JP4811547B2 - 光学活性シクロヘキセン化合物の製造法及びこの製造に用いる光学活性シクロヘキセン誘導体 - Google Patents

光学活性シクロヘキセン化合物の製造法及びこの製造に用いる光学活性シクロヘキセン誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体、及び活性型ビタミンD3誘導体を製造する際の重要な中間体である、光学活性シクロヘキサン化合物、及び光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物の製造法に関する。更に詳しくは、それらを製造するための重要な鍵中間体となる、光学活性シクロヘキセン誘導体、ならびにその光学活性シクロヘキセン誘導体からの光学活性シクロヘキサン化合物、及び光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性型ビタミンD3(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール)は、小腸におけるカルシウム輸送能、骨塩動員能などの生理活性が強く、そのため人の生理機能に重要な役割を果たすことが知られている。
更に、その19−ノル−体には、血中のカルシウムイオン濃度を増加させることなく、腫瘍細胞の増殖抑制を行なうという選択的な生理活性作用が報告されており、腎不全による続発性副甲状腺機能亢進症に対する臨床開発がなされている(Tetrahedron Letters, 31, 1823 (1990)、Tetrahedron Letters, 32, 7663 (1991) 及び Tetrahedron Letters, 33, 2937 (1992) 等)。
【0003】
下記式(8)で示される光学活性シクロヘキサン化合物、及び式(12)で示される光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物は、それぞれ19−ノル−活性型ビタミンD誘導体、及び活性型ビタミンD3誘導体を製造する際の最も重要な中間体の一つであるA環部分前駆体としてよく知られている。
【化13】
Figure 0004811547
〔式中、R′は水素原子又は直鎖若しくは分岐のC1−C4アルキル基を表わす。X及びYは水酸基の保護基を表わす。〕
【0004】
従来、このA環部分前駆体の製造法、特に、式(8)で示される光学活性シクロヘキサン化合物の製造法としては、例えば、スキーム1に示すように、1)Tetrahedron Letters, 39, 3359 (1998) 及び Tetrahedron Letters, 39, 3363 (1998) には、プロピオール酸のアルキルエステルとホモアリリックなエーテルとから11工程で、2)Tetrahedron Letters, 37, 7637 (1996) には、ジエポキシペンタンとプロパルギルエーテルとから5工程でA環部分前駆体の製造法がそれぞれ記載されている。
【化14】
Figure 0004811547
(式中、Bnはベンジル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、MPMはp−メトキシフェニルメチル基、TBDPSはt−ブチルジフェニルシリル基を表わす。)
【0005】
また、式(12)で示される光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物、特にR′が水素原子の場合の光学活性メチレンシクロヘキサン化合物の製造法としては、例えば、スキーム2に示すように、1)Tetrahedron Letters, 31, 1577 (1990) には、シクロヘキセンジカルボン酸モノエステルから16工程でA環部分前駆体のZ体の製造法が、2)J. Org. Chem., 55, 3967 (1990) には、バイサイクリックラクトンから9工程でA環部分前駆体のZ体とE体の混合物の製造法が、3)J. Org. Chem., 58, 2523 (1993) には、ブロムアクロレインから11工程でA環部分前駆体のZ体の製造法が、4)Tetrahedron Letters, 38, 4713 (1997) には、(S)−カルボンから10工程でA環部分前駆体のE体の製造法がそれぞれ記載されている。
【化15】
Figure 0004811547
(式中、Tsはp−トルエンスルホニル基、Phはフェニル基、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表す)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のスキーム1及びスキーム2等に記載されている製造法は、いずれも出発物質からの工程数が長いものや、全工程のトータル収率が低い等の課題を抱えており、より実用的な製造法が望まれている。そして、更に現在もA環部分前駆体の効率的な製造法を目指して研究が盛んに行なわれているのが現状である。
本発明は、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体、及び活性型ビタミンD3誘導体を製造する際の重要な中間体である、A環部分前駆体、即ち式(8)の光学活性シクロヘキサン化合物及び式(12)の光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物の有用な製造法、並びにこれら化合物を得るのに有用な新規中間体である光学活性シクロヘキセン誘導体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、式(1)で示される光学活性シクロヘキセン化合物、式(2)で示される光学活性シクロヘキセノン化合物、式(3)で示される光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物、及び式(4)で示される光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物が、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体、及び活性型ビタミンD3誘導体の製造の際のA環部分前駆体の重要な鍵中間体となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
に、本発明は、式(3)
【化18】
Figure 0004811547
〔式中、Rは水素原子を表わす。Xは水酸基の保護基を表わす。〕
で表わされる光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物又はその鏡像体に関する。
【0011】
に、本発明は、式(4)
【化19】
Figure 0004811547
〔式中、Rは水素原子を表わす。R″は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル基を表わす。Xは水酸基の保護基を表わす。〕
で表わされる光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物又はその鏡像体に関する。
【0012】
に、本発明は、式(5)
【化20】
Figure 0004811547
〔式中、R″は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル基を表わす。Xは水酸基の保護基を表わす。〕
で示される光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物のエポキシドを還元して、式(6)
【化21】
Figure 0004811547
〔式中、R″及びXは前記に同じ。〕
で表わされるヒドロキシ体とし、次いで水酸基を保護基で保護し、式(7)
【化22】
Figure 0004811547
〔式中、R″及びXは前記に同じ。Yは水酸基の保護基を表わす。〕
で表わされるシクロヘキサン不飽和エステル体とし、更にエステル基を還元することを特徴とする、式(8)
【化23】
Figure 0004811547
〔式中、X及びYは前記に同じ。〕
で表わされる光学活性シクロヘキサン化合物の製造法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳細に本発明を説明する。
本明細書における各語句について説明する。
本明細書中、「n」はノルマルを、「i」はイソを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを、「c」はシクロを、「p」はパラを、「o」はオルトを意味する。
【0015】
置換基Rは、水素原子、又は、−CH2R′基(R′は水素原子又は直鎖若しくは分岐のC1−C4アルキル基(該アルキル基は、フッ素原子で任意に置換されていてもよい。)を表わす。)を表わす。
直鎖若しくは分岐のC1−C4アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、c−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、c−ブチル、1−メチル−c−プロピル、2−メチル−c−プロピル等が挙げられる。
置換基Rとして好ましくは、水素原子、メチル及びエチル等が挙げられる。
【0016】
置換基R′は、水素原子、又は、直鎖若しくは分岐のC1−C4アルキル基(該アルキル基は、フッ素原子で任意に置換されていてもよい。)を表わす。
置換基R′として好ましくは、水素原子、メチル及びエチル等が挙げられる。
【0017】
置換基R″は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル基を表わす。
直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、c−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、c−ブチル、1−メチル−c−プロピル、2−メチル−c−プロピル、n−ペンチル、1−メチル−n−ブチル、2−メチル−n−ブチル、3−メチル−n−ブチル、1,1−ジメチル−n−プロピル、1,2−ジメチル−n−プロピル、2,2−ジメチル−n−プロピル、1−エチル−n−プロピル、c−ペンチル、1−メチル−c−ブチル、2−メチル−c−ブチル、3−メチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−プロピル、2,3−ジメチル−c−プロピル、1−エチル−c−プロピル、2−エチル−c−プロピル、n−ヘキシル、1−メチル−n−ペンチル、2−メチル−n−ペンチル、3−メチル−n−ペンチル、4−メチル−n−ペンチル、1,1−ジメチル−n−ブチル、1,2−ジメチル−n−ブチル、1,3−ジメチル−n−ブチル、2,2−ジメチル−n−ブチル、2,3−ジメチル−n−ブチル、3,3−ジメチル−n−ブチル、1−エチル−n−ブチル、2−エチル−n−ブチル、1,1,2−トリメチル−n−プロピル、1,2,2−トリメチル−n−プロピル、1−エチル−1−メチル−n−プロピル、1−エチル−2−メチル−n−プロピル、c−ヘキシル、1−メチル−c−ペンチル、2−メチル−c−ペンチル、3−メチル−c−ペンチル、1−エチル−c−ブチル、2−エチル−c−ブチル、3−エチル−c−ブチル、1,2−ジメチル−c−ブチル、1,3−ジメチル−c−ブチル、2,2−ジメチル−c−ブチル、2,3−ジメチル−c−ブチル、2,4−ジメチル−c−ブチル、3,3−ジメチル−c−ブチル、1−n−プロピル−c−プロピル、2−n−プロピル−c−プロピル、1−i−プロピル−c−プロピル、2−i−プロピル−c−プロピル、1,2,2−トリメチル−c−プロピル、1,2,3−トリメチル−c−プロピル、2,2,3−トリメチル−c−プロピル、1−エチル−2−メチル−c−プロピル、2−エチル−1−メチル−c−プロピル、2−エチル−2−メチル−c−プロピル及び2−エチル−3−メチル−c−プロピル等が挙げられる。
