以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を備えたシフト制御システム10の構成を示す。本実施の形態に係るシフト制御システム10は、車両のシフトポジションを切り換えるために用いられる。シフト制御システム10は、Pスイッチ20と、シフトスイッチ26と、車両電源スイッチ28と、車両の制御装置(以下、「EFI−ECU(Electronic Control Unit)」と表記する)30と、パーキング制御装置(以下、「SBW(Shift By Wire)−ECU」と表記する)40と、アクチュエータ42と、エンコーダ46と、シフト切換機構48と、表示部50と、メータ52と駆動機構60と、エンジン回転数センサ70と、サイドブレーキスイッチ80と、勾配センサ90とを含む。シフト制御システム10は、電気制御によりシフトポジションを切り換えるシフトバイワイヤシステムとして機能する。具体的にはシフト切換機構48がアクチュエータ42により駆動されてシフトポジションの切り換えを行なう。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置は、SBW−ECU40により実現される。
車両電源スイッチ28は、車両電源のオン・オフを切り換えるためのスイッチである。車両電源スイッチ28は、特に限定されるものではないが、たとえば、イグニッションスイッチである。車両電源スイッチ28がドライバなどのユーザから受付けた指示はEFI−ECU30に伝達される。たとえば、車両電源スイッチ28がオンされることにより、図示しない補機バッテリから電力が供給されて、シフト制御システム10が起動される。
Pスイッチ20は、シフトポジションをパーキングポジション(以下、「Pポジション」と呼ぶ)とパーキング以外のポジション(以下、「非Pポジション」と呼ぶ)との間で切り換えるためのスイッチであり、スイッチの状態をドライバに示すためのインジケータ22、およびドライバからの指示を受付ける入力部24を含む。ドライバは、入力部24を通じて、シフトポジションをPポジションに入れる指示を入力する。入力部24はモーメンタリスイッチであってもよい。入力部24が受付けたドライバからの指示を示すP指令信号は、SBW−ECU40に送信される。なお、このようなPスイッチ20以外により、非PポジションからPポジションにシフトポジションを切り換えるものであってもよい。
SBW−ECU40は、シフトポジションをPポジションと非Pポジションとの間で切り換えるために、シフト切換機構48を駆動するアクチュエータ42の動作を制御し、現在のシフトポジションの状態をインジケータ22に提示する。シフトポジションが非Pポジションであるときにドライバは入力部24を押下すると、SBW−ECU40はシフトポジションをPポジションに切り換えて、インジケータ22に現在のシフトポジションがPポジションである旨を提示する。
アクチュエータ42は、スイッチドリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」と表記する)により構成され、SBW−ECU40からのアクチュエータ制御信号を受信してシフト切換機構48を駆動する。エンコーダ46は、アクチュエータ42と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知する。本実施の形態のエンコーダ46は、A相、B相およびZ相の信号を出力するロータリーエンコーダである。SBW−ECU40は、エンコーダ46から出力される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行なう。
シフトスイッチ26は、シフトポジションをドライブ(D)ポジション、リバース(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション、ブレーキ(B)ポジションなどのポジションに切り換えたり、またPポジションに入れられているときには、Pポジションを解除したりするためのスイッチである。シフトスイッチ26が受付けたドライバからの指示を示すシフト信号はSBW−ECU40に送信される。SBW−ECU40は、ドライバからの指示を示すシフト信号に基づき、EFI−ECU30を通じて、駆動機構60におけるシフトポジションを切り換える制御を行なうとともに、現在のシフトポジションの状態をメータ52に提示する。駆動機構60は、無段変速機構から構成されているが、有段変速機構から構成されてもよい。
EFI−ECU30は、シフト制御システム10の動作を統括的に管理する。表示部50は、EFI−ECU30またはSBW−ECU40が発したドライバに対する指示や警告などを表示する。メータ52は、車両の機器の状態やシフトポジションの状態などを提示する。
エンジン回転数センサ70は、車両に搭載された内燃機関(以下、エンジンという)の回転数を検出する。エンジン回転数センサ70は、検出されたエンジン回転数を示す信号をEFI−ECU30に送信する。なお、エンジン回転数センサ70は、検出されたエンジン回転数を示す信号をSBW−ECU40に送信するようにしてもよい。
サイドブレーキスイッチ80は、サイドブレーキ(図示せず)の作動状態および非作動状態を検出する。たとえば、サイドブレーキが運転者により操作されたときに、その操作量が予め定められた操作量を超えて操作されるときに、サイドブレーキスイッチ80は、EFI−ECU30にサイドブレーキの作動状態を示す信号を送信する。また、サイドブレーキスイッチ80は、サイドブレーキの操作量が予め定められた操作量を下回るときに、EFI−ECU30にサイドブレーキの非作動状態を示す信号を送信したり、あるいは、サイドブレーキの作動状態を示す信号の送信を停止したりする。なお、サイドブレーキスイッチ80は、作動状態あるいは非作動状態を示す信号をSBW−ECU40に送信するようにしてもよい。
