JP4850525B2 - 多層回路基板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、絶縁樹脂層と配線層とを持つ多層回路基板において、配線層と絶縁樹脂層との密着性を向上させるための処理方法および密着処理を行った配線層を有する多層回路基板に関する。
近年、プリント配線板の微細化、多層化、および電子部品の高密度実装化が急速に進み、プリント配線板に対してビルドアップ多層配線構造の検討が活発に行われている。ビルドアップ多層配線構造では、複数の配線層間に、絶縁樹脂層等の絶縁層が形成されており、配線層間の導通をとるために、ビアホールと称される微細な穴を絶縁層に形成する。ビアホールは、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ技術により形成する方法や、レーザを照射し穴を形成する方法で形成できる。
次いで、無電解めっきまたは電気めっきによって、この絶縁層上に導体を形成し、これをエッチングして新たな配線パターンを形成する。その後、必要に応じて絶縁層の形成から配線パターンまでの形成工程を繰り返せば、回路の集積度を高めることができる。
従来の技術において、ビルドアップ配線基板の配線のほとんどは、銅から成り立っているが、銅は樹脂との密着性が低いことが知られている。そのため、従来からビルドアップ配線基板の銅配線とその上側の絶縁層との密着性を向上させるために、次のような処理がなされている。
すなわち、たとえば、銅配線表面を塩化第二銅液、塩化第二鉄液、硫酸過酸化水素水液、蟻酸系水溶液等でエッチング(化学研磨)し、10点平均表面粗さが2μm以上の微細突起を作り、その配線の上側に形成される絶縁層の樹脂が微細突起のアンカー作用により銅配線表面に強固に固定されるようにする処理がなされる。これにより、0.8kgf/cm(換算値は8N/cm)のピール強度が得られている。
しかしながら、近年ビルドアップ配線基板にも高周波の信号が伝送されるようになり、特に1GHzを超える周波数領域においては、微細突起のある配線構造では表皮効果による伝送損失、特に導体損が増大するという問題が生じてきた。
銅配線と絶縁樹脂との間の密着性は、前述の表面粗化による物理的アンカー効果に起因する密着性以外には、銅と樹脂中の構成成分との間の化学的密着がある。分子レベルでは、公知の技術として、各種のトリアジンチオールを用いた方法が開示されている。具体的には、引用文献1では、導体上にトリアジンチオール層が形成されている。この方法では樹脂がトリアジンチオールと反応するものに限定される。また、有機酸を混合することでアゾール化合物の厚膜を形成する方法(引用文献2参照。)が提案されているが、銅との密着には優れるものの、官能基を持たないため、絶縁樹脂との密着に劣る等の問題点がある。
さらにトリアジンチオール皮膜を有機めっきして製膜する方法も提案されている(非特許文献1参照。)。すなわち、まず逆バイアスをかけて銅表面の酸化皮膜を除去し、しかる後にトリアジンチオールを有機めっきする方法である。しかしながら、めっきするためにはシード電極層が必須のため、孤立部位への適用が困難であるといった問題があった。
特開平10−335782号公報(特許請求の範囲) 特開2002−321310号公報(特許請求の範囲) 「表面技術」,2000年,第51巻,NO.3,p.276
本発明は、上記問題を解決し、配線とその上の樹脂層との間で高い密着性を得ることのできる新規な多層回路基板、および配線とその上の樹脂層との間で高い密着性を得ることのできる多層回路基板の新規な製造法を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板において、
当該配線層表面にニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基が少なくとも存在し、
その直上に、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物が存在し、
さらにその直上に当該絶縁樹脂層が存在する、
多層回路基板が提供される。本発明態様により、配線とその上の樹脂層との間で優れた密着性を有する多層回路基板を実現することができる。
本発明の他の一態様によれば、配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板の製造方法において、
当該配線層表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物を含む処理液で処理して第一の処理体を形成し、
当該第一の処理体の表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物で処理して第二の処理体を形成し、
当該第二の処理体上に絶縁樹脂層を形成する
ことを含む、多層回路基板の製造方法が提供される。本発明態様により、配線とその上の樹脂層との間で優れた密着性を有する多層回路基板の製造法を実現することができる。
前記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物が、ニトロ安息香酸、ニトロフタル酸、ニトロサリチル酸およびそれらのアルカリ金属塩からなる群から選ばれた化合物を含むこと、および/または、前記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物が、シアノ安息香酸、シアノフェノール、ジシアノベンゼン、シアノ酢酸、それらのアルカリ金属塩、シアン化ナトリウム、およびシアン化カリウムからなる群から選ばれた化合物を含むことが好ましい。
また、上記の二つの態様に共通して、前記有機化合物が、シランカップリング剤または式1のトリアジンチオールまたは、シランカップリング剤および式1のトリアジンチオールであること、
