すると共に、左右従動輪駆動軸の回転速度差を吸収する従動輪差動装置と、従動輪差動装置と左右従動輪駆動軸の何れか一方又は両方との連結を切断可能なディスコネクト機構と、車体速度を算出する車体速度演算部と、駆動輪のスリップ率を算出するスリップ率演算部と、駆動輪のスリップ率が車体速度の増加に伴い上昇する関係で示される駆動方式切替閾値と車体速度の所定値により区切られ、駆動輪のスリップ率が駆動方式切替閾値以上及び車体速度が所定値以下を四輪駆動領域とし、四輪駆動領域以外を二輪駆動領域とした領域マップと、車体速度及び駆動輪のスリップ率で示される領域マップ上の制御ポイントに基づき駆動力配分装置及びディスコネクト機構を制御する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、四輪駆動時に、制御ポイントが四輪駆動領域から二輪駆動領域に移動した場合は、駆動力配分装置による従動輪出力軸への駆動力の伝達を絶つと共に、ディスコネクト機構により従動輪差動装置と左右従動輪駆動軸の何れか一方又は両方との連結を切断して従動輪出力軸から従動輪差動装置までの従動輪駆動区間の回転を止め自動的に二輪駆動とし、二輪駆動時に、制御ポイントが輪二駆動領域から四輪駆動領域に移動した場合は、駆動力配分装置による従動輪出力軸への駆動力の伝達を開始すると共に、ディスコネクト機構により従動輪差動装置と左右従動輪駆動軸の何れか一方又は両方とを連結して自動的に四輪駆動とすることを特徴とする。

ここで、領域マップは、四輪駆動時に参照する二輪駆動切替閾値からなる四輪駆動時領域マップと、二輪駆動時に参照する四輪駆動切替閾値からなる二輪駆動時領域マップとを備える

更に、四輪駆動車用駆動力伝達システムは、アクセル開度を検出するアクセル開度センサを備え、領域マップをアクセル開度の範囲に応じて複数備えるか、あるいは、車体走行方向の加速度を検出する加速度センサを備え、領域マップを車体走行方向加速度に応じて複数備える

本発明によれば、四輪駆動走行時に駆動制御装置が四輪駆動を必要としない走行条件と判断した場合には、駆動力配分装置により二輪駆動に切り替えると共に、ディスコネクト機構により従動輪差動装置と左右従動輪駆動軸の何れか一方との連結を切断して従動輪駆動力伝達区間の回転を抑制することで燃費向上を図れる。
また、二輪駆動走行時に駆動輪のスリップが発生した場合には、瞬時に四輪駆動に切り替えることで危険を回避できる。
図1は、本発明による四輪駆動車用駆動力伝達システムの実施形態の機能構成を示したブロック図である。図1において、本実施形態の四輪駆動車用駆動力伝達システム10は、車体情報検出装置12、駆動制御装置24及び駆動力伝達装置38で構成される。
車体情報検出装置12は、車輪回転速度検出部14、車体加速度検出部16、変速比検出部18、操舵角センサ20、アクセル開度センサ22を備え、車体の各種状態を検出し駆動制御装置24に出力する。
車輪回転速度検出部14は前後左右の四輪各々に備わる回転速度センサが検知する各車輪の回転速度を検出し、その車輪回転速度と各種センサー情報により実際の車両速度を演算する。車体加速度検出部16は1又は複数の加速度センサを備え車体に働く加速度を検出し、変速比検出部18は変速機の変速機構あるいは変速制御信号から変速比を検出する。また、操舵角センサ20は操舵装置から転舵輪である前輪の舵角を検出し、アクセル開度センサ22はエンジンのスロットル機構あるいはスロットル制御系からアクセル開度を検出する。
駆動制御装置24は、スリップ率演算部26、車体速度演算部28、切替条件データベース30、切替条件選択部34及び駆動制御部36を備え、スリップ率と車体速度及び四輪駆動か二輪駆動かの駆動方式の切替条件に基づき駆動力伝達装置38を制御する。
車体速度演算部28は、車体情報検出装置12から入力する車輪回転速度、車体加速度、変速比、操舵角、アクセル開度の各情報に基づき走行時の実車速である車体速度を算出し、スリップ率演算部26に出力する。
車体速度は、二輪駆動時において駆動力が伝達されない従動輪はスリップを発生しないことから、従動輪に備わる回転速度センサが検知する回転速度に基づき容易に算出できる。しかし、四輪駆動時には駆動輪だけではなく従動輪もスリップを発生するために、車体速度の算出は二輪駆動時に比べて困難であり、そのため多くの車体速度算出方法が提案されている。
本実施形態においては、車輪回転速度、車体加速度、変速比、操舵角、アクセル開度の各情報を用いるとしているが、その具体的手順は限定せず如何なる既知の方法でもかまわない。また、車輪回転速度、車体加速度、変速比、操舵角、アクセル開度の情報を全て用いる必要はなく、更に、記載していない他のセンサによる情報を加えてもかまわない。
スリップ率演算部26は、車体速度演算部28から入力する車体速度情報と車輪回転速度検出部14から入力する車輪回転速度情報に基づき、車体速度と車輪速度の比である各車輪のスリップ率を算出する。
ここで、本願においては、車輪速度とは車輪回転速度と車輪径から導かれる車輪がスリップしていないと仮定した場合の車体の速度であり、車体速度とは各情報に基づき実車速を推定した速度とする。また、駆動輪とは二輪駆動時に駆動力を伝達する車輪であり、従動輪とは二輪駆動時には駆動力を伝達しないが四輪駆動時には駆動力を伝達する車輪とする。すなわち、二輪駆動時に後輪を駆動するシステムの場合は、前輪が従動輪、後輪が駆動輪となり、二輪駆動時に前輪を駆動するシステムの場合は、前輪が駆動輪、後輪が従動輪となる。
切替条件データベース30は、駆動方式の切替条件データである領域マップ32を、アクセル開度に対応して複数備え、領域マップ32は、駆動輪のスリップ率と車体速度の相関で表される駆動方式切替閾値により四輪駆動領域と二輪駆動領域に区切られる。
切替条件選択部34は、アクセル開度センサ22から入力するアクセル開度情報に基づき、参照する領域マップ32を切替条件データベース30の中から選択し、駆動方式の切替条件データとして駆動制御部36に出力する。
