JP5088253B2 - フルオロアルキルハライドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種有機材料の原料物質として有用なフルオロアルキルハライドの製造方法に関する。
フルオロアルキルハライドは各種有機材料の原料物質として幅広く使用されている化合物である。特に、フルオロアルキルアイオダイドは、撥水撥油剤、フッ素系界面活性剤等の原料として多く用いられている。フルオロアルキルアイオダイドの炭素鎖長は、用途によって異なり、たとえば、撥水撥油性能を得るための炭素鎖長は、通常、4以上となっている。
従来より、炭素鎖長が3以上のフルオロアルキルアイオダイドは、たとえば、下式(a)の化合物(テロゲン)に下式(b)の化合物(タキソゲン)を付加させ、下式(c)の化合物(テロマー)を得る、いわゆるテロメリ化反応による鎖長伸長により製造する方法が常法となっている。
I ……(a)、
CF=CF ……(b)、
(CFCFI ……(c)。
(ただし、Rは、水素の少なくとも1つ以上がフッ素で置換された炭素数1以上のフルオロアルキル基であり、nは、重合度であって、1以上の整数である。)
なお、式(a)の化合物(テロゲン)および式(c)の化合物(テロマー)はともにフルオロアルキルアイオダイドであるが、本明細書においては両者を区別するために生成物質をフルオロアルキルアイオダイド(テロマー)と記載することがある。
上記テロメリ化反応によるフルオロアルキルアイオダイド(テロマー)の製造方法としては、バッチ反応で製造する方法(特許文献1参照。)や、管型反応器で連続的に製造する方法(特許文献2)が知られている。
しかし、上記テロメリ化反応においては、原料となるテロゲンとしてのフルオロアルキルアイオダイドが必要であり、通常テロゲンは、例えば、テトラフルオロエチレン、ヨウ素、および五フッ化ヨウ素を触媒の存在下で反応させてペンタフルオロエチルヨウ化物製造する方法(特許文献3参照。)のように、別の反応器で極めて腐食性の高い原料から合成したものを使わなければならず、フルオロアルキルアイオダイド(テロマー)を製造するためには複数の反応工程と精製工程が必要であった。また、このフルオロアルキルアイオダイド(テロマー)の製造についての状況は、フルオロアルキルハライド全般の製造についても同様といえる。
国際公開第02/062735号パンフレット 特開2006−298817号公報 特表2002−507979号公報
本発明は、従来の製造方法に代わって、反応工程の数が少なく簡便な方法で、かつ高収率に所望の鎖長のフルオロアルキルハライドを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、式(1)で表わされる化合物と、式(2)で表される化合物と、式(3)で表される化合物とを反応させ、式(4)で表されるフルオロアルキルハライドを得ることを特徴とするフルオロアルキルハライドの製造方法である。
{F(CFCOO} ……(1)
CF=CF ……(2)、
……(3)、
F(CF(FCRCFおよびF(CF(FCRCF ……(4)
(ただし、前記各式中、mは1〜14の整数、RはFまたはCF、nは0〜14の整数である。また、XおよびXは、独立してF、Cl、BrまたはIであり、XとXは同一でも異なっていてもよい。)
本発明によれば、これまでのテロメリ反応を利用した製造方法では必須とされていた原料テロゲンとしてのフルオロアルキルハライドを使用することなく、所望の鎖長のフルオロアルキルハライドを簡便な方法で効率的に製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、開始剤由来の不純物が生成しない、副生成物の生成を抑制する等の特徴により目的物質のフルオロアルキルハライドを高収率で得ることが可能である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
なお、本明細書においては、前記式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。同様に前記式(2)、式(3)、式(4)で表される化合物をそれぞれ化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)と記す。
本発明の製造方法は、化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)を反応させて、目的物質である化合物(4)のフルオロアルキルハライドを製造するものである。
<化合物(1)>
本発明の製造方法に用いられる化合物(1)は、式(1)で表されるフルオロジアシルペルオキシドであり、化合物(4)のフルオロアルキルハライドを生成する原料成分の一つである。
{F(CFCOO} ……(1)