置換基R″として好ましくは、メチル、エチル及びt−ブチル等が挙げられる。
【0018】
置換基X及びYは水酸基の保護基を表わす。
水酸基の保護基としては、例えば、C1−C7アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、プロピオニル、ピバロイル及びチグロイル等が挙げられる)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ベンゾイルホルミル、ベンゾイルプロピオニル、フェニルプロピオニル等が挙げられる)、C1−C4アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等が挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等が挙げられる)、C1−C4アルキルアミノカルボニル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n-プロピルカルバモイル等が挙げられる)、アリールアミノカルボニル基(例えば、フェニルカルバモイル等が挙げられる)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジ−t−ブチルメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、テキシルジメチルシリル等が挙げられる)、トリアルキルアリールシリル基(例えば、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、t−ブチルジメトキシフェニルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる)等が挙げられる。
【0019】
置換基Xとして好ましくは、C1−C7アシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基及びトリアルキルアリールシリル基等が挙げられ、特に好ましくは、トリアルキルシリル基及びトリアルキルアリールシリル基等が挙げられる。
【0020】
置換基Yとして好ましくは、C1−C7アシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基及びトリアルキルアリールシリル基等が挙げられ、特に好ましくは、トリアルキルシリル基及びトリアルキルアリールシリル基等が挙げられる。
【0021】
本発明に係る化合物の製造に用いられる反応溶媒としては、当該反応条件下において安定であり、かつ不活性で反応を妨げないものが望ましい。かかる溶媒としては、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールやオクタノール等)、セロソルブ類(例えばメトキシエタノールやエトキシエタノール等)、非プロトン性極性有機溶媒類(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドンやN,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランやジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、c−ヘキサン、オクタン、デカン、デカリンや石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンやテトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンや四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンやメチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルやプロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタンやジエトキシエタン等)及びニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリルやブチロニトリル等)等の溶媒が挙げられる。
これらの溶媒は反応の起こりやすさに従って適宜選択され、単一又は混合して用いられる。また場合によっては適当な脱水剤や乾燥剤を用いて非水溶媒として用いられる。
以上述べた溶媒は本発明を実施する際の一例であって、本発明はこれらの条件に限定されるものではない。
【0022】
まず、式(1)の光学活性シクロヘキセン化合物の製造法について説明する。
上記化合物(1)は従来知られていない新規な化合物であり、例えば化合物(R′=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)は下記スキーム3に示す2通りの方法により製造することが出来る。
【化28】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Meはメチル基を表わす。)
【0023】
即ち、1)の方法は、光学活性エピクロルヒドリンを原料として、ビニルグリニャール試薬を反応させた後、シアノ化し、水酸基をシリル化して、シアノペンテン体とし、シアノ基をアルデヒドへ還元した後、更にメチルビニルグリニャール試薬を反応させて、ジエン体とし、最後に閉環メタセシス反応を行なうことにより製造することが出来る。
最初のビニルグリニャール試薬の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エステル系及びニトリル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なビニル付加体化合物を単離することができる。
【0024】
次反応のシアノ化剤としては、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅及びシアン化亜鉛等が挙げられ、好ましくはシアン化ナトリウム及びシアン化カリウム等である。
シアノ化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なシアノ化体を単離することができる。
【0025】
次反応のシリル化剤としては、トリメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、ジフェニル−t−ブチルシリルクロライド等が挙げられる。
シリル化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応系に、反応を促進させるために、塩基を共存させることもでき、塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、DBU、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、ルチジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、好ましくは、イミダゾールが挙げられる。
塩基の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水及びアルコール系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なシアノペンテン体を単離することができる。
【0026】
次に、シアノ基からアルデヒドへの還元試剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、カテコールアラン及びラネーニッケル等が挙げられ、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウムである。
上記還元試剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、ケトン系、エステル系及びニトリル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なアルデヒド体を単離することができる。
【0027】
次工程のメチルビニルグリニャール試薬の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エステル系及びニトリル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なジエン体を単離することができる。
【0028】
最後の閉環メタセシス反応は、ルテニウムカルベン錯体やモリブデンカルベン錯体を触媒として分子内の二重結合同士の環形成反応であり、錯体触媒としては下記化合物が挙げられる。
【化29】
Figure 0004811547
(式中、Cyはシクロヘキシル基、Phはフェニル基、Priはイソプロピル基を表わす。)
上記錯体触媒の使用量は、通常は基質に対して、0.1−1000モル%の範囲、好ましくは、1.0−100モル%の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性シクロヘキセン化合物を単離することができる。
【0029】
更に、2)の方法は、光学活性シクロヘキセノン化合物を原料として、ヨウ素化した後、ケトンを還元してヨードオキシ体とし、最後にヨウ素をメチル基で置換することにより製造することが出来る。
まず、ヨウ素化反応のヨウ素の使用量は、通常は基質に対して、0.8−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−5.0モル倍の範囲が望ましい。
上記ヨウ素化反応は、反応を促進させるために、塩基を共存させることもでき、塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、DBU、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、ルチジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、好ましくは、ピリジンが挙げられる。
塩基の使用量は、基質に対して、0.1−10モル倍の範囲、好ましくは、0.5−5.0モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なヨードエノン化合物を単離することができる。
【0030】
次に、ケトンの還元剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムナトリウム等が挙げられ、好ましくは、水素化ホウ素ナトリウムである。
還元剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、ケトン系、エステル系及びニトリル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なヨードオキシ体を単離することができる。
