JP5095863B2 - リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5095863B2
JP5095863B2 JP2011537777A JP2011537777A JP5095863B2 JP 5095863 B2 JP5095863 B2 JP 5095863B2 JP 2011537777 A JP2011537777 A JP 2011537777A JP 2011537777 A JP2011537777 A JP 2011537777A JP 5095863 B2 JP5095863 B2 JP 5095863B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
silicon oxide
lithium
current collector
oxide layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011537777A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011132428A1 (ja
Inventor
和也 岩本
邦彦 峯谷
修二 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2011537777A priority Critical patent/JP5095863B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5095863B2 publication Critical patent/JP5095863B2/ja
Publication of JPWO2011132428A1 publication Critical patent/JPWO2011132428A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • H01M4/134Electrodes based on metals, Si or alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/362Composites
    • H01M4/366Composites as layered products
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/64Carriers or collectors
    • H01M4/66Selection of materials
    • H01M4/665Composites
    • H01M4/667Composites in the form of layers, e.g. coatings
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/64Carriers or collectors
    • H01M4/70Carriers or collectors characterised by shape or form
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M2004/025Electrodes composed of, or comprising, active material with shapes other than plane or cylindrical
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • H01M4/139Processes of manufacture
    • H01M4/1395Processes of manufacture of electrodes based on metals, Si or alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/64Carriers or collectors
    • H01M4/66Selection of materials
    • H01M4/661Metal or alloys, e.g. alloy coatings
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

本発明は、リチウムイオン電池用負極の改良に関する。
近年、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話などの携帯用電子機器の小型化および軽量化が進み、これらの電源として二次電池の需要が増えている。特に、リチウムイオン電池は、高い容量および高いエネルギー密度を有し、しかも充放電サイクル特性に優れていることから、携帯用電子機器の電源として好適である。
携帯用電子機器の多機能化に伴って、リチウムイオン電池に対し、更なる高エネルギー密度化と、充放電サイクル特性のより一層の向上とが要求されている。このような要求を満たす負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することができる合金系活物質が注目されている。合金系活物質としては、ケイ素およびスズが代表的であり、これらの元素を含む合金、酸化物および窒化物も知られている。
合金系活物質は、リチウムイオンを吸蔵したときに著しく膨張する。合金系活物質の膨張に伴う応力は、活物質粒子の割れ、負極活物質層の負極集電体からの剥離、負極集電体の変形などの原因となる。
特許文献1には、集電体と、集電体上に形成された合金系活物質の薄膜とを有する電極が記載されている。薄膜は、多数の柱状体で構成されている。柱状体は、例えば、千鳥配列によって規則的に配置されている。特許文献1に記載された電極によれば、集電体の表面に沿った方向で活物質の膨張に伴う応力を緩和できる。
特許文献2には、集電体と、酸素およびケイ素を含む負極活物質層とを備え、負極活物質層の酸素濃度が集電体の近傍で高められた負極が記載されている。特許文献2に記載された負極によれば、集電体の近傍において、充放電に伴う負極活物質の膨張および収縮を抑制できる。
しかし、特許文献1および2の技術を採用したとしても、集電体と活物質薄膜との十分な密着強度に基づく良好なサイクル特性を実現することは依然として容易でない。
特開2004−127561号公報 特開2006−107912号公報
上記課題に鑑み、本発明は、負極集電体と負極活物質層との間の密着強度を高めるための技術を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
負極集電体と、
ケイ素を含む負極活物質層と、
Li−O−Si結合を形成している、リチウム、酸素およびケイ素を含み、前記負極集電体と前記負極活物質層との界面に形成されたリチウムシリケート層と、
を備えた、リチウムイオン電池用負極を提供する。
別の側面において、本発明は、
負極集電体の表面から遠ざかるにつれて段階的または連続的に酸素濃度が低減するように、前記負極集電体の上にケイ素および酸素を含むケイ素酸化物層を形成する工程と、
前記ケイ素酸化物層にリチウムを吸蔵させる工程と、
前記吸蔵工程後、Li−O−Si結合を形成しているリチウム、酸素およびケイ素を含むリチウムシリケート層が前記負極集電体の表面上に形成されるように、−20℃以下の露点温度を有する雰囲気下で前記ケイ素酸化物層を一定期間保持する工程と、
を含む、リチウムイオン電池用負極の製造方法を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、
上記本発明のリチウムイオン電池用負極と、
リチウムを吸蔵および放出することができる正極活物質を含む正極と、
前記負極と前記正極との間に配置されたセパレータと、
非水電解質と、
を備えた、リチウムイオン電池を提供する。
本発明のリチウムイオン電池用負極によれば、負極集電体と負極活物質層との界面にリチウムシリケート層が設けられている。Li−O−Si結合を有するリチウムシリケートは充放電反応に寄与しない。すなわち、リチウムシリケートを形成しているリチウムは充放電時に動かない。従って、負極集電体と負極活物質層との界面にリチウムシリケート層が設けられていると、界面に過大な応力が生じることを防止できる。負極集電体と負極活物質層との間の密着強度が高まり、これにより、負極活物質層が負極集電体から剥離することを防止できる。故に、本発明の負極を用いて製造されたリチウムイオン電池は、優れたサイクル特性を発揮しうる。
本発明の製造方法によれば、負極集電体と負極活物質層との界面にリチウムシリケート層を効率的かつ容易に形成できる。理由は必ずしも明らかではないが、ケイ素酸化物層を特定の雰囲気下で一定期間保持することにより、ケイ素酸化物層に吸蔵されたリチウムが負極集電体の表面近傍に移動し、酸素と結合してリチウムシリケートを形成する。
本発明のリチウムイオン電池用負極の一実施形態を示す縦断面図 本発明のリチウムイオン電池用負極の別の実施形態を示す縦断面図 本発明のリチウムイオン電池用負極のさらに別の実施形態を示す縦断面図 図1Bに示す負極に用いられた負極集電体の概略斜視図 柱状体の詳細な構造を示す縦断面図 リチウムイオン電池用負極の製造工程図 蒸着装置の一例を示す模式図 本発明のリチウムイオン電池の一実施形態を示す縦断面図
