JP4893495B2 - 非水二次電池 - Google Patents
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Description
これに対し、リチウムを可逆的に挿入・放出可能な焼成炭素質材料が実用化されるようになってきた。この炭素質材料は密度が比較的小さいため、体積当たりの容量が低いという欠点を有する。このため、炭素材料にリチウム箔を圧着もしくは積層して用いることが、特許文献1に記載されているが、上記の問題を本質的に解決するものではなかった。
しかしながら、これらの材料を用いた電池は、充放電サイクル性が充分でなく、特に初期サイクルの充放電効率が低いという大きな問題があった。すなわち初期の数サイクルにおいて、充電過程で負極に吸蔵されたリチウムの一部が複数の不可逆的な副反応を起こすため放電過程で正極側へリチウムが移動せず、結果として正極のリチウムが無為に消費され容量損失を招いていたと推定される。これらの容量損失分を補償するために、予め損失分に相当するリチウムを負極材料に挿入することが考えられるが、まだ十分な効果を得るに至っていない。
リチウム以外の金属としては、アルミニウムが好ましい。
重ね合せるリチウムの量によってリチウム挿入量を任意に制御することが可能である。リチウム予備挿入量としては、負極シートの単位面積に換算すると1〜30g/m2であり、さらに好ましくは4〜16g/m2である。
エージング中の電池開路電圧を好ましい範囲に合わせることがリチウムの負極材料中への均一な挿入に対してさらに好ましい。
充放電により開路電圧を合わせる場合、定電圧充電−定電流放電の組合せが好ましい。定電圧充電の充電終止電圧は2.0〜3.8Vの範囲が好ましく、さらに好ましくは2.5〜3.5Vであり特に好ましくは2.7〜3.5Vである。
定電流放電の放電終止電圧は1.0〜3.5Vの範囲が好ましく、さらに好ましくは1.5〜3.3Vであり、特に好ましくは2.5〜3.1Vである。
また、このときの電流条件としては充放電ともに負極シート片面1cm2あたり0.05〜4.5mAの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3.0mAであり、特に好ましくは0.15〜2.4mAである。
充放電のサイクル回数は1〜500回が好ましいが、5〜200回がさらに好ましく、10〜150回が特に好ましい。また、充放電により開路電圧を合わせる際は充電で終了しても放電で終了してもよい。
上記で述べた放電又は充放電の温度範囲は0〜60℃が好ましく10〜50℃がさらに好ましく、20〜40℃が特に好ましい。
この充電又は充放電の操作はエージング中何回行なってもよいが、1〜3回がさらに好ましく1回のみ行うことが特に好ましい。
この補助層は負極材料を含有しない層である。
電極表面に活物質とは異なる層、例えば保護層を設けることは、従来から検討されてきており、リチウム金属や合金を負極とする場合には、炭素材料や金属粉末を含有した炭素からなる保護層を設けることが特開平4−229562号、米国特許第5387479号、特開平3−297072号に記載されている。
しかしながら、これらの特許の目的は、リチウム金属表面の活性な部分を保護し、電解液との接触による電解液の分解や分解生成物等による不働体皮膜の生成を防止することであり、本発明の金属酸化物負極とは、構成も発明の目的も異にする。
更に特開昭61−263069号では、遷移金属酸化物を負極材料とし、その表面をイオン伝導性の固体電解質で被覆することが記載され、実施例では遷移金属酸化物の層の上に固体電解質膜をスパッタリングにより設けることが記載されている。
この特許の目的は先に述べた特許と同様に、リチウムの樹枝状の析出の防止、電解液の分解防止であり、本発明とは目的を異にする。更に、イオン伝導性の固体電解質は、水に対する溶解性、吸湿性を有しており、好ましくない。
更に、特開昭61−7577号には、正極の表面を、電子電導性と、イオン伝導性を合わせ持つ物質からなる保護層が記載され、電子−イオン混合導電性を有する物質としてタングステン、モリブデン、バナジウムの酸化物が好ましいと記載されている。
しかしながらこれらの酸化物は、リチウムの吸蔵放出しうる化合物であり、本発明に於いては好ましくない。
ましい。
補助層の塗設方式は、集電体上に、リチウムを可逆的に吸蔵放出可能な材料をである金属または半金族酸化物を主体とした合剤を塗設した後に、補助層を順次塗設する逐次方式でもよいし、合剤層と補助層を同時に塗設する同時塗布方式であってもよい。
保護層は少なくとも1層からなり、同種又は異種の複数層により構成されていても良い。これらの保護層は実質的に電子伝導性を持たない、即ち絶縁性の層であってもよいし、負極シートと同様に導電性の層であっても良い。更に、絶縁性の層と導電性の層とが積層した形態であっても良い。保護層の厚みは、0.2μm以上、40μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以上、20μm以下である。更にこれらの粒子を含む保護層は300℃以下で融解したり、新たな皮膜を形成しないものが望ましい。
保護層が絶縁性の場合、これらの層は有機或いは無機の粒子を含むことが好ましい。これらの粒子は、0.1μm以上、20μm以下が好ましく、0.2μm以上、15μm以下がより好ましい。好ましい有機物の粒子は架橋されたラテックス又はフッ素樹脂の粉状体であり、300℃以下で、分解したり、皮膜を形成しないものが好ましい。より好ましいのはテフロン(登録商標)の微粉末である。
炭化物、珪化物、窒化物のなかでは、SiC、窒化アルミニウム(AlN)、BN、BPが絶縁性が高くかつ化学的に安定で好ましく、特にBeO、Be、BNを焼結助剤として用いたSiCが特に好ましい。
カルコゲナイドの中では、酸化物が好ましく、酸化或いは還元されにくい酸化物が好ましい。これらの酸化物としては、Al2O3、As4O6、B2O3、BaO、BeO、CaO、Li2O、K2O、Na2O、In2O3、MgO、Sb2O5、SiO2、SrO、ZrO4があげられる。これらの中で、Al2O3、BaO、BeO、CaO、K2O、Na2O、MgO、SiO2、SrO、ZrO4が特に好ましい。これらの酸化物は、単独であっても、複合酸化物であっても良い。
これらの絶縁性の無機化合物粒子は、生成条件の制御や粉砕等の方法により、0.1μm以上、20μm以下、特に好ましくは0.2μm以上、15μm以下の粒子にして用いる。
保護層は、これらの導電性の粒子および/または実質的に導電性を持たない粒子と結着剤を用いて形成する。結着剤は、後で述べる電極合剤を形成する時に用いる結着剤を用いることが出来る。粒子と結着剤の比率は両者の総重量に対して、粒子が40重量%以上、96重量%以下が好ましく、50重量%以上、94重量%以下がより好ましい。
本発明の非水二次電池に用いられる正・負極は、正極合剤あるいは負極合剤を集電体上に塗設して作ることが出来る。正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極活物質あるいは負極材料のほか、それぞれに導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含むことができる。
重ね合わせパターンは厚さ一定の金属箔を負極シート全面に重ね合わせることが好ましいが、負極材料に予備挿入されたリチウムはエージングによって徐々に負極材料中を拡散するため、シート全面ではなくストライプ、枠状、円板状のいずれかの部分的重ね合わせも用いられうる。これら部分的重ね合わせの場合は金属箔の大きさを制御することによってリチウムの均一な予備挿入を達成しうる。
