液晶パネルやプリント配線板などの製造過程においては、シート状のフィルムや基板などといった、定型のワーク同士を貼り合せることが要求される場合がある。また、フレキシブルなフィルムと硬質な基板との貼り合せだけでなく、フレキシブルなフィルム同士、あるいは、硬質な基板同士を貼り合せることが要求されることもある。このため、フィルムや基板などを含む、定型のワーク同士を貼り合せるための装置が求められている。
また、液晶パネルやプリント配線板などの分野においては、ワークとワークとの間に埃などの異物が入り込むと、不良品となるおそれがある。このため、ワーク同士を貼り合わせるための装置においては、ワークの貼り付け面に埃などを付着させないようにすることが重要であり、ワーク同士を密着した状態で貼り合せることが要求される。
本発明の一態様は、ワーク同士を貼り合わせるための装置、すなわち、第1のワークと第2のワークとを貼り合わせるための装置である。この装置は、第1のワークを吸引支持するための第1の支持面を備えた第1の支持手段と、第1のワークと第2のワークとを微小な間隔、例えば、数mmから1cm程度の間隔を開けて対峙した状態で、第2のワークの一方の端部を除いた部分を吸引支持するための第2の支持面を備えた第2の支持手段と、第2のワークの一方の端部を、第1のワークとは反対の側から第1のワークに対して押圧するためのローラと、第1の支持手段と第2の支持手段との間隔を保った状態で、第1の支持手段の位置を、第2の支持手段およびローラの位置に対して相対的に移動させる移動手段とを有する。この装置は、ローラにより、第2のワークの一方の端部を第1のワークの一方の端部に押圧し、第2のワークを第1のワークに押圧した状態で、移動手段により、ローラの位置を、第1の支持手段に支持された第1のワークの他方の端部に相対的に移動させることにより、第1のワークに第2のワークを貼り付ける。
この装置によれば、第1および第2の支持手段により、貼り合わされる前の第1および第2のワークを、貼り合わされる領域に機器が接触しないようにしながら、微小な間隔を開けて対峙させた状態で保持できる。一方、これらのワークの貼り合わされる領域は、ローラにより、貼り合わされる面とは反対側から、第2のワークの一方の端部を始点として、第1のワークに押圧することができる。そして、ローラにより、第2のワークを第1のワークに押圧した状態で、移動手段により、第2の支持手段およびローラの位置を第1のワークの他方の端部に相対的に移動させることにより、第2のワークが可撓性の場合は、第2のワークは第2の支持面を滑りながら第2の支持手段から外れてローラにより第1のワークに押し付けられ、第1のワークと密着する。この結果、第1のワークと第2のワークとは、それらの間に空気が入らないようにしながら、貼り付けられる。
したがって、この装置によれば、ロール状に巻かれたものではない、定型あるいはシート状のワーク(ワークピース)同士を貼り合せることができる。すなわち、シート状のフィルム同士を貼り合せたり、基板にシート状のフィルムを貼り付けたりすることができる。
この装置において、比較的硬質なワーク同士、例えば、基板同士を貼り合せる場合には、装置は、ローラにより第2のワークの一方の端部を第1のワークの一方の端部に押圧するときに、第2のワークの他方の端部に接触して第2のワークの他方の端部と第1のワークの他方の端部との間隔を維持するスペーサを備えている。このスペーサは、移動手段により、第1の支持手段とともに、第2の支持手段に対して相対的に移動し、貼り合せるための装置は、スペーサを、第1の支持面に対して第2の支持手段の側に突き出た第1の状態と、第1の支持面に対して突き出ていない第2の状態とに動かすためのスペーサ駆動手段をさらに有する。
第2のワークがフィルムのような可撓性を有するワークである場合、ローラが第2のワークの一方の端部を第1のワークの一方の端部に押圧するとき、第2のワークの一方の端部が撓んで一部が第2の支持手段から外れ、第2のワークの一方の端部を除いた殆どの部分は第2の支持手段に吸引支持されたまま保持される。そして、第2のワークはローラおよび第2の支持手段の移動とともに第2の支持面を滑りながら外れて第1のワークに貼り合わされる。したがって、ローラの位置を第1のワークの他方の端部に相対的に移動させることにより、第1のワークと第2のワークとの間に空気が入らないようにしながら、第1のワークに第2のワークを貼り付けることができる。
第2のワークが基板のような比較的硬質のワークである場合、ローラが第2のワークの一方の端部を第1のワークの一方の端部に押圧すると、それにより第2のワークが第2の支持面から離れ、第2のワークと第1のワークが貼り合わされてしまう可能性がある。そのような場合でも、貼り合わされる面同士はクリーンな状態に保たれ、その後、ローラで一方の端から他方の端に向かって押圧することで、これらのワークの間に入った空気を押し出すことが可能である。しかしながら、ローラにより、ワーク同士の間に隙間を保ちながら、一方の端部から他方の端部を徐々に(順々に)押圧することで、第1のワークと第2のワークとの間に空気が入った状態になることを防止する効果は得られにくい。
上述のようなスペーサを設けておけば、ローラが第2のワークの一方の端部を第1のワークの一方の端部に押圧しても、第2のワークの他方の端部と第1のワークの他方の端部との間隔は維持される。したがって、ローラの位置を第1のワークの他方の端部に相対的に移動させることにより、第1のワークと第2のワークとの間に空気が入らないようにしながら、第1のワークに第2のワークを貼り付けることができる。
また、上述のような場合、第2のワークは、第2のワークの他方の端部以外の領域が、第1のワークとの貼り合せ領域となる。スペーサは、第1のワークとの貼り合せ領域以外の領域である、第2のワークの他方の端部と接触するため、第1のワークと第2のワークとが貼り付けられる領域には触れない。したがって、第1のワークと第2のワークとの貼り合せ領域に、埃などの異物が付着し難い。