(ただし、式中mは1〜14の整数である。)
ここで、前記原料成分として用いられる化合物(1)のmの数値により、得られるフルオロアルキルハライドの炭素数がある程度調整される。式(4)を見れば明らかなように原料として用いる化合物(1)のmの数値以下の炭素数のフルオロアルキルハライドは得られない。なお、mの数値の上限である14は、化合物(1)が単一化合物として容易に単離することのできるmの上限の数値である。また、化合物(1)としては、得られるフルオロアルキルハライドの産業利用上また環境問題の観点から、mが1〜7の整数であるものが好ましい。化合物(1)は、目的生成物の要求に応じて、1種または2種以上の混合物として、本発明の製造方法に用いることができる。
化合物(1)は、例えば、以下の反応式(a)、反応式(b)等の反応を利用して製造することができる。反応式(a)、(b)中、mは1〜14の整数である。
反応式(a):2F(CFCOCl + NaCO + H → {F(CFCOO} + 2NaCl +HCO
反応式(b):2F(CFCOCl + H + 2KOH → {F(CFCOO} + 2HO + 2KCl
反応式(a)、反応式(b)とも公知のものであり、該反応式に従い通常の製造方法により本発明に用いる化合物(1)を製造することができる。
例えば、反応式(b)により、化合物(1)を得るには、適当な濃度の水酸化カリウム水溶液に有機溶媒としてハロゲン化炭化水素類、例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン等を添加し、これにH水溶液、F(CFCOClを順に加え、適当に温度調整をしながら攪拌して水相および有機相を有する反応液を得、有機相中に含まれる化合物(1):{F(CFCOO}(フルオロジアシルペルオキシド)を洗浄、脱水後、分離精製することで製造される。なお、この反応に用いた有機溶媒が以下に説明する本発明の製造方法において反応工程に阻害を与えない溶媒であれば、化合物(1)を溶液中から分離精製せずに上記用いた有機溶媒の溶液として、本発明の製造方法に用いることも可能である。
<化合物(2)>
本発明の製造方法において用いられる化合物(2)は、式(2)で表わされる化合物、すなわちテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンであり、化合物(4)のフルオロアルキルハライドを生成する原料成分の一つである。
CF=CF ……(2)
(ただし、式中RはFまたはCFである。)
化合物(2)に分類されるテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンは、目的生成物の要求に応じて、単独でまたはこれらの混合物として、本発明の製造方法に用いることができる。
本発明の製造方法で得られるフルオロアルキルハライドの中でも、さらに有用な化合物に容易に誘導可能な直鎖のフルオロアルキルハライド得られることから、化合物(2)として、テトラフルオロエチレンが好ましく用いられる。
<化合物(3)>
本発明の製造方法において、上記化合物(1)、化合物(2)とともに原料成分として用いられる化合物(3)は、式(3)で表されるハロゲン分子である。
……(3)
(式中、XおよびXは、独立してF、Cl、BrまたはIであり、XとXは同一でも異なっていてもよい。)
およびXはそれぞれに関連なく個々にF、Cl、BrまたはIであり、XおよびXが同一の場合、得られるフルオロアルキルハライドのハロゲン部分は1種となり、異なる場合にはハロゲン部分が2種のフルオロアルキルハライドが混合して製造される。多くの場合、フルオロアルキルハライドは各種有機材料を誘導する原料物質として使用されるが、その用途・目的により必要に応じてXおよびXを同一としたり、異なる原子としたりすることができる。また、化合物(3)は、目的生成物の要求に応じて、1種または2種以上の混合物として、本発明の製造方法に用いることができる。
本発明の製造方法で得られるフルオロアルキルハライドの中でも、フルオロアルキルアイオダイドはさらに有用な化合物に容易に誘導することができることから、化合物(3)(ハロゲン分子)の具体例として、式中のXおよびXがともにIであるヨウ素分子(I)が好ましく用いられる。
<化合物(4)>
上述した化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)とを反応させることで以下のラジカル反応機構により、式(4)で表されるフルオロアルキルハライド、化合物(4)が鎖長の異なるフルオロアルキルハライドの混合物として得られる。
F(CF(FCRCFおよびF(CF(FCRCF ……(4)
(ラジカル反応機構)
(i)ラジラル生成反応
{F(CFCOO}(化合物(1)) (加熱)→ 2F(CF・ + 2CO