ストライプの大きさは負極シートの大きさにより任意に選択されるが、ストライプの幅は負極シート片面の半分の長さから0.5mmまでが好ましい。より好ましくは負荷シート片面の半分の長さから1mmまであり、特に好ましくは負極シート片面の半分の長さから1.5mmまでである。0.5mmよりもストライプ幅が小さくなると金属箔の切断やハンドリングが困難になり好ましくない。
ここでいうストライプ幅とは電極シートの長さ方向のことを言う。またストライプの長さは電極幅と同一の長さであることが特に好ましい。
枠状に重ね合わせる場合、枠は形状は三角形〜多角形のいずれでもよいが、四角形(長方形、正方形など)が特に好ましい。枠の大きさはハンドリングの関係上4mm2以上(正方形の場合は2mm×2mm)が好ましく16mm2以上(正方形の場合は4mm×4mm)が特に好ましい。
円板状に重ね合わせる場合、円板の形状は真円、楕円又はこれらに含まれない円形状のいずれでもよい。円板の大きさはハンドリングの関係上4mm2以上が好ましく、16mm2以上が特に好ましい。
部分的重ね合わせの場合はストライプ、枠状、円板状のいずれか又は2種以上のパターンを組み合せて用いてもよい。
負極シートにおける金属箔重ね合わせの被覆率は10〜100%が好ましいが、15〜100%がより好ましく、20〜100%が特に好ましい。10%以下の場合はリチウムの予備挿入が不均一となる場合もあり好ましくない。
なお、この方法では、副反応分のリチウム供給が正極活物質からではなく、重ね合わせられたリチウムから負極材料中に供給される。
ロール転写法とは、任意の大きさに切断した金属箔をロールにいったん貼り付けた後、カレンダープレスしながら連続的に負極シート上に貼りつける方法である。ロールは双ロールを用いることが貼り付き性向上の観点から好ましい。ロールの大きさは任意でよいが直径0.5〜100cmのものを用いることが好ましく、より好ましくは1〜50cmのものである。ロール材質はリチウムと反応しにくい材質が好ましく、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、テフロン(登録商標)、ポリイミド、ポリカーボネート等のポリマーやステンレス、モリブデン等の金属製のものが好ましい。
ボード転写法とは任意の大きさに切断した金属箔を平面状のボード上にいったん貼り付けた後、負極シートにプレスしながら貼りつける方法である。この場合は貼り付けは連続的ではなく、金属箔1枚あるいは2枚以上を同時に貼り付けてもよい。
ボードの材質はロール転写法で説明したロール材質と同様のものが好ましい。
ロール転写法、ボード転写法とも重ね合せ圧力は0.1〜150kg/cm2が好ましく、より好ましくは1〜100kg/cm2である。
ロール又はボードの表面は平滑面でも非平滑面(たとえばエンボス加工された面)のいずれでもよい。
ここで気体雰囲気という場合、取扱われる部屋あるいはゾーンの平均値をさし、局所的な値をさすのではない。従って、炭酸ガスが0.1%以上10%以下という場合に局所的に10%を越える場合も含んでいる。リチウムを主体とする金属は、電解液と接触するまでに上述の気体雰囲気下に常に保存されていることが好ましいが、少なくともリチウムを主体とする金属を切断する場合、およびリチウムを主体とする金属に圧力をかけて電極シートに圧着する場合に上記気体雰囲気下に保存されていることが好ましい。
本発明で用いられるとくに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質とは、LixQOy(ここでQは主として、その少なくとも一種がCo、Mn、Ni、V、Feを含む遷移金属)、x=0.02〜1.2、y=1.4〜3)であることが好ましい。Qとしては遷移金属以外にAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜30モル%が好ましい。
本発明で用いられる最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCOgNi1-gO2、LixMn2O4、LixCofV1-fO2(ここでx=0.02〜1.2、g=0.1〜0.9、f=0.9〜0.98、z=2.02〜2.3)があげられる。ここで、上記のx値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
本発明で用いられる焼成温度は、本発明で用いられる混合された化合物の一部が分解、溶融する温度であればよく、例えば250〜2000℃が好ましく、特に350〜1500℃が好ましい。焼成に際しては250〜900℃で仮焼する事が好ましい。
焼成時間としては1〜72時間が好ましく、更に好ましくは2〜20時間である。また、原料の混合法は乾式でも湿式でもよい。また、焼成後に200℃〜900℃でアニールしてもよい。
焼成ガス雰囲気は特に限定されず酸化雰囲気、還元雰囲気いずれもとることができる。たとえば空気中、あるいは酸素濃度を任意の割合に調製したガス、あるいは水素、一酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、二酸化炭素等が挙げられる。
本発明で用いる正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることが更に好ましい。
比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01〜50m2/gが好ましく、特に0.2m2/g〜1m2/gが好ましい。
また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジエットミルや篩などが用いられる。
焼成によって得られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤、含水有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
放電時(リチウムイオン挿入時)に膨張し、充電時(リチウムイオン放出時)に収縮する正極活物質の好ましい例はスピネル型リチウム含有マンガン酸化物であり、放電時(リチウムイオン挿入時)に収縮し、充電時(リチウムイオン放出時)に膨張する正極活物質の好ましい例はリチウム含有コバルト酸化物である。
スピネル型リチウム含有マンガン酸化物の好ましい構造式としては、Li2-xMn2O4(0≦x≦2)であり、さらに好ましくはLi1-xMn2O4(0≦x≦1)である。リチウム含有コバルト酸化物の好ましい例としてはLi1-xCoO2(0≦x≦1)である。
炭素質化合物としては、天然黒鉛、人工黒鉛、気相成長炭素、有機物の焼成された炭素などから選ばれ、黒鉛構造を含んでいるものが好ましい。また、炭素質化合物には、炭素以外にも、異種化合物、例えばB、P、N、S、SiC、B4Cを0〜10重量%含んで
もよい。
遷移金属化合物としては、特にV、Ti、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、W、Moの単独あるいは複合酸化物、又はカルコゲナイドが好ましい。更に好ましい化合物として、特開平6−44,972号記載のLipCoqV1-qOr(ここでp=0.1〜2.5、q=0〜1、r=1.3〜4.5)を挙げる事が出来る。