さらに、上述のような場合、スペーサ駆動手段は、移動手段の動作と連動して、スペーサを上記第1の状態から上記第2の状態に動かすことが好ましい。このようにすることにより、ローラの位置が第1のワークの一方の端部から他方の端部に相対的に移動するのに伴い、第2のワークの他方の端部が第1のワークの他方の端部に近づく。したがって、第1のワークと第2のワークとの間の空気を押し出しながら、第1のワークに第2のワークを貼り付けることができる。しかも、ローラの位置が第1のワークの一方の端部から他方の端部に相対的に移動するのに伴い、第2のワークの他方の端部が第1のワークの他方の端部に近づくため、ローラが第2のワークを押圧しても、第2のワークが歪み難い。
また、上述のような場合、スペーサとしては、例えば、ピンタイプのものを用いることができる。ピンタイプのスペーサを用いることにより、スペーサと第2のワークとの接触面積を小さくすることができる。スペーサと第2のワークとの接触面積が小さいほど、第2のワークに埃などの異物が付着し難いため、好ましい。
スペーサにより第2のワークの他方の端部を支持して、第2のワークの他方の端部と第1のワークの他方の端部との間隔を維持する場合、例えば、第2のワークの他方の端部が第1のワークの他方の端部から若干張り出すように、第1のワークと第2のワークとを対峙させ、これらを貼り合せるようにするとよい。このようにすることにより、第1のワークの他方の端部から張り出した第2のワークの他方の端部(非貼り合せ領域)にスペーサを接触させることができる。
したがって、この装置では、第2の支持手段のローラとは反対側の端に、第1の支持手段のローラとは反対側の端よりも張り出す張出部を備えておき、スペーサが、上記第1の状態において、張出部と対峙するようにしておくことが好ましい。このようにすることにより、第2のワークの他方の端部が第1のワークの他方の端部から張り出すように、第1のワークと第2のワークとを対峙させることができる。スペーサは、第1のワークの他方の端部から張り出した第2のワークの他方の端部(非貼り合せ領域)に接触して、第2のワークの他方の端部と第1のワークの他方の端部との間隔を維持する。すなわち、スペーサは、第1のワークと第2のワークとが貼り付けられる領域には触れない。したがって、第1のワークと第2のワークの貼り合せ領域に、埃などの異物が付着し難い。
また、この装置において、第1の支持手段は、第1の支持面を形成する多孔性の弾性部材(エラストマー)を含むことが好ましい。弾性部材としては、バキュームポンプなどによって第1の支持手段に第1のワークが吸引支持されるように、通気性の弾性部材が用いられる。したがって、弾性部材は、例えば、非通気性の弾性部材に複数の孔をあけたものであってもよく、また、発泡性の弾性部材のようなものであってもよい。
このようにすることにより、ローラで第2のワークを第1のワークに貼り付けるとき、すなわち、ローラにより、第2のワークを第1のワークに押圧した状態で、移動手段により、ローラの位置を第1のワークの他方の端部に相対的に移動させたときに、多孔性の弾性部材が変形して、第1のワークおよび/または第2のワークに歪みが発生するのを未然に防止する。
この構成は、比較的硬質なワーク同士、例えば、基板同士を貼り付ける場合など、第2のワークが比較的硬質である場合に好適であり、ローラにより第2のワークを押圧しながら、ローラの位置を第1のワークの一方の端部から他方の端部に相対的に移動させても、双方のワークに歪みが発生し難い。したがって、貼り合せする双方のワークの硬度が高い場合であっても、ワークに負荷を与えずに、ワークを損傷させることなく、ワーク同士を精度良く、また、空気やゴミ、塵などが挟まれないようにしながら貼り合せできる。
また、第1のワークおよび第2のワークは、それぞれ、第1の支持面および第2の支持面に支持される第1の面とは反対側の第2の面、すなわち、貼り合せ面に、埃などから表面を保護する保護フィルムが貼り付けられていることがある。このため、第1のワークと第2のワークとの貼り合せの直前に、第1および第2のワークの第2の面から保護フィルムを剥がすことが要求される場合がある。
したがって、本発明の他の態様の1つの装置では、第1の支持面に吸引支持された第1のワークの第2の面から保護フィルムを剥がす第1のヘッドと、第2の支持面に吸引支持された第2のワークの第2の面から保護フィルムを剥がす第2のヘッドとをさらに有する。このようにすることにより、第1のワークと第2のワークとの貼り合せの直前に、第1および第2のワークから保護フィルムを剥がすことができる。
上述のように、第1のワークと第2のワークとの貼り合せの直前に、第1および第2のワークの第2の面から保護フィルムを剥がす場合、ワークの第1の面は、そのほぼ全域が支持手段により支持されていることが好ましい。
したがって、この装置においては、第2のワークの一方の端部を吸引支持するための第3の支持面を備えた第3の支持手段と、第3の支持手段を、第3の支持面が第2の支持面とともに第2のワークを吸引支持する第1の位置から、第2のワークの一方の端部から第3の支持手段が離れた第2の位置へ動かす手段とをさらに有する。
第1のワークに第2のワークを貼り合せるまでの間、第3の支持手段を上記第1の位置に置くことにより、第2のワークの一方の端部を第3の支持手段により支持することができる。したがって、第2のワークの第1の面のほぼ全域を第2の支持手段および第3の支持手段により支持しながら、第2のワークの第2の面から保護フィルムを剥がすことができる。また、第1のワークと第2のワークとの貼り合せを開始するときには、第3の支持手段を上記第2の位置に移動(退避)させることにより、ローラにより第2のワークの一方の端部を第1のワークの一方の端部に押圧するスペースを確保することができる。
さらに、第1のワークと第2のワークとの貼り合せの直前に、第1および第2のワークの第2の面から保護フィルムを剥がす場合、第2の支持手段および/または第1の支持手段を、保護フィルムを剥がす位置から、第2のワークの第2の面と第1のワークの第2の面とが対峙する位置へ回転させる手段をさらに有することが好ましい。
