JP4890384B2 - エンジンの固有振動数検出方法および能動型防振支持装置の制御方法 - Google Patents

エンジンの固有振動数検出方法および能動型防振支持装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、車体に能動型防振支持装置を介して支持したエンジンの剛体共振の固有振動数を検出するエンジンの固有振動数検出方法と、その固有振動数検出方法を使用した能動型防振支持装置の制御方法とに関する。
クランクシャフトの所定回転角毎に出力されるクランクパルスの時間間隔からクランク角速度を算出し、クランク角速度を時間微分したクランク角加速度からクランクシャフトのトルクを算出し、トルクの変動量としてエンジンの振動状態を推定し、エンジンの振動状態に応じてアクチュエータのコイルへの通電を制御して防振機能を発揮させる能動型防振支持装置が,下記特許文献1により公知である。
特開2005−3156号公報
ところで、エンジンのトルクはクランクシャフトの位相に応じて変動するため、その反作用としてエンジン本体をクランクシャフトまわりにロールさせようとするロールモーメントもクランクシャフトの位相に応じて変動する。このロールモーメントが増減する周期はエンジン回転数に応じて変化するため、特定のエンジン回転数において前記ロールモーメントが増減する周期が、車体に弾性的にマウントされたエンジンのロール共振周波数に一致すると、乗員にとって不快な車体振動が発生する問題がある。従って、前記ロール共振周波数を検出し、そのロール共振が発生するエンジン回転数領域で能動型防振支持装置を作動させてロール共振に伴う振動を抑制する必要がある。
しかしながら、一般的に前記ロール共振周波数は、エンジンの通常の運転領域での回転数(アイドリング回転数以上の回転数)における振動周波数よりも低いため、そのエンジンの通常の運転中にロール共振周波数を検出できないという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンの剛体共振周波数を検出可能にするとともに、その剛体共振周波数を用いて能動型防振支持装置を制御することで、エンジンの剛体共振による振動を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車体に能動型防振支持装置を介して支持したエンジンの剛体共振の固有振動数を検出するエンジンの固有振動数検出方法において、前記エンジンの始動時あるいは停止時に、該エンジンにより加振される前記能動型防振支持装置のアクチュエータの起電力により電流を発生させ、前記起電力による電流に直流定電流を加えた電流の周波数から前記固有振動数を検出することを特徴とするエンジンの固有振動数検出方法
また請求項に記載された発明によれば、請求項1に記載の方法を使用した能動型防振支持装置の制御方法であって、前記エンジンの始動時あるいは停止時に、前記固有振動数に基づいて前記能動型防振支持装置の作動を制御してエンジンの剛体共振を抑制することを特徴とする能動型防振支持装置の制御方法が提案される。
また請求項に記載された発明によれば、請求項の構成に加えて、前記エンジンの停止時に検出した前記固有振動数に基づいて、前記エンジンの始動時に能動型防振支持装置の作動を制御してエンジンの剛体共振を抑制することを特徴とする能動型防振支持装置の制御方法が提案される。
請求項1の構成によれば、エンジンの通常の運転領域ではエンジン回転数が高いために発生しない剛体共振の固有振動数を、エンジンの回転数が通常の運転領域よりも低くなる始動時あるいは停止時に検出するので、剛体共振の固有振動数を精度良く検出することができる。特にエンジンの始動時あるいは停止時にエンジンにより加振される能動型防振支持装置のアクチュエータの起電力により電流を発生させ、前記起電力による電流に直流定電流を加えた電流の周波数からエンジンの固有振動数を検出するので、特別の振動数検出センサが不要になるだけでなく、マイナス電流を検出できない構造の電流センサを用いて剛体共振の固有振動数を検出することができる。
また請求項の構成によれば、エンジンの始動時あるいは停止時に、前記固有振動数に基づいて能動型防振支持装置の作動を制御してエンジンの剛体共振を抑制するので、エンジンが剛体共振して振動が強くなる始動時あるいは停止時に能動型防振支持装置の機能を充分に発揮させて振動を効果的に低減することができる。