遷移金属以外の金属、半金属の化合物としては、周期律表第13族〜15族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、カルコゲナイドが選ばれる。
例えば、Al2O3、Ga2O3、SiO、SiO2、GeO、GeO2、SnO、SnO2、SnSiO3、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb2O4、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、Bi2O3、Bi2O4、Bi2O5、SnSiO3、GeS、GeS2、SnS、SnS2、PbS、PbS2、Sb2S3、Sb2S5、SnSiS3などが好ましい。又これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えばLi2GeO3、Li2SnO2であってもよい。
特に好ましいのは、B、Al、Si、Ge、Sn、Pの中の2種以上の元素を主体とする複合酸化物である。
これらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から3族の元素またはハロゲン元素を含んでもよい。また遷移金属を含んでもよい。
SnM1 aOt 一般式(1)
式中、M1はAl、B、P、Si、Ge、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元
素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、aは0.2以上、3以下の数を、tは1以上、7以下の数を表す。
SnxT1-xM1 aOt 一般式(2)
式中、Tは遷移金属を表し、V、Ti、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、W、Moを表す。Xは0.1以上、0.9以下の数を表す。M1、a、tは一般式(1)と同じである
。
SnM2 bOt 一般式(3)
式中、M2はAl、B、P、Si、Ge、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元
素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、bは0.2以上、3以下の数を、tは1以上、7以下の数を表す。
SnM3 cM4 dOt 一般式(4)
式中、M3はAl、B、P、Si、Geの少なくとも1種を、M4は周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<3、tは1以上7以下の数を表す。
SnGeeM5 fM4 gOt 一般式(5)
式中、M5は、Al、P、B、Siから選ばれる少なくとも1種を、M4は一般式(4)と同様に周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素の少なくとも1種以上の元素を表す。eは0.001以上1以下の数字。fは0.2以上2以下の数字、gは0.01以上1以下の数字、tは1.3以上7以下の数字を表す。)で示される非晶質酸化物であることが一層好ましい。
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度としては毎分2℃以上107℃以下であることが好ましい。
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。また
ニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を攪拌することが好ましい。
焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられる。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
平均粒径とは一次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測定される。
得られた負極材料は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤、含水有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
SnAl0.4B0.5P0.5K0.1O3.65、SnAl0.4B0.5P0.5Na0.2O3.7、SnAl0.4B0.3P0.5Rb0.2O3.4、SnAl0.4B0.5P0.5Cs0.1O3.65、SnAl0.4B0.4P0.4O3.2、SnAl0.3B0.5P0.2O2.7、SnAl0.3B0.5P0.2O2.7、SnAl0.4B0.5P0.3Ba0.08Mg0.08O3.26、SnAl0.4B0.4P0.4Ba0.08O3.28、SnAl0.4B0.5P0.5O3.6、SnAl0.4B0.5P0.5Mg0.1O3.7、SnAl0.5B0.4P0.5Mg0.1F0.2O3.65、SnB0.5P0.5Li0.1Mg0.1F0.2O3.05、SnB0.5P0.5K0.1Mg0.05F0.1O3.05、SnB0.5P0.5K0.05Mg0.1F0.2O3.03、SnB0.5P0.5K0.05Mg0.1F0.2O3.03、SnAl0.4B0.5P0.5Cs0.1Mg0.1F0.2O3.65、SnB0.5P0.5Cs0.05Mg0.05F0.1O3.03、SnB0.5P0.5Mg0.1F0.1O3.05、SnB0.5P0.5Mg0.1F0.2O3、SnB0.5P0.5Mg0.1F0.06O3.07、SnB0.5P0.5Mg0.1F0.14O3.03、SnPBa0.08O3.58、SnPK0.1O3.55、SnPK0.05Mg0.05O3.58、SnPCs0.1O3.55、SnPBa0.08F0.08O3.54、SnPK0.1Mg0.1F0.2O3.55、SnPK0.05Mg0.05F0.1O3.53、SnPCs0.1Mg0.1F0.2O3.55、SnPCs0.05Mg0.05F0.1O3.53、Sn1.1Al0.4B0.2P0.6Ba0.08F0.08O3.54、Sn1.1Al0.4B0.2P0.6Li0.1K0.1Ba0.1F0.1O3.65、Sn1.1Al0.4B0.4P0.4Ba0.08O3.34、Sn1.1Al0.4PCs0.05O4.23、Sn1.1Al0.4PK0.05O4.23、Sn1.2Al0.5B0.3P0.4Cs0.2O3.5、Sn1.2Al0.4B0.2P0.6Ba0.08O3.68、Sn1.2Al0.4B0.2P0.6Ba0.08F0.08O3.04、Sn1.2Al0.4B0.2P0.6Mg0.04Ba0.04O3.68、Sn1.2Al0.4B0.3P0.5Ba0.08O3.58、Sn1.3Al0.3B0.3P0.4Na0.2O3.3、Sn1.3Al0.2B0.4P0.4Ca0.2O3.4、Sn1.3Al0.4B0.4P0.4Ba0.2O3.6、Sn1.4Al0.4PK0.2O4.6、Sn1.4Al0.2Ba0.1PK0.2O4.45、Sn1.4Al0.2Ba0.2PK0.2O4.6、Sn1.4Al0.4Ba0.2PK0.2Ba0.1F0.2O4.9、Sn1.4Al0.4PK0.3O4.65、Sn1.5Al0.2PK0.2O4.4、Sn1.5Al0.4PK0.1O4.65、Sn1.5Al0.4PCs0.05O4.63、Sn1.5Al0.4PCs0.05Mg0.1F0.2O4.63、SnGe0.001P0.1B0.1K0.5O1.65、SnGe0.02P0.3K0.1O1.84、SnGe0.02