JP2009032698A - 照明光学系 - Google Patents

照明光学系 Download PDF

Info

Publication number
JP2009032698A
JP2009032698A JP2008212355A JP2008212355A JP2009032698A JP 2009032698 A JP2009032698 A JP 2009032698A JP 2008212355 A JP2008212355 A JP 2008212355A JP 2008212355 A JP2008212355 A JP 2008212355A JP 2009032698 A JP2009032698 A JP 2009032698A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical system
diffraction grating
reflected
illumination
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008212355A
Other languages
English (en)
Inventor
Kotaro Hayashi
宏太郎 林
Yuichiro Otoshi
祐一郎 大利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Opto Inc
Original Assignee
Konica Minolta Opto Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Opto Inc filed Critical Konica Minolta Opto Inc
Priority to JP2008212355A priority Critical patent/JP2009032698A/ja
Publication of JP2009032698A publication Critical patent/JP2009032698A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Planar Illumination Modules (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

【課題】照明対象物からの距離が短い範囲内で、照明対象物からの必要な反射光を取り出すことができる、反射型のLCDやDMDを空間変調素子とする映像表示装置の照明に好適な照明光学系を提供する。
【解決手段】表面に回折格子を有する板状の透明基材と、透明基材の回折格子上に設けられ、入射光の特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングを備える回折格子素子を照明光学系に含ませた構成とする。この照明光学系では、光を回折格子素子によって照明対象物に導いて照明対象物を照明するとともに、照明対象物によって反射された光を回折格子素子を透過させて外部に導く。
【選択図】図5

