JP4822664B2 - 積層型圧電素子およびその製法、並びに噴射装置 - Google Patents

積層型圧電素子およびその製法、並びに噴射装置 Download PDF

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Description

本発明は、積層型圧電素子およびその製法、並びに噴射装置に関し、例えば、自動車用燃料噴射弁、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に関する。
来、積層型圧電素子として、例えば、電歪効果を利用して大きな変位量を得るために、圧電体層と導体層を交互に積層したものが提案されている。このような積層型圧電素子は、一般に、圧電粉末を含有するグリーンシートと金属粉末を含有する導体パターンが交互に積層された圧電積層体を形成し、これを脱脂、焼成して積層型圧電素子を作製し、次いで、この圧電積層体の側面に外部電極を形成される。この後、積層型圧電素子、1kV程度の電圧を印加することにより分極処理が行われている(例えば、特許文献1)。
特開2002−293625号公報
しかしながら、上記特許文献1の積層型圧電素子に適用される分極処理の条件は、外部電極を形成した積層型圧電素子を、(1)加温したオイルバスに浸漬し、(2)電圧を印加し、(3)電圧を下げた後冷却する条件であるが、このような分極処理条件では、圧電体層を構成する結晶粒子に対して、十分飽和した分極が行えず、例えば、長期間の駆動試験において、圧電特性のうち、特に変位量が低下するという問題があった。これは圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動前後の配向度の変化率が大きくなっていることに基づくものであった。
従って、本発明は、圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動前後の配向度の変化率を小さくして、長期間の駆動試験においても、圧電特性の低下が小さい積層型圧電素子およびその製法、並びにそれを用いた噴射装置を提供することを目的とする。
本発明の積層型圧電素子は、圧電体層と内部電極層とが交互に積層してなる積層型圧電素子において、前記圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動回数が荷重150kgf、温度150℃、周波数50Hzの条件にて繰り返しで10 回以上の駆動前後の格子定数(c/a)の変化率が5%以内であることを特徴とする。
即ち、本発明によれば、圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動回数が荷重150kgf、温度150℃、周波数50Hzの条件にて繰り返しで10 回以上の駆動前後の格子定数(c/a)の変化率を5%以下としたことにより、長期間の駆動試験においても、圧電特性の、特に、変位量の低下を小さくでき、高信頼性を得ることができる。
上記積層型圧電素子では、結晶粒子の平均粒径が2.5μ以下であることを特徴とする。本発明によれば、圧電体層を構成する結晶粒子の平均粒径を2.5μm以下とすることにより、分極処理での結晶粒子の配向度を高めるとともに、これにより圧電特性の分極率の変化率をさらに小さくできる。
上記積層型圧電素子では、駆動回数は、荷重150kgf、温度150℃、周波数50Hzの条件にて繰り返しで10回以上であることを特徴とする。本発明の積層型圧電素子の駆動回数を、上記のような条件とすることにより、連続駆動での高い信頼性を必要とする噴射装置のような装置にも十分適用できる。
上記積層型圧電素子では、圧電体層の厚みが200μm以下であることを特徴とする。本発明では、分極する圧電体層の厚みを200μm以下とすることにより、さらに、厚み方向に対して電界の印加が十分となるために、さらに飽和した分極を行うことができる。
上記積層型圧電素子では、積層数が200層以上であることを特徴とする。本発明によれば、多くの圧電体層が積層され分極率の変化率の大きくなるような高積層品に対して、特に有効に用いることができる。
上記積層型圧電素子では、導体層の厚みが5μm以下であることを特徴とする。導体層の厚みを5μm以下と薄くすることにより、導体層の厚み方向の導電性を高くでき、これにより圧電体層を構成する結晶粒子の配向度および分極率をさらに高めることができる。
上記積層型圧電素子では、内部電極層中の金属成分がVIII金属、Ib金属のうちのいずれか、またはVIII金属およびIb金属の両方を主成分としたことを特徴とする。即ち、VIII金属の含有量をM1質量%、Ib金属の含有量をM2質量%としたとき、0.001≦M1≦15、85≦M2≦99.999、M1+M2=100質量%の関係を満足することを特徴とすること、さらには、VIII金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種、Ib金属がCu,Ag、Auのうち少なくとも1種であることを特徴とするものである。