第2の支持手段および/または第1の支持手段が、第2のワークの第2の面と第1のワークの第2の面とが対峙する位置を向いている場合、第2のワークおよび/または第1のワークから保護フィルムが剥がし難い、あるいは、剥がす領域が確保し難い場合がある。回転させる手段を設けることにより、第1および第2のワークの第2の面から保護フィルムを、剥がし易い位置で剥がすことができる。
例えば、第1および第2のワークの双方が第2の面が上方を向いている状態において、第1および第2のワークから保護フィルムを剥がし、その後、回転させる手段により、第2の支持手段および/または第1の支持手段を、第2のワークの第2の面と第1のワークの第2の面とが対峙する位置へ回転させ、第1のワークと第2のワークとを貼り合せることができる。
この場合、第1の支持手段は、第1のワークを、第2の面を上向きにして支持し、回転させる手段は、第2の支持手段を回転し、第2のワークの第2の面が上向きになる位置から、第2の面が下向きになる位置へ動かすことが好ましい。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。第1の実施形態では、可撓性を有するワーク(フレキシブルなフィルム)同士またはフレキシブルなフィルムを硬質の基板に貼り合わせるための装置(以下、フィルム貼り合せ装置という)を例にとって説明する。図1ないし図8は、本発明の第1の実施形態にかかる装置により、第1のワークと第2のワークとを貼り合わせる過程を示している。
本例のフィルム貼り合せ装置1aは、可撓性を有する定型の第1のワーク(以下、第1のフィルムという)11と、可撓性を有する定型の第2のワーク(以下、第2のフィルム)12とを貼り合せるための装置である。なお、第1のワーク11は、硬質、例えば、ガラス製の基板であっても良い。本例では、第1のフィルム11と第2のフィルム12とは略同じ大きさである。第1および第2のフィルム11および12は、それぞれ、一方の面(第1の面)11aおよび12aがフィルム貼り合せ装置1aに支持される被支持面となり、他方の面(第2の面)11bおよび12bが貼り合せ面となる。また、第1のフィルム11と第2のフィルム12とを貼り合せる前に、第1のフィルム11の貼り合せ面11bと、第2のフィルム12の貼り合せ面12bに埃などの異物が付かないように、第1のフィルム11の貼り合せ面(第2の面)11bおよび第2のフィルム12の貼り合せ面(第2の面)12bには、それぞれ、保護フィルム13および14が貼り付けられている。
図1および図2に示すように、このフィルム貼り合せ装置1aは、第1のフィルム11を吸引支持するための第1の支持面21aを備えた第1の支持手段(第1のステージ)21と、第2のフィルム12の一方の端部12cを除いた部分を吸引支持するための第2の支持面22aを備えた第2の支持手段(第2のステージ)22と、第2のフィルム12の一方の端部12cを吸引支持するための第3の支持面23aを備えた第3の支持手段(第3のステージ)23とを備えている。さらに、このフィルム貼り合せ装置1aは、第1のステージ21を支持するとともに、第1のステージ21を水平方向(図面の左右)に移動させる移動装置(移動用コンベア)30と、第2のステージ22を支持するとともに、第2の支持面22aが上下を向くように回転させる回転装置40と、第3のステージ23を支持するとともに、第3のステージ23を水平方向に移動させるエアシリンダ50とを備えている。また、このフィルム貼り合せ装置1aは、第2のフィルム12を第1のフィルム11に対して押圧するためのローラ60と、このローラ60を、第2のフィルム12に向けて、ほぼ垂直であるが若干斜め下方に突没させるローラ用エアシリンダ61と、エアシリンダ50とローラ用エアシリンダ61とを支持するために鉛直方向に延びた支柱62とを備えている。さらに、この貼り合せ装置1aは、第1の支持面21aに吸引支持された第1のフィルム11の第2の面11bから保護フィルム13を剥がす第1のヘッド71と、第2の支持面22aおよび第3の支持面23aに吸引支持された第2のフィルム12の第2の面12bから保護フィルム14を剥がす第2のヘッド72とを有している。
第1の支持手段である第1のステージ(テーブル)21は、第1の支持面21aが第1のフィルム11の第1の面11aの全域に接し、第1のフィルム11を吸引支持する。この第1のステージ21は、第1の支持面21aに複数の吸引口21bを備えている。不図示のバキュームポンプなどの空気を吸引するための機構を駆動させ、吸引口21bから空気を吸込むことにより、第1の支持面21a近傍を大気圧に対して負圧にして、第1のフィルム11を吸着支持する。本例では、第1のステージ21は、第1のフィルム11を、第2の面11bを上向きにして支持する。
第2の支持手段である第2のステージ(テーブル)22は、第2の支持面22aが第2のフィルム12の一方の端部12cを除いた部分の第1の面12aに接し、第2のフィルム12の一方の端部12cを除いた部分を吸引支持する。この第2のステージ22も、第2の支持面22aに複数の吸引口22bを備えている。したがって、上記のバキュームポンプなどの空気を吸引するための機構を駆動させ、吸引口22bから空気を吸込むことにより、第2の支持面22aに第2のフィルム12のうちの一方の端部12cを除いた部分を吸着支持できる。
第3の支持手段である第3のステージ(テーブル)23は、第3の支持面23aが第2のフィルム12の一方の端部12cの第1の面12aに接し、第2のフィルム12の一方の端部12cを吸引支持する。この第3のステージ23は、第3の支持面23aに、複数の吸引口23bを備えており、上記のバキュームポンプなどの空気を吸引するための機構を駆動させ、吸引口23bから空気を吸込むことにより、第3の支持面23aに第2のフィルム12のうちの一方の端部12cを吸着支持する。