勾配センサ90は、車両が停止あるいは走行している路面の勾配を検出する。勾配センサ90は、検出された路面の勾配を示す信号をEFI−ECU30に送信する。勾配の検出方法は特に限定されるものではないが、たとえば、Gセンサ等を用いて路面の勾配を検出すればよい。なお、勾配センサ90は、検出された路面の勾配を示す信号をSBW−ECU40に送信するようにしてもよい。
図2は、シフト切換機構48の構成を示す。以下、シフトポジションは、Pポジション、非Pポジションを意味し、非Pポジションにおける、R、N、Dの各ポジションを含まないとして説明するが、R、N、Dの各ポジションを含むようにしてもよい。すなわち、本実施の形態においては、Pポジションと非Pポジションとの2ポジションの構成について説明するが、Pポジションと、R、N、Dの各ポジションを含む非Pポジションとの4ポジションの構成にしてもよい。
シフト切換機構48は、アクチュエータ42により回転されるシャフト102、シャフト102の回転に伴って回転するディテントプレート100、ディテントプレート100の回転に伴って動作するロッド104、トランスミッション154の図示しない出力軸に固定されたパーキングロックギヤ108、パーキングロックギヤ108をロックするためのパーキングロックポール106、ディテントプレート100の回転を制限してシフトポジションを固定するディテントスプリング110およびころ112を含む。ディテントプレート100は、アクチュエータ42により駆動されてシフトポジションを切り換える。またエンコーダ46は、アクチュエータ42の回転量に応じた計数値を取得する計数手段として機能する。
図2は、シフトポジションが非Pポジションであるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール106がパーキングロックギヤ108をロックしていないので、車両の駆動軸の回転は制限されない。この状態からアクチュエータ42によりシャフト102を時計回り方向に回転させると、ディテントプレート100を介してロッド104が図2に示す矢印Aの方向に押され、ロッド104の先端に設けられたテーパ形状のパーキングロックカム210によりパーキングロックポール106が図2に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート100の回転に伴ってディテントプレート100の頂部に設けられた2つの谷のうちの一方、すなわち非Pポジション位置120にあったディテントスプリング110のころ112は、山122を乗り越えて他方の谷、すなわちPポジション位置124へ移る。ころ112は、その軸方向に回転可能にディテントスプリング110に設けられている。ころ112がPポジション位置124に来るまでディテントプレート100が回転したとき、パーキングロックポール106は、パーキングロックポール106の突起部208がパーキングロックギヤ108の歯部間に嵌合する位置まで押し上げられる。これにより、車両の駆動軸の回転が機械的に制限されて、シフトポジションがPポジションに切り換わる。
本実施の形態に係るシフト制御システム10では、シフトポジション切換時にディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切換機構の構成部品に係る負荷を低減するために、SBW−ECU40が、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて落ちるときの衝撃を少なくするように、アクチュエータ42の回転量を制御する。
ディテントプレート100のそれぞれの谷において、山122から離れた側に位置する面を壁と呼ぶ。すなわち壁は、SBW−ECU40による以下に示す制御を行なわない状態でディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて谷に落ちるときに、ころ112とぶつかる位置に存在する。Pポジション位置124における壁をP壁162と呼び、非Pポジション位置120における壁を非P壁160と呼ぶ。
本実施の形態において、トランスミッション104の内部に、パーキングロック機構200が設けられるとして説明するが、なお、パーキングロック機構200は、駆動輪からトランスミッション154までの間の軸であればいずれに設けられてもよい。また、本実施の形態において、トランスミッション154は、自動変速機であるとして説明するが特に自動変速機に限定されるものではない。
パーキングロック機構200は、図3に示すように、パーキングロックギヤ108と、パーキングロックポール106とから構成される。パーキングロックギヤ108は、本実施の形態において、トランスミッション154の出力軸に設けられてもよいし、出力軸に噛み合わされるギヤの軸に設けられてもよい。パーキングロックギヤ108は、円板形状を有し、軸212の回転方向に沿って複数の歯部204が設けられる。
パーキングロックポール106は、一方端を回転自在にトランスミッション154の筐体に支持される。そして、パーキングロックポール106の中央部には、パーキングロックギヤ108の歯部204に合致する突起部208が設けられる。パーキングロックポール106の他方端には、パーキングロックポール106に当接するようにパーキングロックカム210が設けられる。パーキングロックカム210は、たとえば、円錐形状を有しており、パーキングロックカム210が図2の紙面奥側から手前側に移動すると、パーキングロックポール106の他方端は、円錐形状の傾斜部分に沿って図2の矢印の方向に回転移動する。パーキングロックカム210は、シフトレバー114がパーキングポジションに対応する位置に移動することに応じて、図3の紙面奥側から手前側に移動する。このとき、パーキングロックポールカム210は、シフトレバー114と機械的に連動するような機構により駆動してもよいし、電動モータにより駆動してもよい。パーキングロックカム210の駆動によりパーキングロックポール106の突起部208がパーキングロックギヤ108の歯部204に合致する予め定められた位置に移動すると、パーキングロックギヤ108の回転が制限される。このように、パーキングロック機構200が作動することにより、駆動輪の回転が制限される。