P0.15B0.15K0.1O1.69、SnGe0.05P0.3B0.4K0.1O2.5、SnGe0.05P0.8K0.1O3.15、SnGe0.05P0.6B0.3Mg0.1K0.1O3.8、SnGe0.05P0.5B0.5Cs0.05K0.05O3.15、SnGe0.1P0.9K0.1O3.5、SnGe0.1P0.7B0.2K0.1Mg0.1O3.3、SnGe0.1P0.5B0.5Ba0.05K0.1O2.3、SnGe0.1P0.5B0.5Pb0.05K0.1P2.3、SnGe0.1P0.5B0.5Mg0.05K0.15O3.325、SnGe0.1P0.5B0.5Mg0.2K0.05O3.425、SnGe0.1P0.5B0.5Mg0.01O3.201、SnGe0.1P0.5B0.5Al0.03Mg0.1K0.1O3.425、SnGe0.1P0.5B0.5Mg0.1Li0.1O3.35、SnSi0.5Al0.1B0.2P0.1Ca0.4O3.1、SnSi0.4Al0.2B0.4O2.7、SnSi0.5Al0.2B0.1P0.1Mg0.1O2.8、SnSi0.6Al0.2B0.2O2.8、SnSi0.5Al0.3B0.4P0.2O3.55、SnSi0.5Al0.3B0.4P0.5O4.30、SnSi0.6Al0.1B0.1P0.3O3.25、SnSi0.6Al0.1B0.1P0.1Ba0.2O2.95。SnSi0.6Al0.1B0.1P0.1Ca0.2O2.95、SnSi0.6Al0.4B0.2Mg0.1O3.2、SnSi0.6Al0.1B0.3P0.1O3.05、SnSi0.6Al0.2Mg0.2O2.7、SnSi0.6Al0.2Ca0.2O2.7、SnSi0.6Al0.2P0.2O3、SnSi0.6B0.2P0.2O3、SnSi0.8Al0.2O2.9、SnSi0.8Al0.3B0.2P0.2O3.85、SnSi0.8B0.2O2.9、SnSi0.8Ba0.2O2.8、SnSi0.8Mg0.2O2.8、SnSi0.8Ca0.2O2.8、SnSi0.8P0.2O3.1、Sn0.9Mn0.3B0.4P0.4Ca0.1Rb0.1O2.95、Sn0.9Fe0.3B0.4P0.4Ca0.1Rb0.1O2.95、Sn0.8Pb0.2Ca0.1P0.9O3.35、Sn0.9Mn0.1Mg0.1P0.9O3.35、Sn0.2Mn0.8Mg0.1P0.9O3.35、Sn0.7Pb0.3Ca0.1P0.9O3.35
本発明で用いられる酸化物の正極活物質あるいは負極材料の表面を、用いられる正極活物質や負極材料と異なる化学式を持つ酸化物で波覆することができる。
この表面酸化物は、酸性にもアルカリ性にも溶解する化合物を含む酸化物が好ましい。さらに、電子伝導性の高い金属酸化物が好ましい。例えば、PbO2、Fe2O3、SnO2、In2O3、ZnOなどやまたはこれらの酸化物にドーパント(例えば、酸化物では原子価の異なる金属、ハロゲン元素など)を含ませることが好ましい。特に好ましくは、SiO2、SnO2、Fe2O3、ZnO、PbO2である。
また、このほかに、正極活物質や負極材料の表面を改質することができる。例えば、金属酸化物の表面をエステル化剤により処理、キレート化剤で処理、導電性高分子、ポリエチレンオキサイドなどにより処理することが挙げられる。
また、負極材料の表面を改質することもできる。例えば、イオン導電性ポリマーやポリアセチレン層を設けるなどにより処理することが挙げられる。また、正極活物質や負極材料は水洗などの精製工程を経てもよい。
導電剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物あるいはポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独又はこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、アセチレンブラック、グラファイトとアセチレンブラックの併用が特に好ましい。
水分散の合剤を作成する場合には、導電剤は予め水中に分散したものを用いるのが好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーを一種またはこれらの混合物を用いることができる。
好ましい例としては、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム及びポリエチレンオキシドを挙げることができる。また、多糖類のようにリチウムと反応するような官能基を含む化合物を用いるときは、例えば、イソシアネート基のような化合物を添加してその官能基を失活させることが好ましい。その結着剤の添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。合剤中における結着剤の分布は、均一でも、不均一でもよい。
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。圧力増強剤は、後述の内圧を上げる化合物であり、炭酸塩が代表例である。
正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極活物質あるいは負極材料のほか、それぞれに導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含むことができる。下塗り層や保護層は、結着剤や導電剤粒子、導電性を持たない粒子などを含む事ができる。
なかでも環状カーボネート及び/または非環状カーボネートを含ませることが好ましい。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートを含ませることが好ましい。また、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを含ませることが好ましい。またエチレンカーボネートのほかに、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLiCF3SO3、LiClO4、LiBF4および/あるいはLiPF6を含む電解質が好ましい。それらの支持塩では、LiPF6を含ませることが特に好ましい。
これら電解質を電池内に添加する量は、特に限定されないが、正極活物質や負極材料の量や電池のサイズによって必要量用いることができる。
支持電解質の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N−LiI−LiOH、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、硫化リン化合物などが有効である。
有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体が該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
また、正極や負極の合剤には電解液あるいは電解質を含ませることができる。
例えば、前記イオン導電性ポリマーやニトロメタン、電解液を含ませる方法が知られている。
これらの材料の表面を酸化することも用いられる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。形状は、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmのものが用いられる。
電池の形状はシート、シリンダー、偏平、角などいずれにも適用できる。
