JP4781810B2 - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に係り、さらに詳しくは、硬化途上でのクラックの発生が少なく、建築用あるいは一般工業用のシーリング材として有用な室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
空気中の湿気により室温で硬化してゴム状弾性体を与えるポリオルガノシロキサン組成物は、縮合型室温硬化性液状シリコーンゴム(RTVシリコーンゴム)としてよく知られており、種々の産業分野で広く用いられている。
この組成物は、両末端にヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としての加水分解性基を有するシラン、および硬化触媒により本質的に構成されるものである。これら全ての成分を混合し湿気を遮断した容器に収容した、いわゆる一包装型RTVシリコーンゴムは、シリコーン本来の耐染性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性などの優れた性質に加えて、種々の材質に対して接着性を有し、かつ密閉容器から大気に曝すことにより簡単にゴム状弾性体になるため、シーリング材やコーティング材として、製造業、建設業などの幅広い産業分野や家庭での補修用などに汎用されている。
この一包装型RTVシリコーンゴムにおいては、加水分解性基としてアセトキシ基を有するシラン(以下、アセトキシシランと示す。)、アルコキシ基(アルキロシ基)を有するシラン(以下、アルコキシシシランと示す。)、アミノキシ基を有するシラン(以下、アミノキシシランと示す。)、アミド基を有するシラン(以下、アミドシランと示す。)、エノキシ基を有するシラン(以下、エノキシシランと示す。)、ケトキシマト基を有するシラン(以下、ケトキシマトシランと示す。)などが実用されており、どのような加水分解性基を有するシランを架橋剤として用いるかにより種々の特色があらわれる。
架橋剤としてアセトキシシランを用いたシリコーンゴムは、硬化性に優れ、特にガラスなどに対して優れた接着性を示すが、その反面、硬化時に酢酸を放出するため刺激臭が強く、また金属や大理石などを侵すという問題がある。また、アルコキシシランを用いたものは、刺激臭がなく、金属に対して腐食を示さない、ポリカーボネートに対してソルベントクラックをほとんど起こさないなどの特長を有する。さらに、アミノキシシランやアミドシランを用いたものは、低モジュラスの硬化物が得られるという特長があるが、その反面、硬化が遅いという問題があり、エノキシシランを用いたものは、速乾性で金属に対する腐食はないが、未硬化時の黄変やコストの問題がある。
そして、架橋剤としてケトキシマトシランを用いた一包装型RTVシリコーンゴムは、刺激臭がなく、適度の硬化性を有し、かつ金属に対する腐食性も銅系金属に対して以外はほとんどないため、特性的にもコスト的にもバランスのとれたRTVシリコーンゴムとして、一般工業用や建築用として賞用されている。
このようなケトキシマトシランを架橋剤として含有する一包装型のRTVシリコーンゴムについては、従来から種々の検討が加えられている。例えば、ケトキシマトシランを架橋剤として用いることで、接着性を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、垂直面に適用しても未硬化の段階で垂れ下がらない、いわゆるノンサグ性を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、ケトキシマトシランを架橋剤として含むRTVシリコーンゴムにおいては、従来から解決を迫られている大きな問題があった。それは、硬化途上における目地の動きに対する追随性である。シリコーンシーリング材は、2つの部材間を結合する弾性接着剤であり、硬化後であれば、その弾性の範囲内で目地の動きに十分に追随することができるが、硬化途上においては目地の動きに追随することができず、クラック(亀裂)を発生しやすい。目地の動きは、温度変化に起因する被着物の膨張・収縮や、振動、外力などによって容易に起こり、特に建築物においては、これを完全に防ぐことは困難である。そして、クラックの発生は、外観上好ましくないばかりでなく、シール機能の発現を阻害するものである。一包装型RTVシリコーンゴムのなかで、ケトキシマトシランを架橋剤としたものは、その硬化性が中程度であるため、また硬化途上で塑性状態を経ることもあり、他のタイプの架橋剤を有するものと比べて、クラックを発生させやすかった。
表面の硬化が始まっても、硬化部の機械的強度が十分に発現するまでにはさらに時間がかかるため、表面の硬化開始から機械的強度の発現までの間に外力によって組成物が変形するときに、クラック発生の問題が生じる。すなわち、硬化途上で硬化部が伸長方向の変形を受けると、機械的強度が不十分なため破断(クラックが発生)することがあり、一箇所に破断が起こると、全体が硬化した後その破断部分に応力が集中し、全体が破断するに至る。このような硬化途上の破断(クラックの発生)を防止するには、シリコーンゴム組成物の硬化速度を高めればよいのだが、単に硬化速度を高めたのでは、へら仕上げのための作業時間が短くなってしまう。また、保存中にシリコーンゴム組成物に黄変が起こりやすいという問題がある。
さらに従来から、架橋剤として1つのケイ素原子に4つのオキシム基が結合したシラン化合物が併用され、適度な表面硬化速度と機械的強度の発現速度を有する組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この組成物において使用されているテトラオキシモシラン類は、製造工程で使用されている有機溶媒を除去する際に爆発などの危険を伴い、これを避けるには、有機溶媒を含む組成物しか製造することができないという問題があった。
また、分子鎖末端が水酸基であるジオルガノポリシロキサンと架橋剤を混合した後に、充填剤を添加混合することにより、1液型の室温硬化性組成物を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしこの方法では、スランプが防止された組成物は得られるが、表面硬化速度が極度に速くなりやすく、しかも表面硬化被膜の機械的強度発現までの時間が長くなるという問題があった。