駆動制御部36は、スリップ率演算部26から入力する駆動輪及び従動輪のスリップ率、車体速度演算部38から入力する車体速度情報、切替条件選択部34から入力する切替条件データ及び駆動力伝達装置38からのフィードバック情報に基づき、四輪駆動か二輪駆動かの駆動方式の選択と制御、四輪駆動時の従動輪への駆動力の配分制御を駆動力伝達装置38に対して行う。
駆動力伝達装置38は、駆動力配分装置40、従動輪トルク検出部44、駆動輪差動装置46、従動輪差動装置48を備え、従動輪差動装置48はディスコネクト機構50及び状態検出部52を有する。
駆動力配分装置40は、駆動制御部36から入力する制御信号に基づき、多板クラッチ機構42を作動して従動輪への駆動力を配分し、従動輪トルク検出部44は従動輪トルクを検出しフィードバック情報として駆動制御部36に出力する。
ディスコネクト機構50は、駆動制御部36から入力する制御信号に基づき従動輪差動装置と左右従動輪駆動軸の何れか一方との連結を切断及び接続し、状態検出部52はディスコネクト機構50の断続状態を検出しフィードバック情報として駆動制御部36に出力する。
図2は、図1に示す四輪駆動車用駆動力伝達システムにおける領域マップ32を示す説明図である。図2(A)は、アクセル開度が小さい場合に切替状態選択部34が切替条件データベース30から選択する領域マップ32の一例として領域マップ32aを示しており、領域マップ32aは、縦軸を駆動輪のスリップ率γ、横軸を実車速である車体速度Vとして表され、スリップ率γと車体速度Vとの相関で示される駆動方式切替閾値Daにより左上方の四輪駆動領域RFaと右下方の二輪駆動領域RTaに区切られている。
図2(B)は、領域マップ32aよりもアクセル開度の大きな場合に選択する領域マップ32の一例として領域マップ32bを示しており、領域マップ32bは、縦軸を駆動輪のスリップ率γ、横軸を実車速である車体速度Vとして表され、スリップ率γと車体速度Vとの相関で示される駆動方式切替閾値Dbにより左上方の四輪駆動領域RFbと右下方の二輪駆動領域RTbに区切られている。
駆動方式切替閾値Da、Dbは、車体速度Vが増加するに従いスリップ率γが上昇する関係にあるが、車体速度Vs以下はスリップ率γに係わらず四輪駆動領域RFa、RFbとしている。これは、四輪駆動車の発進時及び低速時においては、スリップ率γの演算誤差が大きく正確なスリップ率γが把握できないためであり、この場合、燃費向上よりも危険回避を優先して所定の車体速度Vs以下では一意的に四輪駆動とする。
本実施形態においては、Vsは概ね20Km/hであるが、この数値は任意であり、領域マップ32は、アクセル開度に応じて複数備え、その数も任意である。また、駆動輪がスリップしないアクセル開度がゼロか小さい場合に選択される領域マップ32には、Vsを設けずに車体速度0まで二輪駆動領域があってもよい。
図2(A)において、駆動方式切替閾値Daは、路面状態により異なるスリップ率γと車体速度Vの相関値の例である舗装路値STaと砂利路値SGaの中間にあり、速度Vs以上の舗装路においては常に二輪駆動となることを示している。二輪駆動時に、未舗装路に進入する等の路面状態の変化で、スリップ率γが駆動方式切替閾値Daを越える場合、例えば、車体速度Vn時の制御ポイントが二輪駆動領域RTaのPa(スリップ率γa)から四輪駆動領域RFaのPc(スリップ率γc)に移動すると四輪駆動に切り替わる。
また、四輪駆動時の、路面状態の急変による危険回避状態やコーナリング時等の非定常状態以外の、路面状態が安定している定常状態におけるイニシャル制御時に、舗装路に進入する等の路面状態の変化で、駆動輪のスリップ率γが駆動方式切替閾値Daを下回ると二輪駆動に切り替わる。例えば、車体速度Vn時の制御ポイントが四輪駆動領域RFaのPcから二輪駆動領域RTaのPaに移動すると二輪駆動に切り替わる。
二輪駆動時に車体が緩やかな加速状態の場合、すなわちアクセル開度が徐々に大きくなり駆動輪トルクが増加すると駆動輪のスリップ率γが増加する。例えば、舗装路の走行時では、図2(A)の舗装路値STaから図2(B)の舗装路値STbに変化することで、制御ポイントがPaからPb(スリップ率γb)に移動し、駆動方式切替閾値Daを越えてしまう。
しかし、このような安定した状態ではスリップ率γが増加しても四輪駆動に切り換える必要は少なく、燃費向上を考慮するとそのまま二輪駆動状態を維持するのが望ましい。そのためには、舗装路における車体速度Vn時の制御ポイントがPaからPbに変化しても、駆動制御部36の制御が四輪駆動領域RFbに移行しない、四輪駆動領域RFbと二輪駆動領域RTbの境界が駆動方式切替閾値Dbである領域マップ32bが有用となる。
二輪駆動時に、仮にアクセル開度が領域マップ32bの状態であっても、スリップ率γが駆動方式切替閾値Dbを越える急激な加速状態の場合、例えば制御ポイントPd(スリップ率γd)では四輪駆動に切り替わり、駆動力は従動輪にも配分される。駆動力を従動輪にも配分することで駆動輪のスリップ率γが低下し、駆動方式切替閾値Db以下になると二輪駆動に復帰する。
領域マップ32は、アクセル開度ではなく車体加速度検出部16が検出した車体加速度に応じて複数備えることも可能である。また、四輪駆動と二輪駆動とを切り替える判断の他の方法として、このような領域マップ32を用いずに、所定の車体速度以上、且つ、所定のスリップ率以下では一意的に二輪駆動とすることも可能であり、更に、アクセル開度に応じて二輪駆動に切り替えるスリップ率を変化させること、四輪駆動から二輪駆動に切り替えるスリップ率と二輪駆動から四輪駆動に切り替えるスリップ率を別に設定することも可能である。
図3は、図1に示す四輪駆動車用駆動力伝達システムにおける駆動方式切替条件の他の実施形態を示す説明図であり、駆動方式切替条件を縦軸に駆動輪のスリップ率γ、横軸に実車速である車体速度Vとするグラフで表している。
図3に示すように、車体速度Vs以下はスリップ率γに係わらず四輪駆動範囲AFとするが、これは図2で述べたように、四輪駆動車の発進時及び低速時においては、スリップ率γの演算誤差が大きく正確なスリップ率γが把握できないためであり、この場合、燃費向上よりも危険回避を優先して所定の車体速度以下では一意的に四輪駆動とする。