Description

本発明は、回折格子素子を備えた照明光学系に関する。
空間変調素子によって照明光を変調し、変調後の光で映像を表すようにした映像表示装置では、空間変調素子に照明光を導くために種々の光学素子が使用されている。空間変調素子として液晶表示器(LCD)を使用する場合、LCDには偏光面が一定の直線偏光を与える必要がある。このため、無偏光を発する光源を使用するときは、偏光分離(PBS)プリズムや偏光板を用いて、LCDに適する直線偏光を取り出すようにしている。
PBSプリズムの構成を図21に示す。PBSプリズムは、断面が直角二等辺三角形の2つのプリズム片51a、51bで、PBS膜51cを挟んだ構成である。PBS膜51cはP偏光とS偏光の一方を選択的に透過させ他方を選択的に反射することにより両者を分離するが、一般に、入射角が45゜程度以上でなければ透過と反射の選択性が低下し、分離を良好に行うことができない。このため、2つのプリズム片51a、51bで挟んで正四角柱のPBSプリズムの形態とされている。
偏光板も偏光面が一定の直線偏光を透過させるが、他の偏光成分を反射するのではなく吸収する。PBSプリズムでは透過光と反射光のいずれをもLCDの照明に用いることができるのに対し、偏光板では利用可能な光は透過光のみとなる。
反射型のLCDの場合、LCDを照明する照明光の光路とLCDからの反射光の光路が一致するため、光路上のどこかで照明光と映像を表す反射光の光路を分離する必要がある。このために、照明光と反射光の一方を反射し他方を透過させる光学素子が用いられる。
上記のPBSプリズムはこの用途にも利用されている。変調されて偏光面が90゜回転した光が映像を表すように反射型のLCDを設定すると、PBSプリズムを透過した光を照明光とする場合には、映像を表す光はPBSプリズムで反射されることになり、また、PBSプリズムで反射された光を照明光とする場合には、映像を表す光はPBSプリズムを透過することになって、いずれの場合も映像を表す反射光を光源に向かう方向とは異なる方向に導くことができる。
照明光と反射光を分離するための他の光学素子を図22に示す。この光学素子は透明な平板52の上面52aに断面がV字状の溝52dを多数形成したもので、下面52bを反射型のLCD53に向けて配置される。光源からの光は平板52の端面52cより平板52に導き入れられ、上面52aと下面52bで全反射を受けながら平板52内を進行する。その間、光は溝52dの表面に当たって反射され、下面52bを透過してLCD53を照明する。LCD53で反射された光は下面52bから平板52内に入り、上面52aを透過して外部に出る。
平板52とLCD53の間には、照明光を直線偏光とするための偏光板54が配置される。LCD53は、変調されて偏光面が90゜回転した直線偏光ではなく、変調後も偏光面が回転しなかった直線偏光が映像を表す光となるように制御される。
カラー映像を表示する一法として、LCDの個々の画素に、赤色(R)光、緑色(G)光、または青色(B)光を選択的に透過させるカラーフィルターのいずれかを備えることが行われている。しかし、この構成では、光源からの白色光の2/3がカラーフィルターによって失われることになり、光の利用効率に優れているとはいえない。そこで、近年では、照明光を進行方向が互いに僅かに異なるR光、G光、B光に分離するとともに、LCDにマイクロレンズアレイを備えて、R光、G光、B光を別個の画素に入射させることが行われるようになってきた。
この方法で色分離のために使用される光学系を図23に示す。この光学系は、3つのダイクロイックミラー55R、55G、55Bより成る。ダイクロイックミラー55R、55G、55BはそれぞれR光、G光、B光を選択的に反射し、他の色光を透過させる。ミラー55R、55G、55Bは互いに角度をもたせて配置されており、入射光を異なる方向に反射する。反射されたR光、G光、B光の光路には、ミラー55R、55G、55B相互間の角度の2倍の角度差が生じる。
図24に示すように、LCD53に設けられたマイクロレンズアレイ56は各マイクロレンズ56aが隣合う3画素53R、53G、53Bに対向するように設定されている。いずれのマイクロレンズ56aにも異なる方向からR光、G光、B光が入射することになり、各マイクロレンズはR光、G光、B光をそれぞれ別の画素53R、53G、53B上に収束させる。これで、光源からの光は全てLCD53の画素に導かれることになり、明るい映像を提供することが可能になる。
角度可変の微小なミラー素片を2次元に多数配列したデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)と呼ばれる素子も、空間変調素子として用いられている。DMDの各ミラー素片は、その角度によって、入射光を所定の2方向のどちらかに択一的に反射する。DMDにより2方向に反射された光のうち、一方が映像を表す光として取り出され、他方は不要光として捨てられる。
DMDを照明するための一般的な光学系を図25に示す。この光学系は、2つのプリズム57a、57bを僅かに離間させて配置したものである。光源からの光は側方よりプリズム57aに導き入れられる。プリズム57bに対向する面57cは、導き入れられた光の入射角が臨界角を超えるように設定されており、光は面57cで全反射され、面57dを透過してDMD58を照明する。DMD58で反射された光は、映像を表す光と不要光に分離しながら面57dよりプリズム57aに入る。プリズム57aに入った光は面57cに達し、入射角が臨界角よりも小さいためこれを透過して、プリズム57bも透過する。このように、DMDを照明する光学系では、プリズム面による光の全反射と透過を利用している。
偏光板は簡素な構成であり、平板状であるから、きわめて利用し易い。ところが、偏光板を透過する直線偏光の透過率は80%程度にとどまり、光量に損失が生じる。しかも、偏光板は透過する直線偏光以外の偏光成分を全て吸収するから高温になり、近傍に配置されているLCD等の他の素子に悪影響を及ぼす。明るい映像を表示するために光の強度を高くする場合、偏光板は特に高温になる。
PBSプリズムは光を吸収しないため、高温になるという不都合は生じないし、透過光と反射光のいずれをも利用することができる。また、透過率や反射率を略100%にすることも容易であり、光の利用効率の面でも優れている。しかしながら、PBSプリズムは入射面の幅に等しい厚さを有しているため、表示装置の大型化と重量化を招く。映像を表す光をスクリーンに投射してスクリーン上に結像させる投射型の装置とするときは、投射光学系のレンズバックが長くなって、明るい映像を表示するために大きな投射光学系が必要になる。装置の大型化と重量化を招くという問題は、同じくプリズムを使用する図25の光学系にも当てはまる。
図22に示した光学素子は、平板に溝を設けただけの簡素な構成であり利用し易いが、平板に入ったLCDからの反射光の一部は溝の表面で反射されて、平板を透過することができない。このため、表示した映像に縞状の暗い部分が生じてしまう。溝の幅を小さくすることで暗い部分が目立つのをある程度抑えることは可能であるが、本質的な解決策とはならない。
