JP4929555B2 - エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルイス酸触媒と燐系還元剤の存在下で反応を行なうエステルの製造方法、およびこの製造方法によって得られるエステルに関する。本発明はまた、該エステルでなる、グリース用、冷凍機油用、エンジン油用のエステル系潤滑基油、および該基油を含有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エステルは、化粧品、医薬品、食品、電子機器、印刷、潤滑など幅広い分野で使用されている。近年、これらエステルを使用する分野の技術進歩に伴い、それぞれの分野に適応したエステルの品質が要求されている。例えば、グリース用に使用されるエステルは、耐久性および高温での耐蒸発性に優れることが要求されている。エンジン油に使用されるエステルについては、長寿命化および熱酸化安定性に優れることが要求されている。また、冷凍機油用に使用されるエステルは、高い電気絶縁性および耐熱性などの機能が要求され、きょう雑物や導電性の不純物が少なく、低酸価、低水酸基価であり、高温での加水分解安定性および熱安定性に優れていることが要求されている。
【0003】
エステルは、カルボン酸とアルコールとの反応により得られ、一般的に、水酸基価の低いエステルを得るためには、カルボン酸過剰系にて反応が行われる。このエステル化反応においては、一般には、硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのブレンステッド酸が、触媒として使用される。このようなブレンステッド酸触媒を用いるエステル化反応では副生物が生成しやすい傾向にある。生じた副生物および残存する触媒は、アルカリによる脱酸、吸着剤による吸着処理、スチーミングなどの精製を単独または組み合わせて除去される。しかし、副生物および残存触媒を十分に除去することは困難であり、残存する副生物および触媒はエステルの熱酸化安定性を低下させる要因となる。このように、各種要求を満足するエステルは得られていない。
【0004】
特開昭54−91589号公報および特開昭54−132502号公報には、ブレンステッド酸、イオン交換樹脂などの酸性触媒と、亜燐酸、次亜燐酸あるいはそれらの塩の存在下で、エステル化を行う方法が記載されている。特公平7−45437号公報には、モノ有機錫化合物の存在下でエステル交換を行なうエステルの製造方法が記載されている。これらの方法はいずれも着色の少ないエステルを得るといった点では若干の効果は認められるが、長期間の熱酸化安定性は依然として不十分である。
【0005】
上記以外では、特開平7−309937号公報に開示されるように、燐系、フェノール系、チオエーテル系、アミン系などの化合物でなる安定剤を添加して低着色のポリエステルを製造する例もある。しかし、これらの安定剤は、いずれも反応生成物から除去することは難しく、エステル中に残存する安定剤は、エステルの劣化促進剤として作用し、高温で長期間使用した場合にスラッジを発生させたり変色の原因となる。
【0006】
そのほか、特表2000−508691号公報の実施例では、エステル化触媒としてジブチル錫オキシドを用いた方法が記載されている。しかし、この方法で得られたエステルは、高温で着色したり、酸価が高いなど熱酸化安定性の点で不十分である。また、特表1997−008277号公報に記載されているエンジン油では、いずれも無触媒で製造したエステルを基油として用いているが、該エステルの製造時に高温での長時間のエステル化反応を必要とするため、該反応中に著しい熱劣化を受ける。このため、該エステル基油の耐熱性が十分とは言えず、長期間の安定性に問題がある。
【0007】
エステル化触媒としては、塩基性触媒も知られており、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド−4−(N,N−ジメチルアミン)ピリジン、トリフェニルホスフィン−2,2'−ジピリジルスルフィドなどが使用されている。しかし、いずれも反応生成液は褐色に着色してしまい、高品質のエステルは得られない。
【0008】
以上のように、種々の分野で要求される高い品質を満足するエステルの製造方法は見出されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、高品質のエステル、特に熱酸化安定性に優れたエステルを製造する方法、および該方法により得られるエステルを提供することにある。本発明の他の目的は、該エステルでなり、特に、近年の機械の高速化、高荷重化などの過酷な使用条件下においても、長寿命のグリース用、エンジン油用、冷凍機油用のエステル系潤滑基油、およびこれらの基油を含む組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のエステルの製造方法は、アルコールとカルボン酸とを反応させることを包含する方法であって、カルボン酸のカルボキシル基1モルに対して0. 00001〜0. 005モルのルイス酸触媒および0. 0003〜0. 005モルの燐系還元剤の存在下、アルコールとカルボン酸を反応させる工程、および得られたエステルを分離する工程を含み、該燐系還元剤が亜燐酸塩および次亜燐酸塩でなる群から選択される少なくとも1種である。
【0011】
好適な実施態様においては、上記ルイス酸触媒は、チタン系ルイス酸触媒、錫系ルイス酸触媒、アンチモン系ルイス酸触媒、ゲルマニウム系ルイス酸触媒、およびジルコニウム系ルイス酸触媒でなる群から選択される少なくとも1種である。
【0012】
好適な実施態様においては、上記アルコールは2〜6価のネオペンチルポリオールであり、上記カルボン酸は炭素数5〜10のモノカルボン酸である。
【0013】
好適な実施態様においては、上記アルコールは2〜4価のネオペンチルポリオールであり、上記カルボン酸は炭素数5〜12のモノカルボン酸である。
【0021】
【発明の実施の形態】
[カルボン酸]
本発明に用いられるカルボン酸としては、モノカルボン酸および多価カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸は飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸のいずれであってもよく、直鎖および分岐状のいずれの形態であっても良い。好適には、飽和の直鎖状または分岐状のカルボン酸が用いられる。
【0022】