また、二輪駆動から四輪駆動に切り替えるスリップ率γfaと、四輪駆動から二輪駆動に切り替えるスリップ率γtaを設定し、グラフ上では車体速度Vに関係しない四輪駆動切替値Fa及び二輪駆動切替値Taで、四輪駆動範囲AFと二輪駆動範囲ATを区切るように示している。
切り替え方向により異なるスリップ率γを使用するのは、二輪駆動から四輪駆動への切り替えは危険回避の場合もあるためであり、四輪駆動から二輪駆動に切り替える場合よりも、二輪駆動から四輪駆動に切り替える場合のスリップ率γを低く設定している。すなわち、四輪駆動への切り替え用のスリップ率γfaの方が二輪駆動への切り替え用のスリップ率γtaよりも低い値となっている。
更に、アクセル開度が大きくなるに従いスリップ率γfa、γtaを各々スリップ率γfb、γtbに引き上げ、四輪駆動切替値Fb及び二輪駆動切替値Tbとすることで、二輪駆動の加速時に無用な四輪駆動への切り替えを防止する。
図4は、図1に示す四輪駆動車用駆動力伝達システムにおける駆動力伝達装置38の実施形態を示した説明図であり、二輪駆動は後輪を駆動する方式の車両に適用した場合である。図4において、本実施形態の駆動力伝達装置38は四輪駆動車100に設けられ、駆動力配分装置40、駆動輪差動装置46及び従動輪差動装置48を備える。
駆動力配分装置40は、入力軸112、後輪出力軸114、多板クラッチ機構42、スプロケット116、118、チェーンベルト120、前輪出力軸122及び従動輪トルク検出部44を備える。
駆動輪差動装置46は、ドライブピニオン124、リングギア126、ピニオン128、130、サイドギア132、134を備え、従動輪差動装置48は、ドライブピニオン144、リングギア146、ピニオン148、150、サイドギア152、154を備える。
駆動輪差動装置46及び従動輪差動装置48は各々後輪プロペラシャフト106及び前輪プロペラシャフト164を介して駆動力配分装置40に連結される。
エンジン102からの駆動力は変速機104で変速され、駆動力配分装置40の入力軸112に入力し、二輪駆動時に、入力軸112に同軸に設けられた多板クラッチ機構42が開放されている場合、駆動力はそのまま後輪出力軸114に出力され、自在継手108、後輪プロペラシャフト106、自在継手110を介し、駆動輪差動装置46のドライブピニオン124に伝達される。
ドライブピニオン124は、リングギア126、ピニオン128、130、サイドギア132、134を介して左後輪駆動軸136及び右後輪駆動軸138を駆動し、左後輪駆動軸136及び右後輪駆動軸138は各々左後輪140及び右後輪142を回転させ駆動力を路面に伝達する。コーナリング時や路面状態の変化等により左後輪140と右後輪142に回転速度差が生じても、駆動輪差動装置46は回転速度差を吸収し、左後輪140及び右後輪142に等しいトルクを与え回転させる。
二輪駆動時に、駆動制御部36がスリップ率演算部26の算出した駆動輪である左後輪140又は右後輪142のスリップ率が四輪駆動領域にあると判断すると、四輪駆動に切換えるために駆動制御部36は多板クラッチ機構42を締結する。多板クラッチ機構42が締結されると、多板クラッチ機構42に同軸に連結されたスプロケット116がチェーンベルト120を介しスプロケット118を回転させることで駆動力は前輪出力軸122にも伝達される。
従動輪トルク検出部44は、多板クラッチ機構42の多板クラッチの押圧状態を検出し、駆動制御部36にフィードバック情報として出力する。検出値としては、多板クラッチ機構42を駆動するアクチュエータやセンサの種類に応じて油圧、電流値の何れでも構わない。また、従動輪のトルク検出は多板クラッチの押圧状態ではなく、前輪出力軸122等の従動輪に駆動力が伝達される部位のトルク歪みを非接触で検出するトルクセンサを用いることも可能である。
前輪出力軸122から出力された駆動力は自在継手166、前輪プロペラシャフト164、自在継手168を介し、従動輪差動装置48のドライブピニオン144に伝達され、ドライブピニオン144は、リングギア146、ピニオン148、150、サイドギア152、154を介して左前輪駆動軸156及び右前輪駆動軸158を駆動し、左前輪駆動軸156及び右前輪駆動軸158は各々左前輪160及び右前輪162を回転させ駆動力を路面に伝達する。
ディスコネクト機構50は、四輪駆動時にはサイドギア152と左前輪駆動軸156を連結しており、サイドギア152の回転はそのまま左前輪駆動軸156に伝達される。コーナリング時や路面状態の変化等により左前輪160と右前輪162に回転速度差が生じても、前輪差動装置48は回転速度差を吸収し、左前輪160及び右前輪162に等しいトルクを与え回転させる。
多板クラッチ機構42の締結力はサーボモータにより連続的に制御され、必要に応じて前輪出力軸122へ伝達する駆動力を増減させることで、前後輪の駆動力配分を制御する。
左前輪160及び右前輪162にも駆動力が配分されたことで、左後輪140及び右後輪142の駆動力が減少し、駆動制御部36がスリップ率演算部26の算出したスリップ率が二輪駆動領域にあると判断すると、今度は多板クラッチ機構42を開放する。多板クラッチ機構42が開放されるとスプロケット116への駆動力が絶たれ、左前輪160及び右前輪162に駆動力が伝達されなくなる。
四輪駆動から二輪駆動に切り替わると、ディスコネクト機構50はサイドギア152と左前輪駆動軸156との連結を絶ち、左前輪160及び右前輪162が路面から受ける回転力がリングギア146を回転させることを防止する。これにより、二輪駆動時に燃費低下を招く要因である、前輪を駆動しない二輪駆動時にもリングギア146からスプロケット116までの前輪駆動力伝達区間170が回転してしまう問題を解消できる。
図4において、仮に、二輪駆動時にサイドギア152と左前輪駆動軸156が連結されていると、例えばサイドギア152とサイドギア154が同方向に同速度で回転する場合、ピニオン148及びピニオン150は自転せずにリングギア146が回転する。