Figure 0004850525
(式1中、SAのAは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムを表し、Xはメチル基、エチル基、プロピル基およびフェニル基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基で置換されていてもよいアミノ基またはSAを表す。なお、SAの少なくともいずれかにはSHが含まれる。
前記シランカップリング剤が、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イミダゾール基、ビニル基、ジアルキルアミノ基およびピリジン基からなる群から選ばれた基を少なくとも一つ含むものであること、前記配線層が銅からなるものであること、および、前記絶縁樹脂層が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を含むものであることが好ましい。
本発明のさらに他の一態様によれば、前記の多層回路基板の製造方法によって作製された多層回路基板が提供される。
本発明により、配線とその上の樹脂層との間で優れた密着性を有する多層回路基板およびその製造法を実現することができる。配線の表面粗化を省略することもできる。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。図中、同一の符号は同一の要素を表す。
本発明の一態様に係る多層回路基板では、配線層と絶縁樹脂層とを有し、
当該配線層表面にニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基が少なくとも存在し、
その直上に、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物(以下、「ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物」を「特定有機化合物」と呼称する)が存在し、
さらにその直上に当該絶縁樹脂層が存在する。
このような構造により、配線層と絶縁樹脂層との間に強固な結合を実現することができる。
本発明の他の態様としては、配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板の製造方法において、
当該配線層表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物(以下、「ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物」を「特定極性化合物」と呼称する)を含む処理液で処理して第一の処理体を形成し、
当該第一の処理体の表面を、特定有機化合物で処理して第二の処理体を形成し、
当該第二の処理体上に絶縁樹脂層を形成する
ことを含む、多層回路基板の製造方法がある。
このような方法により、配線層と絶縁樹脂層との間に強固な結合を持つ多層回路基板を実現することができる。
上記のいずれの態様においても、多層回路基板としては、上記条件を満たす任意の多層基板を含めることができる。支持基板上に絶縁樹脂層と配線層を持つものも、支持基板を欠くものも含まれる。上記以外の他の層が含まれていてもよい。
上記配線層は、特に表面を粗化する処理を行う必要はないが、表面粗化によるアンカー効果と組み合わせてもよい。上記配線層の材質については特に制限はないが、本発明態様では、表面を粗化せずに配線層とその上の樹脂層との間で高い密着性を実現できることから、銅の場合に特に好ましい効果が得られる。
上記配線層表面に存在するニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基がどのような形態で配線層表面上に存在するかについては特に制限はないが、ニトロ基を持つ化合物、カルボキシ基を持つ化合物、シアノ基を持つ化合物、ニトロ基とカルボキシ基とシアノ基とのいずれか二つまたはその全てを持つ化合物等が、配線層表面に、化学反応、化学吸着、物理吸着等している形態が考えられる。上記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基が、どのような形状で配線と特定有機化合物との間にあるかも、本発明の本質とは無関係である。具体的に層をなしていてもよく、なしていなくてもよい。ニトロ基を持つ化合物、カルボキシ基を持つ化合物およびシアノ基を持つ化合物等が層を成す場合、これらの層の順序に特に制限はない。ニトロ基とカルボキシ基とシアノ基とが少なくとも共存すると配線層と他の層との密着が強固になる。これらの基が単独に存在する場合に比べても、格段に密着が強固になる。
配線層表面を特定極性化合物を含む処理液で処理して第一の処理体を得る方法については、特に制限はなく、特定極性化合物を含む処理液に浸漬したり、そのような液でスプレーする等の方法が考えられる。
また、強固な固着を実現するために、洗浄、加熱、乾燥等を含めたり、繰り返し処理したり、ニトロ基を少なくとも一つ含む化合物またはそのアルカリ金属塩を含む処理液での処理とカルボキシ基を少なくとも一つ含む化合物またはそのアルカリ金属塩を含む処理液での処理とシアノ基を少なくとも一つ含む化合物またはそのアルカリ金属塩を含む処理液での処理とを分けて行ったり等の種々の方法も考えられる。本発明ではこれらの任意の方法から適宜好ましい方法を採用すればよい。
