JP5101710B2 - エチレングリコールの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エチレンの接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコール水溶液などのような回収エチレングリコールを原料とし、これから高純度のエチレングリコール、特に繊維グレードのモノエチレングリコール(MEG)を製造する方法に関する。
ポリエステル繊維製造用のモノエチレングリコールは、わずかな量の不純物を含んでいる場合でも、製造されるポリエステル繊維の染色特性、強度、着色などの諸特性に悪影響を及ぼす。ポリエステル繊維の製造に適した高純度のモノエチレングリコールは、繊維グレードのモノエチレングリコールと呼ばれ、次の表1に示す厳格な紫外線透過試験の規格に合格する必要がある。
Figure 0005101710
エチレングリコールは、エチレンオキシドの加水反応により製造され、エチレンオキシド製造プラントとエチレングリコール製造プラントは併設されるのが一般的である。それらのプロセスについては、例えば、非特許文献1に解説されている。
エチレンオキシド/エチレングリコール製造プロセスの一例を図1に示す。エチレンオキシド製造プロセスでは、反応器流出ガス中の生成エチレンオキシドを分離回収するのに、水を吸収液として循環使用する。この循環系では、エチレンオキシドの一部が加水反応を起こしてエチレングリコールが蓄積するため、吸収液の一部をパージ流として系外に排出する。パージ流(粗グリコール水溶液)中のエチレングリコールは、経済的な理由で副生エチレングリコールとして回収するが、吸収液は、酸化工程、エチレンオキシド回収・精製工程などのプロセスで使用する原料、薬剤、副反応生成物等に由来する、アルデヒド類、有機酸類、有機塩素類、有機酸、無機酸の塩類等、種々の不純物を含むため、通常の蒸留による分離精製方法で回収した副生エチレングリコールは、繊維グレードのモノエチレングリコールとして合格せず、一般的には工業用グレードの製品となるものであった。
この品質を改善する方法として、上記粗グリコール水溶液からエチレングリコールを回収するに当たり、粗グリコール水溶液を活性炭あるいはイオン交換樹脂と接触させ、該不純物を活性炭あるいはイオン交換樹脂に吸着させる方法として、蒸留に加えて、さらにアルカリおよび活性炭で処理する方法(特許文献1)やイオン交換樹脂および活性炭で処理する方法(特許文献2)等が提案されているが、粗グリコール水溶液に含まれる副生物、副生物とエチレンオキシドとの反応生成物、副生物とエチレングリコールとの反応生成物等が多く含まれているので、活性炭あるいはイオン交換樹脂の能力減退をはやめるため、工業的に使用するには不向きであり、また、活性炭、イオン交換樹脂は高価でもあり、品質面、特にモノエチレングリコールを繊維用に用いるには必ずしも満足できないか、あるいは処理操作が複雑でコスト的に有利とはいえない等の問題があった。
上記品質を改善する方法として、粗グリコール水溶液からエチレングリコールを回収するに当たり、粗グリコール水溶液を蒸留してエチレングリコールの一部を分留カットし、エチレングリコールと共にアルデヒド、酸およびそれらとエチレングリコールとの反応生成物を除去する方法が提案されているが、分留カットされたエチレングリコールの品質は悪く、さらに分留塔を必要とするのでエチレングリコールのコスト高となる。
また、粗エチレングリコール類中の不純物を化学的に処理して精製する方法も数多く提案されている。例えば、芳香族ジカルボン酸とエチレンオキシドもしくはエチレングリコールとよりポリエステルを製造する工程から回収される粗エチレングリコール類を精製する方法として、水素添加触媒の存在下に水素と接触させる方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法をエチレンの気相酸化によるエチレンオキシドの製造工程から得られる粗グリコール水溶液に単純に適用しても高純度のエチレングリコール類を得ることはできなかった。
特許文献4には、エチレンの直接酸化によって得られるエチレンオキシドの回収および精製工程で生成するグリコール水溶液を常法によって濃縮し、濃縮された粗グリコール水溶液(モノ−、ジ−およびトリエチレングリコールを含めて60〜95重量%)をアルカリにてpHを10以上、好ましくは12〜14に調節した後、このアルカリ性粗グリコール水溶液を減圧下にて蒸留温度が180℃より低い温度で、好ましくは120〜160℃の温度で粗グリコール水溶液を蒸留し大部分を留出させ、一方、重質不純物をボトムから系外へ除去して粗蒸留を行い(粗蒸留工程)、ついで前記粗蒸留で得られるエチレングリコールを蒸留によって脱水、精製する事により、工業的規模で合成繊維の製造に適する高純度のエチレングリコールを製造することができることも報告されている。
