JP2000058933A - 積層型圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

積層型圧電素子およびその製造方法

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JP2000058933A JP22815998A JP22815998A JP2000058933A JP 2000058933 A JP2000058933 A JP 2000058933A JP 22815998 A JP22815998 A JP 22815998A JP 22815998 A JP22815998 A JP 22815998A JP 2000058933 A JP2000058933 A JP 2000058933A
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English (en)
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Masaki Esashi
正喜 江刺
Shidan O
詩男 王
Tomoki Funakubo
朋樹 舟窪
Katsuhiro Wakabayashi
勝裕 若林
Yukihiko Sawada
之彦 沢田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な構造を有する積層型圧電素子を提供す
る。 【解決手段】 圧電体ブロック1と、圧電体ブロック1
の中に埋設されたそれぞれが該ブロック1の1つの表面
と実質的に平行な複数の平板電極2と、複数の平板電極
2のうち該ブロック1の該1つの表面に最も近い平板電
極2から数えて奇数番目の平板電極2に接続する第1の
共通電極3と、第1の共通電極3によって接続されない
残りの偶数番目の平板電極2に接続する第2の共通電極
3とを備え、平板電極2と第1および第2の共通電極3
とが同じ導電材料から形成されていることを特徴とする
積層型圧電素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型圧電素子お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アクチュエータとして、小型、低
電圧で大きな発生力を示す積層型圧電素子が注目を集め
ている。従来の積層型圧電素子の構成およびその製造方
法については、例えば、「圧電/電歪アクチュエータ」
(1986年、森北出版、内野研二著)のp76 に記載されて
いる。この文献には、積層圧電素子の製造方法として、
グリーンシート法による方法が説明されている。
【0003】従来の積層型圧電素子は、圧電セラミクス
と平板電極とが層状に積み重なり、両者が焼結によって
一体化された構造となっている。1組の隣り合う平板電
極、およびこれらの平板電極間に配置された圧電セラミ
クスによって、1つの圧電素子が形成されている。積層
型圧電素子はこれらの圧電素子が積層された構造となっ
ている。
【0004】積層型圧電素子の両側面には、それぞれ共
通電極が形成されている。隣り合う平板電極がそれぞれ
異なる共通電極に接続されるように、両側面に形成され
た共通電極はそれぞれ平板電極に1つおきに接続してい
る。共通電極に電圧を印加することにより、積層された
圧電素子を同時に変位させることができる。
【0005】従来の積層型圧電素子の製造工程は、以下
の工程を備えている。 工程1:圧電セラミックス粉体を溶媒、分散材、バイン
ダ、可塑剤と混合して、圧電セラミクスのスラリーを作
成する。
【0006】工程2:工程1により得られたスラリーを
ブレードによって均一な平面上に一様な厚さで流し出し
て、薄い板状のシートを作製する。このシートから溶媒
を蒸発させてシートを乾燥させる。乾燥した状態のシー
トをグリーンシートと言う。
【0007】工程3:工程2により得られたグリーンシ
ートを適当な大きさに切りそろえる。切りそろえた各シ
ートに平板電極を形成するために、銀、パラジウム、白
金などのペースト状インクを印刷する。平板電極が印刷
されたグリーンシートを、平板電極間の位置合わせをし
ながら、用途に応じて数枚から100枚程度積み重ね
る。グリーンシートが積み重なった積層体を、熱プレス
によって一体化する 工程4:工程3により一体化された積層体を、チップ状
に切断し、含有されるバインダーを飛ばしたのちに、1
000℃を上回る高温において焼結する。
【0008】工程5:工程4により焼結した積層体のチ
ップの両側面に共通電極を焼き付ける。共通電極にリー
ド線や必要に応じて保護膜を設けたのちに、共通電極に
DC電圧を印加して圧電セラミクスの分極を行う。こう
して、積層型圧電素子が製造される。
【0009】以上のようにして製造された積層型圧電素
子は積層方向に変位する。積層型圧電素子の変位を受け
る対象物は、積層型圧電素子の積層方向の両端面に配置
される。積層型圧電素子の変位量および発生力として
は、例えば、積層方向に垂直な断面の面積が6mm2
積層方向の長さが10mmである場合、変位量としては
数μm であるが、発生力としては数百Nという大きな値
を示す。
【0010】従来の積層型圧電素子およびその製造方法
においては、以下に示すような問題があった。すなわ
ち、平板電極が印刷されたグリーンシートを数枚から1
00枚程度積み重ねるときに、各グリーンシート間で平
板電極の位置合わせを精度よく行うことが難しかった。
位置合わせを精度良く行うことが難しいために、例えば
積層方向に垂直な断面が1 mm×1mm程度以下である
ような微細な構造を有する積層型圧電素子を製造するこ
とが難しかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微細
な構造を有する積層型圧電素子およびこの積層型圧電素
子の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、圧電体ブロックに平板電極に対
応する細長い孔を選択エッチングによって形成し、この
孔に導電材料を充填することによって、圧電体ブロック
に平板電極が埋め込まれた構造の積層型圧電素子を製造
することとした。選択エッチングを用いて圧電体ブロッ
クから積層型圧電素子を作製するために、非常に微細な
構造を有する積層型圧電素子を製造することができる。
【0013】すなわち、本発明によれば、導電材料から
なる実質的に互いに平行な複数の平板電極と、相隣る2
つの平板電極の間に配置された駆動用圧電体とを有する
積層型圧電素子の製造方法であって、(a)圧電体ブロ