また請求項の構成によれば、エンジンの停止時に検出した固有振動数に基づいて、エンジンの始動時に能動型防振支持装置の作動を制御してエンジンの剛体共振を抑制するので、停止時に比べてエンジンの剛体共振が強くなる始動時に、あるいは運転者がエンジンの回転状態(始動したか否か)に注目するために振動に対して敏感になる始動時に、能動型防振支持装置によりエンジンの振動を効果的に低減することができる。しかも定期的に検出される固有振動数のうちの最新のものに基づいて能動型防振支持装置の作動を制御するので、精度の高い固有振動数に基づいて能動型防振支持装置の防振効果を有効に発揮させることができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図9は本発明の実施の形態を示すもので、図1は能動型防振支持装置の縦断面図、図2は図1の2部拡大図、図3は能動型防振支持装置によるエンジンの支持形態を示す図、図4は通常運転時におけるアクチュエータの制御手法を示すフローチャート、図5は図4のフローチャートのステップS5の説明図、図6はエンジン停止時の作用を示すフローチャート、図7はエンジン始動時の作用を説明するフローチャート、図8はエンジンのロール振動の波形を示す図、図9はエンジン停止時のロール振動の波形と電流の波形とを示す図である。
図1および図2に示すように、自動車のエンジンを車体フレームに弾性的に支持するために用いられる能動型防振支持装置M(アクティブ・コントロール・マウント)は、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、概略円筒状の上部ハウジング11の下端のフランジ部11aと、概略円筒状の下部ハウジング12の上端のフランジ部12aとの間に、上面が開放した概略カップ状のアクチュエータケース13の外周のフランジ部13aと、環状の第1弾性体支持リング14の外周部と、環状の第2弾性体支持リング15の外周部とが重ね合わされてカシメにより結合される。このとき、下部ハウジング12のフランジ部12aとアクチュエータケース13のフランジ部13aとの間に環状の第1フローティングラバー16を介在させ、かつアクチュエータケース13の上部と第2弾性体支持リング15の内面との間に環状の第2フローティングラバー17を介在させることで、アクチュエータケース13は上部ハウジング11および下部ハウジング12に対して相対移動可能にフローティング支持される。
第1弾性体支持リング14と、軸線L上に配置された第1弾性体支持ボス18とに、厚肉のラバーで形成した第1弾性体19の下端および上端がそれぞれが加硫接着により接合される。第1弾性体支持ボス18の上面にダイヤフラム支持ボス20がボルト21で固定されており、ダイヤフラム支持ボス20に内周部を加硫接着により接合されたダイヤフラム22の外周部が上部ハウジング11に加硫接着により接合される。ダイヤフラム支持ボス20の上面に一体に形成されたエンジン取付部20aが図示せぬエンジンに固定される。また下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが図示せぬ車体フレームに固定される。
上部ハウジング11の上端のフランジ部11bにストッパ部材23の下端のフランジ部23aがボルト24…およびナット25…で結合されており、ストッパ部材23の上部内面に取り付けたストッパラバー26にダイヤフラム支持ボス20の上面に突設したエンジン取付部20aが当接可能に対向する。能動型防振支持装置Mに大荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
第2弾性体支持リング15に膜状のラバーで形成した第2弾性体27の外周部が加硫接着により接合されており、第2弾性体27の中央部に埋め込むように可動部材28が加硫接着により接合される。第2弾性体27の外周部は 第2弾性体支持リング15と後述するヨーク44との間に挟持され、その先端の環状の肉厚部がシール機能を発揮する。第2弾性体支持リング15の上面と第1弾性体19の外周部との間に円板状の隔壁部材29が固定されており、隔壁部材29および第1弾性体19により区画された第1液室30と、隔壁部材29および第2弾性体27により区画された第2液室31とが、隔壁部材29の中央に形成した連通孔29aを介して相互に連通する。
第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されており、連通路32の一端は連通孔33を介して第1液室30に連通し、連通路32の他端は連通孔34を介して、第1弾性体19およびダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
次に、前記可動部材28を駆動するアクチュエータ41の構造を説明する。
アクチュエータケース13の内部に固定コア42、コイル組立体43およびヨーク44が下から上に順次取り付けられる。コイル組立体43は、固定コア42およびヨーク44間に配置されたコイル46と、コイル46の外周を覆うコイルカバー47とで構成される。コイルカバー47には、アクチュエータケース13および下部ハウジング12に形成した開口13b,12cを貫通して外部に延出するコネクタ48が一体に形成される。
