JP5055978B2 - シールリング及びシール構造 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに相対移動自在に設けられた2部材間の環状隙間をシールするためのシールリング及びシール構造に関するものである。
従来、この種のシールリングは、たとえば、自動車の自動変速機等の油圧装置に用いられている。
以下、図10を参照して、従来技術に係るシールリングについて説明する。
図10は従来技術に係るシールリングの装着状態を示す模式的断面図である。
図示のシールリング100は、軸孔が設けられたハウジング200と、この軸孔に挿入された軸300との間の環状隙間をシールするためのものであり、軸300に設けられた環状溝301に装着されて使用されるものである。
シールリング100は樹脂材料から形成されるもので、軸300に設けられた環状溝301の側壁面をシールするための第1シール部101と、ハウジング200に設けられた軸孔の内周面をシールするための第2シール部102と、を備えている。
そして、密封対象流体側Oから非密封対象流体側Aに向けて、図中矢印P方向に圧力がかかると、シールリング100は非密封対象流体側Aに押圧されるため、第1シール部101は環状溝301の側壁面を押圧し、また、第2シール部102は環状溝301に対向するハウジング200に設けられた軸孔の内周面を押圧し、それぞれの位置でシールする。
このようにして、密封対象流体の非密封対象流体側Aへの漏れを防止していた。
なお、関連する従来例が開示された文献としては、特許文献1がある。
特許第3536602号公報
上記のようなシールリング100においては、特に軸300がアルミニウム合金等の軟質材であるような場合に、シールリング100と軸300との相対回転による、第1シール部101と環状溝301の側壁面との間の摺動によって、特に、環状溝301の側壁面が摩耗してしまっていた。
これは、第1シール部101と環状溝301の側壁面との間には、潤滑油による潤滑膜が形成されにくいためであり、特に、潤滑油中に存在する異物がこれらの間にかみ込まれたり、摩耗粉の蓄積などが生じる場合には摩耗が激しくなっていた。
側壁面が摩耗すると、面荒れや硬質異物の発生により、シールリングにも大きな摩耗が発生してしまう可能性もある。
このように、アルミニウム合金等の軟質材の摩耗に起因して、シール性の低下、コンタミの発生等の問題が生じることが懸念される。
この対策として、シールリング材質の検討や形状の検討が行われてきたが、潤滑油中のコンタミの状況等で、摩耗が生じてしまう場合もあり、シールリングの改良のみで完全な対策を行うのは困難であった。
このため、本出願人は、特許文献1に開示されたシールリングの取り付け構造を提案している。
しかしながら、この場合には、上記問題の対策とはなるが、シールリングの相手部品の構造が複雑となるため、コスト高を招いてしまうことが懸念される。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くことなく、長期にわたり安定したシール性能を維持する品質性に優れたシールリング及びシール構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
同心的に相対回転自在に組付けられる2部材のうち、一方の部材に設けられた環状溝の非密封対象流体側の側壁面と、前記2部材のうち、他方の部材表面とをシールすることによって、前記2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、
シールリング本体の周面のうち、前記環状溝の溝底に対向して配設される側の周面に設けられ、前記溝底に向かって突出した突出部を備え、
前記突出部に対応した凹部が設けられた溝底を有する前記環状溝に装着されることにより、前記一方の部材とシールリング本体との間の相対移動が規制されることを特徴とし、
さらに、前記突出部は、軸方向の幅が前記溝底に向かって徐々に細くなるように設けられ、かつ、周方向の両側の各先端領域の幅が周方向最先端部に向かってそれぞれ徐々に細くなるように設けられていることを特徴とする。
また、同心的に相対回転自在に組付けられる2部材のうち、一方の部材に設けられた環状溝の非密封対象流体側の側壁面と、前記2部材のうち、他方の部材表面とをシールするシールリングを備えたシール構造において、
前記シールリングは、シールリング本体の周面のうち、前記環状溝の溝底に対向して配設される側の周面に設けられ、前記溝底に向かって突出した突出部を備えると共に、
