以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素については同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の外観視の斜視図であり、図1(A)は、メンテナンスリッドが閉止された状態、図1(B)は、メンテナンスリッドが開放された状態、図1(C)は、メンテナンスリッドが開放されてトナーコンテナが取り外された状態をそれぞれ示している。なお、図1において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
本実施の形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、カラー印刷が可能に構成されたものであり、外観視で略立方体状を呈した筐体としての本体11内に後述する各種の機器が装着されることによって構成されている。本体11は、全体的に丸みを帯びた形状とされ、ユーザーに対して視覚的に優しく、かつ、コンパクトな印象を与え得るようにデザインされている。本体11は、上面に排紙トレイ161が設けられ、ユーザーが対面する前面上部にメンテナンスリッド112が設けられ、メンテナンスリッド112の下部に挿脱自在の用紙カセット121が配設され、これらによってユーザビリティを考慮した極めて使用し易いものになっている。
排紙トレイ161は、印刷処理が施された用紙Pを受けるものであり、本体11の上面後方で前方を向いて形成された排紙口162から排出される用紙Pを受け得るように前方に向かって円弧状で先上がりに傾斜した傾斜面によって形成されている。
メンテナンスリッド112は、普段は図1(A)に示すように閉止され、後述するトナーコンテナ(補給部)30の交換時に、図1(B)及び図1(C)に示すように、開放される。メンテナンスリッド112は、本体11の一対の側板111の前方位置間で用紙カセット121より若干上方位置に架設された支持軸122a回りに回動自在に軸支され、支持軸122a回りに正逆回動することで本体11の前面開口110を閉止した閉止姿勢Q1(図1(A))と、本体11の前面開口110を開放した開放姿勢Q2(図1(B)及び図1(C))との間で姿勢変更することができる。
メンテナンスリッド112には、支持軸122a回りに回動自在に軸支された手差しトレイ122が設けられている。手差しトレイ122は、印刷用の用紙Pを手差しで画像形成装置10へ供給するときに使用されるものであり、メンテナンスリッド112が閉止姿勢Q1(図1(A)に実線で表示)に姿勢設定された状態で支持軸122a回りに時計方向に回動されることにより、図1(A)に二点鎖線で示すように、メンテナンスリッド112から引き出される。
トナーコンテナ30は、ブラックトナーが充填されたブラック用コンテナ30K、シアントナーが充填されたシアン用コンテナ30C、マゼンタトナーが充填されたマゼンタ用コンテナ30M及びイエロートナーが充填されたイエロー用コンテナ30Yの4種類が採用されている。かかるブラック〜イエロー用コンテナ30K、30C、30M、30Yは、本体11内で前面開口110に臨んで左から右へ向かってブラック用コンテナ30K、シアン用コンテナ30C、マゼンタ用コンテナ30M及びイエロー用コンテナ30Yの順に並設されている。
したがって、ユーザーは、メンテナンスリッド112を開放することにより、図1(B)に示すように、ブラック〜イエロー用コンテナ30K、30C、30M、30Yと対面することになる。この状態で交換のためにブラック〜イエロー用コンテナ30K、30C、30M、30Yを本体11内から取り除くと、図1(C)に示す状態になる。
本実施の形態においては、トナーとして非磁性の一成分系のものを採用することができる。あるいは、磁性の一成分系のトナーを採用してもよい。
用紙カセット121は、印刷用の用紙Pを貯留するためのものであり、本体11に対して挿脱可能に装着されている。図1に示す例では、用紙カセット121は2段で設けられているが、1段であってもよいし、3段以上であってもよい。