コイルカバー47の上面とヨーク44の下面との間にシール部材49が配置され、コイル46の下面と固定コア42の上面との間にシール部材50が配置される。これらのシール部材49,50によって、アクチュエータケース13および下部ハウジング12に形成した開口13b,12cからアクチュエータ41の内部空間に水や塵が入り込むのを阻止することができる。
ヨーク44の円筒部44aの内周面に薄肉円筒状の軸受け部材51が上下摺動自在に嵌合しており、この軸受け部材51の上端には径方向内向きに折り曲げられた上部フランジ51aが形成されるとともに、下端には径方向外向きに折り曲げられた下部フランジ51bが形成される。下部フランジ51bとヨーク44の円筒部44aの下端との間にセットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾発力で下部フランジ51bを弾性体53を介して固定コア42の上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44に支持される。
軸受け部材51の内周面に概略円筒状の可動コア54が上下摺動自在に嵌合する。前記可動部材28の中心から下向きに延びるロッド55が可動コア54の中心を緩く貫通し、その下端にナット56が締結される。可動コア54の上面に設けたばね座57と可動部材28の下面との間に圧縮状態のセットばね58が配置されており、このセットばね58の弾発力で可動コア54はナット56に押し付けられて固定される。この状態で、可動コア54の下面と固定コア42の上面とが、円錐状のエアギャップgを介して対向する。ロッド55に対し、ナット56は固定コア42の中心に形成された開口42a内で上下位置を調整されて締結されており、この開口42aはゴム製のキャップ60で閉塞される。
このように構成された能動型防振支持装置Mは、エンジンの振動状態に応じて電子制御ユニットUにより制御される。
電子制御ユニットUは、エンジンのクランクシャフトの回転に伴って、クランクシャフトの1回転につき24回、つまりクランクアングルの15°毎に1回出力されるクランクパルスを検出するクランクパルスセンサSaと、クランクシャフトの1回転につき3回、つまり各気筒の上死点毎とに1回出力されるカム角センサSbに接続されている。電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSaおよびカム角センサSbの出力に基いてエンジンの振動状態を推定し、能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41に対する通電を制御する。
アクチュエータ41のコイル46は、電子制御ユニットUからの通電制御により励磁され、可動コア54を吸引して可動部材28を下側に移動させる。この可動部材28の移動に伴い、第2液室31を区画する第2弾性体27が下方に変形して該第2液室27の容積が増加する。逆にコイル46を消磁すると、第2弾性体27が自己の弾性により上方に変形し、可動部材28および可動コア54が上昇し、第2液室31の容積が減少する。
しかして、自動車の走行中に低周波数のエンジンシェイク振動が発生したとき、エンジンから入力される荷重で第1弾性体19が変形して第1液室30の容積が変化すると、連通路32を介して接続された第1液室30および第3液室35間で液体が行き来する。第1液室30の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第3液室25の容積が縮小・拡大するが、この第3液室35の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、連通路32の形状および寸法、並びに第1弾性体19のばね定数は前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数および高減衰力を示すように設定されているため、エンジンから車体フレームに伝達される振動を効果的に低減することができる。
尚、上記エンジンシェイク振動の周波数領域では、アクチュエータ41は非作動状態に保たれる。
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、即ちエンジンのクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や、エンジンの気筒の一部を休止してエンジンを駆動する気筒休止運転時の振動が発生した場合、第1液室30および第3液室35を接続する連通路32内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、アクチュエータ41を駆動して防振機能を発揮させる。