また、図23に示した3つのダイクロイックミラーから成る光学系は、光の利用効率の面では優れているが、各ダイクロイックミラーが別個の素子であるため、相互の角度を精度よく設定することが難しい。このため、光学系の組み立てに時間を要して、製造効率が低下する。
ところで、微小な凹凸構造が周期的に配列された格子面を有し、回折により光の進路を変える回折光学素子が、光学の様々な分野で利用されている。回折光学素子には、格子面の凹部と凸部が共に平坦で平坦な部分のレベル(高さ)が2つであるバイレベルの素子、凹部と凸部の中間の1以上のレベルを有するマルチレベルの素子、および傾斜面を有し断面が鋸歯状のブレーズ型の素子がある。どの回折光学素子も、透過光に回折を生じさせる透過型とすることもできるし、格子面に反射膜をコーティングして、反射光に回折を生じさせる反射型とすることもできる。透過型とする場合、透過率を高めるために、格子面に反射防止膜をコーティングすることが行われている。
回折光学素子ではないが、フレネルレンズも小さな傾斜面を多数有しており、断面が鋸歯状のブレーズ型の素子となっている。回折光学素子は凹凸の高低差が光の波長程度であって、これにより回折を生じさせるのに対し、フレネルレンズは凹凸の高低差が波長の数倍以上と大きく、専ら屈折によって光の進行方向を変化させる。
回折光学素子やフレネルレンズは、薄型の光学素子であるという大きな特徴を有する。しかし、そのような光学素子を用いた照明光学系であって、照明対象物(例えば反射型のLCDやDMD)からの距離が短い範囲内で、照明対象物からの必要な反射光を取り出すことを可能にした照明光学系は、未だ提案されてはいない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、照明対象物からの距離が短い範囲内で、照明対象物からの必要な反射光を取り出すことができる、反射型のLCDやDMDを空間変調素子とする映像表示装置の照明に好適な照明光学系を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明では、表面に回折格子を有する板状の透明基材と、透明基材の回折格子上に設けられ、入射光の特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングを備える回折格子素子を照明光学系に含ませて、光を回折格子素子によって照明対象物に導いて照明対象物を照明するとともに、照明対象物によって反射された光を回折格子素子を透過させて外部に導くものとする。
回折格子素子が分離コーティングを挟んで透明基材の回折格子に密着した板状の透明材を備えるようにしてもよい。
分離コーティングは入射光の入射角に応じて入射光を反射しまたは透過させるものとするとよい。
分離コーティングは回転方向の異なる2つの円偏光の一方を反射し他方を透過させるカイラルネマティック液晶層としてもよい。
板状の透明基材の表面の回折格子上に入射光の特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングを設けた回折格子素子を含み、光を回折格子素子によって照明対象物に導いて照明対象物を照明するとともに、照明対象物によって反射された光を回折格子素子を透過させて外部に導くようにした本発明の照明光学系によれば、照明対象物からの距離が短い範囲内で、照明対象物からの必要な反射光を取り出すことができる。したがって、反射型のLCDやDMDを空間変調素子とする映像表示装置の照明に好適である。投射型の映像表示装置とするときは、投射光学系のレンズバックが短くなって、投射光学系を小型にすることもできる。本発明では、照明光と照明対象物からの反射光の光路は重なるが、回折格子の機能と分離コーティングの機能の組み合わせにより、照明対象物からの反射光のみを取り出すことは容易である。
回折格子素子が分離コーティングを挟んで透明基材の回折格子に密着した板状の透明材を備えるようにすれば、回折格子や分離コーティングを保護することができる上、素子を透過する照明対象物からの反射光に不要な変調がかかるのを避けることができる。
分離コーティングを入射光の入射角に応じて入射光を反射しまたは透過させるものとすれば、回折格子素子を透過した後の照明対象物からの光の光路外に光源を配置することがきわめて容易になり、例えば、光源からの光を回折格子素子の端面から回折格子素子に導き入れる構成とすることができる。
また、分離コーティングを回転方向の異なる2つの円偏光の一方を反射し他方を透過させるカイラルネマティック液晶層とすれば、照明光と照明対象物からの反射光を確実に分離することができる。
本発明の照明光学系に適用可能なブレーズ格子素子および回折格子素子の基本構成を図1および図2に模式的に示す。図1は、平板状の透明基材11の表面にブレーズ格子12を形成し、ブレーズ格子12上に分離コーティング13を設けた最も簡素な構成のブレーズ格子素子1を示したものである。透明基材11は例えば樹脂またはガラスで作製することができる。
ブレーズ格子12の凹凸の高低差を光の波長程度とすれば、ブレーズ格子12は回折格子となり、ブレーズ格子素子1は回折格子素子となる。また、ブレーズ格子12の凹凸の高低差を光の波長の数倍以上にすれば、ブレーズ格子12はフレネルレンズ面となり、ブレーズ格子素子1はフレネルレンズまたはパワーを有する薄型のミラーとなる。
図2は、図1のブレーズ格子素子1に、分離コーティング13を挟んでブレーズ格子12に密着する平板状の透明材14を追加したブレーズ格子素子2を示したものである。透明材14も樹脂やガラスで作製することができる。透明基材11と透明材14の材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。ブレーズ格子素子2では、ブレーズ格子12と分離コーティング13が保護された形態となる。
分離コーティング13は、入射光の特性に応じて、入射光を反射しまたは透過させる。入射光の特性としては、例えば、波長、直線偏光の偏光面の向き、円偏光の回転方向、分離コーティング13に対する入射角等がある。
ブレーズ格子素子1では、ブレーズ格子12は、分離コーティング13を透過する光と分離コーティング13で反射される光の双方に対して作用する。すなわち、ブレーズ格子12は、透過する光に対しては回折または屈折を生じさせ、反射される光に対しては回折または入射角と異なる反射角での反射を生じさせる。
ブレーズ格子素子2では、透明基材11と透明材14の屈折率が異なれば、ブレーズ格子12は、ブレーズ格子素子1と同様に、分離コーティング13を透過する光と反射される光の双方に対して作用する。一方、透明基材11と透明材14の屈折率が等しければ、ブレーズ格子12は反射される光のみに作用し、ブレーズ格子素子2は透過する光に対しては単なる透明な平行平板となる。
以下、ブレーズ格子素子2を回折光学素子としたいくつかの実施形態について説明する。第1の実施形態の光学素子21の構成および光に対する作用を図3に模式的に示す。光学素子21は、分離コーティング13としてPBS膜13aを備えている。PBS膜13aは、P偏光を透過させS偏光を反射するように設定されている。透明基材11および透明材14の屈折率は1.62であり、ブレーズ格子12のブレーズ角(ブレーズ格子全体としての平面に対する個々のブレーズ面12aの成す角)は30゜である。
