JP2019157884A - オイルシール及びシール付軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール部材のシールリップと相手部材のシール摺動面間の締め代が増加したときにシールリップの緊迫力が増加することを抑える。【解決手段】シールリップ7は、締め代の増加に応じて腰部12の曲げ変形位置を移動すると共にシール摺動面8におけるリップ部11との接触位置を保つように弾性変形可能な形状を有する。シールリップ7は、リップ部11に連続しかつ腰部12に接触する頭部13を有し、締め代の増加に応じて、頭部13で腰部12を巻くように前述の弾性変形を起こす。【選択図】図1

Description

この発明は、装置内のシール空間と外部間を区切るオイルシール、及びそのオイルシールを備えるシール付軸受に関する。
例えば、転がり軸受では、グリース、潤滑油等の流動性潤滑剤で軸受内部を潤滑したり、保護したりするため、シール空間である軸受内部空間と外部間をオイルシールで区切ることにより、外部からの異物侵入を防止したり、潤滑剤の過剰な外部流出を防止したりすることが行われている。
このようなオイルシールとして、ゴム材で一体に形成されたシールリップと腰部を有するシール部材と、シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備えるものが利用されている。相手部材は、例えば軸、軌道輪、スリンガ等であり、周方向に延びるシール摺動面を有する。シールリップは、一般に、相手部材のシール摺動面にラジアル方向の締め代をもって接触する。その締め代は、シール部材と相手部材との間に偏心がある場合でもシールリップがシール摺動面に十分に追従できるようにするために設定されている。シール部材と相手部材を所定に配置する際、シール摺動面に擦られるシールリップは、所定値の締め代を逃がすように曲がる弾性変形を生じる。そのシールリップの曲げ作用は、腰部に負荷される。このため、シールリップが相手部材のシール摺動面を緊迫する緊迫力が生じる。
一般的にシールリップの材料として使用されるゴム材は、弾性変形域では線形もしくは漸硬形すなわちハードスプリングのばね特性を示す。つまり、従来の一般的なオイルシールでは、緊迫力が締め代の変化量に概ね比例し、シールリップとシール摺動面の接触部分は、線形ばねの特性をもつ。締め代の変化に対して、緊迫力が比例し、又は、さらに大きく変化する。この緊迫力は、シールリップとシール摺動面間の摩擦力に影響し、シール部材と相手部材との間の相対回転時には、シール摺動面に摺接するシールリップの引き摺り抵抗(シールトルク)の要因となる。例えば、密封性の向上目的で締め代を大きくする方がよいが、緊迫力が大きくなることに伴い、シールリップとシール摺動面間の摩擦力が増し、シールトルクが大きくなる。また、シール摺動面を有する相手部材の偏心、製造上の公差、取り付け誤差等により締め代が所定値からずれた場合、緊迫力も変化し、シールトルクも変化する。
特許文献1に開示されたオイルシールでは、シールリップに舌片状のリップ部を形成し、そのリップ部のリップ先端が相手部材のシール摺動面に接触する方向を大きく傾斜させた構造により、締め代の増加時、舌片状のリップ部が、シール摺動面によって締め代方向に押されて撓み、そのシール摺動面におけるリップ先端との接触位置が移動し、これにより、ソフトスプリング特性を実現することが提案されている。特許文献1のオイルシールは、線形ばね特性(ハードスプリング特性)の一般的なオイルシールに比して、締め代の増加に対して緊迫力の増加を小さくすることができ、シールトルクによる回転エネルギの損失やシールリップの摩耗量の増加を抑えることができる。
特開2004−183686号公報
