JP2012140397A - ポリクロロプロパンの製造方法 - Google Patents

ポリクロロプロパンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 1,1,1,3−テトラクロロプロパン等の下記式(1)
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (1)
で示されるクロロプロパンを、下記式(2)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
(上記各式中、mは1又は2、nは0〜3の整数)
で示される2位の炭素上の塩素が1つ増加したクロロプロパンへと変換する効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】
塩化アルミニウムを触媒とし、式(1)で示されるクロロプロパンを式(2)で示されるクロロプロパンへ反応系内で一度に変換する。反応系内に触媒となる塩化アルミニウムを存在させる方法としては、式(1)で示されるクロロプロパンと無水塩化アルミニウムとを反応器内に入れておき、無水塩化アルミニウムの一部が溶解した後、該反応器中へ時間をかけて塩素を導入することによって、上記変換を行わせる方法が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリクロロプロパンを製造するための方法に関する。より詳しくは、塩化アルミニウムの存在下、塩素を用いることにより、1バッチでクロロプロパンを更に塩素化されたポリクロロプロパンへと変換する製造方法に関する。
ポリクロロプロパンは、農薬、医薬品、フロン代替材料等の各種製品を製造するための原料ないし中間体として重要である。例えば1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから出発して1,1,2,3−テトラクロロプロペンを経て、除草剤として有用なトリクロロアリルジイソプロピルチオカルバメートを製造することができる。
このような塩素化炭化水素の製造方法としては、例えば炭素数2の不飽和化合物(非置換又は塩素で置換されたエチレン)に四塩化炭素を付加してクロロプロパンを得る第一反応と、
該クロロプロパンを脱塩化水素してクロロプロペンを得る第二反応と、該クロロプロペンにさらに塩素を付加して目的のクロロプロパンを得る第三反応とからなる三段階反応が知られている。このうち、本特許と特に関連する前記第二、三反応として、例えば特許文献1には、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに対してアルカリ水溶液を用いて脱塩化水素した後、水溶液を分離した1,1,3−トリクロロプロペンと1,1,1−トリクロロプロペンの混合物に塩素を用いて1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとする例が記載されている。
また、前記第二反応の脱塩化水素反応に関しては、例えば特許文献2には高温下において、触媒として塩化鉄を用いる方法が記述されている。
さらに第二、三反応を1工程で行わせる方法として、触媒として塩化鉄を用い、加熱下に1,1,1,3−テトラクロロプロパン中へ塩素ガスを吹き込むことにより一気に1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを得る方法が提案されている(特許文献3)
特公平2−47969号公報 特開昭49−66613公報 米国特許公開2009/216055号公報
上記特許文献1、2に記載の方法では、2工程の反応が各々全く異なる条件で行われるため、複数の設備が必要となり、また時間も要し不経済である。また特許文献3記載の方法は1工程で可能なためこのような問題点はないが、一方で高温に加熱する必要があり、また目的生成物の選択率も不十分であり改善の余地が高い。
そこで本発明は、前記第二、三反応を1工程で行い、かつ十分な選択率で目的生成物であるポリクロロプロパンを得ると共に、さらに反応に要する加熱エネルギーの低減をも図るものである。
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特許文献3に記載の塩化鉄に代えて、塩化アルミニウムを採用することにより、低温で迅速に反応が進行し、また選択率も著しく良好となることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、下記式(1)
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (1)
(上記式中、mは1又は2、nは0〜3の整数)
で示されるクロロプロパンを、下記式(2)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
(上記式中、m及びnは式(1)と同一の整数)
で示されるクロロプロパンへと変換するポリクロロプロパンの製造方法であって、前記式(1)で示されるクロロプロパンと無水塩化アルミニウムとを反応器内に入れておき、該反応器中へ塩素を導入することによって、上記変換を行わせることを特徴とするポリクロロプロパンの製造方法である。
他の発明は、下記式(1)
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (1)
(上記式中、mは1又は2、nは0〜3の整数)