【0031】
最後に、メチル化反応のメチル化剤としては、メチルリチウム、メチルグリニャール試薬及びジメチルカッパーリチウム等が挙げられる。
メチル化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エステル系及びニトリル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性シクロヘキセン化合物を単離することができる。
【0032】
ここで、2)の方法の原料となる光学活性シクロヘキセノン化合物は、スキーム4に示すようにTetrahedron Letters, 38, 8299 (1997)、及びJ. Am. Chem. Soc., 121, 3640 (1999) に記載の方法にしたがって製造することができる。
【化30】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基、Priはイソプロピル基を表わす。)
即ち、光学活性クロルヒドリンエステルをヨウ素化して、ヨードヒドリン体とし、次いで水酸基をシリル化して、シロキシ体とし、更にビニルグリニャール試薬を反応させてホモアリルエーテル体10とし、最後にTiで環化することにより製造することができる。
【0033】
次に、式(2)の光学活性シクロヘキセノン化合物の製造法について説明する。
上記化合物(2)も従来知られていない化合物であり、例えば、化合物11(R′=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)は、光学活性シクロヘキセン化合物の水酸基を適当な酸化剤で酸化することにより製造することが出来る。
【化31】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
酸化剤としては、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸類、二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、クロム酸、クロム酸−ピリジン錯体、オギザリルクロリド−DMSO(スワーン酸化)、塩素、臭素、過塩素酸等が挙げられ、好ましくは、オギザリルクロリド−DMSO(スワーン酸化)である。
酸化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.8−50モル倍の範囲、好ましくは、1.0−20モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性シクロヘキセノン化合物11を単離することができる。
【0034】
次に、式(3)の光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物の製造法について説明する。
上記化合物(3)も従来知られていない化合物であり、例えば、化合物12(R=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)は、光学活性シクロヘキセノン化合物を、化合物13(R=メチル基、X=t−ブチルジメチルシリル基)は、光学活性シクロヘキセノン化合物11を、それぞれ適当な酸化剤で酸化することにより製造することが出来る。
【化32】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
酸化剤としては、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸類、過酸化水素及び酸素等が挙げられ、好ましくは、過酸化水素である。
酸化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.8−50モル倍の範囲、好ましくは、1.0−20モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物12あるいは13を単離することができる。
【0035】
次に、式(4)の光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物の製造法について説明する。
上記化合物(4)も従来知られていない化合物であり、例えば、化合物14(R=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)は、光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物12に、化合物15(R=メチル基、X=t−ブチルジメチルシリル基)は同じく、光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物13に、それぞれオレフィン化エステル導入反応を行なうことにより製造することが出来る。
【化33】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
ケトンへのオレフィン化エステル導入反応としては、ウィティッヒ反応、ホーナー・エモンズ反応、α−シリル酢酸エステル類又はα−チオ酢酸エステル類と塩基による反応、α−ブロモ酢酸エステル類と亜鉛による反応等が挙げられ、好ましくは、ホーナー・エモンズ反応である。
ホーナー・エモンズ反応の反応試剤としては、ジメチルホスホノ酢酸メチルエステル、ジメチルホスホノ酢酸エチルエステル、ジエチルホスホノ酢酸メチルエステル、ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル、ジイソプロピルホスホノ酢酸メチルエステル、ジイソプロピルホスホノ酢酸エチルエステル等が挙げられ、好ましくはジエチルホスホノ酢酸エチルエステルである。
ホーナー・エモンズ試剤の使用量は、通常は基質に対して、0.8−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−5.0モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、ケトン系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物14あるいは15を単離することができる。
【0036】
次に、式(8)の光学活性シクロヘキサン化合物、及び式(12)の光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物の製造法についてそれぞれ説明する。
まず、式(8)の光学活性シクロヘキサン化合物は、上記方法で得られる式(5)の光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物(例えば化合物14;X=t−ブチルジメチルシリル基)のエポキシドを還元して、式(6)のヒドロキシル体(例えば化合物16;X=t−ブチルジメチルシリル基)とする。
【化34】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
エポキシドの還元剤としては、例えば、ギ酸、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリブチルスズ、水素化トリエチルホウ素リチウム、ポリメチルヒドロシロキサン等が挙げられ、好ましくはギ酸である。
還元剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
上記還元反応は、α,β−不飽和エステル存在下での反応の選択性を向上させるために、Pd化合物あるいはNi化合物等を触媒として共存させることができる。
Pd化合物としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジベンジリデンアセトンパラジウム及び塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)等が挙げられる。
Ni化合物としては、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)及び塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)等が挙げられる。
上記Pd化合物あるいはNi化合物等の使用量は、通常は基質に対して、0.1−1000モル%の範囲、好ましくは、1.0−100モル%の範囲が望ましい。
また、触媒として使用した場合、反応を促進させるために、反応系に触媒に配位するリン化合物を共存させることができる。
リン化合物としては、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン等のホスフィン類、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト類が挙げられ、好ましくはトリ−n−ブチルホスフィンである。
リン化合物の使用量は、触媒の量に対して、0.1−10モル倍の範囲、好ましくは0.5−5モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なヒドロキシル体16を単離することができる。
【0037】
次いで、得られる式(6)のヒドロキシル体(例えば化合物16;X=t−ブチルジメチルシリル基)の水酸基を適当な保護基で保護して、式(7)のシクロヘキサン不飽和エステル体(例えば化合物17;X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)を合成する。
【化35】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
水酸基の保護試剤としては、アシル化剤、オキシカルボニル化剤、アミノカルボニル化剤、及びシリル化剤等が挙げられ、好ましくはシリル化剤である。
シリル化剤としては、トリメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、ジフェニル−t−ブチルシリルクロライド等が挙げられる。
シリル化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応系に、反応を促進させるために、塩基を共存させることもでき、塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、DBU、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、ルチジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、好ましくは、イミダゾールが挙げられる。
塩基の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水及びアルコール系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なシクロヘキサン不飽和エステル体17を単離することができる。
【0038】
最後に、式(7)のシクロヘキサン不飽和エステル体(例えば化合物17;X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)のエステル基を還元することにより、式(8)の光学活性シクロヘキサン化合物(例えば化合物18;X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)を製造することができる。