特許文献1のオイルシールは、締め代の増加時、舌片状のリップ部が撓み、リップ先端がシール摺動面上を移動し、シールリップの弾性反発力が軸線方向に逃がされることにより、ソフトスプリング特性を実現する。そのリップ先端の移動に伴い、腰部の曲げ変形位置での歪が大きくなるので、その歪拡大に基づき、シールリップをシール摺動面に押し付ける緊迫力が増加し、シールトルクが大きくなる点で改良の余地がある。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、シール部材のシールリップと相手部材のシール摺動面間の締め代が増加したときにシールリップの緊迫力が増加することをより一層抑制することにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、シール空間と外部間を区切るシール部材と、前記シール部材に対して周方向に相対回転する相手部材とを備え、前記シール部材が、ゴム材で形成されたシールリップを有し、前記相手部材が、前記シールリップに対して周方向に摺動するシール摺動面を有し、前記シールリップが、前記シール摺動面に対する締め代をもったリップ部と、当該リップ部から弾性曲げ作用が負荷される腰部とを有するオイルシールにおいて、前記シールリップが、前記締め代の増加に応じて前記腰部の曲げ変形位置を移動すると共に前記シール摺動面における前記リップ部との接触位置を保つように弾性変形可能な形状を有する構成を採用した。
上記構成によれば、相手部材とシール部材間の偏心等によってシールリップのリップ部と相手部材のシール摺動面間の締め代が増加すると、リップ部がシール摺動面から締め代の増加する方向へ押され、リップ部から腰部に亘って弾性曲げ作用が負荷される。このとき、シールリップでは、腰部の曲げ変形位置を締め代の増加に応じて移動し、シール摺動面におけるリップ部の接触位置を保つように弾性変形が起こる。これにより、締め代が増加しても、腰部とシール摺動面間の締め代方向の相対的な位置関係が保たれ、腰部の曲げ変形位置での歪拡大が防止されるので、緊迫力の増加がより一層抑制される。
具体的には、前記シールリップが、前記締め代の増加に応じて前記腰部を巻く形状を有するとよい。締め代の増加に応じて腰部を巻くと、腰部の曲げ変形位置の移動と、リップ部とシール摺動面間の滑りとを円滑に起こすことができる。
例えば、前記シールリップが、前記リップ部に連続しかつ前記腰部に接触する頭部を有し、前記リップ部が、前記シール部材の軸線を含む仮想平面上において仮想円の一部を成す形状のリップ先端部を有し、前記頭部が、前記仮想円の他の一部を成す形状を有するとよい。このようにすると、締め代が増加する際、頭部との接触領域の端が腰部の曲げ変形位置の開始位置となり、仮想円の他の一部を成す頭部が腰部を巻くように回転する。従い、締め代の増加に応じて頭部で腰部を巻き、腰部の曲げ変形位置を移動する弾性変形が確実に得られる。また、その頭部の回転に際し、仮想円の一部を成すリップ先端部もシール摺動面に対して滑りながら回転するため、シール摺動面におけるリップ部との接触位置を保つ弾性変形も確実に得られる。
より好ましくは、前記腰部が、前記仮想平面上において前記シール摺動面と交差する方向に直線状に延びる第一側面と、前記第一側面に沿って延びかつ前記リップ先端部に連続する第二側面とを有し、前記頭部が前記第一側面に接触するとよい。このようにすると、腰部の第一側面と第二側面間の厚さが一定的であり、頭部で腰部を巻いても、前述の仮想平面上では、リップ先端部とシール摺動面の接触位置から第二側面に沿った撓み状が実質的に変化せず、緊迫力を実質的に一定に保つことができる。
例えば、前記シール摺動面が、軸方向に沿って延びる円筒面状に形成されており、前記腰部の前記第一側面及び前記第二側面が径方向に沿って延びる。このようにすると、リップ部がシール摺動面に対して直角に接触するラジアルシールを実現することができる。
前記リップ部が、前記シール空間と外部間に亘って連通する油通路を前記シール摺動面との間に生じさせる突起を有し、前記突起が、前記リップ先端部を有するとよい。このようにすると、シール部材と相手部材の相対回転時、油通路に存在する潤滑油が突起に引き摺られ、突起とシール摺動面間で生じる流体力学上のくさび効果により、リップ部のリップ先端部とシール摺動面間の油膜形成が促進されるので、シールトルクを低減することができる。特に、突起が前述の仮想円の一部を成す形状のリップ先端部を有し、そのリップ先端部とシール摺動面の接触が限定的になること、また、締め代の増加に対して緊迫力の増加がより一層抑制されることから、リップ先端部とシール摺動面が油膜によって完全に分離された流体潤滑状態を容易に実現することができる。
この発明に係るオイルシールを備え、前記シール空間が軸受内部空間であるシール付軸受は、締め代が増加したときのシールトルクの増加をより一層抑えて、軸受回転トルクを抑制することができる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、シール部材のシールリップと相手部材のシール摺動面間の締め代が増加したときにシールリップの緊迫力が増加することをより一層抑制することができる。