(ii)初期反応〜開始反応
2F(CF・ + X (化合物(3))→ F(CF + F(CF
F(CF + F(CF → F(CF + F(CF
F(CF + F(CF → F(CF + F(CF
(iii)連鎖反応
F(CF + RCF=CF(化合物(2))→ F(CF(RCFCF)・
F(CF(RCFCF)・ +F(CF → F(CF(RCFCF)X (目的生成物:化合物(4)(n=1)) + F(CF
F(CF(RCFCF)・ +F(CF → F(CF(RCFCF)X (目的生成物:化合物(4)(n=1)) + F(CF
(iv)停止反応
2F(CF・+ X (化合物(3))→ F(CF+F(CF(目的生成物:化合物(4)(n=0))
2F(CF・→ {F(CF
(ただし、前記各式中、mは1〜14の整数、RはFまたはCF、nは0〜14の整数である。また、XおよびXは、独立してF、Cl、BrまたはIであり、XとXは同一でも異なっていてもよい。)
ここで、上記連鎖反応で示した目的生成物:化合物(4)は、式(4)で表されるフルオロアルキルハライドのうちnが1のフルオロアルキルハライドであるが、例えば、以下のようにして連鎖反応を繰り返すことによりnの数が増加する。
F(CF(RCFCF)・ + RCF=CF(化合物(2))→ F(CF(RCFCF
F(CF(RCFCF +F(CF → F(CF(RCFCF (目的生成物:化合物(4)(n=2)) + F(CF
なお、化合物(4)におけるnの数は、以下に説明する反応条件を操作することにより特に上限なく調整可能であるが、nの数が14を超えると単一化合物として容易に単離することが困難となることから、好ましい上限を14とした。
また、停止反応で得られた目的生成物:化合物(4)は、式(4)で表されるフルオロアルキルハライドのうちnが0のフルオロアルキルハライドである。この様に、反応系に化合物(3)が存在することにより停止反応においても目的生成物が得られる。この反応は、2F(CF・→ {F(CF等の停止反応よりも優位におこるため、副生成物の生成を抑えることから、本発明の製造方法は目的生成物の収率の点で有利であるといえる。
さらに、本発明の製造方法においては、化合物(1)がラジカルを生成することで反応が開始することから、別成分としてラジカル開始剤を添加する必要がない。通常のテロメリ化反応(ラジカル反応)では、過酸化物系化合物、アゾ系化合物等のラジカル開始剤を用いることからこれらに起因する不純物、例えば、ラジカル開始剤の分解物やフルオロアルキルラジカルがこれら分解物から水素を引き抜いて生成される不純物が生成するが、本発明の製造方法においては不純物は全く発生せず、反応系からの目的生成物の精製に有利である。
本発明の製造方法においては、上述のように化合物(4)は鎖長の異なるフルオロアルキルハライドの混合物として得られる。さらに、前記反応式の通り、化合物(4)は、用いる化合物(3)(ハロゲン分子)によりF(CF(FCRCFおよびF(CF(FCRCFのようにハロゲン部分が2種類に分類されるフルオロアルキルハライドの混合物として得られる。
実際には、1種の化合物(1)と、XおよびXが同一の化合物(2)を用いれば、化合物(4)としては、F(CF(FCRCFI、F(CF(FCRCFCl、F(CF(FCRCFBrまたはF(CF(FCRCFF(mは1〜14の整数、nは0〜14の整数、RはFまたはCFである。)が得られる。これら化合物(4)は鎖長は異なるがハロゲン部分が単一のフルオロアルキルハライド混合物である。
化合物(4)は、多くの場合、各種有機材料を誘導する原料物質として使用され、用途・目的により所望の構造が適宜設計される。所望の構造の化合物(4)を得るためには、化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)を適宜選定し、原料成分として反応に用いればよい。
次に、化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)とを反応させて、化合物(4)を得る反応条件について実施の形態を説明する。
<反応条件>
本発明の製造方法において、反応に用いる化合物(1)および化合物(3)の割合は、特に制限されないが、反応収率と選択率向上の点で、化合物(1)に対する化合物(3)のモル比で、1以上であることが好ましい。
また、反応に用いる化合物(2)の割合は、所望する目的生成物、化合物(4)のフルオロアルキルハライドの鎖長に応じて適宜選択される。
なお、目的生成物、化合物(4)の鎖長および鎖長分布は、反応温度、反応時間、反応装置等によって影響を受けるが、概ね、化合物(1)に対する化合物(2)の反応系への導入量が大きくなるに従い、目的生成物である化合物(4)すなわちF(CF(FCRCFおよびF(CF(FCRCF中のnは大きくなるといえる。したがって、化合物(4)の所望の鎖長を考慮して、化合物(1)に対する化合物(2)の導入量を調整することが好ましい。
