JP4920873B2 - モリブデンケイ化物タイプの加熱エレメントの製造方法 - Google Patents

Description

本発明はモリブデンケイ化物タイプの加熱エレメントの製造方法に関する。

モリブデンケイ化物タイプの電気抵抗エレメントは、スエーデン特許明細書０００３５１２−１、および０００４３２９−９に記載されている。０００３５１２−１の特許明細書に従えば、加熱エレメントの抵抗体材料は、ペスト（pest）の形成が、そこで本質的に起こらないようにする程度に、アルミニウムが含まれているＭｏ（Ｓｉ_１−ＸＡｌ_Ｘ）_２を含んでいる。

このような材料は、４００〜６００℃の範囲の温度で操作されるとき、ペストが形成されないか、またはほんの僅かの量のペストしか形成されないことが見出されている。ペストは、ＭｏＳｉ_２とＯ_２からのＭｏＯ_３の形成のために形成される。

何故ペストの形成が著しく減少、又は除去されるかという理由は、エレメントの表面上の、Ａｌ_２Ｏ_３の、又はＡｌ_２Ｏ_３が豊富な層の形成によるものである。

他の特許明細書０００４３２９−９は、エレメントを高温で運転するとき、モリブデンケイ化物、およびこの基本材料の合金から本質的に成る有用な加熱エレメントが、この予想耐用年数を増大させるという方法を教えている。

この特許明細書に従えば、加熱エレメントは、加熱エレメントの表面上に、酸化アルミニウムの層を安定に保ち、徐々に成長させるに十分な量のアルミニウムが含有されているからである。

ひとつの好ましい態様に従えば、加熱エレメント材料は、Ｍｏ（Ｓｉ_１−ＸＡｌ_Ｘ）_２を含んでおり、ｘは０．２〜０．６の範囲にある。

アルミニウムを含む、モリブデンケイ化物タイプの材料は、低温および高温の両方で、改善された腐食特性を有していることが見出されている。

このような材料は、しばしばＭｏＳｉ_２粉末をアルミノシリケートのような、酸化性の原材料と混合することによって作られる。原材料がベントナイトクレーの場合には、いわゆる溶解相焼結の方向に寄与する比較的低い融点が得られ、これはＭｏＳｉ_２と、容積で１５〜２０パーセントに対応する割合のアルミニウムシリケートを含んでいる、密度の高い材料を結果として与えている。

主に、ＳｉＯ_２を含むベントナイトクレーは、Ｍｏ（Ｓｉ_１−ＸＡｌ_Ｘ）_２を含んでいる加熱エレメントの製造に用いることが出来る。Ａｌ−合金化されたケイ化物との焼結の際には、そこで化学交換反応が起こり、ここにおいて、ＳｉよりもＡｌに対する酸素のより大きい結合性は、ケイ化物のＡｌ放出、そして酸化相による吸い込みの結果として、アルミニウムシリケートのＳｉ放出を、そしてケイ化物の入り込みをもたらす。この交換反応はまた、複合材料の焼結特性を改善する方向に役立っている。最終材料は、Ａｌを実質的に使い尽くすＭｏ（Ｓｉ_１−ＸＡｌ_Ｘ）_２を含んでおり、そしてそこでは、オキシド相は全ての本質的な要素中にＡｌ_２Ｏ_３を含んでいる。

標準の製造の手順として、モリブデン、シリコン、およびアルミニウムを粉末状で混合すること、そして粉末混合物を通常遮蔽ガス雰囲気中で焼成することを含む。この結果として、Ｍｏ（Ｓｉ_１−ｙＡｌ_ｙ）_２のケーキ状の物質が得られ、前記の交換反応の結果としての上の式中のｙは、ｘよりも大きい。反応は発熱性である。その後、ケーキを破砕し、そして通常１〜２０μｍのオーダーの微小粒子サイズに粉砕する。この粉末を、湿式セラミック材料を形成するような、ベントナイトクレーと混合する。この材料を、その直径がその後の加熱エレメントの直径に対応するように、棒状の形に押し出し、そして乾燥する。この材料はその後、ベントナイト成分の溶融温度を超える温度で焼成される。