【化36】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
エステルの還元剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムナトリウム等が挙げられ、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
還元剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、ケトン系及びエステル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性シクロヘキサン化合物18を単離することができる。
【0039】
また、式(12)の光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物は、式(9)の光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物(例えば化合物15;R′=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)のエポキシドを異性化して、式(10)のヒドロキシル体(例えば化合物19;R′=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)とする。
【化37】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
エポキシドの異性化を促進させるために、反応系にPd化合物、Ni化合物、ブレンステッド酸、及びルイス酸等を触媒として共存させることができる。
Pd化合物としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジベンジリデンアセトンパラジウム及び塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)等が挙げられる。
Ni化合物としては、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)及び塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)等が挙げられる。
上記Pd化合物あるいはNi化合物等の使用量は、通常は基質に対して、0.1−1000モル%の範囲、好ましくは、1.0−100モル%の範囲が望ましい。
また、触媒として使用した場合、反応を促進させるために、反応系に触媒に配位するリン化合物を共存させることができる。
リン化合物としては、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン等のホスフィン類、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト類が挙げられ、好ましくはトリ−n−ブチルホスフィンである。
リン化合物の使用量は、触媒の量に対して、0.1−10モル倍の範囲、好ましくは0.5−5モル倍の範囲が望ましい。
ブレンステッド酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。
ブレンステッド酸の使用量は、通常は基質に対して、0.1−1000モル%の範囲、好ましくは、1.0−100モル%の範囲が望ましい。
ルイス酸としては、塩化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、ジエトキシアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウム 2,2,6,6−テトラメチルピペラジド、四塩化チタン、イソプロポキシチタントリクロライド、ジイソプロポキシチタンジクロライド、トリイソプロポキシチタンクロライド、テトライソプロポキシチタン等が挙げられる。
ルイス酸の使用量は、通常は基質に対して、0.1−1000モル%の範囲、好ましくは、1.0−100モル%の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なヒドロキシル体19を単離することができる。
【0040】
次いで、得られる式(10)のヒドロキシル体(例えば化合物19;R′=水素原子、X=t−ブチルジメチルシリル基)の水酸基を適当な保護基で保護して、式(11)のアルキレンシクロヘキサン不飽和エステル体(例えば化合物20;R′=水素原子、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)を合成する。
【化38】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
水酸基の保護試剤としては、アシル化剤、オキシカルボニル化剤、アミノカルボニル化剤、及びシリル化剤等が挙げられ、好ましくはシリル化剤である。
シリル化剤としては、トリメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、ジフェニル−t−ブチルシリルクロライド等が挙げられる。
シリル化剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応系に、反応を促進させるために、塩基を共存させることもでき、塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、DBU、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、ルチジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン類、イミダゾール、ピラゾールが挙げられ、好ましくは、イミダゾールが挙げられる。
塩基の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水及びアルコール系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−50℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋なアルキレンシクロヘキサン不飽和エステル体20を単離することができる。
【0041】
最後に、式(11)のアルキレンシクロヘキサン不飽和エステル体(例えば化合物20;R′=水素原子、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)のエステル基を還元することにより、式(12)の光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物(例えば化合物21;R′=水素原子、X=Y=t−ブチルジメチルシリル基)を製造することができる。
【化39】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
エステルの還元剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムナトリウム等が挙げられ、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
還元剤の使用量は、通常は基質に対して、0.5−20モル倍の範囲、好ましくは、1.0−10モル倍の範囲が望ましい。
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、上記した溶媒のうち、水、ケトン系及びエステル系溶媒以外の溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常−100℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好ましくは−80℃から50℃の範囲で行うのがよい。
反応時間は、通常0.1−1000時間である。
反応終了後は、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗物を得ることができる。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法による精製を行なうことで、純粋な光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物21を単離することができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
実施例1 シアノペンテン体の合成
【化40】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
シアン化銅(180mg,2.0mmol)のTHF(20mL)懸濁液を−20℃に冷却後、ビニルマグネシウムブロマイド(0.725M/THF液,83mL,58mmol)を加え、更に、エピクロルヒドリン(3.13mL,40mmol)を同温度で滴下した。
反応液を1時間かけて0℃に昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)を注意深く加えた。
反応液をエーテル(40mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られたビニル付加体粗生成物はそのまま次の反応に用いた。
得られた粗生成物とシアン化カリウム(3.38g)とメタノール(80mL)の混合液を5時間加熱還流下撹拌した。
室温まで冷却後、ロータリーエバポレータで減圧下メタノールを留去した。
残渣に酢酸エチル(40mL)を加え、不溶物をセライトで濾過した後、濾液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を減圧下濃縮して得られたシアノ化体粗生成物はそのまま次の反応に用いた。
得られた粗生成物とイミダゾール(6.81g,100mmol)のジメチルホルムアミド(50mL)溶液を0℃に冷却後、t−ブチルジメチルシリルクロライド(6.64g,44mmol)を加え、その反応液を室温まで昇温して終夜で攪拌した。
飽和重曹水(40mL)を注意深く加えた後、エーテル(30mL)で2回抽出した。有機層を更に飽和重曹水(40mL)で洗浄した後、乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1−シアノ−2−シロキシ−4−ペンテンをエピクロルヒドリンから収率93%(8.33g)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.69-5.86 (m, 1H), 5.09-5.20 (m, 2H), 4.00 (quintet, J=6.0Hz, 1H), 2.48 (dd, J=5.4, 16.8Hz,1H), 2.41 (dd, J=6.3, 16.8Hz,1H), 2.34 (ddt, J=5.7, 7.2, 0.9Hz,2H), 0.90 (s, 9H), 0.12 and 0.09 (2s, each 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 132.6, 118.7, 117.5, 67.8, 41.4, 25.6, 25.4, 17.9, -4.6, -4.8.