で示されるクロロプロパンを、下記式(2)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
(上記式中、m及びnは式(1)と同一の整数)
で示されるクロロプロパンへと変換するポリクロロプロパンの製造方法であって、前記式(1)で示されるクロロプロパンに塩化アルミニウムを溶解させた溶液を反応器内に入れておき、該反応器中へ塩素を導入することによって、上記変換を行わせることを特徴とするポリクロロプロパンの製造方法である。
本発明によれば、前記式(1)で示されるクロロプロパンを、前記式(2)で示されるクロロプロパンへと変換するに際して、従来は二工程を必要としていた反応工程を一工程とでき、しかも相対的に低温下(即ち、低エネルギーで)、高収率で反応を行わせることができ、工業的に極めて有益である。
実施例、比較例で用いた反応装置を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において原料となる下記式(1)で示される化合物は、
下記式(1)
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (1)
(上記式中、mは1又は2、nは0〜3の整数)
で示されるクロロプロパンである。
当該化合物を具体的に例示すると、1,1,1−トリクロロプロパン、1,1,1,3−テトラクロロプロパン、1,1,1,2−テトラクロロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロパン等が挙げられる。
上記式(1)で示されるクロロプロパンを得る方法は特に制限されるものではないが、一般的には、非置換又は塩素で置換されたエチレン(以下、「炭素数2の不飽和化合物」という。)に対して四塩化炭素を付加することにより得られる。
当該炭素数2の不飽和化合物としてはエチレン、塩化ビニル、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエチレンが挙げられ、後述する鉄−リン酸エステル触媒により四塩化炭素を付加させると、相対的に塩素数の少ない側の炭素に、四塩化炭素の炭素が結合した生成物が生じる。
例えば原料化合物としてエチレンを使用した場合には1,1,1,3−テトラクロロプロパンが、塩化ビニルを使用した場合には1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンが、それぞれ得られる。
当該付加反応は、各種の触媒存在下に行われることが一般的であり、例えば、鉄−リン酸エステル触媒、鉄−非プロトン極性溶媒触媒、銅−アミン触媒等を挙げることができるが、これらのうち鉄−リン酸エステル触媒が好ましい。
当該付加反応の代表例を鉄−リン酸エステル触媒を例としてより詳しく説明すると以下の通りである。即ち、反応容器内に四塩化炭素を、該四塩化炭素が液相として存在する温度及び圧力条件で入れておき、そこへ、炭素数2の不飽和化合物をガスとして連続的に供給する。この際、触媒となる鉄はその全量を最初から反応容器内に入れておき、一方、リン酸エステルは同じく全量を最初から反応容器内に入れておいてもよいし、反応の進行状況をモニターしながら、徐々に追加添加していってもよい。なお反応状態(速度)は、炭素数2の不飽和化合物の消費速度によりモニターできる。
用いる鉄は、金属鉄、純鉄、軟鉄、炭素鋼、フェロシリコン鋼、鉄を含む合金(例えばステンレス鋼等)等を挙げることができる。鉄の形状としては、例えば粉末状、粒状、塊状、棒状、球状、板状、繊維状等の任意の形状であることができるほか、これらを用いてさらに任意の加工をした金属片、蒸留充填物等であってもよい。
またリン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸モノフェニル、リン酸モノブチル、リン酸ジメチルフェニル、リン酸ジエチルフェニル、リン酸ジメチルエチル、リン酸フェニルエチルメチル等を挙げることができる。なかでもリン酸トリアルキルエステルであることが好ましく、全てのアルキル基が炭素数1〜4のアルキル基であるリン酸トリアルキルエステルが特に好ましい。
反応温度は通常90〜160℃、好ましくは105〜130℃であり、また反応中は、気相部におけるエチレン量(圧力)を、25℃にした状態で0.11〜0.52MPa(abs)となる量だけ存在させておくことが好ましい。
上記方法で得られた反応生成物は、前記式(1)で示されるクロロプロパンを主成分とし、不純物として未反応原料である四塩化炭素、炭素数2の不飽和化合物、リン酸エステル、鉄、及び塩化第二鉄等を含む。
本発明の製造方法においては、上記不純物のうちリン酸エステルを除去すれば、他の不純物は存在したままで原料として使用することができる。リン酸エステルを除去する必要があるのは、リン酸エステルが脱塩化水素反応を阻害する触媒として作用するためである。
当該リン酸エステル等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留、吸着等の方法が適宜適応できる。
むろん本発明のポリクロロプロパンの製造方法は、上記方法で製造ができない1,1,1−トリクロロプロパン、1,1,1,2−テトラクロロプロパン等に対しても適用可能である。この場合、これら原料クロロプロパンは、各々、公知の方法で製造されたものを採用すればよい。
本発明の製造方法においては、上述の如きクロロプロパンが、塩化アルミニウムの存在下、クロロプロペン中間体を経て塩素と反応し、2位の塩素数が一つ増えたクロロプロペンへと変換される。