図1Aに示すように、本実施形態のリチウムイオン電池用負極10は、負極集電体11、負極活物質層14およびリチウムシリケート層15を備えている。負極活物質層14は、負極活物質としてケイ素を含む。リチウムシリケート層15は、負極集電体11と負極活物質層14との間に設けられている。詳細には、負極集電体11と負極活物質層14との界面にリチウムシリケート層15が存在している。
リチウムシリケート層15は、負極10が電池の組み立てに供される前の段階で、既に形成されている。そのため、負極10を用いて製造された電池の最初の充放電の時点から、リチウムシリケート層15による効果が得られる。すなわち、負極集電体11と負極活物質層14との界面に過大な応力が発生することを防止できる。
本実施形態において、負極活物質層14は酸素をさらに含む。すなわち、負極活物質層14は、ケイ素酸化物を含む。化学量論的組成を下回る酸素比率の組成を有するケイ素酸化物(SiOx、0<x<2)を用いることによって、充電時における負極活物質層14の膨張の度合いを制御できる。さらに、本実施形態では、リチウムシリケート層15が、負極活物質層14の酸素含有率よりも高い酸素含有率を有する。後述するように、負極集電体11に隣接した領域での酸素含有率を高めることによって、負極集電体11と負極活物質層14との界面にリチウムシリケート層15を選択的に形成できる。
なお、負極活物質層14の中で酸素の濃度勾配が形成されていてもよい。すなわち、負極集電体11に近い領域で酸素含有率が高く、負極集電体11から遠い領域で酸素含有率が低くなるように、酸素の濃度勾配を形成しうる。その場合、「負極活物質層14の酸素含有率」は、負極活物質層14の平均的な酸素含有率によって特定できる。負極活物質層14が酸素の濃度勾配を有している場合にも、負極集電体11に接しているリチウムシリケート層15が最も高い酸素含有率を有していることが好ましい。
負極活物質層14は、リチウムを含んでいてもよい。負極活物質層14には、金属の状態で存在しているリチウムも、Li−O−Si結合を形成しているリチウムも存在する。ただし、負極活物質層14のリチウムシリケートの含有率は、リチウムシリケート層15のリチウムシリケートの含有率よりも十分に小さい。言い換えれば、リチウムシリケート層15のリチウムシリケートの含有率は、負極活物質層14およびリチウムシリケート層15の全体のリチウムシリケートの含有率よりも高い。
リチウムシリケートの含有率は、例えば、オージェ電子分光法によって測定できる。負極活物質層14およびリチウムシリケート層15のそれぞれが、リチウムの概ね均一な濃度分布を有していることもあるし、リチウムの均一な濃度分布を有していない場合もある。後者の場合、「リチウムシリケート層15のリチウムシリケートの含有率」および「負極活物質層14のリチウムシリケートの含有率」は、それぞれ、各層における平均値で特定されうる。
リチウムシリケートの含有率の平均値は、その層の厚さ方向に関してリチウムシリケートの定量分析を行うことによって知ることができる。断面での定量分析が難しい場合には、スパッタリング、化学エッチング等の方法で分析すべき層を表面に露出させた後、表面に関してリチウムシリケートの定量分析を行うことも可能である。
リチウムシリケート層15は、例えば0.25〜5.0μm、好ましくは0.5〜3μmの範囲の厚さを有している。リチウムシリケート層15がこのような範囲の厚さを有していると、負極集電体11と負極活物質層14との界面に過大な応力が発生することを確実に防止できる。ただし、リチウムシリケート層15は、充放電に寄与しないので、エネルギー密度の観点から必要以上に厚く形成することを避けるべきである。
リチウムシリケート層15の厚さは、例えばオージェ電子分光法により測定できる。具体的には、負極10の断面をオージェ電子分光法で観察し、酸素に結合したリチウムのマッピングを行う。マッピングデータより、リチウムシリケート層15の厚さを算出する。
図1Aに示す実施形態では、負極活物質層14およびリチウムシリケート層15が、均一な密度の薄膜の形態を有する。他方、図1Bに示すように、負極活物質層14およびリチウムシリケート層15が複数の柱状体12によって構成されていてもよい。図1Bに示す負極10において、負極集電体11は、一方の表面に凸部13および凹部16を備えている。柱状体12は、負極集電体11の一方の表面から外方へ延びるように、かつ互いに間隔をあけて形成されている。柱状体12は、負極集電体11の凸部13に支持されている。なお、柱状体12および凸部13の後方には、さらに複数の柱状体12および凸部13が存在しているが、これらの図示は省略した。
図2に示すように、凸部13は、負極集電体11の表面で規則的に、かつ互いに間隔をあけて配列されている。凸部13の形状および配列によって、隣接する柱状体12間の間隔を制御できる。このような構造によれば、リチウムの吸蔵に伴って負極活物質層14が膨張した場合に、膨張に伴う応力を緩和できる。
図1Bに示す実施形態では、柱状体12および凸部13が、例えば千鳥格子状パターン(食違いパターン、staggered pattern)に配列されている。柱状体12および凸部13の配列はこれに限定されず、碁盤格子状パターン(checker pattern)などの他の配列も採用できる。
負極活物質層14が複数の柱状体12によって構成されている場合、充電時の負極活物質層14の膨張に伴う応力を負極集電体11の表面に沿った方向で緩和できる。また、負極集電体11が表面に凸部13および凹部16を有していると、後述する斜め蒸着により、柱状体12を容易に形成できる。さらに、凸部13および凹部16が規則的に配列されていると、各柱状体12間の間隔を確保しやすい。
負極集電体11は、典型的には、銅または銅合金で構成されている。例えば、銅または銅合金で構成された圧延箔または電解箔を負極集電体11として使用できる。特に、大きい表面粗さを有する電解箔が好ましい。また、銅合金は高い機械的強度を有するので、負極集電体11の材料として好ましい。本明細書では、銅または銅合金でできた箔を「銅箔」と総称する。
銅箔の引張強度は、例えば6N/mm以上、好ましくは8N/mm以上、より好ましくは10N/mm以上である。銅箔が十分な引張強度を有していると、負極集電体11の機械的強度を十分に確保しうる。その結果、負極10を用いて電池を製造したときに、負極10に皺などが発生することを防止できる。
負極集電体11の厚さは、凸部13を除いた部分(すなわち凹部16)で測定して、例えば1〜50μm、好ましくは6〜40μm、より好ましくは8〜33μmである。
図2に示すように、凸部13の形状は、平面視で、例えば円形である。凸部13の他の形状としては、正方形、長方形、ひし型、五角形などの多角形、楕円形などが挙げられる。
凸部13の高さは、例えば2〜15μm、好ましくは6〜12μmである。凸部13が十分な高さを有していると、蒸着法などの気相法によって柱状体12を形成するときに、凸部13の陰影効果を十分に発揮させることができる。すなわち、凸部13の影となる負極集電体11の表面に負極活物質が堆積するのを防止でき、負極活物質を柱状に成長させることが容易になる。他方、負極10に占める負極集電体11の体積割合を抑制して高エネルギー密度化を図る観点では、凸部13の高さを合理的な範囲に収めるべきである。
凸部13の直径は、例えば2〜200μmであり、好ましくは10〜50μmである。互いに隣り合う凸部13と凸部13との間隔は、2つの凸部13の中心間距離で、例えば10〜100μmであり、好ましくは20〜80μmであり、さらに好ましくは20〜60μmである。凸部13の適切な設計により、充放電時の凸部13の変形および負極集電体11の変形を確実に抑制できる。
負極集電体11の表面粗さRzは、例えば0.1〜30μmであり、好ましくは0.5〜15μmである。負極集電体11がこのような範囲の表面粗さRzを有していると、負極集電体11と柱状体12との間の良好な密着強度を得やすい。負極10に占める負極集電体11の体積割合を抑制して高エネルギー密度化を図る観点では、負極集電体11の表面粗さRzも合理的な範囲内に収めるべきである。なお、「表面粗さRz」は、日本工業規格(JIS)B 0601−2001に定められた「最大高さRz」を意味し、市販の表面粗さ計によって測定できる。
柱状体12の成長方向は、負極集電体11の法線方向(詳細には負極集電体11の表面の法線方向)に対して平行であってもよいし傾斜していてもよい。柱状体12の成長方向が負極集電体11の法線方向に対して傾斜していると、充放電効率の向上などの効果が得られる。
図3に示すように、柱状体12は、複数の層の積み重ねによって形成されていてもよい。各層は、ケイ素と酸素とを含んでいる。複数の層は、それぞれ、負極集電体11の法線方向に対して傾斜していてもよい。つまり、各層の法線方向が負極集電体11の法線方向に不一致であってもよい。柱状体12がこのような構造を有していると、負極活物質層14がリチウムを吸蔵するときの体積膨張による応力をさらに効果的に緩和できる。複数の層は、それぞれ、粒(grain)の形をしていてもよい。
また、柱状体12の成長方向が、負極集電体11の法線方向に対して傾斜しており、かつ負極集電体11の両面に柱状体12が設けられていてもよい。この場合、負極集電体11の一方の面に設けられた柱状体12の傾斜方向は、他方の面に設けられた柱状体12の傾斜方向と互いに異なっていてもよく、同じであってもよい。