図2は、図1に示す画像形成装置10の内部構造の側面断面視の説明図である。なお、図2におけるYによる方向表示は、図1の場合と同様(−Y:前方、+Y:後方)である。図2に示すように、画像形成装置10は、用紙Pを後述する画像形成部13へ送り込む給紙部12と、給紙部12から送り込まれた用紙Pを搬送しながら用紙Pにトナー像を転写する画像形成部13と、画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像に対し定着処理を施す定着部14と、定着部14で定着処理の施された用紙Pの排出先を切り換える排出先切換え部15と、印刷処理が完了した用紙Pを排出する排紙部16と、が本体11に装着されることにより構成されている。
給紙部12は、本体11内の下部に挿脱自在に装着された複数枚の用紙Pが貯留可能な用紙カセット121と、用紙Pを手差しで給紙するときに用いられる手差しトレイ122とを備えている。
各用紙カセット121の前側上方位置にはピックアップローラ123がそれぞれ設けられ、ピックアップローラ123の駆動によって用紙カセット121に貯留されている用紙Pが1枚ずつピックアップされて画像形成部13に向けて送り出される。
画像形成部13は、周面に静電潜像及びこの静電潜像に沿ってトナー像が形成される左右方向(図2の紙面に直行する方向)に延びた軸心回りに回転可能な感光体ドラム(像担持体)131と、感光体ドラム131の周面に帯電処理を施すことにより同周面に一様な電荷を形成させる帯電ローラ132と、帯電ローラ132により一様な電荷の付与された感光体ドラム131の周面に画像情報に基づくレーザー光を照射することにより同周面に静電潜像を形成させる露光装置133と、この静電潜像の形成された感光体ドラム131の周面にトナーを供給することにより同周面にトナー像を形成させる現像装置10aと、感光体ドラム131の周面に形成されたトナー像が転写される転写ベルト134と、感光体ドラム131上のトナー像を静電的に引き剥がして転写ベルト134の表面に転写させる一次転写ローラ135と、転写ベルト134上のトナー像を静電的に引き剥がして給紙部12から送り込まれた用紙Pに転写させる二次転写ローラ136と、転写ベルト134へ転写後の感光体ドラム131の周面を清浄化処理するドラムクリーニング装置137と、用紙Pに対する転写処理後の転写ベルト134の表面に清浄化処理を施すベルトクリーニング装置138と、転写ベルト134上のトナー像の色の違いを補正して色を統一するために画像形成部13の特性を調節するために、転写ベルト134上のトナー像の濃度を検知する濃度センサ139と、を備えている。
帯電ローラ132は、図略の電源から印加された高圧電圧によって周面に所定の極性の電荷が形成されるようになっている。帯電ローラ132の周面が感光体ドラム131の周面に当接されていることにより、感光体ドラム131の周面に一様な電荷が形成される。
露光装置133は、帯電ローラ132によって一様に帯電された感光体ドラム131の周面に、図略のコンピュータ等から入力された画像データに基づくレーザー光を照射するものであり、このレーザー光の照射によって感光体ドラム131の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置10aからのトナーが供給されることにより、感光体ドラム131の周面にトナー像が形成され、このトナー像が周回している転写ベルト134に転写される。
現像装置10aは、感光体ドラム131に隣設された状態で感光体ドラム131にトナーを供給する回転式現像器(現像部)20と、回転式現像器20にトナーを補給するべく本体11に対し着脱自在に装着されたトナーコンテナ(補給部)30と、を備えている。
回転式現像器20は、側面視(図2の紙面に直行する方向からみた状態)で円形に形成された回転枠体21と、回転枠体21に周方向で等ピッチに装着された4つの単位現像器22とを備えて構成されている。回転枠体21は、感光体ドラム131の後方位置で感光体ドラム131の軸心と平行に、かつ、略同一高さレベルで配設された枠体軸211回りに回転可能に軸支されている。回転枠体21は、枠体軸211から径方向に向けて突設された4枚の仕切板212によって周方向に均等に4区画に区分され、各区画に単位現像器22が装着されている。