この発明の第一実施形態に係るオイルシール及びシール付軸受を示す断面図 第一実施形態に係るシール部材の自然状態を示す部分断面図 図1のオイルシールが理想的に構成された状態を示す部分断面図 図3の状態からシールリップとシール摺動面間の締め代が増加した状態を示す部分断面図 この発明の第二実施形態に係るオイルシールが理想的に構成された状態を示す部分断面図 この発明の第三実施形態に係るオイルシールが理想的に構成された状態を示す部分断面図 図6のVII−VII線の断面を示す部分拡大断面図
以下、この発明の一例としての第一実施形態を添付図面の図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すシール付軸受は、オイルシールと、転がり軸受とで構成されている。そのオイルシールは、シール部材1と、シール部材1に対して周方向に相対回転する相手部材2とを備える。また、その転がり軸受は、相手部材2を兼ねる内輪と、シールハウジングを兼ねる外輪3と、相手部材2の軌道と外輪3の軌道間に介在する所定数の転動体4とを備える。所定数の転動体4は、保持器5に保持されている。
ここで、図1は、シール部材1、相手部材2及び外輪3が同心に配置された理想的な状態において、シール部材1の軸線を含む仮想平面上の構造を示す断面図である。以下、シール部材1の軸線(図示省略)に沿った方向を「軸方向」という。軸方向は、図1において左右方向に相当する。また、その軸線に対して直角な方向を「径方向」という。径方向は、図1において上下方向に相当する。また、その軸線の円周方向を「周方向」という。
相手部材2は、回転軸(図示省略)に取り付けられ、回転軸と一体に回転する。回転軸は、例えば、車両のトランスミッション、ディファレンシャル、等速ジョイント、プロペラシャフト、ターボチャージャ、工作機械、風力発電機、又はホイール軸受の回転部として設けられる。
外輪3は、ハウジング、ギヤ等、回転軸からの荷重を負荷させる部材(図示省略)に取り付けられる。このシール付軸受は、回転軸を回転可能に支持する。
シール部材1は、金属板によって形成された環状の芯金6と、ゴム材によって形成されたシールリップ7とを有する。ゴム材は、ゴム弾性を有する材料(エラストマ)のことをいう。ゴム材は、芯金6に接着されている。シール部材1は、芯金6と、前述のゴム材とで構成されており、ガータスプリングをもたない。
芯金6は、周方向全周に連続する円環板状に形成されている。芯金6の材料は、前述のゴム材の剛性よりも高剛性の金属からなる。例えば、プレス加工に好適な芯金6の材料として、鋼板が挙げられる。一方、ゴム材は、芯金6に加硫接着されている。ゴム材の種類は特に問わないが、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
相手部材2は、シールリップ7に対して周方向に摺動するシール摺動面8を有する。シール摺動面8は、周方向全周に連続し、かつ軸方向に沿って延びる円筒面状に形成されている。
外輪3の内周端部にシール溝9が形成されている。シール部材1の外周縁がシール溝9に圧入されることにより、シール部材1が外輪3に取り付けられる。これにより、シール部材1は、外輪3と相手部材2のシール摺動面8との間に配置され、シール空間10と外部(軸受周辺)との間を区切る状態になる。このシール付軸受の場合、シール空間10は、相手部材2と外輪3間に形成された軸受内部空間である。
このシール付軸受には、はねかけ、オイルバス等の適宜の手段により、外部から潤滑油が供給される。このシール付軸受の運転時、相手部材2がシール部材1に対して相対的に回転し、シール部材1と相手部材2との間は、潤滑油によって潤滑される。シール部材1を境界とした外部側には、ギヤの摩耗粉、クラッチの摩耗粉、微小砕石等、軸受の組み込み先に応じた異物が存在する。このような粉状の異物は、潤滑油や雰囲気の流れによって、このシール付軸受付近に到達し得る。シール部材1は、外部からシール空間10への異物侵入を防止する。
図2に、シール部材1が自然状態のときのシールリップ7付近を図1と同じ仮想平面上の断面で示す。図3に、図1のシールリップ7付近を拡大して示す。