図1Bに示す柱状体12は、略一定の成長方向を有する。ただし、柱状体12の成長方向は、柱状体12の高さとともに変化していてもよい。
図1Cに示すように、柱状体12の成長方向が傾斜している場合において、柱状体12の成長方向と、負極集電体11の法線方向とがなす角度(傾斜角β)は、例えば10°以上90°未満であり、好ましくは10°以上80°以下である。このような範囲内で傾斜角βを適切に調節すれば、次のような効果が得られる。すなわち、柱状体12を負極集電体11の凸部13に容易に支持させることが可能である。また、正極活物質層と対向する方向において、一の柱状体12が隣り合う他の柱状体12で過度に遮蔽されることを回避できる。そのため、電池反応に寄与する柱状体12の割合を高く維持でき、優れたハイレート特性を有する電池を提供できる。また、正極活物質層に対向する負極集電体11の露出部の面積が多くなりすぎず、優れた充放電効率を有する電池を提供できる。なお、傾斜角βは、柱状体12の成長方向と負極集電体11の法線方向とがなす角度を、任意の2〜10個の柱状体12について測定し、それらの値を平均することにより求めることができる。
柱状体12の成長方向が傾斜している場合、正極活物質層と対向する負極集電体11の露出部(凹部16)の面積が減少するとともに、露出部にリチウムが析出する可能性を低減できる。そのため、充放電効率および充放電サイクル特性を改善できる。特に、大電流で充放電を行う場合に見られる急激なサイクル特性の低下を顕著に抑制できる。
本実施形態において、柱状体12の高さは、負極活物質層14の厚さとリチウムシリケート層15の厚さとの和に等しい。柱状体12の高さは、製造するべき電池の性能などに応じて適宜設定されるものであって特に限定されないが、例えば3〜40μm、好ましくは5〜30μm、さらに好ましくは8〜25μmである。柱状体12が上記範囲内の高さを有している場合には、負極10の全体に占める負極活物質の体積割合も十分に大きい。そのため、本実施形態の負極10を用いることによって、高いエネルギー密度を有した電池を提供できる。また、充電時に負極集電体11と負極活物質層14との界面で発生する応力も大きくなりすぎず、負極集電体11の変形、負極集電体11からの負極活物質層14の剥離といった不具合を防止できる。
柱状体12の高さは、負極集電体11の凸部13の頂部から柱状体12の頂部までの距離で特定される。具体的に、柱状体12の高さは、以下の方法で測定できる。まず、柱状体12を形成した後の負極10の全体の厚さを測定する。柱状体12が負極集電体11の片面のみに設けられている場合、負極10の全体の厚さから負極集電体11の厚さを引くことで、柱状体12の高さを求めることができる。柱状体12が負極集電体11の両面に設けられている場合、負極10の全体の厚さから負極集電体11の厚さを引くことで、両面の柱状体12の合計の高さを求めることができる。なお、負極集電体11の表面が凹凸を有する場合には、負極集電体11の凸部13の頂部を基準にして厚さを求める。
本実施形態の負極10に用いられた負極活物質は、単結晶でもよく、多結晶でもよく、微結晶でもよく、アモルファスでもよい。ここで、多結晶の活物質は複数の結晶子(結晶粒:crystallite)を含む。微結晶の活物質は、例えば50nm以下の大きさの結晶子を含む。活物質が非晶質であること、または活物質が微結晶であることは、X線回折(XRD)、透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて確認できる。結晶子の粒径は、活物質のXRD測定で得られる回折パターンにおいて、2θ=15〜40°の範囲で最も強度の大きなピークの半価幅から、Scherrerの式によって算出される。回折パターンにおいて、2θ=15〜40°の範囲にシャープなピークが見られず、ブロードなハローパターンだけが観測される場合、活物質は実質的に非晶質であると判断できる。
具体的に、負極活物質層14の材料として、ケイ素と酸素とを含む化合物を使用できる。ケイ素と酸素とを含む化合物は、さらに窒素を含んでいてもよい。ケイ素と酸素とを含む化合物は、ケイ素酸化物であることが好ましく、特に、一般式:SiOx(0<x<2)で表される組成を有するケイ素酸化物が好ましい。酸素比率を表す「x」は、0.01≦x≦1の範囲にあることが好ましい。負極活物質層14は、ケイ素に対する酸素の比率が互いに異なる複数のケイ素酸化物の複合物を含んでいてもよい。
負極活物質層14およびリチウムシリケート層15には、Fe、Al、Ca、Mn、Tiなどの不可避不純物が含まれていてもよい。
次に、本実施形態にかかるリチウムイオン電池用負極の製造方法を説明する。図1Bを参照して説明した負極10は、以下の各工程を経て製造される。最初に、負極集電体11の表面から遠ざかるにつれて段階的または連続的に酸素濃度が低減するように、負極集電体11の上にケイ素および酸素を含むケイ素酸化物層を形成する(ケイ素酸化物層形成工程)。次に、ケイ素酸化物層にリチウムを吸蔵させる(リチウム吸蔵工程)。最後に、負極集電体11の表面上にリチウムシリケート層15が形成されるように、ケイ素酸化物層を特定の雰囲気下で一定期間保持する(リチウムシリケート層形成工程)。
(A)ケイ素酸化物層形成工程
図4に示すように、まず、相対的に高い酸素比率の組成を有するケイ素酸化物(SiOx、0<x<2)で構成された第一ケイ素酸化物層25を負極集電体11の表面上に形成する(ステップ1)。次に、第一ケイ素酸化物層25を被覆するように、相対的に低い酸素比率の組成を有するケイ素酸化物(SiOy、0<y<x)で構成された第二ケイ素酸化物層24を形成する(ステップ2)。これにより、負極集電体11およびケイ素酸化物層23(第一ケイ素酸化物層25および第二ケイ素酸化物層24)で構成された予備負極10aが得られる。第一ケイ素酸化物層25における酸素比率は、例えば0.5<x<1.5で表され、第二ケイ素酸化物層24における酸素比率は、例えば0<y<1.2で表される。ただし、y<xである。
第一ケイ素酸化物層25は、リチウムシリケート層15の形成に主に寄与する層である。後述するリチウムシリケート層形成工程を経て、第一ケイ素酸化物層25に含まれたケイ素酸化物がリチウムシリケートへと変化しうる。従って、形成するべきリチウムシリケート層15の厚さに等しい厚さを有するように、第一ケイ素酸化物層25を形成することができる。第二ケイ素酸化物層24は、負極活物質層14を主に構成するべき層である。同様に、形成するべき負極活物質層14の厚さに等しい厚さを有するように、第二ケイ素酸化物層24を形成することができる。
なお、酸素含有率が互いに異なる3層以上のケイ素酸化物層が形成されるように、ケイ素酸化物層形成工程を実施することも可能である。さらに、負極集電体11の表面から遠ざかるにつれて酸素含有率が連続的に低くなるように、負極集電体11の上にケイ素酸化物層を形成することも可能である。
ケイ素酸化物層23は、真空蒸着、スパッタリング、化学蒸着(CVD)などの乾式成膜法(気相法)によって形成しうる。乾式成膜法によれば、酸素比率の調節が容易である。酸素比率を調節する方法としては、例えば、成膜装置のチャンバ内に導入するべき酸素の流量を調節する方法、成膜源に保持しておくべき原料の組成を調節する方法が挙げられる。前者の方法によれば、第一ケイ素酸化物層25を形成する工程においてチャンバ内への酸素導入量を相対的に多くし、第二ケイ素酸化物層24を形成する工程においてチャンバ内への酸素導入量を相対的に少なくする。後者の方法によれば、第一ケイ素酸化物層25を形成する工程において相対的に高い酸素比率の組成を有するケイ素酸化物を成膜源として用い、第二ケイ素酸化物層24を形成する工程において相対的に低い酸素比率の組成を有するケイ素酸化物を成膜源として用いる。成膜源の切り替えは、例えば、公知のロードロックシステムによって行える。もちろん、いくつかの方法を組み合わせることによって酸素比率の調節を行うことも可能である。
また、図5に示す構造を有する電子ビーム式蒸着装置30を用い、凸部13および凹部16を備えた負極集電体11にケイ素酸化物を堆積させると、複数の柱状体によって構成されたケイ素酸化物層23を形成しうる。すなわち、ケイ素酸化物層23が、負極集電体11の表面から外方へ延び、かつ互いに間隔をあけて形成された複数の柱状体によって構成されるように、ケイ素酸化物層23を形成する工程を実施しうる。
蒸着装置30は、チャンバ31および電源36を有する。チャンバ31内には、配管32、固定台33、ノズル34、ターゲット35および図示しない電子ビーム発生装置が収容されている。図5では、チャンバ31内部の各部材を実線で示している。チャンバ31は耐圧性の容器で構成されている。配管32の一端はノズル34に接続され、配管32の他端はチャンバ31の外方に延びて原料ガスボンベなどの原料源に接続されている。配管32を通じてノズル34に原料ガスを供給できる。原料ガスとしては、酸素、窒素などが挙げられる。
固定台33は板状部材で構成されているとともに、回転自在に支持されている。固定台33の厚さ方向の一方の面に負極集電体11が固定される。固定台33は、図(紙面)に垂直な方向に延びる図示しない回転軸を中心として回転する。固定台33の位置は、図5中に実線で示す位置から、一点鎖線で示す位置までの間で自在に設定することができる。固定台33の負極集電体11を固定する側の面は、鉛直方向の下方に配置されたノズル34と向かい合っている。固定台33が実線で示す位置を占有するとき、固定台33と水平方向の直線とのなす角度はα°である。固定台33が一点鎖線で示す位置を占有するとき、固定台33と水平方向の直線とのなす角度は(180−α)°である。角度α°は、形成しようとする柱状体の寸法および成長方向などに応じて適宜選択できる。