本発明の製造方法において、化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)との反応は無溶媒下でも進行するが、原料成分である化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)の撹拌効率と反応効率の観点から、溶媒存在下で反応を行うことが好ましい。溶媒としては、原料成分である化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)を溶解できるものであれば、特に制限なく用いることができる。
なお、上記のように化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)との反応はラジカル反応であるため、例えば炭化水素系溶媒のように溶媒によっては、連鎖移動により反応阻害を起こすものがあり、本発明においては好ましくない。このような観点から反応溶媒を選択すれば、連鎖移動がしにくい点、原料成分の溶解性が良好である点で本発明に用いる溶媒として、フッ素系溶媒を好ましく挙げることができる。また、必要に応じて、目的生成物(化合物(4))を溶媒として使用することも可能である。用いる溶媒量は各原料成分の種類、組合せ等にもよるが、これら原料成分が溶解する量であれば特に制限されない。ただし、原料成分を均一に混合するための攪拌効率を考慮すれば、反応原料である化合物(1)から化合物(3)の全量に対して溶媒量を、質量で10〜2000倍程度とすることが好ましい。
上記本発明の製造方法に好ましく用いられるフッ素系溶媒として具体的には、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロアルキルアイオダイド等が挙げられる。本発明においては、これらから選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上の混合物を溶媒として用いることができる。
さらに、パーフルオロアルカンとしては、例えば、C12、C14、C16、C18、C20、C1022等が挙げられる。
ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、例えば、CFCFCClH(225ca:旭硝子(株)製品名)、ClCFCFCClFH(225cb:旭硝子(株)製品名)等が挙げられる。
パーフルオロアルキルアイオダイドとしては、例えば、CFI、CFCFI、CFCFCFI、CFCFCFCFI、CFCFCFCFCFI、CFCFCFCFCFCFI、CFCFCFCFCFCFCFI、CFCFCFCFCFCFCFCFI、CFCFCFCFCFCFCFCFCFI、CFCFCFCFCFCFCFCFCFCFI等が挙げられる。
ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、CFH、CFCFH、CFCFCFH、CFCFCFCFH、CFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCFCFCFCFCFCFH等が挙げられる。
パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、CF(CFOCFCF、CF(CFO(CFCF等を好ましく挙げることができる。
これらのうちでも、特にハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンが、連鎖移動反応が起こりにくい点で好ましい。
次に本発明の製造方法の反応工程について説明する。
まず、反応器に所定の量の化合物(1)および化合物(3)と溶媒を導入する。化合物(1)および化合物(3)の性状によって導入しやすい順番であれば特に順番は限定されない。通常は固体、液体、気体の順番で導入する方が操作上は導入しやすい。反応器の材質としては、樹脂、ガラス、ステンレス鋼、ニッケル合金などの金属、またこれらの複合材料を挙げることができる。
化合物(1)および化合物(3)と溶媒を投入した後、反応器を密閉し、化合物(2)の所定量を反応液に導入し加熱する。加熱温度は、原料成分である化合物(1)の種類により調整される。具体的には、反応に用いる化合物(1)の10時間半減温度より概ね10〜70℃高い温度とすることが好ましく、より好ましくは前記10時間半減温度より30〜70℃程度高い温度が挙げられる。なお、10時間半減温度とは、有機過酸化物の分解温度を表す指標で10時間でもとの有機過酸化物が分解して活性酸素量が1/2になる温度をいう。反応温度が化合物(1)の10時間半減温度より10℃を超えて低い温度であると必要以上に反応の完結に時間を要する場合があり、70℃を超えて高い温度であるとラジカル同士のカップリング反応が多く起こることがある。