正極活物質や負極材料の合剤は、集電体の上に塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。塗布方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることができる。そのなかでもブレード法、ナイフ法及びエクストルージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布は、片面ずつ逐時でも両面同時でもよい。また、塗布は連続でも間欠でもストライプでもよい。
シートの乾燥又は脱水方法としては、一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質ではそれぞれ500ppm以下にすることがサイクル性の点で好ましい。
シートのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3t/cm2が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。
プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。正極シートに対する負極シートとの幅の比率は、0.9〜1.1が好ましい。特に、0.95〜1.0が好ましい。正極活物質と負極材料の含有量比は、化合物種類や合剤処方により異なるため、限定できないが、容量、サイクル性、安全性の観点で最適な値に設定できる。
また、安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは、独立に接続させてもよい。また、過充電対策として、電池内圧の上昇により電流を遮断する方式を具備することができる。このとき、内圧を上げる化合物を合剤の中あるいは電解質の中に含ませることができる。内圧を上げる化合物としてはLi2CO3、LiHCO3、Na2CO3、NaHCO3、CaCO3、MgCO3などの炭酸塩などがあげられる。
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が用いられる。キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来から知られている化合物や混合物を用いることができる。
負極材料−aの合成
SnO 80.8g、SiO230g、Al2O35.1g、B2O310.4g、Sn2P2O741.4gを乾式混合し、アルミナ製るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000℃まで昇温した。1000℃で12時間焼成した後、10℃/分で室温にまで降温し、焼成炉より取り出して、ガラス状化合物を得た。該化合物をジョークラッシャーにて粗粉砕することにより平均粒径80μmの粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を旋回気流型ジェットミルを用いて室温で乾式粉砕し、さらにサイクロンによる分級を行い、平均粒径5.3μmの負極材料aを得た。
得られた化合物をX線回折法(Cu−Kα線)で分析したところ、全く結晶性ピークが認められず、非晶質の化合物であることを確認した。
また、誘導結合プラズマ発光分析方法にて合成した化合物の原子組成を測定し、目的の原子組成比で合成できていることを確認した。
一酸化錫13.5g、二酸化珪素6.0gをボールミルにて乾式混合した。次にアルミナ製坩堝に入れ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000℃まで昇温した。1000℃で12時間焼成したのち、アルゴンガス雰囲気中で10℃/分で室温まで降温し、ガラス状の目的化合物を得た。該化合物をジョークラッシャーで粗粉砕し、平均粒径80μmの粗粉砕物を得た。この後負極材料aと同様の方法で、平均粒径5.5μmの負極材料bを得た。また負極材料aと同様の手法で該負極材料bが非晶質であることおよび目的の原子組成比で合成されていることを確認した。
炭素系負極材料として、市販の石油コークス(日本ペトロレーム社製、PC−R)を用いた。
負極材料−d
珪素を主体とする負極材料として、市販の二酸化珪素(無水珪酸:和光純薬製)を使用した。
使用した正極活物質はLiCoO2であり、市販品を用いた。
実施例で使用した電解液は、以下の組成のものである。
正極活物質としてLiCoO2、アセチレンブラック、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリアクリル酸ナトリウムを重量比で92:4:3:1の割合で加えて混合し、水を媒体として混練して得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(支持体)集電体の両面に塗布した。該塗布物を乾燥後、カレンダープレス機により圧縮成形して帯状の正極シートを作製した。この正極シートの端部にリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で210℃30分間加熱処理した。
負極シート
上述の手法で調製した各種の負極材料、アセチレンブラック、グラファイト、ポリフッ化ビニリデン、およびカルボキシメチルセルロースを重量比でそれぞれ84:3:8:4:1の割合で混合し、水を媒体として混練してスラリーを得た。該スラリーを厚さ18μmの銅箔の両面にドクターブレードコーターを用いて塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、さらに端部にリード板をスポット溶接した。この際、最外周部に相当する部分4cmの未塗布部を設けた。
この後露点−40℃以下の乾燥空気中で210℃30分間加熱処理し、帯状の負極シートを得た この時4.0cmに裁断したリチウム箔を該未塗布部にローラーで圧着した。上述のようにして得られた負極シートの様子を第1図に示す。第1図において、aは負極最外周部、bは負極材料の塗布部、cは金属リチウム箔の圧着部分を示す。
金属リチウム箔を圧着しないこと以外は本発明と同様に負極シートを作製した。
比較用シート(s−3)の作製
石油コークス、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、およびカルボキシメチルセルロースを重量比でそれぞれ92:3:4:1の割合で混合し、水を媒体として混練してスラリーを得た。該スラリーを厚さ18μmの銅箔の両面にドクターブレードコーターを用いて塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、さらに端部にリード板をスポット溶接した。この際、最外周部に相当する部分4cmの未塗布部を設けた。この後露点−40℃以下の乾燥空気中で210℃30分間加熱処理し、帯状の負極シートを得た。得られたシートの未塗布部(銅箔部)に、0.6cmに裁断したリチウム箔をローラーで圧着した。
金属リチウム箔を圧着しないこと以外は、比較用シートs−3と同様に、負極シートを作製した。
作製した正極シート、微多孔性ポリプロピレンフィルム製セパレーターの順で積層し、これを渦巻き状に巻回した。この時金属リチウム箔が圧着された側が巻回群の中心部を向くように巻回した。この巻回群を負極端子を兼ねる、ニッケルめっきを施した鉄製の有底円筒型電池缶に収納した。さらに上述の電解液を電池缶に2cc注入した。正極端子を有する電池蓋をdガスケットを介してかしめて円筒型電池を作製した。なお、正極端子は正極シートと、電池缶は負極シートとあらかじめリード端子により接続した。第2図に円筒型電池の断面を示した。なお、7は安全弁である。この後40℃で7日間放置した後、下記の性能評価を行った。