ノズル34は、鉛直方向において固定台33とターゲット35との間に設けられている。ノズル34に配管32の一端が接続されている。配管32を通じてノズル34に供給された原料ガスは、ターゲット35から鉛直方向の上方に上昇してきた負極活物質の蒸気と混ざる。混合蒸気は、固定台33に固定された負極集電体11に供給される。
ターゲット35には、負極活物質(例えばケイ素)が収容されている。電子ビーム発生装置(図示せず)は、ターゲット35に収容された負極活物質に電子ビームを照射して加熱し、負極活物質の蒸気を発生させる。電源36は、チャンバ31の外部に設けられているとともに、電子ビームを発生させるための電圧を電子ビーム発生装置に印加するように電子ビーム発生装置に電気的に接続されている。チャンバ31内の雰囲気は、チャンバ31に図示しない第2の配管を接続し、この第2の配管から適宜ガスを導入することによって調整できる。このような蒸着装置30と同様の構成を有する市販品は、例えば、アルバック社から提供されている。
(B)リチウムを吸蔵させる工程
次に、ケイ素酸化物層23にリチウムを吸蔵させる。詳細には、第一ケイ素酸化物層25および第二ケイ素酸化物層24から選ばれる少なくとも一方にリチウムを吸蔵させる。第一ケイ素酸化物層25を形成する工程と第二ケイ素酸化物層24を形成する工程との間にリチウムを吸蔵させる工程を実施することも不可能ではない。しかし、生産効率などを考慮すると、第一ケイ素酸化物層25を形成する工程および第二ケイ素酸化物層24を形成する工程を連続的に実施し、その後、吸蔵工程を実施することが好ましい。
リチウムを付与および吸蔵させる方法としては、(i)気相法によりリチウム金属を堆積させる方法、(ii)リチウム金属箔とケイ素酸化物層23とを接触させた状態で両者を加熱する方法が挙げられる。方法(i)によれば、ケイ素酸化物層23の上(詳細には、第二ケイ素酸化物層24の上)に気相法によってリチウム金属を堆積させることができる。ケイ素酸化物層23の上にリチウム金属を堆積させると、リチウムはケイ素酸化物層23の内部に容易に拡散し、吸蔵される。ケイ素酸化物層23に吸蔵されたリチウムは、後述するリチウムシリケート形成工程において、負極集電体11とケイ素酸化物層23との界面近傍に優先的または選択的に移動し、リチウムシリケートを形成する。本実施形態では、リチウムは、第一ケイ素酸化物層25に優先的または選択的に移動し、リチウムシリケートを形成する。すなわち、方法(i)によれば、リチウムシリケート層15を比較的容易に形成しうる。また、方法(i)は量産向きである。
方法(i)でリチウムを吸蔵させるためには、例えば、図5を参照して説明した蒸着装置30を使用できる。吸蔵工程では、蒸着装置30のターゲット35としてリチウムを使用して蒸着処理を行う。これにより、図4の工程図のステップ3に示すように、第二ケイ素酸化物層24の上にリチウム金属の層26を形成できる。層26の厚さは、ケイ素酸化物層23の合計厚さに応じて調節するべきである。典型的には、製造するべき負極10の不可逆容量に相当する量のリチウムをケイ素酸化物層23の上に堆積させる。層26に含まれたリチウムは、ケイ素酸化物層23に速やかに拡散する。なお、蒸着以外の方法として、スパッタ法およびCVD(chemical vapor deposition)法が挙げられる。
負極10の不可逆容量は、次の方法で特定できる。リチウムを吸蔵させていない負極を用いて組み立てられた電池の充放電を行い、第1回目の充電電気量と放電電気量とを測定する。充電電気量と放電電気量との差が不可逆容量である。
ケイ素酸化物層23が柱状体で構成されている場合、リチウムを柱状体の表面に優先的に付着させ、負極集電体11の凹部16に極力付着させないことが好ましい。この観点より、リチウム蒸着時には、リチウムの照射方向および柱状体の成長方向に応じて、図5中に実線で示す位置から一点鎖線で示す位置までの間で固定台33の位置を適宜設定する。
他方、方法(ii)でリチウムを吸蔵させるためには、ケイ素酸化物層23にリチウム金属箔を接触させ、ケイ素酸化物層23の内部へのリチウムの熱拡散が十分に進行する温度で両者を加熱する。そのような温度は、例えば、60〜180℃である。なお、方法(i)は、方法(ii)に比べてリチウムの吸蔵量(補償量)を容易に制御できる。そのため、方法(i)が特に推奨される。
(C)リチウムシリケート層形成工程
リチウムシリケート層形成工程では、吸蔵工程を経たケイ素酸化物層23を、例えば−20℃以下の露点温度を有する雰囲気下に一定期間保持する。この一定期間は、例えば、ケイ素酸化物層23の上に堆積されたリチウム金属を負極集電体11とケイ素酸化物層23との界面近傍に移動させるのに十分な期間である。詳細には、第二ケイ素酸化物層24の上に堆積されたリチウム金属が第一ケイ素酸化物層25に移動するのに十分な期間である。第一ケイ素酸化物層25および第二ケイ素酸化物層24に吸蔵された活性なリチウムは、第一ケイ素酸化物層25に選択的に移動する。言い換えれば、リチウムは第一ケイ素酸化物層25に偏析する。第一ケイ素酸化物層25において、リチウムは、酸素およびケイ素とともにLi−O−Si結合を形成する。その結果、第一ケイ素酸化物層25からリチウムシリケート層15が形成される。第二ケイ素酸化物層24は、そのまま負極活物質層14として機能する。このように、本実施形態の方法によれば、負極集電体11と負極活物質層14との界面に効率よくリチウムシリケート層15を形成できる。
具体的に、リチウムシリケート層形成工程を実施する際の雰囲気は、−60℃以上−20℃以下の露点温度を有していることが好ましい。露点温度が−60℃を下回ったとしても製造された負極10に機能上の問題は生じないが、設備コストが高くつく可能性はある。露点温度の上限値は、リチウムの失活を防ぐ観点で重要である。すなわち、雰囲気の露点温度が上記範囲を上回ると、Li−O−Si結合が形成されるよりも前の時点でリチウムが大気中の水分と反応し、失活する恐れがある。
上記した露点温度を有する雰囲気は、例えば大気雰囲気である。大気雰囲気の温度は、例えば室温である。大気雰囲気でリチウムシリケート層形成工程を実施する場合、特別な生産設備は不要である。もちろん、窒素ガス、希ガスなどの不活性ガスで満たされた不活性雰囲気、室温よりも高い温度を有する雰囲気などの様々な雰囲気でリチウムシリケート形成工程を実施することが可能である。
ケイ素酸化物層23を上記した雰囲気下で保持する時間(一定期間)は特に限定されないが、例えば24時間以上の保持期間が推奨される。好ましい保持期間の下限は48時間である。十分な保持期間を確保することにより、ケイ素酸化物層23の内部をリチウムが十分に拡散し、十分な量のリチウムシリケートが負極集電体11の表面近傍に生成する。保持期間が上記範囲を上回ったとしても製造された負極10の機能上の問題は生じないが、生産性が低下する可能性はある。保持期間の上限は、例えば72時間または96時間である。保持期間の上限および下限は、上記した時間から任意に選択できる。
なお、第二ケイ素酸化物層24にもリチウムは存在しているが、その量は少ない。また、リチウムシリケートは、負極活物質層14の中にも僅かに存在していると考えられる。しかし、負極活物質層14の中のリチウムシリケートは、層をなしておらず、負極集電体11と負極活物質層14との間の密着強度の向上にも寄与しない。本発明のごとく、負極集電体11と負極活物質層14との界面にリチウムシリケートが高濃度に存在している、言い換えれば、後述するオージェ電子分光法にて層状に生成していることを確認できる程度にリチウムシリケートが界面に存在していることにより、密着強度の改善効果を享受できる。
本実施形態によれば、第一ケイ素酸化物層25および第二ケイ素酸化物層24を同一の蒸発源を用いて形成できる。そのため、第一ケイ素酸化物層25および第二ケイ素酸化物層24は、乱雑に入り組んだ界面を有するか、界面を有さない連続的なケイ素酸化物層23を構成しうる。このケイ素酸化物層23にリチウムを吸蔵させ、一定期間保持することにより、負極集電体11と負極活物質層14との間の密着強度の改善に寄与するリチウムシリケート層15を形成できる。
なお、負極集電体11の上にリチウムシリケート層15を予め形成し、その後、負極活物質層14を形成する方法も考えられる。この方法では、リチウムシリケート層15によって負極集電体11と負極活物質層14との間の密着強度を改善する効果は限定的となる可能性がある。なぜなら、リチウムシリケート層15と負極活物質層14との間に界面が生じ、その界面で剥離が生じる可能性があるからである。
次に、負極10を用いた本実施形態のリチウムイオン電池について説明する。
図6に示すように、リチウムイオン電池90は、外装ケース94、積層型の極板群98およびリチウムイオン伝導性を有する電解質(図示せず)を備えている。極板群98は外装ケース94に収容されている。極板群98は、正極91、負極10およびセパレータ93を含む。セパレータ93は、正極91と負極10との間に配置されている。電解質は、極板群98に含浸されている。