光学素子21は、透明基材11への光の入射角が25゜となる配置で使用する。透明基材11に対して25゜の入射角で入射した光は、屈折してブレーズ面12aに対する入射角が45゜となる。ブレーズ面12aに入射した光のうち、PBS膜13aに対してP偏光となる偏光成分は、PBS膜13aを透過し、透明材14も透過して素子21の外部に出る。この光は、素子21への入射前の光と平行で僅かにずれた光路を進む。
PBS膜13aに対してS偏光となる偏光成分は、PBS膜13aで反射され、ブレーズ格子12によって回折される。回折された反射光は透明基材11の表面11aに臨界角を超える入射角で入射して全反射される。表面11aで全反射された光は、大部分がブレーズ面12aで反射され、2つのブレーズ面12aの間を透過した残りの部分も透明材14の表面14aで全反射される。これらの光は透明基材11の表面11a、ブレーズ面12a、透明材14の表面14aでの反射を繰り返して素子21の端面に達し、端面から外部に出る。
この光学素子21では、PBS膜13aに対してP偏光となる偏光成分を、進路をほとんど変えることなく取り出すことができ、PBS膜13aに対してS偏光となる偏光成分を全く別方向に向かわせて捨てることができる。しかも、素子21は光を吸収しないから、高温になることもない。
PBS膜13aの膜構成を表1に示し、入射角45゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を図4に示す。表1において、層番号0が透明基材11であり、層番号18が透明材14である。光学膜厚は745nmを基準波長として表している。
<表1> PBS膜13aの構成
層 屈折率 光学膜厚 層 屈折率 光学膜厚
18 1.62 17 1.62 0.125
16 1.385 0.125 15 2.05 0.25
14 1.385 0.25 13 2.05 0.25
12 1.385 0.25 11 2.05 0.25
10 1.385 0.25 9 2.05 0.25
8 1.385 0.25 7 2.05 0.25
6 1.385 0.25 5 2.05 0.25
4 1.385 0.25 3 2.05 0.25
2 1.385 0.125 1 1.62 0.125
0 1.62
光学素子21を反射型LCDの照明光学系として使用する形態を図5に示す。光学素子21をLCD31に対して25゜傾けて配置し、素子21の端面近傍に直線状の光源41を配置する。光源41は無偏光の光を発する。光源41が発した光は、端面より素子21に入り、全反射を受けながら素子21内を進行する。素子21の内部を進行する光のうちPBS膜13aに対してS偏光となる偏光成分は、PBS膜13aで反射されることにより、透明基材11の表面11aに対する入射角が変化していき、入射角が臨界角未満になった時点で表面11aを透過する。表面11aを透過した光はLCD31に対して略90゜の角度で入射する照明光となる。
LCD31は、変調により偏光面が90゜回転した直線偏光が映像を表す光となるように動作を制御される。LCD31で変調され反射された光は、透明基材11に略25゜の入射角で入射し、素子21の内部に入る。素子21に入った光のうち、映像を表す偏光成分はPBS膜13aに対してP偏光となり、PBS膜13aを透過して、透明材14から素子21の外に出る。一方、他の偏光成分はPBS膜13aに対してS偏光となって反射され、前述のように全反射されながら素子21の端面に向かい、光源41に向けて出る。
LCD31に対して垂直な方向について光学素子21が占める空間の距離は、LCD31からの反射光の光束の幅の0.47(tan25゜)倍であり、従来のPBSプリズムの半分以下になる。したがって、映像を表す光をスクリーンに投射する投射型の映像表示装置とするときは、投射光学系のレンズバックが大幅に短くなって、投射光学系を小型にすることができる。
第2の実施形態の光学素子22の構成および光に対する作用を図6に模式的に示す。光学素子22は、分離コーティング13としてPBS膜13bを備えている。PBS膜13bは、第1の実施形態とは逆に、P偏光を反射しS偏光を透過させるように設定されている。透明基材11および透明材14の屈折率は1.87であり、ブレーズ格子12のブレーズ角は60゜である。
光学素子22は、透明基材11への光の入射角が0゜となる配置で使用することができる。透明基材11に入った光は直進してブレーズ面12aに対して60゜の入射角で入射する。ブレーズ面12aに入射した光のうち、PBS膜13bに対してS偏光となる偏光成分は、PBS膜13bを透過し、透明材14も透過して素子22の外部に出る。この光は、素子22への入射前の光の光路の延長上を進む。
PBS膜13bに対してP偏光となる偏光成分は、PBS膜13bで反射され、ブレーズ格子12によって回折される。回折された反射光は透明材14の表面14aに臨界角を超える入射角で入射して全反射され、第1の実施形態と同様にして、素子22の端面に達し、端面から外部に出る。
PBS膜13bの膜構成を表2に示し、入射角60゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を図7に示す。表2において、層番号0が透明基材11であり、層番号26が透明材14である。光学膜厚は280nmを基準波長として表している。
<表2> PBS膜13bの構成
層 屈折率 光学膜厚 層 屈折率 光学膜厚
26 1.87 25 1.385 0.125
24 2.3 0.25 23 1.385 0.25
22 2.3 0.25 21 1.385 0.25
20 2.3 0.25 19 1.385 0.25
18 2.3 0.25 17 1.385 0.25
16 2.3 0.25 15 1.385 0.25
14 2.3 0.25 13 1.385 0.25
12 2.3 0.25 11 1.385 0.25
10 2.3 0.25 9 1.385 0.25
8 2.3 0.25 7 1.385 0.25
6 2.3 0.25 5 1.385 0.25
4 2.3 0.25 3 1.385 0.25
2 2.3 0.25 1 1.385 0.125
0 1.87
光学素子22は、第1の実施形態の光学素子21と同様に、反射型LCDの照明光学系として使用することができる。この場合、素子22をLCDに対して平行に配置することができるから、配置のために必要なLCDに垂直な方向の距離はきわめて短くなる。
光学素子22を透過型LCDの照明光学系および映像を表す光を選択的に取り出す光学系として使用する形態を図8に示す。2つの光学素子22をLCD32の前後に配置し、一方の素子22に対して略垂直に光源からの光を入射させる。素子22に入った光のうち、PBS膜13bに対してS偏光となる偏光成分は素子22を透過して、LCD32に対して略90゜の角度で入射する照明光となる。一方、PBS膜13bに対してP偏光となる偏光成分は反射されて、素子22内で全反射を受けながら端面に達する。素子22の端面には光吸収部材15が取り付けられており、端面に達した光は吸収部材15に吸収される。