ックに、エッチング用ガスのプラズマによる選択的なエ
ッチングを用いて、それぞれが各平板電極に対応する実
質的に互いに平行な複数の細長い貫通もしくは未貫通の
孔を形成する工程と、(b)平板電極を形成するために
それぞれの該孔内部に該導電材料を充填する工程とを含
むことを特徴とする方法が提供される。
【0014】本発明においては、該孔内部に該導電材料
を充填したのちに、該駆動用圧電体を除く該圧電体ブロ
ックの少なくとも一部を除去する工程をさらに含むこと
が好ましい。
【0015】また、本発明によれば、圧電体ブロック
と、圧電体ブロックの中に埋設されたそれぞれが該ブロ
ックの1つの表面と実質的に平行な複数の平板電極と、
複数の平板電極のうち該ブロックの該1つの表面に最も
近い平板電極から数えて奇数番目の平板電極に接続する
第1の共通電極と、第1の共通電極によって接続されな
い残りの偶数番目の平板電極に接続する第2の共通電極
とを備え、平板電極と第1および第2の共通電極とが同
じ導電材料から形成されていることを特徴とする積層型
圧電素子が提供される。
【0016】さらに、本発明によれば、圧電体ブロック
と、圧電体ブロックの中に埋設されたそれぞれが該ブロ
ックの1つの表面と実質的に平行な複数の平板電極と、
複数の平板電極のうち該ブロックの該1つの表面に最も
近い平板電極から数えて奇数番目の平板電極に接続する
第1の共通電極と、第1の共通電極によって接続されな
い残りの偶数番目の平板電極に接続する第2の共通電極
とを備え、該平板電極が1000℃以下の融点を有する
導電材料から形成されていることを特徴とする積層型圧
電素子が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して説
明する。 <本発明に係る積層型圧電素子の構造>まず、本発明に
係る積層型圧電素子の構造について説明する。
【0018】図1に、本発明に係る積層型圧電素子の一
例を示す。図1(a)はその概略斜視図であり、図1
(b)は図1(a)の線B−B’に沿った概略断面図で
ある。本発明に係る積層型圧電素子は、圧電体ブロック
1、この圧電体ブロック1の中に埋設された複数の平板
電極2、および複数の平板電極2を接続する共通電極と
を備えている。図1においては、一例として4つの平板
電極2が埋設されている。
【0019】圧電体ブロック1は、通常、直方体の形状
をなしている。圧電体ブロック1の寸法、つまり、幅、
長さ、および高さについては、以下の通りである。幅お
よび長さについては、どちらも1mm程度以下であって
良く、例えば幅が約1mm、長さが約0.5mmであ
る。高さについては、製造する積層型圧電素子の仕様に
よるが、例えば約3mmである。なお、圧電体ブロック
1の高さ方向とは、平板電極2の配列方向、すなわち後
述するように圧電素子の積層方向である。
【0020】圧電体ブロック1を形成する材料として
は、例えばセラミックスなどから形成される。セラミッ
クスは、圧電性が得られるセラミックスであれば特に限
定されない。圧電性が得られるセラミックスとしては、
例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミック
ス、亜鉛ニオブ酸鉛とチタン酸鉛(PZN−PT)系セ
ラミックス、マグネシウムニオブ酸鉛とチタン酸鉛(P
MN−PT)系セラミックスなどが挙げられる。
【0021】圧電体ブロック1は、例えば上述のセラミ
ックス材料の粉体を焼成したもの、またはセラミックス
材料の固溶体単結晶のような単結晶から研削もしくは切
出したものからなる。
【0022】なお、圧電体ブロック1は、材料の粉体を
焼成したものよりも単結晶から研削または切出したもの
の方が好ましい。単結晶の方が焼結したものよりも配向
性と密度が高く圧電特性に優れるからである。
【0023】圧電体ブロック1の中に埋設されている複
数の平板電極2は、圧電体ブロック1の1つの表面、例
えば上面と実質的に平行となるように配列されている。
平板電極2は等間隔に配列されていても良いし、等間隔
に配列されていなくても良い。
【0024】各平板電極2は、例えば電極の長さ方向に
圧電体ブロック1を貫通していても良い、つまり、各電
極の長さ方向の2つの端面がそれぞれブロック1の表面
に露出していても良い。または、圧電体ブロック1を貫
通せずに、各電極の長さ方向の1つの端面のみがブロッ
ク1の表面に露出していても良い。図1においては、各
平板電極2が圧電体ブロック1を貫通している積層型圧
電素子を示す。各平板電極2は、その幅方向の両側端面
は圧電体ブロック1の表面に露出していない。
【0025】平板電極2の寸法としては、例えば、厚み
が約10μm である。幅および長さについては圧電体ブ
ロック1の寸法によって適切に決められるが、前述した
圧電体ブロック1の寸法に従って、どちらも1mm程度
以下とすることができる。
【0026】平板電極2を形成する材料としては、導電
材料であれば特に限定されないが、例えば金属材料など
が挙げられる。金属材料としては、例えば金、銀、銅、
白金、チタン、ニッケル、パラジウム、クロム、アルミ
ニウムなどの金属単体、およびこれらを組み合わせたク
ロム/金などの金属の積層体が挙げられる。
【0027】平板電極2の材料としては、低融点の材料
が好ましい。特に、融点が1000℃を下回る低融点の
材料が好ましい。融点が1000℃を下回る材料として
は、例えば、銀(融点が約962℃)、アルミニウム
(融点が約660℃)などが挙げられる。このように低
融点の材料を平板電極2に用いることで、積層型圧電素
子の製造コストを低減することができる。
【0028】本発明に係る積層型圧電素子は、後述する
ように、圧電体ブロック1に平板電極2に対応する細長
い孔を選択エッチングによって形成し、この孔に導電材
料を充填することによって、圧電体ブロック1に平板電
極2が埋設された構造を有するように製造されている。
細長い孔は、その幅に比べて長さが大きいものであり、
その長さ方向の両端は開口することなく閉じていること
が好ましい。
【0029】このように選択エッチングを用いて圧電体
ブロック1から製造されているために、例えば圧電素子
の積層方向に垂直な断面が1mm×1mm程度以下であ
るような微細な構造を有する積層型圧電素子を実現する
ことができる。
【0030】圧電体ブロック1の中に埋設された平板電
極2を接続する共通電極は、第1の共通電極および第2
の共通電極からなる。第1の共通電極は、例えば圧電体
ブロック1の上面に最も近い平板電極2から数えて奇数
番目の平板電極2に接続されている。第2の共通電極