能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41を作動させて防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSa、カム角センサSb、エンジン回転数センサScおよびエンジンECU10からの信号に基づいてコイル46に対する通電を制御する。
図3に示すように、V型のエンジンEはフロントバンクBfおよびリヤバンクBrを備えており、そのフロント側およびリヤ側がそれぞれ前記能動型防振支持装置M,Mによって支持される。そして、フロント側およびリヤ側の能動型防振支持装置M,Mのアクチュエータ41,41を作動させて防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSaやエンジン制御ECU10からの信号に基づいてアクチュエータ41,41に対する通電を制御する。
次に、上記構成を備えた能動型防振支持装置Mの制御について説明する。エンジンEはフロントバンクBf側およびリヤバンクBr側がそれぞれ能動型防振支持装置M,Mによって支持されており、両能動型防振支持装置M,Mは独立して制御される。
先ず、図4のフローチャートに基づいて、エンジンEの始動時を除く通常の運転状態での制御を説明する。
予め、エンジンECU10からの情報に基づきエンジンの気筒のうち、一部を休止している気筒休止運転状態か、エンジンの全ての気筒が運転する全筒運転状態かを判定する。本実施の形態では4サイクルV型6気筒のエンジンとして説明する。全筒運転時にはクランクシャフトが2回転する間に6回の爆発が起きるため、その振動周期のクランクアングルは120°となる。この振動周期において、クランクアングルの15°毎に8個のクランクパルスが出力される。また片方のバンクの気筒の運転を休止する気筒休止運転時には、クランクシャフトが2回転する間に3回の爆発が起きるため、その振動周期のクランクアングルは240°となり、その間に16個のクランクパルスが出力される。
例えば、エンジンが全筒運転状態であると判断された場合には、先ずステップS1でエンジンの振動周期Tに対するクランクアングル(この場合は120°)を決定する。続くステップS2で振動周期Tにおける8個のクランクパルスを読み込み、クランクパルスの時間間隔を演算する。図5に示すように、振動周期Tの間に8個のクランクパルスが出力され、それらの時間間隔tn(t1,t2,t3,…,t8)はクランクシャフトの角速度の変動に応じて変動する。
即ち、エンジンの爆発行程ではクランク角速度ωが増加して時間間隔tnが短くなり、エンジンの圧縮行程ではクランク角速度ωが減少して時間間隔tnが長くなるが、それ以外にエンジン回転数Neが増加する過程ではクランク角速度ωの増加により時間間隔tnが短くなり、エンジン回転数Neが減少する過程ではクランク角速度ωの減少により時間間隔tnが長くなる。従って、図5に示すクランクパルスの時間間隔tnは、エンジンの各振動周期T内の振動に伴うクランク角速度ωの変動に起因する要素と、エンジン回転数Neの増減に伴うクランク角速度ωの変動に起因する要素とを含むものとなる。
上記二つの要素のうち、能動型防振支持装置Mの制御に影響を与えるのは前者の要素(振動に伴うクランク角速度ωの変動)であり、能動型防振支持装置Mの制御に影響を与えない後者(エンジン回転数Neの増減に伴うクランク角速度ωの変動)の要素を排除する必要がある。
続くステップS3でクランクパルスの8個の時間間隔tnの累積時間Σtn=t1+t2+t3+…+t8を算出する。この累積時間Σtnは振動周期Tに相当する。
続くステップS4で8個の時間間隔tnの平均累積時間を算出する。図5から明らかなように累積時間のラインはS字状にカーブしているが、平均累積時間のラインは、累積時間のラインの始点と終点とを結ぶ直線となる。つまり、平均累積時間は、クランク角速度ωが一定である場合の累積時間に相当し、その値はクランクアングルが15°増加する毎にT/8ずつ増加する。
続くステップS5でクランクアングルの15°おきの各位置において、累積時間から平均累積時間を減算することにより、8個の偏差Δt1,Δt2,Δt3,…,Δt8を算出する。図5の下側のS字状にカーブするラインは偏差Δtnを表すもので、このラインはエンジン回転数Neの変動の影響を取り除いたクランクパルスの時間間隔tnの変動波形、つまりクランク角速度ωが一定である場合のクランクパルスの時間間隔tnに対するずれに相当する。
エンジン振動が存在しないと仮定した場合、エンジン回転数Neが一定であれば、時間間隔tnの累積時間は平均累積時間と同じように直線状に増加するが、エンジン回転数Neが増減する場合には、時間間隔tnの累積時間は直線状の平均累積時間から外れることになる。しかしながら本実施の形態では、実際には変動するエンジン回転数Neを平均化した直線状の平均累積時間を基準とし、その平均累積時間からの偏差Δtnを算出することで、エンジン回転数Neの変動の影響を排除してエンジンの振動だけに起因する偏差Δtnを得ることができる。このことは、クランクシャフトの平均角速度に対する実角速度の偏差を求めることに外ならない。