つまり、本発明では、導体層の金属成分を上記した金属の組合せとすることにより、上記他の金属に比較して、延性が高く、ヤング率の低いAgやCuを導体層の主成分として用いることにより圧電体層面への追従性および密着性が高まり、圧電体層のほぼ全面に均一に電界を印加し分極を行うことができる。
さらに、本発明では、VIII金属がPt、Pdのうち少なくとも1種、Ib金属がAg、Auのうち少なくとも1種であること、特に、VIII金属がNi、または、Ib金属がCuであることが望ましい。
また、上記積層型圧電素子では、導体層中に無機成分を含有してなり、さらに、その無機成分が、圧電体層と同じ成分であり、無機成分の平均粒径が、圧電体層の平均粒径よりも小さいものであることを特徴とする。
このように、本発明では、導体層中に圧電体層を構成する圧電体粒子と同じ共材成分を含ませ、しかも、内部電極層側の粒子径を圧電体層側よりも小さくすることにより、導体層に接触する圧電体粒子が小さくなり、これにより導体層の有効面積を大きくできるとともに、無機成分の添加による導体層の剛性の高まりを抑え、圧電体層との密着性を高めることができ、電界の印加を向上できる。
本発明の積層型圧電素子の製法は、圧電粉末を含むグリーンシート上に、導体パターンを形成し、次いで、該導体パターンが形成されたグリーンシートを複数積層して圧電積層体を形成する工程と、該圧電積層体を焼成して積層圧電体本体を形成する工程と、該積層圧電体本体の端面に外部電極ペーストを塗布した後に熱処理して外部電極を有する積層型圧電素子を形成する工程と、前記外部電極に電圧を印加して前記積層型圧電素子を、(1)加温したオイルバスに浸漬し、(2)電圧を印加し、(3)電圧を印加した状態のままで、冷却速度が、圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、t/3(℃/分)以下の条件で冷却し、(4)冷却後に電圧を下げることにより分極処理する工程とを具備することを特徴とする。
即ち、本発明の製法では、上記のような工程を経て分極処理を行うことにより、圧電体層への十分な分極処理ができ、これにより、駆動前後の圧電特性の低下率を抑制できる。
上記積層型圧電素子の製法では、圧電粉末の平均粒径が0.8μm以下であることを特徴とする。圧電粉末の平均粒径として上記のように小さいものを用いることにより、圧電体層の磁器が緻密となり、これにより印加される電界に敏感な結晶粒子を容易に形成できる。
上記積層型圧電素子の製法では、焼成温度が1000℃以下であることを特徴とする。本発明の製法によれば、上記した導体層の成分および組成の構成で、同時焼成を可能にするという点で、焼成温度は1000℃以下が好適であり、これにより、異常な結晶成長を抑制して、印加する電界に対して均一な分極率を有する圧電体層を容易に形成できる。
上記積層型圧電素子の製法では、結晶粒子の格子定数の比であるc/aの変化率が0.5%以下となるように分極処理することを特徴とする。また、前記分極処理の工程において、熱処理の最高温度からの冷却速度が、前記圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、t/3(℃/分)以下であることを特徴とし、さらには、前記熱処理の工程において、熱処理からの冷却時に、前記圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、0.8t〜1.2tの温度域の冷却速度がt/3(℃/分)以下であることを特徴とする。
即ち、本発明では、上記したグリーンシートを構成する圧電粉末の平均粒径の改良による効果に加えて、結晶粒子が適正な結晶構造となるように圧電体層に電気的あるいは熱的に生じる歪みを抑制することにより、さらに、圧電体層の分極率の高い圧電体層を容易に形成できる。
本発明の噴射装置は、噴射口を有する収納容器と、該収納容器に収納された上記の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする。
このような噴射装置では、上記したように、積層型圧電素子が、駆動前後の配向度の変化率が5%以内であるような結晶粒子により構成される圧電体層を有するものであるために、噴射装置として優れた噴射特性が得られるとともに、信頼性を向上できる。
即ち、本発明の積層型圧電素子では、圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動前後の配向度の変化率を5%以下としたことにより、長期間の駆動試験においても、圧電特性の、特に、変位量の低下を小さくでき、これを組み込む噴射装置を高い信頼性を備えたものとすることができる。