例えば、化合物(1)である{F(CFCOO}のmが2である(CCOO)の10時間半減温度は28℃であり、(CCOO)を原料成分として用いた反応の場合、上記条件によれば約40〜100℃での反応条件とすることが好ましい。化合物(1)に属する化合物の10時間半減温度は、−30〜50℃の範囲にあり、したがって、上記条件によれば本発明の製造方法における反応温度は、概ね−20〜120℃の範囲で実施されることとなる。加熱または冷却方法は反応器の大きさ装備によって変わるが、通常、ジャケット付き反応器であれば温度調節された水もしくはオイル、冷媒を内温が所定の温度になるまで通液する。
反応器は撹拌翼を装備し、原料成分の性状に合わせて種類や構造を変える。例えば、ガス状原料の場合はガス吸収が良好な撹拌翼が用いられ、固体原料の場合は固液分散性に優れた撹拌翼が用いられる。回転数は特に限定されない。また、本発明の製造方法においては反応圧力は特に限定しない。具体的には、特に反応圧調整を実施せずに反応を進行させる。
反応器内面は金属製の場合、化合物(1)が金属表面で分解されるのを防ぐため、研磨されている方がよいが、研磨度合いは特に限定されない。化合物(1)の分解を防止するために樹脂ライニングまたはガラスライニングされた反応器であっても良い。
反応はバッチ反応、または連続反応のどちらで実施してもよいが、生産性の観点からは連続反応で行うことが好ましい。連続反応で実施する場合には、反応器に各原料成分が一定の比率、速度で導入され、所定の滞留時間の後、導入された原料成分と同量を反応粗液として連続的に抜き出す方法をとればよい。滞留時間は、化合物(1)が十分に反応する上記好ましい温度範囲においては特に限定されるものではないが、上記好ましい温度条件下において、概ね5〜180分間とすることが効率的な生産性の点で好ましい。
バッチ反応で反応を実施する場合、反応時間は、上記好ましい反応温度において化合物(1)が実質上ほとんど分解することが可能な時間であれば特に限定されない。例えば、化合物(1)として(CCOO)を用いた場合、70℃で反応すると1時間で十分に分解して反応は完結する。
バッチ反応の場合は反応終了後の反応粗液を、連続反応の場合は所定の条件で連続的に抜き出された反応粗液を、必要に応じて冷却し、通常の方法、例えば蒸留等によって目的生成物の精製を行う。バッチ蒸留の場合は通常、蒸留塔の釜に反応粗液を移液し、連続蒸留の場合は釜もしくは塔に導入して蒸留を行う。
なお、目的生成物の物性により加圧蒸留、常圧蒸留、減圧蒸留等から蒸留方法を適宜選択する。蒸留工程は単段であってもよく、また2段以上で行ってもよい。蒸留は通常、充填物を充填した蒸留塔を用いて行う。蒸留装置は、通常冷却コンデンサーを装備しており、これを介して目的生成物が回収される。充填物は目的生成物と原料成分その他が分離できればよく特に限定されない。また、分離を良くするために蒸留運転は一定の還流比をもうけて実施される。
目的生成物である化合物(4)は、鎖長の長さの異なるフルオロアルキルハライドの混合物として得られるが、さらに必要に応じて、蒸留等の通常の方法により単一鎖長のフルオロアルキルハライドに精製することも可能である。
このようにして、本発明の製造方法、すなわち化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)を反応させることにより、反応生成物として化合物(4)であるフルオロアルキルハライドが製造される。
上述の通り本発明によれば、従来のテロメリ反応を利用したフルオロアルキルハライド(テロマー)の製造方法では必須とされていた原料テロゲンとしてのフルオロアルキルハライドを使用することなく、所望の鎖長のフルオロアルキルハライドを簡便な方法で効率的に製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、開始剤由来の不純物が生成しない、副生成物の生成を抑制する等の特徴により目的物質のフルオロアルキルハライドを高収率で得ることが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[調整例]化合物(1):{F(CFCOO}の調整
温度計と滴下ロートを備えた三口フラスコ中で、蒸留水の120gに水酸化カリウムの3.5gを溶解させ、CFClCFCFClH溶媒の61gを添加し、氷浴により温度を約0℃に調節した。30質量%のH水溶液の9.2gを導入し、ついでCCOClを14.3g導入した。