第1のステージ21を移動させる移動装置30は、レール31に沿って、第1のステージ21を、第2のステージ22と対峙しない位置(図面右側)から第2のステージ22と対峙する位置(図面左側)へ、水平な第1の方向(図において左右方向)に移動させる。すなわち、この移動装置30は、第1のステージ21と第2のステージ22との上下方向における間隔を保った状態で、第1のステージ21の位置を、第2のステージ22およびローラ60の位置に対して移動させる。
第2のステージ22を回転させる回転装置40は、モータ41を備えており、このモータ41の軸41aが第2のステージ22の図面左側の端、すなわち、第2のステージ22に対して第3のステージ23とは反対の側の端(ローラ60とは反対側の端)に接続されている。モータ41は、鉛直方向に沿って設けられた支柱42に固定されている。この回転装置40は、モータ41を駆動させることにより、第2のステージ22を回転させ、第2の支持面22aを上向きの保護フィルム14を剥がす位置から、下向きの第2のフィルム12の第2の面12bと第1のフィルム11の第2の面11bとが間隔を開けて上下方向において対峙する位置に移動させる。すなわち、本例では、この回転装置40は、第2のステージ22を回転させ、第2のフィルム12を、第2の面12bが上向きになる位置から、第2の面12bが下向きになる位置に移動させる。
第3のステージ23を移動させるエアシリンダ50は、第3の支持面23aが第2の支持面22aとともに第2のフィルム12を吸引支持する第1の位置から、第2のフィルム12の一方の端部12cから第3のステージ23が離れた第2の位置へ、第3のステージ23を水平な第1の方向(図において左右方向)に移動させる。エアシリンダ50は、シリンダ本体51が支柱62に略水平に固定されており、シリンダ本体51から突没するロッド52の先端に第3のステージ23が接続されている。
第2のフィルム12を第1のフィルム11に対して押圧するためのローラ60は、第2のフィルム12の一方の端部12cを、第1のフィルム11とは反対の側から第1のフィルム11に対して押圧する。ローラ60は、ローラ用エアシリンダ61により、第2のフィルム12の一方の端部12cを押圧する位置から、第2のフィルム12の一方の端部12cから離れた位置に移動する。ローラ用エアシリンダ61は、鉛直方向に沿って設けられた支柱62に固定されている。
第1の支持面21aに吸引支持された第1のフィルム11から保護フィルム13を剥がす第1のヘッド71は、第1のフィルム11と保護フィルム13との粘着力よりも保護フィルム13との粘着力の高い粘着剤が表面に塗布された、ロール状に巻かれてなる粘着テープ71aを備えている。第1のヘッド71は、粘着テープ71aにより第1のフィルム11の保護フィルム13のコーナー部、具体的には、装置1aの中心側の2つのコーナー部のうちの一方のコーナー部においてフィルム13を粘着保持した状態で、この第1のヘッド71を第1のフィルム11の対角線の方向(装置1aの外側)に移動させることにより、第1のフィルム11から保護フィルム13を剥離する。
同様に、第2の支持面22aに吸引支持された第2のフィルム12から保護フィルム14を剥がす第2のヘッド72は、第2のフィルム12と保護フィルム14との粘着力よりも保護フィルム14との粘着力の高い粘着剤が表面に塗布された、ロール状に巻かれてなる粘着テープ72aを備えている。第2のヘッド72は、粘着テープ72aにより第2のフィルム12の保護フィルム14のコーナー部、具体的には、装置1aの中心側の2つのコーナー部のうちの一方のコーナー部においてフィルム14を粘着保持した状態で、この第2のヘッド72を第2のフィルム12の対角線の方向(装置1aの外側)に移動させることにより、第2のフィルム12から保護フィルム14を剥離する。
このフィルム貼り合せ装置1aは、第1および第2のフィルム11および12から保護フィルム13および14をそれぞれ剥がした後、第2のフィルム12を反転し、第2のフィルム12の一方の端部12cを第1のフィルム11の一方の端部11cに押圧する。さらに、第2のフィルム12を第1のフィルム11に押圧した状態で、移動装置30により、第2のステージ22およびローラ60の位置を、第1のステージ21に支持された第1のフィルム11の他方の端部11dに相対的に移動させることにより、第1のフィルム11に第2のフィルム12を貼り付ける。本例の装置1aでは、第1のステージ21を移動装置30により移動させる。
詳しくは、図1ないし図8に、このフィルム貼り合せ装置1aを用いたフィルムの貼り合せの過程を示している。
まず、図1に示すように、移動装置30により、第1のステージ21を第2のステージ22から離れた位置に移動させ、第1のステージ21および第2のステージ22に、第1のフィルム11および第2のフィルム12をそれぞれ搭載する。フィルム11および12のハンドリングは、不図示のフィルムローダーにより自動的に行なわれる。
次に、図2に示すように、第1のステージ21の第1の支持面21aに第1のフィルム11を吸引支持させる。また、回転装置40により、第2のステージ22を、第2の支持面22aが上向きになる位置にセットする。さらに、エアシリンダ50により、第3のステージ23を第1の位置(第3の支持面23aが第2の支持面22aとともに第2のフィルム12を吸引支持する位置)に移動させる。そして、第2のステージ22の第2の支持面22aおよび第3のステージ23の第3の支持面23aに第2のフィルム12を吸引支持させる。
その後、第1のヘッド71により、第1の支持面21aに吸引支持された第1のフィルム11の第2の面11bから保護フィルム13を剥がす。それとともに、第2のヘッド72により、第2の支持面22aおよび第3の支持面23aに吸引支持された第2のフィルム12の第2の面12bから保護フィルム14を剥がす。
次に、図3に示すように、第3のステージ23の吸引を停止し、エアシリンダ50により、第3のステージ23を第2の位置(第2のフィルム12の一方の端部12cから第3のステージ23が離れた位置)に移動し、第2のステージ22から分離する。これにより、第2のフィルム12の一方の端部12cから第3のステージ23が離れ、第2のフィルム12は第2のステージ22のみにより支持される。次に、回転装置40により、第2のステージ22を、フィルム12を支持した第2の支持面22aが下向きになるように回転する。これにより、第2のフィルム12の第2の面12bが下向きになる。さらに、移動装置30により、第1のステージ21を、右から左に移動させる。