続くステップS6で偏差Δtnの最大値と最小値とを判定し、その最大値と最小値との偏差に基づいてクランク速度の変動量VAPPを算出し、ステップS7でカム角センサSbの出力タイミングと最小値までの時間nに基づき振動の位相を推定する。そしてステップS8で電子制御ユニットUに予め保存された変動量VAPPとエンジン回転数とのマップに基づき振動の振幅を算出してアクチュエータ41に印加する電流波形を決定するとともに、位相とエンジン回転数とのマップに基づきアクチュエータ41に印加する電流波形の出力タイミングを決定する。
尚、エンジンが気筒休止運転状態であると判断された場合には、前記振動周期Tにおける16個のクランクパルスを読み込み、全筒運転状態と同じ手順でアクチュエータ41に印加する電流波形とその出力タイミングとを決定する。
以上のように、エンジンが振動すると、その振動の振幅および位相に応じて、エンジンの上下動に追従するように能動型防振支持装置Mを伸縮させることで、エンジンの振動が車体フレームに伝達されるのを抑制して防振機能を発揮させることができる。
ところで、エンジンEは燃焼室における混合気の爆発がピストンを押し下げる力をコネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換するもので、エンジン本体にはクランクシャフトの回転の反作用として該クランクシャフトまわりのロールモーメントが作用することになる。このロールモーメントが変動する周波数はエンジン回転数に応じて変化するため、特定のエンジン回転数において前記ロールモーメントが変動する周波数がエンジンEのロール共振周波数に一致すると、乗員にとって不快な車体振動が発生する。
一般に、前記ロール共振周波数は、エンジンEの通常の運転領域での回転数(アイドリング回転数以上の回転数)での振動周波数よりも低いため、エンジンEの始動時および停止時にエンジン回転数がアイドリング回転数未満の所定の回転数になったときにエンジンEのロール共振が発生する。
そこで、本実施の形態では、エンジンEのロール共振周波数を検出し、そのロール共振周波数に対応するエンジン回転数領域で能動型防振支持装置Mを作動させることで、エンジンEのロール共振に起因する車体振動を抑制している。
以下、その作用を図6〜図9に基づいて説明する。
先ず、エンジンEの停止時の制御を示す図6のフローチャートのステップS11でエンジンEが停止したことを判定する。ここで言うエンジンEの停止とは、クランクシャフトが回転を停止した状態ではなく、各シリンダの作動(爆発)が行われなくなった状態を意味し、それはエンジンECU10の電圧が通常作動時の5Vから0Vになったことで判断される。
続くステップS12で能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41に直流定電流(例えば、1A)を印加する。前記ステップS11でエンジンEが停止してしてもクランクシャフトは慣性を回転を続けるため、エンジンEはしばらく振動して能動型防振支持装置Mが伸縮し、そのアクチュエータ41が外力で駆動される。その結果、アクチュエータ41のコイル34に起電力が発生し、ステップS13でエンジンEの振動周波数に応じた周波数の交流電流が電流計により検出される。
続くステップS14で、前記電流の振幅が所定値以上になる領域、つまりロール共振領域を抽出し、そのロール共振領域での前記電流の周波数からロール共振周波数を算出する。そしてステップS15で前記ロール共振周波数を各ループ毎に更新してメモリに記憶し、ステップS16でアクチュエータ41に対する1Aの直流定電流の印加を中止する。
前記ステップS12でアクチュエータ41に1Aの直流定電流を印加する理由は、その電流センサは一方向にのみ電流を供給して作動させるアクチュエータ41のコイル34の起電力により発生した交流電流を検出するため、マイナス電流を検出できない構造のものだからである
次に、エンジンEの始動時の制御を示す図7のフローチャートのステップS21でエンジンEが始動のためのクランキング状態にあることを判定する。エンジンEがクランキング状態にあることは、クランクパルスセンサSaが出力するクランクパルス信号から知ることができる。続くステップS22でエンジンEの初爆を判定する。エンジンEの初爆は、クランクパルス信号の間隔の急激な減少、つまりクランク角速度の急激な増加から知ることができる。