推定される本発明の反応機構等は以下の通りである。即ち、前記式(1)で示されるクロロプロパンが、塩化アルミニウムを触媒として脱塩化水素し、下記式(3)で示される中間体のクロロプロペンを生じる。
CCl2=CCl(2−m)m-1−CCl(3−n) (3)
(上記式中、m及びnは式(1)と同一の整数)
この後、該中間体のクロロプロペンの二重結合に対して、供給された塩素が付加する反応により、前記式(2)に対応するクロロプロパン、即ち、式(1)で示されるクロロプロパンに比して2位の塩素が一つ多いクロロプロパンへと変換される。
具体的に、前記式(1)で示されるクロロプロパンとして、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを例に説明すると、まず反応容器内に入れられた1,1,1,3−テトラクロロプロパンと塩化アルミニウムの反応により、脱塩化水素反応した反応中間体として1,1,3−トリクロロプロペンが生成する。続いて、該1,1,3−トリクロロプロペンの二重結合に塩素が付加して1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンが生成するものと推定される。
本発明の製造方法の第一の態様においては、上述の如きクロロプロパンと無水塩化アルミニウムを反応容器に入れておき、次いで該反応器中へ塩素を導入する。無水塩化アルミニウムを用いない場合には、目的とする反応が選択的に進行しない。また塩化アルミニウムを用いることにより、他の金属塩化物、例えば、塩化鉄を用いた場合などに比べて遙かに低温で、高選択率で目的とする反応物を得ることができる。
なお、反応系内に溶解した塩化アルミニウムがない場合には、、式(1)で示されるクロロプロパンの脱塩化水素化による式(2)で示されるクロロプロペンへの脱塩化水素反応よりも、式(1)で示されるロロプロパンへの塩素の置換反応が進行するために、例えば、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン等の副生物が生成し、目的とする1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの選択率が低下する傾向にある。
したがって、塩素の供給は無水塩化アルミニウムの少なくとも一部が溶解したのちに供給することが望ましく、また、無水塩化アルミニウムの溶解量等を適宜調整することが重要である。無水塩化アルミニウムが溶解したか否かは、反応液の色調の変化により確認できる。例えば、1,1,1,3−テトラクロロプロパンに溶解させた場合には、ほぼ無色に近い状態であったものが青色を呈するようになる。
使用する塩化アルミニウムとしては、無水塩化アルミニウムを用いる。塩化アルミニウム6水和物は、実質的に式(1)で表されるクロロプロパンに溶解しない。また、塩化アルミニウムと水が反応してできる水酸化アルミニウムは脱塩化水素反応の触媒にはならない。但し、水酸化アルミニウムや塩化アルミニウム6水和物が系内に含まれていても特に反応に悪影響を与えることはない。
また、反応系内における無水塩化アルミニウムの溶解量が多すぎる場合には、式(1)で示されるクロロプロパンの脱塩化水素反応よって生成した式(3)で示されるクロロプロペン同士、または式(3)で示されるクロロプロペンと式(1)で示されるクロロプロパンとの反応による二量化が進行するために、目的とする式(2)で示されるクロロプロパンの選択率が低下する傾向にある。
従って、無水塩化アルミニウムの使用量は、前記式(1)で示されるクロロプロパン1モルに対して、2.0×10−5〜2.0×10−2モルが好ましく、より好ましくは、5.0×10−5〜1.0×10−3モルである。換言すれば、無水塩化アルミニウムの全量が溶解したとき、濃度が上記範囲となるように使用することが好ましい。 前述のように、無水塩化アルミニウムは水と反応(加水分解)して、水酸化アルミニウムになってしまう。従って、上記無水塩化アルミニウムの量は、反応系内に実質的に反応系内に存在する量である。換言すれば、原料となるクロロプロパンに水が含まれている場合には、当該水と無水塩化アルミニウムが反応し水酸化アルミニウムを生じるとして、当該水の当量(無水塩化アルミニウム1モルに対して水3モル)分だけ無水塩化アルミニウムを多く加え、上記の量となるようにすればよい。より具体的には、実際に使用する無水塩化アルミニウムの量はクロロプロパンに含まれる水の当量分に加えてクロロプロパン1モルに対して、2.0×10−5〜2.0×10−2モルが好ましく、より好ましくは、5.0×10−5〜1.0×10−3モルである。
また反応器内への、クロロプロパン及び無水塩化アルミニウムの供給は、どちらを先に入れても良い。またバッチ反応、連続反応に限らず、最初に所定量を一度に供給してもよいし、反応途中において任意に分割または連続供給してもよい。さらには反応器外でクロロプロパンに無水塩化アルミニウムを溶解させ、この溶液を反応器へと導入してもよい。
第二の態様としては、反応器外で塩化アルミニウムの溶液を調製し、これを反応器内にいれて、前記式(1)で示されるクロロプロパンに塩化アルミニウムを溶解した溶液を調製する方法である。用いる塩化アルミニウム源としては、前述の反応器内で調製する場合と同様、無水塩化アルミニウムを使用することができる。またこの場合の溶媒としては、本発明の反応を阻害せず、塩化アルミニウムを溶解可能な溶媒であれば特に限定されないが、反応完了後の不純物除去等の精製操作を考慮すると、反応基質である前記式(1)で示されるクロロプロパンが好ましい。