フラスコ内の温度を約2℃に調節し、30分間攪拌を続け、水相および有機相を有する液を得た。目的生成物であるフルオロジアシルペルオキシド:{F(CFCOO}は有機相中に含まれているため、次いで、有機相を分液ロートにより分離し炭酸水素ナトリウム水溶液および蒸留水により洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水して、フルオロジアシルペルオキシド:{F(CFCOO}の溶液を得た。滴定により収率を求めたところ70%であった。この溶液から蒸留により{F(CFCOO}を抽出精製し、以下の実施例に用いた。
[実施例1]
撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:1L)に溶媒としてCFClCFCFClHを400g、{F(CFCOO}を3.82g導入し、続いてヨウ素(I)3gを加え、オートクレーブを密閉した後、テトラフルオロエチレンの4.7gを加えた。撹拌下、反応器内を70℃に加熱し、2時間の反応を実施した。反応終了後、反応粗液を取り出しガスクロマトグラフィーにて定量分析すると、CF3CF(CFCFI(nは0〜14の整数)の構造を有する化合物の混合物が生成していた。
収率に相当する値として、反応により消費されたテトラフルオロエチレン(TFE)の割合であるTFE消費率を示すが、実施例1の反応においては「TFE消費率」は90%であった。また、前記得られた混合物における、各鎖長のフルオロアルキルハライドの含有割合(鎖長分布)をガスクロマトグラフィーの面積比で求めた。結果は以下の通りである。
(生成フルオロアルキルハライドの割合)
I:35%
I:17%
13I:10%
17I:9%
1021I:8%
1225I:6%
1429I以上:15%
[実施例2]
撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:1L)に溶媒としてCFCFCFCFIを500g、(CF3CFCOO)を3.82g導入し、続いてヨウ素(I)を6g加え、オートクレーブを密閉した後、テトラフルオロエチレンの4.7gを加えた。撹拌下、反応器内を70℃に加熱し、2時間の反応を実施した。反応終了後、反応粗液をガスクロマトグラフィーにて定量分析すると、CF3CF(CFCFI(nは0〜14の整数)の構造を有する化合物の混合物が生成していた。
ここで、実施例2の反応における「TFE消費率」は93%であった。なお、この反応では溶媒であるCIと生成物の一部(CF3CF(CFCFI(n=1))が一致しているため、生成物の鎖長分布をガスクロマトグラフィーの面積比で求めることはできないが、CI以外の傾向は概ね実施例1と同様といえる。
本発明の製造方法によれば、簡便・効率的な方法で高収率に所望の鎖長のフルオロアルキルハライドを製造することができる。また様々なハロゲン分子との組み合わせにより多様なフルオロアルキルハライドを製造することができる。このようにして得られたフルオロアルキルハライドは各種有機材料の原料物質として有用である。

Claims (5)

  1. 式(1)で表わされる化合物と、式(2)で表される化合物と、式(3)で表される化合物とを反応させ、式(4)で表されるフルオロアルキルハライドを得ることを特徴とするフルオロアルキルハライドの製造方法。
    {F(CFCOO} ……(1)
    CF=CF ……(2)、
    ……(3)、
    F(CF(FCRCFおよびF(CF(FCRCF ……(4)
    (ただし、前記各式中、mは1〜14の整数、RはFまたはCF、nは0〜14の整数である。また、XおよびXは、独立してF、Cl、BrまたはIであり、XとXは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記式(3)および式(4)中のXおよびXがともにIであることを特徴とする請求項1に記載のフルオロアルキルハライドの製造方法。
  3. フッ素系溶媒の存在下で反応を行う請求項1または2に記載のフルオロアルキルハライドの製造方法。
  4. 前記フッ素系溶媒が、ハイドロクロロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロカーボンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載のフルオロアルキルハライドの製造方法。
  5. 反応温度を、前記式(1)で表される化合物の10時間半減温度より10〜70℃高い温度とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフルオロアルキルハライドの製造方法。
JP2008179376A 2008-07-09 2008-07-09 フルオロアルキルハライドの製造方法 Active JP5088253B2 (ja)

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