JP4769405B2 - タイヤをオゾンに対して保護する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、タイヤの外部表面の表面状態、特にオゾンに対するそれらの保護及びそれらの外観の改良に関する。
主鎖にエチレン性二重結合を有するジエンポリマーを基剤とする加硫ゴム組成物はオゾンの影響を受けやすいとされている。
そのようなエラストマー性組成物で製造された製品がオゾンの存在下で歪みを受けると、オゾンの損傷効果により歪みの方向に対して直角に配向した表面亀裂を生ずる。この歪みが持続すると、あるいは毎度起こると、亀裂が成長して製品が完全に破壊しうる。
この劣化を制限するために、通例エラストマー性組成物はオゾン亀裂防止化合物ならびにワックスを含む。オゾン亀裂防止化合物は、静的及び動的応力条件下で亀裂の形成及び成長を遅らせる。ワックスは保護表面コーティングを形成することにより特別に静的に保護する。
【0002】
これらのオゾンによる劣化と戦う方法は効果的であることが分かっている。残念なことに、最も効果的なオゾン亀裂防止化合物、並びにワックス、はまた製品の表面に移動してそれらに印をつけたり変性したりしうることを特徴とする。特に、ワックスの表面への移動は、エラストマー性組成物の外側の表面を光沢をなくし灰色にすることにより変性する。この現象はワックスの“風解”と呼ばれる。
これらの移動はタイヤの白色または着色部分の問題であるばかりでなく、黒色タイヤまたはその部分にも影響を及ぼし、それらの外部表面は光沢のある外観から光沢のない灰色の外観に変化するであろう。したがって、タイヤの表面の外観を保持するためには、ゴム混合物中のこれらの化合物の割合、したがってそれらの効果が制限される。
更に、ワックス及びオゾン亀裂防止化合物の割合はまた混合物の凝集の問題のために、またゴム混合物の性質を保持するために制限される。
【0003】
例えば、特許願第EP-0 728 810号記載されているような、保護すべき加硫タイヤ表面上に、アクリル、メタクリル及びビニルエステルの群から選択されたポリマー、及び親水性シリカ及びモノマーがアクリル、メタクリル及びビニルモノマーから選択されるポリマーを含む構成成分を含む水性組成物からなる1層以上のオゾン亀裂防止及び移動防止保護コーティングを付着させるその他の問題解決法も提案された。そのようなコーティングは加硫するや否やタイヤ上に付着させると更に有利で、硬化中の原料組成物の移動に伴う全ての歪み及び変性が回避される。
しかしながら、そのような組成物はゴム表面には十分には接着しない。というのは、この公開物を読めば分かるように、この組成物は、接着性が不十分であるにもかかわらず層割れが困難となるように非常に薄い、好ましくは3〜15μmの厚さの層で付着させるからである。更にコーティングが薄いと明らかにその寿命が短いことが見いだされている。
したがって、本発明は、これらの欠点を克服しうる、オゾンに対して保護するための新規コーティングを有するタイヤを提供する。
本出願人は、驚くべきことに、ある種のポリウレタンがそのような保護コーティングを構成しうることを発見した。このコーティングは、当該表面の処理後に加硫されたタイヤに付着させるのが有利である。そうすると、ポリウレタンがタイヤの表面に満足に接着するため、特にコーティングの厚さについてはいかなる限定もない。
【0004】
本発明によれば、実質的に不飽和なジエンエラストマーを基剤とするゴム外部表面の少なくとも一部がオゾンに対して保護するためのコーティングで被覆されているタイヤは、このコーティングが空気と接する少なくとも1層を含み、脂肪族ポリエーテルまたはポリエステル及び主鎖が半芳香族であるポリエーテルまたはポリエステルから選択されたポリオールから調製されたポリウレタンからなり、エラストマー及びポリウレタン間の結合が極性官能基により形成され、かつこのコーティングが界面活性剤を含むことを特徴とする。エラストマーの表面に位置するこれらの極性官能基は、コーティングと反応して共有結合を形成しうる1個以上の移動しうる水素を有する場合には一層効果的である。
ポリウレタンは、−20℃以下のガラス転移温度及び100%以上の破断点の伸びを有するのが有利である。