サイドギア152とサイドギア154に回転速度差があったとしても同方向の回転であれば回転速度は変化するがリングギア146は回転し、リングギア146が回転することで連結しているドライブピニオン144、自在継手168、前輪プロペラシャフト164、自在継手166、前輪出力軸122、スプロケット118、チェーンベルト120、スプロケット116が回転してしまう。
この、リングギア146からスプロケット116までの前輪駆動力伝達区間170は二輪駆動時には回転する必要のない部位であるにも関わらず、この部分の回転がオイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等を引き起こす。すなわち、左後輪140及び右後輪142から路面に伝わった駆動力が左前輪160及び右前輪162を回転させることで、二輪駆動に必要のない前輪駆動力伝達区間170を回転させ、駆動力の損失となり燃費低下を招いてしまう。
そこで、本発明にあっては、二輪駆動時にディスコネクト機構50によりサイドギア152と左前輪駆動軸156の連結を絶つことで、前輪駆動力伝達区間170の回転を防止している。
サイドギア152と左前輪駆動軸156の連結が絶たれると、左前輪160の回転はサイドギア152に伝わらず、そのため、右前輪162によるサイドギア154の回転はピニオン148及びピニオン150を介してサイドギア152を反対方向に回転させることが可能で、このピニオン148、150及びサイドギア152の回転抵抗よりも、リングギア146に繋がるドライブピニオン144からスプロケット116までの回転抵抗の方が大きいため、リングギア146は回転しない。
リングギア146が回転しないということは、前輪駆動力伝達区間170が回転しないことであり、この場合の駆動力の損失はピニオン148、150、サイドギア152が回転する部分だけとなり、ディスコネクト機構50がなく前輪駆動力伝達区間170が回転してしまう場合と比べて駆動力の損失が少なく、燃費向上が可能である。
状態検出部52は、ディスコネクト機構50が切断されているか接続されているかを検出し、フィードバック情報として駆動制御部36に出力する。
なお、本実施形態において、ディスコネクト機構50は従動輪差動装置48内のサイドギア152と左前輪駆動軸156の中間に設置されているが、サイドギア152と左前輪駆動軸156を断続する位置、あるいはサイドギア154と右前輪駆動軸158を断続する位置、又はその両方の位置であれば前輪差動装置48内に設置するか外に設置するかを問わない。更に、ピニオン148、150、サイドギア152、154で構成するユニットをリングギア146と分離し、その連結を断続する方式等の他の機構でも構わない。
図5は、図4の駆動力配分装置40の実施形態を示した断面図である。図5において、駆動力配分装置40はケース172を有し、ケース172の左側にエンジン102からの駆動力を変速機104を介して入力する入力軸112が設けられ、入力軸112は、ケース172の右側に配置された後輪出力軸114に直結されている。
入力軸112と同軸に多板クラッチ機構42とボールカム機構174が設けられ、多板クラッチ機構42はクラッチハブ176を入力軸112に固定し、クラッチドラム178を入力軸112に対し回転自在に設けたスプロケット116に固定している。
入力軸112と平行に、後輪出力軸114と反対側に駆動力を出力する前輪出力軸122がケース172の左下側に設けられており、前輪出力軸122にはスプロケット118が接続され、多板クラッチ機構42側のスプロケット116との間にチェーンベルト120を掛けて連結している。
前輪出力軸122に伝達される従動輪トルクは、サーボモータ装置192の電流値、又は、油圧を介した圧力センサで検出したボールカム機構174の多板クラッチ押圧力を、フィードバック情報として駆動制御部36に出力し演算する。
このような駆動力配分装置40において、二輪駆動時には、多板クラッチ機構42のクラッチハブ176とクラッチドラム178の間が開放され、入力軸112の駆動力は後輪出力軸114に直接伝達される。
四輪駆動時にあっては、多板クラッチ機構42が締結され、入力軸112からの駆動力を多板クラッチ機構42、スプロケット116、チェーンベルト120、スプロケット118を介して前輪出力軸122にも伝達する。
多板クラッチ機構42に対しては、クラッチハブ176とクラッチドラム178の間に設けた複数のクラッチ板180の締結力を制御するボールカム機構174が設けられ、ボールカム機構174は、入力軸112と同軸に相対回転自在に設けられた一対の固定カムプレート182と回転カムプレート184の相対する面に設けたボールカム溝186にボール190を挟んで保持している。
サーボモータ装置192は、回転カムプレート184のボールカム溝186とは反対側の端部に形成されたギア部188に係合する駆動ギア194を回転させ、回転カムプレート184の左側には押圧部材196が配置される。押圧部材196は、クラッチハブ176との間に備わる復帰ばね198により、多板クラッチ機構42の開放方向に付勢されている。
ボールカム機構174は、駆動ギア194により回転カムプレート184が固定カムプレート182に対し所定方向に回転駆動されると、ボールカム溝186に挟まれているボール190による押圧を受けて押圧部材196及び復帰ばね198を軸方向に押し、押圧部材196が多板クラッチ機構42のクラッチ板180を押すことで、駆動ギア194の回転量に応じて伝達トルクを増加させ、最大押付け位置で直結状態となる。
図6は、図1に示す四輪駆動車用駆動力伝達システムにおける駆動力伝達装置38の他の実施形態を示した説明図であり、二輪駆動は前輪を駆動する方式の車両に適用した場合である。図6において、本実施形態の駆動力伝達装置38は四輪駆動車200に設けられ、駆動力配分装置40、駆動輪差動装置46及び従動輪差動装置48を備える。