は、第1の共通電極によって接続されない残りの偶数番
目の平板電極2に接続されている。
【0031】すなわち、平板電極2が2枚のときには、
第1の共通電極は平板電極2の一方に接続され、第2の
共通電極は平板電極2の他方に接続されている。また、
平板電極2が3枚のときには、第1の電極は1つおきに
2つの平板電極2に接続され、第2の電極は残りの1つ
の平板電極2に接続されている。また、平板電極2が4
枚以上のときには、第1および第2の共通電極とも、1
つおきに平板電極2に接続されている。
【0032】共通電極を形成する材料は、前述の平板電
極2を形成する材料と同様である。共通電極と平板電極
2とが同じ材料から形成されていることが好ましい。そ
の結果、積層型圧電素子の製造コストを低減することが
できる。
【0033】共通電極としては、例えば、ブロック表面
に露出する各平板電極2の端面に接続されたリード線で
ある他に、(1)圧電体ブロック1表面に形成された電
極、または(2)圧電体ブロック1中に埋設された電極
である。
【0034】(1)共通電極が圧電体ブロック1表面に
形成される場合には、共通電極は各平板電極2が露出す
る圧電体ブロック1表面に形成される。圧電体ブロック
1表面に形成される各共通電極の形状としては、例えば
コの字型、または複数のコの字型を配列させた櫛形など
が挙げられる。
【0035】図2は、一例としてコの字型の共通電極3
が圧電体ブロック1の表面に形成された積層型圧電素子
である。図2の積層型圧電素子は、図1に示した積層型
圧電素子に共通電極3を形成したものである。
【0036】(2)共通電極が圧電体ブロック1中に埋
設されている場合には、ブロック1表面に露出していな
い平板電極2の面同士を接続するように埋設される。例
えば、平板電極2の長さ方向の端面がブロック1表面に
露出しているときには、平板電極2の幅方向の端面同士
を接続するように埋設される。
【0037】埋設された共通電極の断面としては、例え
ば、コの字型、または複数のコの字型を配列させた櫛形
などが挙げられる。ここでいう共通電極の断面とは、例
えば平板電極2の長さ方向に垂直な断面のことである。
【0038】また、埋設された共通電極は、平板電極2
とともに圧電体ブロック1を貫通していても良いし、貫
通していなくても良い。図3は、一例としてコの字型の
断面の共通電極3が圧電体ブロック1中に埋設された積
層型圧電素子である。図3の積層型圧電素子は、図1に
示した積層型圧電素子に共通電極3を形成したものであ
る。
【0039】相隣る2つの平板電極2、およびこれらの
平板電極2の間に配置された圧電体によって、1つの圧
電素子が形成されている。本発明に係る積層型圧電素子
は、これらの圧電素子が平板電極2の配列方向に積層さ
れた構造となっている。
【0040】相隣る平板電極2に電圧を印加することで
平板電極2間の圧電体は変位し、圧電素子として駆動す
る。なお、上述の相隣る2つの平板電極2の間に配置さ
れた圧電体部分を、以下、駆動用圧電体という。
【0041】各駆動用圧電体は、後述するように、圧電
性を持つように分極処理されている。分極処理は、各駆
動用圧電体が平板電極2の配列方向に残留分極を有する
ように平板電極2にDC電圧を印加することで行われ
る。
【0042】圧電素子を駆動させたときに各駆動用圧電
体が示す変位には、平板電極2に印加される電圧の極性
によって、2つの型がある。第1の型は、駆動用圧電体
が平板電極2の配列方向に伸びるとともに配列方向と垂
直な方向に縮む変位である。第2の型は、駆動用圧電体
が平板電極2の配列方向に縮むとともに配列方向と垂直
な方向に伸びる変位である。
【0043】第1および第2の共通電極3に電圧を印加
することによって、相隣る平板電極2の間に配置された
各駆動用圧電体を同時に変位させることができる。各駆
動用圧電体が同時に変位する結果、積層型圧電素子全体
が変位する。前述したように各駆動用圧電体が第1の型
の変位をすると、積層型圧電素子全体は圧電素子の積層
方向に伸びるとともに積層方向と垂直な方向に縮む。ま
た、各駆動用圧電体が第2の型の変位をすると、積層型
圧電素子全体は圧電素子の積層方向に縮むとともに積層
方向と垂直な方向に伸びる。
【0044】圧電素子の積層方向の変位を対象物に与え
るように積層型圧電素子を使用する場合、この積層型圧
電素子の変位を圧電縦効果を利用した変位という。圧電
縦効果を利用した変位においては、変位方向と各駆動用
圧電体の残留分極の方向とが同じである。
【0045】また、圧電素子の積層方向と垂直な方向、
つまり平板電極2の面内方向の変位を対象物に与えるよ
うに積層型圧電素子を使用する場合、この積層型圧電素
子の変位を圧電横効果を利用した変位という。圧電横効
果を利用した変位においては、変位方向と各駆動用圧電
体の残留分極の方向とが直交している。
【0046】本発明に係る積層型圧電素子は、駆動用圧
電体を除く圧電体ブロック1の少なくとも一部が除去さ
れていることが好ましい。言い換えれば、積層された圧
電素子と圧電体ブロック1の各表面との間に配置される
圧電体部の少なくとも一部が除去されていることが好ま
しい。
【0047】以下、説明を容易にするために、駆動用圧
電体を除く圧電体ブロック1、すなわち、積層された圧
電素子と圧電体ブロック1の各表面との間に配置される
圧電体部分を非駆動圧電体部という。
【0048】非駆動圧電体部は、平板電極2に電圧を印
加しても変位しない圧電体部であるため、駆動用圧電
体、ひいては積層型圧電素子全体の変位を妨げる。素子
の変位を効率良く行うためには、非駆動圧電体部は除去
されていることが好ましい。
【0049】特に、積層型圧電素子がアクチュエータと
して使用され変位を繰り返すように駆動するときには、
駆動用圧電体と非駆動圧電体部との境目で破壊が生じる
可能性があるため、非駆動圧電体部は除去されているこ
とが好ましい。
【0050】なお、積層型圧電素子が変位を繰り返すよ
うには駆動せず、変位を固定させて用いられるようなと
きには、上述の非駆動圧電体部の除去は必ずしも必要で
はない。変位が固定しているため、非駆動圧電体部と駆
動用圧電体との境目で破壊が生じる可能性が少ないから
である。積層型圧電素子が変位を固定させて用いられる
ときとは、例えば、対象物に一定の圧力を与え続けるパ
ワー素子として使用されるときである。
【0051】圧電体ブロック1の除去のされ方として
は、例えば以下に示すような除去のされ方がある。 (1)積層型圧電素子の積層方向の変位を対象物に与え
る場合、つまり圧電縦効果を利用した変位を用いる場合
には、積層方向に平行な圧電体ブロック1表面、特に平