前記突出部は、軸方向の幅が前記溝底に向かって徐々に細くなるように設けられ、かつ、周方向の両側の各先端領域の幅が周方向最先端部に向かってそれぞれ徐々に細くなるように設けられており、
前記環状溝は、前記突出部に対応した凹部が設けられた溝底を備え、
前記環状溝に前記シールリングが装着されることにより、前記一方の部材と前記シールリングとの間の相対移動が規制されることを特徴とする。
このように、シールリングに突出部を設け、突出部に対応した凹部が設けられた溝底を有する環状溝にシールリングが装着されることにより、シールリングは、環状溝内で一方の部材に対して位置決めされた状態で装着されることとなる。
したがって、同心的に相対回転自在に組付けられる2部材が相対的に回転した場合であっても、シールリングと一方の部材との間に他の部材を介することなく、シールリングと一方の部材との間の相対移動(摺動)を規制することができる(まわり止め効果を得ることができる)。
これにより、一方の部材が軟質材である場合であっても、低コストで一方の部材の摩耗
の発生を抑えることができる。また、一方の部材の摩耗の発生を抑えることにより、以てシールリングの摩耗の発生を抑えることが可能となる。すなわち、長期にわたり安定したシール性能を維持することができる。
ここで、一方の部材が軟質材である場合、シールリングの長期使用時には、溝底の凹部に僅かに摩耗が発生することが考えられる。
このような場合には、シールリングがその摩耗により発生した窪み(段差)に干渉し、軸方向の動きが制約されることで、側壁面に対するシール面を確保することができずに、作動不良による漏れが生じてしまうことが懸念される。
しかしながら、本発明では、前記突出部は、軸方向の幅が前記溝底に向かって徐々に細くなるように設けられ、かつ、周方向の先端部が周方向先端に向かってそれぞれ徐々に細くなるように設けられているので、シールリングは段差を乗り越えて軸方向に移動することが可能となる。
これにより、側壁面に対するシール面を確保することが可能となり、より安定したシール性能を維持することが可能となる。
本発明によれば、コスト高を招くことなく、長期にわたり安定したシール性能を維持する品質性に優れたシールリング及びシール構造を提供することが可能となる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
図1〜図4を参照して、本発明の実施例1に係るシールリング1及びシール構造について説明する。図1(a)は本発明の実施例1に係るシールリング1の平面図、同図(b)は本実施例に係るシールリング1の要部(突出部)を内周側から見た斜視図、同図(c)は本実施例に係るシールリング1の要部(突出部)の断面図、同図(d)は本実施例に係るシールリング1の要部(突出部)を内周側から見た図である。図2(a)はシールリング1が装着される2部材について示す図、同図(b)は同図(a)のB−B断面図、同図(c)は同図(b)に示す右側の破線部分の他の形態を示す図である。図3は図1に示すシールリング1のA−A断面図である。図4は本実施例に係るシールリング1の装着状態を示す一部破断斜視図である。
シールリング1は、軸孔が設けられた他方の部材としてのハウジング80と、この軸孔に挿入された一方の部材としての軸70との間の環状隙間をシールするためのものであり、軸70に設けられた環状溝71に装着されて使用されるものである。
そして、シールリング1は樹脂材料から形成されるもので、軸70に設けられた環状溝71の非密封対象流体側Aの側壁面72をシールするための第1シール部4と、ハウジング80に設けられた軸孔の内周面81をシールするための第2シール部3と、を備えている。
そして、密封対象流体側Oから非密封対象流体側Aに向けて、図3中矢印P方向に圧力
がかかると、シールリング1は非密封対象流体側Aに押圧されるため、第1シール部4は環状溝71の側壁面72を押圧し、また、第2シール部3は環状溝71に対向する軸孔の内周面81を押圧し、それぞれの位置でシールする。
このようにして、密封対象流体の非密封対象流体側Aへの漏れを防止していた。
ここで、密封対象流体は、例えば潤滑油であり、特に自動車の変速機に利用される場合にはATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)を指している。