他に使用可能な溶媒としては、目的反応完了後の目的物(式(2)で示されるポリクロロプロパン)の収率や回収等を考慮すると、塩化アルミニウムや塩素、或いは炭素−炭素二重結合等と反応しにくく、また目的物と沸点の異なる溶媒が好ましい。具体的には、四塩化炭素、クロロホルムなどのクロロメタンやテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類など各種溶媒が挙げられる。
反応器外での塩化アルミニウムの溶液の他の調製方法としては、溶媒中に金属アルミニウムを加えておき、該溶媒中に塩素及び/又は塩化水素を導入して、金属アルミニウムを塩化アルミニウムへと変換して調製する方法である。使用する溶媒は、上記無水塩化アルミニウムを用いる方法と同様である。なお、当該方法に当たっては、金属アルミニウムの純度等により、不溶性の不純物が生じる場合がある。このような不溶性物質は、調製された塩化アルミニウム溶液をろ過するなどして除去してから反応器内に導入することが好ましい。
上記、反応器外で塩化アルミニウムの溶液を調製する方法に当たっては、塩化アルミニウムの濃度を濃厚に調製しておき、反応器内で前記式(1)で示されるクロロプロパンと混合された状態で、該塩化アルミニウムの濃度が前記範囲になるようにするのが一般的である。
第三の態様としては、反応器内で金属アルミニウムから塩化アルミニウムのクロロプロパン溶液を調製する方法である。この場合の塩素化に際しては、塩素を用いると副反応を生じやすいため、塩化水素を用いることが好ましい。具体的には、反応器内に前記式(1)で示されるクロロプロパンと金属アルミニウムを入れておき、そこへ塩化水素を導入する。この際の塩化水素は乾燥したものを用いることが好ましい。金属アルミニウムの使用量は、該金属アルミニウムの全量が塩化アルミニウムへと変換された際に、塩化アルミニウム濃度が前記範囲に入る量とすればよい。
また上記第一乃至第三の方法を適宜組み合わせて実施してもよい。装置コストや操作の手間、得られる塩化アルミニウム溶液の純度及び濃度管理の容易さの点から、第一の態様が最も好ましい。
塩化アルミニウムの存在下で、前記式(1)で示されるクロロプロパンの脱塩化水素反応が起こる。この反応は温度が高いほど促進される。ここで反応系内に塩素が供給されていない場合、該脱塩化水素した化合物同士の二量化、もしくは更なる反応による副生物へと進む傾向がある。従って、クロロプロパンと無水塩化アルミニウムとを混合した後、塩素を供給開始するまでは、該反応液の温度は、50℃以下の範囲内に保持することが好ましく、より好ましくは40℃以下である。一方、温度が低すぎると無水塩化アルミニウムや金属アルミニウムの溶解が遅くなり、反応系内の塩化アルミニウム濃度が前述した範囲に入りにくい傾向があるため0℃以上が好ましく、さらに好ましくは10℃以上である。
上記第一の態様においては、反応器内に用いる式(1)で示されるクロロプロパン及び無水塩化アルミニウムの全量を導入し、望ましくは該塩化アルミニウムの溶解を確認した後、当該反応器内へ塩素を供給する。第二の態様においては、不溶分をろ過等により除去したものを用いれば、反応器内における溶解の確認を行う必要はない。また、第三の態様においては、金属アルミニウムの全量が溶解するまで塩化水素の導入を行った後、塩素の導入を行うことが好ましい。該塩素としては一般的な工業用塩素を使用することができる。
なお、前記式(1)で示されるクロロプロパンの濃度が高く、かつ前記式(3)で示されるクロロプロペンの濃度が低い状態で塩素の導入を行うと、該クロロプロパンの脱塩化水素化反応に加えて、競争反応的に塩素置換反応が起こる。
例えば、原料が1,1,1,3−テトラクロロプロパンの場合、反応系内における1,1,3−トリクロロプロペン(脱塩化水素の生成物)の濃度が低く、加えて脱塩化水素反応の速度も遅い状態(例えば、塩化アルミニウム濃度が低い場合など)で、反応系への塩素供給量が多いと、反応系内の塩素の濃度が高くなる。その結果、塩素置換反応による1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンの生成が起こりやすくなる。
一方で、反応系内における前記式(3)で示されるクロロプロペンの濃度が高くなりすぎると、前述した通り、該クロロプロペン同士の反応や、クロロプロペンと前記式(2)で示される反応生成物であるクロロプロパンとの反応などの副反応が起こりやすくなる。
したがって、反応系内の塩化アルミニウムの濃度を前記範囲にするとともに、塩素の供給開始のタイミング及び供給速度を適切な範囲にすることによって、より高選択率で本発明の製造方法を実施することができる。具体的には、塩素の供給開始は、脱塩化水素反応による式(3)クロロプロペン(原料が1,1,1,3−テトラクロロプロパンの場合、1,1,3−トリクロロプロペン)の濃度が、好ましくは0.1wt%〜30wt%、より好ましくは0.5wt%〜20wt%になった時点で開始するとよい。クロロプロパンの転化率はガスクロマトグラフィーによる分析、気相部に排出される塩化水素の総量、或いは除熱量が一定の場合には反応液の温度変化などから容易に判断できるため、該転化率及び供給した塩素の量から反応系内における濃度も容易に把握できる。