LCD32は、変調後も偏光面が回転しない直線偏光が映像を表す光となるように動作を制御される。LCD32を透過した光は、他方の素子22に入り、PBS膜13bに対してS偏光となる映像を表す偏光成分は素子22を透過する。変調により偏光面が90゜回転しPBS膜13bに対してP偏光となった偏光成分は反射され、素子22内で全反射を受けながら端面に達して、吸収部材15に吸収される。
従来は、透過型LCDの照明や映像を表す光の取り出しに偏光板を用いていたが、偏光板に代えて光学素子22を使用することで、透過率が高まり、明るい映像を提供することができる。また、素子22は偏光板のように高温になることがなく、LCDに悪影響を与えない。
第3の実施形態の光学素子23の構成および光に対する作用を図9に模式的に示す。この光学素子23は、第2の実施形態の光学素子22の透明材14の表面にもブレーズ格子12を形成し、その上に分離コーティング13としてPBS膜13bを設けて、そのPBS膜13bを挟んで透明材14に密着する別の透明材14を備えたものである。すなわち光学素子23は光学素子22を重ね合わせた構成である。ただし、2つのブレーズ格子12のブレーズ面12aの傾斜方向は逆である。
この構成では、一方のブレーズ格子12の2つのブレーズ面12aの間を直接透過する光がある場合でも、その光を他方のブレーズ格子12上に設けたPBS膜13bで分離することができる。したがって、入射角による分離効率の低下がなくなり、分離対象である光に対する配置角度の自由度が大きくなる。
第4の実施形態の光学素子24の構成および光に対する作用を図10に模式的に示す。この光学素子24は、第3の実施形態の光学素子23と同様に、ブレーズ格子12および分離コーティング13を2組備える。2つのブレーズ格子12のブレーズ面の傾斜方向は逆であり、各々のブレーズ角は数度程度である。透明基材11のブレーズ格子12上の分離コーティング13としては、B光を選択的に反射するダイクロイック膜13Bを、また、透明材14のブレーズ格子12上の分離コーティング13としては、G光を選択的に反射するダイクロイック膜13Gを備えている。さらに、透明基材11の表面11a上には、R光を選択的に反射するダイクロイック膜11Rが設けられている。
この光学素子24は白色光をR光、G光、B光に分離して、分離した各光の光路に角度差をもたらす。素子24に入射する白色光のうち、R光はダイクロイック膜11Rによって入射角に等しい反射角で反射される。ダイクロイック膜11Rを透過したB光およびG光は素子24内に入って、ダイクロイック膜13Bに達し、これを透過するG光と反射されるB光に分離される。
ダイクロイック膜13Bで反射されたB光はブレーズ格子12で回折されて、R光とは角度差のある光となって素子24の外部に出る。ダイクロイック膜13Bを透過したG光は、ダイクロイック膜13Gに達して反射され、ブレーズ格子12により回折されて、R光およびB光とは角度差のある光となって素子24の外部に出る。
ダイクロイック膜11R、13B、13Gの膜構成を表3、表4、表5にそれぞれ示す。表3において、層番号0が透明基材11であり、層番号22が空気である。表4において、層番号0が透明基材11であり、層番号22が透明材14である。また表5において、層番号0が透明基材11側の透明材14であり、層番号22が表面側の透明材14である。光学膜厚は、ダイクロイック膜11Rについては765nm、ダイクロイック膜13Bについては451nm、ダイクロイック膜13Gについては540nmを基準波長として表している。
<表3> ダイクロイック膜11Rの構成
層 屈折率 光学膜厚 層 屈折率 光学膜厚
22 1 21 1.385 0.14
20 2.3 0.28 19 1.47 0.28
18 2.3 0.26 17 1.47 0.25
16 2.3 0.25 15 1.47 0.25
14 2.3 0.25 13 1.47 0.25
12 2.3 0.25 11 1.47 0.25
10 2.3 0.25 9 1.47 0.25
8 2.3 0.25 7 1.47 0.25
6 2.3 0.25 5 1.47 0.25
4 2.3 0.26 3 1.47 0.28
2 2.3 0.28 1 1.67 0.14
0 1.52
<表4> ダイクロイック膜13Bの構成
層 屈折率 光学膜厚 層 屈折率 光学膜厚
22 1.52 21 2.3 0.09
20 1.385 0.3 19 2.3 0.15
18 1.47 0.3 17 2.3 0.225
16 1.47 0.25 15 2.3 0.25
14 1.47 0.25 13 2.3 0.25
12 1.47 0.25 11 2.3 0.25
10 1.47 0.25 9 2.3 0.25
8 1.47 0.25 7 2.3 0.25
6 1.47 0.25 5 2.3 0.225
4 1.47 0.3 3 2.3 0.15
2 1.385 0.3 1 2.3 0.1
0 1.52
<表5> ダイクロイック膜13Gの構成
層 屈折率 光学膜厚 層 屈折率 光学膜厚
22 1.52 21 2.3 0.09
20 1.385 0.3 19 2.3 0.15
18 1.47 0.3 17 2.3 0.225
16 1.47 0.25 15 2.3 0.25
14 1.47 0.25 13 2.3 0.25
12 1.47 0.25 11 2.3 0.25
10 1.47 0.25 9 2.3 0.25
8 1.47 0.25 7 2.3 0.25
6 1.47 0.25 5 2.3 0.225
4 1.47 0.3 3 2.3 0.15
2 1.385 0.3 1 2.3 0.1
0 1.52
入射角45゜のP偏光とS偏光に対するダイクロイック膜11R、13B、13Gの透過率と波長の関係を図11、図12、図13にそれぞれ示す。なお、透明基材11に入射する際に屈折が生じるため、ダイクロイック膜11Rへの入射角を45゜としても、ダイクロイック膜13B、13Gに対する光の実際の入射角は45゜から変化する。ブレーズ格子12のブレーズ角を5゜程度とすると、ダイクロイック膜13Bへの入射角は32゜程度、ダイクロイック膜13Gへの入射角は22゜程度となる。
光学素子24は、マイクロレンズアレイを備える図24に示したLCD53の照明光学系として利用することができる。その際、素子24は単一の部材であるから、図23に示した光学系のように素子間の相対角を調整する必要がなく、組み立てを速やかにかつ精度よく行うことができる。なお、LCD53に導く光を直線偏光としたり、変調後の光から映像を表す光を取り出したりするためには、偏光板または前述の光学素子22を用いればよい。
第5の実施形態の光学素子25の構成および光に対する作用を図14に模式的に示す。この光学素子25は、分離コーティング13として入射角に応じて光を反射しまたは透過させる角度分離膜13cを備えている。異なる方向から素子25に入射する光のうち、一方は角度分離膜13cを透過し、他方は角度分離膜13cで反射されてブレーズ格子12によって回折され、全反射を受けながら端面に達して素子25の外部に出る。