また、シールリング1のリング本体には、図1(a)に示すように、周方向の一ヶ所に組み込み性の向上等を目的として分離部2が設けられている。
このような分離部2の形態として様々なものが知られているが、本実施例においては、リーク量が少なく、周囲温度の変化によっても好適に対応することのできるものとして、図4に示すように、2段ステップ状にカットされた特殊ステップカットを採用した。すなわち、図4に示すように、第1シール部4側と第2シール部3側のいずれにも、ステップ状の分離部が形成されている。
この特殊ステップカットは、分離された部分を介して一方側の外周側に、凸部21と凹部22を左右(軸方向)一対に備え、他方側にも凹部24と凸部23を左右一対に備えるものである。そして、凸部21と凹部24が嵌合し、凹部22と凸部23が嵌合するように構成されている。
この特殊ステップカットによれば、円周方向に垂直な面同士が円周方向に対して隙間(図3中、凸部21の先端面とこれに対向する凹部24の対向面によって形成される隙間27、及び凸部23の先端面とこれに対向する凹部22の対向面によって形成される隙間28,及び内周側の隙間29)を有しつつ、密封対象流体側Oと非密封対象流体側Aとを遮断する構成である。
つまり、凸部21と凹部24は、第2シール部3と同心的な分離面25において摺接し、かつ軸に垂直な分離面26においても摺接するように構成されている。これにより、上述のような隙間27,隙間28及び隙間29を有していても、第2シール部3及び第1シール部4のいずれも分離部2によってシール面が途切れてしまう部分はない。
従って、リング本体が熱によって膨張して、隙間27,隙間28及び隙間29の間隔に変動が生じたとしても、密封状態を維持しつつ隙間の分だけ寸法の変化量を吸収できるため、周囲の温度変化に対しても密封性能を維持することができる。
そして、本実施例に係るシールリング1においては、軸70に対してまわり止め効果を得るために、環状溝71の溝底73に対向して配設される内径側の内周面6に、溝底73に向かって突出する突出部5が設けられている(図1(b)参照)ことを特徴とする。図1(a)に示すように、突出部5が設けられた部分は肉厚となっている。
本実施例において、シールリング1は、熱可塑性樹脂材料を金型で成型している。熱可塑性樹脂としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂や、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等が好ましい。なお、本実施例のシールリング1に適する材料は、これに限るものではなく、シールリングの材料として公知のもの(例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))を適用することができる。
次に、シールリング1が装着される環状溝71の形状について説明する。
環状溝71の溝底(外周面)73の形状は、図2(b)に示すように、シールリング1が装着可能な形状となっており、溝底73には、シールリング1の突出部5を装着(配設)可能とする凹部としての切り欠き部74が設けられている。
従来の溝底の形状は、旋盤加工で加工できる形状として、断面が円形状であった。これに対して、本実施例では、断面略円形状の溝底73の一部を切り欠くことにより、環状溝71の溝の深さを変えた(深くした)形状としている。溝の深い部分を設ける方法として、本実施例では、溝底73に切り欠き部74を設けることとしている。
切り欠きの加工としては、例えば、円形の溝底を形成後に、フライス盤(エンドミル)で切削加工すればよいもので、これはコストに影響を及ぼすものではない。
溝底の円形部分の形状については、高い精度を必要としないため、ダイキャスト等金型で成型した面をそのまま用いてもよい。この場合、切り欠きの加工は、金型で成型した後、フライス盤等で行うこととなる。
なお、切り欠き部についても、必要な精度が確保できる場合には、追加工をせず、金型で成型した面をそのまま使用してもよい。但し、回り止めである切り欠き部においては、シールリングの出来合い等に応じたクリアランスが生じることが懸念される。このような場合には、クリアランスが生じた分、シールリングが溝内で僅かに摺動し、僅かな摩耗の原因となる。このため、切り欠き部は、極力ガタを無くすために精度よく加工できるよう、後加工で形成する方が望ましい。
また、軸が高速で回転する用途の場合、円周上の切り欠きの配置によっては、溝部の重心が軸心とズレ、回転時に軸の特定方向に遠心力が発生し、軸破損の原因となることが懸念される。