特定極性化合物は、複数種の化合物からなっていてもよく、単一の化合物からなっていてもよい。ニトロ基およびカルボキシ基を含む化合物の好ましい例としては、ニトロ安息香酸、ニトロフタル酸、ニトロサリチル酸またはそのアルカリ金属塩を挙げることができる。シアノ基を含む化合物の好ましい例としては、シアノ安息香酸、シアノフェノール、ジシアノベンゼン、シアノ酢酸、それらのアルカリ金属塩のような有機化合物や、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等の無機系シアン化合物を例示できる。これらの化合物は、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基以外の官能基を含んでいてもよい。混合物であってもよい。この混合物には酸と塩との混合物も含まれる。処理液を構成するために使用する溶媒についても特に制限はないが通常は水でよい。
本発明に係る第一の処理体には、上記のように、特定極性化合物を含む処理液で処理する以外に、上記のような他の処理を含んだものも含まれる。
上記特定有機化合物については、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物であれば特に制限はない。炭素および水素以外の元素(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素等)を含んでいてもよい。ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得るか否かは、実際に多層配線基板を作製したときに、密着力が向上することで確認してもよく、特定有機化合物の層を造り、その上に特定極性化合物を塗布し、乾燥、加熱等の処理を行い、その後、水等の溶媒で洗浄しても、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基が消失しないことでモデル的に確認してもよい。このモデル的確認においては、必ずしも、実際に使用される材料を使用する必要はなく、モデル的に選択した特定極性化合物を使用してもよい。言い換えれば、本発明における特定有機化合物には、このようにしてモデル的に確認されたものも含まれ得る。また、上記説明から理解されるように、本発明における「ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る」とは、必ずしも、実際にニトロ基とカルボキシ基とシアノ基との全ての基種に吸着または反応し得ることを要件とするものではない。
上記特定有機化合物としては、シランカップリング剤または式1のトリアジンチオールまたは、シランカップリング剤および式1のトリアジンチオールであることが、配線層と絶縁樹脂層との間により強固な結合を実現する上で好ましい。
Figure 0004850525
(式1中、SAのAは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムを表し、Xはメチル基、エチル基、プロピル基およびフェニル基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基で置換されていてもよいアミノ基またはSAを表す。なお、SAの少なくともいずれかにはSHが含まれる。
上記シランカップリン剤については特に制限はなく、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イミダゾール基、ビニル基、ジアルキルアミノ基およびピリジン基からなる群から選ばれた基を少なくとも一つ含むものを好ましく例示できる。
第一の処理体の表面を特定有機化合物で処理して第二の処理体を得る方法については特に制限はなく、浸漬法、スプレー法等を採用できる。トリアジンチオールやシランカップリング剤は通常固体であるので、何らかの溶媒に溶解して使用することが多い。この場合の溶媒については特に制限はないが、水が簡便である。
トリアジンチオールとシランカップリング剤とを共用する場合、その方法には特に制限はなく、トリアジンチオールによる処理の後にシランカップリング剤による処理を行う方法、シランカップリング剤による処理の後にトリアジンチオールによる処理を行う方法および、トリアジンチオールによる処理とシランカップリング剤による処理とを同時に行う方法が考えられる。
また、強固な固着を実現するために、水洗、加熱、乾燥等を含めたり、繰り返し処理したり等の種々の方法も考えられる。本発明ではこれらの任意の方法から適宜好ましい方法を採用すればよい。
本発明に係る第二の処理体には、上記のように、第一の処理体の表面をトリアジンチオールやシランカップリング剤で処理する以外に、上記のような他の処理を含んだものも含まれる。
なお、上記多層回路基板中の「シランカップリング剤」は、上記製造方法に係る発明形態における「シランカップリング剤」とは異なり、すでに反応して構造の変化したもののことを意味する。このようなシランカップリング剤の存在は、多層配線回路基板から、樹脂層を剥離し、剥離面をAES、XPSなどの方法で分析することによるシリコン元素の存在や、剥離面をTOF-SIMSなどの方法で分析することによるアミノ基、メルカプト基などの存在により確認できる。
また、上記多層回路基板中のニトロ基、カルボキシ基、シアノ基およびトリアジンチオール等の特定有機化合物についても、互いの相互作用や配線層等との相互作用により、上記製造方法に係る発明形態における対応物とは構造が若干変化していることもあり得る。例えばカルボキシ基の水素が取れ、シアノ基のCとNとの間の三重結合が二重結合になっている等の変化が考えられる。本発明に係る多層回路基板中のニトロ基、カルボキシ基、シアノ基およびトリアジンチオール等の特定有機化合物には、この様な構造の変化したものも含まれる。このようなニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基の存在は、多層配線回路基板から、エッチング等の適当な方法で、配線層を露出させ、SIMS(二次イオン質量分析法)等で検出することができる。このとき、他の基や元素が同時に検出されてもよい。また、トリアジンチオールの存在は、多層配線回路基板から、樹脂層を剥離し、剥離面をAES、XPSなどの方法で分析することによる硫黄、窒素の存在や、剥離面をTOF-SIMSなどの方法で分析することによるメルカプト基などの存在により確認できる。