上記特許文献4に開示された技術を改良し、水分量を低く管理した充填剤を使用したり、あるいは充填剤添加前に加える架橋剤量を適切な範囲にすることによって、表面硬化速度と表面硬化被膜の機械的強度発現までの時間を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
しかし、これらの方法でも十分に問題を解決することができなかった。すなわち、黄変しにくくかつ経済的にも有利なメチルトリオキシモシラン類を架橋剤として使用すると、表面硬化被膜の機械的強度発現までの時間が長くなり過ぎるため、硬化条件が悪い場合には表面クラックが発生するという欠点があった。架橋剤を活性の高いビニルトリオキシモシラン類に変更したり、あるいはビニルトリオキシモシラン類とメチルトリオキシモシラン類とを併用することによって、前記した欠点を解決できることは記載されているが、表面クラックを防止するためには多量のビニルトリオキシモシランを使用せざるを得ず、それによって組成物が貯蔵中に黄変しやすくなるばかりでなく、経済的にも不利になるという新たな問題が生じていた。
さらに、特許文献4と同様に、分子鎖末端が水酸基であるジオルガノポリシロキサンと架橋剤を混合した後で充填剤を添加混合し、その後反応性を有しないジオルガノポリシロキサンを添加混合する方法も提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかし、この方法によっても、適切な作業時間を維持しながら表面クラックを防止するという問題を解決することができなかった。
またさらに、有機チタネートなどの添加剤により被膜形成を制御し、クラックの発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、この方法では、有機チタネートの添加により低温での硬化性が低下し、かつ接着発現性のみならず、組成物の接着性を低下させるなどの新たな問題があった。また、黄変という問題は解決されていなかった。
特公昭46−11272号公報 特公昭56−34226号公報 特開平4−53902号公報 特開平2−41361号公報 特開平4−366171号公報 特開平5−105813号公報 特開平6−234148号公報 特許第02837658号公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、硬化途上での目地などの動きに十分に追随可能でクラックの発生を低減することができ、かつ黄変などの着色が低減され、さらに低温での接着発現性に優れた室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者は上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアミノ基含有ケイ素化合物を使用することにより、黄変などの着色が抑えられ、さらに低温での接着発現性に優れた効果があることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、分子鎖末端が、(A)化学式:−O−N=CR (式中、R およびR は同一または相異なる炭素数6以下の1価の炭化水素基を示す。)、あるいは化学式:−O−N=C=R (式中、R は炭素数10以下の2価の炭化水素基を示す。)で表されるケトキシマト基により封鎖され、かつ末端の一部がアミノアルキルシランとの反応により封鎖された、23℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部と、(B)一般式:
Figure 0004781810
(式中、R,Rは、同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、Rは、同一または相異なる置換または非置換の2価の炭化水素基を示す。kは1〜50の整数であり、mおよびlは0または1である。)で表されるアミノ基含有ケイ素化合物0.5〜10重量部と、(C)1分子中にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を3個以上有するシランおよび/またはその部分加水分解縮合物0.5〜25重量部と、(D)硬化触媒0.01〜5重量部、および微粉状シリカ5〜200重量部をそれぞれ含有することを特徴とする。
本発明によれば、硬化途上での目地などの動きに対して十分に追随することができ、クラック発生の少ない室温硬化性のポリオルガノシロキサン組成物を得ることができる。このような硬化途上でのクラック発生のないポリオルガノシロキサン組成物は、建築用、一般工業用のどちらの用途においてもシーリング材として好ましいものである。特に、建築現場では、硬化時に外気温の変動の影響を受けやすいため目地の動きが大きく、またそれを防止することが実質的に不可能であるが、そのような建築現場用のシーリング材として特に好適している。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(A)分子鎖末端が水酸基または加水分解性基で封鎖され、23℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部と、(A)分子鎖末端が水酸基または加水分解性基で封鎖され、23℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部と、(B)一般式:
Figure 0004781810
(式中、R,Rは、同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、Rは、同一または相異なる置換または非置換の2価の炭化水素基を示す。kは1〜50の整数であり、mおよびlは0または1である。)で表されるアミノ基含有ケイ素化合物0.2〜15重量部と、(C)1分子中にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を3個以上有するシランおよび/またはその部分加水分解縮合物0.5〜25重量部と、(D)硬化触媒0.01〜5重量部をそれぞれ含有する。