駆動力配分装置40は、入力軸212、後輪出力軸214、多板クラッチ機構42、ベベルギア216、出力ピニオン218及び従動輪トルク検出部44を備える。
駆動輪差動装置46は、リングギア226、ピニオン228、230、サイドギア232、234を備え、リングギア226は、駆動力配分装置40の入力軸212に連結している。
従動輪差動装置48は、ドライブピニオン244、リングギア246、ピニオン248、250、サイドギア252、254、ディスコネクト機構50及び状態検出部52を備え、プロペラシャフト206を介して駆動力配分装置40の出力軸214に連結している。
エンジン202からの駆動力は変速機204で変速され、変速機204の出力ギア224、駆動輪差動装置46のリングギア226を介して駆動力配分装置40の入力軸212に入力するが、二輪駆動時に入力軸212に同軸に設けられた多板クラッチ機構42が開放されている場合は、駆動力は後輪出力軸214に出力されない。
リングギア226に入力された駆動力は、ピニオン228、230、サイドギア232、234を介して左前輪駆動軸236及び右前輪駆動軸238を駆動し、左前輪駆動軸236及び右前輪駆動軸238は各々左前輪240及び右前輪242を回転させ駆動力を路面に伝達する。コーナリング時や路面状態の変化等により左前輪240と右前輪242に回転速度差が生じても、駆動輪差動装置46は回転速度差を吸収し、左前輪240及び右前輪242に等しいトルクを与え回転させる。
二輪駆動時に、駆動制御部36がスリップ率演算部26の算出した駆動輪である左前輪240又は右前輪242のスリップ率が四輪駆動領域にあると判断すると、四輪駆動に切換えるために多板クラッチ機構42を締結する。多板クラッチ機構42が締結されると、多板クラッチ機構42に同軸に連結されたベベルギア216が出力ピニオン218を回転させることで駆動力は後輪出力軸214にも伝達される。
後輪出力軸214に伝達される従動輪トルクは、サーボモータ装置292の電流値、又は、油圧を介した圧力センサで検出したボールカム機構274の多板クラッチ押圧力を、フィードバック情報として駆動制御部36に出力し演算する。
後輪出力軸214から出力された駆動力は自在継手208、プロペラシャフト206、自在継手210を介し、従動輪差動装置48のドライブピニオン244に伝達され、ドライブピニオン244は、リングギア246、ピニオン248、250、サイドギア252、254を介して左後輪駆動軸256及び右後輪駆動軸258を駆動し、左後輪駆動軸256及び右後輪駆動軸258は各々左後輪260及び右後輪262を回転させ駆動力を路面に伝達する。
ディスコネクト機構50は四輪駆動時にはサイドギア254と右後輪駆動軸258を連結しており、サイドギア254の回転はそのまま右後輪駆動軸258に伝達される。コーナリング時や路面状態の変化等により左後輪260と右後輪262に回転速度差が生じても、従動輪差動装置48は回転速度差を吸収し、左後輪260及び右後輪262に等しいトルクを与え回転させる。
多板クラッチ機構42の締結力はサーボモータにより連続的に制御され、必要に応じて後輪出力軸214へ伝達する駆動力を増減させることで、前後輪の駆動力配分を制御する。
左後輪260及び右後輪262にも駆動力が配分されたことで、左前輪240及び右前輪242の駆動力が減少し、駆動制御部36がスリップ率演算部26の算出したスリップ率が二輪駆動領域にあると判断すると、今度は多板クラッチ機構42を開放する。多板クラッチ機構42が開放されるとベベルギア216への駆動力が絶たれ、左後輪260及び右後輪262に駆動力が伝達されなくなる。
四輪駆動から二輪駆動に切り替わると、ディスコネクト機構50はサイドギア254と右後輪駆動軸258との連結を絶ち、左後輪260及び右後輪262が路面から受ける回転力がリングギア246を回転させることを防止する。これにより、二輪駆動時に燃費低下を招く要因である、後輪を駆動しない二輪駆動時にもリングギア246からベベルギア216までの後輪駆動力伝達区間270が回転してしまう問題を解消できる。
図6において、仮に、二輪駆動時にサイドギア254と右後輪駆動軸258が連結されていると、例えばサイドギア252とサイドギア254が同方向に同速度で回転する場合、ピニオン248及びピニオン250は自転せずにリングギア246が回転する。
サイドギア252とサイドギア254に回転速度差があったとしても同方向の回転であれば回転速度は変化するがリングギア246は回転し、リングギア246が回転することで連結しているドライブピニオン244、自在継手210、プロペラシャフト206、自在継手208、後輪出力軸214、出力ピニオン218、ベベルギア216が回転してしまう。
この、リングギア246からベベルギア216までの後輪駆動力伝達区間270は二輪駆動時には回転する必要のない部位であるにも関わらず、この部分の回転がオイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等を引き起こす。すなわち、左前輪240及び右前輪242から路面に伝わった駆動力が左後輪260及び右後輪262を回転させることで、二輪駆動に必要のない後輪駆動力伝達区間270を回転させ、駆動力の損失となり燃費低下を招いてしまう。
そこで、本発明にあっては、二輪駆動時にディスコネクト機構50によりサイドギア254と右後輪駆動軸258の連結を絶つことで、後輪駆動力伝達区間270の回転を防止している。
サイドギア254と右後輪駆動軸258の連結が絶たれると、右後輪262の回転はサイドギア254に伝わらず、そのため、左後輪260によるサイドギア252の回転はピニオン248及びピニオン250を介してサイドギア254を反対方向に回転させることが可能で、このピニオン248、250、サイドギア254の回転抵抗よりも、リングギア246に繋がるドライブピニオン244からベベルギア216までの回転抵抗の方が大きいため、リングギア246は回転しない。