図1に示すように、シールリップ7は、芯金6からシール摺動面8側に突き出たゴム材部分からなる。シール部材1は、図1、図2に示す断面形状を周方向全周に有する構造になっている。
図2、図3に示すように、シールリップ7は、シール摺動面8に対する締め代δをもったリップ部11と、リップ部11から弾性曲げ作用を負荷される腰部12と、リップ部11に連続しかつ腰部12に接触する頭部13とを有する。
ここで、締め代は、シール部材の軸線を含む任意の仮想平面(図2、図3に示す断面相当)において、自然形状(シール部材が外力によって変形していない状態の形状)のシール部材と相手部材の二部材が同心に位置する仮想状態と比較したとき、現実のシール摺動面が仮想状態のシールリップと重複する量のことをいう。締め代は、オイルシールの組み立て時に起こり得る取り付け誤差、製造上の寸法公差等の各種誤差や、オイルシールの使用中にシール部材と相手部材間に起こり得る偏心、軸方向変位等の相対移動を吸収するためのものである。設計上、その吸収に適するように、軸方向及び径方向の少なくとも一方向に関して締め代が設定されている。この設計上の締め代は、シール部材と相手部材が同心のとき、周方向全周で一定の値である。
リップ部11は、シール摺動面8に接触可能なリップ先端部14を有する。リップ先端部14は、前述の仮想平面上において中心Oの仮想円の一部を成す形状を有する。すなわち、リップ先端部14は、前述の仮想平面上において、前述の仮想円の半径rで決まる曲率を有する。
図1に示すように、シール部材1と相手部材2のシール摺動面8を同心に配置する組み立て工程が実施される際、リップ部11は、リップ先端部14からシール摺動面8に押し付けられる。前述の各種誤差や相対移動は、シールリップ7の弾性変形によって吸収される。リップ部11は、リップ先端部14以外でシール摺動面8と接触しない。
図3に示すように、前述の仮想円の一部を成すリップ先端部14と、軸方向に沿ったシール摺動面8とは、前述の仮想平面上において、シール摺動面8に対して直角に接触するラジアルシールを構成する。このため、リップ部11は、径方向の締め代δのみを有する。
腰部12は、シールリップ7のうち、締め代δをもたず、かつリップ先端部14とシール摺動面8の接触によって締め代δを吸収するように撓ませられるゴム材部分からなる。腰部12は、前述の仮想平面上において、シール摺動面8におけるリップ部11(リップ先端部14)との接触位置P及び仮想円の中心Oに対し、シール摺動面8に沿った方向の一方側(図中左側)の位置でリップ部11に連続する。
腰部12は、前述の仮想平面上において、シール摺動面8と交差する方向に直線状に延びる第一側面15と、第一側面15に沿って延びかつリップ先端部14に連続する第二側面16とを有する。腰部12の第二側面16は、前述の仮想円に対する仮想接線上に延びる。第一側面15及び第二側面16は、シール摺動面8に対して直角な方向に沿って延びる。図示例では、シール摺動面8が軸方向に沿うため、第一側面15及び第二側面16は、径方向に沿って延びる。
また、図2に示すように、腰部12は、自然状態のときに第一側面15からリップ部11側に向かって次第に第二側面16に接近する傾斜面17を有する。傾斜面17は、自然状態のときに頭部13との間に隙間を形成する。傾斜面17は、図3に示すように、頭部13が第一側面15に接触するまで腰部12が弾性変形し易くするために形成されている。
図2、図3に示すように、頭部13は、中心Oの仮想円の他の一部を成す形状を有する。頭部13は、前述の仮想円内でリップ部11に連続する。
また、頭部13は、図2に示すように、自然状態のときに前述の仮想円の一端において腰部12の傾斜面17に連続する。
前述の組み立て工程が実施される際、リップ部11がリップ先端部14からシール摺動面8に押し付けられると、締め代δに基づくシールリップ7の弾性変形により、リップ部11をシール摺動面8に径方向に押し付ける力Fが生じ、その反力Fがシール摺動面8からリップ部11に作用する。このとき、腰部12には、リップ部11から弾性曲げ作用が負荷され、当該負荷に抵抗する偶力Fが生じる。このため、腰部12は、撓み状に弾性変形させられ、頭部13は、腰部12の傾斜面17を巻き込むように回転し、図3に示すように、腰部12の第一側面15に接触する状態となる。この状態において、腰部12の第一側面15と頭部13の接触領域の端Pは、前述の仮想平面上において、リップ先端部14とシール摺動面8の接触位置Pに対し、腰部12側(図中左側)に位置する。