このため、高速で軸が回転する用途の場合、バランスを考慮すると切り欠き部74は2等配以上の等配(等間隔)とするのが望ましい。なお、コスト面を考慮した場合には、加工工数が少ない分2等配とするのがより望ましい。
ここで、軸70とハウジング80との間の相対回転の関係においては、軸70が回転する場合とハウジング80が回転する場合がある。シールリング1が装着される軸70が回転しない場合、或いは、軸70が回転する場合でも低速の場合には、切り欠き部74は、等配にする必要はなく、1箇所であってもよい。
シールリング1と軸70との間の関係において、シールリング1の突出部5と、突出部5に対応する切り欠き部74は、上記のように1箇所あればまわり止め効果を得ることができる。したがって、突出部5と切り欠き部74の数や円周上での配置は、製品の仕様に応じて適宜設定されるとよい。
本実施例のシールリング1においては、図1(a)に示すように、突出部5を、円周上に2箇所、等配に設けた場合について示している。円周上における突出部5の位置は、特に限定されるものではないが、図1(a)に示すように、分離部2を中心として左右対称となるように設けられるとよい。これにより、分離部2のシール性を安定させることができる。
以上説明したように、本実施例では、シールリング1自体に、溝底73に向かって突出した突出部5を設け、突出部5に対応した切り欠き部74が設けられた溝底73を有する
環状溝71にシールリング1を装着している。これにより、環状溝71に対してシールリング1を位置決めすることができ、いわゆるシールリング1のまわり止めとすることができる。
このように本実施例によれば、シールリング1と軸70との間に他の部材を介することなく、シールリング1と軸70との間の摺動を略無くす(規制する)ことができる。したがって、軸70がアルミニウム合金等の軟質材である場合であっても、低コストで環状溝71、特に側壁面72の摩耗の発生を抑えることが可能となる。
ここで、切り欠き部74として、図2においては、ストレート形状の切り欠きを示しているが、これに限るものではない。すなわち、溝底において溝深さの深い部分を設ければよいものであって、円弧状等の形状であってもよい。
また、切り欠き部74の端部74a(溝底73との境界部分)は、シールリングが回転した場合に、高い面圧が作用して摩耗してしまうことが懸念される。端部74aが摩耗した場合には、シールリング1と干渉が生じやすい状態となってしまう。このため、端部74aの部分には、図2(c)に示すように、面取り部74bを設けることが好ましい。
また、以上の説明において、シールリング1は、2部材のうち一方の部材として軸70に形成された環状溝71に装着されるものとしたが、これに限らず、ハウジング80側に設けられた環状溝に装着されて、軸70の外周面に摺動接触するものであってもよい。この場合には、シールリング1の外径側の外周面に突出部が設けられることとなる。また、シールリング1のリング本体の周方向の一ヶ所に分離部2を設けた例について説明したが、これに限るものではない。シールリング1は、分離部のない所謂エンドレス形状であってもよい。
このような構成により、ハウジング80がアルミニウム合金等の軟質材である場合であっても、低コストでハウジング80の環状溝、特に側壁面の摩耗の発生を抑えることが可能となる。
次に、シールリング1を長期間使用した場合について説明する。
例えば軸70がアルミニウム合金等の軟質材である場合、シールリング1の長期使用時には、切り欠き部74に僅かに摩耗が発生することが考えられる。このような場合には、シールリング1がその摩耗により発生した窪み(段差)に干渉し、軸方向の動きが制約されることで、側面のシール面を確保することができずに、作動不良による漏れが生じてしまうことが懸念される。
図8,9は、環状溝71にシールリング1が装着された場合の懸念点を説明するための図であって、図8は初期状態(正常作動時)を示す図、図9は長期使用時の仮想図である。なお、ハウジング80の材質は、軸対比で硬質で、比較的耐摩耗性が優れているものとする。
初期状態や正常作動時においては、シールリング1の突出部5のうち図1(a)に示すC部と、軸70の切り欠き部74のうち、径の大きさ(寸法)がC部に対応するCa部(図2(b)参照)とが当接することによりまわり止めが行われるものとする。
このような場合、図8に示すように、シールリング1の外周面と側面が環状溝71に密着し、シールリング1の外周面と側面においてシール面(第2シール部3、第1シール部4)を確保することができるため、漏れが生じることはない。