図4に示すように、これらの動作により、第1のステージ21は、第2のステージ22と対峙する位置に移動し、第2のフィルム12の第2の面12bと、第1のフィルム11の第2の面11bとが対峙する。
その後、図5に示すように、ローラ60が第2のフィルム12の一方の端部12cと接触するように、ローラ用エアシリンダ61によりローラ60を斜め下方に移動させる。この端部12cは、第3のステージ23を移動させたことにより自由となった第2のフィルム12の端部である。
エアシリンダ61により、さらにローラ60を移動させて第2のフィルム12を第1のフィルム11に押し付けると、図6に示すように、第2のフィルム12の一方の端部12cが撓んで、第1のフィルム11の一方の端部11cに接触する。これにより、ローラ60は、第2のフィルム12の一方の端部12cを上側(第1のフィルム11とは反対の側)から第1のフィルム11に対して押圧し、第2のフィルム12と第1のフィルム11とは、ローラ60と第1のステージ21とにより挟まれた状態、あるいはプレスされた状態になる。
図7に示すように、ローラ60により、第2のフィルム12を第1のフィルム11に押圧したまま、移動装置30により、第1のステージ21の位置を第2のステージ22およびローラ60の位置に対して水平に移動させ、ローラ60が第1のフィルム11の一方の端11cから他方の端11dに相対的に動くようする。すなわち、図7において、ローラ60と第1のステージ21とにより、第2のフィルム12および第1のフィルム11を上下から挟んだ状態で、第1のステージ21を、左から右に移動させる。これにより、ローラ60の位置は、第1のステージ21に支持された第1のフィルム11の一方の端部11cから他方の端部11dに相対的に移動する。
このようにすることにより、ローラ60により第1のフィルム11と第2のフィルム12との間の空気が押し出されながら、第1のフィルム11に第2のフィルム12が貼り付けられていく。最終的には、ローラ60により第2のフィルム12を第1のフィルム11に押圧し、ローラ60とステージ21とによりフィルム11および12を挟んだまま、移動装置30により、第1のステージ21を、図8に示すように、第2のステージ22から離れる位置まで移動させる。第2のステージ22に支持された第2のフィルム12は、第1のフィルム11に貼り付けられ、第1のステージ21とともに移動する。これらの動作により、第1のフィルム11に第2のフィルム12を貼り付けることができる。すなわち、ローラ60により第1のフィルム11に押し付けられた第2のフィルム12は、第1のステージ21の移動とともに、第2のステージ22の支持面22aを滑り、第1のステージ21により水平方向に引っ張られていく。
第2の支持面22aは、第2のフィルム12を吸着支持しており、第2のフィルム12を第2の支持面22aから引き剥がすことは難しい。しかしながら、吸着力あるいは吸引力に対して垂直な方向(せん断方向)にフィルム12を動かす(引っ張る)ことは容易であり、第1のステージ21を移動することにより、第2のステージ22から第2のフィルム12を第1のフィルム11の上に容易に移すことができる。このように、空気の吸込みによりフィルム12を吸着支持する支持面22aを備えた第2のステージ22を用いることにより、第2のステージ22により第2のフィルム12を下に向けて、第2のフィルム12が脱落しないように支持できる。また、第2のフィルム12を第1のフィルム11に押し付けながら貼り付けるときに、第2のフィルム12が支持面22aから脱落することがなく、第1のフィルム11と第2のフィルム12との間に適当な間隔、例えば、数mmから1cm程度の微小な間隔を保持できる。
その一方で、第1のフィルム11の移動に引っ張られて、支持面22aに対して第2のフィルム12が滑り、最終的には第2のフィルム12が第2のステージ22から自動的に外れるようになっている。このため、第1のフィルム11の上に、第2のフィルム12をローラ60の移動により、徐々に貼り付けることができる。したがって、この装置1aにより、第1のフィルム11と第2のフィルム12とをそれらのフィルムの間に空気が入り込まないように、さらには、フィルム11および12同士がスキューなどの傾きや皺などのない状態で、フィルム11および12同士を精度良く貼り付けることができる。
以上のように、このフィルム貼り合せ装置1aによれば、第1のフィルム11と第2のフィルム12との間に空気が入らないようにしながら、第1のフィルム11に第2のフィルム12を貼り付けることができる。また、このフィルム貼り合せ装置1aによれば、第1のワークとして基板を用意し、第2のワークとしてフィルムを用意することにより、同様の方法で、基板にフィルムを貼り付けることもできる。
さらに、このフィルム貼り合せ装置1aによれば、第1の支持面21aに吸引支持された第1のフィルム11の第2の面11bから保護フィルム13を剥がす第1のヘッド71と、第2の支持面22aおよび第3の支持面23aに吸引支持された第2のフィルム12の第2の面12bから保護フィルム14を剥がす第2のヘッド72とをさらに有しているため、保護フィルム13および14の剥離からフィルム11および12同士の貼り合せまでを自動的に行うことができる。
また、このフィルム貼り合せ装置1aによれば、第1のフィルム11と第2のフィルム12とを貼り合せる直前に、第1および第2のフィルム11および12からそれぞれ保護フィルム13および14を剥がすことができる。さらに、保護フィルム13および14を剥がした後、第1のフィルム11と第2のフィルム12とが貼り付けられる直前まで、貼り合せ領域となる第1のフィルム11の面11bおよび第2のフィルム12の面12bには、機器が一切触れない。したがって、第1のフィルム11と第2のフィルム12との間に埃などの異物が入り込み難い。