負極10は、図1Aおよび図1Bを参照して説明したように、負極集電体11、負極活物質層14およびリチウムシリケート層15を備えている。電池90において、負極活物質層14およびリチウムシリケート層15は、負極集電体11の一方の面にのみ設けられている。正極91は、正極集電体91aと、その一方の面に設けられた正極活物質層91bとを備えている。負極集電体11の他方の面には、負極リード96の一端が接続されている。同様に、正極集電体91aの他方の面には、正極リード95の一端が接続されている。
外装ケース94は、互いに反対方向の位置に一対の開口部を有している。一方の開口部から、正極リード95の他端が外部に延ばされており、他方の開口部から、負極リード96の他端が外部に延ばされている。外装ケース94の開口部は、それぞれ、樹脂材料97を用いて閉じられている。
正極活物質層91bは、充電時にリチウムを放出し、放電時にリチウムを吸蔵する。負極活物質層14は、充電時にリチウムを吸蔵し、放電時にリチウムを放出する。
本実施形態の負極10の適用対象は、積層型リチウムイオン電池に限定されない。スパイラル型(捲回型)の極板群を有する円筒型電池、扁平な形状に捲かれた極板群を有する角型電池などにも負極10を使用できる。また、正極と負極との合計が3層以上になるように積層型電池の極板群が構成されていてもよい。この場合、全ての正極活物質層が負極活物質層と対向し、かつ、全ての負極活物質層が正極活物質層と対向するように、正極集電体の両面または片面に正極活物質層を有する正極と、負極集電体の両面または片面に負極活物質層を有する負極とを用いる。
本実施形態のリチウムイオン電池において、負極以外の構成要素は、特に限定されない。
正極活物質としては、当該分野で公知の材料を用いることができる。このような材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)などのリチウム含有遷移金属酸化物が挙げられる。正極活物質層91bは、正極活物質のみで構成されていてもよいし、正極活物質と結着剤と導電剤とを含む合剤で構成されていてもよい。さらに、負極活物質層14と同様に、正極活物質層91bが複数の柱状体で構成されていてもよい。
正極集電体91aの材料としては、Al、Al合金、Ni、Tiなどが挙げられる。
リチウムイオン伝導性を有する電解質としては、公知の固体電解質および非水電解質が挙げられる。非水電解質は、典型的には、非水溶媒と、それに溶解したリチウム塩とを含む。
セパレータ93は、典型的には、樹脂製の微多孔膜で構成されている。微多孔膜に代えて、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質、ゲル電解質もセパレータとして使用できる。外装ケース94としては、アルミニウム箔などの金属箔を樹脂シートでラミネートしたものを使用できる。
<<実施例1>>
(1)正極活物質の作製
硫酸ニッケル水溶液に硫酸コバルトを溶解させて、金属元素(NiおよびCo)の濃度が2mol/L、NiとCoとの含有比率がモル比で8.5:1.5の水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を分離し、水洗後、80℃で乾燥して、Ni0.85Co0.15(OH)2で表される複合水酸化物を得た。さらに、この複合水酸化物を、大気中にて900℃で10時間加熱して、Ni0.85Co0.15Oで表される複合酸化物を得た。
次に、上記複合酸化物におけるNiのモル数とCoのモル数との和が、水酸化リチウム一水和物におけるLiのモル数に等しくなるように、上記複合酸化物と水酸化リチウム一水和物とを混合した。得られた混合物を大気中にて800℃で10時間加熱した。これにより、LiNi0.85Co0.152で表されるリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を得た。この正極活物質は、10μmの平均粒径を有していた。この平均粒径は、正極活物質の二次粒子の体積平均粒径(D50)を表す。
(2)正極の作製
上記正極活物質の粉末93重量部と、アセチレンブラック3重量部と、ポリフッ化ビニリデン粉末4重量部とを、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥後、圧延した。その結果、厚さ130μmの正極活物質層を備える正極を得た。
(3)負極の作製
直径50mmの鍛鋼製ローラの表面に、レーザー加工によって、直径20μm、深さ8μmの円形の凹部を形成し、凸部形成用ローラを得た。中心間距離がローラの表面に沿って20μmとなるように、凹部の中心点を二次元三角格子状に(千鳥格子状パターンとして)配置した。同一の凸部形成用ローラを2本作製し、互いのローラの軸が平行になるように配置した。このようにして、一対のニップローラを準備した。
一対のニップローラの間に、厚さ20μmの銅合金箔(商品名:HCL−02Z、ジルコニアを全体の0.03重量%含有する銅合金、日立電線社製)を通過させて、銅合金箔に凸部を形成した。このとき、一対のニップローラの間に線圧2.0kgf/cm(約19.6N/cm)の荷重をかけた。銅合金箔を走査型電子顕微鏡で観察した結果、銅合金箔の表面および裏面に、それぞれ、約8μmの最大高さRzを有する複数の凸部が形成されていた。この銅合金箔を縦35mm、横185mmの寸法に切断して、負極集電体を得た。
次に、ケイ素を蒸発源として用い、真空蒸着法により、負極集電体の上に第一ケイ素酸化物層と第二ケイ素酸化物層とをこの順番で形成した。これにより、負極集電体、第一ケイ素酸化物層および第二ケイ素酸化物層で構成された予備負極を得た。真空蒸着は、図5を参照して説明した蒸着装置と同じ構成を有する市販の蒸着装置(アルバック社製)を使用して行った。第一ケイ素酸化物層および第二ケイ素酸化物層は、複数の柱状体によって構成されていた。各柱状体は、負極集電体の凸部の頂部および頂部近傍の側面から凸部の高さ方向に成長していた。蒸着条件は次の通りであった。
(第一ケイ素酸化物層の蒸着条件)
負極活物質(蒸発源):ケイ素、純度99.9999%、高純度化学研究所社製
ノズルから放出させた酸素:純度99.7%、日本酸素社製
ノズルからの酸素流量:70sccm(Standard Cubic Centimeter per Minutes)
角度α:60°(図5参照)
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
蒸着時間:30秒
(第二ケイ素酸化物層の蒸着条件)
負極活物質(蒸発源):ケイ素、純度99.9999%、高純度化学研究所社製
ノズルからの酸素流量:0sccm
角度α:60°(図5参照)
蒸着時間:150秒
第一ケイ素酸化物層および第二ケイ素酸化物層は、合計で16μmの厚さを有していた。第一ケイ素酸化物層および第二ケイ素酸化物層のそれぞれの酸素含有率をオージェ電子分光法により定量した。その結果、第一ケイ素酸化物層に含まれたケイ素酸化物の組成がSiO1.3、第二ケイ素酸化物層に含まれたケイ素酸化物の組成がSiO0.2であった。第一ケイ素酸化物層は、単独で1.8μmの厚さを有していた。なお、チャンバ内への酸素の供給を停止したとしても、純粋なシリコンのみを堆積させることは難しい。真空度にもよるが、例えば、x=0.2前後の酸素を含むケイ素酸化物層が形成される。
次に、第二ケイ素酸化物層の表面にリチウム金属を蒸着した。リチウム金属の蒸着量は、得るべき負極の不可逆容量に調節した。リチウム金属の蒸着は、アルゴン雰囲気下にて、抵抗加熱蒸着装置(アルバック社製)を用いて行った。抵抗加熱蒸着装置内のタンタル製ボートにリチウム金属を入れ、タンタル製ボートに50Aの電流を通電して10分間蒸着を行った。
(4)リチウムシリケート層の形成
次に、−20℃の露点温度を有する室温の大気雰囲気下でリチウム金属蒸着後の予備負極を1日保持した。これにより、負極集電体と負極活物質層との界面にリチウムシリケート層が設けられた実施例1の負極を得た。
(5)リチウムイオン電池の組み立て
セパレータ(ポリエチレン微多孔膜、商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成社製)を介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように、正極と負極との間にセパレータを配置した。これにより、正極、セパレータおよび負極を有する電極群を得た。この電極群を扁平な形状に捲回した。電極群を構成する前に、アルミニウム製の正極リードを正極集電体に溶接し、ニッケル製の負極リードを負極集電体に溶接した。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを体積比2:3:5の割合で含む混合溶媒にLiPF6を1.4mol/Lの濃度で溶解させ、液状の非水電解質を得た。正極リードおよび負極リードが外装ケースの開口部から外部に延びるように、電極群を非水電解質とともに外装ケースに入れた。外装ケースとして、アルミニウム箔の両面に樹脂シートがラミネートされたシートを用いた。外装ケースの内部を真空引きしながら外装ケースの開口部を溶着した。これにより、実施例1のリチウムイオン電池を得た。
<<実施例2〜6、比較例1>>