モノカルボン酸としては、例えば、次の化合物が挙げられる:吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチルブタン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、4−メチルヘキサン酸、5−メチルヘキサン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、イソヘプタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、ネオノナン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、エルカ酸、べへン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等。
【0023】
多価カルボン酸としては、例えば、次の化合物が挙げられる:コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、カルボキシオクタデカン酸、カルボキシメチルオクタデカン酸、ドコサン二酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等。
【0024】
これらのカルボン酸は、単独でまたは組み合わせて用いられる。
【0025】
[アルコール]
本発明に用いられるアルコールとしては、1価アルコール、多価アルコールおよびこれらのアルコールにアルキレンオキシドを付加したエーテル化合物などが挙げられる。
【0026】
1価アルコールとしては、例えば、次の化合物が挙げられる:ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、シクロへキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、ミリシルアルコール、メリシルアルコール等。
【0027】
多価アルコールとしては、例えば、次の化合物が挙げられる:エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、エリトリット、アラビトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等。
【0028】
これらのアルコールに付加するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0029】
これらのアルコールは、単独または組み合わせて用いられる。
【0030】
[ルイス酸触媒]
本発明に用いられるルイス酸触媒としては、チタン系ルイス酸触媒、錫系ルイス酸触媒、アンチモン系ルイス酸触媒、亜鉛ルイス酸触媒、ゲルマニウム系ルイス酸触媒、ジルコニウム系ルイス酸触媒、ハフニウム系ルイス酸などが挙げられる。
【0031】
上記チタン系ルイス酸触媒としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラオクトキシチタン、チタンエチルアセトアセテート、オクチレングリコールチタネートなどが挙げられる。
【0032】
錫系ルイス酸触媒としては、モノアルキル錫エステル、ジアルキル錫エステル、モノアルキル錫オキシド、ジアルキル錫オキシドなどが挙げられる。錫系触媒としてに用いられる化合物に含まれるアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキルが好ましい。錫系触媒の具体例としては、モノブチル錫モノ(2−エチルヘキサノエート)、モノブチル錫トリス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ビス(2-エチルヘキサノエート)、第一錫ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジアセテート、モノブチル錫オキシド、ジブチル錫オキシドなどが挙げられる。
【0033】
アンチモン系ルイス酸触媒としては、トリエトキシアンチモン、トリブトキシアンチモン、三酸化アンチモンなどが挙げられる。
【0034】
亜鉛系ルイス酸触媒としては、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛などが挙げられる。
【0035】
ゲルマニウム系ルイス酸触媒としては、セレン化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウムなどが挙げられる。
【0036】
ジルコニウム系ルイス酸触媒としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、酸化ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、テトラ−2−エチルヘクトキシジルコニウムなどが挙げられる。
【0037】
ハフニウム系ルイス酸触媒としては、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、テトラ−2−エチルヘキシルオキシハフニウム、オキシ塩化ハフニウム、四塩化ハフニウム、酸化ハフニウムなどが挙げられる。
【0038】
これらのルイス酸触媒のうち、反応活性の点から、チタン系触媒、錫系触媒、ジルコニウム系触媒、アンチモン系触媒、およびゲルマニウム系触媒が好ましい。具体的には、次の化合物が好適である:テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、モノブチル錫モノ(2−エチルヘキサノエート)、モノブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、第一錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリエトキシアンチモン、トリブトキシアンチモン、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、および四塩化ゲルマニウム。
【0039】
ルイス酸触媒は、エステル化反応に供するカルボン酸のカルボキシル基1モルに対し0.00001〜0.005モルの割合で用いられる。ルイス酸触媒が0.00001モル未満の場合、反応に長時間を要するのみならず、生産性が低下する。0.005モルを超える量を使用した場合には、使用量に見合った効果の向上がなく、製造コストが上がる。さらにはエステル中からの触媒の除去が困難となり、エステルの熱酸化安定性をかえって損なう虞がある。上記範囲で使用した場合、生成するエステル中の、ルイス酸触媒由来の金属の残存量は実質的に測定限界以下になる。
【0040】
[燐系還元剤]
本発明に用いられる燐系還元剤としては、亜燐酸、次亜燐酸およびそれらの塩が挙げられる。このうち、亜燐酸塩および次亜燐酸塩が好ましく用いられる。亜燐酸および次亜燐酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、バリウム、アンモニウムなどの塩が挙げられ、ナトリウム塩が好ましく用いられる。