このような構成を有する車両においては、停止中であってパーキングロック機構200が作動している場合には、エンジンの状態によっては、歯打ち音が発生する場合がある。これは、エンジンの始動時、停止時およびアイドル時においてエンジンの回転数に変動が発生すると、トランスミッション154の出力軸においても回転変動が生じることに起因する。そのため、パーキングロック機構200における軸に設けられたパーキングロックギヤ108の歯部とパーキングロックポール106の突起部208とが衝突することにより歯打ち音が発生する。
そこで、本発明は、SBW−ECU40が、車両の状態に基づいてパーキングロック機構200において歯打ち音が発生する条件が成立することを判定すると、歯打ち音の発生が抑制されるようにアクチュエータを制御する点に特徴を有する。
具体的には、SBW−ECU40は、歯打ち音が発生する条件が成立すると、軸の回転の制限が解除されるようにアクチュエータを制御する。すなわち、パーキングロックポール106の突起部208がパーキングロックギヤ108の歯部204から離隔するようにアクチュエータの駆動によりパーキングロックポールカム210を移動させる。
なお、「歯打ち音が発生する条件」は、シフトポジションがパーキングポジションであって、かつ、エンジンの状態が始動、停止およびアイドルのうちのいずれかの状態であるという条件である。
図4に、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の機能ブロック図を示す。SBW−ECU40は、入力インターフェース(以下、入力I/Fと記載する)300と、演算処理部400と、記憶部500と、出力インターフェース(以下、出力I/F)600とを含む。
入力I/F300は、Pスイッチ20の入力部24からのPスイッチ信号と、シフトスイッチ26からのシフト信号と、EFI−ECU30を経由して送信されるエンジン回転数信号と、エンコーダ46からのエンコーダ検出信号とを受信する。
演算処理部400は、シフトポジション判定部402と、エンジン状態判定部404と、アクチュエータ制御部406とを含む。
シフトポジション判定部402は、シフトポジションがパーキングポジションであるか否かを判定する。シフトポジション判定部402は、Pスイッチ20の入力24からのPスイッチ信号およびシフトスイッチ26からのシフト信号に基づいて、選択されているシフトポジションがパーキングポジションであるか否かを判定する。なお、シフトポジション判定部402は、たとえば、シフトポジションがパーキングポジションであることを判定するとパーキング判定フラグをオンするようにしてもよい。
エンジン状態判定部404は、エンジンの状態についての条件が成立するか否かを判定する。具体的には、エンジン状態判定部404は、エンジンの状態が始動、停止およびアイドルのいずれかの状態であるか否かを判定する。たとえば、エンジン状態判定部404は、入力I/F300を経由して受信するエンジン回転数に基づいて、エンジンの状態が始動、停止およびアイドルのいずれかの状態であるか否かを判定する。
エンジン状態判定部404は、エンジンが始動時であることについて、たとえば、エンジン回転数が略ゼロの状態から増加することにより判定するようにしてもよい。エンジン状態判定部404は、エンジンが停止時であることについて、エンジン回転数が自立回転できない回転数であることにより判定するようにしてもよい。さらに、エンジン状態判定部404は、エンジンがアイドル時であることについて、アクセルがオフであって、エンジン回転数が予め定められた回転数以上であることにより判定するようにしてもよい。なお、エンジン状態判定部404は、エンジンの状態についての条件が成立することを判定すると、エンジン条件判定フラグをオンするようにしてもよい。
アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、かつ、エンジンの状態についての条件が成立すると、パーキングロックを解除するようにアクチュエータ制御信号を生成して、出力I/F600を経由してアクチュエータ42に送信する。なお、アクチュエータ制御部406は、パーキング判定フラグがオンであって、エンジン条件判定フラグがオンであると、パーキングロックを解除するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
また、本実施の形態において、シフトポジション判定部402と、エンジン状態判定部404と、アクチュエータ制御部406とは、いずれも演算処理部400であるCPUが記憶部500に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
記憶部500には、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じて演算処理部400からデータが読み出されたり、格納されたりする。
以下、図5を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、SBW−ECU40は、シフトポジションがパーキングポジションであるか否かを判定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100に戻される。
S102にて、SBW−ECU40は、エンジンの状態について条件が成立するか否かを判定する。エンジンの状態についての条件が成立すると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS100に戻される。
S104にて、SBW−ECU40は、アクチュエータ42に対してパーキングロックの解除指令を送信する。このとき、アクチュエータ42は、SBW−ECU40からの制御信号に基づいて、ころ112の位置がPポジション位置124から非Pポジション位置120に移動するようにディテントプレート100を回転させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUの動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。運転者がシフトレバーをパーキングポジションに対応する位置に移動させるなどして、シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、エンジンのアイドル状態が継続したり、運転者がIGスイッチをオフするなどしてエンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S104)。