これに対して、長期使用時には溝底73が摩耗することにより、図9に示すような段差75が、溝底73と摩耗した溝底73aとの間に発生することが考えられる。
図9に示すような場合、圧P1が作用している場合には問題とはならないが、圧P1とは反対方向に圧P2が作用した場合には、摩耗で生じた段差75によって、軸方向(図9において左方向)におけるシールリング1の移動が妨げられてしまい、側壁面72aに対するシール面を確保することができず、漏れが生じてしまうこととなる。
そこで、本実施例に係るシールリング1においては、図1に示すように、突出部5をテーパ形状とすることにより、このような漏れを防止している。ここで、突出部5がテーパ形状とは、突出部5において、軸方向の幅5aが溝底73に向かって(本実施例では内周側が)徐々に細くなるように設けられ(図1(c)参照)、かつ、周方向の先端部(先端領域)5bが周方向最先端部に向かってそれぞれ徐々に細くなるように設けられている(図1(d)参照)ことを意味する。このように突出部5は、いわゆる略船底形状の突起である。ここで、テーパ形状の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば湾曲状(R状)であっても、ストレート(直線)状であってもよい。なお、図1(c)において、破線5cは、シールリング本体と、突出部5との境界を示している。
以下、シールリング1の長期使用時の突出部5の作用について、図5〜7を用いて説明する。
本実施例に係るシールリング1においては、突出部5がテーパ形状に設けられていることにより、上述したような漏れを防止することができるものであって、特に、突出部5の周方向の先端部5bがテーパ形状に設けられていることによるものである。
図5(a)は、本実施例のシール構造において、長期使用により環状溝71が摩耗した状態を示す図、同図(b)は、本実施例のシール構造において、長期使用により環状溝71が摩耗した状態で油圧P2が作用した場合について説明するための図である。
シールリングによる溝底73の摩耗は、径方向のみならず、周方向にも食い込む形で発生するため、シールリング1の突出部5が段差75から離脱するためには、シールリング1が環状溝71に対して僅かに回転する必要があると考えられる。このため、突出部5の側面(軸方向の幅5a)をテーパ形状にするだけでなく、周方向の先端部5bもテーパ形状にすることで、軸方向に油圧P2による推力が作用した場合に、テーパ形状の先端部5bにシールリング1が回転する方向の抗力が作用し、シールリング1が環状溝71に対して僅かに回転し、段差75から離脱するものと考えられる。以下、この点について説明する。
図6(a)は、本実施例のシール構造において、長期使用により環状溝71が摩耗した状態をシールリング1の外周側から見たイメージ図、同図(b)は同図(a)の状態で、油圧P2が作用した場合について説明するための図である。
図7(a)は、比較例のシール構造において、長期使用により環状溝が摩耗した状態をシールリングの外周側から見たイメージ図、同図(b)は同図(a)の状態で、油圧が作用した場合について説明するための図である。なお、図7においては、本実施例と比較するため、本実施例の構成部材と同様の符号を用いている。
シールリング1において油圧によって生ずる推力は、溝底73を構成する面に対して垂直に作用することとなるので、図6(b)に示すように、シールリング1の突出部5の先
端部5bに対応する、摩耗した溝底73aの先端部73bには、油圧による推力Paが軸方向に対して傾斜する方向に作用することとなる。
そして、シールリング1には、油圧による推力Paに対する抗力Pbが作用することとなり、この抗力Pbとして、周方向の分力Pcが生ずることとなる。
この周方向の分力Pcによって、シールリング1は、摩耗した溝底73a(環状溝71、軸70)に対して回転する方向の力が生じ、これにより、シールリング1が段差75から離脱して軸方向に移動することとなる。
このように、シールリング1に対して軸方向に油圧P2による推力が作用した場合、突出部5の先端部5bにシールリング1が回転する方向の抗力が作用し、シールリング1が環状溝71に対し僅かに回転し、段差75から離脱することが可能になる。