【0041】
燐系還元剤は、エステル化反応に供するカルボン酸のカルボキシル基1モルに対し、0.0003〜0.005モルの割合で用いられる。0.001〜0.003モルが好ましい。0.0003モル未満の場合には、エステルの熱酸化安定性改善効果が不十分となる。0.005モルを超える量を使用しても使用量に見合った効果の向上がなく、除去が困難となり、エステルの熱酸化安定性をかえって損なう虞がある。上記範囲で使用した場合、生成するエステル中への燐の残存量は、実質的に測定限界以下になる。
【0042】
[エステルの製造方法]
次に、本発明のエステルの製造方法について説明する。エステル化反応においては、上記のカルボン酸とアルコールは、通常、アルコールの水酸基1当量に対し、カルボン酸のカルボキシル基は1.0〜1.5当量となるように調整される。水酸基価の低いエステルを得るためには、カルボン酸過剰にてエステル化反応を行う必要がある。当量比は1.0当量以上である。1.5当量を超えると、反応終了後に過剰のカルボン酸を除去しなければならず生産性が低くなる。
【0043】
本発明の方法においては、上記の適切な比率に調整したカルボン酸およびアルコールを、適切な量のルイス酸触媒および燐系還元剤の存在下で、エステル化反応に供する。反応は、通常120〜260℃で、3〜15時間行われる。反応終了後は、当業者が通常用いる精製方法、例えば、アルカリによる脱酸、吸着剤による吸着処理、スチーミング、蒸留などの精製を単独でまたは組み合わせて行い、本発明のエステルが得られる。このうち、精製方法としては、エステルの熱酸化安定性の点から、アルカリによる脱酸と吸着剤による吸着処理を組み合わせて行う方法が好ましい。
【0044】
脱酸に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属塩;炭酸アンモニウムなどのアンモニウム塩などが挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましい。使用するアルカリの量は、エステルの酸価に対し1〜2倍当量であり、5〜20重量%濃度のアルカリ性水溶液として脱酸が行なわれる。
【0045】
吸着剤としては、活性白土、酸性白土、活性炭、ゼオライト、活性アルミナ、珪藻土、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ−アルミナ系の合成吸着剤などが挙げられる。活性白土およびシリカ−アルミナ系の合成吸着剤が好ましい。使用する吸着剤の量は、得られるエステル1重量部に対し、0.1〜5.0重量部であることが好ましい。
【0046】
従来のブレンステッド酸などを触媒として用いて製造されたエステルでは、副生成物と触媒とが完全には除去されない。これに対して、本発明に用いられるルイス酸触媒および燐系還元剤は、低濃度で用いられることもあり、副生成物、触媒、および還元剤がほとんど完全に除去されたエステルが製造される。生成するエステル中のルイス酸触媒由来の金属および燐濃度は、いずれも検出限界以下となり、実質的にエステル中に含有されない。このような性質を有するエステルは、後の実施例に示されるように、熱酸化安定性に優れ、および長期間着色がないという優れた効果を発揮する。
【0047】
本発明の方法により得られたエステルは、種々の用途、例えばグリース用エステル系潤滑油、冷凍機油用エステル系潤滑油、あるいはエンジン油用エステル系潤滑油の基油として用いられる。
【0048】
[グリース用エステル系潤滑基油およびグリース組成物]
グリース用エステル系潤滑基油として用いられるエステルは、2〜6価のネオペンチルポリオールと炭素数5〜10のモノカルボン酸からなるエステルであって、カルボン酸のカルボキシル基1モルに対して0.00001〜0.005モルのルイス酸触媒および0.0003〜0.005モルの燐系還元剤の存在下で生成する。これらの触媒および還元剤は精製工程で測定限界以下に除去され、実質的にエステル中に含有されない。このようにして得られるエステルは、従来のエステルと比較して、色相に優れ、熱酸化安定性に優れており、長時間使用しても揮発性が小さく(重量減少率が少なく)、長期間着色がなく(色相に優れ)、スラッジの発生も少ないという優れた効果が得られる。
【0049】
上記2〜6価のネオペンチルポリオールは、得られるエステルが耐熱性に優れている点で好ましく用いられる。2〜6価のネオペンチルポリオールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが好ましい。得られるエステルの高温での耐蒸発性の点から、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトールがさらに好ましい。グリースの長寿命化の観点からは、耐熱性の高いペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールが特に好ましい。
【0050】
モノカルボン酸としては、炭素数5〜10のモノカルボン酸が好ましい。得られるエステルが低温流動性に優れるという点から、モノカルボン酸中に分岐モノカルボン酸が含まれることが好ましい。分岐モノカルボン酸は、モノカルボン酸全体の25重量%以上含まれることが好ましい。一方、分岐モノカルボン酸の割合が多すぎると高温での耐蒸発性が低下するため、分岐モノカルボン酸の割合は75重量%以下が好ましい。従って、モノカルボン酸中、分岐モノカルボン酸が25〜75重量%の割合で含まれることが好ましい。上記炭素数5〜10の分岐モノカルボン酸としては、耐蒸発性の観点から、炭素数7以上の分岐モノカルボン酸が好ましく、さらに、低温流動性の観点から炭素数9以下の分岐モノカルボン酸が好ましい。分岐カルボン酸は、耐熱性および加水分解安定性の観点から、αまたはβ分岐のカルボン酸が好ましく、α分岐カルボン酸がより好ましい。具体的には、次の化合物が挙げられる:2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、4−メチルヘキサン酸、5−メチルヘキサン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、ネオノナン酸など。
【0051】
耐熱性および加水分解安定性の点から、エステルの酸価は0.1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.05mgKOH/g以下であることがより好ましい。高温での耐蒸発性および低温流動性の点から、エステルの水酸基価は、10mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が10mgKOH/gを超えると、高温での熱酸化安定性が悪く、さらに該エステルを含むグリースを用いてシールを行なうと、シール材が膨張する。