リングギア246が回転しないということは、後輪駆動力伝達区間270が回転しないことであり、この場合の駆動力の損失はピニオン248、250、サイドギア254が回転する部分だけとなり、ディスコネクト機構50がなく後輪駆動力伝達区間270が回転してしまう場合と比べて燃費向上が可能である。
なお、本実施形態において、ディスコネクト機構50は従動輪差動装置48内のサイドギア254と右後輪駆動軸258の中間に設置されているが、サイドギア254と右後輪駆動軸258を断続する位置、あるいはサイドギア252と左後輪駆動軸256を断続する位置、又はその両方の位置であれば従動輪差動装置48内に設置するか外に設置するかを問わない。更に、ピニオン248、250、サイドギア252、254で構成するユニットをリングギア246と分離し、その連結を断続する方式等の他の機構でも構わない。
図7は、図6の駆動力配分装置40の実施形態を示した断面図である。図7において、駆動力配分装置40はケース272を有し、ケース272の左側にエンジン202からの駆動力を変速機204及び駆動輪差動装置46のリングギア226を介して入力する中空の入力軸212が設けられ、入力軸212中空部には、駆動輪差動装置46のサイドギア234から右前輪242へ右前輪駆動軸238が通っている。
入力軸212と同軸に多板クラッチ機構42とボールカム機構274が設けられ、多板クラッチ機構42は、入力軸212と入力軸212に同軸に回転自在に設けたベベルギア216の間で構成され、ベベルギア216には、入力軸212と直角に出力ピニオン218を介して後輪出力軸214が連結している。
このような駆動力配分装置40において、二輪駆動時には、多板クラッチ機構42の入力軸212とベベルギア216の間が開放され、入力軸212の駆動力は後輪出力軸214には伝達されない。
四輪駆動時にあっては、多板クラッチ機構42が締結され、入力軸212からの駆動力を多板クラッチ機構42、ベベルギア216、出力ピニオン218を介して後輪出力軸214にも伝達する。
多板クラッチ機構42に対しては、入力軸212とベベルギア216の間に設けた複数のクラッチ板280の締結力を制御するボールカム機構274が設けられ、ボールカム機構274は、入力軸212と同軸に相対回転自在に設けられた一対の固定カムプレート282と回転カムプレート284の相対する面に設けたボールカム溝286にボール290を挟んで保持している。
サーボモータ装置292は、回転カムプレート284のボールカム溝286とは反対側の端部に形成されたギア部288に係合する駆動ギア294を回転させ、回転カムプレート284の左側には押圧部材296が配置される。押圧部材296は、ベベルギア216との間に備わる復帰ばね298により、多板クラッチ機構42の開放方向に付勢されている。
ボールカム機構274は、駆動ギア294により回転カムプレート284が固定カムプレート282に対し所定方向に回転駆動されると、ボールカム溝286に挟まれているボール290による押圧を受けて押圧部材296及び復帰ばね298を軸方向に押し、押圧部材296が多板クラッチ機構42のクラッチ板280を押すことで、駆動ギア294の回転量に応じて伝達トルクを増加させ、最大押付け位置で直結状態となる。
図8は、図4の従動輪差動装置48の実施形態を示した断面図であり、ディスコネクト機構50を備える。また、図8に示す断面図の上下左右を反転すれば図6に示す従動輪差動装置48と実質的に同じになる。
図8において、従動輪差動装置48はデフケース54の外周部に固定されたリングギア146、デフケース54に固定されたピニオン軸56に回転自在に軸支されたピニオン148及びピニオン150、サイドギア軸58に回転不可に軸支されデフケース54内でピニオン148及びピニオン150と係合するサイドギア152、右前輪駆動軸158に回転不可に軸支されデフケース54内ピニオン148及びピニオン150と係合するサイドギア154を備え、四輪駆動時にリングギア146と係合するドライブピニオン144から入力される駆動力を左前輪160及び右前輪162に伝達する。
また、端部156bがサイドギア軸58に回転方向に拘束されずに勘合している左前輪駆動軸156、左前輪駆動軸156の歯部156a及びサイドギア軸58の歯部58aとスプライン結合し、左前輪駆動軸156とサイドギア軸58を連結する位置と連結を解除する位置でスライド可能なスリーブ60、スリーブ60の溝部60aに摺動自在に係合する先端部62aによりスリーブ60をスライドさせるフォーク62、フォーク62に固定され図示しないアクチュエータにより軸方向に駆動されるシフト軸64でディスコネクト機構50を構成し、更に、ディスコネクト機構50の連結状態を検出する状態検出部52を備える。
図8(A)は、二輪駆動時のディスコネクト機構50が非連結状態で、スリーブ60はサイドギア軸58の歯部58aと結合していない。状態検出部52は、駆動制御部36にフィードバック情報として非連結信号を出力する。
この状態では、右前輪駆動軸158の回転はサイドギア154、ピニオン148及びピニオン150を介してサイドギア152に伝わり、リングギア146が回転しないことからサイドギア軸58を右前輪駆動軸158とは反対方向に回転させる。
図8(B)は、四輪駆動時にフォーク64がL方向に移動しディスコネクト機構50が連結した状態で、スリーブ60はサイドギア軸58の歯部58aと結合している。状態検出部52は、駆動制御部36にフィードバック情報として連結信号を出力する。
この状態では、ドライブピニオン144によりリングギア146が回転し、左前輪駆動軸156と右前輪駆動軸158を同方向に回転させる。二輪駆動に戻る際にはフォーク64がU方向に移動しディスコネクト機構50は非連結状態に戻る。
図9は、図1の駆動力制御装置24の処理手順を示したフローチャートである。まず、本実施形態による四輪駆動車のイグニッションスイッチをオンし電源が投入されると、駆動制御装置24において処理が開始され、ステップS1で、従動輪差動装置48に備わるディスコネクト機構50が接続しているか否かの連結状態を状態検出部52にて検出し、ステップS2で、駆動力配分装置40の駆動力の配分状態を従動輪トルク検出部44にて検出する。