しかしながら、上記公報(特許文献4)に記載の方法において、粗蒸留のみによる重質分カットでは、不純物(アルデヒド類、有機酸類、有機塩素化合物類)の除去が不充分のため、取得したモノエチレングリコールの品質面、特に紫外線透過率に関して問題があった。
また、特許文献5には、エチレンの気相接触酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコール水溶液から高純度のモノエチレングリコール類を製造する方法において、該粗グリコール水溶液を脱水し、粗蒸留したのちの粗蒸留グリコールを200℃以下の温度で水素化触媒の存在下に水素ガスにより水添処理した後、精製することを特徴とする、高純度エチレングリコール類の製造方法が開示されている。
しかしながら、上記公報(特許文献5)に記載の水添処理法を行う場合、水添処理反応器、触媒、水素等が必要であり、経済的でないうえ、操作が煩雑で装置面での問題もあった。
特公昭45−10324号公報 特開昭58−62124号公報 特開昭51−1403号公報 特公昭45−9926号公報 特公平4−28247号公報
化学工学会編「化学プロセス」121〜128頁、9.エチレンオキシド・エチレングリコール(東京化学同人、1998年3月25日発行)
よって、本発明の目的は、モノエチレングリコールの品質面、特に紫外線透過率に優れ、かつ操作および装置が簡単であり、製造コスト面でも優れてなる、回収エチレングリコール原料からの高純度モノエチレングリコールの製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、回収エチレングリコール含有液からの高純度モノエチレングリコールの製造方法につき鋭意検討した結果、粗蒸留工程の前にアルカリ加熱処理工程を設け、原料の回収エチレングリコール含有液をアルカリ性物質の存在下で加熱処理することにより、その液中の不純物(アルデヒド類、有機酸類、有機塩素化合物類)を予め固定化し、その後粗蒸留工程に供することで、固定化により安定化されかつ高沸点化せしめられてなる不純物が粗蒸留塔の塔底部に濃縮され、これを抜き出し系外へ除去することにより、次の精留工程への不純物の混入を防止することができ、品質面、特に紫外線透過率に優れた極めて高純度のモノエチレングリコールを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の目的は、以下の如くにして達成することができる。
(1) 回収エチレングリコール含有液を原料とし、高純度のモノエチレングリコールを製造する方法において、
回収エチレングリコール含有液をアルカリ性物質の存在下に加熱処理を施し、その後に該加熱処理を施したエチレングリコール含有液を粗蒸留して得られる留出物を精製することを特徴とする高純度モノエチレングリコールの製造方法。
(2) 前記回収エチレングリコール含有液が、エチレンの接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコールを含有することを特徴とする上記(1)に記載の製造方法。
(3) 前記アルカリ性物質が、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルコキシド、アルカリ土類金属の水酸化物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のものである上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4) 前記アルカリ性物質の使用量が、回収エチレングリコール含有液の全量に対して0.01重量%以上である上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の製造方法。
(5) 前記加熱処理での処理温度が120〜200℃であり、処理時間が1時間以上である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
本発明の製造方法により、粗蒸留塔の塔底部に不純物が固定化され、塔頂より得られる回収エチレングリコール含有液の留出分中の不純物濃度が低減される。この粗エチレングリコール水溶液を脱水し、精留塔にて精製したモノエチレングリコールの品質は大幅に改善される。さらに紫外線透過率も上がり、繊維グレードの製品取得が可能になる。
また、この方法は水添処理法等に比較して、操作が簡易であり、水素を添加する必要が無く、装置面でのメリットもある。