図3の状態から締め代δが増加する場合の一例として、図1に示す相手部材2が外輪3に対して偏心することにより、図3に示すシール摺動面8が径方向(図中上方向)へ移動した場合を図4に示す。なお、図4は、図3と同じ仮想平面上の断面を示す。
図4に示すように、締め代δが増加すると、リップ部11がシール摺動面8から締め代δの増加する方向(図中上方向)へさらに押され、リップ部11から腰部12に亘って弾性曲げ作用がさらに負荷される。このため、腰部12の第一側面15における頭部13との接触領域の端Pには頭部13から図中左側へ押される力Fが作用し、その力Fの作用位置が腰部12の曲げ変形の開始位置となって、頭部13が、締め代δの増加に応じて腰部12をさらに巻くように回転する。また、その頭部13の回転に際し、リップ先端部14もシール摺動面8に対して滑りながら回転するため、シール摺動面8におけるリップ部11との接触位置Pは、図3の接触位置Pから実質的に移動しない。このように、シールリップ7は、締め代δの増加に応じて、腰部12の曲げ変形位置(すなわち、自然状態に比してリップ部11から負荷された弾性曲げ作用によって曲げられたゴム材部分の位置のことをいう。)を移動すると共にシール摺動面8におけるリップ部11との接触位置Pを保つように弾性変形を起こす。これにより、締め代δが増加しても、腰部12とシール摺動面8間の締め代方向(この例では径方向)の相対的な位置関係が保たれ、腰部12の曲げ変形位置での歪拡大が防止されるので、緊迫力の増加がより一層抑制される。
これまでに述べたように、第一実施形態のオイルシール及びシール付軸受は、特に、シールリップ7が締め代δの増加に応じて腰部12の曲げ変形位置を移動すると共にシール摺動面8におけるリップ部11との接触位置Pを保つように弾性変形可能な形状を有するので、締め代δが増加したときにシールリップ7の緊迫力が増加することを特許文献1の従来例に比してより一層抑制することができる。
また、第一実施形態のオイルシール及びシール付軸受は、シールリップ7が締め代δの増加に応じて腰部12を巻く形状を有するので、締め代δの増加に応じた腰部12の曲げ変形位置の移動と、リップ部11とシール摺動面8間の滑りとを円滑に起こすことができる。
また、第一実施形態のオイルシール及びシール付軸受は、シールリップ7がリップ部11に連続しかつ腰部12に接触する頭部13を有し、リップ部11が前述の仮想円の一部を成す形状のリップ先端部14を有し、頭部13が前述の仮想円の他の一部を成す形状を有するので、締め代δの増加に応じて頭部13で腰部12を巻き、腰部12の曲げ変形位置を移動する弾性変形を確実に得ることができ、また、シール摺動面8におけるリップ部11との接触位置Pを保つ弾性変形も確実に得ることができる。
また、第一実施形態のオイルシール及びシール付軸受は、腰部12が前述の仮想平面上においてシール摺動面8と交差する方向に直線状に延びる第一側面15と、第一側面15に沿って延びかつリップ先端部14に連続する第二側面16とを有し、頭部13が第一側面15に接触するので、締め代δの増加時に巻かれる腰部12の第一側面15と第二側面16間の厚さが一定的であり、頭部13で腰部12を巻いても、前述の仮想平面上では、リップ先端部14とシール摺動面8の接触位置Pから第二側面16に沿った撓み状の弾性変形形態が実質的に変化せず、緊迫力を実質的に一定に保つことができる。
また、第一実施形態のオイルシール及びシール付軸受は、シール摺動面8が軸方向に沿って延びる円筒面状に形成されており、腰部12の第一側面15及び第二側面16が径方向の直線状に延びるので、リップ部11がシール摺動面8に対して直角に接触するラジアルシールを実現することができる。
第一実施形態では、リップ先端部14と頭部13との間が前述の仮想円のさらに他の一部を成す形状部からなるシールリップ7を例示したが、リップ先端部と頭部との間が前述の仮想円を構成する必要はなく、他の形状に変更することも可能である。その一例としての第二実施形態を図5に示す。なお、図5は、図3と同じ仮想平面上の断面を示す。また、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