すなわち、アクチュエータ42の駆動によりころ112の位置がPポジション位置124から非Pポジション位置122に移動するため、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部から離隔した位置となる。このとき、エンジンの回転変動によりトランスミッション154の出力軸に回転変動が生じても、パーキングロックポール106の突起部208とパーキングロックギヤ108の歯部との衝突が回避される。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
なお、本実施の形態においては、シフトポジションがパーキングポジションであって、エンジンの状態についての条件が成立すると、パーキングロック機構200におけるパーキングロックポール106によるパーキングロックギヤ108の回転の制限の解除(以下、単にパーキングロック機構200の解除ともいう)を実施するようにアクチュエータ42を制御するとして説明したが、上記条件に加えて、サイドブレーキが作動状態であると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
具体的には、SBW−ECU40を構成する機能ブロックとして、図2に示す機能ブロックに加えてサイドブレーキ操作判定部(図示せず)をさらに含むようにしてもよい。
サイドブレーキ操作判定部は、入力I/F300を経由して受信するサイドブレーキ信号に基づいて、サイドブレーキが作動状態および非作動状態のうちのいずれの状態であるかを判定する。なお、サイドブレーキ操作判定部は、サイドブレーキが作動状態であると、サイドブレーキ判定フラグをオンし、非作動状態であると、サイドブレーキ判定フラグをオフするようにしてもよい。
アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、エンジンの状態についての条件が成立することに加えて、サイドブレーキが作動状態であると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御する。なお、アクチュエータ制御部406は、パーキング判定フラグおよびエンジン条件判定フラグに加えて、サイドブレーキ判定フラグがオンであると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
以下、図6を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行される、サイドブレーキの状態に応じてアクチュエータ42を制御するプログラムの制御構造について説明する。
なお、図6に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
シフトポジションがパーキングポジションであると判定されると(S100にてYES)、S200にて、SBW−ECU40は、サイドブレーキがオンであるか否かを判定する。サイドブレーキがオンであると(S200にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S200にてNO)、処理はS100に戻される。
以上のようなフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、サイドブレーキが非作動状態であると(S200にてNO)、エンジンの状態に関わらずパーキングロック機構200は解除されない。一方、サイドブレーキが作動状態であると(S200にてYES)、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S104)。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
さらに、本実施の形態においては、サイドブレーキの作動状態についての条件に代えて、車両が停止している路面の勾配が予め定められた勾配以下であるという条件が成立すると、パーキングロック機構200が解除するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
具体的には、SBW−ECU40を構成する機能ブロックとして、上述のサイドブレーキ操作判定部に代えて勾配判定部をさらに含むようにしてもよい。
勾配判定部は、入力I/F300を経由して受信する勾配信号に基づいて、車両が停止している路面の勾配が予め定められた勾配以下であるか否かを判定する。なお、勾配判定部は、路面の勾配が予め定められた勾配よりも大きいと勾配判定フラグをオンし、路面の勾配が予め定められた勾配以下であると、勾配判定フラグをオフするようにしてもよい。なお、「予め定められた勾配」は、車両が自重により移動を開始しない勾配であれば特に限定されるものではなく、たとえば、実験等により適合される。
アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、エンジンの状態についての条件が成立することに加えて、路面の勾配が予め定められた勾配以下であると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御する。なお、アクチュエータ制御部406は、パーキング判定フラグおよびエンジン条件判定フラグがオンであることに加えて、勾配判定フラグがオフであると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
以下、図7を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行される、路面の勾配に応じてアクチュエータ42を制御するプログラムの制御構造について説明する。