なお、上記多層回路基板中、特定有機化合物がどのような形態で存在するかや、どのような形状で配線層と絶縁樹脂層との間にあるかは、本発明の本質とは無関係である。具体的に層をなしていてもよく、なしていなくてもよい。トリアジンチオールとシランカップリング剤とが共用されている場合には、トリアジンチオールとシランカップリング剤との間の順序に特に制限はない。特定有機化合物が、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基の直上に存在することは、上記のシリコン、アミノ基、メルカプト基などが、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基のある部分より上の部分(配線層からより離れた部分)にあることで確認できるが、上記のシリコン、アミノ基、メルカプト基などが、ニトロ基、カルボキシ基および/またはシアノ基と同じ部分に存在しているものや、ニトロ基、カルボキシ基および/またはシアノ基より下の部分(配線層により近い部分)に存在しているものがあっても構わない。
上記多層基板中、特定有機化合物の直上にある絶縁樹脂層に使用される絶縁樹脂ならびに製造方法に係る発明態様で使用される絶縁樹脂については特に制限はないが、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を含むものが一般的であり、好ましい。
本発明に係る絶縁樹脂層を形成する方法については、特に制限はなく、真空プレス、真空ラミネートを用いて樹脂シートを貼り付ける等の公知の方法から適宜選択することができる。
上記の諸態様において得られる多層回路基板の断面構造は、たとえば、図1または図2のようになる。
図1は、配線層1上に、特定極性化合物を含む処理液で処理して生成した第一の処理体の処理面層2、その上に、第一の処理体の表面を特定有機化合物で処理して生成した第二の処理体の処理面層3、その上に絶縁樹脂層4が存在する様子を示し、図2は、配線層1上に、特定極性化合物を含む処理液で処理して生成した第一の処理体の処理面層2、その上に、第一の処理体の表面を式1の構造を有するトリアジンチオールまたはシランカップリング剤で処理して生成した処理面層3’、その上に、処理面層3’の表面をシランカップリング剤または式1の構造を有するトリアジンチオールで処理して生成した処理面層3”、その上に絶縁樹脂層4が存在する様子を示している。第二の処理体3は、処理面層3’と処理面層3”とから構成される。図1,2の基板6は、あってもなくてもよい。
このように、図1,2は、本発明に係る多層基板製造方法の発明態様によって形成される層構造を示すものである。本発明に係る多層基板の発明態様の場合は、上記の第一の処理体の処理面層2を、「ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基が少なくとも存在する部分2」に読み替え、第二の処理体の処理面層3を「特定有機化合物が存在する部分3」に読み替えた構造を有することになる。
次に、本発明に係る多層回路基板製造方法を用いてビルドアップ多層回路基板を形成する方法の例を、図3,4を用いて以下に述べる。
まず、回路を形成したガラス繊維強化樹脂基板31上に、ビルドアップ絶縁層32を形成する。絶縁層32の表面には、密着性を得るための適切な処理を施した後、無電解めっきやスパッタ法等で、金属の通電層33を形成する(ステップ1)。次に、ステップ2で、レジスト34をパターニングし、ステップ3のように、開口部に電気銅めっき35を成長させる。
ステップ4で、レジストを剥離後、ステップ5で、通電層33をエッチングで除去して配線層36を形成する。次に、ステップ6で、特定極性化合物で表面処理を行う。処理方法は、浸漬法やスプレーによる吹き付け法等を用いることができる。本例では、特定極性化合物の層37を示したが、実際にどのような形態であるかは不明である。
その後、ステップ7で、特定有機化合物による処理を行い、特定有機化合物層38を形成する。この処理方法としては、浸漬法やスプレーによる吹き付け法等を用いることができる。さらにその後、特定有機化合物による処理を繰り返し、あるいは、他の特定有機化合物による処理を行ってもよい(ステップは図示されていない)。その処理の方法としては、浸漬法、スプレーによる吹きつけ法等を用いることができる。
その後、ステップ8で、次の層である上側の絶縁層39を形成する。その後上下の配線層の導通をとるために、ビアホールを形成する。このような、プロセスを繰り返すことにより、多層回路基板が形成できる。1層目のビルドアップ絶縁層を形成するガラス繊維強化樹脂上の銅箔に、上記ステップ6以降を適用することも有用である。
なお、図3,4の各ステップでは、特定極性化合物の層37および特定有機化合物層38を配線層36上にのみ示したが、これはステップ6,7で何らかの洗浄工程が含まれている場合を想定したものである。そのような洗浄のない場合は、他の部分にも同様の層が形成されることになるが、多層回路基板の品質(密着性等)に影響のない限り、問題はない。
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。ピール強度は、JIS C−6481に準じた90度剥離試験で行った。
[実施例1]