しかも、このフィルム貼り合せ装置1aによれば、第2のフィルム12の一方の端部12cを吸引支持するための第3の支持面23aを備えた第3のステージ23と、第3のステージ23を、第3の支持面23aが第2の支持面22aとともに第2のフィルム12を吸引支持する第1の位置から、第2のフィルム12の一方の端部12cから第3のステージ23が離れた第2の位置へ動かす手段とを有しているため、第2のフィルム12の第1の面12aのほぼ全域を第2のステージ22および第3のステージ23により支持しながら、第2のフィルム12の第2の面12bから保護フィルム14を剥がすことができる。特に、第2のフィルム12の一方の端部12cは第3のステージ23により支持されているため、保護フィルム14を剥がし始めるときに、第2のヘッド72の粘着テープ72aを第2のフィルム12の一方の端部12cと対応する部分に押し付けて、保護フィルム14の端を粘着テープ72aにより引き剥がし易い。したがって、第2のフィルム12の一方の端部12c側から他方の端部12d側に第2のヘッド72を移動させて、第2のフィルム12から保護フィルム14を剥ぎ取ることができる。
また、第1のフィルム11と第2のフィルム12との貼り合せを開始するときには、第3のステージ23を上記第2の位置に移動させることにより、ローラ60により第2のフィルム12の一方の端部12cを第1のフィルム11の一方の端部11cに押圧するためのスペースを確保することができる。
さらに、このフィルム貼り合せ装置1aは、第2のステージ22を、保護フィルム14を剥がす位置から、第2のフィルム12の第2の面12bと第1のフィルム11の第2の面11bとが対峙する位置へ回転させる回転装置40を備えているため、第2のフィルム12から保護フィルム14を剥がし易い位置(本例では上向き)に移動させて、第2のフィルム12から保護フィルム14を剥がすことができる。
第2の実施形態では、比較的硬質な、ほとんど撓まないワーク(基板)同士を貼り合わせるための装置(以下、基板貼り合せ装置という)を例にとって説明する。図9ないし図15は、本発明の第2の実施形態にかかる装置により、第1のワークと第2のワークとを貼り合わせる過程を示している。
図9に示すように、本例の基板貼り合せ装置は、第1のワークとしての第1の基板81と、第2のワークとしての第2の基板82とを貼り合せるための装置である。第1の基板81は、例えば、ガラス板であり、第2の基板は、例えば、樹脂プレートである。第1および第2の基板81および82は、それぞれ、一方の面(第1の面)81aおよび82aが基板貼り合せ装置に支持される被支持面となり、他方の面(第2の面)81bおよび82bが貼り合せ面となる。また、第1の基板81と第2の基板82とを貼り合せる前に、第1の基板81および第2の基板82の貼り合せる面に埃などの異物が付いて、貼り合せのときの障害にならないように、第1の基板81の第2の面81bおよび第2の基板82の第2の面82bには、それぞれ、保護フィルム83および84が貼り付けられている。また、本例では、図11および図12などに示すように、第2の基板82は、第1の基板81よりも若干大きく、第2の基板82を第1の基板81に貼り付けたときに、その他方の端部82dが、第1の基板81の他方の端部81dから若干はみ出すようにアレンジされている。
図9に戻って、この基板貼り合せ装置1bは、上述したフィルム貼り合せ装置1aと同様の構成の第1のステージ21、第2のステージ22、第3のステージ23、移動装置30、回転装置40、第3のステージ用のエアシリンダ50、ローラ60、ローラ用のエアシリンダ61、支柱62、保護フィルムを剥がすための第1のヘッド71および第2のヘッド72などを備えている。そして、この基板貼り合せ装置1bは、さらに、スペーサ90と、このスペーサ90を動かすためのスペーサ駆動装置100とを有している。これらスペーサ90およびスペーサ駆動装置100は、第1のステージ21に取り付けられている。このため、スペーサ90およびスペーサ駆動装置100は、移動装置30により、第1のステージ21とともにスライドする。
スペーサ90は、ローラ60により、第2の基板82の一方の端部82cを第1の基板81の一方の端部81cに押圧するときに、第2の基板82の他方の端部82dに接触して第2の基板82の他方の端部82dと第1の基板81の他方の端部81dとの間隔を維持するためのものである。本例では、スペーサ90として、上端が第2の基板82の限定された、狭い面積に接して第2の基板82を支持するピンタイプ(針状または棒状に突き出たタイプ)のスペーサを用いている。
スペーサ駆動装置100は、モータ101と、ギア102と、カムリンク103とを備えている。スペーサ90の下端は、カムリンク103の先端と接続されている。したがって、モータ101を動かすことにより、スペーサ90は、ギア102およびカムリンク103を介し、第1の支持面21aに対して第2のステージ22の側に突き出た第1の状態(図12および図13を参照)と、第1の支持面21aに対して突き出ていない第2の状態(図10、図11および図14を参照)との間で移動する。
また、この基板貼り合せ装置1bでは、スペーサ90と対峙した状態で第2の基板82を支持するために、第2のステージ22のローラ60とは反対側の端は、第1のステージ21の端よりも外側に張り出すようにセットされる張出部22cを備えている。そして、スペーサ90は、上記第1の状態において、第2のステージ22の張出部22cとの間で、いったん、挟みこむように第2の基板82の他方の端部82dを支持する。その後、第2のステージ22から第2の基板82が外れる(剥離する)と、スペーサ90は単独で、第2の基板82の他方の端部82dと接触し、支持する。
さらに、この基板貼り合せ装置1bでは、第1のステージ21は、第1の支持面21aを形成する多孔性の弾性部材(エラストマー)110を含んでいる。弾性部材110としては、例えば、複数の孔111が形成された多孔性のゴム板を用いることができる。複数の孔111は、吸引口21bとして機能する。なお、弾性部材110としては、発泡性のゴム板などを用いてもよい。なお、基板貼り合せ装置1bの他の構成は、第1の実施形態で説明したフィルム貼り合せ装置1aと同様であるため、重複する説明は、図面に同符号を付して省略する。