本発明の実施形態において(A)成分は、一般式:HO(R SiO)H(式中、Rは互いに同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示す。nは、23℃における粘度を100〜1,000,000mPa・sにする値である。)で表されるポリジオルガノシロキサン、または一般式:XO(R SiO)X(式中、Rは互いに同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、nは、23℃における粘度を100〜1,000,000mPa・sにする値である。またXは、式:−SiR 3−pで表されるケイ素官能基である。ただし、Rは互いに同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、Zは、加水分解性基であるアセトキシ基、ケトキシマト基、あるいはアルコキシ基である。pは、0〜2の整数である。)で表されるポリジオルガノシロキサンである。α, ω−ジヒドロキシポリ(ジオルガノシロキサン)およびα, ω−アルコキシシロキシポリ(ジオルガノシロキサン)などが例示される。
(A)成分を表す式において、RおよびRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基などの1価の炭化水素基、クロロメチル基、シアノエチル基、 3,3,3−トリフルオロプロピル基などの1価の置換炭化水素基が例示される。適度の硬化速度を有し、硬化前の流動性が適当で扱いやすいこと、また硬化後の物性特にモジュラスが低いことから、RおよびRはその85%以上がメチル基であることが好ましく、合成の容易さから全てがメチル基であることがより好ましい。ただし、耐熱性、耐寒性が特に要求される場合は、RおよびRの一部がフェニル基であるものが好ましい。
nの値の範囲は、RおよびRの種類とそのモル比によって異なるが、取扱の容易さ、組成物の流動性、硬化後の物性などから、(A)成分の23℃における粘度が、100 〜1,000,000mPa・s となるように選ばれる。RおよびRが全てメチル基である場合は、nが20〜3,000 に相当する。(A)成分の粘度は、500〜200,000mPa・s の範囲がさらに好ましい。粘度が500mPa・sより低いと良好な物性を得ることが難しく、200,000mPa・sより高いと、押出し作業性および硬化性が悪くなる傾向がある。
このような(A)成分のポリオルガノシロキサンとしては、末端が加水分解性基であるアセトキシ基、ケトキシマト基、あるいはアルコキシ基で封鎖されたものを用いることができる。特に、末端の加水分解性基がケトキシマト基であるものが好ましい。これは、前述のα, ω−ジヒドロキシポリ(ジオルガノシロキサン)とケトキシマト基含有シラン(ケトキシマトシラン)を混合することにより、室温でも容易に得られる。中でも、ケトキシマトシランとしてビニルトリケトキシマトシランを反応させたものは、その硬化性の速さから好ましい。
また、(A)成分にアミノアルキルシランを反応させて末端の一部を封鎖したものが、その接着性および硬化性から(A)成分として好ましく用いられる。アミノアルキルシランは、炭素数1〜6の2価の炭化水素基を介してケイ素原子に結合したアミノ基と、炭素数2〜3の加水分解性基を有するものであり、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが例示される。このようなアミノアルキルシランを配合する場合には、(A)成分100重量部に対して0.1〜5重量部の割合で添加する。アミノアルキルシランの割合が5重量部を超えると、耐水性や耐熱性を損なったり、黄変するなどの弊害が生じる。また、0.1重量部より少ないと添加効果が得られない。
なお、アミノアルキルシランは接着向上剤として従来から広く使用されている。一般にアミノアルキルシランは、加水分解性が高く、かつアミノ基に起因する塩基性により助触媒的に作用することから、硬化性を向上させる効果を有する。また、アミノアルキルシランを添加したものは、接着性に優れかつその発現が速いことが知られている。しかし、低温時に硬化性および接着発現性が著しく低下するなど、温度依存性が大きいという問題がある。
また、アミノアルキルシラン類は、経時的にあるいは加熱劣化時に著しい黄変を引き起こす。中でも、第1アミノ基を含有するシランが最も着色・変色の度合いが大きい。着色・変色の度合いは、次いで第2アミノ基を含有するシラン、第3アミノ基を含有するシランの順となり、第3アミノ基を含有するシランが黄変を引き起こす度合いが最も低い。しかし、接着性および接着発現性に関しては、第1アミノ基が最も効果的であり、次いで第2アミノ基、第3アミノ基の順となり、第2アミノ基は第1アミノ基に比べて接着性および接着発現性の効果が大きく低下する。また、低温において、接着性および接着発現性が低下する現象が顕著に生じる。
さらに、アミノアルキルシランは、硬化途上で外気と接触している硬化物表面へと移行しやすいため、表面の硬化被膜形成部と内部とで硬化状態の差が大きくなる。すなわち、湿気を含む外気と接する表面の薄膜の強度が大きく、内部の硬化途上部位のゲル化状態との差が大きくなる。したがって、若干のストレスによって、薄層被膜部にクラックと呼ばれる亀裂が生じ、硬化後のシール材表面の仕上がりが悪くなるなどの問題を生じる。とりわけ、冬場などの低温時や昼夜の温度差の大きい季節においては、被着部材が温度低下により収縮を起こし、シール材の目地幅が変化するため、シール部位にストレスを生じる。目地設計が適切に成されており、シール材が完全に硬化してしまえば、硬化したシール材は目地の動きに追従可能であるが、硬化途上である場合には、薄層の被膜が目地の動きに追従するため、表面にクラックを生じてしまうことになる。
このような状況を鑑みて、硬化途上における表面クラックの発生の問題を解決するために、本発明の実施形態においては、以下に示す(B)成分が配合される。
(B)成分としては、一般式:
Figure 0004781810
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物が使用される。式中、R,Rは、同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、Rは、同一または相異なる置換または非置換の2価の炭化水素基を示す。kは1〜50の整数であり、mおよびlは0または1である。低温時での硬化性、接着発現性を鑑みた場合、mおよびlは0であることがより好ましい。