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、4−ニトロ安息香酸(関東化学)1重量%、水酸化ナトリウム(関東化学)0.5重量%および4−シアノ安息香酸(関東化学)1重量%を含む水溶液で5分間浸漬処理を行い、第一の処理体を得た。次にこの銅箔について、1重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803:信越化学工業製)水溶液で5分間浸漬処理を行い、100℃,30分のベークで乾燥させ、第二の処理体を得た。
処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.8kgf/cm(換算値は8N/cm)と高い値が得られた。
[実施例2]
実施例1に記載の4−シアノ安息香酸に代えてシアン化ナトリウムを用い、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン水溶液に代えて、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903:信越化学工業製)水溶液を使用した以外は、実施例1と同様に処理して得た第二の処理体の処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.8kgf/cm(換算値は8N/cm)と高い値が得られた。
[比較例1]
厚さ35μmの電気めっき銅箔について、4−ニトロ安息香酸(関東化学)1重量%、水酸化ナトリウム(関東化学)0.5重量%および4−シアノ安息香酸(関東化学)1重量%を含む水溶液で5分間浸漬処理を行った。100℃,30分のベークで乾燥した。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPaの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間エポキシ樹脂を硬化させた。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.4kgf/cm(換算値は4N/cm)の値しか得られなかった。
[比較例2]
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903:信越化学工業製)1重量%を含む水溶液を使用して、室温で5分間浸漬処理し、100℃,30分のベークで乾燥した。処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPaの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間エポキシ樹脂を硬化させた。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.1kgf/cm(換算値は1N/cm)の値しか得られなかった。
[実施例3]
実施例1に記載の4−ニトロ安息香酸に代えて4−ニトロフタル酸(関東化学)を用いた以外は、実施例1と同様に処理して得た第二の処理体の処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.8kgf/cm(換算値8N/cm)と高い値が得られた。
[実施例4]
実施例1に記載の4−ニトロ安息香酸に代えて5−ニトロ−サリチル酸(関東化学製)を用いた以外は、実施例1と同様に処理して得た第二の処理体の処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.8kgf/cm(換算値8N/cm)と高い値が得られた。
[実施例5]
実施例1に記載の1重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803:信越化学工業製)水溶液に代えて0.5重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランと0.5重量%のγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを含有する水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に処理して得た第二の処理体の処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.8kgf/cm(換算値8N/cm)と高い値が得られた。
[実施例6]
実施例1に記載の1重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803:信越化学工業製)水溶液に代えて1重量%の2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩(サンチオールN−1、三協化成製)水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に処理して得た第二の処理体の処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.8kgf/cm(換算値8N/cm)と高い値が得られた。
[実施例7]
実施例1に記載の1重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803:信越化学工業製)水溶液に代えて1重量%の2−アニリノ−4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩(ジスネットAF、三協化成製)水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に処理して得た第二の処理体の処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.7kgf/cm(換算値7N/cm)と高い値が得られた。