この基板貼り合せ装置は、第1および第2の基板81および82から保護フィルム83および84を剥がした後、第2の基板82の一方の端部82cを第1の基板81の一方の端部81cに押圧し、第2の基板82を第1の基板81に押圧した状態で、移動装置30により、ローラ60の位置を、第1のステージ21に支持された第1の基板81の他方の端部81dに相対的に移動させることにより、第1の基板81に第2の基板82を貼り付ける。
詳しくは、図9ないし図15に、この基板貼り合せ装置1bを用いた基板の貼り合せの過程を示している。
まず、図9に示すように、第1の実施形態と同様にして、第1の基板81の第2の面81bから保護フィルム83を剥がす。それとともに、第2の基板82の第2の面82bから保護フィルム84を剥がす。このとき、スペーサ90は、第1の支持面21aに対して突き出ていない第2の状態である。
次に、図10に示すように、まず、第3のステージ23の吸引を停止し、エアシリンダ50により、第3のステージ23を上記第2の位置に退避させ、第2のステージ22から第3のステージ23を離す。さらに、回転装置40により、第2のステージ22を、第2の基板82を吸着保持した状態で、第2の基板82の第2の面82bが下向きになる位置に移動(回転)させる。また、移動装置30により、第1のステージ21を第2のステージ22と対峙する位置に移動させる(図10において、第1のステージ21を、右から左に移動させる)。
その後、図11に示すように、スペーサ駆動装置100により、スペーサ90を、第1の支持面21aに対して突き出ていない第2の状態から、第1の支持面21aに対して第2のステージ22の側に突き出た第1の状態に移動させる。これにより、スペーサ90は、第2のステージ22により、鉛直方向下を向いて吸着支持された第2の基板82の他方の端部82dに接触し、鉛直方向上向きに支持する。
なお、本例では、第2の基板82の他方の端部82dが第1の基板81の他方の端部81dよりも張り出すように、第1のステージ21および第2のステージ22は位置決めされている。そして、第2の基板82の他方の端部82dを除いた部分が第1の基板81との貼り合せ領域となる。したがって、スペーサ90は、貼り合せ領域には接触しておらず、スペーサ90を上記第1の位置に移動させても、スペーサ90を介して、第1の基板81と第2の基板82の貼り合せ領域に、埃などの異物が付着することは無い。
また、上記の貼り合せ装置1aと同様に、第1のステージ21および第2のステージ22は、第1の基板81の第1の面(裏面)81aおよび第2の基板82の第1の面82aをそれぞれ吸着支持する。したがって、第1の基板81の第2の面(表面)81bと第2の基板82の第2の面82bとを貼り合せるために、これらの面81bおよび82bを、数mmから1cm程度の微小な間隔を開けた状態で対向させて保持し、その後、これらの面81bおよび82bが貼り合わされるまでの間、これらの面81bおよび82bの貼り合せ領域には、装置1bに関する物(部材、アームなど)は接しないようになっている。したがって、これらの基板81および82を貼り合せる際に、装置1bに起因して基板81および82の間に異物が挟み込まれることがないようになっている。
基板81および82同士を向かい合わせた後、ローラ用エアシリンダ61によりローラ60を斜め下方に移動させる。ローラ60を移動させると、図12に示すように、第2の基板82の一方の端部82cは下側に押される。さらにローラ60を移動させると、図13に示すように、第2の基板82の一方の端部82cは、第1のステージ21に支持されている第1の基板81の一方の端部81cに接触する。これにより、ローラ60と第1のステージ21とにより、第1の基板81および第2の基板82は挟まれた状態になり、第2の基板82の一方の端部82cは、上側(第1の基板81とは反対の側)から第1の基板81に対して押圧される。
第2の基板82は、比較的剛性が高く、撓みが少ないため、第2の基板82の一方の端部82cがローラ60により押されると、第2の基板82の全体が第2の支持面22aから剥離し、第2の基板82が第2のステージ22から脱落する可能性がある。このとき、スペーサ90は、第1の支持面21aに対して第2のステージ22の側に突き出た第1の状態にある。このため、第2の基板82の他方の端部82dは、スペーサ90により支持され、第2の基板82の他方の端部82dと第1の基板81の他方の端部81dとの間隔を維持できる。また、第2のステージ22から剥離した第2の基板82は、第1の基板81およびスペーサ90を介して第1のステージ21により支持され、第1のステージ21とともに移動する。したがって、これ以降、第2のステージ22の吸引は、継続していてもよいが停止してもよい。
図14に示すように、ローラ60により、第2の基板82を第1の基板81に押圧したまま、移動装置(コンベア)30により、第1のステージ21と第2のステージ22との間隔を保った状態で、第1のステージ21の位置を、第2のステージ22およびローラ60の位置に対して移動させる。すなわち、図14において、第1のステージ21を、左から右に移動させる。これにより、ローラ60の位置は、第1のステージ21に支持された第1の基板81および第2の基板82の他方の端部81dおよび82dに相対的に移動する。同時に、スペーサ駆動装置100は、移動装置30の移動距離と連動して、スペーサ90を上記第1の状態から上記第2の状態に移動させる。
最終的に、第2の基板82を第1の基板81にローラ60により押圧したまま、移動装置30により、第1のステージ21を図15に示す位置まで移動させる。これにより、第2の基板82が第1の基板81に貼り付けられる。この基板貼り合せ装置1bにおいては、ローラ60の位置が第1の基板81の一方の端部81cから他方の端部81dに相対的に移動するのに伴い、スペーサ90が下がり、第2の基板82の他方の端部82dが第1の基板81の他方の端部81dに近づく。このため、ローラ60が第2の基板82を押圧しても、第2の基板82は歪み難く、さらに、第1の基板81と第2の基板82とはローラ60の移動にともなって徐々に貼り合わされるので、これらの基板81および82の間から空気を抜くことができる。