単位現像器22は、ブラックトナーが充填されるブラック用単位現像器22Kと、シアントナーが充填されるシアン用単位現像器22Cと、マゼンタトナーが充填されるマゼンタ用単位現像器22Mと、イエロートナーが充填されるイエロー用単位現像器22Yとの4種類が存在する。そして、感光体ドラム131の周面にイエロートナーでトナー像を形成させるときは、回転枠体21の枠体軸211回りの回転によってイエロー用単位現像器22Yが感光体ドラム131と対向するように位置設定され、この状態で感光体ドラム131が一周することによりその周面にイエローのトナー像が形成される。このイエローのトナー像は、周回している転写ベルト134に直ちに転写される。
感光体ドラム131の周面にマゼンタ、シアン及びブラックのトナー像を形成されるときもイエローのときと同様であり、対象の色のトナーの充填された単位現像器22が感光体ドラム131の周面と対向され、これによって転写ベルト134への転写処理によりトナー像が消滅した感光体ドラム131の周面には次の色のトナー像が順次転写されていく。
そして、転写ベルト134の周回と感光体ドラム131のトナー像形成動作とを適正に同期させることにより、転写ベルト134の表面には、カラー画像が形成される。このカラー画像が給紙部12から給紙された用紙Pに二次転写ローラ136の作用で転写されることにより用紙Pに対しカラー印刷が行われる。
なお、二次転写ローラ136の直上流側の位置にはレジストローラ対124(図2)が設けられ、給紙部12から画像形成部13へ送り込まれた用紙Pは、レジストローラ対124によって搬送タイミングが調整されるようになされている。レジストローラ対124による搬送タイミングのタイミング調整によって転写ベルト134上のカラー画像が用紙P上の適正な位置に転写される。
図3は、単位現像器22の構成を示す図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は図3(A)のIIIB−IIIB線拡大断面図である。図3におけるX及びYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
図3に示すように、単位現像器22は、側面視で中心角が90°に設定された前後方向一対の扇形側板221と、これら一対の扇形側板221間に挟持されたトナー貯留容器222と、図3(A)のトナー貯留容器222内の下部で一対の扇形側板221間に架設された現像ローラ223と、図3(B)のトナー貯留容器222内の下部で一対の扇形側板221間に現像ローラ223と平行に架設された攪拌搬送部材224と、を備えている。
攪拌搬送部材224は、図3(B)の左方の隅部に設けられたスクリューフィーダ224aと、スクリューフィーダ224aと現像ローラ223との間に介設された中継ローラ224bとからなっている。そして、スクリューフィーダ224aと中継ローラ224bとの間には、トナー貯留容器222の円弧天板222bから延設された仕切り板226が設けられ、仕切り板226によってトナー貯留容器222内は、スクリューフィーダ224a側の第1室222cと、中継ローラ224b側の第2室222dとに二分割されている。
仕切り板226の適所には少なくとも前後方向一対の連絡開口226aが設けられ、図略の駆動モータの駆動でスクリューフィーダ224a及び中継ローラ224bが軸心回りに駆動回転されることにより、トナー貯留容器222内に補給されたトナーは、これらの連絡開口226aを介して第1室222cと第2室222dとの間を循環移動する。
第2室222dに導入され、かつ、中継ローラ224bの周面により現像ローラ223へ向けて運ばれつつあるトナーは、円弧天板222bから現像ローラ223の周面に向けて延設されたブレード227の先端を潜って所定の層厚になり、この所定の層厚のトナーが現像ローラ223の周面から感光体ドラム131の周面に供給されることで感光体ドラム131の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。現像ローラ223には電圧印加部60が接続されている。電圧印加部60は、DCバイアス電圧VdcにACバイアス電圧Vppを重畳した現像バイアス電圧を現像ローラ223に与え、感光体ドラム131との間に電位差を発生させる。この電位差によって現像ローラ223の周面から感光体ドラム131の周面にトナーが供給される。