[実施例8]
厚さ35μmの電気めっき銅箔を、4−ニトロ安息香酸(関東化学)1重量%、水酸化ナトリウム(関東化学)0.5重量%および4−シアノ安息香酸(関東化学)1重量%を含む水溶液で5分間浸漬処理を行い、第一の処理体を得た。次にこの銅箔について、1重量%の2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩(サンチオールN−1、三協化成製)水溶液で5分間浸漬処理を行い、100℃,30分のベークで乾燥させ、ついで、1重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM−803:信越化学工業製)水溶液で5分間浸漬処理を行い、100℃,30分のベークで乾燥させ、第二の処理体を得た。
処理面に対して、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性エポキシ樹脂シートが接するように重ね、真空プレスで150℃,1MPの条件下、5分間プレスした。その後、真空プレスから取り出し、大気圧下で180℃,1時間の加熱でエポキシ樹脂を硬化させ、絶縁樹脂層とした。
銅箔を1cm幅に切り込み、ピール強度を測定した結果、0.9kgf/cm(換算値9N/cm)と高い値が得られた。
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板において、
当該配線層表面にニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基が少なくとも存在し、
その直上に、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物が存在し、
さらにその直上に当該絶縁樹脂層が存在する、
多層回路基板。
(付記2)
前記有機化合物が、シランカップリング剤または式1のトリアジンチオールまたは、シランカップリング剤および式1のトリアジンチオールである、付記1に記載の多層回路基板。
Figure 0004850525
(式1中、SAのAは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムを表し、Xはメチル基、エチル基、プロピル基およびフェニル基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基で置換されていてもよいアミノ基またはSAを表す。なお、SAの少なくともいずれかにはSHが含まれる。
(付記3)
前記シランカップリング剤が、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イミダゾール基、ビニル基、ジアルキルアミノ基およびピリジン基からなる群から選ばれた基を少なくとも一つ含むものである、付記2に記載の多層回路基板。
(付記4)
前記配線層が銅からなるものである、付記1〜3のいずれかに記載の多層回路基板。
(付記5)
前記絶縁樹脂層が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を含むものである、付記1〜4のいずれかに記載の多層回路基板。
(付記6)
配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板の製造方法において、
当該配線層表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物を含む処理液で処理して第一の処理体を形成し、
当該第一の処理体の表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物で処理して第二の処理体を形成し、
当該第二の処理体上に絶縁樹脂層を形成する
ことを含む、多層回路基板の製造方法。
(付記7)
前記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物が、ニトロ安息香酸、ニトロフタル酸、ニトロサリチル酸およびそれらのアルカリ金属塩からなる群から選ばれた化合物を含む、付記6に記載の多層回路基板の製造方法。
(付記8)
前記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物が、シアノ安息香酸、シアノフェノール、ジシアノベンゼン、シアノ酢酸、それらのアルカリ金属塩、シアン化ナトリウム、およびシアン化カリウムからなる群から選ばれた化合物を含む、付記6または7に記載の多層回路基板の製造方法。
(付記9)
前記有機化合物が、シランカップリング剤または式1のトリアジンチオールまたは、シランカップリング剤および式1のトリアジンチオールである、付記6〜8のいずれかに記載の多層回路基板の製造方法。
Figure 0004850525
(式1中、SAのAは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムを表し、Xはメチル基、エチル基、プロピル基およびフェニル基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基で置換されていてもよいアミノ基またはSAを表す。なお、SAの少なくともいずれかにはSHが含まれる。
(付記10)
前記シランカップリング剤が、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イミダゾール基、ビニル基、ジアルキルアミノ基およびピリジン基からなる群から選ばれた基を少なくとも一つ含むものである、付記9に記載の多層回路基板の製造方法。
(付記11)
前記配線層が銅からなるものである、付記6〜10のいずれかに記載の多層回路基板の製造方法。
(付記12)