板電極2の端面がどちらにも露出していない対向するブ
ロック1表面と、積層された圧電素子との間にある非駆
動圧電体部が除去されている。
【0052】(a)前述したように、共通電極3が圧電
体ブロック1の表面に形成されている場合には、圧電素
子の積層方向と平行な共通電極3の部位が端にくるまで
非駆動圧電体部が除去されていることが好ましい。この
ように非駆動圧電体部が除去されていることで、圧電縦
効果を利用した変位を非常に効率良く行うことができ
る。
【0053】図4(a)は、このようにブロック1表面
上に形成されている積層方向と平行な共通電極3の部位
まで非駆動圧電体部が除去されている積層型圧電素子の
一例を示しており、その概略平面図を示している。な
お、図4(a)では、一例として10枚の平板電極2を
有する積層型圧電素子が示されており、これらの平板電
極2および櫛形の共通電極3によって交差指状の電極パ
ターンがブロック1表面上に形成されている。
【0054】(b)前述したように、共通電極3が圧電
体ブロック1中に埋設されている場合には、共通電極3
が露出するまで除去されていることが好ましい。このよ
うに非駆動圧電体部が除去されていることで、圧電縦効
果を利用した変位を非常に効率良く行うことができると
ともに、共通電極3への配線を外部から容易に行うこと
ができる。
【0055】図4(a)は、また、このように埋設され
た共通電極3が露出するまで非駆動圧電体部が除去され
ている積層型圧電素子の一例を示しており、その概略断
面図を示している。
【0056】(2)積層型圧電素子の積層方向と垂直な
方向の変位を対象物に与える場合、つまり圧電横効果を
利用した変位を用いる場合には、積層方向に垂直な圧電
体ブロック1表面と積層された圧電素子との間にある非
駆動圧電体部が除去されている。
【0057】この場合、共通電極3が圧電体ブロック1
表面に形成されている場合と、圧電体ブロック1中に埋
設されている場合の両方の場合において、積層方向の両
端面に位置する2つの平板電極2が露出するまで、非駆
動圧電体部が除去されていることが好ましい。平板電極
2が露出するまで非駆動圧電体部が除去されていること
によって、圧電横効果を利用した変位を非常に効率良く
行えるとともに、平板電極2への配線を外部から容易に
行うことができる。
【0058】図4(b)は、このように積層方向の両端
の平板電極2が露出するまで非駆動圧電体部が除去され
た積層型圧電素子の一例を示している。図4(b)は、
共通電極3がブロック1表面に形成された積層型圧電素
子の場合には、その概略平面図を示し、共通電極3がブ
ロック1中に埋設された積層型圧電素子の場合には、そ
の概略断面図を示している。なお、図4(b)では、一
例として10枚の平板電極2を有する積層型圧電素子が
示されており、これらの平板電極2および櫛形の共通電
極3によって交差指状の電極パターンがブロック1表面
上に形成されている。
【0059】<本発明に係る積層型圧電素子の製造方法
>本発明に係る積層型圧電素子の製造方法には、(I)
最初に背面電極を形成しない製造方法、(II)最初に
背面電極を形成する製造方法が含まれる。
【0060】各製造方法において、(1)平板電極と共
通電極とを個別に形成する方法、(2)平板電極と共通
電極とを同時に形成する方法が含まれる。それぞれの製
造方法を、以下に説明する。
【0061】(I)最初に背面電極を形成しない製造方
法 (I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方法 図5を参照しながら、以下、説明する。
【0062】(A)まず、図5(a)に示したように、
圧電体ブロック1を作製して用意する。圧電体ブロック
1を形成する材料としては、前述したように、例えば圧
電性を有するセラミックスなどが挙げられる。
【0063】圧電体ブロック1の作製は、例えば、上述
のセラミックス材料の粉体を焼成するか、またはセラミ
ックス材料の固溶体単結晶のような単結晶を研削または
切出すなどして行う。前述したように、焼成したものよ
りも単結晶から研削または切り出したものの方が好まし
い。
【0064】焼成による圧電体ブロック1の作製には、
当該技術分野において良く知られた方法を用いることが
できる。例えば、上述のセラミック材料の粉体を所望の
組成で混合し、混合した粉体を仮焼したのち粉砕し、粉
砕したものを成形性を向上させるためのバインダーと混
ぜたのち整粒し、整粒したものをプレスしてセラミック
スのペレットを作製する。このペレットを600℃程度
で加熱して、含有されている有機物を除去したのち、1
200℃程度のもとでホットプレスして焼結して焼成体
を得る。この焼成体を、スライサー、平面研削盤、そし
て必要に応じて両面ラップ盤などを用いて成形して、圧
電体ブロック1を作製する。
【0065】なお、圧電体ブロック1として単結晶を用
いるときには、単結晶の結晶方位を考慮して圧電体ブロ
ック1を作製する。例えば、単結晶の<111>などの
圧電特性が最も良い結晶方位が駆動用圧電体7の厚み方
向となるように、単結晶を研削または切り出して圧電体
ブロック1とする。
【0066】(B)次に、圧電体ブロックにマスクを形
成する。 図5(b)に示したように、圧電体ブロック1をエッチ
ングするためのマスク4を、圧電体ブロック1に形成す
る。
【0067】マスク4のパターンは、それぞれが各平板
電極2に対応する実質的に互いに平行な複数のスロット
が配列されているものである。パターンとしては、例え
ば、幅10μmのスロットが50μmの間隔で等間隔に
配列され、両端のスロットの間の距離が300μmであ
る等である。
【0068】図7(a)に、マスク4のパターンの一例
を示す。例として、10枚の平板電極2を形成するため
のスロット10が形成されている。マスク4の材料とし
ては、エッチングの選択比(エッチングレート)が圧電
体ブロック1材を形成する材料と比較して低いものであ
ればよく、特に限定されない。また、マスク4の形成方
法も特に限定されない。
【0069】このようなマスク4の材料としては、例え
ば、金属材料、化合物材料などが挙げられる。金属材料
としては、銅、ニッケル(Ni)などが挙げられる。化
合物材料としては、有機物材料、無機物材料などが挙げ
られる。有機物材料としてはフォトレジスト樹脂等の樹
脂などが挙げられ、無機物材料としては酸化珪素(Si
2)、窒化珪素(Si34)などが挙げられる。
【0070】マスクの形成は、上述の材料からなるパタ
ーニングされた膜を圧電体ブロック1材表面に形成する
ことによって行う。膜の形成方法としては、例えば、塗