なお、図7に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
シフトポジションがパーキングポジションであると判定されると(S100にてYES)、S250にて、SBW−ECU40は、路面の勾配が予め定められた勾配以下であるか否かを判定する。路面の勾配が予め定められた勾配以下であると(S250にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S250にてNO)、処理はS100に戻される。
以上のようなフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、路面の勾配が予め定められた勾配よりも大きいと(S250にてNO)、エンジンの状態に関わらずパーキングロック機構200は解除されない。一方、路面の勾配が予め定められた勾配以下であると(S250にてYES)、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S104)。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
なお、シフトポジションおよびエンジンの状態についての条件に加えて、サイドブレーキの作動状態についての条件および勾配についての条件が成立すると、パーキングロック機構200が解除するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
また、上述したサイドブレーキ操作判定部および勾配判定部は、演算処理部400であるCPUが記憶部500に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、シフトポジションおよびエンジンの状態についての条件が成立すると、軸の制限を解除するように、アクチュエータが制御される。このとき、アクチュエータの回転によりパーキングロックギヤの歯部とパーキングロックポールの突起部とが離隔するため、歯部と突出部との接触が回避されて歯打ち音の発生を抑制することができる。これにより、運転者が感じる違和感を低減することができる。また、車両の駆動源となる回転電機と比較して、パーキングロック機構に必要以上に負荷が付与されることを防止することができる。さらに、たとえば、エンコーダからの回転量に基づいてアクチュエータの回転量を制御することにより、精度高くパーキングロック機構の作動状態を制御することができるため、歯打ち音の発生を精度よく抑制することができる。したがって、パーキングロック機構における歯打ち音の発生を防止するシフト切換機構の制御装置を提供することができる。
さらに、シフトポジションおよびエンジンの状態についての条件の成立に加えて、サイドブレーキの作動状態についての条件および/または勾配についての条件が成立すると、パーキングロック機構200が解除されるため、歯打ち音の発生の抑制とともに、サイドブレーキにより車両の位置が制限されるため、運転者の意図しない車両の移動が抑制される。
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置について説明する。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置の構成と比較して、SBW−ECU40の機能ブロックとしてブレーキ制御部をさらに含む点およびSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、SBW−ECU40が歯打ち音の発生が抑制される制御に加えて、車両の位置が制限されるように車両を制御する点をさらに特徴とする。
具体的には、SBW−ECU40の機能ブロックとして、図2に示す機能ブロックに加えて、ブレーキ制御部(図示せず)をさらに含む。ブレーキ制御部は、アクチュエータ制御部406によりパーキングロック機構200が解除されるとともに、車両に搭載された制動装置(図示せず)の制動力が増加するように、ブレーキ制御信号を生成して、出力I/F600およびブレーキECU(図示せず)を経由して制動装置に送信する。なお、ブレーキ制御部は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、かつ、エンジンの状態についての条件が成立すると、制動力が増加するように、ブレーキECUを経由して制動装置を制御するようにしてもよい。制動装置においては、各種ソレノイドバルブを作動させて油圧回路における油圧を上昇させて、車輪の回転を制限する力(制動力)が増加される。
以下、図8を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行される、アクチュエータの制御に加えて制動力を増加させるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図8に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
パーキングロック機構200の解除指令が送信された後に(S100)、S300にて、SBW−ECU40は、ブレーキECUへ制動装置による制動力の増加指令を送信する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S104)。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
さらに、制動力の増加指令により制動装置により発現する車両の制動力が増加するため、増加した制動力により車両の位置が制限されることとなる。そのため、路面に勾配を有している場合であっても、運転者の意図しない車両の移動が制限される。
本実施の形態においては、制動装置による制動力を増加することにより、車両の位置を制限するとして説明したが、ハイブリッド車両においては、制動装置による制動力の増加に代えて、駆動源である回転電機による制動力を増加することにより、車両の位置を制限するようにしてもよい。