【0052】
本発明のグリース組成物は、上記エステルでなる基油、粘稠剤、酸化防止剤、および必要に応じて通常用いられる極圧剤、防錆剤、消泡剤、抗乳化剤などの添加剤を含有する。
【0053】
上記粘稠剤としては、例えば、リチウムコンプレックス石鹸、カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸、カルシウムコンプレックス石鹸などのコンプレックス石鹸;カルシウム石鹸、ナトリウム石鹸、リチウム石鹸などのアルカリ金属石鹸;ウレア、テレフタル酸アミドなどが挙げられる。耐熱性の点から、リチウムコンプレックス石鹸、リチウム石鹸およびウレアが好ましい。
【0054】
上記酸化防止剤としては、次の化合物が挙げられる:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤;p,p’−ジオクチルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、アルキルフェニル−1−ナフチルアミン、アルキルフェニル−2−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤;ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、ジアリルジチオ燐酸亜鉛など。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
[冷凍機油用エステル系潤滑基油および冷凍機作動流体用組成物]
冷凍機油用エステル系潤滑基油として用いられるエステルは、上述のグリース用エステル系潤滑基油に用いられるエステルと同様に、2〜6価のネオペンチルポリオールと炭素数5〜10のモノカルボン酸からなるエステルであって、カルボン酸のカルボキシル基1モルに対して0.00001〜0.005モルのルイス酸触媒および0.0003〜0.005モルの燐系還元剤の存在下で生成する。これらの触媒および還元剤は精製工程で測定限界以下に除去され、実質的にエステル中に含有されない。このようにして得られるエステルは、従来のエステルと比較して、色相に優れ、熱酸化安定性に優れており、シールドチューブ試験における酸価が実質的に変化せず、長期間着色がない(色相に優れる)という優れた効果が得られる。
【0056】
上記2〜6価のネオペンチルポリオールは、得られるエステルが耐熱性に優れている点で好ましく用いられる。2〜6価のネオペンチルポリオールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが好ましい。
【0057】
モノカルボン酸としては、炭素数5〜10のモノカルボン酸が好ましく、炭素数5〜9のモノカルボン酸がさらに好ましい。得られるエステルが低温流動性およびフロン相溶性に優れるという点から、炭素数5〜9のモノカルボン酸中に分岐モノカルボン酸が含まれることが好ましい。分岐モノカルボン酸は、モノカルボン酸全体の50重量%以上含まれることが好ましく、60重量%以上含まれることがより好ましく、70重量%以上含まれることが、さらに好ましい。分岐カルボン酸は、得られるエステルの耐熱性および加水分解安定性の観点から、αまたはβ分岐のカルボン酸が好ましく、α分岐カルボン酸がより好ましい。
【0058】
冷凍機油用エステル系潤滑基油として用いられるエステルの酸価は0.05mgKOH/g以下が好ましく、耐熱性および加水分解安定性の点から0.01mgKOH/g以下がより好ましい。また、水酸基価は 5mgKOH/g 以下が好ましく、シール材との適合性、耐熱性、加水分解安定性の点から3mgKOH/g以下がより好ましい。本発明のエステルを冷凍機油用基油として用いた場合、シールドチューブ試験後の酸価の上昇と色相の上昇が低く押さえられる(後述の実施例参照)。
【0059】
本発明の冷凍機作動流体用組成物には、上記エステルでなる基油、ハイドロフルオロカーボン、および必要に応じて当業者が通常用いる添加剤、例えば、酸化防止剤、極圧剤、金属不活性化剤、起泡剤などが含有される。
【0060】
上記組成物において、ハイドロフルオロカーボンの含有率が高過ぎると冷凍機作動流体用組成物の粘性が低下し、潤滑不良を起こす虞がある。そのため、ハイドロフルオロカーボンの含有率は90重量%以下が好ましく、さらに好ましくは80重量%以下である。一方、ハイドロフルオロカーボンの含有率が低すぎると冷凍効率が低下する虞があり、含有率は10重量%以上が好ましい。従って、潤滑性と冷凍効率を考慮すると、冷凍機油用エステル系潤滑基油(エステル)とハイドロフルオロカーボンとの含有比率は10:90〜90:10(重量比)が好ましい。より好ましくは、20:80〜90:10(重量比)である。
【0061】
ハイドロフルオロカーボンとしては、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、ペンタフルオロエタン(HFC125)、ジフルオロメタン(HFC32)などが好適であり、これらを単独または組み合わせて用いることができる。
【0062】
[エンジン油用エステル系潤滑基油およびエンジン油組成物]
エンジン油用エステル系潤滑基油として用いられるエステルは、2〜4価のネオペンチルポリオールと炭素数5〜12のモノカルボン酸とからなるエステルであって、カルボン酸のカルボキシル基1モルに対して0.00001〜0.005モルのルイス酸触媒および0.0003〜0.005モルの燐系還元剤の存在下で生成する。これらの触媒および還元剤は精製工程で測定限界以下に除去され、実質的にエステル中に含有されない。このようにして得られるエステルは、実質的に触媒および還元剤を含有せず、色相に優れ、熱酸化安定性に優れ、回転ボンベ式熱酸化安定性試験(後述)における安定性が10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上増加するという優れた効果が得られる。
【0063】
2〜4価のネオペンチルポリオールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0064】