IR (neat) 3079, 2930, 2857, 2251, 1642, 1363,1256, 1101, 838, 778 cm-1.
[α]D 25 +11.1 (c 1.00, CHCl3)
【0044】
実施例2 ジエン体の合成
【化41】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
1−シアノ−2−シロキシ−4−ペンテン(1.12g,5.0mmol)のエーテル(10mL)溶液を−20℃に冷却後、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.04M/ヘキサン液,5.77mL,6.0mmol)を同温度で滴下しそのまま30分間撹拌した。
反応液を3M塩酸(10mL)と氷(約10g)とヘキサン(20mL)の混合液の中に撹拌しながらゆっくりと加えた。
有機層を分液した後、水層をエーテル(20mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和重曹水(20mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られたアルデヒド体粗生成物はそのまま次の反応に用いた。
イソプロペニルマグネシウムブロマイド(10.0mmol)のTHF溶液に、得られた粗生成物のTHF(5mL)溶液を0℃で加えた。
その反応液を室温まで昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、エーテル(15mL)で2回抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ジエン体をシアノペンテン体から収率79%(1.05g)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.68-5.86 (m, 1H), 4.75-5.18 (m, 2H), 4.14-4.36 (m, 1H), 3.94-4.08 (m, 1H), 3.13 and 3.03 (2s, J =1.5 and 2.7Hz, total 1H), 2.23-2.40 (m, 2H), 1.60-1.75 (m, 2H), 0.91 and 0.90 (2s, total 9H), 0.13, 0.12, 0.10 and 0.09 (4s, total 6H).
13C NMR (CDCl3, 75 MHz) δ 147.6/147.1, 134.4/133.9, 117.6/117.4, 110.4/109.8, 74.7/72.5, 71.9/70.5, 42.6/41.5, 41.3/40.4, 25.9/25.8, 18.4/18.1, -3.9/-4.3, -4.6/-4.7.
IR (neat) 3431, 3075, 2929, 1725, 1642, 1472, 1255, 1078, 835 cm-1.
【0045】
実施例3 光学活性シクロヘキセン化合物の合成
【化42】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
ベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−ジクロロルテニウム(Grubbs Ru-catalyst,41.1mg,0.05mmol)の塩化メチレン(2mL)溶液に、ジエン体(811mg,3.0mmol)の塩化メチレン(1mL)溶液を室温で加え、そのまま4時間撹拌した。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、光学活性2−メチル−5−シロキシ−2−シクロヘキセノールを収率68%(494mg)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.07 and 0.08 (2s, each 3H), 0.88 (s, 9H), 1.81 (s, 3H), 1.82 (ddd, J=2.1, 4.8, 15.9Hz, 1H), 2.04-2.20 (m, 1H), 3.22 (d, J=10.2 Hz, 1H), 3.81-3.90 (m, 1H), 4.17-4.25 (m, 1H), 5.33 (br s, 1H);
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ -5.0, -4.8, 18.1, 21.0, 25.9, 34.3, 37.5, 66.6, 68.0, 119.0, 136.2.
【0046】
実施例4 ヨードオキシ体の合成
【化43】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
氷冷した光学活性5−シロキシ−2−シクロへキセノン(2.26g,10mmol)とピリジン(1.6mL,20mmol)の塩化メチレン(70mL)溶液に、ヨウ素(5.08g,20mmol)を加えた。
反応液を室温まで昇温し、12時間攪拌した後、水(50mL)と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(40mL)を加えた。
反応液を塩化メチレン(50mL)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られたヨードエノン粗生成物はそのまま次の反応に用いた。
得られた粗生成物をメタノール(10mL)で溶解した後、これに塩化セリウム7水塩(4.47g,12mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(454mg,12mmol)を−78℃で加えた。
その後、反応混合物を2時間かけて0℃まで昇温した後、水(40mL)を加えた。
エーテル(30mL)で2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ヨードオキシ体を5−シロキシ−2−シクロヘキセノンから収率80%(2.83g)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.07 and 0.09 (2s, each 3H), 0.88 (s, 9H), 2.03 (dd, J=5.1, 13.8Hz, 1H), 2.12-2.35 (m, 3H), 3.50 (d, J=10.2Hz, 1H), 4.07-4.17 (m, 1H), 4.24-4.32 (m, 1H), 6.32 (br s, 1H);
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ -4.7, -4.5, 18.4, 26.1, 38.1, 38.4, 65.6, 72.7, 103.0, 135.1.