図1は積層型圧電アクチュエータからなる積層型圧電素子の一実施形態を示す縦断面図である。図1は、本発明の積層型圧電素子の断面図である。
本発明の積層型圧電素子は、図1に示すように複数の圧電体層1と複数の導体層2とを交互に積層してなる圧電積層体3の、導体層2の一辺が露出する側面(対向する側面)にそれぞれ外部電極4が形成されている。ここで、導体層2は、図2に示すように矩形状をしており、その一辺が圧電積層体3の対向する側面(外部電極形成面)に一層おきに露出し、外部電極4と電気的に交互に接続されている。この外部電極4には、電源をとるためのリード線6が接続されている。
圧電体層1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O(以下PZTと略す)を主成分とする圧電セラミックス材料などが使用されるが、これらに限定されるものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば何れでも良い。なお、この圧電体材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
また、圧電体層1の厚み、つまり、導体層2間の距離は、小型化及び高い電界を印加するという点から200μm以下、特に、150μm以下がより望ましい。一方、圧電体層1に印加される電気エネルギーの飽和時間を短縮して駆動性を高めるという点で、50μm以上、特に、70μm以上が望ましい。また、積層数は200層以上が好ましい。積層型圧電素子は電圧を印加して、より大きな変位量を得るために積層数を増加させる方法がとられるが、積層数を増加させた場合に圧電積層体3中の圧電体層1の厚みが厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができなくなり、一方、圧電積層体3中の圧電体層層1の厚みが薄すぎると、上記の理由とともに絶縁破壊しやすいからである。
本発明の圧電体層1を構成する結晶粒子では、特に、その平均粒径が5μm以下、特に、3μm以下がより望ましい。
一方、本発明の導体層の厚みは5μm以下、特に、4μm以下がより好ましい。上記の導体層2では、これを構成する金属成分がVIII金属、Ib金属のうちのいずれか、またはVIII金属およびIb金属の両方を主成分としたことが望ましく、特に、VIII金属の含有量をM1質量%、Ib金属の含有量をM2質量%としたとき、0.001≦M1≦15、85≦M2≦99.999、M1+M2=100質量%の関係を満足することが望ましく、特に、3≦M1≦8、92≦M2≦97がより望ましい。
ここで、VIII金属はNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種、Ib金属はCu,Ag、Auのうち少なくとも1種であること、特に、VIII金属がPt、Pdのうち少なくとも1種、Ib金属がAg、Auのうち少なくとも1種であること、さらには、VIII金属がNiであること、または、Ib金属がCuであることがより望ましい。
また、本発明の内部電極層2は、無機成分を含有してなり、その無機成分の成分は圧電体層1と同じ成分であることが好ましく、さらには、この無機成分の平均粒径は、圧電体層1の平均粒径よりも小さいことが好ましい。
そして、本発明の積層型圧電素子では、圧電体層1を構成する結晶粒子7の、駆動前後の配向度fの変化率が5%以内であることが重要であり、特に、連続駆動10回以上を達成するという点で3%以内がより好ましく、このような積層型圧電素子では、駆動回数が、荷重150kgf、温度150℃、周波数50Hzの条件にて繰り返しで10回以上であることが噴射装置などの信頼性を得るために望ましい。
これに対して、圧電体層1を構成する結晶粒子7の、駆動前後の配向度fの変化率が5%よりも大きくなるような場合には、連続駆動での一様な圧電特性が得られないばかりか耐久時間も短くなる。
図2は、本発明の積層型圧電素子を製造するための工程図である。本発明の積層型圧電素子の代表例である積層型圧電アクチュエータについてその製法を詳述する。本発明の積層型圧電素子は、(a)先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)Oなどの圧電体セラミックスの仮焼粉末(セラミック粉末)と、アクリル樹脂、ブチラール樹脂などの有機高分子からなる有機バインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシート21を作製する。
本発明では、圧電体層1をなす仮焼粉末である圧電粉末の平均粒径は0.3〜0.8μmであることが望ましい。圧電粉末の平均粒径を0.3μm以上とすることにより、グリーンシート21の作製時の乾燥クラック発生防止のために必要な有機バインダを少量とすることができる。