ポリマーのガラス転移温度は、ポリマーの機械的挙動がガラスのような剛性及び脆性挙動からゴムのような挙動へ変化する温度である。
したがってこの層は、タイヤの表面に接着する連続した可撓性のコーティングを形成しうる。このコーティングの存在はオゾンによる劣化の影響を弱める。得られるコーティングのゴムのような挙動は、タイヤの製造後、特に空気を入れるとき及びその後の使用中に直面するあらゆる変形に抵抗しうる。
【0005】
更に、このコーティングはバリヤー効果によりワックスの表面への移動を防ぎ、それにより風解を回避するのに有利である。
このコーティングはまた、公知の方法により親水性シリカのような添加剤を(ポリウレタン100部当たり5〜30部の割合で)添加することにより光沢が変化しうるワニスとして作用するため有利な美的な外観をタイヤに提供する。そのような顔料で着色していないワニスは透明で、このワニスは、
− 問題のあるオゾン亀裂防止剤の酸化誘導体を移動させることなく黒色タイヤに適用しうるし(というのは、透明であるために見ることのできるタイヤの黒さが変化することなくオゾン亀裂防止剤の酸化誘導体が実質的にワニス層の溶液中に残存するからである)、
− 印を付ける(強く着色した)酸化誘導体を提供するオゾン亀裂防止剤を含まないことが必要な着色タイヤ部分にも適用しうる。
更に、黒色タイヤの表面において色の不規則性を隠すためには、黒色有機顔料またはカーボンブラックを添加することによりワニスを黒に着色することが有利かもしれない。
【0006】
本発明はまた、実施するのに簡単な、タイヤの外部表面をオゾンに対して保護し、タイヤの外観を改良する方法を提供する。
本発明によれば、その組成物が実質的に不飽和なジエンエラストマーを基剤とするタイヤの外部表面の少なくとも一部をオゾンに対して保護する方法は、以下の工程:
(a) 加硫タイヤの表面を処理して極性を提供し及びこの表面のエラストマーを官能化する工程、
(b) 少なくとも1層の水性ポリウレタン分散液からなる層をこの処理表面に適用する工程、及び
(c) 保護コーティングが形成されるまでこの層を乾燥させる工程、
を含む。
水性ポリウレタン分散液は周囲温度において適用するのが有利である。
したがって、この方法は加硫タイヤに容易に実施されうるし、更に、たとえタイヤの表面における温度の穏やかな上昇により乾燥作業を加速しうることがあっても、加熱作業を必要とすることなく実施されうる。
【0007】
本発明のその他の利点及び特徴は、本発明によるタイヤの代表的な実施態様及び実施方法を読むと明らかになろう。
本発明の方法は、組成物が実質的に不飽和なジエンエラストマーを基剤とするタイヤの表面をオゾンに対して保護し、その外観を改良することを意図する。
公知の方法においては、“ジエン”エラストマーまたはゴムという用語は、少なくとも一部がジエンモノマー(2個の共役または非共役炭素−炭素二重結合を有するモノマー)に由来するエラストマー(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)を示すのに使用される。
一般的には、“実質的に不飽和な”ジエンエラストマーという用語は、本明細書においては、少なくとも一部が、ジエン源(共役ジエン)の構造単位またはブロックの割合が15モル%より多い共役ジエンモノマーに由来するジエンエラストマーを示すのに使用される。
したがって、例えば、ブチルゴムまたはEPDM(エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー)のようなジエン及びα-オレフィンのコポリマーのようなジエンエラストマーは前述の定義に該当せず、特に“実質的に飽和した”ジエンエラストマー(ジエン源の構造単位の割合が低いまたは非常に低い、常に15%未満)として分類されうる。
【0008】
本発明の方法は、まずジエンエラストマーを官能化するために前記保護すべき加硫タイヤ外部表面上に官能化剤を含む溶液を付着させ、次いで本発明による水性ポリウレタン懸濁液と結合させる。タイヤはこれらの作業の前に適合させて空気を入れてもよいし、そうでなくてもよい。