【0047】
実施例5 光学活性シクロヘキセン化合物の合成
【化44】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
氷冷したヨウ化第一銅(6.48g,34mmol)とエーテル(60mL)の混合液に、メチルリチウム(1.14M/エーテル溶液,60mL,68.4mmol)を加えた。
0℃で15分間撹拌した後、ヨードオキシ体(3.0g,8.5mmol)のエーテル(10mL)溶液を同温度で加えた。
反応液は更に室温で1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を注意深く加えた。
有機層を分液後、水層をエーテル(30mL)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性シクロヘキセン化合物を収率80%(1.65g)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.07 and 0.08 (2s, each 3H), 0.88 (s, 9H), 1.81 (s, 3H), 1.82 (ddd, J=2.1, 4.8, 15.9Hz, 1H), 2.04-2.20 (m, 1H), 3.22 (d, J=10.2Hz, 1H), 3.81-3.90 (m, 1H), 4.17-4.25 (m, 1H), 5.33 (br s, 1H);
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ -5.0, -4.8, 18.1, 21.0, 25.9, 34.3, 37.5, 66.6, 68.0, 119.0, 136.2.
【0048】
実施例6 光学活性シクロヘキセノン化合物11の合成
【化45】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
−50℃に冷却したオギザリルクロライド(0.6mL,6.82mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液に、DMSO(0.48mL)と光学活性シクロヘキセン化合物(1.5g,6.2mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液をそれぞれ同温度で加えた。
室温まで昇温し15分間撹拌した後、再び−50℃まで冷却しトリエチルアミン(3.78mL)を滴下した。
反応液を1時間かけて室温まで昇温し、水(40mL)を加えた後分液した。
有機層を水(40mL)で洗浄した後、水層を更にヘキサン(20mL)で抽出した。
合わせた有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、光学活性シクロヘキセノン化合物11を定量的(1.49g)に得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.04 (s, 6H), 0.85 (s, 9H), 1.75 (br s, 3H), 2.26-2.40 (m, 1H), 2.44 (dd, J=10.5, 15.9Hz, 1H), 2.47-2.60 (m, 1H), 2.66 (ddd, J=1.2, 4.2, 15.9Hz, 1H), 4.08-4.20 (m, 1H), 6.60 (br s, 1H);
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ -4.7, -4.6, 15.7, 18.1, 25.8, 36.0, 48.2, 67.9, 136.0, 141.8, 198.4;
IR (neat) 2929, 2857, 1680, 1472, 1361, 1255, 1107, 1006, 985, 867, 836, 777, 663 cm-1.
【0049】
実施例7 光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物12の合成
【化46】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
氷冷した光学活性5−シロキシ−2−シクロへキセノン(226mg,1.0mmol)と35%過酸化水素水(0.8mL,10mmol)の混合液に、メタノール(38mL)及び3mol/L水酸化ナトリウム水溶液(33mL,0.1mmol)を加えた。氷冷下で6時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)を加えた。
反応液をエーテル(5mL)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサノン12を収率83%(204mg)で得た。
1H NMR及びGC分析から立体異性体比は>95:<5であった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 4.22−4.33 (m, 1H, CHOSi), 3.54−3.59 (m, 1H, CH2CHO), 3.26 (d, J=3.9Hz, 1H, C(=O)CHO), 2.77 (dd, J=3.0, 15.3Hz,1H, one of CH2C(=O)), 2.39 (dd, J=4.2, 15.3Hz,1H, one of CH2), 2.19 (dd, J=4.2, 15.3Hz,1H, one of CH2C(=O)), 2.00 (dt, J=15.3, 3.3Hz,1H, one of CH2), 0.85 (s, 9H, t−Bu), 0.04 and 0.03 (2s, 6H, 2SiCH3).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 204.8, 67.3, 55.4, 54.7,44.9, 32.9, 25.5, 17.8, -5.0, -5.1.
IR (neat) 2929, 2888, 2857, 1726, 1472,1406, 1361, 1331, 1255, 1075,1031, 985, 935, 871, 837, 778, 715 cm-1.
【0050】
実施例8 光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物14の合成
【化47】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基を表わす。)
氷冷した水素化ナトリウム(50%/oil,63mg,1.3mmol)のTHF(1.5mL)縣濁液に、ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル(0.28mL,1.4mmol)を加えた後、1時間かけて室温まで昇温した。
再び氷冷した後、5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサノン12(242mg,1.0mmol)のTHF(0.8mL)溶液を加え、得られた溶液を1.5時間攪拌した。
約2M塩化アンモニウム水溶液(3mL)を加えて反応を停止した後、エーテル抽出(5mL)を3回、続いて乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1−(エトキシカルボニル)メチリデン−5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサン14をE体及びZ体の混合物として収率90%(281mg)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.09 and 5.93 (2s, 1H, CH=C), 4.78 (d, J=3.9Hz, 1H, OHC=C),
4.07-4.27 (m, 2H, OCH2CH3), 3.92-4.03 (m, 1H, CHOSi), 3.40-3.48 (m, 1H, CH2CHO(epoxide)),3.37 (d, J=3.6Hz, 1H, OHCC=C), 2.97 (dd, J=7.2, 16.5Hz,one of allylic CH2), 2.76 (dt, J=16.5, 2.7Hz, 1H, one of allylic CH2), 2.50 (s, J=14.7Hz, 1H, one of allylic CH2), 2.20-2.36 (m, 1H, one of CH2), 2.06 (dd, J=6.6, 14.7Hz, 1H, one of allylic CH2), 1.76-1.91 (m, 1H, one of CH2), 1.27 and 1.26 (2t, J=7.2 and 7.2Hz, 3H, CH2CH3), 0.83 (s, 9H, t-Bu), 0.02 and 0.01 (2s, 6H, 2SiCH3).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 165.4/165.2, 152.4/151.9, 123.0/121.9, 65.4/64.9, 60.1/59.9, 56.0/54.9, 54.6/49.9, 39.7/33.8, 33.4, 25.8, 18.0, 14.3, -4.6, -4.7, -4.8, -4.9.
IR (neat) 2955, 2856, 1717, 1650, 1471,1386, 1256, 1153, 1093, 1040, 870, 835, 778 cm-1.