トナー貯留容器222の曲率周面の適所には、トナーを単位現像器22内に導入するためのトナー導入開口222aが穿設されている。トナー導入開口222aには、トナー導入開口222aを閉止するためのゴム等の弾性材料製のシート状蓋体225が貼着その他で設けられている。シート状蓋体225の略中央位置には、後述するトナー移送機構50の先端を差し込むためのスリット225aが設けられている。トナー移送機構50がスリット225aに差し込まれることにより、トナーコンテナ30からのトナーがトナー貯留容器222内に装填されることになる。
図2に戻り、転写ベルト134は、一次転写ローラ135と、一次転写ローラ135の若干後方位置に設けられたアイドルローラ134cと、感光体ドラム131の下方の若干後方側に設けられた図略の駆動モータの駆動で駆動回転する駆動ローラ134aと、感光体ドラム131の下方の前方位置で駆動ローラ134aと対向配置された従動ローラ134bとに掛け回されている。
従動ローラ134bは、コイルスプリング等の付勢部材134dの付勢力によって駆動ローラ134aから離間する方向に向けて付勢され、これによって転写ベルト134の緊張状態が維持されるようになっている。そして、二次転写ローラ136は、駆動ローラ134aの直下位置で転写ベルト134を介して駆動ローラ134aと対向配置されている。
二次転写ローラ136には、転写ベルト134上のトナー画像を静電的に引き剥がすバイアス電圧が図略の電源から印加されている。したがって、転写ベルト134と二次転写ローラ136との間を通過する用紙Pには、転写ベルト134のトナー画像が転写される。
駆動ローラ134aとアイドルローラ134cとの間には、用紙Pに対する転写処理後の転写ベルト134の表面を清浄化処理するベルトクリーニング装置138が設けられ、ベルトクリーニング装置138によって清浄化処理が施された転写ベルト134は、次の転写処理を受けるために感光体ドラム131へ向かうことになる。
従動ローラ134bと駆動ローラ134aとの間には、濃度センサ139が設けられている。濃度センサ139は、転写ベルト134上のトナー像の濃度を検知し、その検知結果に基づき画像形成部13の特性が調節される。例えば、転写ベルト134上のトナー像の色の違いが補正されて色統一が行われる。
定着部14は、画像形成部13で用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、通電発熱体により加熱される定着ローラ141と、定着ローラ141に対向配置され、周面が定着ローラ141の周面に押圧当接される加圧ローラ142とを備えている。
そして、画像形成部13で転写ベルト134により転写処理の施された用紙Pは、転写ベルト134と二次転写ローラ136とに挟持された状態で転写ベルト134の周回に誘導されて定着部14に導入され、定着ローラ141と加圧ローラ142との間を通過するときの加熱によりトナー像が用紙Pに定着処理される。
定着処理後の用紙Pは、第1排出ローラ対143の駆動により排紙搬送路101へ導出され、第2排出ローラ対102の順駆動で排紙搬送路101を上昇させられ、排紙口162を通って本体11の頂部に設けられた排紙トレイ161へ排出される。
排出先切換え部15は、用紙Pに対して両面印刷を施す場合に利用されるものであり、片面の定着処理が完了して定着部14から一旦排紙搬送路101へ送り出された用紙Pを表裏逆転させた状態で再度画像形成部13へ返送するようになっている。排出先切換え部15は、排紙搬送路101の下端部に第1排出ローラ対143の下方のものと周面同士が互いに当接するように対向配置された返送ローラ151と、返送ローラ151の下部から定着部14の下を通ってレジストローラ対124の上流側(図2における右側)へ延びた返送搬送路152とを備えている。
そして、用紙Pに両面印刷を施すに際しては、片面印刷が完了した定着処理後の用紙Pを、その後端が第1排出ローラ対143を通過するまで排紙搬送路101へ導出し、引き続き第2排出ローラ対102を逆駆動させるようになされている。こうすることで片面印刷の完了した用紙Pは、返送ローラ151の駆動に誘導されて返送搬送路152へ逆送され、返送搬送路152を通って表裏が逆転した状態でレジストローラ対124へ向かわせられるため、以後、画像形成部13において用紙Pの裏面側に印刷処理が施されることになる。