しかしながら、この種のエレメントについては欠点がある。問題は、エレメントの表面上に形成する酸化物、すなわちＡｌ_２Ｏ_３が、時々、言い換えれば繰り返しの作業中にエレメントの表面から緩んで、はがれ落ち、あるいは剥げてひらひらと落ちてくることである。

剥離する酸化物は、アルミニウムの継続される酸化に対し、その保護能力を乏しくしてしまい、これはエレメントの外側の表面をさらに早く痩せさせてしまう。更に、酸化物の剥離は、このようなエレメントを有するオーブン中で加熱処理された製品の、出来栄えや外観を著しく害するという危険と共に、エレメントが取り付けられているオーブンを汚染してしまう。従って、これは加熱の工程において、このようなエレメントの使用が制限されてしまう。

この問題は、各々の二つのスエーデン特許明細書０２０１０４２−９及び０２０１０４３−７に教示の答えに従って解決される。

スエーデン特許明細書０２０１０４２−９は、モリブデンケイ化物及びこの基本材料の合金を、実質的に含有する加熱エレメントの製造方法を教示している。この方法は、モリブデンアルミノケイ化物（Ｍｏ（Ｓｉ_１−ｙＡｌ_ｙ）_２）を、ＳｉＯ_２が少なくとも９８％の純度である、ＳｉＯ_２と混合するによって、主にＭｏ（Ｓｉ_１−ｘＡｌ_ｘ）_２、そしてＡｌ_２Ｏ_３を含む材料を製造することにより特徴付けられている。

スエーデン特許明細書０２０１０４３−７は、これに対応する材料の製造法を教示しており、ここではベントナイトクレーが用いられ、シリコンジオキシド及びアルミニウムオキシドに加えられる。ベントナイトクレーは、２０００ｐｐｍよりも少ない不純物含有量を示す。

驚くべきことに、室温と、高温例えば１５００℃の間の繰り返しの運転の後、剥離することのない酸化物が、低い不純物質の精度（consistency）で得られるということが見出されたのである。本発明は、モリブデンケイ化物材料を構成しているこのような純粋なアルミニウム−オキシドが、上に与えられたものよりも、他の物質及び化合物を用いて、部分的に開始することによって、有利に製造することが出来ると言う洞察力に基礎を置いているのである。

本発明の、モリブデンケイ化物及びその合金を本質的に含有する加熱エレメントの製造方法は、シリコン、及びモリブデン化合物の混合物を、アルミニウム化合物と混合することによって、本質的にＭｏ（Ｓｉ_１−ｘＡｌ_ｘ）_２及びＡｌ_２Ｏ_３を含む物質の製造工程を含むものである。

本発明に従えば、シリコン及びモリブデンの化合物は、Ｍｏ（Ｓｉ_１−ｙＡｌ_ｙ）_２を含み、そしてＡｌ_２Ｏ_３又はＡｌ（ＯＨ）_３から成るアルミニウム化合物のいずれかと混合され、そして所望により一種又はそれ以上のＳｉＯ_２、Ｓｉ及びＭｏＯ_３の化合物と混合される。

第二の態様に従えば、シリコン及びモリブデンの化合物はＭｏＯ_３、及びＡｌ、そしてＳｉ、及び/又はＳｉＯ_２を含む。

発明に従えば、投入する構成材料は共に、少なくとも９８％の純度を有している。

本発明の好ましい態様に従えば、投入構成材料は、少なくとも９９％の純度を有している。

混合物は、発熱性の反応を引き起こし、そして/又は焼結することによって、その結果交換反応が行われ、Ｍｏ（Ｓｉ_１−ｘＡｌ_ｘ）_２化合物、及びＡｌ_２Ｏ_３を形成し、ここでｘは０．４〜０．６の範囲になるようにされる。

この方法によって、エレメント材料、即ち酸化アルミニウム構造物が得られ、そしてそのアルミニウムオキシドの層は、この文献の最初に問題として記載した、剥がれやフレークを生ずることは無いのである。