上記炭素数5〜12のモノカルボン酸は、得られるエステルが潤滑性および耐熱性に優れる点から好適に用いられる。得られるエステルの温度粘度特性および潤滑性の点から、該モノカルボン酸中に直鎖カルボン酸が含まれていることが好ましい。この直鎖カルボン酸は、モノカルボン酸全体の40重量%以上含まれることが好ましく、50重量%以上含まれることがより好ましく、60重量%以上含まれることが、さらに好ましい。分岐カルボン酸を用いる場合には、得られるエステルの耐熱性および加水分解安定性の観点から、αまたはβ分岐のカルボン酸が好ましく、α分岐カルボン酸がより好ましい。
【0065】
エンジン油用エステル系潤滑基油として用いられるエステルの40℃における動粘度は、8〜50mm2/sであることが好ましく、10〜40mm2/sであることがより好ましい。動粘度が8mm2/s未満では、高温での蒸発減量が大きく、潤滑性も低下するという不都合があり、50mm2/sを超えると粘度抵抗による動力損失が大きすぎるので好ましくない。エステルの水酸基価は、5mgKOH/g以下であることが好ましく、3mgKOH/g以下であることがより好ましい。5mgKOH/gを超えると、エステルの高温での酸化安定性が悪く、清浄性が不充分である。
【0066】
本発明のエンジン油組成物は、上記エステルでなる基油、酸化防止剤、および必要に応じて、他の合成潤滑油や鉱物油、通常用いられる清浄分散剤、粘度指数向上剤、耐摩耗剤、極圧剤、、油性剤、防錆剤、消泡剤などの添加剤を含有する。上記合成潤滑油および鉱物油としては、ポリアルファオレフィン、高粘度指数化半合成油、ポリアルキレングリコール、アルキルベンゼン、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油、芳香族系鉱物油、ポリブテンなどが挙げられる。このうち、シール材との適合性および高い温度粘度特性の観点から、ポリアルファオレフィンおよび高粘度指数化半合成油が好ましい。上記耐磨耗剤としては、ジチオ燐酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジアルキルポリサルファイド、トリアリルフォスフェート、トリアルキルフォスフェートなどが挙げられる。これらの耐磨耗剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0067】
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤;p,p’−ジオクチルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、アルキルフェニル−1−ナフチルアミン、アルキルフェニル−2−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤;ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、ジアリルジチオ燐酸亜鉛などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0068】
本明細書では、各用途に応じた特性について記載しているが、各用途において用いられるエステルが共通する場合がある。その場合、それぞれの用途においても、他の用途に用いられる場合と同一の特性を有することがあるのはいうまでもない。
【0069】
【実施例】
以下にエステルの製造例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0070】
実施例、参考例、および比較例で調製されたエステルの評価方法を以下に示す。
【0071】
(I)エステルの動粘度(40℃)、流動点、酸価、水酸基価および色相(APHA)
(1)動粘度(40℃):JIS K 2283に準拠して測定する。
(2)流動点 :JIS K 2269に準拠して測定する。
(3)酸価 :JIS C 2101に準拠して測定する。
(4)水酸基 :JIS K 0070に準拠して測定する。
(5)色相(APHA):JOCS 2.2.1.4−1996に準拠して測定する。
(6)エステル中における触媒および還元剤成分の残存濃度
(6.1)錫の残存濃度(ppb):JIS K 0121に準拠した原子吸光光度法により、以下の条件で測定する。
バックグラウンド補正法:偏向ゼーマン法
原子化法 :グラファイト炉
波長(nm) :224.6
スリット(nm) :1.3
(6.2)チタンの残存濃度(ppb):JIS K 0121に準拠した原子吸光光度法により、以下の条件で測定した。
バックグラウンド補正法:偏向ゼーマン法
原子化法 :グラファイト炉
波長(nm) :364.3
スリット(nm) :0.4
(6.3)アンチモンの残存濃度(ppm):JIS K 0121に準拠した原子吸光光度法により、以下の条件で測定する。
バックグラウンド補正法:偏向ゼーマン法
原子化法 :グラファイト炉
波長(nm) :217.6
スリット(nm) :0.4
(6.4)ゲルマニウムの残存濃度(ppm):JIS K 0121に準拠した原子吸光光度法により、以下の条件で測定する。
バックグラウンド補正法:偏向ゼーマン法
原子化法 :グラファイト炉
波長(nm) :265.2
スリット(nm) :0.4
(6.5)ジルコニウムおよび燐の残存濃度(ppm):JIS K 0102に準拠した前処理を行なった後、誘導結合型高周波プラズマ(ICP)を光源に用いた発光分光分析機((株)日本分光社製)を用いて測定する。
(6.6)硫黄の残存濃度(ppm) :JIS K 2541に準拠して測定する。
(6.7)窒素の残存濃度(ppm) :三菱化成(株)製「微量窒素分析装置TN−05」を用い、二重管式気化燃焼法により測定する。
(6.8)芳香族化合物(ppm) :JIS K 0115に準拠して測定する。
【0072】
(II)加熱試験
この試験は、得られたエステルのグリース用エステル系潤滑基油としての熱酸化安定性を調べるため行なう。空気雰囲気下、エステルを180℃の高温槽内で500時間加熱し、加熱後のエステルの重量減少率(%)を測定し、色相(Gardner、JOCS 2.2.1.3−1996に準拠)およびスラッジの有無について評価する。重量減少率(%)については、各実施例または各参考例の重量減少率(%)の各々を「100」とした場合に、対応する比較例における重量減少率を相対値として算出する。
【0073】
(III)回転ボンベ式熱酸化安定性試験(RBOT)
この試験は、得られたエステルの、エンジン油用エステル系潤滑基油としての熱酸化安定性を調べるため行なう。エステル50g、水5gおよび銅触媒コイル3mを容器に入れ、酸素を620KPaまで圧入、密閉する。これを150℃の恒温槽に入れ、容器を30度の角度で100rpmで回転させ、172KPaまで圧力が低下するまでの時間(分)(RBOT寿命値)を測定する。
【0074】
(IV)シールドチューブ試験