トナーコンテナ30は、回転式現像器20のブラック用単位現像器22K、シアン用単位現像器22C、マゼンタ用単位現像器22M及びイエロー用単位現像器22Yに対してそれぞれ各カラーのトナーを補給するべく各カラーのトナーを貯留するものであり、ブラック〜イエロー用単位現像器22K、22C、22M、22Yに対応して4台が採用されている。
これら4台のトナーコンテナ30は、図1(B)及び図1(C)に示すように、本体11内の前方の略中段位置に左右方向に延びるように設けられた台座40の上に着脱可能に装着されている。各トナーコンテナ30と回転式現像器20との間には、トナーコンテナ30内のトナーを各単位現像器22へ送り込むためのトナー移送機構50が設けられている。台座40には、左方から右方に向けてブラック用コンテナ30K、シアン用コンテナ30C、マゼンタ用コンテナ30M及びイエロー用コンテナ30Yが並列状態でそれぞれ装着されている。
トナー移送機構50は、回転式現像器20の上方位置でブラック〜イエロー用単位現像器22K、22C、22M、22Yのそれぞれのシート状蓋体225に対応するように4台が左右方向に並設されている。そして、トナー移送機構50の一部がシート状蓋体225のスリット225aを貫通して単位現像器22内に侵入した状態でトナー移送機構50内を移送されてきたトナーが単位現像器22内に供給される。
本実施の形態に係る画像形成装置10においては、4つの単位現像器22のうちのいずれかの単位現像器22が対感光体ドラム対向姿勢に姿勢設定された状態で、当該単位現像器22の第2室222d内のトナー量が感光体ドラム131の周面に正常に画像形成処理を施すために必要な最小限のトナー量未満になったときに、第2室222d内が空状態であるとして検知されるように制御が行われる。以下、この制御について説明する。
ここで、上記の必要最小限のトナー量(以下、「必要最小限トナー量」と呼ぶ。)について説明する。必要最小限トナー量とは、第2室222d内の現像ローラ223の軸方向の画像濃度が均一に維持できない量、または第2室222d内の劣化トナーが増加し、通常の現像バイアス条件では画像濃度が維持できない状態となるときの量のことである。
必要最小限トナー量未満であるか否かの判別は、転写ベルト134上のトナー像の濃度を検知する濃度センサ139を用いて、そのトナー像の濃度を検出することにより行うことができる。具体的には、所定のタイミングで通常の現像バイアス電圧条件(以下、「通常条件」と呼ぶ。)よりも小さく設定されたDutyのバイアス電圧条件(以下、「トナー量検知用条件」と呼ぶ。)で、100%ベタパターン画像と白紙パターン画像とを転写ベルト134上に形成し、各々の画像濃度を検知し、100%ベタパターン画像と白紙パターン画像との間の濃淡が通常条件の場合に対して逆転したときに必要最小限トナー量に達したと判断する。
Dutyとは、例えば、Dutyが40%であれば、現像ローラ223から感光体ドラム131上へトナーが移動する方向の電界方向を正方向としたとき、その正方向の比率が40%であり、その逆方向が60%であるACバイアス電圧のことである。ここからDutyを例えば15%に低下させると、トナーが現像ローラ223から感光体ドラム131方向に移動する電界が印加される時間が短くなり、現像ローラ223側に引き戻す時間が長くなる。
このDutyの低下は、第2室222d内の劣化トナーが逆帯電し、その量が増加している場合、逆帯電トナーを現像ローラ223から感光体ドラム131側に移動させる電界の印加時間が長くなることとなり、白紙パターン画像の濃度が増大し、且つ、100%ベタパターン画像の濃度が減少することを引き起こす。すなわち、このDutyを低下させたときの濃度が、上述したように、通常条件の場合と逆転している場合には、第2室222d内のトナー中の逆帯電トナーの割合が増大し、例えば50%を超えている可能性が高いと判断することができる。したがって、通常条件での濃度維持が困難になったと判断することができる。
かかる制御を行うために、本体11内の適所には、制御部70と、電圧印加条件管理部80とが設けられている。図4は、制御部70及び電圧印加条件管理部80による制御を説明するためのブロック図である。制御部70は、図4に示すように、演算処理装置であるCPU(central processing unit)71と、CPU71に付設された読み出し専用のROM(read only memory)72と、同読み書き自在のRAM(random access memory)73と、を備えた基本構成を有している。