,Rとしては、前記(A)成分を表す式におけるRと同様な基が例示される。Rとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、メチルエチレン基などのアルキレン基、フェニレン基、トリレン基などのアリーレン基、メチレンフェニレン基、エチレンフェニレン基などのアルキレンアリーレン基などが挙げられ、これらの中でも、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、メチルエチレン基などのアルキレン基が好ましい。
その理由は、アミノ基(−NH−)とケイ素原子に結合したアルコキシ基との間に、フェニレン基、トリレン基などのアリーレン基や、メチレンフェニレン基、エチレンフェニレン基などのアルキレンアリーレン基が存在すると、アルコキシ基(RO)の反応性が低下するとともに、接着性の低下を招くことがあるためである。
本発明の実施形態の(B)成分であるアミノ基含有ケイ素化合物は、分子中にシロキサン鎖を有しているため、前記(A)成分との相溶性がアミノアルキルシランと比べて高い。したがって、このようなアミノ基含有ケイ素化合物は、硬化途上において、硬化部の表面への移行性、すなわち外気と接触している方向への移行性が低い。
また、このアミノ基含有ケイ素化合物では、アミノアルキル基が結合しているケイ素原子に、1官能あるいは2官能のアルコキシ基が結合し、さらにシロキサン鎖をも有するため、アルコキシ基の加水分解性と縮合反応性すなわち硬化性は、一般のアミノアルキルシラン類と比較して低くなる。なお従来から、アミノアルキルシランとして、2官能のアルコキシ基を有するアミノアルキルジアルコキシシランも使用可能であるが、このようなアミノアルキルシランでは反応性が低くなるものの、表面への移行性が高く、かつ接着性の低下が著しい。また、低温時の硬化性の低下が大きく、表面への移行性により黄変性も高い。
本発明の実施形態の(B)成分であるアミノ基含有ケイ素化合物は、アミノアルキル基が結合しているケイ素原子に結合するアルコキシ基が1官能あるいは2官能であり、かつシロキサン鎖を間に介していることより表面への移行性が抑制され、表面と内部との硬化度の差を少なくできる。そのため、硬化途上での被膜のモジュラスを低下させ、クラックの発生を抑制する効果を有する。また、アミノアルキル基が結合する2つのケイ素原子には、1分子中で理論的に2乃至4官能性であるため、最終的な硬化物性には遜色なく、目的とする接着性および機械的強度を得ることが可能である。
このような(B)成分の配合量は、前記(A)成分100重量部に対して0.2〜15重量部とし、好ましくは0.5〜10重量部とする。(B)成分の配合量が0.2重量部より少ないと、硬化の発現が乏しくかつ接着性の発現も十分ではない。15重量部より多いと、機械的強度の低下、接着の信頼性の低下、および耐熱性の低下を引き起こすため好ましくない。また、0.5重量部より少ないと、低温時での接着性、硬化性が十分得られないおそれがあり、10重量部より多いと、本来の目的である黄変などの変色に影響がでるおそれがある。
本発明の実施形態において、(C)成分であるケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を1分子中に3個以上有するシランおよび/またはその部分加水分解縮合物は、前記(A)を架橋して網状構造を与えるための架橋成分である。(C)成分の有する加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基(アルキロキシ基)、ケトキシマト基、アセトキシ基などが挙げられる。硬化性および貯蔵安定性、作業性、経済性などの観点から、これらの加水分解性基の中でもケトキシマト基が好ましい。ケイ素原子に結合したケトキシマト基としては、ジメチルケトキシマト基、ジエチルケトキシマト基、メチルエチルケトキシマト基のようなジアルキルケトキシマト基が例示される。
このようなケトキシマト基を1分子中に3個以上有するシランおよび/またはその部分加水分解縮合物としては、メチルトリス(ジエチルケトキシマト)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシマト)シラン、およびそれらの部分加水分解縮合物が例示される。これらのジアルキルケトキシマト基を含有するシラン化合物は、銅系金属に対して若干の腐食性を示すものの、それ以外の金属への腐食性がない。また、硬化速度、接着性などの特性上のバランスが良いうえに、刺激臭がなく、かつ合成も容易である。さらに、適度の硬化性と硬化後の弾性体の特性から、(C)成分としては、メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シランおよび/またはその部分加水分解縮合物、もしくはビニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シランおよび/またはその部分加水分解縮合物の使用が特に好ましい。
このような(C)成分であるシランおよび/またはその部分加水分解縮合物の配合量は(A)成分100重量部に対して0.5〜25重量部とすることが好ましく、より好ましくは3〜10重量部とする。(C)成分の配合量が0.5重量部より少ないと、架橋剤としての成分が不足するため組成物の硬化性が低下する。反対に(C)成分の配合量が25重量部より多い場合には、(C)成分が遊離して表面に被膜を形成し、硬化物のモジュラスが高くなりすぎてしまう。
本発明の実施形態に使用する(D)硬化触媒は、(A)成分の水酸基(ヒドロキシル基)および/または加水分解性基と、(C)成分の加水分解性基との縮合反応を促進する触媒である。(D)成分の硬化触媒としては、鉄オクトエート(オクタン酸鉄)、コバルトオクトエート、マンガンオクトエート、亜鉛オクトエート、スズナフテネート、スズカプリレート、スズオレエートのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物が例示される。微量の存在で大きな触媒能をもつことから、有機スズカルボン酸塩が好ましく、中でも硬化性の良好なジオルガノスズジカルボン酸塩、着色性の低いことからジオルガノスズアルコキシドが好ましい。