一方、圧電粉末の平均粒径を0.8μm以下とすることにより、焼成時の焼結を充分に行うことができ、磁器強度を高くでき、例えば積層型圧電素子において電界により発生する応力によるクラックの発生を抑制できる。
また、グリーンシート21の厚みは絶縁強度を向上させるという理由から90μm以上、特には、100μm以上であることが望ましい。
(b)次に、作製されたグリーンシート21を所定の寸法に打ち抜いた後、グリーンシート21の片面に、導体層2となる、例えば、Ag−Pd及び溶媒を含有する導体ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、乾燥させて導体パターン23を形成する。この場合、本発明においては、導体ペースト中にセラミック粉末を共材として混合することが望ましい。
なお、本発明の製法に用いる導体パターン23は矩形状をなしており、矩形状のグリーンシート21よりも小さい面積を有しており、一部導体パターンの非形成領域を有する。
(c)次に、導体パターン23が形成されたグリーンシート21を、導体パターンの一辺が積層成形体23の対向する側面に交互に露出するように所定の枚数だけ積層して、圧電素子の活性部となる積層成形体23aを作製し、この積層成形体23aの上下面に、導体ペーストが印刷されていないグリーンシート21を複数積層して不活性となる不活性部成形体23bを積層し、圧電積層成形体23を作製する。次に、この圧電積層成形体23を加熱を行いながら加圧を行い、圧電積層成形体23を一体化する。
一体化された圧電積層成形体は所定の大きさに切断された後、大気中において400〜800℃で5〜40時間の脱脂を行ない、この後、900〜1200℃において2〜5時間で本焼成が行われ、図1に示すような積層圧電体3が形成される。
尚、本発明においては、焼成は、例えば、導体層2中のAg比率を高め、低コスト化を図るという点で、1000℃以下、特に、980℃以下で行うことがより望ましい。
次に、この圧電積層体3の端面にAg−ガラスを含む外部電極ペーストを塗布し、500〜900℃の温度で熱処理して、図1に示すような外部電極4を形成する。この場合、熱処理の工程において、熱処理の最高温度からの冷却速度は、デラミネーションやクラックを抑制できるという点で、前記圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、t/3(℃/分)以下であること、さらには、熱処理からの冷却時に、前記圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、0.8t〜1.2tの温度域の冷却速度がt/3(℃/分)以下であることがより望ましい。キュリー温度より高い温度では圧電体層1が立方晶であり、キュリー温度より低い温度では菱面体晶若しくは正方晶となるため、結晶層の変化する温度域においては冷却速度を速くすると結晶層が変化することによる内部応力により分極した結晶が変化するためである。
通常、例えば、導体層2にAgを含む場合には、焼成時に圧電体層側へ拡散する。Agが拡散すると圧電体層の磁器との相互拡散により、磁器中に酸素欠陥が形成される。酸素欠陥は連続駆動時に酸素空孔イオンとなり、圧電体層を構成するBサイト(Zr、Ti)イオンの変位方向に影響を与え、磁器の配向性が経時変化する。これに対して、本発明では、下記の条件にて十分な分極が行われているために磁器の配向性の経時変化が抑制される。
図3は、本発明の分極処理の工程を示す模式図である。つぎに、図3に示したように、素子の分極を行う。本発明の積層型圧電素子は、下記の工程を経て分極処理することが重要である。即ち、温度100〜400℃に加温したオイルバス中に浸漬し、この素子の一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、圧電体層を構成する結晶粒子が十分に分極した後、このまま印加電圧を保持した状態でキュリー点以下、室温まで冷却する。この後電界を落とす。このような分極処理することによって、製品としての積層型圧電素子が完成する。
ここで、格子定数の比であるc/aの分極前後の変化率が0.5%以下であることが望ましい。c/aの変化率が0.5%より大きいと、分極時に発生する応力により、導体層2と圧電体層1との間で剥離が起こるためである。本発明では、分極時の応力による剥離を防止するため、c/aの変化率は0.2%以下がより望ましい。ここで、格子定数の比c/aは、XRD回折パターンから面指数(200)のピークより格子定数aを求め、同様に面指数(002)のピークより格子定数cを求め、これらの値よりc/aを求める。
以上のような製造方法を用いることにより、圧電体層1を構成する結晶粒子の、駆動前後の配向度の変化率を5%以内とすることが可能となる。