この試験は、得られたエステルの、冷凍機油用エステル系潤滑基油としての熱酸化安定性を調べるために行なう。ガラス管に、予め水分濃度を2,000ppmに調整したエステル10g、フロンR−407C(重量比が1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a):ペンタフルオロエタン(HFC125):ジフルオロメタン(HFC32)=52:25:23)5g、および長さ10mmの鉄、銅、アルミ片を各1枚づつ封入し、密閉する。これを、175℃で14日間加熱した後、エステルについて酸価の上昇および色相(APHA)の上昇を調べる。これとは別に、上記フロンR−407Cをジフルオロメタン(HFC32)単独に変えて、同様に試験を行なう。
【0075】
(実施例1)
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた5リットル4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール1200.0g(8.81mol);カプロン酸884.6g(7.63mol)、n−ノナン酸1767.4g(11.26mol)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸2736.6g(17.43mol)、テトライソプロポキシチタン20.6g(0.07mol;カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.002mol)および次亜燐酸ナトリウム3.9g(0.04mol;カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.001mol)を加え、窒素気流下、240℃で生成した水を留去しつつ常圧で反応し、生成物の水酸基価が3mgKOH/g以下となった時点で反応を終了した。
【0076】
反応終了後、1kPaの減圧下で未反応の脂肪酸を蒸留除去した。このとき得られたエステル化粗生成物は3150.4gであり、酸価は3.1mgKOH/gであった。このエステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する10%水酸化カリウム水溶液を加え、90℃で30分間攪拌した。この混合物を30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。エステル化粗生成物100重量部に対し、20重量部のイオン交換水を加え、90℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を排出した。この水洗工程を3回繰り返して行なった。ついで、100℃、1kPaの条件下で減圧操作を行って脱水し、キョーワード500SH(協和化学工業(株)製)を32.0g入れて吸着処理した。吸着処理温度、圧力および時間は、それぞれ100℃、1kPa、および3時間とした。ろ過を行い、動粘度(40℃)52.79mm2/s、流動点−50℃以下、酸価0.01mgKOH/g以下、水酸基価1.5mgKOH/g、色相(APHA)20の最終目的物のエステル2835.4gを得た。エステルの収率は理論値の89.6%であった。
【0077】
(実施例2)
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた5リットル4つ口フラスコに、ペンタエリスリトール1300.0g(9.55mol)、n−へプタン酸1369.0g(11.80mol)、カプリル酸1246.2g(8.65mol)、2−エチルヘキサン酸2719.1g(18.88mol)、テトラ−n−ブトキシチタン13.4g(0.04mol;カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.001mol)、および次亜燐酸ナトリウム4.2g(0.04mol、カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.001mol)を加え、窒素気流下、240℃で生成した水を留去しつつ常圧で反応し、生成物の水酸基価が3mgKOH/g以下となった時点で反応を終了した。
【0078】
反応終了後、1kPaの減圧下で未反応の脂肪酸を蒸留除去した。得られたエステル化粗生成物は3124.1gであり、酸価は2.1mgKOH/gであった。このエステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する10%水酸化カリウム水溶液を加え、90℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。エステル化粗生成物100重量部に対し、20重量部のイオン交換水を加え、90℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を排出した。この水洗工程を3回繰り返して行なった。ついで、100℃、1kPaの条件下で減圧操作を行って脱水し、活性白土SA−1(日本活性白工(株)製)および活性アルミナDN−1A(水澤化学工業(株)製)を各15.0g入れて吸着処理した。吸着処理温度、圧力および時間は、それぞれl00℃、1kPa、および3時間とした。ろ過を行い、動粘度(40℃)30.34mm2/s、流動点−50℃以下、酸価0.01mgKOH/g以下、水酸基価1.7mgKOH/g、色相(APHA)15の最終目的物のエステル2811.7gを得た。エステルの収率は理論値の89.3%であった。
【0079】
(実施例3)
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた5リットル4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン800.0g(5.96mol)、カプリン酸391.3g(2.28mol)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸2636.3g(16.69mol)、モノブチル錫モノ(2−エチルヘキサノエート)19.1g(0.06mol;カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.003mol)および亜燐酸ナトリウム5.4g(0.03mol、カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.001mol)を加え、窒素気流下、240℃で生成した水を留去しつつ常圧で反応し、生成物の水酸基価が3mgKOH/g以下となった時点で反応を終了した。
【0080】