結果を表2から4に示す。
金属リチウム箔を用いない場合の負極材料aおよびbを用いた場合、正極活物質のLiCoO2は重量で該負極材料の5.7倍用いることで最もサイクル性と容量のバランスのとれた電池が得られる。容量も2.2Whと炭素系負極材料より1.0Wh高いものの、クーロン効率が0.55前後と、添加したLiCoO2の約半分が負極材料の副反応のために消費されることになる(表2のNo.5〜12、表3のNo.13〜16)。しかし本発明の、負極シートに金属リチウム箔をクーロン効率が1.0付近になる量を圧着した電池では、表4の29から40に示すように負極材料に対する正極活物質量を3.1に減じることができた。その結果、より多くの負極材料を電池に導入することができ、容量は驚くべき事に36%(およそ1.0Wh)も向上した。更に驚くべき事にサイクル性能も向上した。一方金属リチウム箔を圧着せずに負極材料に対する正極活物質量を同じ3.1にした場合は、表3の13から24に示すように逆に28%低下し、サイクル性能も劣化した。
負極材料
実施例1で述べた負極材料aおよびbを用いた。
正極シートの作製
実施例1と同様にして作製した。なお、正極シート上のLiCoO2重量は5.9gであった。
負極シートの作製
上述の手法で調製した各種の負極材料、アセチレンブラック、グラファイト、ポリフッ化ビニリデン、およびカルボキシメチルセルロースを重量比で各々84:3:8:4:1の割合で混合し水を媒体として混練してスラリーを得た。
該スラリーを厚さ18μmの銅箔の両面にドクターブレードコーターを用いて塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、幅41mm、長さ300mmの帯状にスリットして負極シートの端部にリード板をスポット溶接した。この後、露点−40℃以下の乾燥空気中で210℃、30分間加熱処理し、帯状の負極シートを得た。負極シート上の負極材料の重量は、1.9gであった。22cmに切断した厚さ40μm、幅9mmのリチウム箔4枚(負極シートあたり13.7g/m2に相当する)を、各々2枚づつ負極シートの両面にローラーで圧着した。
金属リチウム箔を圧着しないこと以外は本発明と同様に負極シートを作製した。
比較用シートの作製2
22cmに切断した厚さ100μm、幅9mmのリチウム箔4枚(負極シートあたり34.3g/m2に相当する。)を、各々2枚づつ負極シートの両面にローラーで圧着した以外は本発明と同様に負極シートを作製した。
比較用シートの作製3
負極材料aおよびb、正極活物質にLiCoO2を用いて非水二次電池とする場合には、「正極活物質/負極材料」の比(以後、C/Aと略す。)がサイクル性と容量のバランスに大きく影響する。上述の量の金属リチウム箔を用いた場合にはC/A=3.1が好ましいが、金属リチウム箔を用いない場合にはC/A=3.1ではなく、むしろC/A=5.7が最もサイクル性と容量のバランスのとれた電池が得られる。
負極材料aおよびb、正極活物質にLiCoO2を用い、金属リチウム箔を用いない非水二次電池のサイクル性と容量を正当に評価する為、負極材料1.36g、正極活物質LiCoO27.75gとなるように前記電極シートの長さを調整してC/A=5.7とした。
次に実施例1と同様にして電池作製した。
実施例2と同じ負極シート両面に、厚さ40μm、幅3.9mm、長さ41mmのLi箔を、片面あたり25枚を等間隔にストライプ状に並べ(第3図(b))、ローラーでプレスすることにより圧着した(負極シートあたり13.8g/m2に相当)。得られた負極シートを用いて実施例1と同様に電池を作成し、40℃で2日間放置した後、実施例1と同様に性能を評価した。その結果、表6の9、10に示すように、クローン効率、容量サイクル性が、同一構成の表5、比較例7、8より優れていることが明らかとなった。
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)のシート上に、4mm×10mmの長方形の穴を、幅方向40mmの間に5個、長さ方向22cmに渡って20個、計100個の穴を開けた。次にこのシートを実施例1と同じ負極シートと厚さ40μmのLi箔の間に挟み、ローラーで強く圧縮することで、PET上に開けた穴に相当する部分の負極シート上にLi箔を圧着した(負極シートあたり13.8g/m2に相当)。作成した電池11、12は40℃で2日間、13、14は40℃で15日間放置し、実施例1と同様に性能評価した。その結果、表7の11〜14に示すように、クローン効率、容量、サイクル性が、同一構成の比較例7、8より優れていることが明らかとなった。
実施例2と同様にして、Sn1.0P0.5B0.5Al0.5K0.1Mg0.1Ge0.1O1.1を焼成し負極シートを調製した。これに実施例2と同様にLi箔を貼付した。その結果、実施例3と同様、クーロン効率、容量、サイクル性が優れていることが判明した。
比較のため、石油コークス、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、およびカルボキシメチルセルロースを重量比でそれぞれ92:3:4:1の割合で混合し、水を媒体として混練してスラリーを得、これを実施例2と同様の操作を施すことによりカーボン負極シートを作製し、電池を得た。この系で正極活物質と負極活物質の量を最適化した場合、容量は1.21Wh、室温サイクル性は220であった。本発明の手法であるLi箔圧着をカーボン負極シートへ適用したところ、容量増加は0.1Wh程度に過ぎず、またサイクル性の改善も見られなかった。
合成例
一酸化錫13.5g、二酸化珪素3.6g、酸化マグネシウム0.64g、酸化ほう素0.69gを乾式混合し、アルミナ製るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000℃まで昇温した。1200℃で10時間焼成した後、10℃/分で室温にまで降温し、焼成炉より取り出して、これを粗粉砕し、さらにジェットミルで粉砕し、平均粒径4.5μmのSnSi0.6Mg0.2B0.2O2.7(化合物1−A)を得た。また、CuKα線を用いたX線回折法において2θ値で28°近付に頂点を有するブロードなピークを有する物であり、2θ値で40°以上70°以下には結晶性の回折線は見られなかった。
同様の方法で、それぞれ化学量論量の原料を混合、焼成、粉砕し、下記の化合物を得た。SnSi0.8Mg0.2O2.8(1−B)、SnSi0.6Al0.2Mg0.2O2.7(1−C)、SnSi0.6P0.2Mg0.2O2.9(1−D)、SnSi0.6Al0.1B0.2Mg0.1O2.75(1−E)、SnSi0.5P0.1B0.1Mg0.3O2.7(1−F)。
補助層を有する負極b−1からb−7は、負極aの上に、導電性粒子等を表8に示す割合で混合し、水を媒体として混練してスラリー化したものを補助層の乾燥膜厚が10μmとなるように塗布して作成した。
これらの負極a,b−1からb−7を乾燥後カレンダープレス機により圧縮成型し、所定の幅、長さに切断して帯状のそれぞれ負極シートa,b−1からb−7を作製した。負極シートの幅と長さは、化合物1−Aの塗布量が1.9gとなるように調節した。
得られた各負極シートにニッケルリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の空気中で230℃で30分脱水乾燥した後、長さ22cm、幅9mmに裁断した厚さ40μmのリチウム箔を、負極シートの両面にそれぞれ2枚づつローラーで圧着した。