角度分離膜13cの膜構成を表6に示し、波長550nmの光に対する透過率と入射角の関係を図15に示す。表6において、層番号0が透明基材11であり、層番号22が透明材14である。光学膜厚は700nmを基準波長として表している。
<表6> 角度分離膜13cの構成
層 屈折率 光学膜厚 層 屈折率 光学膜厚
22 1.62 21 1.62 0.125
20 1.385 0.3525 19 2.2 0.3125
18 1.385 0.3525 17 2.2 0.1175
16 1.385 0.4075 15 2.2 0.125
14 1.385 0.4 13 2.2 0.105
12 1.385 0.395 11 2.2 0.135
10 1.385 0.38 9 2.2 0.2075
8 1.385 0.3875 7 2.2 0.4475
6 1.385 0.3525 5 2.2 0.2975
4 1.385 0.295 3 2.2 0.3225
2 1.385 0.3475 1 1.62 0.125
0 1.62
光学素子25を反射型LCDの照明光学系として使用する形態を図16に示す。光学素子25をLCD31と平行に配置し、素子25の端面近傍に直線状の光源41を配置する。また、素子25とLCD31の間に偏光板43を配置する。光源41は無偏光の光を発する。光源41が発した光は、端面より素子25に入り、全反射を受けながら素子25内を進行する。素子25の内部を進行する光は角度分離膜13cで反射されることにより、透明基材11の表面11aに対する入射角が変化していき、入射角が臨界角未満になった時点で表面11aを透過する。表面11aを透過した光は、LCD31に対してやや斜めに入射する照明光となる。この照明光はLCD31に入射する前に偏光板43によって直線偏光とされる。
LCD31は、変調後も偏光面が回転しなかった直線偏光が映像を表す光となるように動作を制御される。LCD31で変調され反射された光は、偏光板43によって映像を表す光のみとされ、透明基材11から出たときとは異なる角度で、透明基材11から素子25に入る。この光は、角度分離膜13cに対する入射角が小さく、角度分離膜13cを透過して透明材14から素子25の外部に出る。素子25の外部に出た光は直接観察するようにしてもよいし、投射光学系でスクリーンに投射するようにしてもよい。なお、偏光板43に代えて、前述の光学素子22を配置するようにしてもよい。
光学素子25をDMDの照明光学系として使用し、DMDで変調した光を投射光学系で投射する形態を図17に示す。DMD33を投射光学系34の光軸に対して垂直に配置し、素子25をDMD33と投射光学系34の間に、DMD33と平行に配置する。また、素子25の端面近傍に直線状の光源41を配置する。光源41が発した光は、上記のLCD31の照明の場合と同様に、DMD33に対してやや斜めに入射する照明光となる。
DMD33は、映像を表す光を垂直方向に反射し、他の光を垂直方向とは異なる方向に反射するように動作を制御される。DMD33で2方向に反射されたこれらの光は、透明基材11の表面11aから素子25に入る。これらの光は、角度分離膜13cに対する入射角が小さく、いずれも角度分離膜13cを透過して素子25の外部に出る。素子25の外部に出た光のうち映像を表す光のみが投射光学系34に入射して、不図示のスクリーンに投射される。この設定では、図25に示したプリズムを使用する光学系に比べて、投射光学系34のレンズバックを大幅に短くすることができる。
図18に示すように、角度分離膜13cの設定の異なる光学素子25を2つ備え、照明用の光学素子25を透過したDMD33からの反射光のうち、映像を表す光以外の光を他方の光学素子25の角度分離膜13cで反射し、その素子25内で全反射させて端面から外部に出すようにしてもよい。このようにすると、投射光学系34近傍に向かう不要光をなくすことができて、投射光学系34のレンズバックをさらに短くすることが可能である。図15に示したように、角度分離膜13cは入射角に10゜程度の差のある入射光を確実に分離する設定とすることができるから、DMD33は各ミラー素片が5゜程度角度差のある2方向を向く設定とすれば十分であり、DMD33の作製も容易である。
なお、2つの光学素子25の配置は逆にすることもできる。また、光学素子25を2つ使用することに代えて、第4の実施形態で示したように、ブレーズ格子12と角度分離膜13cを2組備える単一の光学素子とし、これをDMD33の照明のためとDMD33からの反射光の分離のために兼用してもよい。
第6の実施形態の光学素子26の構成および光に対する作用を図19に模式的に示す。この光学素子26は、分離コーティング13として、回転方向が逆の2つの円偏光の一方を反射し他方を透過させるカイラルネマティック液晶層13dを備えており、また、透明基材11の表面11aに貼着された1/4位相板44を備えている。なお、ここでは、カイラルネマティック液晶層13dが右回りの円偏光を反射し左回りの円偏光を透過させる設定とした例を掲げている。
光学素子26は、1/4位相板44を透過して入射する偏光面が互いに直交する2つの直線偏光を分離することができる。1/4位相板44を透過することにより、一方の直線偏光は左回りの円偏光となり、他方の直線偏光は右回りの円偏光となる。左回りの円偏光は、カイラルネマティック液晶層13dを透過して透明材14の表面14aから素子26の外部に出る。
一方、右回りの円偏光は、カイラルネマティック液晶層13dで反射されてブレーズ格子12によって回折され、1/4位相板44に再入射して直線偏光となる。この直線偏光は1/4位相板44の表面で全反射され、もう一度1/4位相板44を透過することにより右回りの円偏光に戻った状態で、透明基材11に再入射する。この右回りの円偏光は、以下同様に、カイラルネマティック液晶層13dによる反射と1/4位相板44の表面での全反射を受けながら素子26の端面に達して、端面より外部に出る。
光学素子26を反射型LCDの照明光学系として使用する形態を図20に示す。光学素子26をLCD31と平行に配置して、端面より右回りの円偏光を素子26に導き入れる。この円偏光は、上記のように反射を受けながら素子26内を進行する。その間、液晶層13dで反射されることにより1/4位相板44の表面に対する入射角が変化していき、入射角が臨界角未満になった時点で光は外部に出て、LCD31の照明光となる。この照明光は1/4位相板44を透過することにより直線偏光になっている。
LCD31は、変調により偏光面が90゜回転した直線偏光が映像を表す光となるように動作を制御される。LCD31で変調され反射された光は、素子26に入射し、1/4位相板44により円偏光に変換される。このとき、変調により偏光面が回転した直線偏光すなわち映像を表す光は左回りの円偏光となり、偏光面が回転しなかった直線偏光は右回りの円偏光に戻る。これら2つの円偏光はカイラルネマティック液晶層13dに達し、映像を表す左回りの円偏光のみが液晶層13dを透過し、右回りの円偏光は液晶層13dで反射されて端面より素子26の外部に出る。こうして、映像を表す光のみが取り出される。