尚、本発明の積層型圧電素子の製法は、積層型圧電トランス、積層型コンデンサ、積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品の製法に好適に用いられる。特に、高電界にて連続駆動される、圧電セラミックスを用いた積層型圧電アクチュエータにおいては、本発明の積層型圧電素子の製法は好適に用いられる。なお、駆動試験条件は、荷重150kgf、温度150℃、周波数50Hzの条件にて繰り返しで10回以上とすることが望ましい。
次に、上記の積層型圧電素子により構成される噴射装置について説明する。図4は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41を有している。そして、収納容器31内には、噴射装置において圧電アクチュエータとなる積層型圧電素子43が収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)Oからなるキュリー温度300℃、粒径0.7μmの圧電粉末と、ブチラール樹脂からなる有機バインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み150μmのグリーンシートを作製した。
このグリーンシートの片面に、図2に示したように、導体層となるAg−Pd成分で所定組成を有する金属粉末と、有機樹脂および溶媒を含有する導体ペーストをスクリーン印刷法により4μmの厚みに印刷し、導体パターンを形成した。次に、導体パターンが形成されたグリーンシートを30枚積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストを塗布していないグリーンシートを5枚ずつ積層し、図2に示すような構造の積層成形体を作製した。
次に、この積層成形体を金型内に配置し、90℃で加熱を行いながら静水圧プレスにより100MPaの加圧を行い一体化した。
これを10mm×10mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、1130℃において2時間本焼成を行い、圧電積層体を得た。こうして作製した圧電積層体を構成する圧電体層の厚みは120μm、導体層の厚みは3μmであった。焼成での降温はキュリー温度をtとした時に、最高温度からt/3(℃/分)の速度で行った。
その後、活性部の対向する側面に、銀を主成分とするAgガラスペーストを塗布し、750℃で1時間の加熱後、表1に示す冷却速度でそれぞれ熱処理を完了することにより外部電極を形成した。
その後、温度400℃に設定して加温したオイルバス中に浸漬し、この素子の一対の外部電極に3kV/mmの直流電圧を1時間印加し、圧電体層を構成する結晶粒子が十分に分極した後、このまま印加電圧を保持した状態でキュリー点以下、室温まで冷却することにより積層型圧電素子を作製した。また、結晶粒子の配向度は分極直後と10回の駆動試験後にX線回折法により求めた。このときの格子定数の比c/aの変化率を表1に示した。実効的な圧電歪定数の評価は、防震台上に固定した積層型圧電素子試料に対し積層方向に150kgfの予荷重を加えた状態で、0〜200Vの電圧を印加し、その時の積層型圧電素子試料の全長の変化量を測定し、この変化量を積層数および印加電圧で除することにより算出した。キュリー温度は、圧電磁器の静電容量の温度特性を測定して求めた。高温耐久試験は、高温槽を用いて、150kgfの荷重を印加した状態で、温度150℃、周波数50Hzの条件にて10回までの繰り返し駆動を行った。
一方、上記の積層型圧電素子を、従来の分極処理を経て作製したものを比較例とした。結晶粒子径は電子顕微鏡観察により求めた。
Figure 0004822664
この表1から、本発明の分極処理を行い、圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動前後の配向度の変化率が5%以内であった試料No.2〜6では、本発明の駆動試験条件においても、連続駆動後の変位量が10%以内で良好な結果であった。
これに対して、駆動前後の配向度の変化率が5%より大きかった試料No.1では、連続駆動後の変位量が10%を超え15%であった。
本発明の積層型圧電素子の断面図である。 本発明の積層型圧電素子を製造するための工程図である。 本発明の分極処理の工程を示す模式図である。 本発明の噴射装置を示す概略断面図である。
符号の説明
1・・・圧電体層
2・・・導体層
21・・・グリーンシート
22・・・導体パターン
23・・・圧電積層体

Claims (21)