ROM72には、本制御を実行するためのプログラムが記憶されており、画像形成装置10に電源が入れられる都度、当該プログラムがCPU71に読み込まれ、以後このプログラムに基づき第2室222d内の空状態を検知する制御が実行される。これに対し、RAM73は、上記制御の実行の際、一時的に用いられる各種のデータを一時的に書き込んだり読み出したりする領域として使用されるものである。
CPU71は、濃度センサ139により検知された転写ベルト134上のトナー像の濃度を取得し、その検知結果に基づいて第2室222d内が空状態であるか否かを検知する検知部711と、上記制御を実行するに当たり、画像形成装置10内の各所に制御信号を出力する出力部712とを備えている。
電圧印加条件管理部80は、図4に示すように、画像形成部13の電圧印加部60に対し、現像ローラ223に与える現像バイアス電圧を設定する設定部81と、設定部81が電圧印加部60に設定する現像バイアス電圧条件が記憶された読み書き自在のRAM82と、を備えている。
設定部81は、出力部712からの制御信号に基づいて電圧印加部60に設定されている現像バイアス条件を変更する。具体的には、設定部81は、出力部712からの制御信号が入力されると、その制御信号に従う現像バイアス条件をRAM82から取得し、電圧印加部60に設定する。
RAM82は、設定部81が電圧印加部60に設定する複数の現像バイアス電圧条件が記憶されている。RAM82が記憶する現像バイアス電圧条件には上述した通常条件及びトナー量検知用条件が含まれる。
制御部70及び電圧印加部管理部80の動作について説明すると、検知部711は、予め定められたタイミングにおいて単位現像器22の第2室222d内の空状態を検知する動作を開始する。検知部711がこの動作を開始する旨を出力部712に出力すると、その旨を受けた出力部712は給紙部12及び定着部14に給紙動作及び定着動作を一時的に停止させるための制御信号を給紙部12及び定着部14に出力する。
また、出力部712は画像形成部13にトナー量を検知するための画像パターン(以下、「トナー量検知用パターン」と呼ぶ。)を形成させるための制御信号を出力する。さらに、出力部712は電圧印加条件管理部80に画像形成部13の電圧印加部60に上記のトナー量検知用条件を設定させるための制御信号を出力し、その制御信号を受けた電圧印加条件管理部80は電圧印加60に上記のトナー量検知用条件を設定する。
画像形成部13においては、電圧印加条件管理部80からの制御信号に基づいて電圧印加部60が現像ローラ223に上記のトナー量検知用条件に従う現像バイアス電圧を与え、現像ローラ223と感光体ドラム131との間に電位差を発生させる。同時に、出力部712からの制御信号に基づいて露光装置133が感光体ドラム131の周面にトナー量検知用パターンに沿ってレーザー光を照射して同周面に静電潜像を形成させる。
そして、現像装置10aがこの静電潜像の形成された感光体ドラム131の周面にトナーを供給し、同周面にトナー像を形成させると、感光体ドラム131の周面に形成されたトナー像が転写ベルト134に転写されることになる。転写ベルト134上のトナー像の濃度は濃度センサ139により検知されており、その検知された濃度が検知部711に出力されることになる。
検知部711は、濃度センサ139により検知された転写ベルト134上のトナー像の濃度に基づいて単位現像器22の第2室222d内が空状態であるか否かを検知する。以下、この検知部711による検知動作について図5〜7を用いて具体的に説明する。図5は、電圧印加部60に設定される現像バイアス電圧条件の具体例であり、図5(A)は、上記の通常条件に相当し、図5(B)は、上記のトナー量検知用条件に相当する。
図5(A)に示す上記の通常条件においては、DCバイアス電圧Vdcを60V、ACバイアス電圧Vppを1100V、周波数fを4kHz、Dutyを40%としている。具体的には、この通常条件においては、60VのDCバイアス電圧Vdcに1100VのACバイアス電圧Vppが重畳された現像バイアス電圧であって、現像ローラ223から感光体ドラム131上へトナーが移動する方向の電圧が610V、感光体ドラム131上から現像ローラ223へトナーを引き戻す方向の電圧が−490Vであり、1周期のうち610Vが印加時間が40%、−490Vの印加時間が60%に設定された現像バイアス電圧が4kHzの周波数fで現像ローラ223に与えられる。