なお、上記の各実施形態では、ブレーズ格子12は光に回折のみを生じさせる設定としているが、さらにパワーをもたせるようにしてもよい。これは、ブレーズ格子12をその全体にわたって一定の周期構造とすることに代えて、部位ごとに周期や単位構造を少しずつ変化させて、回折角を連続的に変化させることにより実現することができる。また、ブレーズ格子12に代えてバイレベルあるいはマルチレベルの回折格子を備え、その上に分離コーティング13を設けた構成としてもよい。
なお、表面にブレーズ格子を有する板状の透明基材と、透明基材のブレーズ格子上に設けられ、入射光の特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングとでブレーズ格子素子を構成してもよい。この素子は、単一の薄い光学素子でありながら、2つの機能を併せもつ。すなわち、分離コーティングにより入射光をその特性に応じて反射光と透過光に分離することが可能であり、分離した透過光もしくは反射光または双方にブレーズ格子を作用させることができる。ブレーズ格子は、凹凸の高低差を入射光の波長程度にすれば回折格子となり、また、高低差を入射光の波長の数倍程度以上とすれば、フレネルレンズあるいはミラーとして作用する。
分離コーティングを挟んで透明基材のブレーズ格子に密着した板状の透明材を備えるようにしてもよい。格子面の保護が可能になる。また、透明基材と透明材を同じ材料で作製することで、透過光に不要な変調がかかるのを避けることができる。この場合、ブレーズ格子は反射光のみに作用することになる。
透明材が、透明基材に対して反対側の表面にブレーズ格子を有しており、さらに、透明材のブレーズ格子上に設けられ、入射光の特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングと、分離コーティングを挟んで透明材のブレーズ格子に密着した板状の透明材を備える構成としてもよい。このようにすると、一方の分離コーティングで分離された透過光を他方の分離コーティングでさらに反射光と透過光に分離できるようになる。また、2つのブレーズ格子のブレーズ面の傾斜方向を逆にすることで、入射角によって分離が不完全になるのを避けることも可能である。
分離コーティングは入射光の偏光特性に応じて入射光を反射しまたは透過させるものとすることができる。分離コーティングは傾斜したブレーズ面上に設けられているため、素子への入射角が45゜未満となるように配置しても、分離コーティングに対する光の入射角を45゜以上にすることが可能である。したがって、平板状でありながら、良好な偏光分離特性を有するPBS素子が得られる。
分離コーティングは、また、入射光の波長に応じて入射光を反射しまたは透過させるものとすることも、入射光の入射角に応じて入射光を反射しまたは透過させるものとすることもできる。いずれの場合も、単に波長や入射角に応じて光を分離するだけでなく、分離後の光にブレーズ格子の作用を及ぼすことが可能である。
また、表面に回折格子を有する板状の透明基材と、透明基材の回折格子上に設けられ、入射光の偏光特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングと、分離コーティングを挟んで透明基材の回折格子に密着した板状の透明材とで回折格子素子を構成してもよい。この素子は、単一の薄い光学素子でありながら、偏光分離の機能と回折の機能を併せもつ。すなわち、分離コーティングにより入射光をその偏光特性に応じて反射光と透過光に分離することが可能であり、分離した反射光に回折を生じさせて反射角を変化させることができる。
ここで、透明基材が分離コーティングで反射された光を内部で全反射して端面に導くようにしてもよい。分離後の透過光のみが必要な場合、不要な反射光を素子の端面から捨て去ることができて、反射光の処理が容易になる。また、光を吸収して素子が高温になることもない。
本発明の照明光学系に適用可能なブレーズ格子素子および回折格子素子の基本構成を模式的に示す断面図。 本発明の照明光学系に適用可能なブレーズ格子素子および回折格子素子の別の基本構成を模式的に示す断面図。 第1の実施形態の光学素子の構成および光に対する作用を模式的に示す断面図。 第1の実施形態の光学素子に備えたPBS膜の、入射角45゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を示す図。 第1の実施形態の光学素子を反射型LCDの照明光学系として使用する形態を示す断面図。 第2の実施形態の光学素子の構成および光に対する作用を模式的に示す断面図。 第2の実施形態の光学素子に備えたPBS膜の、入射角60゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を示す図。 第2の実施形態の光学素子を透過型LCDの照明光学系および映像を表す光を取り出す光学系として使用する形態を示す断面図。 第3の実施形態の光学素子の構成および光に対する作用を模式的に示す断面図。 第4の実施形態の光学素子の構成および光に対する作用を模式的に示す断面図。 第4の実施形態の光学素子に備えたR光反射のダイクロイック膜の、入射角45゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を示す図。 第4の実施形態の光学素子に備えたB光反射のダイクロイック膜の、入射角45゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を示す図。 第4の実施形態の光学素子に備えたG光反射のダイクロイック膜の、入射角45゜のP偏光とS偏光に対する透過率と波長の関係を示す図。 第5の実施形態の光学素子の構成および光に対する作用を模式的に示す断面図。 第5の実施形態の光学素子に備えた角度分離膜の、波長550nmの光に対する透過率と入射角の関係を示す図。 第5の実施形態の光学素子を反射型LCDの照明光学系として使用する形態を示す断面図。 第5の実施形態の光学素子をDMDの照明光学系として使用する形態を示す断面図。 第5の実施形態の光学素子をDMDの照明光学系および映像を表す光を取り出す光学系として使用する形態を示す断面図。 第6の実施形態の光学素子の構成および光に対する作用を模式的に示す断面図。 第6の実施形態の光学素子を反射型LCDの照明光学系として使用する形態を示す断面図。 PBSプリズムの構成を示す図。 反射型LCDの照明光と反射光を分離するための従来の光学素子を示す図。 白色光を光路に角度差のあるR光、G光、B光に分離するための従来の光学系を示す図。 マイクロレンズアレイを備え、光路に角度差のあるR光、G光、B光で照明されるLCDの構成を示す図。 DMDを照明する従来の光学系を示す図。
符号の説明
1、2 ブレーズ格子素子
11 透明基材
11a 透明基材表面
11R ダイクロイック膜
12 ブレーズ格子
12a ブレーズ面
13 分離コーティング
13a、13b 偏光分離膜
13B、13G ダイクロイック膜
14 透明材
14a 透明材表面
15 光吸収部材
21、22、23、24、25、26 回折格子素子
31 反射型LCD
32 透過型LCD
33 DMD
34 投射光学系
41 光源
43 偏光板
44 1/4位相板