当該塩素の最終的な供給量は、反応効率を考慮すると、前記式(1)で示されるクロロプロパン1モルに対して0.9モル以上供給することが好ましく、1モル以上供給することがより好ましく、1.1モル以上供給することがさらに好ましい。一方、多すぎても反応に寄与しない無駄な塩素が多くなるため、クロロプロパン1モルに対して2.5モル以下とすることが好ましく、より好ましくは2.0モル以下である。
塩素の供給方式は、初期に一度に供給(反応器内に導入)してもよいが、その場合には前述のとおり副反応を起こしやすいため、一定時間かけて徐々に供給することが好ましい。この供給時間は、反応温度、反応器の大きさ等にもよるが、一般的には0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間程度である。また時間をかけて供給する場合には、連続的に供給してもよいし、間欠的に供給してもよい。
さらに好ましくは、反応系内における前記式(3)で表されるクロロプロペンの占める割合が、好ましくは30wt%以下、より好ましくは20wt%以下、さらに好ましくは10wt%以下を保つように塩素供給速度を調整する。また、反応系内における塩素濃度は、好ましくは10wt%以下、より好ましくは5wt%以下、さらに好ましくは3wt%以下、特に好ましくは1wt%以下を保つように塩素供給速度を調整することが好ましい。
上記の前記式(3)で示されるクロロプロペン及び塩素の反応系内濃度を保つための最適な塩素供給量は各温度により異なるが、反応温度が0〜50℃においては、初期に投入した原料となるクロロプロパン1モルに対し、好ましくは1〜2000ml/分、より好ましくは5〜1000ml/分、さらに好ましくは10〜500ml/分である。さらに反応系内の塩素濃度を上記した範囲とするために、反応進行中に上記の範囲で流量を途中で変化させることも好適である。
例えば、無水塩化アルミニウムは、式(1)で表されるクロロプロパンに溶解するまで時間を要する事から反応初期は塩化アルミニウムの濃度が低く脱塩化水素反応が遅くなる。そのため、初期には塩素供給量は少なく、反応中期は供給量を多くすることが好ましい。一方、反応後期は原料クロロプロパンの割合が減少しているが、その状態で塩素濃度が高いと式(2)で表されるクロロプロパンの塩素置換がさらに進み、不純物が増加するため塩素の供給量を少なくすることが好ましい。これらの事から、塩素供給開始後、原料クロロプロパンが、好ましくは95wt%以下、より好ましくは90wt%以下になった時点で塩素供給量を上げ、目的とする反応が進行し、反応系内の原料クロロプロパンの濃度が30%wt以下、より好ましくは20wt%以下になった時点で、塩素の供給量を少なくする方法が好適に採用できる。
反応器内に塩素を導入する際には、反応器内の気相部へと導入しても良いし、導入管を反応液中へ差し込んでおき、液中へ吹き込む形式で行っても良い。
本発明の形式は、バッチ反応で行ってもよいし、原料となるポリクロロプロパンを連続的に反応器に供給するとともに、生成したポリクロロプロパンを連続的に抜き出す連続反応を行うことも可能である。この場合、無水塩化アルミニウムも取り出されることになるため、反応系内における無水塩化アルミニウム量が前記範囲になうように追加供給することが好ましい。追加供給に際しては、濃厚な無水塩化アルミニウムのクロロプロパン溶液[式(1)又は式(2)のいずれでも良い]を別途調製しておき、これを加える方式や原料となるクロロプロパンと固体の無水塩化アルミニウムを別個で供給する方式などがあるが、後者の別個に供給する方式が余計な不純物を生ぜず好ましい。
塩素を供給中の温度も、前述したのと同様の理由により、0〜50℃の範囲内に保持することが好ましく、より好ましくは0〜40℃であり、さらに好ましくは10〜40℃である。なお、本発明の製造方法で起こる反応のうち、塩素付加反応は発熱反応であり、反応全体として発熱反応となるため、塩素導入開始後は、一般的には、上記温度範囲にするために反応系の冷却が必要である。該冷却(反応系の温度調整)方法は化学工学的に公知の方法が特に制限なく採用できる。
反応をバッチ式で行う場合、塩素の全量を反応器内に導入完了した後も、上記温度で0.1〜2時間程度保持することが好ましい。
反応完了後には、目的物である式(2)で示されるクロロプロパンは、必要に応じ公知の方法で精製することができる。但し、目的物である式(2)で示されるクロロプロパンは塩化アルミニウムの存在下、高温下では更に脱塩化水素反応を生じ得る。そこで高温を要する精製(例えば蒸留)を行う際には、無水塩化アルミニウムを除去してから行うこと、もしくは無水塩化アルミニウムの脱塩化水素に対する活性を失わさせることが好ましい。当該無水塩化アルミニウムの除去方法としては、少量の水を添加する方法、湿潤したガス(例えば水蒸気や、水蒸気を含む窒素等の不活性ガス)でバブリングする方法、吸着材で除去する方法等が挙げられる。無水塩化アルミニウムを失活させる方法としては、反応後の液を放置することや他の成分を加え、脱塩化水素触媒として働かないようにすればよい。
蒸留によって精製する場合には、上記無水塩化アルミニウムの除去や失活に加え、更に安定剤を添加した後に蒸留することが好ましい。該安定剤としては、各種フェノール類、例えば、アルコキシ基で置換されたフェノール類やアリル基で置換されたフェノール類が挙げられる。アリル基で置換されたフェノール類を具体的に例示すると、o−アリルフェノール、m−アリルフェノール、p−アリルフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール(オイゲノール)、2−メトキシ−4−(1−プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)等が挙げられる。これらアリル置換フェノールは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