続くステップS23でフロント側およびリヤ側の何れの能動型防振支持装置M,Mから制御を開始するか決定する。その理由は、二つのバンクBf,Brの何れのバンクで初爆が発生するか等の状況により、エンジンEの最初のローリングの方向が決定するからである。続くステップS24で前記図4のフローチャートと同様の手順でエンジン回転数の変動を算出し、ステップS25で前記記憶したロール共振周波数を読み出す。続くステップS26でエンジン回転数の変動からロール共振の振幅をマップ検索より決定するとともに、ステップS27でエンジン回転数の変動からロール共振の継続時間をマップ検索より決定する。そしてステップS28でロール共振周波数、ロール共振の振幅およびロール共振の継続時間に基づいてアクチュエータ41の駆動を制御することで、エンジンEの始動時の振動を抑制することができる。
図8から明らかなように、エンジンEのロール共振は始動時と停止時とに発生しており、そのロール共振の周期(周波数)は、始動時のロール共振と停止時のロール共振とで一致しているが、その振幅は始動時の方が停止時よりも大幅に大きなものとなっている。従って、停止時にロール共振の周波数を検出し、その周波数を用いて次の始動時のロール共振による振動を抑制すべく能動型防振支持装置Mを制御すれば、全体としてロール共振による振動を効果的に抑制することができ、しかも定期的に検出される固有振動数のうちの最新のものに基づいて能動型防振支持装置Mの作動を制御することで、能動型防振支持装置Mの防振効果を有効に発揮させることができる。
またエンジンEの始動時には、運転者がエンジンの回転状態(始動したか否か)に注目するために振動に対して敏感になるが、そのときに能動型防振支持装置Mを作動させてロール共振による振動を抑制することで、運転者の体感的な振動抑制効果を大きくすることができる。
図9はエンジンEの停止時における実際のロール振動の波形と、アクチュエータ41の起電力による電流の波形とを示すものである。この図から明らかなように、実際のロール振動の振幅が最大になる波形の直前の3つの波形の周波数が、対応する電流の波形の周波数に極めて良く一致していることが分かる。
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、能動型防振支持装置Mは液体を封入したものに限定されず、ピエゾ素子を用いたものであっても良い。
また実施の形態ではエンジンEの停止時にロール共振周波数を検出してエンジンEの始動時に能動型防振支持装置Mの作動を制御しているが、その逆にエンジンEの始動時にロール共振周波数を検出してエンジンEの停止時に能動型防振支持装置Mの作動を制御しても良い。
また所定回数のエンジンEの始動および停止が行われる毎に1回だけロール共振周波数を検出し、そのロール共振周波数を用いてエンジンEの始動時および停止時の両方で能動型防振支持装置Mの作動を制御しても良い
また実施の形態では自動車のエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mを例示したが、本発明の能動型防振支持装置Mは自動車以外のエンジンの支持に適用することができる。
また実施の形態では剛体共振の一例としてロール共振について説明したが、本発明は前後方向、上下方向、左右方向、ヨー方向、ピッチ方向の共振についても適用することができる。
能動型防振支持装置の縦断面図 図1の2部拡大図 能動型防振支持装置によるエンジンの支持形態を示す図 通常運転時におけるアクチュエータの制御手法を示すフローチャート 図4のフローチャートのステップS5の説明図 エンジン停止時の作用を示すフローチャート エンジン始動時の作用を説明するフローチャート エンジンのロール振動の波形を示す図 エンジン停止時のロール振動の波形と電流の波形とを示す図
E エンジン
M 能動型防振支持装置
41 アクチュエータ

Claims (3)

  1. 車体に能動型防振支持装置(M)を介して支持したエンジン(E)の剛体共振の固有振動数を検出するエンジンの固有振動数検出方法において、
    前記エンジン(E)の始動時あるいは停止時に、該エンジン(E)により加振される前記能動型防振支持装置(M)のアクチュエータ(41)の起電力により電流を発生させ、前記起電力による電流に直流定電流を加えた電流の周波数から前記固有振動数を検出することを特徴とするエンジンの固有振動数検出方法
  2. 請求項1に記載の方法を使用した能動型防振支持装置の制御方法であって、
    前記エンジン(E)の始動時あるいは停止時に、前記固有振動数に基づいて前記能動型防振支持装置(M)の作動を制御してエンジン(E)の剛体共振を抑制することを特徴とする能動型防振支持装置の制御方法。
  3. 前記エンジン(E)の停止時に検出した前記固有振動数に基づいて、前記エンジン(E)の始動時に能動型防振支持装置(M)の作動を制御してエンジン(E)の剛体共振を抑制することを特徴とする、請求項に記載の能動型防振支持装置の制御方法。
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