Claims (4)

  1. 表面に回折格子を有する板状の透明基材と、前記透明基材の回折格子上に設けられ、入射光の特性に応じて入射光を反射しまたは透過させる分離コーティングを備える回折格子素子を含み、
    光を前記回折格子素子によって照明対象物に導いて照明対象物を照明するとともに、照明対象物によって反射された光を前記回折格子素子を透過させて外部に導くことを特徴とする照明光学系。
  2. 前記回折格子素子が前記分離コーティングを挟んで前記透明基材の回折格子に密着した板状の透明材を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明光学系。
  3. 前記分離コーティングが入射光の入射角に応じて入射光を反射しまたは透過させることを特徴とする請求項1または2に記載の照明光学系。
  4. 前記分離コーティングが回転方向の異なる2つの円偏光の一方を反射し他方を透過させるカイラルネマティック液晶層であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明光学系。
JP2008212355A 2008-08-21 2008-08-21 照明光学系 Pending JP2009032698A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008212355A JP2009032698A (ja) 2008-08-21 2008-08-21 照明光学系

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008212355A JP2009032698A (ja) 2008-08-21 2008-08-21 照明光学系

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000197942A Division JP2002014213A (ja) 2000-04-28 2000-06-30 ブレーズ格子素子、回折格子素子および照明光学系

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009032698A true JP2009032698A (ja) 2009-02-12

Family

ID=40402955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008212355A Pending JP2009032698A (ja) 2008-08-21 2008-08-21 照明光学系

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009032698A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013013912A (ja) * 2011-07-01 2013-01-24 Disco Corp レーザー光線照射装置
JP2016157555A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 富士フイルム株式会社 面光源装置および画像表示装置
CN108646423A (zh) * 2018-06-25 2018-10-12 福州大学 偏振分光复用薄膜制作方法及应用其的复用型背光源

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6247005A (ja) * 1985-08-26 1987-02-28 Sumitomo Electric Ind Ltd 波長合波分波用回折格子
JPH05264945A (ja) * 1992-03-23 1993-10-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 液晶波長分波装置
JPH09218407A (ja) * 1995-12-05 1997-08-19 Canon Inc 照明装置、及び該照明装置を備えた液晶装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6247005A (ja) * 1985-08-26 1987-02-28 Sumitomo Electric Ind Ltd 波長合波分波用回折格子
JPH05264945A (ja) * 1992-03-23 1993-10-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 液晶波長分波装置
JPH09218407A (ja) * 1995-12-05 1997-08-19 Canon Inc 照明装置、及び該照明装置を備えた液晶装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013013912A (ja) * 2011-07-01 2013-01-24 Disco Corp レーザー光線照射装置
US9289853B2 (en) 2011-07-01 2016-03-22 Disco Corporation Laser beam applying apparatus
JP2016157555A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 富士フイルム株式会社 面光源装置および画像表示装置
CN108646423A (zh) * 2018-06-25 2018-10-12 福州大学 偏振分光复用薄膜制作方法及应用其的复用型背光源

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6535256B1 (en) Color liquid crystal display device
US7369186B2 (en) Polarizing beam splitter featuring stacked grating layers and display including the same
KR20140081885A (ko) 경사진 이색성 편광 빔 스플리터
JP2010230856A (ja) 偏光変換素子及び偏光照明光学素子並びに液晶プロジェクタ
KR20060049201A (ko) 편광 빔 분할기 및 액정 투사기 장치
CN108351462B (zh) 双重目的的吸收性反射性线栅偏振器
KR20080066966A (ko) 색분리 광학 요소 및 색분리 광학 요소를 이용한 광학시스템
JP2010160444A (ja) 映像投射装置
JP2013250561A (ja) 投写型映像表示装置
US7631972B2 (en) Wavelength-selective polarization conversion element, illumination optical system, projection display optical system, and image projection apparatus
TW201327012A (zh) 反射式液晶投影系統
JP2002014213A (ja) ブレーズ格子素子、回折格子素子および照明光学系
JP2010015126A (ja) 偏光変換素子及び偏光照明光学素子並びに液晶プロジェクタ
JP2010101989A (ja) ディスプレイ装置
JP2009032698A (ja) 照明光学系
JP2003057602A (ja) プロジェクタ
US8827457B2 (en) Projector
JP2010096843A (ja) 全反射プリズムおよび投影装置
JP2011186252A (ja) 偏光変換素子
JP4841154B2 (ja) 偏光変換素子及びこれを用いた投写型表示装置
JP4962405B2 (ja) プロジェクタ
JP2003161916A (ja) 投射型画像表示装置および画像表示システム
JP2010181717A (ja) 偏光照明光学素子
JP5137445B2 (ja) 画像投射装置
JP3019825B2 (ja) 投射型カラー液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110301