露点温度および保持期間の一方または両方を異ならせた点を除き、実施例1と同じ方法で実施例2〜6のリチウムイオン電池を作製した。リチウム金属の蒸着後に保持期間を設けずに電池の組み立てを行った点を除き、実施例1と同じ方法で比較例1のリチウムイオン電池を作製した。
[密着強度試験]
実施例1〜6および比較例1のリチウムイオン電池について、以下の条件で充放電を1回行った。
定電流充電:370mA(1.0C)、終止電圧4.15V
定電圧充電:終止電流18.5mA(0.05C)、休止時間20分
定電流放電:電流74mA(0.2C)、終止電圧2V、休止時間20分
1回の充放電後、放電状態でリチウムイオン電池を分解し、負極を取り出した。取り出した負極を2cm×3cmの寸法に切断し、負極集電体と負極活物質層との間の密着強度を測定した。密着強度の測定は、タッキング試験機(レスカ社製 TAC−II)を用い、次の条件にて行った。測定子(先端直径2mm)の先端に両面テープ(日東電工社製 No.515)を取り付けた。押し込み速度を30mm/min、押し込み時間を10秒、荷重を400gf、引き上げ速度を600mm/minに設定した。測定は任意に選んだ3点で行い、その平均値をもって測定値とした。
[充放電サイクル試験]
実施例1〜6および比較例1の電池の充放電サイクル試験を実施した。具体的には、25℃環境下において370mA(1.0C)で4.15Vまで定電流充電した後、終止電流18.5mA(0.05C)まで定電圧充電し、74mA(0.2C)で2Vまで定電流放電した。このときの放電容量を初回放電容量として得た。その後、放電時の電流値を370mA(1.0C)に設定して充放電サイクルを繰り返した。200サイクル後に74mA(0.2C)で定電流放電を行い、200サイクル後の放電容量を測定した。そして、初回放電容量に対する200サイクル後の放電容量の百分率(容量維持率(%))を求めた。
密着強度試験および充放電サイクル試験の結果を表1に示す。
Figure 0005095863
表1に示すように、露点温度が低ければ低いほど、また保持期間が長ければ長いほど、密着強度が高かった。また、密着強度の高い実施例はサイクル特性も良好であり、200サイクルの充放電後に70%以上の容量維持率を達成していた。これに対し、比較例1の電池によれば、密着強度が12kgf/cm2、200サイクル充放電後の容量維持率が53%と低かった。
[オージェ電子分光法によるリチウムのマッピング]
リチウムを吸蔵させていない負極(予備負極)、実施例3の負極および実施例5の負極をそれぞれ5mm×5mmの寸法に切断し、クロスセクションポリッシャ(日本電子社製 SM−09010)で断面を研磨した。断面に現れた1つの柱状体に着目し、オージェ電子分光装置により、予備負極について、酸素およびケイ素のマッピングを行った。予備負極中の酸素は、ケイ素に結合していると推測される。ただし、予備負極中のケイ素については、ケミカルシフトが小さいため、単体のケイ素なのか、酸素に結合しているのか判断は難しい。実施例3および実施例5については、リチウム金属に帰属されるリチウムおよびリチウム酸化物に帰属されるリチウムのマッピングを行った。
予備負極では、負極集電体の凸部の近傍に酸素含有率が高く、かつケイ素含有率が低い領域が存在していた。すなわち、この領域は、第一ケイ素酸化物層に対応している。
実施例3では、負極集電体(凸部)と負極活物質層(柱状体)との界面近傍に多くのリチウム酸化物(リチウムシリケート)が存在していたが、負極活物質層にも全体的にリチウムが金属の状態で比較的多く存在していた。実施例5では、負極活物質層にリチウムは殆ど観察されず、負極集電体と負極活物質層との界面近傍にリチウム酸化物が集中していた。リチウム酸化物が集中して存在する界面近傍の領域は、予備負極における第一ケイ素酸化物層の領域に概ね対応していた。
[30サイクルの充放電後の密着強度試験]
実施例3および実施例5の負極を用いて作製したリチウムイオン電池を対象として、30サイクルの充放電後の負極活物質層の密着強度を測定した。実施例3の密着強度は18kgf/cm2、実施例5の密着強度は24kgf/cm2であった。つまり、保持期間を十分に確保することにより、負極集電体と負極活物質層との界面に十分な量のリチウムシリケートを形成でき、それにより、負極集電体と負極活物質層との間の密着強度を改善できることが判明した。
<<比較例2>>
予備負極と、対極としてのリチウム金属箔とを用いて電池を組み立て、25℃の環境下で充放電処理を行った。具体的には、0.1C(37mA)で負極の電位が0V(vs.Li/Li+)となるまで充電した。その後、0.1C(37mA)で負極の電位が1.5V(vs.Li/Li+)となるまで放電した。充電容量と放電容量の差から、不可逆容量に相当するリチウムの量を見積もった。
次に、別に準備した予備負極とリチウム金属箔とを用いて電池を組み立て、25℃の環境下で電気量を規制して充電し、それにより、不可逆容量に相当するリチウムを予備負極のケイ素活物質層に吸蔵させた。電気化学的にリチウムを吸蔵させた後、電池を分解して負極を取り出した。取り出した負極を炭酸ジメチルで洗浄し、乾燥後、露点−30℃で1日保持した。その後、オージェ電子分光法によるリチウムのマッピングを行った。
比較例2の負極によると、負極集電体の表面近傍にも酸素と結合したリチウムが存在していたものの、負極活物質層(柱状体)の全体に極めて多くの金属の状態のリチウムが観察された。
同じ条件で作製した比較例2の負極について、前述した条件で密着強度試験を行った。比較例2の負極は、4.4kgf/cm2と非常に低い密着強度しか有していなかった。また、充放電サイクル試験後、比較例2の負極を分解して目視観察を行ったところ、負極活物質層の一部が負極集電体から剥離していた。
電池の組み立て後の充電でリチウムを吸蔵させた場合に、密着強度の向上に寄与するリチウムシリケート層を形成できない理由は必ずしも明らかではない。本発明者らは、電解液と活物質との反応がリチウムの吸蔵と並行して進行する結果、活物質層に吸蔵されたリチウムが活物質層の全体にとどまり、集電体と活物質層との界面近傍に選択的にリチウムシリケートが生成されないのではないかと推測している。

Claims (17)

  1. 銅または銅合金で構成された負極集電体と、
    チウムを吸蔵したケイ素酸化物からなる負極活物質層と、
    Li−O−Si結合を形成している、リチウム、酸素およびケイ素を含み、前記負極集電体と前記負極活物質層との界面に形成されたリチウムシリケート層と、
    を備えた、リチウムイオン電池用負極。
  2. 記リチウムシリケート層が、前記負極活物質層の酸素含有率よりも高い酸素含有率を有する、請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極。
  3. 前記リチウムシリケート層が0.25〜5.0μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極。
  4. 前記負極活物質層および前記リチウムシリケート層が、前記負極集電体の表面から外方へ延びるように、かつ互いに間隔をあけて形成された複数の柱状体によって構成されている、請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極。
  5. 前記負極集電体が前記表面に凸部を有しており、
    前記柱状体が前記負極集電体の前記凸部に支持されている、請求項に記載のリチウムイオン電池用負極。
  6. 前記凸部が、前記負極集電体の前記表面で規則的に配列されている、請求項に記載のリチウムイオン電池用負極。
  7. 前記柱状体の成長方向が、前記負極集電体の法線方向に対して傾斜している、請求項に記載のリチウムイオン電池用負極。
  8. 前記柱状体が、複数の層の積み重ねによって形成されている、請求項に記載のリチウムイオン電池用負極。
  9. 請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極と、
    リチウムを吸蔵および放出することができる正極活物質を含む正極と、
    前記負極と前記正極との間に配置されたセパレータと、
    非水電解質と、
    を備えた、リチウムイオン電池。
  10. 銅または銅合金で構成された負極集電体の表面から遠ざかるにつれて段階的または連続的に酸素濃度が低減するように、前記負極集電体の上にケイ素酸化物からなるケイ素酸化物層を形成する工程と、
    前記ケイ素酸化物層にリチウムを吸蔵させる工程と、
    前記吸蔵工程後、Li−O−Si結合を形成しているリチウム、酸素およびケイ素を含むリチウムシリケート層が前記負極集電体の表面上に形成されるように、−20℃以下の露点温度を有する雰囲気下で前記ケイ素酸化物層を一定期間保持する工程と、
    を含む、リチウムイオン電池用負極の製造方法。
  11. 前記ケイ素酸化物層を形成する工程が、相対的に高い酸素比率の組成を有するケイ素酸化物(SiOx、0<x<2)で構成された第一ケイ素酸化物層を前記負極集電体の上に形成する工程と、前記第一ケイ素酸化物層を被覆するように、相対的に低い酸素比率の組成を有するケイ素酸化物(SiOy、0<y<x)で構成された第二ケイ素酸化物層を形成する工程と、を含み、
    前記吸蔵工程において、前記第一ケイ素酸化物層および前記第二ケイ素酸化物層から選ばれる少なくとも一方にリチウムを吸蔵させる、請求項10に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  12. 前記第一ケイ素酸化物層を形成する工程および前記第二ケイ素酸化物層を形成する工程を連続的に実施し、