具体的には、SBW−ECU40を構成する機能ブロックとして、上述のブレーキ制御部に代えて、回転電機制御部(図示せず)を含むようにしてもよい。回転電機制御部は、アクチュエータ制御部406によりパーキングロック機構200が解除されるとともに、車両に搭載された回転電機(図示せず)による車両の制動力が増加するように、モータ制御信号を生成して、出力I/F600およびHV−ECUを経由して回転電機に送信する。なお、回転電機制御部は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、かつ、エンジンの状態についての条件が成立すると、制動力が増加するように、HV−ECUを経由して回転電機を制御するようにしてもよい。回転電機においては、出力軸の回転を妨げるようにトルクを発生することにより制動力が増加される。
以下、図9を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行される、アクチュエータの制御に加えて制動力を増加させるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図9に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
パーキングロック機構200の解除指令が送信された後に(S100)、S350にて、SBW−ECU40は、HV−ECUへ回転電機による制動力の増加指令を送信する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S104)。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
さらに、制動力の増加指令により回転電機により発現する車両の制動力が増加するため、増加した制動力により車両の位置が制限されることとなる。そのため、路面に勾配を有している場合であっても、運転者の意図しない車両の移動が制限される。
なお、本実施の形態において、ブレーキ制御部と、MGトルク制御部とは、いずれも演算処理部400であるCPUが記憶部500に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、上述の第1の実施の形態において説明した効果に加えて、歯打ち音の発生が抑制される制御に加えて、制動力が増加するように制動装置が制御されたり、制動力が発現するように回転電機が制御されたりして、車両の位置が制限されるように車両を制御することにより、パーキングロック機構による軸の回転の制限が解除される場合であっても、車両の位置を制限することができる。これにより、運転者の意図しない車両の移動が抑制される。
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置について説明する。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置の構成と比較して、アクチュエータ制御部406の構成およびSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、SBW−ECU40が軸212の回転の制限力が増加するようにアクチュエータ42を制御する点に特徴を有する。具体的には、アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、かつ、エンジンの状態についての条件が成立すると、パーキングロック機構200においてのパーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転に対する制限力が増加するようにアクチュエータ制御信号を生成して、出力I/F600を経由して送信する。
より具体的には、アクチュエータ制御部406は、ころ112がP壁162側に移動するようにディテントプレート100が回転するようにアクチュエータ42を制御する。これにより、パーキングロックカム210がパーキングロックポール106の突起部208のパーキングロックギヤ108の歯部に対する押し付け力を増加するように移動する。そのため、突起部208とパーキングロックギヤ108との間に生じる摩擦力が増加することにより、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転に対する制限力が増加する。
なお、アクチュエータ制御部406は、パーキング判定フラグがオンであって、エンジン条件判定フラグがオンであると、パーキングロック機構200においてのパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加するように、アクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
以下、図10を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図10に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S400にて、SBW−ECU40は、アクチュエータ42に対してパーキングロックポール106の押し込み指令を送信する。このとき、アクチュエータ42は、SBW−ECU40からの押し込み指令に基づいてころ112がP壁162位置に接触する位置まで移動するようにディテントプレート100を回転させる。なお、SBW−ECU40は、たとえば、エンコーダ46から検出されるアクチュエータ42の回転量に基づいてころ112がP壁162位置まで移動するように制御してもよい。このようにすると、精度高くパーキングロックポール106からパーキングロックギヤ108への押し付け力を制御することができる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、パーキングロック機構200においてパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加される(S400)。すなわち、アクチュエータ42の駆動によりころ112がP壁162位置側に移動するため、突起部208のパーキングロックギヤ108の歯部に対する押し付け力が増加する。そのため、突起部208とパーキングロックギヤ108の歯部との間に生じる摩擦力が増加する。このとき、エンジンの回転変動によりトランスミッション154の出力軸に回転変動が生じても、パーキングロックポール106の突起部208とパーキングロックギヤ108の歯部とはその間に生じた摩擦力により相対速度が低減されて緩やかに衝突することとなる。そのため、歯打ち音の発生が回避あるいは発生する歯打ち音の大きさが低減されることとなる。