官能化剤は、好ましくは、塩酸に添加されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の次亜塩素酸塩、特に次亜塩素酸ナトリウム、カリウムまたはカルシウム、及びトリクロロイソシアヌル酸(TIC)からなる群から選択され、それはゴム混合物の表面における塩素化及び酸化を可能にする。
官能化剤は、次亜塩素酸塩の場合には水のような溶媒の溶液であり、トリクロロイソシアヌル酸の場合には酢酸エチルのような無水溶媒の溶液である。共に1〜5質量%の濃度範囲であるが、その後容易に蒸発する利点を有する。
この処理は、ゴム表面に極性を提供して官能化しうるため、創成される極性官能基のためにポリウレタン及びゴム混合物の実質的に不飽和なジエンエラストマー間に共有結合を形成しつつ、ポリウレタン層を非常に良好に接着させる。TICはまた湿潤性を改良しうるので、更にポリウレタン層の接着を促進する。
したがって、周囲温度においてそのような溶液を付着させることが可能であり、適用は、あらゆる公知の手段、特にはけ、ローラーまたはガンを用いた吹付により実施しうる。
【0009】
次いで、溶液を10〜30分乾燥させると、一方ではゴム表面との化学反応が起こり、他方では溶媒が蒸発する。この作業を加速させるためには、表面に形成された極性官能基がゴム混合物の内部に移動してポリウレタンとの結合の形成がもはや利用できなくならないように表面温度が60℃を超えないことは必要であるが、タイヤの表面を加熱しうる。
次いで、このようにして処理した表面に、前述の処理の場合のようないずれかの適する手段により水性ポリウレタン分散液の薄い層を適用する。
水性分散液の使用は特に有利である。それは、水性分散液の使用により、一方ではいずれかの選択された手段、特に、所望であれば非常に薄い層を形成しうるという利点を有する吹付によりポリウレタンを付着させることが可能であり、他方ではこの水性分散液の付着が形成される層中で非常に一様な分布のポリウレタン分子を提供し、以下に繰り返すように熱の投入を必要としない反応だからである。
【0010】
これらの利点にもかかわらず、そのような分散液の使用は当業者の標準的な仮説に反する。このことは、極性表面及びポリウレタンとの間に結合を創成しうるのは一般的にはポリウレタンによりもたらされる遊離したイソシアネート基であるのに、遊離したイソシアネート基は水中でポリウレタンの安定性を損なうので、極性表面−ポリウレタン結合の問題がすでに克服すべき困難を構成しているから、水性分散液の可能性を除外することは全く論理的であると思われるからである。
驚くべきことに、1997年9月23〜25日にLyon EurexpoにおいてAd. OVERBEEK EUROCOAT 97 により提出された“New polymer synthesis for (self)crosslinkable urethanes and urethanes/acrylics”と題する情報に記載されているような、アゾメチンの形成または自己酸化により架橋しうる自己架橋性ポリウレタンの場合、塩素化または酸化された極性官能基が単に存在するだけで、たとえ遊離のイソシアネートがなくてもポリウレタンが接着し、かつタイヤが直面する応力及び歪みにもかかわらずそれを保持することを許容するのに十分であることが見いだされた。このことは以下に記載する実施例により更に示されるであろう。更に、そのようなポリウレタンは水性分散液の形で使用しうる。
【0011】
それにもかかわらず、遊離したイソシアネート基が水性分散液の粒子のコアで保護される場合には、遊離したイソシアネート基を含むポリウレタンを使用することが可能である。先行技術である特許願第EP-0 728 810号に記載されているようなコーティングは極性官能基と反応せず、そのような表面処理はそのような組成物には有利ではないということは注目しうる。
分散液に使用するポリウレタンは、脂肪族ポリエーテルまたはポリエステル及び主鎖が半芳香族であるポリエーテルまたはポリエステルから選択されたポリオールから形成され、それはオゾンに対して不活性なコーティングを提供し、タイヤが直面する応力に抵抗するためにゴムのような挙動及びタイヤの弾性に匹敵する弾性を提供するために、このポリウレタンは更に−20℃以下のガラス転移温度及び100%以上の破断点の伸びを有する。
更に好ましくは、破断点の伸びが200%より大きいポリウレタンが選択される。
【0012】