従来の代表的なエチレンオキシド/エチレングリコール製造プロセスの一例を示すものである。 本発明に係る高純度モノエチレングリコールの製造方法に用いられる代表的な装置構成の工程概略図である。
本発明は、回収エチレングリコール含有液を原料とし、高純度のモノエチレングリコールを製造する方法において、
回収エチレングリコール含有液をアルカリ性物質の存在下に加熱処理を施し(以下、アルカリ加熱処理工程ともいう)、その後に該加熱処理を施したエチレングリコール含有液を蒸留して得られる留出物を粗精製する(以下、精製工程ともいう)ことを特徴とするものである。本発明では、粗蒸留を行う前にアルカリ加熱処理を行うことにより、回収エチレングリコール含有液中の不純物であるアルデヒド類、有機酸類、有機塩素化合物類などを効果的に固定化することができる。そのため、こうした不純物は粗蒸留操作で降下液中にとどまり粗蒸留塔の塔底部に蓄積され、効率よく系外へ除去できるため、不純物のエチレングリコール精留塔への混入を防ぐことができるものである。以下、上記アルカリ加熱処理工程、精製工程の順に従って説明する。
(I)アルカリ加熱処理工程
アルカリ加熱処理工程では、回収エチレングリコール含有液をアルカリ性物質の存在下に加熱処理を施すものである。より詳しくは、原料である回収エチレングリコール含有液を、該含有液中の不純物を固定化するのに必要な量のアルカリ性物質の存在下に、粗蒸留を行う前にこれらアルカリ性物質と不純物の固定化が効率よく進む条件にて加熱処理を施すことを特徴とするものである。
本発明に用いることのできる原料の回収エチレングリコール含有液としては、(1)エチレンの接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、副生されるエチレングリコールを含む溶液を適当な工程で回収したもの、(2)エチレンオキシドを原料とするエチレングリコールの製造に際し、エチレングリコールの一部を含む廃水または廃液を適当な工程で回収したもの、のほか、上記(1)および/または(2)の回収エチレングリコール含有液に、エチレンの接触気相酸化による製造プロセスにより得られたエチレンオキシドを加水原料に用いて加水反応し得られた未精製のエチレングリコール(回収エチレングリコール含有液ではなく、目的物として製造され、精製に供される前のエチレングリコール含有液)を加えたものも本発明の範囲に含まれるものである。
上記(1)の例としては、(a)エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコール水溶液(例えば、エチレンオキシド反応器出口ガス中に含まれるエチレンオキシドを吸収するための吸収液をパージ流として一部抜き出したもの、エチレンオキシド精製工程より排出される不純物を含むエチレンオキシドを加水反応処理して得られるグリコール水溶液)、(b)エチレンオキシド吸収工程と、二酸化炭素吸収工程および/または酸化反応工程との間の循環系から抜き出されるエチレングリコール含有液(例えば、二酸化炭素吸収工程から排出されるエチレングリコール含有廃水、反応器出口の熱交換器から排出されたエチレンオキシド含有凝縮液を加水反応処理して得られるエチレングリコール水溶液)などが挙げられる。
上記(2)の例としては、(a)エチレングリコールの精製系からの廃液、廃水(例えば、脱水工程から排出されるエチレングリコール含有廃水、あるいは本発明者らが新たに発明した高純度モノエチレングリコールの製造方法である、モノエチレングリコール精留塔にサイドカット技術を導入し、サイドカット部からモノエチレングリコールを取得する方法において、該モノエチレングリコール精留塔の塔頂部から抜き出される、高濃度不純物を含むエチレングリコール溶液)などが挙げられる。
これらの回収エチレングリコール含有液は、1種単独で用いることができるほか、2種以上を混合して使用する事もできる。一般的には、従来技術でも説明したように、上記(1)−(a)の粗グリコール水溶液が比較的多く副生されるため、これを利用するのが全体の製造コストの低減に寄与できることから望ましく、さらに、接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造プラントは、エチレングリコールの製造プラントに併設されるのが通常であることから、こうした場合には、上記(1)−(a)の粗グリコール水溶液に上記(2)ないし(1)−(b)の溶液を混ぜて使用するのが望ましいといえる。また、回収エチレングリコール含有液中のエチレングリコール濃度が低い場合には、エチレングリコール濃度60〜95重量%、好ましくは80〜90重量%に脱水濃縮してからアルカリ加熱処理に供することができる。
なお、上記回収エチレングリコール含有液中に含まれる不純物には、すでに従来技術において説明したとおり、アルデヒド類、有機酸類および有機塩素類がある。従って、アルカリ加熱処理において固定化される対象物となる不純物は、アルデヒド類、有機酸類および有機塩素類である。