布法、CVD法、電界メッキ法、スパッタリング法など
が挙げられる。例えばフォトレジスト樹脂などの樹脂か
らなる膜は、塗布法によって形成することができる。ま
た、例えば酸化珪素または窒化珪素などの膜は、CVD
法によって形成することができる。また、例えばニッケ
ルおよび銅などの金属材料からなる膜は、電界メッキ法
もしくはスパッタリング法によって形成することができ
る。
【0071】マスク4の厚さとしては、後述するエッチ
ング工程において、エッチング後にマスク4が残存する
ような厚さでも良いし、エッチングによってマスク4が
ちょうど除去されるような厚さでも良いし、エッチング
中にマスク4がすべて除去されるような厚さでも良い。
マスク4がエッチング中にすべて除去された場合には、
マスク4がすべて除去された時点でエッチングを停止し
てマスク4を再形成したのちに、再びエッチングを行え
ば良い。また、このようなマスク4の形成およびエッチ
ングは繰り返しても良い。
【0072】以下、マスク4を形成する工程の一例を示
す。 (i)まず、圧電体ブロック1の表面の全面にスパッタ
リングによりクロム(Cr)そしおよび金(Au)を成
膜して、Cr/Auからなる電極を形成する。
【0073】(ii)次に、Cr/Au電極上に樹脂性
のフォトレジストを塗布する。 (iii)上述したマスク4のパターンを、フォトレジ
ストに露光する。露光したレジスト層を現像して、マス
ク4のパターンの窓に対応する部分が残るようにパター
ニングされたレジスト層をCr/Au電極上に残す。
【0074】(iv)Cr/Au電極およびパターニン
グされたレジスト層が形成された圧電体ブロック1をニ
ッケルイオン溶液中に浸漬する。ニッケルイオン溶液中
でCr/Au電極に負の電圧を印加して電解ニッケルメ
ッキを行い、レジスト層の開口部に露出するCr/Au
電極上にニッケル膜を形成する。電解ニッケルメッキを
用いることによって、膜厚の大きいニッケル膜を比較的
短い時間で形成することができる。ニッケル膜は、平板
電極2が形成される領域以外の圧電体ブロック1表面に
対応して形成される。
【0075】(v)レジスト層を溶剤で除去することに
より、平板電極2に対応する部分が開口しているニッケ
ル膜をCr/Au電極上に残す。このニッケル膜が、圧
電体ブロック1をエッチングするためのマスク4とな
る。
【0076】(C)図5(c)に示したように、圧電体
ブロック1をエッチングする。上述のようにして形成さ
れたマスク4のパターンに従って、圧電体ブロック1表
面をエッチング加工して細長い孔を形成する。
【0077】エッチングにより形成される細長い孔は、
貫通孔であっても良いし、未貫通孔であっても良い。ま
た、エッチングによって未貫通孔を形成したのちに、圧
電体ブロック1の背面からエッチングなどによって圧電
体ブロック1の未貫通部分を除去して、未貫通孔を貫通
孔としても良い。図5(c)には、例として貫通孔5が
形成された圧電体ブロック1を示す。
【0078】なお、前述したように、マスク4であるニ
ッケル膜がエッチング中にすべて除去された場合には、
エッチングを停止して電界メッキによってニッケル膜を
再形成したのちに、再びエッチングを行えば良い。
【0079】エッチングは、反応性ガスのプラズマを用
いたドライエッチングなどにより行う。反応性ガスのプ
ラズマを用いたドライエッチングは、反応性ガスのラジ
カルを生成してこのラジカルによってエッチングを行う
ものである。ラジカルを用いるエッチング技術は、シリ
コンプロセスの分野において良く知られている技術であ
る。
【0080】ラジカルを生成するための反応性ガスとし
ては、六フッ化硫黄(SF6)、四フッ化炭素(CF
4 )などのフッ化物を用いる。CF4 よりもSF6の方
が好ましい。それは、SF6の方がエッチングレートが
高いからである。
【0081】上述の反応性ガスを用いたドライエッチン
グ方法としては、例えば反応性イオンエッチング(RI
E)法、ICP(誘導結合プラズマ)エッチング法、デ
ィープRIE法などが挙げられる。
【0082】RIE法は、反応性ガスのラジカルおよび
中性活性種の両方を用いる方法である。ICP法は、高
周波誘導磁場により生じる誘導電界によって電子を加速
し、この加速された電子によって生成された反応性ガス
のプラズマを用いるエッチング方法である。ディープR
IE法は、圧電体ブロック1に対して、上述の反応性ガ
スを用いた反応性イオンエッチングとC48 などのガ
スを用いたマスキングとを繰り返すものである。
【0083】なお、エッチング工程は、一度だけでな
く、繰り返して行っても良い。(D)図5(d)に示し
たように、圧電体ブロック1に形成された孔に導電材料
6を充填する。
【0084】導電材料6を充填する方法としては、無電
解メッキ、電界メッキ、CVD、スパッタリング、蒸
着、イオンプレーティングなどが挙げられる。また、そ
の他の充填方法として、銀、パラジウム、白金などの含
むペースト状の導電材料6を孔に注入したあとに、高温
で焼き付けるなどの方法が挙げられる。ペースト状の導
電材料6を孔に注入する方法としては、エッチングによ
って孔が形成された圧電体ブロック1を密閉容器の中に
置いて、この容器内を真空引きしながら容器に別に設け
た注入口からペースト状の導電材料6を注入して、孔内
部に導電材料6を充填する方法などが挙げられる。
【0085】以下、導電材料6を充填する工程の一例を
示す。 (i)孔が貫通孔の場合には、例えば、(a)無電解メ
ッキと電界メッキとを続けて行うか、または(b)無電
解メッキのみを行うことによって導電材料6を充填す
る。電界メッキの方が無電解メッキよりもメッキの速度
が早く、導電材料6を短い時間で充填することができ
る。
【0086】(a)無電解メッキと電界メッキとを続け
て行う場合には、最初に酸およびアルカリにより圧電体
ブロック1を十分に洗浄する。そののち、例えば銅メッ
キ溶液中に圧電体ブロック1を浸漬して、孔内部表面に
無電界メッキにより薄く銅を形成する。次に、この銅を
負極として電界メッキを行い、孔内部全体に例えば銅を
充填する。最後に、圧電体ブロック1に必要以上に形成
された銅を研磨などによって除去する。
【0087】(b)無電解メッキのみを行う場合には、
最初に酸およびアルカリにより圧電体ブロック1を十分
に洗浄したのち、例えば銅メッキ溶液中に圧電体ブロッ
ク1を浸漬して、孔内部全体に無電界メッキにより銅を
形成する。
【0088】(ii)孔が未貫通孔の場合には、例えば
無電解メッキのみを行うことによって、例えば銅などの
導電材料6を充填する。以上の工程(D)によって、平