前記絶縁樹脂層が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を含むものである、付記6〜11のいずれかに記載の多層回路基板の製造方法。
(付記13)
付記6〜12のいずれかに記載の多層回路基板の製造方法によって作製された多層回路基板。
本発明に係る多層回路基板の断面構造を模式的に示す図である。 本発明に係る多層回路基板の断面構造を模式的に示す他の図である。 本発明に係る多層回路基板の製造方法を用いてビルドアップ多層回路基板を形成する方法の手順を例示する図である。 本発明に係る多層回路基板の製造方法を用いてビルドアップ多層回路基板を形成する方法の手順を例示する他の図である。
符号の説明
1 配線層
2 第一の処理体の処理面層
3 第二の処理体の処理面層
3’ トリアジンチオールまたはシランカップリング剤で処理して生成した処理面層
3” シランカップリング剤またはトリアジンチオールで処理して生成した処理面層
4 絶縁樹脂層
6 基板
31 基板
32 絶縁層
33 通電層
34 レジスト
35 電気銅めっき
36 配線層
37 特定極性化合物の層
38 特定有機化合物層
39 絶縁層

Claims (10)

  1. 配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板において、
    当該配線層表面にニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基の全てが少なくとも存在し、
    その直上に、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物が存在し、
    さらにその直上に当該絶縁樹脂層が存在する、
    多層回路基板。
  2. 前記有機化合物が、シランカップリング剤または式1のトリアジンチオールまたは、シランカップリング剤および式1のトリアジンチオールである、請求項1に記載の多層回路基板。
    Figure 0004850525
    (式1中、SAのAは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムを表し、Xはメチル基、エチル基、プロピル基およびフェニル基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基で置換されていてもよいアミノ基またはSAを表す。なお、SAの少なくともいずれかにはSHが含まれる。
  3. 前記シランカップリング剤が、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イミダゾール基、ビニル基、ジアルキルアミノ基およびピリジン基からなる群から選ばれた基を少なくとも一つ含むものである、請求項2に記載の多層回路基板。
  4. 前記配線層が銅からなるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の多層回路基板。
  5. 前記絶縁樹脂層が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂を含むものである、請求項1〜4のいずれかに記載の多層回路基板。
  6. 配線層と絶縁樹脂層とを有する多層回路基板の製造方法において、
    当該配線層表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基の全てを少なくとも含む1種以上の化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物を含む処理液で処理して第一の処理体を形成し、
    当該第一の処理体の表面を、ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基に吸着または反応し得る有機化合物で処理して第二の処理体を形成し、
    当該第二の処理体上に絶縁樹脂層を形成する
    ことを含む、多層回路基板の製造方法。
  7. 前記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物が、ニトロ安息香酸、ニトロフタル酸、ニトロサリチル酸およびそれらのアルカリ金属塩からなる群から選ばれた化合物を含む、請求項6に記載の多層回路基板の製造方法。
  8. 前記ニトロ基、カルボキシ基およびシアノ基を少なくとも含む化合物またはそのアルカリ金属塩またはそれらの混合物が、シアノ安息香酸、シアノフェノール、ジシアノベンゼン、シアノ酢酸、それらのアルカリ金属塩、シアン化ナトリウム、およびシアン化カリウムからなる群から選ばれた化合物を含む、請求項6または7に記載の多層回路基板の製造方法。
  9. 前記有機化合物が、シランカップリング剤または式1のトリアジンチオールまたは、シランカップリング剤および式1のトリアジンチオールである、請求項6〜8のいずれかに記載の多層回路基板の製造方法。
    Figure 0004850525
    (式1中、SAのAは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウムを表し、Xはメチル基、エチル基、プロピル基およびフェニル基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基で置換されていてもよいアミノ基またはSAを表す。なお、SAの少なくともいずれかにはSHが含まれる。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の多層回路基板の製造方法によって作製された多層回路基板。
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