反応終了後、1kPaの減圧下で未反応の脂肪酸を蒸留除去した。このとき得られたエステル化粗生成物は3483.5gであり、酸価は4.1mgKOH/gであった。このエステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する10%水酸化カリウム水溶液を加え、90℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。エステル化粗生成物100重量部に対し、20重量部のイオン交換水を加え、90℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を排出した。この水洗工程を3回繰り返して行なった。ついで、100℃、1kPaの条件下で減圧操作を行って脱水し、トミタAD300P(富田製薬(株)製)およびガレオンアースV2(水澤化学工業(株)製)を各15.0g入れて吸着処理した。吸着処理温度、圧力および時間は、それぞれ100℃、1kPa、および3時間とした。ろ過を行い、動粘度(40℃)69.29mm2/s、流動点−50℃以下、酸価0.01mgKOH/g以下、水酸基価1.0mgKOH/g、色相(APHA)15の最終目的物のエステル3155.1gを得た。エステルの収率は理論値の90.6%であった。
【0081】
(参考例1)
温度計、窒素導入管、攪拌機および冷却管を取り付けた5リットル4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン 1000.0g(7.45mol)、カプリン酸1426.8g(8.30mol)、2−メチルヘキサン酸1016.8g(7.82mol)、2−エチルヘキサン酸1092.2g(7.58mol)、テトラ−n−ブトキシジルコニウム23.3g(0.07mol;カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.003mol)、および次亜燐酸1.6g(0.02mol、カルボン酸のカルボキシル基1molに対し0.001mol)を加え、窒素気流下240℃で、生成した水を留去しつつ常圧で反応し、水酸基価が3mgKOH/g以下となった時点で反応を終了した。
【0082】
反応終了後、1kPaの減圧下で未反応の脂肪酸を蒸留除去した。このとき得られたエステル化粗生成物は3005.8gであり、酸価は8.1mgKOH/gであった。このエステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する10%水酸化カリウム水溶液を加え、90℃で30分間攪拌した。30分間静置し、水層部を除去して脱酸工程を終了した。エステル化粗生成物100重量部に対し、20重量部のイオン交換水を加え、90℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を排出した。この水洗工程を3回繰り返して行なった。ついで、100℃、1kPaの条件下で減圧操作を行って脱水した。
【0083】
次いでこれを、スミス式蒸留装置を用いて、180℃、0.1〜3torrで、流油量を4mL/minとして蒸留した。これにより、動粘度(40℃)23.19mm2/s、流動点−37.5℃、酸価0.01mgKO日/g以下、水酸基価0.5mgKOH/g、および色相(APHA)20の最終目的物のエステル2804.9gを得た。エステルの収率は理論値の92.4%であった。
【0084】
上記実施例1〜3および参考例1においてエステルの製造に使用したアルコール、カルボン酸、触媒および還元剤を後述の表1に示す。得られたエステルの上記物性をまとめて表4に示す。さらに、エステル中における触媒および還元剤成分の残存濃度および加熱試験の結果を併せて表4に示す。後述の実施例5〜8、参考例2〜13、および比較例1〜20についても同様に表1〜3および表4〜5に示す。
【0085】
上記実施例1〜3および後述の実施例5〜8で調製されるエステルは、種々の用途に用いられるが、特にグリース用エステル系潤滑基油として好適である。
【0086】
(比較例1〜4)
表1に示す材料を用いて、各々実施例1〜3および参考例1と同様の操作を行ない、エステルを製造した。
【0087】
(実施例5〜8および参考例2〜13)
表1〜3に示す材料を用いて、実施例5〜8は実施例1、参考例2〜5は実施例2参考例6〜9は実施例3、そして参考例10〜13は参考例1とそれぞれ同様の操作を行ない、エステルを製造した。
【0088】
(比較例5〜20)
表1〜3に示す材料を用いて、比較例5〜8は実施例1、比較例9〜12は実施例2、比較例13〜16は実施例3、比較例17〜20は参考例1とそれぞれ同様の操作を行ない、エステルを製造した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
上記の結果から明らかなように、実施例1〜3、5〜8で調製されたエステルは、加熱試験における重量減少率が低く、色相(Gardner)の悪化の度合いが小さく、スラッジの発生がない。一方、比較例1、7、11、15、および19では、ブレンステッド酸触媒としてパラトルエンスルホン酸や硫酸を用いているため、生成するエステル中に硫黄分が大量に残存した。この影響か否かは不明であるが、加熱試験においてスラッジが発生し、あるいは色相が悪化した。比較例2、8、12、16、および20では、還元剤の量が過剰であるため、得られたエステルについて加熱試験を行なうとスラッジが発生し、あるいは色相が悪化した。比較例3、5、9、13、および17では、還元剤の量が本発明の範囲より少なすぎるため、得られたエステルについて加熱試験を行なうとスラッジが発生し、あるいは色相が悪化した。比較例4、6、10、14、および18では、燐系還元剤の代わりに硫酸系の還元剤を使用していることから、生成するエステルの色相が悪く、加熱試験においてはスラッジが発生し、色相の悪化も避けられなかった。このように、比較例1〜20で得られたエステルは、いずれも加熱試験における重量減少が大きく、色相(Gardner)が悪化し、スラッジも発生した。
【0095】
(実施例21〜40)
表6〜8に示す材料を用い、実施例21〜24および参考例14は実施例1、実施例29および参考例15〜18は実施例2、実施例31〜34および参考例19は実施例3、そして実施例37、38および参考例20〜22は参考例1とそれぞれ同様の操作を行い、エステルを製造した。得られたエステルの物性をまとめて表9〜10に示す。さらに、エステル中における触媒および還元剤成分の残存濃度および回転ボンベ式酸化安定性試験(RBOT)の結果を併せて表9〜10に示す。後述の比較例21〜40についても同様に表9〜10に示す。
【0096】
これらの実施例で調製されるエステルは、種々の用途に用いられるが、特にエンジン油用エステル系潤滑基油として好適である。