本発明によるポリウレタンのうち、
− ポリエチレンアジペート、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンのようなポリエステルまたはポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールまたはポリヘキサメチレングリコールのようなポリエーテルを基剤とするモル質量が500〜4000gのポリオール、
− トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートのような官能価が2のポリイソシアネート、または前述のジイソシアネートの一の三量化により得られるトリイソシアネートのような官能価が3のポリイソシアネート、またはMDIから誘導される液体ポリイソシアネートのような官能価が2〜3のポリイソシアネート、及び
− 任意にポリウレタン分散液の水性相に溶解しているジアミンまたはジオールのようなエキステンダー、
から得られるポリウレタンについて記載する。
【0013】
選択したポリウレタンがいずれであっても、特に形成される乳濁液の安定性を改良するために、水性分散液に界面活性剤を存在させる必要がある。
これらの界面活性剤は分散液に添加しうるが、カルボキシレート、スルホネート、スルフェートまたはホスホネートのようなアニオン性の極性基が特に有利であると思われる。しかし、その他の界面活性剤を用いたり、ポリウレタンの連鎖により直接もたらされることを考えるのは全く実現可能である。
水性ポリウレタン分散液中のポリウレタン濃度は、保護されるべきタイヤの表面の位置に依存して好ましくは10〜50%である。10%未満の濃度では期待される効果を得るには低すぎるし、50%より多いと分散液が非常に粘性になり適用が困難になるからである。
濃度の選択は、保護される表面が最終的に厚いコーティングを必要とするか否かなに依存する。厚いコーティングを必要とする場合には、適用される層の数を低下させるために、好ましくは高濃度が選択されるであろう。厚いコーティングを必要としない場合には低濃度が選択されるであろう。
【0014】
次いで前記層を処理表面に接着させるために、ポリウレタンが完全にゴム混合物の反応性表面官能基と反応して、水が全て蒸発するまで乾燥させると、保護コーティングが形成される。周囲温度において、乾燥時間は1時間程度であり、その時間は、前述のように、タイヤの表面温度が60℃未満に保持されるような加熱作業、例えば熱風を循環させたり放射加熱することにより数分に短縮しうる。
水性分散液の乾燥後に所望の厚さのコーティングを得るためには、ポリウレタン溶液を1層以上の連続した層で適用するのが有利である。5μm以上の厚さの乾燥コーティングの場合に良好な結果が得られる。
しかしながら、所望の厚さはコーティングが適用される表面に依存して変化するであろう。例えば、タイヤ空気圧による大きな永続的歪みのために停止時でさえオゾンの影響で迅速にひび割れする航空機のタイヤの接地面の縦断面の溝の底部の場合には、100〜500μmの厚さが好ましいであろう。逆に、例えば、タイヤの側面部の外部表面への適用の場合には、5〜50μmの厚さで十分であろう。
もちろん、保護コーティングは、タイヤの地面と永続的に接する部分上では効果的ではない。したがって、接地面の全表面に付着させた場合には、コーティングは使用前には接地面を保護することが可能であり、地面と接しない部分、すなわち特に縦断面の中空(溝)底部では効果が継続するが、地面と直接接する縦断面の山頂を覆うコーティング部分は、すり減るので迅速に破壊される。
【0015】
タイヤの接地面の縦断面の溝底部を保護するための、本発明によるコーティングを有するタイヤの実施例について以下に記載しよう。この実施例は、そのようなコーティングを用いて保護しうるタイヤの表面を決して限定するものではない。
加硫タイヤは、その表面に反応性極性基を有するために官能化された、その外部表面が、創成された官能基との共有結合によりこの表面に接着しているポリウレタン層で被覆されている接地面を含む。したがって、ポリウレタン層は水性ポリウレタン分散液からなるオゾンに対して保護するためのコーティングを構成する。