    その後、前記吸蔵工程を実施する、請求項11に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  13. 前記吸蔵工程において、前記ケイ素酸化物層の上に気相法によってリチウム金属を堆積させる、請求項10に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  14. 前記一定期間は、前記ケイ素酸化物層の上に堆積されたリチウム金属を前記ケイ素酸化物層と前記負極集電体との界面近傍に移動させるのに十分な期間である、請求項13に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  15. 前記一定期間が24時間以上である、請求項10に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  16. −20℃以下の露点温度を有する前記雰囲気が大気雰囲気である、請求項10に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  17. 前記ケイ素酸化物層が、前記負極集電体の表面から外方へ延び、かつ互いに間隔をあけて形成された複数の柱状体によって構成されるように、前記ケイ素酸化物層を形成する工程を実施する、請求項10に記載のリチウムイオン電池用負極の製造方法。
JP2011537777A 2010-04-23 2011-04-21 リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池 Active JP5095863B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011537777A JP5095863B2 (ja) 2010-04-23 2011-04-21 リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010100229 2010-04-23
JP2010100229 2010-04-23
JP2011537777A JP5095863B2 (ja) 2010-04-23 2011-04-21 リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池
PCT/JP2011/002337 WO2011132428A1 (ja) 2010-04-23 2011-04-21 リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5095863B2 true JP5095863B2 (ja) 2012-12-12
JPWO2011132428A1 JPWO2011132428A1 (ja) 2013-07-18

Family

ID=44833969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011537777A Active JP5095863B2 (ja) 2010-04-23 2011-04-21 リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9391315B2 (ja)
EP (1) EP2472648B1 (ja)
JP (1) JP5095863B2 (ja)
CN (1) CN102473902B (ja)
WO (1) WO2011132428A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016052934A1 (ko) * 2014-09-29 2016-04-07 주식회사 엘지화학 애노드, 이를 포함하는 리튬 이차 전지, 상기 리튬 이차 전지를 포함하는 전지 모듈 및 애노드의 제조방법
WO2016052932A1 (ko) * 2014-09-29 2016-04-07 주식회사 엘지화학 애노드, 이를 포함하는 리튬 이차 전지, 상기 리튬 이차 전지를 포함하는 전지 모듈 및 애노드의 제조방법

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102664247B (zh) * 2012-04-01 2014-09-03 上海锦众信息科技有限公司 一种微波加热制备LiFePO4/SiC锂电池正极片的方法
JP6844814B2 (ja) * 2015-03-31 2021-03-17 株式会社村田製作所 負極活物質およびその製造方法、負極、ならびに電池
CN108352498B (zh) * 2015-11-10 2021-04-23 株式会社村田制作所 负极活性物质、用于二次电池的负极以及锂离子二次电池
CN107195867A (zh) 2016-03-15 2017-09-22 宁德新能源科技有限公司 负极活性材料及其制备方法以及二次电池
KR101951637B1 (ko) * 2017-04-07 2019-02-26 일진머티리얼즈 주식회사 이차전지용 음극, 이의 제조방법 및 이를 사용하여 제조된 리튬이차전지
DE102017208218A1 (de) * 2017-05-16 2018-11-22 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren zum Herstellen eines mit einem Alkalimetall beschichteten Substrats mittels einer Vermittlerschicht und eine Vermittlerschicht sowie ein beschichtetes Substrat
CN108063222B (zh) * 2017-08-31 2024-04-02 广东猛狮新能源科技股份有限公司 一种锂离子电池负极材料、其制备方法和锂离子电池
US11152613B2 (en) * 2018-01-19 2021-10-19 Amprius, Inc. Stabilized, prelithiated silicon oxide particles for lithium ion battery anodes
US11056704B2 (en) * 2018-07-25 2021-07-06 GRU Energy Lab Inc. Hybrid active material structures for electrochemical cells
JP6760345B2 (ja) * 2018-09-19 2020-09-23 トヨタ自動車株式会社 非水電解液二次電池用負極
CN111403693B (zh) * 2019-01-02 2021-08-13 宁德新能源科技有限公司 负极活性材料和使用其的负极极片、电化学装置和电子装置
DE102019211857B3 (de) * 2019-08-07 2020-11-12 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Lithium-sekundärbatterie, verwendung einer lithium-sekundärbatterie und verfahren zur herstellung einer lithium-sekundärbatterie
JP7127631B2 (ja) * 2019-10-21 2022-08-30 トヨタ自動車株式会社 正極活物質の製造方法、及びリチウムイオン電池の製造方法
FR3109024A1 (fr) * 2020-04-01 2021-10-08 Armor Anode au silicium pour accumulateur électrochimique
CN111653737B (zh) * 2020-04-20 2021-09-07 万向一二三股份公司 一种具有梯度预锂化结构的氧化硅复合材料及其制备方法、应用
JPWO2021241029A1 (ja) * 2020-05-28 2021-12-02
JP7218751B2 (ja) * 2020-12-03 2023-02-07 トヨタ自動車株式会社 全固体電池

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004127561A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Hitachi Maxell Ltd 微細パターン化薄膜電極と、これを負極とするリチウム二次電池
JP2005197080A (ja) * 2004-01-07 2005-07-21 Nec Corp 二次電池用負極およびそれを用いた二次電池
JP2006107912A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Gs Yuasa Corporation:Kk 非水電解質二次電池
JP2009123695A (ja) * 2007-10-24 2009-06-04 Panasonic Corp 電気化学素子用電極およびそれを用いた電気化学素子