一つの好ましい態様に従えば、ｘは０．４５〜０．５５の範囲にある。

一つの好ましい態様に従えば、ＳｉＯ_２は、シリケートに含まれており、シリケート中の残りの物質として、モリブデンのケイ化物は前記の物質又は複数の物質と合金を作ることは出来ないという性質を有し、そしてモリブデンケイ化物の結晶格子の対称性は保持されているというそのような特性を有している。

材料物質Ｍｏ（Ｓｉ_１−ｘＡｌ_ｘ）_２の中で、結晶格子の対称性を変化させることなく、モリブデンを部分的にＲｅ、Ｗ、又はＮｂで置き換えることが可能である。

モリブデンを、ほぼ１／３に相当する量で、タングステン（Ｗ）と置き換えることが出来る。

一つの好ましい態様に従えば、１つ又はそれ以上の以下のような焼結助剤、ＭＧＯ、ＣａＯ、ＳｉＯ_２、及びＹ_２Ｏ_３を混合物に添加することが出来る。

かくして本発明は、前置きで述べた問題点を解決するものであり、そして本発明のエレメントは、処理された材料に損傷を与えることなく、有利にオーブン中に用いることが可能となるのである。

本発明は、添付の請求の範囲の中で種々の変化を行うことが出来るものであって、先に記載の態様に限定すると考えるものではない。

Claims (8)

1. モリブデンのケイ化物、及びこの合金を本質的に含有し、その表面にアルミニウムオキシドを形成する、加熱エレメントを製造する方法であって、
   Ｍｏ（Ｓｉ _１−ｙ Ａｌ _ｙ ） _２ の混合物を、アルミニウム化合物と混合することによって、実質的にＭｏ（Ｓｉ_１−ｘＡｌ_ｘ）_２及びＡｌ_２Ｏ_３を含有する材料を製造する工程であって、Ｍｏ（Ｓｉ _１−ｙ Ａｌ _ｙ ） _２ の前記混合物は、Ａｌ_２Ｏ_３又はＡｌ（ＯＨ）_３の少なくとも１種を含むアルミニウム化合物と混合され、アルミニウム化合物を伴うＭｏ（Ｓｉ _１−ｙ Ａｌ _ｙ ） _２ の混合物は、共に少なくとも９８％に対応する純度を有する成分を含み、モリブデンのケイ化物の結晶格子の対称性は、Ｍｏ（Ｓｉ _１−ｙ Ａｌ _ｙ ） _２ 中の残存物質により影響を受けない工程、及び
   前記混合物成分を発熱性の反応及び焼結の少なくとも１つにより反応させ、その結果交換反応が起こり、化合物Ｍｏ（Ｓｉ_１−ｘＡｌ_ｘ）_２及びＡｌ_２Ｏ_３を形成させる工程であって、ｘが０．４〜０．６の範囲にある工程、を含む前記方法。
2. ｘが０．４５〜０．５５の範囲にある、請求項１に記載の方法。
3. 前記の混合物に、焼結助剤である、ＭｇＯ、ＣａＯ、ＳｉＯ _２ 及びＹ _２ Ｏ _３ の少なくとも１種を加える工程を含む、請求項１に記載の方法。
4. Ｍｏ（Ｓｉ _１−ｘ Ａｌ _ｘ ） _２ 材料中のモリブデンを部分的に、Ｒｅ、又はＷ、又はＮｂの少なくとも１種で置換する工程を含む、請求項１に記載の方法。
5. おおよそ１／３に対応する量で、モリブデンをＷで置き換える工程を含む、請求項４に記載の方法。
6. 混合物の前記成分が、共に少なくとも９９％の純度を有する、請求項１に記載の方法。
7. 前記混合物に、化合物ＳｉＯ _２ 、Ｓｉ、及びＭｏＯ _３ の少なくとも１種を加える、請求項１に記載の方法。
8. Ｍｏ（Ｓｉ _１−ｙ Ａｌ _ｙ ） _２ の前記混合物が、ＭｏＯ _３ と、Ａｌと、Ｓｉ及びＳｉＯ _２ の少なくとも１種とを含有する、請求項１に記載の方法。