板電極2が埋設された圧電体ブロック1を作製すること
ができる。
【0089】図7(b)は、上述のようにして形成され
た平板電極2が埋設された圧電体ブロック1の一例を示
す概略断面図である。図7(b)は、図7(a)に示し
たマスク4のパターンに従って形成された平板電極2を
示している。
【0090】(E)次に、平板電極2を接続する共通電
極3を形成する。共通電極3の形成は、各平板電極2の
露出する端面にリード線を接続するか、または、圧電体
ブロック1表面に導電層を形成することによって行う。
【0091】圧電体ブロック1表面に共通電極3を形成
する場合には、平板電極2の端面が露出する圧電体ブロ
ック1表面に、マスクを介して、平板電極2の端面に対
応する導電層、および共通電極3を形成する導電層13
を形成する。
【0092】マスクとしては、例えば、前述の図7
(a)に示したような平板電極2に対応するスロット1
0、および平板電極2に接続する共通電極3に対応する
開口部の両方が形成されたものを使用する。そして、ブ
ロック1表面に露出する平板電極2の端面に、マスクの
スロット10が合致するようにマスクを配置した上で、
ブロック1表面に導電層を形成する。
【0093】図8(a)は、このように平板電極2に対
応するスロット10、および平板電極2に接続する共通
電極3に対応する開口部11の両方が形成されたマスク
4の一例を示す概略平面図である。なお、図8(a)の
マスク4においては、一例として10枚の平板電極2に
対応するスロット10、および櫛形の形状をなす共通電
極3に対応する開口部11が形成されており、これらに
よって交差指状のパターンが形成されている。
【0094】図8(b)は、例として、図8(a)のマ
スク4を介して圧電体ブロック1の表面に形成された導
電層を示す概略平面図である。平板電極2の端面に対応
する導電層12および櫛形の共通電極に対応する導電層
13からなる交差指状の導電層が形成されている。
【0095】導電層を形成する方法としては、無電解メ
ッキ、電界メッキ、CVD、スパッタリング、蒸着、イ
オンプレーティングなどが挙げられる。また、その他の
形成方法として、銀、パラジウム、白金などを含むペー
スト状の導電材料を塗布したあと、高温で焼き付けるな
どの方法が挙げられる。
【0096】なお、上述した導電層の形成は、前述の工
程(B)のエッチング用のマスクの形成の前に、あらか
じめ圧電体ブロック1の背面、つまりエッチングが行わ
れる面、例えば前面、に対向する面に対して行なってお
いても良い。
【0097】そして、工程(B)のマスクの形成、およ
び工程(C)のエッチングの工程において、ブロック1
の前面から形成した複数の貫通孔が、ブロック1の背面
にあらかじめ形成した平板電極2の端面に対応する導電
層12にそれぞれ到達するように行う。この貫通孔に導
電材料6を充填して形成された平板電極2は、背面にあ
らかじめ形成された共通電極3に対応する導電層13と
接続している。
【0098】なお、この場合に形成する貫通孔は、背面
にあらかじめ形成された平板電極2の端面に対応する導
電層12よりも幅および長さがわずかに小さくなるよう
に、工程(B)においてエッチング用のマスクを形成す
る。こうすることで、平板電極2の端面に対応する導電
層12に貫通孔が到達したときに、この導電層12が圧
電体ブロック1表面から遊離することを防ぐことができ
る。
【0099】また、この場合に貫通孔への導電材料6の
充填は、無電解メッキを経ずに電界メッキのみによって
行うことができる。つまり、ブロック1の背面にあらか
じめ形成した平板電極2の端面に対応する導電層12を
負極とすることで、電界メッキのみによって充填するこ
とができる。電解メッキのみによって充填することがで
きるため、無電解メッキを用いたときと比べて、充填に
要する時間を短縮することができる。
【0100】(F)次に、必要であれば、前述したよう
に、駆動用圧電体以外の圧電体ブロック1の少なくとも
一部を除去する。除去の方法としては、エッチングによ
る除去、ダイシングソーのような装置を用いた切削によ
る除去などが挙げられる。
【0101】最後に、各駆動用圧電体を分極処理して圧
電性を持たせて、積層型圧電素子が完成する。分極処理
は、共通電極3にリード線を設けるなどを行ったのち
に、共通電極3にDC電圧を印加して行う。なお、必要
に応じて、積層型圧電素子の外部表面に絶縁破壊防止の
ための保護膜を設けても良い。
【0102】(I−2)平板電極と共通電極とを同時に
形成する方法 (A)まず、圧電体ブロック1を作製する。前述した
「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方
法」における工程(A)と同様に行う。
【0103】(B)次に、圧電体ブロック1にマスクを
形成する。マスクのパターンが異なる以外は、前述した
「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方
法」における工程(B)と同様に行う。
【0104】マスクのパターンは、平板電極2を形成す
るスロット、およびこの平板電極2に接続する共通電極
3に対応する開口部を有するようなものである。例え
ば、図8(a)に示したような、それぞれが各平板電極
2に対応する実質的に互いに平行な複数のスロット1
0、および平板電極2に接続する共通電極3に対応する
櫛形の形状の開口部11が配置されたものである。
【0105】(C)次に、圧電体ブロック1をエッチン
グする。前述した「(I−1)平板電極と共通電極とを
個別に形成する方法」における工程(C)と同様に行
う。
【0106】(D)次に、圧電体ブロック1に形成され
た孔に導電材料6を充填して平板電極2および共通電極
3を形成する。導電材料6の充填は、前述した「(I−
1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方法」にお
ける工程(D)と同様に行う。
【0107】(E)次に、必要であれば、駆動用圧電体
以外の圧電体ブロック1の少なくとも一部を除去する。
除去は、前述した「(I−1)平板電極と共通電極とを
個別に形成する方法」における工程(F)と同様に行
う。
【0108】最後に、各駆動用圧電体を分極処理して圧
電性を持たせて、積層型圧電素子が完成する。分極処理
は、共通電極3にリード線を設けるなどを行ったのち
に、共通電極3にDC電圧を印加して行う。なお、必要
に応じて、積層型圧電素子の外部表面に絶縁破壊防止の
ための保護膜を設けても良い。
【0109】(II)最初に背面電極を形成する製造方