第二実施形態のシールリップ20は、リップ先端部14と頭部13とを繋ぐ平坦面21を有する。平坦面21は、径方向に沿った平面状になっている。第二実施形態のシールリップ20は、リップ先端部14と頭部13との間を前述の仮想円の一部としていないため、第一実施形態に比して冗長な部分を省き、ゴム材の使用量を抑えると共にシール部材の軸方向幅を抑えることができる。一方、図2に示す第一実施形態のようにリップ先端部14と頭部13との間が前述の仮想円のさらに他の一部を成す形状部からなる場合、シールリップ7の加硫成形において仮想円内の成形収縮が比較的に安定し、リップ先端部14、頭部13の寸法精度を良好に得ることが容易になる。
第一実施形態や第二実施形態では、シールリップ7、20が周方向全周で同一断面形状を有する場合を例示したが、このような例に限定されず、シールリップの形状は、締め代の増加に応じて腰部の曲げ変形位置を移動すると共にシール摺動面におけるリップ部との接触位置を保つ弾性変形が可能であればよい。その一例としての第三実施形態を図6、図7に基づいて説明する。
第三実施形態のリップ部30は、周方向に所定間隔で並ぶ複数の突起31を有する点で第二実施形態からさらに相違する。
突起31は、シール空間10と外部間に亘って連通する油通路32をシール摺動面8との間に生じさせる。
突起31は、リップ部30のうち、シール摺動面8と対向する表面部分において、周方向に対して直角な方向に長く延びる。
突起31は、シール摺動面8との間にくさび状の隙間を形成する。ここで、くさび状の隙間とは、周方向に当該突起31側に向かって次第に半径方向に狭くなる隙間のことをいう。突起31は、周方向に沿った断面において略台形状のものを例示したが、円弧状、略矩形状等、くさび状の隙間を形成可能な形状にすればよい。ここで、周方向に沿った断面とは、シール摺動面8に直交しかつ周方向に沿って延びる仮想平面で突起31を切断したときの突起31の断面のことをいう。
突起31は、シール摺動面8に向かって高さHをもっている。ここで、突起31の高さHは、シール摺動面8に対して直角な方向での高さのことをいう。シール摺動面8が前述の円筒面状なので、これに対して直角な方向は、径方向に相当する。
突起31は、リップ先端部33を有する。リップ先端部33は、突起31の突出高さHを規定する。リップ部30は、各突起31のリップ先端部33においてシール摺動面8と接触する。
このシール付軸受の運転時、シール摺動面8がリップ部30に対して相対的に回転する(図7中にその回転方向を矢線Aで示す)。その運転中に外部から供給される潤滑油(図7中に潤滑油をドット模様で示す。)は、油通路32に入り込み、リップ部30とシール摺動面8との間を潤滑する。この相対回転速度が所定速度以上のとき、前述のくさび状の隙間に潤滑油が引き摺り込まれるくさび効果によって油膜形成が促進され、各突起31がシール摺動面8と流体潤滑状態で摺接する。
ここで、流体潤滑状態は、流体力学的な原理によって潤滑油の流体膜を二面間に形成し、摩擦面の直接接触が生じていない状態のことをいう。二面間の最小油膜厚さが二乗平均粗さと比較して大きい、一般に三倍以上である場合に流体潤滑状態であるとみなすことができる。
リップ部30とシール摺動面8間が流体潤滑状態になるので、この間での摺動抵抗がほぼ零になり、シールトルクを極めて軽減することが可能であり、従来のオイルシールでは不可能だった高周速での使用が可能となる。また、突起31の高さHの設定により、所定以上の粒径の異物が突起31間の油通路32を通過できないようにして、シール空間への異物侵入を防ぐことも可能である。
突起31は、リップ部30とシール摺動面8間を流体潤滑状態にすることが可能な態様であればよい。
第三実施形態のリップ部30は、突起31が前述の仮想円の一部を成す形状のリップ先端部33を有するため、そのリップ先端部33とシール摺動面8の接触が接触位置P上に限定的になること、また、締め代の増加に対して緊迫力の増加がより一層抑制されることから、リップ先端部33とシール摺動面8を分離するのに必要な油膜の圧力を得易く、流体潤滑状態を容易に実現することができる。なお、第三実施形態のような突起は、第一実施形態と組み合わせて採用することも可能である。