また、未反応の塩素は回収して、再度、本反応の原料塩素として使用することも可能であるし、精製して、他の反応の反応原料とすることも可能である。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお反応装置としては、図1に模式図を示す装置を用い、反応液中へ塩素ガスが吹き込まれようにすると共に、未反応のまま気相へ出てきたガス及び発生する塩化水素は、反応容器外へ排出されるようにして実験を行った。
なお原料として用いた1,1,1,3−テトラクロロプロパンは、四塩化炭素とエチレンから鉄−リン酸エステル系触媒により製造したものを、蒸留により精製したものを用いた。この1,1,1,3−テトラクロロプロパンの含水率は20ppm未満であった。
実施例1
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.10g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムの少なくとも一部が溶けたのを確認した後、液温を20℃に保ったまま、塩素を120ml/minで流入させた。4時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)にて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率92%だった(収率92%)。
実施例2
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.10g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、液温を0℃に設定し塩素を60ml/minで流入させた。10時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率97%だった(収率97%)。なお、反応途中である8時間経過時点での反応液をGCにて分析した結果は1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率95%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率97%だった(収率92%)
実施例3
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.10g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、液温を40℃に設定し塩素を120ml/minで流入させた。4時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率83%だった(収率83%)。
実施例4
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.50g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、液温を20℃に保ったまま、塩素を60ml/minで流入させた。7時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率78%だった(収率78%)。
実施例5
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを1.0g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、液温を20℃に保ったまま、塩素を60ml/minで流入させた。7時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率75%だった(収率75%)。
実施例6
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.5g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、液温を20℃に保ったまま、塩素を120ml/minで流入させた。4時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率82%だった(収率82%)。
実施例7
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.10g入れた。液温を20℃に設定し、液が青色となる前(無水塩化アルミニウムが溶解する前)に、塩素を120ml/minで流入させた(液温は20℃に保ったままである)。5時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率84%だった(収率84%)。
実験例8