(D)成分である硬化触媒の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜5重量部とし、より好ましくは0.05〜2重量部とする。(D)成分の配合量が0.01重量部よりも少ないと、硬化触媒としての機能が不十分で硬化に長時間を要し、また空気との接触面から遠い内部での硬化が不良となる。反対に(D)成分の配合量が5重量部よりも多い場合には、組成物の保存安定性が低下するため好ましくない。
本発明の実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、(E)エポキシ基含有アルコキシシランを配合することができる。(E)成分であるエポキシ基含有アルコキシシランとしては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−グリシドキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−グリシドキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが例示される。このような(E)エポキシ基含有アルコキシシランの添加により、接着性がさらに向上する。このような添加目的から、エポキシ基含有アルコキシシランの配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜15重量部とする。組成物の作業性の観点からは、0.1〜10重量部の範囲がさらに好ましい。
本発明の実施形態の組成物には、(F)有機チタネート、有機ジルコネート、有機アルミネートから選ばれる1種または2種以上の有機金属化合物をさらに添加することができる。(F)成分の有機金属化合物は、前記(A)成分と(B)成分および(C)成分から構成されるシリコーン組成物において、硬化途上での目地の動きに対する追随性を向上させ、硬化途上でのクラック発生を減少させるのに有効である。
有機金属化合物としては、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタンのようなテトラアルコキシチタン、テトラアルコキシチタンの部分加水分解縮合物、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、トリメチレンジオキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセタト)チタン、トリメチレンジオキシビス(エチルアセトアセタト)チタンなどのチタンキレートなどの有機チタネート、テトラプロポキシジルコン、テトラブトキシジルコンのようなテトラアルコキシジルコンおよびそれらの部分加水分解縮合物、ジブトキシビス(アセチルアセトナト)ジルコン、ジブトキシビス(エチルアセトアセタト)ジルコンなどのジルコンチタンキレートなどの有機ジルコネート、トリエトキシアルミニウム、アセトエトキシアルミニウムジイソプロピレートなどの有機アルミニウムが例示される。均一分散性の点から、常温で液状のものが好ましい。
(F)成分である有機金属化合物の添加量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜1.9重量部とすることが好ましい。(F)有機金属化合物の添加量が0.01重量部よりも少ない場合には、硬化途上での目地の動きに対する追随性の発現が十分でなく、また1.9重量部よりも多いと、組成物の粘稠度が増大して押出性が低下し、作業性が悪化する。また、黄変の度合が強くなったり、保存安定性も悪くなるなどの不具合が起こり好ましくない。より好ましい添加量の範囲は、(A)成分100重量部に対して0.05〜1.5 重量部である。
本発明の実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、必要に応じて充填剤を配合することができる。充填剤としては、補強性のものと非補強性のものとがあり、補強性充填剤としては、煙霧質シリカ、焼成シリカ、沈澱シリカ、煙霧質チタン、およびこれらの表面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン類、およびヘキサメチルジシラザンなどで疎水化したものなどが例示される。また、非補強性充填剤としては、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、けいそう土、粉砕シリカ、アルミノケイ酸、マグネシア、アルミナなどが挙げられる。なお、特に低いモジュラスを有することが要求される場合には、これらのうちで非補強性の充填剤を用いることが好ましい。
硬化後のシリコーンエラストマーの機械的特性を向上させる充填剤として、乾式シリカ、湿式シリカなどの微粉状シリカを使用することができる。微粉状シリカとしては、BET法による比表面積が50〜400m /gのものを使用することが望ましい。このような微粉状シリカは、表面に水分を吸着しやすく、組成物に配合した場合に吸着された水分が他の成分、すなわち(A)成分、(B)成分、(C)成分および硬化触媒である(D)成分と反応して組成物の性能を損なうことがあるので、配合前に吸着水をできるかぎり減らしておくことが望ましい。また、微粉状シリカは、そのまま使用してもよいが、例えばヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどを用いて表面を疎水化処理した後に使用することができる。
このような微粉状シリカを含む補強性充填剤全体の配合量は、前記(A)成分100重量部に対して5〜200重量部とすることが好ましい。配合量が5重量部未満では、硬化後のシリコーンエラストマーの補強効果が十分に得られず、反対に配合量が200重量部を超えると、硬化物の弾力性が失われ、また組成物を容器から押し出すことが困難になるためである。
さらに、本発明の実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、顔料、チクソトロピー性付与剤、接着性向上剤、押出し作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線防止剤、防カビ剤、耐熱性向上剤、難燃化剤などの添加剤を加えることも可能である。