ステップS3で、ステップS1において検出したディスコネクト機構50の連結状態、及び、ステップS2において検出した従動輪トルク値に基づき、駆動力伝達装置38が四輪駆動状態か二輪駆動状態かを判断し、二輪駆動と判定するとステップS4に進む。
ステップS4で、各輪の車輪速度を車輪回転速度検出部14にて検出し、ステップS5で、ステップS4において検出した従動輪の車輪速度に基づき、車体速度を車体速度演算部28にて計算する。続いてステップS6で、ステップS4において検出した駆動輪と従動輪の車輪速度に基づき、駆動輪のスリップ率をスリップ率演算部26にて計算する。
ステップS7で、アクセル開度をアクセル開度センサ22で検出し、ステップS8で、切替条件デーベース30からステップS7において検出したアクセル開度に対応する領域マップ32を切替条件選択部34にて選択する。
ステップS9で、ステップS5において算出した車体速度、及び、ステップS6において算出した駆動輪のスリップ率が、ステップS8において選択した切替条件の領域マップ32の二輪駆動領域にあるか否かを駆動制御部36にて判断し、二輪駆動領域にあると判定した場合は、四輪駆動に切り替える必要がないためそのままステップS1に戻り、四輪駆動領域にあると判定した場合は、四輪駆動に切り替えるべくステップS10に進む。
ステップS10で、駆動制御部36は駆動力配分装置40に対し、ディスコネクト機構50を接続可能にするシンクロトルクにトルク配分するように多板クラッチ機構42を制御し、従動輪トルク検出部44のフィードバック情報からシンクロトルクにトルク配分されたと判定したらステップS11に進む。
ここで、シンクロトルクは、図8に示すディスコネクト機構50において、左前輪駆動軸156とサイドギア軸58を連結するためにスリーブ60をL方向にスライドさせる際に、左前輪駆動軸156の回転速度にサイドギア軸58の回転速度を同期させることの可能な従動輪トルクである。
ステップS11で、駆動制御部36はディスコネクト機構50に対し、連結を接続するよう制御し、状態検出部52のフィードバック情報からディスコネクト機構50が接続されたと判定したら、ステップS12で、駆動制御部36は通常のトルク配分で駆動力配分装置40を制御し、ステップS1に戻る。
ステップS3で、四輪駆動と判定した場合はステップS13に進み、ステップS13で、駆動制御部36は、従動輪トルク検出部44のフィードバック情報からイニシャルトルク制御の状態か否かを判断し、イニシャルトルク制御と判定したらステップS14に進む。
ここで、イニシャルトルクは、二輪駆動から四輪駆動に切り替えた際の従動輪に配分される定常的なトルクであり、イニシャルトルクで走行している場合は、危機回避的な四輪駆動ではなく安定した四輪走行状態を意味する。すなわち、危機回避的な四輪駆動であれば四輪駆動を維持しなければならず、ステップS13でイニシャルトルク制御でないと判定した場合は、二輪駆動に切り替えるか否かの判定をする必要がないため、そのままステップS1に戻る。
ステップS14で、車体情報として各輪の車輪速度、車体加速度、変速比、操舵角及びアクセル開度を検出し、ステップS15で、ステップS14において検出した車体情報に基づき、車体速度を車体速度演算部28にて計算する。続いてステップS16で、ステップS14で検出した駆動輪と従動輪の車輪速度、及び、ステップS15で算出した車体速度に基づき、駆動輪と従動輪のスリップ率をスリップ率演算部26にて計算する。
ステップS17で、アクセル開度をアクセル開度センサ22で検出し、ステップS18で、切替条件デーベース30からステップS17において検出したアクセル開度に対応する領域マップ32を切替条件選択部34にて選択する。
ステップS19で、ステップS15において算出した車体速度、及び、ステップS16において算出した駆動輪と従動輪のスリップ率が、ステップS18において選択した切替条件の領域マップ32の四輪駆動領域にあるか否かを駆動制御部36にて判断し、四輪駆動領域にあると判定した場合は、二輪駆動に切り替える必要がないためそのままステップS1に戻り、二輪駆動領域にあると判定した場合は、二輪駆動に切り替えるべくステップS20に進む。
ステップS20で、駆動制御部36は駆動力配分装置40に対し、従動輪へのトルク配分を停止するように多板クラッチ機構42を制御し、従動輪トルク検出部44のフィードバック情報から多板クラッチ機構42が開放されたと判定したらステップS21に進む。
ステップS21で、駆動制御部36はディスコネクト機構50に対し、連結を切断するよう制御し、状態検出部52のフィードバック情報からディスコネクト機構50が切断されたと判定したらステップS1に戻る。
本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
本発明による四輪駆動車用駆動力伝達システムの実施形態の機能構成を示したブロック図 図1の駆動方式切替条件の領域マップを示す説明図 駆動方式切替条件の他の実施形態を示す説明図 図1の駆動力伝達装置の実施形態を示した説明図 図4の駆動力配分装置の実施形態を示した断面図 図1の駆動力伝達装置の他の実施形態を示した説明図 図6の駆動力配分装置の実施形態を示した断面図 図4の従動輪差動装置の実施形態を示した断面図 図1の駆動力制御装置の処理手順を示したフローチャート 従来のFRベースの四輪駆動車用駆動力伝達装置の説明図 図10の切断機構を備えた中央差動装置の実施例を示す説明図 従来のFFベースの四輪駆動車用駆動力伝達装置の説明図 図12の多板クラッチ機構の実施例を示す説明図
符号の説明
10:四輪駆動用駆動力伝達システム
12:車体情報検出装置
14:車体速度検出部
16:車体加速度検出部
18:変速比検出部
20:操舵角センサ
22:アクセル開度センサ
24:駆動制御装置
26:スリップ率演算部
28:車体速度演算部
30:切替条件データベース
32:領域マップ
34:切替条件選択部
36:駆動制御部
38:駆動力伝達装置
40:駆動力配分装置
42:多板クラッチ機構