1000ml4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを910g入れた。無水塩化アルミニウムを0.18g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した。この時、反応溶液中の1,1,3−トリクロロプロパンの濃度は約1.0wt%であった。塩素を500ml/minで20分間流入させた。この導入後の反応液中の各成分の濃度は1,1,3−トリクロロプロパンが約3%、1,1,1,3−テトラクロロプロパンが90%、塩素が0.17%であった。続いて塩素を1000ml/minで80分間流入させた。1,1,3−トリクロロプロパンが0.5wt%、1,1,1,3−テトラクロロプロパンが25wt%、塩素が0.38wt%であった。続いて塩素を500ml/minで30分間流入させた。この導入後の反応液中の各成分の濃度は1,1,3−トリクロロプロパンが0.1wt%以下、1,1,1,3−テトラクロロプロパンがwt12%、塩素が0.31wt%であった。続いて塩素を250ml/minで40分間流入させた。この導入後の反応液中の各成分の濃度は1,1,3−トリクロロプロパンが0.1%以下、1,1,1,3−テトラクロロプロパンが5%、塩素が0.58%であった。続いて塩素を125ml/min40分間流入させた。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率99%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率96%だった。
実施例9
1000ml4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを910g入れた。液温を30℃に設定し、無水塩化アルミニウムを0.18g入れた。20分攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した。この時、反応溶液中の1,1,3−トリクロロプロパンの濃度は約0.5wt%あった。塩素を500ml/minで20分間流入させ、その後塩素を1000ml/minで80分間流入させ、その後塩素を500ml/minで30分間流入させ、その後、塩素を250ml/min40分間流入させた。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率99%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率93%だった。
実施例10
1000ml4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを910g入れた。液温を40℃に設定し、無水塩化アルミニウムを0.18g入れた。10分攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した。この時、反応溶液中の1,1,3−トリクロロプロパンの濃度は約3.7wt%あった。塩素を500ml/minで20分間流入させ、その後塩素を1000ml/minで100分間流入させ、その後塩素を500ml/min20分間流入させ、その後塩素を250ml/min20分間流入させた。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率90%だった。
実施例11
1000ml4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを910g入れた。液温を60℃に設定し、無水塩化アルミニウムを0.18g入れた。5分攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した。この時、反応溶液中の1,1,3−トリクロロプロパンの濃度は5wt%あった。塩素を1000ml/minで10分間流入させ、その後塩素を2500ml/minで30分間流入させ、その後塩素を1500ml/minで10分間流入させ、その後塩素を1000ml/minで40分間流入させ、その後塩素を500ml/minで20分流入させた。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率82%だった。
実施例12
精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパン300gを水200gと混合し、分液ロートを用い、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを取り出した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの水分は300ppmだった。
200mlの4つ口ナスフラスコにこの水分を300ppmを含む1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた(全水分量3.0mmol)。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.20g(1.5mmol)入れた。この量であれば、水分の全てが塩化アルミニウムと反応し水酸化アルミニウムになったとしても、0.5mmol相当の塩化アルミニウムが反応液中に存在することになると計算される。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、液温を20℃に保ったまま、塩素を120ml/minで流入させた。4時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率93%だった(収率93%)。
比較例1