一方、図5(B)に示す上記のトナー量検知用条件においては、DCバイアス電圧Vdcを60V、ACバイアス電圧Vppを1100V、周波数fを4kHz、Dutyを15%としている。具体的には、このトナー量検知用条件においては、60VのDCバイアス電圧Vdcに1100VのACバイアス電圧Vppが重畳された現像バイアス電圧であって、現像ローラ223から感光体ドラム131上へトナーが移動する方向の電圧が610V、感光体ドラム131上から現像ローラ223へトナーを引き戻す方向の電圧が−490Vであり、1周期のうち610Vが印加時間が15%、−490Vの印加時間が85%に設定された現像バイアス電圧が4kHzの周波数fで現像ローラ223に与えられる。
図6は、上記のトナー量検知用パターンの具体例である。図6に示す上記のトナー量検知用パターンは、白紙パターン画像中に細い100%ベタパターン画像が存在する画像パターンである。
図7に、濃度センサ139により検知された転写ベルト134上のトナー像を示す。まず、第2室222d内のトナー量が満タン状態の場合について説明する。この場合、第2室222d内の劣化トナーの量は少ないため、図5(A)の通常条件の現像バイアス電圧が現像ローラ223に与えられた状態で、図6のトナー量検知用パターンが形成されると、図7に示すように、図6のパターンに従った画像が形成される。また、図5(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧が与えられた状態であっても、100%ベタパターン画像の濃度は低下するものの、図7に示すように、図6のパターンに従った画像が形成されている。
一方、第2室222d内のトナー量が空状態の場合、上記の満タン状態の画像とは異なる画像が形成される。すなわち、第2室222d内のトナー量が空状態の場合、第2室222d内に逆帯電した劣化トナーが増えている。このため、図5(A)の通常条件の現像バイアス電圧が与えられた状態であれば、図7に示すように、図6のパターンに従った画像が形成されるが、図5(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧が与えられた状態では、100%ベタパターン画像と白紙パターン画像との間の濃淡に逆転が生じる。この逆転が起きるのは、上述したように、図5(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧の場合には、逆帯電トナーが現像ローラ223から感光体ドラム131側に移動する電界の印加時間が増大し、その結果、白紙パターン画像の濃度が増大し、100%ベタパターン画像の濃度が減少してしまうからである。したがって、この濃淡の逆転の発生に基づき第2室222d内のトナー量が空状態であると判断することができる。
上述したように、検知部711は、図5(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧が現像ローラ223に印加された状態で、図6のトナー量検知用パターンの画像形成を行い、その画像の濃度に基づき単位現像器22の第2室222d内が空状態であるか否かを検知することができる。
以上説明したように、本実施の形態に画像形成によれば、現像ローラ223に与えられれる現像バイアス電圧のDutyを低下させた状態で、白紙パターン画像と100%ベタパターン画像とを形成し、各々の画像濃度を検知することにより、単位現像器22の第2室222d内が空状態であるか否かを検知することができる。
なお、本実施の形態においては、上記のトナー量検知用パターンとして図6に示した白紙パターン画像中に細い100%ベタパターン画像が存在する画像パターンを用いたが、本発明はこのパターンに限られるものではない。要は、白紙パターン画像と100%ベタパターン画像の2つの画像が存在していれば良い。例えば、100%ベタパターン画像中に細い白紙パターン画像が存在する画像パターンであっても構わない。