法 (II−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方
法 図6を参照しながら説明する。
【0110】(A)まず、図6(a)に示したように、
背面電極14の形成された圧電体ブロック1を作製して
用意する。圧電体ブロック1の背面の全面に、背面電極
14を形成するための導電層を設ける以外は、前述した
「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方
法」における工程(A)と同様に行う。
【0111】導電層を形成する導電材料としては、前述
した平板電極2および共通電極3用の導電材料と同じで
ある。また、導電層を形成する方法としては、無電解メ
ッキ、電界メッキ、CVD、スパッタリング、蒸着、イ
オンプレーティングなどが挙げられる。また、その他の
形成方法として、銀、パラジウム、白金などを含むペー
スト状の導電材料を塗布したあと、高温で焼き付けるな
どの方法が挙げられる。
【0112】(B)図6(b)に示したように、圧電体
ブロック1にマスクを形成する。マスクの形成は、前述
した「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成す
る方法」における工程(B)と同様に行う。
【0113】(C)図6(c)に示したように、圧電体
ブロック1をエッチングする。エッチングにより形成さ
れる孔は、背面電極14に到達する貫通孔5であること
以外は、前述した「(I−1)平板電極と共通電極とを
個別に形成する方法」における工程(C)と同様に行
う。
【0114】(D)図6(d)に示したように、圧電体
ブロック1に形成された孔に導電材料6を充填して平板
電極2を形成する。導電材料6の充填は、例えば電界メ
ッキによって行うことができる。電解メッキの方法とし
ては、例えば、最初に酸およびアルカリにより圧電体ブ
ロック1を十分に洗浄したのち、銅メッキ溶液中に圧電
体ブロック1を浸漬して、背面電極14を負極として孔
5内部全体に銅を形成する。
【0115】(E)次に、平板電極2に接続する共通電
極3を形成する。共通電極3は、例えば、図6(e)に
示すように背面電極14を除去したのちに、露出した各
平板電極2の端面に外部からリード線を接続して設ける
他に、(a)背面電極14を除去したのちに背面に共通
電極3を形成するか、もしくは(b)背面電極14をエ
ッチングして共通電極3を形成することによって、設け
ることができる。
【0116】(a)背面電極14を除去したのちに共通
電極3を形成する場合には、まず、エッチングなどによ
って背面電極14を除去して平板電極2の端面を露出さ
せる。次に、背面にマスクを介して共通電極用の導電層
を形成する。
【0117】マスクとしては、例えば、平板電極2に対
応するスロット10、および平板電極2に接続する共通
電極3に対応する開口部11の両方が形成されたものを
使用する。そして、ブロック1の背面に露出する平板電
極2の端面にマスクのスロット10が合致するようにマ
スクを配置した上で、ブロック1背面に導電層を形成す
る。
【0118】図8(a)は、上述のようなパターンが形
成されたマスク4の一例を示す概略平面図である。図8
(b)は、例として、図8(a)のマスク4を介して圧
電体ブロック1の表面に形成された導電層を示す概略平
面図である。
【0119】導電層を形成する方法としては、無電解メ
ッキ、電界メッキ、CVD、スパッタリング、蒸着、イ
オンプレーティングなどが挙げられる。また、その他の
形成方法として、銀、パラジウム、白金などを含むペー
スト状の導電材料を塗布したあと、高温で焼き付けるな
どの方法が挙げられる。
【0120】(b)背面電極14をエッチングして共通
電極3を形成する場合には、例えばまず、図8(a)に
示したマスク4の開口している窓に対応する部分が逆に
残存しているようなマスクを作製する。つまり、例えば
平板電極2に対応するスロット10、および平板電極2
に接続する共通電極3に対応する開口部11に対応する
部分が残っているようなマスクを作製する。このような
マスクを作製するには、例えば、背面電極14の全面に
ネガ型のフォトレジストを塗布したのち、図8(a)に
示したマスク4を介してこのフォトレジストを露光して
現像する。現像の結果、図8(a)に示したパターンの
窓に対応する部分が残存しているようにフォトレジスト
をパターニングすることができる。なお、フォトレジス
トの露光の際に、背面電極14の裏側と接している平板
電極2の端面にマスク4のスロット10が合致するよう
にマスク4を配置する。
【0121】こうして作製されたフォトレジストのマス
クを介して背面電極14をエッチングすれば、図8
(a)の窓に対応する部分を残して背面電極14をエッ
チング除去することができる。このようなエッチング除
去の結果、各平板電極2に接続する共通電極3を背面に
形成することができる。
【0122】(F)次に、必要であれば、駆動用圧電体
以外の圧電体ブロック1の少なくとも一部を除去する。
除去は、前述した「(I−1)平板電極と共通電極とを
個別に形成する方法」における工程(F)と同様に行
う。
【0123】最後に、各駆動用圧電体を分極処理して圧
電性を持たせて、積層型圧電素子が完成する。分極処理
は、共通電極3にリード線を設けるなどを行ったのち
に、共通電極3にDC電圧を印加して行う。なお、必要
に応じて、積層型圧電素子の外部表面に絶縁破壊防止の
ための保護膜を設けても良い。
【0124】(II−2)平板電極と共通電極とを同時
に形成する方法 (A)まず、圧電体ブロック1を作製する。圧電体ブロ
ック1の背面の全面に、背面電極14を形成するための
導電材料からなる導電層を設ける以外は、前述した
「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方
法」における工程(A)と同様に行う。
【0125】導電材料としては、前述した平板電極2お
よび共通電極3用の導電材料と同じである。また、導電
材料の層を形成する方法としては、無電解メッキ、電界
メッキ、CVD、スパッタリング、蒸着、イオンプレー
ティングなどが挙げられる。また、その他の形成方法と
して、銀、パラジウム、白金などを含むペースト状の導
電材料を塗布したあと、高温で焼き付けるなどの方法が
挙げられる。
【0126】(B)次に、圧電体ブロック1にマスクを
形成する。マスクのパターンが異なる以外は、前述した
「(I−1)平板電極2と共通電極3とを個別に形成す
る方法」における工程(B)と同様に行う。
【0127】マスクのパターンとしては、平板電極2を