実施形態の組成物は、前記した(A)〜(F)の各成分および必要に応じて充填剤を、湿気を遮断した状態で混合することにより得ることができる。ただし、(A)〜(F)の全ての成分を一度に混合すると、(A)成分と(D)成分である硬化触媒の相互作用により、急激な増粘とストラクチャー形成が生じ、均一に混合することがやや困難となる。そのため、先ず(A)成分、(B)成分、(C)成分、(E)成分、および必要に応じて充填剤を、湿気を遮断した状態で均一に混合し、(A)成分と(B)成分との反応を十分に進行させた後、この混合物に(D)成分を加え、再び湿気を遮断した状態で均一に混合する方法を採ることが好ましい。なお、各種の添加剤は、第1の混合時に加えることもできるし、また第2の混合時に加えることもできる。
得られた組成物は、密閉容器中でそのまま保存され使用時に空気中の水分に曝すことによってはじめて硬化される、いわゆる1包装型室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物として用いることができる。また、(A)および(B)成分を含有して成る主剤と、(C)成分および(D)成分を含有し、さらに必要に応じて(E)成分、(F)成分およびその他の成分を配合して成る硬化剤として調製することもできる。そして、適宜別々の容器に分けて保存し使用時にこれらを混合する、いわゆる2包装型室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物として用いることもできる。
本発明の実施形態の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、被着体に対して優れた接着性を有し、かつ硬化途上に外力による変形を受けてもクラック(亀裂)が発生せず、しかも貯蔵中や硬化後に熱履歴などを受けても黄変することがないので、接着剤、コーティング剤、シーリング材などとして有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とあるのは「重量部」を表す。粘度は23℃における値である。実施例および比較例中、特に記載のないものも含めて全ての操作は、原料、製造途上および製造された組成物が大気中の湿気に触れないように、細心の注意を払って行った。
合成例1
撹拌機、滴下ロート、還流管、温度計、窒素気流装置、および減圧装置を備えた1リットルの四ツ口セパラブルフラスコの内部を、窒素により脱気した後、数平均分子量(以下、Mnと略記する。)が760のα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン530部を仕込み、120℃で10〜20mmHgにおいて1時間減圧蒸留を行うことにより脱水した。次いで、これを50℃以下に冷却し、3−アミノプロピルトリエトキシシラン294部を投入し、窒素気流下で昇温させ、60〜70℃の温度で撹拌を2時間続けた。そして、赤外分光光度計によりSiOHの吸収の減少を確認し、冷却後取り出した。こうして反応性オリゴマーAを得た。このオリゴマーの粘度は21mPa・sであった。
合成例2
合成例1に用いた3−アミノプロピルトリエトキシシラン294部の代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン238部を使用し、合成例1と同様にして反応を行い、粘度23mPa・sの反応性オリゴマーBを得た。
合成例3
合成例1に用いたMnが760のα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン530部の代わりに、Mnが1500のα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン600部を使用するとともに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン294部の代わりに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン168部を使用し、合成例1と同様にして反応を行った。こうして粘度35mPa・sの反応性オリゴマーCを得た。
実施例1
粘度が18,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン100部に、湿気遮断雰囲気でメチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン4.0部と、ビニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン1.0部、および3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン0.5部をそれぞれ添加し、室温で30分間混合した後、オクタメチルシクロテトラシロキサンにより表面処理されたBET比表面積200m/gの乾式シリカ14部を加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。
次いでこれに、粘度が100mPa・sのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン10部に酸化チタン(タイペークR−820:石原産業社製)1部を均一に混合したものを加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。その後、合成例1で得られた反応性オリゴマーA1.5部、メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン1.5部、および硬化触媒としてジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ0.04部をそれぞれ加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合し、混合しながら真空脱泡を行うことによりポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例2