保護層を有する正極b−1からb−7は、正極aの上に、負極と同様に、表2に示した導電性粒子等の組成物のスラリーを保護層の乾燥膜厚が15μmとなるように塗布して作成した。
これらの正極a,b−1からb−7を乾燥、プレス、切断し正極シートa,b−1からb−7を作った。正極シート上のLiCoO2の塗布重量は5.9gであった。得られた正極シートは、アルミニウムのリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で230℃で30分脱水乾燥した。
厚みは、正極シートaが250μm、正極シートb−1からb−7が265μmであった。
電池Aと電池B−1からB−6はそれぞれ10個づつ作成し、1mA/cm2で4.15Vまで充電した後、60℃にて3週間保存した、3週間後にそれぞれ電池の開路電圧を測定し、表9に示す結果を得た。
実施例6の電池A,B−1からB−11と同じ電池をそれぞれ300個づつ作製し、4.15Vまで充電した。充電不良の電池の個数を求めたところ、電池Aでは6個、電池B−1からB−11では0個であり、明らかに不良品発生率が改良されていることがわかった。
実施例−6で用いた負極材料1−Aのかわりに、1−Bから1−Fを用い実施例−6と同様な実験を行ったところ、ほぼ実施例−6と同様な結果が得られた。
実施例−6の負極シートb−1とb−7の補助層の厚みを6μmに変更する以外はb−1、b−7と全く同様にして負極シートc−1、c−2を作った。この負極シートと正極シートaを組み合わせて電池C−1、C−2を作った。この電池C−1、C−2を用いて、実施例1と同様な実験を行ったところ、電池B同様に保存後の電圧降下が少なく性能の安定なことがわかった。
厚さ30μmのリチウム箔を長さ22cm幅12mmに裁断し、各2枚を負極シートの両面にローラーで圧着する以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例6とほぼ同様の効果を得た。
実施例6の負極シートa,b−1、正極シートa,b−1を用い、負極シートはa,b−1には実施例6と同様な条件でリチウム箔を圧着させたものと圧着させなかったものを作った。これらの正負極シートを下表のように組み合わせて実施例1と同様にして電池を作り、1mA/cm2で4.15Vまで充電した後、放電容量を測定した。放電容量は電池D−1を基準として表示した。また、各電池を300個づつ作成し、実施例7と同様にして不良電池の個数を求めた。
結果を表10に示す。
一酸化錫、アルミナ、酸化ほう素、ピロリン酸錫、フッ化マグネシウムの所定量を乾式混合し、アルミナ製坩堝にいれ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000℃まで昇温した。10時間焼成した後、10℃/分で室温にまで降温し、焼成炉より取り出した。この試料を粗粉砕し、更にジェットミルで粉砕し、平均粒径6.5μmの粉末を得た。これはCuKα線を用いたX線回折法において2θ値で28度付近に頂点を有するブロードなピークを有するものであり、2θ値で40度以上70度以下には結晶性の回折線は見られなかった。この化合物は元素分析により、SnAl0.1B0.5P0.5Mg0.1F0.2O3.15(化合物G)であることがわかった。
実施例6の化合物1−Aの替わりに化合物Gを用いる以外は実施例6と全く同様にして負極シート6aを作った。また、補助層を有する負極シートb−1と同様にして6bを作った。負極シート6a、6bのそれぞれに実施例6と同様な条件でリチウム箔を圧着させたものと圧着させなかったものを作った。これらの負極シートと実施例6の正極シートとを組み合わせて電池を作り、実施例10と同様な実験を行い、表11に示す結果を得た。
実施例6と同様にして、Sn1.0P0.5B0.5Al0.5K0.1Mg0.1Ge0.1O1.1を焼成し、実施例6の化合物1−Aの代わりに上記化合物を用いる以外は実施例6と全く同様にして負極シート7aを作製した。また実施例6の、補助層を有する負極シートb−1からb−7と同様にして7b−1から7b−7を作製し、表12に示すように負極シートと正極シートを組み合わせた。この負極シートに厚さ40μm幅3.9mm長さ41mmのリチウム箔を、片面あたり25枚を等間隔にストライプ状に並べ、ローラーでプレスすることにより圧着した(負極シートあたり13.8g/m2に相当)。得られた負極シートを用いて実施例1と同様に電池を作製し、40℃で12日間放置した後、実施例6と同様に性能を評価した。
その結果、表12に示すように電池F−1〜F−11は保存による電圧降下が小さく、性能が安定していることが明らかとなった。
負極材料としてSnB0.2P0.5K0.1Mg0.1Ge0.1O2.8を86重量部、導電剤としてアセチレンブラック3重量部とグラファイト6重量部の割合で混合し、さらに結着剤としてポリ弗化ビニリデンを4重量部およびカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練し、負極合剤スラリーを得た。該スラリーを厚さ10μmの銅箔の両面にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥して負極合剤シートを得た。
次にα−アルミナ79重量部、グラファイト18重量部、カルボキシメチルセルロース3重量部に水を媒体として加えて混練し、補助層スラリーを得た。該スラリーを上記負極合剤シート上に塗設・乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して厚さ98μm、幅55mm、長さ520mmの帯状負極シート前駆体を作成した。
この負極シート前駆体にニッケルリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の空気中で230℃で30分脱水乾燥した。
このシート両面に対して20mm×55mmに裁断した厚さ40μmのリチウム箔(純度99.5%)をそれぞれ12枚づつ圧着した。圧着はリチウム箔をいったん300mm径のポリエチレン製ローラーに転写した後、シートの両面に同時に5kg/cm2の圧力を印加しながら行った。このときのリチウム箔による負極シートの被覆率は40%であった。
該スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して厚さ260μm、幅53mm、長さ445mmの帯状の正極シート(1)を作成した。この正極シートの端部にアルミニウム製のリード板を溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で230℃で30分脱水乾燥した。
熱処理済みの正極シート(1)、微多孔性ポリエチレン/ポリプロピレンフィルム製セパレータ(3)、負極シート(2)及びセパレータ(3)の順に積層し、これを渦巻状に巻回した。
このあと作成した電池に対して0.2mA/cm2で3.2Vまで充電した後50℃で2週間保存した。
保存終了後1mA/cm2で4.1Vまで充電し、その後1mA/cm2で2.8Vまで放電した。放電容量はこのあと1mA/cm2で4.1Vまで充電した後、0.5mA/cm2で2.8Vまで放電して求めた。さらに5mA/cm2で4.1−2.8Vのサイクル試験を行ない、300サイクル目の容量維持率を測定した。
結果を表13に示した。