形成するスロット、およびこの平板電極2に接続する共
通電極3に対応する開口部を有するようなものである。
例えば、図8(a)に示したような、それぞれが各平板
電極2に対応する実質的に互いに平行な複数のスロット
10、および平板電極2に接続する共通電極3に対応す
る櫛形の形状の開口部11が配置されたものである。
【0128】(C)次に、圧電体ブロック1をエッチン
グする。エッチングにより形成される孔は、背面電極1
4に到達する貫通孔5であること以外は、前述した
「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成する方
法」における工程(C)と同様に行う。
【0129】(D)次に、圧電体ブロック1に形成され
た孔5に導電材料6を充填して平板電極2および共通電
極3を形成する。導電材料6の充填は、例えば背面電極
14を負極とする電界メッキによって行うことができ
る。
【0130】導電材料6を充填したのちに、背面電極1
4をエッチングなどによって除去する。 (E)次に、必要であれば、駆動用圧電体以外の圧電体
ブロック1の少なくとも一部を除去する。除去は、前述
した「(I−1)平板電極と共通電極とを個別に形成す
る方法」における工程(F)と同様に行う。
【0131】最後に、各駆動用圧電体を分極処理して圧
電性を持たせて、積層型圧電素子が完成する。分極処理
は、共通電極3にリード線を設けるなどを行ったのち
に、共通電極3にDC電圧を印加して行う。なお、必要
に応じて、積層型圧電素子の外部表面に絶縁破壊防止の
ための保護膜を設けても良い。
【0132】なお、上述した製造方法は、1つの圧電体
ブロック1に1つの積層型圧電素子を製造する方法であ
ったが、この製造方法に基づいて、1つの圧電体ブロッ
ク1に複数の積層型圧電素子を同時に製造することが容
易に行えることは言うまでもない。
【0133】なお、本明細書には、以下の発明が含まれ
る。平板電極の幅および長さが、それぞれ1mm程度以
下であることを特徴とする積層型圧電素子。
【0134】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によって
微細な構造を有する積層型圧電素子を提供することがで
きる。また、本発明に係る積層型圧電素子の製造方法に
よれば、1000℃を上回るような高温で試料を焼結す
る必要がないため、平板電極に低融点、例えば1000
℃以下、の導電材料を用いることができるとともに、平
板電極および共通電極の両方に同じ導電材料を用いるこ
とができる。その結果、積層型圧電素子の製造コストを
低減することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型圧電素子の一例を示す概略
斜視図および断面図。
【図2】本発明に係る積層型圧電素子の他の例を示す概
略斜視図。
【図3】本発明に係る積層型圧電素子の他の例を示す概
略斜視図。
【図4】本発明に係る積層型圧電素子の他の例を示す概
略平面図。
【図5】本発明に係る積層型圧電素子の製造方法の一例
を示す工程図。
【図6】本発明に係る積層型圧電素子の製造方法の他の
例を示す工程図。
【図7】本発明に係る製造方法において用いるマスクパ
ターンの一例およびこのマスクパターンを用いて製造さ
れた積層型圧電素子の一例を示す概略平面図。
【図8】本発明に係る製造方法において用いるマスクパ
ターンの他の例およびこのマスクパターンを用いて製造
された積層型圧電素子の一例を示す概略平面図。
【符号の説明】
1…圧電体ブロック 2…平板電極 3…共通電極 4…マスク 5…孔 6…導電材料 10…スロット 11…マスクの開口部 12、13…導電層 14…背面電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 王 詩男 宮城県仙台市青葉区八幡三丁目12番8号 (72)発明者 舟窪 朋樹 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 若林 勝裕 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 沢田 之彦 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電材料からなる実質的に互いに平行な
    複数の平板電極と、相隣る2つの平板電極の間に配置さ
    れた駆動用圧電体とを有する積層型圧電素子の製造方法
    であって、 (a)圧電体ブロックに、エッチング用ガスのプラズマ
    による選択的なエッチングを用いて、それぞれが各平板
    電極に対応する実質的に互いに平行な複数の細長い貫通
    もしくは未貫通の孔を形成する工程と、(b)平板電極
    を形成するためにそれぞれの該孔内部に該導電材料を充
    填する工程とを含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 該孔内部に該導電材料を充填したのち
    に、該駆動用圧電体を除く該圧電体ブロックの少なくと
    も一部を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 圧電体ブロックと、 圧電体ブロックの中に埋設されたそれぞれが該ブロック
    の1つの表面と実質的に平行な複数の平板電極と、 複数の平板電極のうち該ブロックの該1つの表面に最も
    近い平板電極から数えて奇数番目の平板電極に接続する
    第1の共通電極と、 第1の共通電極によって接続されない残りの偶数番目の
    平板電極に接続する第2の共通電極とを備え、 平板電極と第1および第2の共通電極とが同じ導電材料
    から形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  4. 【請求項4】 圧電体ブロックと、 圧電体ブロックの中に埋設されたそれぞれが該ブロック
    の1つの表面と実質的に平行な複数の平板電極と、 複数の平板電極のうち該ブロックの該1つの表面に最も
    近い平板電極から数えて奇数番目の平板電極に接続する
    第1の共通電極と、 第1の共通電極によって接続されない残りの偶数番目の
    平板電極に接続する第2の共通電極とを備え、 該平板電極が1000℃以下の融点を有する導電材料か
    ら形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
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