粘度が18,000mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン100部に、湿気遮断雰囲気でメチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン4.0部、ビニルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン1.0部、および3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン0.5部をそれぞれ添加し、室温で30分間混合した後、オクタメチルシクロテトラシロキサンにより表面処理されたBET比表面積200m/gの乾式シリカ14部を加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。
次いでこれに、粘度が100mPa・sのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン10部に酸化チタン(タイペークR−820)1部を均一に混合したものを加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。その後、合成例1で得られた反応性オリゴマーA1.5部、メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン1.5部、テトラブトキシチタネート0.1部、および硬化触媒としてジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ0.04部をそれぞれ加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合し、混合しながら真空脱泡を行うことによりポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例3
粘度が20,000mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン100部に、湿気遮断雰囲気でメチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン5.0部を添加し、室温で30分間混合した後、ジメチルジクロロシランにより表面処理されたBET比表面積140m/gの乾式シリカ14部を加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。
次いでこれに、粘度が100mPa・sのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン10部に酸化チタン(タイペークR−820)1部を均一に混合したものを加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。その後、合成例2で得られた反応性オリゴマーB1.3部、メチルトリス(メチルエチルケトキシマト)シラン1.5部、および硬化触媒としてジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ0.04部をそれぞれ加え、湿気遮断雰囲気で十分混合し、混合しながら真空脱泡を行うことによりポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例4
反応性オリゴマーAの代わりに反応性オリゴマーCを使用した以外は実施例2と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
実施例5
反応性オリゴマーAの代わりに反応性オリゴマーCを使用し、さらに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.8部を加えた。それ以外は実施例2と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
実施例6
粘度が20,000mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン100部に、湿気遮断雰囲気でメチルトリメトキシシラン3.0部、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部、ジイソブチルアミン0.2部、ギ酸0.055部をそれぞれ添加し、室温で30分間混合した後、80℃で3時間加熱・撹拌した。その後、ジクロロシランにより表面処理されたBET比表面積140m/gの乾式シリカ14部を加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。
次いでこれに、粘度が100mPa・sのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン20部に酸化チタン(タイペークR−820)1部を均一に混合したものを加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合した。その後、メチルトリメトキシシラン1.0部、合成例1で得られた反応性オリゴマーA1.5部、ビス(2−エチルへキシル)ホスフェ−ト0.2部、および硬化触媒としてジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ0.4部をそれぞれ加え、湿気遮断雰囲気で十分に混合し、混合しながら真空脱泡を行うことによりポリオルガノシロキサン組成物を得た。
比較例1
反応性オリゴマーAを加えず、それ以外は実施例1と同様にしてポリオルガノシロキサン組成物を調整した。
比較例2
反応性オリゴマーAを加えず、それ以外は実施例2と同様にしてポリオルガノシロキサン組成物を調整した。
比較例3
反応性オリゴマーB1.3部の代わりに、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン0.7部を使用した以外は実施例3と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
比較例4
反応性オリゴマーB1.3部の代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.7部を使用した以外は実施例3と同様にして、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
次いで、実施例1〜6および比較例1〜4でそれぞれ得られたポリオルガノシロキサン組成物について、以下に示す方法にしたがって特性を測定し評価した。これらの測定結果を表1および表2にそれぞれ示す。
[押出し性]