また、当該アルカリ加熱処理工程において、使用することのできるアルカリ性物質としては、水に溶解してアルカリ性を示す金属化合物であれば、特に制限されるものではなく、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルコキシド、アルカリ土類金属の水酸化物等が含まれる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられるが、グリコールへの溶解性が良好なこと、安価に入手し得ること、熱安定性が良好なことなどの理由から、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物などである。また、本発明では、これらアルカリ性物質を1種若しくは2種以上使用してもよい。
上記アルカリ性物質の使用量としては、回収エチレングリコール含有液中に含まれる不純物を好適に固定化させることができる量であれば良く、好ましくは、原料である回収エチレングリコール含有液に対して0.01重量%以上、より好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。該アルカリ性物質の使用量が回収エチレングリコール含有液に対して0.01重量%未満の場合には、回収エチレングリコール含有液中に含まれる不純物を十分に固定化させるには不十分であるため、その後の粗蒸留工程においてエチレングリコールと共に固定化されていない不純物の留出を許し、その後の従来法による精製処理操作だけでは容易に分離除去できないためモノエチレングリコールの精留工程への混入を防ぐことができず、高純度モノエチレングリコールを得るが困難となるなど好ましくない。一方、回収エチレングリコール含有液に対して5重量%を超える場合には、使用量に見合う更なる効果が得られず、また当該アルカリ性物質を分離するときの廃液量が増加するなど不経済であるなどの点で好ましくない。
また、アルカリ性物質の使用形態に関しては、特に制限されるものではないが、適当な濃度に稀釈したアルカリ水溶液の形態で使用するのが取り扱い易さ、混合のし易さなどの観点から好ましいといえる。また、回収エチレングリコール含有液へのアルカリ性物質の使用(添加)の時期に関しても、加熱処理による不純物の固定化が最適になされるものであれば、特に制限されるものではなく、回収エチレングリコール含有液に添加した後および/または添加しながら加熱処理することができる。
アルカリ加熱処理工程における加熱処理条件としては、アルカリ性物質が不純物と反応し固定化できる条件でさえあれば特に制限されるものではないが、好ましくは、処理温度は120〜200℃、好ましくは140〜180℃、特に好ましくは150〜165℃であり、処理時間は1時間以上であればよいが、好ましくは2〜5時間、特に好ましくは2〜3時間である。上記処理温度が120℃未満の場合には、アルカリ性物質との反応による不純物の固定化が十分になされず好ましくない。一方、200℃を超える場合には、得られるモノエチレングリコール中に臭気、着色が発生するので好ましくなく、さらに高温処理により熱力学的に生じる圧力(内圧)が加わるため、耐圧性の容器が必要となり、さらなる高温化に見合う効果が得られず不経済である。上記処理時間が1時間未満の場合には、アルカリ性物質との反応による不純物の固定化反応が十分になされず、蒸留によっては分離しない未反応の不純物が精製工程に混入し、得られるモノエチレングリコールの純度が悪く、品質面、特に紫外線透過率が低くなり、限られた用途にしか使用できないなど好ましくない。一方、5時間を超える場合には、当該アルカリ性物質の使用により不純物を十分に固定化することができるものであり、この点において特に問題はないが、5時間を超えても加熱処理を継続するに見合う効果が得られず不経済であるため好ましくない。
また、上記加熱処理の圧力条件としては、処理温度における被処理液の蒸気圧以上の圧力に保持して被処理液が沸騰状態にならないようにする限り、特に制限されるものではない。
アルカリ加熱処理工程に使用し得るアルカリ加熱処理装置としては、適当な加熱手段を有する装置であればよく、特に制限されるものではないが、好ましくは、回収エチレングリコール含有液を上記に規定する温度範囲まで予熱するための多管式熱交換器と、適当な加熱ないし保温手段を有し上記に規定する加熱処理時間(すなわち、不純物とアルカリ性物質との反応時間ないし回収エチレングリコール含有液の滞留時間)を稼ぐための円筒横形タンク形式の反応器などから構成されるものを使用することができるが、滞留時間が稼げれば多管式熱交換器のような予熱器だけでも可能である。