また、上述の実施形態では、内輪回転型のシール付軸受を例に挙げて説明したが、この発明は、外輪回転型のシール付軸受(シール部材が内輪に固定され、相手部材が外輪側となる軸受)に適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、転動体として玉を使用する形式の軸受を例に挙げて説明したが、この発明は、円筒ころまたは円すいころを転動体として使用する形式の軸受に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、シール空間である軸受内部空間の両側にシール部材を設けた例で説明したが、シール部材は、軸受内部空間の片側にのみ設けるようにしてもよい。
また、オイルシールは、転がり軸受の内外輪以外の箇所、例えば、他装置のハウジングと回転軸間に配置してもよい。
オイルシールの構成要素である相手部材は内輪に限定されず、例えば、スリンガ、軸等の環状部品を相手部材にしてもよい。また、シール部材が取り付けられるシールハウジングは外輪に限定されず、外輪間座、軸受ハウジング、ミッションケース等、他のハウジングにシール部材を取り付けてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シール部材
2 相手部材
3 外輪
4 転動体
7,20 シールリップ
8 シール摺動面
10 シール空間
11,30 リップ部
12 腰部
13 頭部
14,33 リップ先端部
15 第一側面
16 第二側面
31 突起
32 油通路

Claims (7)

  1. シール空間(10)と外部間を区切るシール部材(1)と、前記シール部材(1)に対して周方向に相対回転する相手部材(2)とを備え、
    前記シール部材(1)が、ゴム材で形成されたシールリップ(7,20)を有し、
    前記相手部材(2)が、前記シールリップ(7,20)に対して周方向に摺動するシール摺動面(8)を有し、
    前記シールリップ(7,20)が、前記シール摺動面(8)に対する締め代(δ)をもったリップ部(11,30)と、当該リップ部(11,30)から弾性曲げ作用が負荷される腰部(12)とを有するオイルシールにおいて、
    前記シールリップ(7,20)が、前記締め代(δ)の増加に応じて前記腰部(12)の曲げ変形位置を移動すると共に前記シール摺動面(8)における前記リップ部(11,30)との接触位置を保つように弾性変形可能な形状を有することを特徴とするオイルシール。
  2. 前記シールリップ(7,20)が、前記締め代(δ)の増加に応じて前記腰部(12)を巻く形状を有する請求項1に記載のオイルシール。
  3. 前記シールリップ(7,20)が、前記リップ部(11,30)に連続しかつ前記腰部(12)に接触する頭部(13)を有し、前記リップ部(11,30)が、前記シール部材(1)の軸線を含む仮想平面上において仮想円の一部を成す形状のリップ先端部(14,33)を有し、前記頭部(13)が、前記仮想円の他の一部を成す形状を有する請求項2に記載のオイルシール。
  4. 前記腰部(12)が、前記仮想平面上において前記シール摺動面(8)と交差する方向に直線状に延びる第一側面(15)と、前記第一側面(15)に沿って延びかつ前記リップ先端部(14,33)に連続する第二側面(16)とを有し、前記頭部(13)が前記第一側面(15)に接触する請求項3に記載のオイルシール。
  5. 前記シール摺動面(8)が、軸方向に沿って延びる円筒面状に形成されており、前記腰部(12)の前記第一側面(15)及び前記第二側面(16)が径方向に沿って延びる請求項4に記載のオイルシール。
  6. 前記リップ部(30)が、前記シール空間(10)と外部間に亘って連通する油通路(32)を前記シール摺動面(8)との間に生じさせる突起(31)を有し、前記突起(31)が、前記リップ先端部(33)を有する請求項2から5のいずれか1項にオイルシール。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のオイルシールを備え、前記シール空間(10)が軸受内部空間であるシール付軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022202899A1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-29 Ntn株式会社 シール付軸受

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