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、パーキングロック機構における軸の回転の制限力が増加するようにアクチュエータを制御することにより、パーキングロック機構の歯車機構においてのは歯部間の押し付け力が増大して摩擦力が増大するため、歯部間を緩やかに衝突させることができる。そのため、歯打ち音の発生を抑制することができる。
<第4の実施の形態>
以下、第4の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置について説明する。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置の構成と比較して、アクチュエータ制御部406の構成、SBW−ECU40を構成する機能ブロックとしてサイドブレーキ操作判定部をさらに含む点およびSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、サイドブレーキの作動状態に応じて、パーキングロック機構200の解除制御とパーキングロックギヤ108に対する回転の制限力を増加する制御とを選択して実行する点に特徴を有する。具体的には、SBW−ECU40を構成する機能ブロックとして、サイドブレーキ操作判定部をさらに含む。なお、サイドブレーキ操作判定部については、第1の実施の形態において説明したサイドブレーキ操作判定部と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
本実施の形態においては、アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、エンジンの状態についての条件が成立することに加えて、サイドブレーキが作動状態であると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御する。
さらに、アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、かつ、エンジンの状態についての条件が成立することに加えて、サイドブレーキが非作動状態であると、パーキングロック機構200においてパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加するようにアクチュエータ42を制御する。
以下、図11を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図11に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
エンジンの状態について条件が成立すると(S102にてYES)、S450にて、SBW−ECU40は、サイドブレーキがオンであるか否かを判定する。サイドブレーキがオンであると(S450にてYES)、処理はS452に移される。もしそうでないと(S450にてNO)、処理はS454に移される。
S452にて、SBW−ECU40は、アクチュエータ42に対してパーキングロック機構200の解除指令を送信する。このとき、アクチュエータ42は、SBW−ECU40からの制御信号に基づいて、ころ112の位置がPポジション位置124から非Pポジション位置120に移動するようにディテントプレート100を回転させる。
S454にて、SBW−ECU40は、アクチュエータ42に対してパーキングロックポール106の押し込み指令を送信する。このとき、アクチュエータ42は、SBW−ECU40からの押し込み指令に基づいてころ112がP壁162位置に接触する位置まで移動するようにディテントプレート100を回転させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、サイドブレーキが作動状態であるかあるいは非作動状態であるかが判定される(S450)。
サイドブレーキが作動状態であると(S450にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S452)。すなわち、アクチュエータ42の駆動によりころ112の位置がPポジション位置124から非Pポジション位置122に移動するため、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部から離隔した位置となる。このとき、エンジンの回転変動によりトランスミッション154の出力軸に回転変動が生じても、パーキングロックポール106の突起部208とパーキングロックギヤ108の歯部との衝突が回避される。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
一方、サイドブレーキが非作動状態であると(S450にてNO)、パーキングロック機構200においてパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加される(S454)。すなわち、アクチュエータ42の駆動によりころ112がP壁162位置側に移動するため、突起部208のパーキングロックギヤ108の歯部に対する押し付け力が増加する。そのため、突起部208とパーキングロックギヤ108の歯部との間に生じる摩擦力が増加する。このとき、エンジンの回転変動によりトランスミッション154の出力軸に回転変動が生じても、パーキングロックポール106の突起部208とパーキングロックギヤ108の歯部とはその間に生じた摩擦力により相対速度が低減されて緩やかに衝突することとなる。そのため、歯打ち音の発生が回避あるいは発生する歯打ち音の大きさが低減されることとなる。