これにより、シールリング1の長期使用時に、溝底73が摩耗して段差75が生じてしまった場合であって、さらに油圧P2が作用する場合であっても、シールリング1(の突出部5)は段差75を容易に乗り越えることができ、軸方向に移動して側壁面72aに対するシール面を確保することが可能となる(図5(b)参照)。
なお、シールリング1の突出部5の先端部5bにテーパ形状が設けられていない場合には、油圧推力の抗力は、図7(b)に示すように、軸方向にしか作用しないため、周方向の分力が生ずることはなく、シールリング1を回転させる力が生じることはない。
図1(a)は本発明の実施例に係るシールリングの平面図、同図(b)はシールリングの要部を内周側から見た斜視図、同図(c)はシールリングの要部の断面図、同図(d)はシールリングの要部を内周側から見た図である。 図2(a)は本発明の実施例に係るシールリングが装着される2部材について示す図、同図(b)は同図(a)のB−B断面図、同図(c)は同図(b)に示す右側の破線部分の他の形態を示す図である。 図1に示すシールリングのA−A断面図である。 本発明の実施例に係るシールリングの装着した状態を示す一部破断斜視図である。 図5(a)は、本実施例のシール構造において、長期使用により環状溝が摩耗した状態を示す図、同図(b)は、本実施例のシール構造において、長期使用により環状溝が摩耗した状態で油圧が作用した場合について説明するための図である。 図6(a)は、本実施例のシール構造において、長期使用により環状溝が摩耗した状態をシールリングの外周側から見たイメージ図、同図(b)は同図(a)の状態で、油圧が作用した場合について説明するための図である。 図7(a)は、比較例のシール構造において、長期使用により環状溝が摩耗した状態をシールリングの外周側から見たイメージ図、同図(b)は同図(a)の状態で、油圧が作用した場合について説明するための図である。 環状溝にシールリングが装着された状態であって、初期状態(正常作動時)を示す図である。 環状溝にシールリングが装着された状態であって、長期使用時の仮想図である。 従来技術に係るシールリングを示す図である。
符号の説明
1 シールリング
2 分離部
21 凸部
22 凹部
23 凸部
24 凹部
25 分離面
26 分離面
27,28,29 隙間
3 第2シール部
4 第1シール部
5 突出部
5a 突出部5の軸方向の幅
5b 突出部5の周方向の先端部
5c シールリング本体と突出部5との境界
6 内周面
70 軸
71 環状溝
72,72a 側壁面
73 溝底
73a 摩耗した溝底
74 切り欠き部
74a 切り欠き部74の端部
74b 面取り部
75 段差
80 ハウジング
81 内周面

Claims (2)

  1. 同心的に相対回転自在に組付けられる2部材のうち、一方の部材に設けられた環状溝の非密封対象流体側の側壁面と、前記2部材のうち、他方の部材表面とをシールすることによって、前記2部材間の環状隙間をシールするシールリングにおいて、
    シールリング本体の周面のうち、前記環状溝の溝底に対向して配設される側の周面に設けられ、前記溝底に向かって突出した突出部を備え、
    前記突出部に対応した凹部が設けられた溝底を有する前記環状溝に装着されることにより、前記一方の部材とシールリング本体との間の相対移動が規制されることを特徴とし、
    さらに、前記突出部は、軸方向の幅が前記溝底に向かって徐々に細くなるように設けられ、かつ、周方向の両側の各先端領域の幅が周方向最先端部に向かってそれぞれ徐々に細くなるように設けられていることを特徴とするシールリング。
  2. 同心的に相対回転自在に組付けられる2部材のうち、一方の部材に設けられた環状溝の非密封対象流体側の側壁面と、前記2部材のうち、他方の部材表面とをシールするシールリングを備えたシール構造において、
    前記シールリングは、シールリング本体の周面のうち、前記環状溝の溝底に対向して配設される側の周面に設けられ、前記溝底に向かって突出した突出部を備えると共に、
    前記突出部は、軸方向の幅が前記溝底に向かって徐々に細くなるように設けられ、かつ、周方向の両側の各先端領域の幅が周方向最先端部に向かってそれぞれ徐々に細くなるように設けられており、
    前記環状溝は、前記突出部に対応した凹部が設けられた溝底を備え、
    前記環状溝に前記シールリングが装着されることにより、前記一方の部材と前記シールリングとの間の相対移動が規制されることを特徴とするシール構造。
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