しかも、第1のステージ21の支持面21aは弾性部材のゴムシート110となっているので、支持面21aは、これらの基板81および82がローラ60により上から押されると凹み、基板81および82が撓んだり曲がったりすることを防止できる。このため、ローラ60により第2の基板82を押圧しながら、ローラ60の位置を第1の基板81の一方の端部81cから他方の端部81dに相対的に移動させても、第2の基板82だけ歪んだり、第2の基板82に応力が集中したりすることなく、硬質の基板81および82同士を貼り合せることができる。
以上のように、この基板貼り合せ装置1bによれば、第1の基板81と第2の基板82との間に空気が入らないようにしながら、硬質の第1の基板81に硬質の第2の基板82を貼り付けることができる。
また、この基板貼り合せ装置1bによれば、第2の支持手段22のローラ60とは反対側の端に、第1の支持手段21のローラ60とは反対側の端よりも張り出す張出部22cを備えている。このため、第2の基板82の他方の端部82dが第1の基板81の他方の端部81dから張り出すように、第1の基板81と第2の基板82とを対峙させることができる。そして、この基板貼り合せ装置1bによれば、スペーサ90が、上記第1の状態において、張出部22cと対峙するようにしている。スペーサ90は、第1の基板81の他方の端部81dから張り出した第2の基板82の他方の端部82dに接触して、第2の基板82の他方の端部82dと第1の基板81の他方の端部81dとの間隔を維持する。貼り合せるときに基板82を支持するスペーサ90は、張出部22cにのみ接し、その張出部22cは、貼り合せ領域から外れた部分(領域)である。したがって、スペーサ90は、第1の基板81と第2の基板82とが貼り付けられる領域には触れない。このように、硬質の基板81および82同士を貼り合せる場合でも、貼り合せる領域に触れる部材あるいは機器はない。このため、この装置1bに起因して、第1の基板81と第2の基板82の貼り合せ領域に、埃などの異物が付着し難い。
さらに、この基板貼り合せ装置1bによれば、スペーサ90として、ピンタイプのスペーサを用いているため、スペーサ90と第2の基板82との接触面積を小さくすることができる。したがって、第2の基板82に埃などの異物がさらに付着し難い。
また、この基板貼り合せ装置1bによれば、スペーサ駆動装置100は、移動装置30の動作と連動して、スペーサ90を上記第1の状態から上記第2の状態に動かす。すなわち、ローラ60の位置が第1の基板81の一方の端部81cから他方の端部81dに相対的に移動するのに伴い、第2の基板82の他方の端部82dが第1の基板81の他方の端部81dに近づく。したがって、ローラ60が第2の基板82を押圧しても、第2の基板82が歪み難い。
しかも、この基板貼り合せ装置1bによれば、第1の支持手段21は、第1の支持面21aを形成する多孔性の弾性部材110を含んでいるため、ローラ60で第2の基板82を第1の基板81に貼り付けるときに、多孔性の弾性部材110が変形して、第1の基板81および/または第2の基板82の歪みを吸収する。したがって、第1の基板81および/または第2の基板82に歪が生じ難い。
なお、本例では、第2の基板82として、第1の基板81よりも大きな基板を用いているが、略同形状の第1の基板81と第2の基板82とを用意し、これらの基板81および82を若干ずらして配置することにより、第2の基板82の他方の端部82dを、第1の基板81の他方の端部81dよりも張り出させるようにしてもよい。したがって、第1の支持手段21と第2の支持手段22は、微小な間隔を開けて対峙可能であれば、若干ずらして配置してもよい。
また、本例では、第2の基板82の他方の端部82dは、第1の基板81の他方の端部81dよりも張り出しているが、第2の基板82の他方の端部82dは、必ずしも、第1の基板81の他方の端部81dよりも張り出していなくてもよい。例えば、第1の支持手段21および第1の基板81に切り欠き部や開口を形成し、この切り欠き部や開口を介して、スペーサ90を突没させてもよい。
さらに、スペーサ90は、ピンタイプに限定されるものではなく、第2の基板82の他方の端部82dに接触して第2の基板82の他方の端部82dと第1の基板81の他方の端部81dとの間隔を維持するものであれば、その形状は任意である。
また、上記第1および第2の実施形態においては、移動装置30により第1の支持手段21を移動させるようにしているが、移動装置(移動手段)30は、第1の支持手段21と第2の支持手段22との間隔を保った状態で、第1の支持手段21の位置を、第2の支持手段22およびローラ60の位置に対して相対的に移動させるものであればよい。すなわち、装置全体として、第1の支持手段21の位置が、第2の支持手段22およびローラ60の位置に対して相対的に移動すれば、移動手段により、第2の支持手段22およびローラ60の位置を移動させてもよい。また、第1の支持手段21、第2の支持手段22、およびローラ60の全てが移動可能であってもよい。
さらに、上記第1および第2の実施形態においては、回転装置40として、第2の支持手段22を回転し、第2のワークの第2の面が上向きになる位置から、第2の面が下向きになる位置へ動かすものを用いたが、回転装置(回転手段)40は、第1のワークおよび/または第2のワークから保護フィルムを剥がし易いように、その位置を移動させるものであり、その動作は実施形態に限定されない。回転手段は、第2の支持手段22および/または第1の支持手段21を、保護フィルムを剥がす位置から、第2のワークの第2の面と第1のワークの第2の面とが対峙する位置へ回転させるものであればよい。なお、回転手段は、省略も可能である。