【0097】
(比較例21〜40)
表6〜8に示す材料を用い、比較例21〜25は実施例1、比較例26〜30は実施例2、比較例31〜35は実施例3、そして比較例36〜40は参考例1とそれぞれ同様の操作を行い、エステルを製造した。
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【0102】
【表10】
【0103】
上記の結果から明らかなように、実施例21〜24、29、31〜34、37、および38で調製されたエステルは、いずれも回転ボンベ式熱酸化安定性試験におけるRBOT寿命値が、それぞれ対応する比較例における値に比較して大きい。つまり、熱酸化安定性に優れていることが示される。比較例21、25、33、および37では、燐系還元剤の代りに硫酸系の還元剤を使用しているため、生成したエステル自体の色相が悪い。比較例22、26、29、30、34、および38では、燐系還元剤の代りにフェノール系の還元剤を用いているため、生成するエステル中にフェノール化合物(芳香族化合物)が残存しており、該エステル自体の色相が悪く、熱酸化安定性が悪い。比較例23、27、31、35、および39では、ルイス酸触媒の代りにブレンステッド酸触媒を用いており、生成したエステル中に硫黄が大量に残存しているためか、該エステルの色相が悪い。熱酸化安定性も悪い。比較例24、28、32、36、および40においてもルイス酸触媒の代りにブレンステッド酸触媒としてメタンスルホン酸を用いているため、生成したエステルの色相が悪いと同時に、酸化安定性も悪い。このように、比較例21〜40のエステルはいずれも色相が悪く、回転ボンベ式熱安定性試験の成績も、本発明に比べて劣る。
【0104】
(実施例41〜47、参考例23〜35)
表11〜13に示す材料を用い、実施例41〜46、および参考例23〜25は実施例1、そして参考例26〜35は実施例2と同様の操作を行いエステルを製造した。実施例47については、実施例1と同様の反応操作を行ない、エステル化粗生成物を得た後、エステル化粗生成物100重量部に対して10重量部のトルエンを添加して脱酸工程を行なった。水洗工程も同様に3回行ない、150℃、1kPaの条件下で減圧操作を行ない脱水およびトルエンの除去を行ない、同様の吸着処理を行ない、エステルを得た。
【0105】
得られたエステルの物性をまとめて表14〜15に示す。さらに、エステル中における触媒および還元剤成分の残存濃度およびシールドチューブ試験の結果を併せて表14〜15に示す。後述の比較例41〜60についても同様に表11〜13および表14〜15に示す。
【0106】
これらの実施例で調製されるエステルは、種々の用途に用いられ得るが、特に冷凍機油用エステル系潤滑基油として好適である。
【0107】
(比較例41〜60)
表11〜13に示す材料を用い、比較例41〜50は実施例1、そして比較例51〜60は実施例2と同様の操作を行いエステルを製造した。
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
【表13】
【0111】
【表14】
【0112】
【表15】
【0113】
上記の結果から明らかなように、実施例41〜47で調製されたエステルは、フロンR−407C(重量比が1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a):ペンタフルオロエタン(HFC125):ジフルオロメタン(HFC32)=52:25:23)およびジフルオロメタン(HFC32)のいずれのフロンにおいても、シールドチューブ試験における酸価の上昇と色相の上昇が低く抑えられている。
【0114】
比較例41、42、48、51、56、および59においては、燐系還元剤の代りに硫酸系または硝酸系の還元剤を用いており、その成分が、生成したエステル中に多く残留している。そのためか生成したエステルの色相が悪く、試験後の酸価が著しく高く、熱酸化安定性に欠ける。比較例43、50、および52においては、燐系還元剤多量に使用されるため、生成するエステル中に燐系還元剤が多く残留している。そのため、調製時のエステルの色相は対応する実施例のそれと同等であるが、シールドチューブ試験において色相が悪化し、酸価も上昇し、熱酸化安定性に欠ける。比較例44、45、53、57、58、および60においては、燐系還元剤以外の還元剤(芳香族系還元剤)を用いているため、生成するエステル中に芳香族化合物が残存する。そのため、シールドチューブ試験においてエステルの色相が悪化し、そして、酸価が上昇し、熱酸化安定性が極めて悪くなる。比較例46、47、54、および55では、ルイス酸触媒の代りにブレンステッド酸触媒として、パラトルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸を用いているため、生成したエステル中に硫黄が大量に残存し、該エステルの色相が悪くなる。さらに、シールドチューブ試験において色相が悪化し、酸価も上昇するため、熱酸化安定性に劣る。
【0115】
【発明の効果】
本発明によれば、このように、高品質のエステル、特に熱酸化安定性に優れたエステルを製造する方法、および該方法により得られるエステルが提供される。このエステルは、グリース用、エンジン油用、冷凍機油用のエステル系潤滑基油として有用であり、機械の高速化、高荷重化などの過酷な使用条件下においても長寿命である。
Claims (4)
- アルコールとカルボン酸とを反応させることを包含するエステルの製造方法であって、
カルボン酸のカルボキシル基1モルに対して0. 00001〜0. 005モルのルイス酸触媒および0. 0003〜0. 005モルの燐系還元剤の存在下、アルコールとカルボン酸を反応させる工程、および得られたエステルを分離する工程を含み、該燐系還元剤が亜燐酸塩および次亜燐酸塩でなる群から選択される少なくとも1種である、方法。 - 前記ルイス酸触媒が、チタン系ルイス酸触媒、錫系ルイス酸触媒、アンチモン系ルイス酸触媒、ゲルマニウム系ルイス酸触媒、およびジルコニウム系ルイス酸触媒でなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
- 前記アルコールが2〜6価のネオペンチルポリオールであり、前記カルボン酸が炭素数5〜10のモノカルボン酸である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記アルコールが2〜4価のネオペンチルポリオールであり、前記カルボン酸が炭素数5〜12のモノカルボン酸である、請求項1または2に記載の方法。
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