(II)モノエチレングリコールの精製工程
次に、本発明の精製工程では、上記(I)のアルカリ加熱処理工程にて処理された回収エチレングリコール含有液を粗蒸留し、得られた留出物を従来既知の回収エチレングリコール含有液の精製方法に従って適宜処理することにより、またはエチレンオキシドの加水反応によってエチレングリコールを製造する設備の工程の途中(例えば、脱水塔への供給液)に混合して処理することにより、目的とするモノエチレングリコールを精製分離する事ができるものであれば、特に制限されるものではなく、さらに、従来技術で例示したような従来既知の改良法を適宜併用する事もできる。但し、その場合には、これらの改良部分の装置や手段を設ける必要があり、また、これらに使う添加剤なども必要となり高コスト化するため、例えば、後述する図2に示すような極めて簡便な装置及び簡単な操作(さらには、少ない処理工程数)により分離精製することが望ましいといえる。
以下、図面によって本発明の実施の形態をより具体的に説明する。
図2は、本発明に係る高純度モノエチレングリコールの製造方法に用いられる代表的な工程(装置)概略図である。
図2より、本実施形態では、原料の回収エチレングリコール含有液(例えば、エチレンの接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコール水溶液;エチレングリコール類として5〜95重量%、好ましくは80〜95重量%を含む)を配管103を通じてアルカリ加熱処理装置101に導入する。この際、アルカリ貯蔵タンク(図示せず)より上記に規定するように回収エチレングリコール含有液に対して0.01重量%以上のアルカリ量に相当するアルカリ水溶液を配管102を通じて配管103内の回収エチレングリコール含有液に添加する。その後、アルカリ加熱処理装置101を用いて、回収エチレングリコール含有液を上記に規定する処理条件、すなわち、120〜200℃の処理温度で1時間以上加熱処理を行う。これにより、回収エチレングリコール含有液中の不純物であるアルデヒド類、有機酸類、有機塩素類等を極めて効率よく効果的に反応させて固定化することができるものである。これにより、以降の簡単な蒸留操作により、留出側にエチレングリコール類を分離し、釜液側に固定化された不純物を分離することができるものである。上記アルカリ加熱処理後、アルカリ加熱処理装置101内の処理液を配管107を通じて粗蒸留塔105の中間地点に設けられてなる処理液供給ノズル部から導入する。粗蒸留塔105において、通常20〜100Torrの減圧下で、処理液を減圧蒸留する。これにより、導入した処理液の90〜99重量%が粗蒸留塔105の塔頂部から蒸発する。蒸発したエチレングリコールや水等の成分を配管111を通じて留出し、配管111経路上に設けられた冷却手段により全量凝縮液化することで、エチレングリコール水溶液となる。このエチレングリコール水溶液をさらに配管111を通じて脱水塔109へ送る。一方、粗蒸留塔105の塔底部に残る1〜10重量%のアルカリ加熱処理により固定化された不純物を含む釜液は配管113を通じて系外に抜き出すことができる。
以降のモノエチレングリコールの精製工程に関しては、従来法と同様にして行えばよい。すなわち、脱水塔109へ送られたエチレングリコール水溶液は、減圧蒸留によって、水とエチレングリコールとに分留する。脱水塔109の塔頂部から出る水の蒸気は、配管115を通じて留出され、配管115の経路上の冷却手段により全量凝縮液化して系外に廃棄する。一方、脱水塔109の塔底部に実質的に水を含まないエチレングリコール液を得る。このエチレングリコール液を脱水塔109の塔底部より、配管119を通じて抜き出し、精留塔117へ送る。精留塔117に送られたエチレングリコール液は、減圧蒸留され低沸点成分のモノエチレングリコールと、高沸点成分のジエチレングリコール等とに分留される。精留塔117の塔頂部から留出するモノエチレングリコールの蒸気は、配管120の経路上に設けられた凝縮器121により全量凝縮液化されたモノエチレングリコール液とする。このモノエチレングリコール液の一部を配管123を通じて精留塔117へ還流して戻し、残りのモノエチレングリコール液は配管124を通じてMEG製品貯蔵タンク(図示せず)に回収する。一方、精留塔117の塔底部に残るジエチレングリコール液は、配管125を通じて系外のジエチレングリコール処理工程へ送り、処理し回収する。
以上が本実施形態での高純度モノエチレングリコールの製造方法であるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
図2に示す装置(工程)概略図に従って以下の実験を行った。