また、本実施の形態においては、転写ベルト134上のトナー像の濃度を検知しているが、感光体ドラム131上のトナー像の濃度を検知しても構わない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。上記の実施の形態1のトナー量検知用条件は、その現像バイアス電圧のDutyを低下させて、現像ローラ223から感光体ドラム131上へトナーが移動する方向の電圧の印加時間を短縮し、感光体ドラム131上から現像ローラ223へトナーを引き戻す方向の電圧の印加時間を増加させるものであった。これに対し、本実施の形態のトナー量検知用条件は、現像バイアス電圧のDutyを低下させることに代えて、DCバイアス電圧Vdcを低下させるものである。その他については上記の実施の形態1と同様であり、ここでは説明を繰り返さない。
図8は、電圧印加部60に設定される現像バイアス電圧条件の他の具体例であり、図8(A)は、上記の通常条件に相当し、図8(B)は、上記のトナー量検知用条件に相当する。
図8(A)に示す上記の通常条件においては、DCバイアス電圧Vdcを60V、ACバイアス電圧Vppを1100V、周波数fを4kHz、Dutyを40%としている。具体的には、この通常条件においては、60VのDCバイアス電圧Vdcに1100VのACバイアス電圧Vppが重畳された現像バイアス電圧であって、現像ローラ223から感光体ドラム131上へトナーが移動する方向の電圧が610V、感光体ドラム131上から現像ローラ223へトナーを引き戻す方向の電圧が−490Vであり、1周期のうち610Vが印加時間が40%、−490Vの印加時間が60%に設定された現像バイアス電圧が4kHzの周波数fで現像ローラ223に与えられる。
一方、図8(B)に示す上記のトナー量検知用条件においては、DCバイアス電圧Vdcを30V、ACバイアス電圧Vppを1100V、周波数fを4kHz、Dutyを40%としている。具体的には、このトナー量検知用条件においては、30VのDCバイアス電圧Vdcに1100VのACバイアス電圧Vppが重畳された現像バイアス電圧であって、現像ローラ223から感光体ドラム131上へトナーが移動する方向の電圧が580V、感光体ドラム131上から現像ローラ223へトナーを引き戻す方向の電圧が−520Vであり、1周期のうち580Vが印加時間が40%、−520Vの印加時間が60%に設定された現像バイアス電圧が4kHzの周波数fで現像ローラ223に与えられる。
本実施の形態においては、図8(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧が与えられた状態で、図6のトナー量検知用パターンが形成されると、上記の実施の形態1の場合と同様、100%ベタパターン画像と白紙パターン画像との間の濃淡に逆転が生じる。この逆転が起きるのは、図8(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧の場合には、感光体ドラム131上から現像ローラ223へトナーを引き戻す方向の電圧が増加されるため、逆帯電トナーが現像ローラ223から感光体ドラム131側に移動する電界が増大し、その結果、白紙パターン画像の濃度が増大し、100%ベタパターン画像の濃度が減少してしまうからである。
本実施の形態においては、検知部711は、図8(B)のトナー量検知用条件の現像バイアス電圧が現像ローラ223に印加された状態で、図6のトナー量検知用パターンの画像形成を行い、その画像の濃度に基づき単位現像器22の第2室222d内が空状態であるか否かを検知することができる。
本発明は上記の実施形態1、2に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態1、2においては、本発明に係る現像装置が適用される画像形成装置としてプリンタ10を例に挙げて説明した。本発明は、複写機やファクシミリ装置にも適用可能である。
(2)上記の実施形態1、2においては、現像装置として複数の単位現像器22からなるカラー印刷用の回転式現像器20が採用されているが、本発明は、現像器がモノクロ印刷用のものであってもよいし、カラー印刷用のものであっても、回転式現像器20に限らず、各色の単位現像器が横方向に向けて並設された、いわゆるタンデム式の現像装置であってもよい。