【0051】
実施例9 ヒドロキシル体16の合成
【化48】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基を表わす。)
Pd2(dba)3−CHCl3(26.4 mg,0.025mmol)のジオキサン(3mL)溶液に、トリブチルホスフィン(12.5mL,0.05mmol)、蟻酸(0.2mL)及びトリエチルアミン(0.28mL)を加え、室温で10分間攪拌した。
これに、1−(エトキシカルボニル)メチリデン−5−シロキシ−2,3−エポキシシクロヘキサン14(312mg,1.0mmol)のジオキサン(3mL)溶液を加え、40℃で1時間攪拌した後、反応液を短いシリカゲルカラムに供し、ヘキサンとエーテル混合液を用いてろ過した。
ろ液を減圧下濃縮して得られた、1−(エトキシカルボニル)メチリデン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサン16の粗生成物(E体及びZ体の混合物)のジオキサン混合液をそのまま次の反応に用いた。
粗生成物の一部をカラムクロマトグラフィーにより精製したものを用いて以下のスペクトルデータを得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.76 (s, 1H, CH=C), 4.08-4.28 (m, 4H, 2CHOSi and OCH2CH3), 2.98-3.16 (m, 1H, one of allylic CH2), 2.78-2.90 (m, 1H, one of allylic CH2), 2.37-2.57 (m, 1H, one of allylic CH2), 2.18 (dd, J=7.5, 12.6Hz, 1H, one of allylic CH2), 1.85-1.98 (m, 1H, one of CH2), 1.70-1.83 (mn, 1H, one of CH2), 1.64 (br s, 1H, OH), 1.23-1.31 (m, 3H, CH2CH3), 0.85 and 0.87 (2s, 9H, t-Bu), 0.05 and 0.06 (2s, 6H, 2SiCH3).
【0052】
実施例10 シクロヘキサン不飽和エステル体17の合成
【化49】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基を表わす。)
実施例9で得られた1−(エトキシカルボニル)メチリデン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサン16の粗生成物(E体及びZ体の混合物)のジオキサン混合液に、ジメチルホルムアミド(5mL)、イミダゾール(204mg,3.0mmol)及びt−ブチルジメチルシリルクロライド(226mg,1.5mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。
飽和重曹水(15mL)を加えた後、ヘキサン(8mL)で3回抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3,5−ジシロキシ−1−(エトキシカルボニル)メチリデンシクロヘキサン17を収率88%(377mg)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.70 (s, 1H, vinylic), 4.05-4.20 (m, 4H, CHO and CH2CH3), 3.05 (dd, J=6.3, 13.5Hz, 1H, allylic), 2.78 (dd, J=3.3, 13.5Hz, 1H, allylic), 2.38 (dd, J=3.9, 12.9Hz, 1H, allylic), 2.15 (dd, J=8.1, 12.9Hz, 1H, allylic), 1.80 (ddd, J=3.6, 6.0, 12.6Hz, 1H, CH2), 1.70 (ddd, J=3.3, 8.1, 12.6Hz, 1H, CH2), 1.26 (t, J=7.2Hz, 3H, CH2CH3), 0.87 and 0.84 (2s, each 9H, t-Bu), 0.04 (s, 12H, SiCH3).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 166.2, 156.5, 117.3, 68.0, 67.9, 59.6, 46.1, 43.2, 37.5, 25.9, 25.8, 18.1, 14.4, -4.67, -4.71, -4.9, -5.0.
IR (neat) 2953, 2857, 1719, 1654, 1472,1379, 1253, 1154, 1092, 1047,1024, 916, 835, 776 cm-1.
【0053】
実施例11 光学活性シクロヘキサン化合物18の合成
【化50】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基を表わす。)
3,5−ジシロキシ−1−(エトキシカルボニル)メチリデンシクロヘキサン17(56mg,0.13mmol)のトルエン溶液(3mL)を、−78℃に冷却後、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.02M/ヘキサン液,0.4mL,0.4mmol)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。
2時間撹拌後、少量のメタノールと水を−78℃で加え、反応をクエンチした。更にフッ化ナトリウムを加え、反応液をセライト濾過した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3,5−ジシロキシ−1−ヒドロキシエチリデンシクロヘキサン18を収率82%(41mg)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.60 (t, J = 7.2Hz, vinylic), 3.95-4.20 (m, 4H, CHO and CH2O), 2.25-2.40 (m, 2H), 2.18 (dd, J=3.3, 13.2Hz, 1H, allylic), 2.05 (dd, J=8.1, 13.2Hz, 1H, allylic), 1.75-1.86 (m, 1H), 1.69 (br s, 1H, OH), 1.63 (dd, J=3.0, 9.0Hz, 1H, CH2), 0.87 (s, 18H, t-Bu), 0.06 (s, 6H, SiCH3), 0.05 and 0.04 (2s, each 3H, SiCH3).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 138.2, 125.2, 68.1, 67.9, 58.4, 45.6, 43.4, 36.6, 25.9, 18.2, -4.57, -4.66, -4.70, -4.74.
IR (neat) 3367, 2928, 2856, 1654, 1472,1361, 1253, 1109, 1084, 1082,835, 774 cm-1.
【0054】
実施例12 光学活性メチルシクロヘキセノンオキシド化合物13の合成
【化51】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を表わす。)
光学活性5−シロキシ−2−メチル−2−シクロへキセノン11(1.2g,5mmol)のメタノール(192mL)溶液を−40℃に冷却し、これに35%過酸化水素水(42mL)と3M水酸化ナトリウム水溶液(0.25mL)を同温度で加えた。反応混合液を−20℃に昇温し、30時間同温度で激しく攪拌した。
反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)を加えた後、減圧下メタノールのほとんどを留去した。
残渣を塩化メチレン(40mL)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、光学活性5−シロキシ−2−メチル−2,3−エポキシシクロヘキサノン13を収率ほぼ100%(1.28g)で得た。
1H NMR及びGC分析から立体異性体比は96:4であった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 4.18-4.27 (m, 1H), 3.37 (br d, J=3.6Hz, 1H), 2.77 (dd, J=3.0, 15.0Hz, 1H), 2.35 (ddd, J=0.9, 4.2, 15.0Hz, 1H), 2.19 (ddd, J=1.5, 6.3, 15.0Hz, 1H), 2.00 (dddd, J=1.8, 3.6, 4.2, 15.0Hz, 1H), 1.39 (s, 3H), 0.83 (s, 9H), 0.018 and 0.022 (2s, each 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 204.8, 67.6, 62.0, 59.2, 44.9, 33.7, 25.7, 17.9, 15.0, -4.76, -4.80.
IR (neat) 2930, 2857, 1720, 1472, 1376, 1256, 1097,1023, 937, 837, 777 cm-1.