  1. 圧電体層と導体層とが交互に積層してなる積層型圧電素子において、前記圧電体層を構成する結晶粒子の、駆動回数が荷重150kgf、温度150℃、周波数50Hzの条件にて繰り返しで10 回以上の駆動前後の格子定数(c/a)の変化率が5%以内であることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記結晶粒子の平均粒径が2.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記圧電体層の厚みが200μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型圧電素子。
  4. 積層数が200層以上であることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか記載の積層型圧電素子。
  5. 前記導体層の厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか記載の積層型圧電素子。
  6. 前記導体層中の金属成分がVIII金属、Ib金属のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至のうちいずれか記載の積層型圧電素子。
  7. 前記導体層中の金属成分がVIII族金属およびIb族金属の両方を主成分としたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の積層型圧電素子。
  8. 前記VIII金属の含有量をM1質量%、前記Ib金属の含有量をM2質量%としたとき、0.001≦M1≦15、85≦M2≦99.999、M1+M2=100質量%の関係を満足することを特徴とする請求項7に記載の積層型圧電素子
  9. 前記VIII金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種、前記Ib金属がCu,Ag、Auのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の積層型圧電素子。
  10. 前記VIII金属がPt、Pdのうち少なくとも1種、前記Ib金属がAg、Auのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の積層型圧電素子。
  11. 前記VIII金属がNiであることを特徴とする請求項9に記載の積層型圧電素子。
  12. 前記Ib金属がCuであることを特徴とする請求項9に記載の積層型圧電素子。
  13. 前記導体層中に無機成分を含有することを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか記載の積層型圧電素子。
  14. 前記無機成分が、前記圧電体層と同じ成分を含有することを特徴とする請求項13に記載の積層型圧電素子。
  15. 前記無機成分の平均粒径が、前記圧電体層の結晶粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする請求項13または14に記載の積層型圧電素子。
  16. 請求項1乃至16のうちいずれかに記載の積層型圧電素子の製法であって、圧電粉末を含むグリーンシート上に、導体パターンを形成し、次いで、該導体パターンが形成された前記グリーンシートを複数積層して圧電積層体を形成する工程と、該圧電積層体を焼成して前記積層圧電体本体を形成する工程と、該積層圧電体本体の端面に外部電極ペーストを塗布した後に熱処理して外部電極を有する積層型圧電素子を形成する工程と、前記外部電極に電圧を印加して前記積層型圧電素子を、(1)加温したオイルバスに浸漬し、(2)電圧を印加し、(3)電圧を印加した状態のままで、冷却速度が、前記圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、t/3(℃/分)以下の条件で冷却し、(4)冷却後に電圧を下げることにより分極処理する工程とを具備することを特徴とする積層型圧電素子の製法。
  17. 前記圧電粉末の平均粒径が0.8μm以下であることを特徴とする請求項16に記載の積層型圧電素子の製法。
  18. 焼成温度が1000℃以下であることを特徴とする請求項16または17に記載の積層型圧電素子の製法。
  19. 結晶粒子の格子定数の比であるc/aの変化率が0.5%以下となるように分極処理することを特徴とする請求項16乃至18のうちいずれか記載の積層型圧電素子の製法。
  20. 前記分極処理する工程において、前記圧電体層のキュリー温度をt(℃)としたとき、0.8t〜1.2tの温度域の冷却速度がt/3(℃/分)以下であることを特徴とする請求項16乃至19のうちいずれか記載の積層型圧電素子の製法。
  21. 噴射口を有する収納容器と、該収納容器に収納された請求項1乃至15のうちいずれかに記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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