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5580686A (en) 1995-10-13 1996-12-03 Arthur D. Little, Inc. Electrolytic cell and electrolytic process
US6358650B2 (en) * 1999-07-28 2002-03-19 Mitsubishi Chemical Corporation Current collector having a uniformly applied lithium polysilicate primer and associated fabrication process
JP4994634B2 (ja) 2004-11-11 2012-08-08 パナソニック株式会社 リチウムイオン二次電池用負極、その製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池
WO2007010922A1 (ja) 2005-07-21 2007-01-25 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. リチウムイオン二次電池用負極、その製造方法、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池
WO2008023733A1 (en) * 2006-08-25 2008-02-28 Panasonic Corporation Non-aqueous electrolyte secondary battery negative electrode, its manufacturing method, and non-aqueous electrolyte secondary battery
EP2124273A4 (en) 2007-03-13 2013-12-04 Panasonic Corp NEGATIVE ELECTRODE FOR A LITHIUM SECONDARY BATTERY AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF AND LITHIUM SECONDARY BATTERY WITH A NEGATIVE ELECTRODE FOR A LITHIUM SECONDARY BATTERY
JP2010097843A (ja) 2008-10-17 2010-04-30 Panasonic Corp リチウムイオン二次電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004127561A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Hitachi Maxell Ltd 微細パターン化薄膜電極と、これを負極とするリチウム二次電池
JP2005197080A (ja) * 2004-01-07 2005-07-21 Nec Corp 二次電池用負極およびそれを用いた二次電池
JP2006107912A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Gs Yuasa Corporation:Kk 非水電解質二次電池
JP2009123695A (ja) * 2007-10-24 2009-06-04 Panasonic Corp 電気化学素子用電極およびそれを用いた電気化学素子

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016052934A1 (ko) * 2014-09-29 2016-04-07 주식회사 엘지화학 애노드, 이를 포함하는 리튬 이차 전지, 상기 리튬 이차 전지를 포함하는 전지 모듈 및 애노드의 제조방법
WO2016052932A1 (ko) * 2014-09-29 2016-04-07 주식회사 엘지화학 애노드, 이를 포함하는 리튬 이차 전지, 상기 리튬 이차 전지를 포함하는 전지 모듈 및 애노드의 제조방법
US10199693B2 (en) 2014-09-29 2019-02-05 Lg Chem, Ltd. Anode, lithium secondary battery comprising same, battery module comprising the lithium secondary battery, and method for manufacturing anode
US10680290B2 (en) 2014-09-29 2020-06-09 Lg Chem, Ltd. Anode, lithium secondary battery comprising same, battery module comprising the lithium secondary battery, and method for manufacturing anode

Also Published As

Publication number Publication date
US9391315B2 (en) 2016-07-12
CN102473902B (zh) 2015-07-29
EP2472648A1 (en) 2012-07-04
WO2011132428A1 (ja) 2011-10-27
US20120107684A1 (en) 2012-05-03
CN102473902A (zh) 2012-05-23
EP2472648B1 (en) 2017-11-15
EP2472648A4 (en) 2015-08-19
JPWO2011132428A1 (ja) 2013-07-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5095863B2 (ja) リチウムイオン電池用負極およびその製造方法、ならびにリチウムイオン電池
JP4865673B2 (ja) リチウム二次電池
JP4351732B2 (ja) リチウム二次電池用電極およびそれを備えたリチウム二次電池
US8771874B2 (en) Negative electrode contacting silicon oxide active material layers for lithium secondary battery and method for producing the same
US8303672B2 (en) Electrode for lithium secondary battery, lithium secondary battery and method for producing the same
JP5313761B2 (ja) リチウムイオン電池
JP5378720B2 (ja) リチウムイオン二次電池
US20100151318A1 (en) Three-dimensional battery with hybrid nano-carbon layer
WO2011001620A1 (ja) リチウムイオン電池用負極、その製造方法、およびリチウムイオン電池
WO2010092815A1 (ja) 非水電解質二次電池用負極及び非水電解質二次電池
WO2010098043A1 (ja) 非水電解質二次電池用負極及び非水電解質二次電池
WO2007015419A1 (ja) リチウム二次電池用負極およびその製造方法
JP4581029B2 (ja) リチウム二次電池用負極およびそれを備えたリチウム二次電池、ならびにリチウム二次電池用負極の製造方法
KR20070077126A (ko) 리튬 2차전지용 음극 및 그것을 이용한 리튬 2차전지
JP2010073571A (ja) リチウムイオン二次電池およびその製造方法
US8273479B2 (en) Negative electrode for lithium secondary cell and lithium secondary cell using the same
JP2010250968A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2008098157A (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびそれを用いるリチウムイオン二次電池
WO2021241130A1 (ja) 電池および電池の製造方法
CN100466340C (zh) 非水电解质二次电池
JP2008243828A (ja) 負極および二次電池の製造方法
JP2005085632A (ja) 電池
JP2008243656A (ja) 電気化学素子用電極とその製造方法
JP2023523875A (ja) リチウムイオン二次電池、電池モジュール、電池パックおよび電気装置
JP2009218123A (ja) リチウム電池用電極

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120828

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5095863

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3