44:従動輪トルク検出部
46:駆動輪差動装置
48:従動輪差動装置
50:ディスコネクト機構
52:状態検出部
54:デフケース
56:ピニオン軸
58:サイドギア軸
60:スリーブ
62:フォーク
64:シフト軸
100、200:四輪駆動車
102,202:エンジン
104,204:変速機
106:後輪プロペラシャフト
108、110、166、168、208、210:自在継手
112、212:入力軸
114、214:後輪出力軸
116、118:スプロケット
120:チェーンベルト
122:前輪出力軸
124、144:ドライブピニオン
126、146、226、246:リングギア
128、130、148、150、228、230、248、250:ピニオン
132、134、152、154、232、234、252、254:サイドギア
136、256:左後輪駆動軸
138、258:右後輪駆動軸
140、260:左後輪
142、262:右後輪
156、236:左前輪駆動軸
158、238:右前輪駆動軸
160、240:左前輪
162、242:右前輪
164:前輪プロペラシャフト
170:前輪駆動力伝達区間
172、272:ケース
174、274:ボールカム機構
176:クラッチハブ
178:クラッチドラム
180、280:クラッチ板
182、282:固定カムプレート
184、284:回転カムプレート
186、286:ボールカム溝
188、288:ギア部
190、290:ボール
192、292:サーボモータ装置
194、294:駆動ギア
196、296:押圧部材
198、298:復帰ばね
206:プロペラシャフト
216:ベベルギア
218:出力ピニオン
224:出力ギア
270:後輪駆動力伝達区間
300、400:駆動力伝達装置
302、402:四輪駆動車
304、404:エンジン
306、406:変速機
308:駆動力配分装置
310、410:多板クラッチ機構
312:チェーンベルト機構
314:後輪プロペラシャフト
316:前輪プロペラシャフト
318、418:後輪差動装置
320、420:左後輪
322、422:右後輪
324、424:前輪差動装置
326、426:左前輪
328、428:右前輪
330:前輪駆動力伝達区間
332、432:入力軸
334:後輪出力軸
336:前輪出力軸
338、340:スプロケット
342:チェーンベルト
344:遊星歯車機構
346:遊星キャリア
348:遊星ギア
350:外輪ギア
352:太陽ギア
354:太陽ギア軸
356:スプロケット軸
358、360、362:歯部
364:スリーブ
366:シフト軸
368:外輪部
370:流体継手
372:前輪駆動軸
374:ディスコネクト機構
408:駆動力分岐装置
412:リングギア
414:プロペラシャフト
416:差動機構
430:後輪駆動力伝達区間
434:出力軸
436:クラッチ板
438:ボールカム機構
440:パイロットクラッチ機構
442:電磁石装置

Claims (4)

  1. 二輪駆動が可能であって、四輪駆動時には走行条件に応じた駆動力を従動輪へ伝達する四輪駆動車用駆動力伝達システムに於いて、
    動力源からの駆動力を入力軸に入力し駆動輪出力軸に出力すると共に、従動輪出力軸への駆動力配分を制御する駆動力配分装置と、
    前記従動輪出力軸からの駆動力を入力し左右従動輪駆動軸に出力すると共に、前記左右従動輪駆動軸の回転速度差を吸収する従動輪差動装置と、
    前記従動輪差動装置と前記左右従動輪駆動軸の何れか一方又は両方との連結を切断可能なディスコネクト機構と、
    車体速度を算出する車体速度演算部と、
    駆動輪のスリップ率を算出するスリップ率演算部と、
    前記駆動輪のスリップ率が前記車体速度の増加に伴い上昇する関係で示される駆動方式切替閾値と前記車体速度の所定値により区切られ、前記駆動輪のスリップ率が前記駆動方式切替閾値以上及び前記車体速度が前記所定値以下を四輪駆動領域とし、前記四輪駆動領域以外を二輪駆動領域とした領域マップと、
    前記車体速度及び前記駆動輪のスリップ率で示される前記領域マップ上の制御ポイントに基づき前記駆動力配分装置及び前記ディスコネクト機構を制御する駆動制御部と、
    を備え、前記駆動制御部は、
    四輪駆動時に、前記制御ポイントが前記四輪駆動領域から前記二輪駆動領域に移動した場合は、前記駆動力配分装置による前記従動輪出力軸への駆動力の伝達を絶つと共に、前記ディスコネクト機構により前記従動輪差動装置と前記左右従動輪駆動軸の何れか一方又は両方との連結を切断して前記従動輪出力軸から前記従動輪差動装置までの従動輪駆動区間の回転を止め自動的に二輪駆動とし、
    二輪駆動時に、前記制御ポイントが前記輪二駆動領域から前記四輪駆動領域に移動した場合は、前記駆動力配分装置による前記従動輪出力軸への駆動力の伝達を開始すると共に、前記ディスコネクト機構により前記従動輪差動装置と前記左右従動輪駆動軸の何れか一方又は両方とを連結して自動的に四輪駆動とすることを特徴とする四輪駆動車用駆動力伝達システム。
  2. 請求項1記載の四輪駆動車用駆動力伝達システムに於いて、前記領域マップは、
    四輪駆動時に参照する二輪駆動切替閾値からなる四輪駆動時領域マップと、
    二輪駆動時に参照する四輪駆動切替閾値からなる二輪駆動時領域マップと、
    を備えることを特徴とする四輪駆動車用駆動力伝達システム。
  3. 請求項1又は2記載の四輪駆動車用駆動力伝達システムに於いて、
    アクセル開度を検出するアクセル開度センサを備え、
    前記領域マップを前記アクセル開度に応じて複数備えることを特徴とする四輪駆動車用駆動力伝達システム。
  4. 請求項1又は2記載の四輪駆動車用駆動力伝達システムに於いて、
    車体加速度を検出する加速度センサを備え、
    前記領域マップを前記車体加速度に応じて複数備えることを特徴とする四輪駆動車用駆動力伝達システム。
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