リチウム箔の大きさを10mm×55mm、リチウム箔の枚数を24枚、転写法をポリエチレン製のボード転写(片面づつ、リチウム箔10枚を一度に転写)で行った以外は実施例−13と同様に電池No.2を作成し、実施例−13と同様の評価を行った。
結果を表14に示した。
リチウム箔の大きさ、形状、枚数、等について表13に示したような条件の電池No.3〜15を同様に作成した。実施例−13と同様にして、これらの電池について放電容量およびサイクル性について評価した。
結果を表14に示した。
リチウム箔を貼らないか又はリチウム箔による負極シートの被覆率が10%より小さい又はリチウム箔の厚さが5μmより小さいか150μmより大きい電池No.a〜eを実施例−13と同様に作成し、同様の評価を行った。
結果を表13に示した。
実施例13と全く同様にして円筒型電池を作成した。
かしめを行なった後、0℃で2時間、25℃で15時間エージングした後25℃で0.4mA/cm2で3.1Vまで定電圧充電した後さらに50℃で2週間保存した。エージング3日後のこの電池の開路電圧は2.58Vであった。
保存終了後1mA/cm2で4.1Vまで充電し、その後1mA/cm2で2.8Vまで放電した。放電容量はこのあと1mA/cm2で4.1Vまで充電した後、0.5mA/cm2で2.8Vまで放電して求めた。さらに2.5mA/cm2で4.1〜2.8Vのサイクル試験を行ない、300サイクル目の容量維持率を測定した。
結果を表14に示した。
なお表14中に示したプレ充電とは上記の充電操作を示す。
実施例16と同様にしてかしめまでを行い、その後0℃で2時間、25℃で15時間エージングした後、25℃にて0.75mA/cm2で3.1〜2.7Vのサイクルを50回行った(定電圧充電、定電圧定電流放電の組合せで行った)。エージング3日後の電池の回路電圧は2.85Vであった。
その後実施例16と全く同様にして評価を行った。結果を表15に示した。
なお、表15中に示したプレ充放電とは上記の充放電サイクル操作を示す。
負極材料としてSnB0.2P0.5K0.1Ge0.1O2.7S0.02(平均粒径6.8μm)を用いた以外は実施例16と同様にして電池作成、プレ充電を行った。その後実施例1と全く同様に評価を行った。
結果を表16に示した。
Claims (16)
- リチウム含有遷移金属酸化物である正極活物質と、リチウムを吸蔵・放出可能な複合酸化物または複合カルコゲン化合物である負極材料とリチウム金属塩を含む非水電解質よりなる非水二次電池において、該正極活物質が塗布された集電体シート(正極シート)と該負極材料が塗布され、かつ負極シートの単位面積当たり1〜30g/m2のリチウムが電気化学的、化学的、熱的方法のいずれかの方法により予備挿入された集電体シート(負極シート)およびセパレーターが渦巻き状に巻回されてなり、リチウムを予備挿入する方法が、該負極シートにリチウムを主体とした金属材料を重ね合わせることによるものであることを特徴とする非水二次電池。
- リチウムを巻回群中に予備挿入する方法が、該巻回群中にリチウムを主体とした金属箔があらかじめ貼付されることによるものであることを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
- 正極シートに対向していない負極の集電体シート上にリチウムを主体とした金属が直接貼付されたことを特徴とする請求項1又は2記載の非水二次電池。
- 該負極シートに予備挿入されるリチウムの量が負極シートの単位面積当たり4〜16g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の非水二次電池。
- 該負極シートにリチウムを主体とした金属材料を重ね合わせ、セパレーターおよび正極シートとともに非水二次電池を組み立てた後、電解液を注液してエージングすることによりリチウムが予備挿入されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の非水二次電池。
- 該エージングにおいて、エージング温度が0〜80℃、エージング期間が1時間〜60日間であることを特徴とする請求項5記載の非水二次電池。
- 該エージング温度が20〜70℃、エージング期間が3〜30日間であることを特徴とする請求項5または6記載の非水二次電池。
- 該負極材料が錫を含む複合酸化物および/または複合カルコゲン化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の非水二次電池。
- 該錫を含む複合酸化物が次の一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の非水二次電池。
SnM1 aOt 一般式(1)
式中M1はAl、B、P、Si、Ge、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、0.2〜3の数を、tは1〜7の数を表す。 - 該錫を含む複合酸化物が次の一般式(4)で表されることを特徴とする請求項第1〜9のいずれか1項記載の非水二次電池。
SnM3 cM4 dOt 一般式(4)
式中M3はAl、B、P、Si、Geの少なくとも1種を、M4は周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素の少なくとも1種を表し、cは0.2〜2の数を、dは0.01〜1の数で、0.2<c+d<3、tは1〜7の数を表す。 - リチウム含有金属酸化物である正極活物質を主体とした層を有する正極シート、複合酸化物または複合カルコゲン化合物である負極材料を主体とした層にリチウムを主体とした金属材料が重ね合わせられた負極シート、リチウム塩を含む電解液およびセパレーターから構成され、電解液注入後にエージングすることによって負極シートの単位面積当たり1〜30g/m2のリチウムが負極シートに予備挿入される非水二次電池の製造方法。
- 該負極シートはリチウムを主体とした金属材料が負極シート上の全面、ストライプ状、枠状、円板状の少なくとも1種のパターンで重ね合わせられることによって作製されることを特徴とする請求項11記載の非水二次電池の製造方法。
- 該負極シートにリチウムを主体とした金属材料を重ね合わせる方法がロール転写法またはボード転写法であることを特徴とする請求項11または12記載の非水二次電池の製造方法。
- 該負極材料が錫を含む複合酸化物および/または複合カルコゲン化合物であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項記載の非水二次電池の製造方法。
- 該錫を含む複合酸化物が次の一般式(1)で表されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項記載の非水二次電池の製造方法。
SnM1 aOt 一般式(1)
式中M1はAl、B、P、Si、Ge、周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を表し、0.2〜3の数を、tは1〜7の数を表す。 - 該錫を含む複合酸化物が次の一般式(4)で表されることを特徴とする請求項第11〜15のいずれか1項記載の非水二次電池の製造方法。
SnM3 cM4 dOt 一般式(4)
式中M3はAl、B、P、Si、Geの少なくとも1種を、M4は周期律表第1族元素、第2族元素、第3族元素、ハロゲン元素の少なくとも1種を表し、cは0.2〜2の数を、dは0.01〜1の数で、0.2<c+d<3、tは1〜7の数を表す。
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