回収エチレングリコール含有液には、エチレンの接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコール水溶液(エチレングリコール類として85重量%を含む)を使用した。この回収エチレングリコール含有液を37リットル/分で配管103を通じて加熱処理装置101へフィードし、配管102を通じて48%水酸化カリウム水溶液を0.19リットル/分で添加して、加熱処理装置101の予熱器により150℃まで予熱し、その後、反応器で150℃のまま、2時間加熱処理した。処理後、回収エチレングリコール含有液(処理液)を配管107を通じて粗蒸留塔105にフィードし、粗蒸留塔105の塔底液の温度を136℃以下に保ちながら、50torrに減圧して粗蒸留を行った。処理液の95重量%を粗蒸留塔105の塔頂よりエチレングリコール及び水の蒸気として留出した。一方、粗蒸留塔105に残る5重量%の固定化した不純物を含む釜液は配管113を通じて抜き出した。粗蒸留塔105の塔頂より留出したエチレングリコール及び水の蒸気は配管111の経路上に設けられた凝縮器により全部凝縮液化し、エチレングリコール水溶液として脱水塔109へフィードし、脱水塔109の塔底液(エチレングリコール液)に水が残留せず、かつ脱水塔109の塔頂からエチレングリコールが留出しない温度に脱水塔109の塔底液温度を保ちながら、70torrに減圧してエチレングリコールと水に分留し、配管115を通じて脱水を行った。脱水塔109で実質的に水を含まなくなったエチレングリコール液を脱水塔109から配管119を通じて抜き出し、150torrに減圧したモノエチレングリコール精留塔117に導入し、精留塔117の塔頂部から留出するモノエチレングリコールの蒸気は、配管120の経路上に設けられた凝縮器121により全量凝縮液化されたモノエチレングリコール液とした。このモノエチレングリコール液の一部を配管123を通じて精留塔117へ還流して戻し、残りのモノエチレングリコール液を配管124を通じてMEG製品貯蔵タンクに回収することで、モノエチレングリコール製品を取得した。一方、精留塔117の塔底液は、配管125を通じて取り出した。MEG製品貯蔵タンクに回収されたモノエチレングリコール製品につき、220nmでの紫外線透過率を吸光光度計(株式会社日立製作所製:U−3200)により測定した。得られた結果およびアルカリ加熱処理条件を下記表2に示す。
比較例1
実施例1と同様の回収エチレングリコール含有液を用い、この回収エチレングリコール含有液をアルカリ加熱処理することなく粗蒸留塔にフィードした以外は、実施例1と同様にして、粗蒸留、脱水および精留操作を行って精製し、得られた比較用モノエチレングリコール製品につき、220nmでの紫外線透過率を実施例1と同様にして測定した。得られた結果およびアルカリ加熱処理条件を下記表2に示す。
Figure 0005101710
101 アルカリ加熱処理装置、
102、103、107、111、113、115、119、120、123、124、125 配管、
105 粗蒸留塔、
109 脱水塔、
117 精留塔、
121 凝縮器。

Claims (5)

  1. 回収エチレングリコール含有液を原料とし、高純度のモノエチレングリコールを製造する方法において、
    回収エチレングリコール含有液を、粗蒸留塔にフィードする前に加熱手段を有するアルカリ処理装置内で、蒸気圧以上の圧力(但し、蒸気圧と同じ圧力の場合を除く。)でかつアルカリ性物質の存在下に加熱処理を施し、その後に該加熱処理を施したエチレングリコール含有液を粗蒸留して得られる留出物を精製することを特徴とする高純度モノエチレングリコールの製造方法。
  2. 前記加熱処理は、処理温度が120〜200℃であり、処理時間が1時間以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記回収エチレングリコール含有液が、エチレンの接触気相酸化によるエチレンオキシドの製造に際し、エチレンオキシドの回収、精製工程において生成する粗グリコールを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記アルカリ性物質が、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルコキシド、アルカリ土類金属の水酸化物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記アルカリ性物質の使用量が、回収エチレングリコール含有液の全量に対して0.01重量%以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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