さらに、本実施の形態においては、サイドブレーキの作動状態についての条件に代えて、車両が停止している路面の勾配が予め定められた勾配以下であるという条件が成立すると、パーキングロック機構200が解除するようにアクチュエータ42を制御し、路面の勾配が予め定められた勾配よりも大きいと、パーキングロック機構200においてパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加するようにアクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
具体的には、SBW−ECU40を構成する機能ブロック図として、サイドブレーキ操作判定部に代えて勾配判定部をさらに含むようにしてもよい。なお、勾配判定部においては、第1の実施の形態において説明した勾配判定部と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
本実施の形態においては、アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、エンジンの状態についての条件が成立することに加えて、路面の勾配が予め定められた勾配以下であると、パーキングロック機構200を解除するようにアクチュエータ42を制御する。
さらに、アクチュエータ制御部406は、シフトポジションがパーキングポジションであることが判定され、かつ、エンジンの状態についての条件が成立することに加えて、路面の勾配が予め定められた勾配よりも大きいと、パーキングロック機構200においてパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加するようにアクチュエータ42を制御する。
以下、図12を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置のSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図12に示したフローチャートの中で、前述の図11に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
エンジンの状態についての条件が成立すると(S102にてYES)、S500にて、SBW−ECU40は、路面の勾配が予め定められた勾配以下であるか否かを判定する。路面の勾配が予め定められた勾配以下であると(S500にてYES)、処理はS452に移される。もしそうでないと(S500にてNO)、処理はS454に移される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について説明する。
たとえば、エンジンの始動中(アイドル時)の車両が停止している場合を想定する。シフトポジションがパーキングポジションであると(S100にてYES)、ころ112の位置はPポジション位置124であって、パーキングロックポール106の突起部208の位置は、パーキングロックギヤ108の歯部に合致する位置となる。このとき、パーキングロックギヤ108(すなわち、軸212)の回転がパーキングロックポール106の突起部208により制限されて、パーキングロック機構200が作動状態となる。
ここで、エンジンのアイドル状態が継続したり、エンジンの回転数が自立回転数を下回るなどして、エンジンの状態についての条件が成立したことが判定されると(S102にてYES)、路面の勾配が予め定められた勾配以下であるか否かが判定される(S500)。
路面の勾配が予め定められた勾配以下であると(S500にてYES)、パーキングロック機構200が解除される(S452)。そのため、歯打ち音の発生が回避されることとなる。
一方、路面の勾配が予め定められた勾配よりも大きいと(S500にてNO)、パーキングロック機構200においてパーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加される(S454)。そのため、歯打ち音の発生が回避あるいは発生する歯打ち音の大きさが低減されることとなる。
なお、シフトポジションおよびエンジンの状態についての条件に加えて、サイドブレーキが作動状態であって、勾配が予め定められた勾配以下であると、パーキングロック機構200が解除し、パーキングロックギヤ108の回転に対する制限力が増加されるように、アクチュエータ42を制御するようにしてもよい。
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、シフトポジションおよびエンジンの状態についての条件の成立に加えて、サイドブレーキの作動状態についての条件および/または勾配についての条件が成立の有無に応じて、アクチュエータ42の制御態様を選択して実行することにより、車両の位置を制限しつつ、歯打ち音の発生を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
20 Pスイッチ、22 インジケータ、24 入力部、26 シフトスイッチ、28 車両電源スイッチ、30 EFI−ECU、40 SBW−ECU、42 アクチュエータ、46 エンコーダ、48 シフト切換機構、50 表示部、52 メータ、60 駆動機構、70 エンジン回転数センサ、80 サイドブレーキスイッチ、90 勾配センサ、100 ディテントプレート、102 シャフト、106 パーキングロックポール、108 パーキングロックギヤ、110 ディテントスプリング、112 ころ、120 非Pポジション位置、122 山、124 Pポジション位置、154 トランスミッション、160 非P壁、162 P壁、200 パーキングロック機構、204 歯部、208 突起部、210 パーキングロックカム、212 軸、300 入力I/F、400 演算処理部、402 シフトポジション判定部、404 エンジン状態判定部、406 アクチュエータ制御部、500 記憶部、600 出力I/F。