【0055】
実施例13 光学活性メチルシクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物15の合成
【化52】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基を表わす。)
水素化ナトリウム(50%/oil,67mg,1.53mmol)のTHF(1.5mL)縣濁液を−50℃に冷却し、ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル(0.31mL,1.53mmol)を同温度で加えた後、30分かけて室温まで昇温した。
更に0℃にした後、5−シロキシ−2−メチル−2,3−エポキシシクロヘキサノン13(0.30g,1.18mmol)のTHF(2mL)溶液を加え、得られた反応液を20時間同温度で攪拌した。
水(5mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(0.5mL)を加えて反応を停止した後、エーテル抽出(4mL)を2回行ない、その有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1−(エトキシカルボニル)メチリデン−5−シロキシ−2−メチル−2,3−エポキシシクロヘキサン15をE体及びZ体の混合物として収率ほぼ100%(1.56g)で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.11 (br s, 1H), 4.16 (q, J=6.9Hz, 4H), 3.25 (br d, J=3.3Hz, 1H), 3.15 (ddt, J=6.9, 15.6, 1.5Hz, 1H), 2.73 (dt, J=15.6, 2.1Hz, 1H), 2.24 (dd, J=4.8, 15.0Hz, 1H), 1.88 (dddd, J=1.5, 3.6, 4.8, 15.0Hz, 1H), 1.48 (s, 3H), 1.28 (t, J=6.9Hz, 6H), 0.83 (s, 9H), 0.02 and 0.03 (2s, each 3H).
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 165.8, 155.1, 119.9, 65.5, 62.4, 59.9, 57.7, 33.8, 33.2, 25.8, 19.8, 18.1, 14.4, -4.8, -4.9.
IR (neat) 2929, 2856, 1719, 1647, 1472,1373, 1311, 1258, 1169, 1097, 1035,938, 835, 777 cm-1.
【0056】
実施例14 メチレンシクロヘキサン不飽和エステル体20の合成
【化53】
Figure 0004811547
(式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基、Etはエチル基を表わす。)
1−(エトキシカルボニル)メチリデン−5−シロキシ−2−メチル−2,3−エポキシシクロヘキサン15(38mg,0.117mmol)とPd2(dba)3−CHCl3(0.003mg,0.0029mmol)のジオキサン(1mL)溶液に、トリブチルホスフィン(1.45μL,0.0058mmol)を室温で加えた。
反応液を徐々に昇温し、4時間で70℃にした。その後、室温まで冷却して、水(2mL)を加え、混合物からエーテル抽出(3mL)を2回行ない、その有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)した。
ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた、1−(エトキシカルボニル)メチリデン−2−メチリデン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサンの粗生成物をそのまま次の反応に用いた。
得られた1−(エトキシカルボニル)メチリデン−2−メチリデン−3−ヒドロキシ−5−シロキシシクロヘキサンの粗生成物とイミダゾール(16mg,0.234mmol)のジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液に、t−ブチルジメチルシリルクロライド(27mg,0.18mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
飽和重曹水(1mL)を加えた後、ヘキサン(2mL)で2回抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)し、ろ過後、ろ液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、3,5−ジシロキシ−1−(エトキシカルボニル)メチリデン−2−メチリデンシクロヘキサン2015から収率81%(38mg)で得た。
1H NMR δ 5.62 (br s, 1H), 5.19 (br s, 1H), 5.01 (br s, 1H), 4.53 (dd, J=8.4 and 4.5Hz, 1H), 4.23 (dddd, J=6.0, 6.0, 3.0 and 3.0Hz, 1H), 4.17-4.05 (m, 2H), 2.41(br d, J=12.6Hz, 1H), 2.25 (dd, J=13.2 and 5.4Hz, 1H), 1.98-1.88 (m, 1H), 1.81-1.70 (m, 1H), 1.23 (t, J=7.2Hz, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.87 (s, 9H), 0.08 (s, 6H), 0.05 (s, 6H)
13C NMR δ 166.2, 153.1, 147.5, 117.7, 110.7, 70.9, 67.4, 59.7, 46.1, 44.6, 25.7, 25.6, 18.1, 17.9, 14.0, -4.9, -5.0, -5.4
IR(neat) 2926, 2855, 1731, 1638, 1463, 1255, 1095, 835, 776 cm-1
【発明の効果】
本発明によれば、19−ノル−活性型ビタミンD誘導体及び活型ビタミンD3誘導体を製造する際の重要な中間体である、A環部分前駆体の光学活性シクロヘキサン化合物及び光学活性アルキレンシクロヘキサン化合物を、特定の光学活性シクロヘキセン誘導体から比較的簡便に製造することができる。

Claims (6)

  1. (3)
    Figure 0004811547
    〔式中、Rは水素原子を表わす。Xは水酸基の保護基を表わす。〕
    で表わされる光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物又はその鏡像体。
  2. 前記Xが、C1−C7アシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルキルアリールシリル基である請求項1記載の光学活性シクロヘキセノンオキシド化合物又はその鏡像体。
  3. (4)
    Figure 0004811547
    〔式中、Rは水素原子を表わす。R″は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル基を表わす。Xは水酸基の保護基を表わす。〕
    で表わされる光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物又はその鏡像体。
  4. 前記Xが、C1−C7アシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルキルアリールシリル基である請求項3記載の光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物又はその鏡像体。
  5. 式(5)
    Figure 0004811547
    〔式中、R″は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル基を表わす。Xは水酸基の保護基を表わす。〕
    で示される光学活性シクロヘキセンオキシド不飽和エステル化合物のエポキシドを還元して、式(6)
    Figure 0004811547
    〔式中、R″及びXは前記に同じ。〕
    で表わされるヒドロキシ体とし、次いで水酸基を保護基で保護し、式(7)
    Figure 0004811547
    〔式中、R″及びXは前記に同じ。Yは水酸基の保護基を表わす。〕
    で表わされるシクロヘキサン不飽和エステル体とし、更にエステル基を還元することを特徴とする、式(8)
    Figure 0004811547
    〔式中、X及びYは前記に同じ。〕
    で表わされる光学活性シクロヘキサン化合物の製造法。
  6. 前記X及びYが、C1−C7アシル基、C1−C4アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルキルアリールシリル基である請求項5記載の光学活性シクロヘキサン化合物の製造法。
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