島津(株)社製オートグラフを用い、先端の径を6.2mmに調整したノズルから吐出する際の力を測定した。20kgf未満の吐出力であれば実用上十分な作業性があり、15kgf以下であればさらに好ましい。
[タックフリー]
作業時間を評価する目安として、JISA 5758に準拠してタックフリーを測定した。
[スランプ]
JISA 1439に準拠した冶具(縦用、ただし目地幅は30mm)および測定法により、スランプを測定した。スランプが1mm以下であれば実用上問題がないが、0mmであることがより好ましい。
[硬さ]
組成物を厚さ2mmのシート状に成形し、23℃、50%RHの条件下で5日間硬化させた後、このシートの硬度をJISK 6301に準じて測定した。
[表面クラック時間]
組成物の硬化途上におけるクラック(亀裂)の入りやすさの目安として、表面クラック時間を測定した。試験方法は、まず組成物をアルミ板の上に打設し、23℃で一定時間(30分、60分、90分および120分の各時間)おいて組成物を硬化させてシール部を形成した後、アルミ板を120度および180度の角度に折り曲げた。そのままの状態を保持し、シール部の表面に亀裂が入っているか否かを調べた。表面にクラックが入らない時間が120分以内であれば、実用上亀裂が発生する確率は低く、60分以内であればさらに好ましい。また、5℃、45%RHの雰囲気において、同様の操作を行いクラックの発生状況を調べた。
[黄変]
硬化物表面の変色を以下の(a)〜(d)の各条件で促進し、変色の度合い(色差;ΔE)をミノルタ(株)社製の色彩色差計CR221を用いて測定した。
(a)90℃で7日間放置
(b)50℃、95%RHで14日間放置
(c)60℃温水中に7日間浸漬
(d)サンシャインウェザオメターにより300時間照射
[接着性]
図1に示す試験体を作製した。すなわち、平板状の被着体1の上に1対のスペーサ2を配置し、これらのスペーサ2間にポリオルガノシロキサン組成物から成るシール部(目地部)3を形成した。被着体1は、アルミニウム、PET樹脂、塩ビ鋼板(日立化成製)、およびアクリル樹脂(三菱樹脂製アクリライト)とし、シール部3の幅(目地幅)を10mm、長さを100mm、厚さを3.0mmとして試験体を作製した。この試験体を、23℃、50%RHで168時間養生し、スペーサ2を外した後、接着性試験に供し凝集破壊率を測定した。
[耐水接着性]
接着性試験に供した試験体と同様に作製し養生した試験体を、50℃で14日間浸水させ、しかる後に凝集破壊率を測定した。
[低温接着性]
接着性試験に供した試験体と同様に作製された試験体を、5℃、45%RHで168時間養生した後、凝集破壊率を測定した。
Figure 0004781810
Figure 0004781810
表1および表2からわかるように、実施例1〜6で得られた硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、押出し性および硬化性に優れ、硬化物が良好な物理的特性を有する。また、比較例1〜4で得られた組成物に比べて、被着体に対して優れた接着性を有し、かつ硬化途上に外力による変形を受けてもクラックが発生しない。また、貯蔵中や硬化後に熱履歴を受けても黄変することが少ない。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、被着体に対して優れた接着性を有し、かつ硬化途上に外力による変形を受けてもクラックが発生せず、しかも貯蔵中や硬化後に熱履歴などを受けても黄変することがない。したがって、接着剤、コーティング剤、シーリング材などとして有用であり、特に建築現場用のシーリング材として好適している。
本発明の実施例および比較例において、接着性試験に供せられる試験体の構造示す斜視図である。
符号の説明
1…被着体、2…スペーサ、3…ポリオルガノシロキサン組成物から成るシール部。

Claims (4)

  1. 分子鎖末端が、(A)化学式:−O−N=CR (式中、R およびR は同一または相異なる炭素数6以下の1価の炭化水素基を示す。)、あるいは化学式:−O−N=C=R (式中、R は炭素数10以下の2価の炭化水素基を示す。)で表されるケトキシマト基により封鎖され、かつ末端の一部がアミノアルキルシランとの反応により封鎖された、23℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部と、
    (B)一般式:
    Figure 0004781810
    (式中、R,Rは、同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、Rは、同一または相異なる置換または非置換の2価の炭化水素基を示す。kは1〜50の整数であり、mおよびlは0または1である。)で表されるアミノ基含有ケイ素化合物0.5〜10重量部と、
    (C)1分子中にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を3個以上有するシランおよび/またはその部分加水分解縮合物0.5〜25重量部と、
    (D)硬化触媒0.01〜5重量部、および
    微粉状シリカ5〜200重量部
    をそれぞれ含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  2. さらに、(E)エポキシ基含有アルコキシシランを含有することを特徴とする請求項1記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  3. 前記(C)成分が、ケイ素原子に結合した化学式:−O−N=CR(式中、RおよびRは同一または相異なる炭素数6以下の1価の炭化水素基を示す。)、あるいは化学式:−O−N=C=R(式中、Rは炭素数10以下の2価の炭化水素基を示す。)で表されるケトキシマト基を有することを特徴とする請求項1または2記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  4. (F)有機チタネート、有機ジルコネート、有機アルミネートから選ばれる1種または2種以上の有機金属化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
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