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。無水塩化第二鉄を0.10g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が黄色になり、塩化鉄が溶けたのを確認した後、液温を20℃に設定し塩素を120ml/minで流入させた。4時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率3%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率22%だった。(収率0.7%)
比較例2
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。無水塩化第二鉄を0.10g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が黄色になり、塩化鉄が溶けたのを確認した後、液温を65℃に設定し塩素を80ml/minで流入させた。6時間後、塩素の流入を止め、窒素を流通させて、塩素を追い出した。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率100%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンへの選択率65%だった。(収率65%)
比較例3
精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパン300gを水200gと混合し、分液ロートを用い、1,1,1,3−テトラクロロプロパンを取り出した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの水分は300ppmだった。200mlの4つ口ナスフラスコに水分は300ppmを含む1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた(全水分量3.0mmol)。そこへ更に無水塩化アルミニウムを0.08g(0.6mmol)入れた。液温を20℃に設定し、17時間攪拌した。反応液をGCにて、分析した。1,1,1,3−テトラクロロプロパンの1,1,3−トリクロロプロペンへの転化率0%だった。これは、塩化アルミニウムが、1,1,1,3−テトラクロロプロパン中の水と反応して全て水酸化アルミニウムに変化してしまい、反応系中に実質的に塩化アルミニウムが存在しなくなったためであると考えられる。
参考例1
200mlの4つ口ナスフラスコに精製した純度99.5%の1,1,1,3−テトラクロロプロパンを182g入れた。無水塩化アルミニウムを0.10g入れた。液温を20℃に設定し、1時間攪拌した。液が青色になり、塩化アルミニウムが溶けたのを確認した後、更に5時間反応させた。窒素を流通させて、塩化水素を追い出した。反応液をGCにて、分析した。1時間で1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率13%、3時間で転化率20%、5時間で21%だった。

Claims (5)

  1. 下記式(1)
    CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (1)
    (上記式中、mは1又は2、nは0〜3の整数)
    で示されるクロロプロパンを、下記式(2)
    CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
    (上記式中、m及びnは式(1)と同一の整数)
    で示されるクロロプロパンへと変換するポリクロロプロパンの製造方法であって、前記式(1)で示されるクロロプロパンと無水塩化アルミニウムとを反応器内に入れておき、該反応器中へ塩素を導入することによって、上記変換を行わせることを特徴とするポリクロロプロパンの製造方法。
  2. 反応器中への塩素の導入を、塩化アルミニウムが溶解した後に開始する請求項1記載のポリクロロプロパンの製造方法。
  3. 下記式(1)
    CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (1)
    (上記式中、mは1又は2、nは0〜3の整数)
    で示されるクロロプロパンを、下記式(2)
    CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
    (上記式中、m及びnは式(1)と同一の整数)
    で示されるクロロプロパンへと変換するポリクロロプロパンの製造方法であって、前記式(1)で示されるクロロプロパンに塩化アルミニウムを溶解させた溶液を反応器内に入れておき、該反応器中へ塩素を導入することによって、上記変換を行わせることを特徴とするポリクロロプロパンの製造方法。
  4. 前記式(1)で示されるクロロプロパンに塩化アルミニウムを溶解させた溶液の調製を、反応器外で前記式(1)で示されるクロロプロパンに無水塩化アルミニウムを溶解させた溶液をつくり、これと、前記式(1)で示されるクロロプロパンとを反応器内に導入、混合することにより行う請求項3記載の製造方法。
  5. 前記式(1)で示されるクロロプロパンに塩化アルミニウムを溶解させた溶液の調製を、反応器内に該クロロプロパン及び金属アルミニウムを導入しておき、該クロロプロパン中に塩化水素を導入して、金属アルミニウムを塩化アルミニウムに変換することによって行う請求項3記載のポリクロロプロパンの製造方法。
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