このコーティングは接地面の全表面、すなわち、縦断面の底部及び地面と直接接する山頂部を覆う。前述のように、縦断面の底部にはコーティングが永続的に残存するのに対し、縦断面の山頂部を覆うコーティングは、接地面の摩耗のために走行中に迅速に消失するであろう。
以下の実施例は本発明を限定することなく説明する。
【0016】
実施例においては、組成物の性質は以下のように評価される。
− “静的耐久強さ”:コーティングの機械的強度の試験、タイヤを40pphmのオゾン下に96時間放置する。
− “動的耐久強さ”:動的応力下におけるコーティングの機械的強度の試験、30%の賦課たわみ(imposed deflection)を有する回転アセンブリで、50km/h、40pphmのオゾン下で6000km。この試験は側面を15%の伸び程度動的表面変形させる。
− “航空機試験”:30470daNの力Zがタイヤに加わる8回の“走行”、1.2Zの力が加わる2回の“走行”、Zの力が加わる50回の“離陸”、1.5Zの力が加わる1回の“離陸”中の動的応力下におけるコーティングの機械的強度の試験。“走行”は65km/hで11kmの移動距離に対応し、“離陸”は380km/hの速度で最低距離3.5kmに対応する。
− “外観”:コーティングの美観の(裸眼による)視覚的検査。
【0017】
実施例に使用した組成物は以下のとおりである。
− 溶液A:AVECIA sasからNeoRez R-560という商標名で市販されている、伸び率が50%未満の脂肪族ポリエステルから調製されたポリウレタンの分散液(濃度38%)。
− 溶液B:AVECIA sasからNeoRez R-550という商標名で市販されている、伸び率が700%より大きい脂肪族ポリエステルから調製されたポリウレタンの分散液(濃度35%)。
− 溶液C:AVECIA sasからNeoRez R-987という商標名で市販されている、伸び率が650%の脂肪族ポリエーテルから調製されたポリウレタンの分散液(濃度40%)。
− TIC 溶液:濃度が3%のトリクロロシアヌル酸の酢酸エチル溶液。
【0018】
実施例1
この実施例においては、本発明によるコーティングの有効性を動的に試験するのに、2バールの圧力に空気を入れた185/65 R14の寸法の乗用車のタイヤを使用した。
対照として作用させるために、タイヤを加硫した後、対照表面であるこのタイヤの一方の側面の表面をそのままにした。
適用した表面であるタイヤのもう一方の側面の表面は、タイヤに空気を入れる前にTIC溶液で処理し、乾燥させ、溶液Aを希釈して20%の濃度にした後この半分に適用した。乾燥後、得られたポリウレタン層は約7μmである。
次いでタイヤをリムに適合させ、2バールの圧力に空気を入れた。
動的耐久強さの試験後、タイヤの側面の外観を観察する。
− 対照表面は完全にひびが入り、ワックスの風解現象が起こっていることを特徴づける光沢のない灰色である。
− コートした表面は、使用したポリウレタンの伸び率が不十分であることを示す損傷がいくらか観察されたが、光沢のあるコーティングを保持していた。
この実施例では、試験したコーティングの可撓性の不足にもかかわらず、オゾンに対して及びタイヤの表面の外観を保持することに関して有効であることが明らかに示されている。
【0019】
実施例2
この実施例においては、保護されていない対照に関して本発明によるコーティングの有効性を比較するために、50*200 R22の寸法の航空機のタイヤを使用した。
タイヤの接地面の縦断面の溝底部3種を以下のように被覆した。
溝底部2:コーティングなし、対照溝底部。
溝底部2B:TIC溶液を適用し、次いで乾燥後、乾燥後に約100μmの厚さが得られるように溶液Bを付着させた。
溝底部2C:溶液Cを用いる以外は溝底部2Bと同一である。
リムに適合させたタイヤに空気を入れて16バールにした後、静的耐久強さの試験で得られた結果を以下の表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
コーティングのない、実際に対照に対応する溝底部2は、静的条件下でさえ、タイヤの空気圧のために永久変形が非常に大きく所々100%に達し、オゾンの作用が非常に効果的であるため、完全にひび割れしていることが観察される。
これに対し、表面が活性化され、それぞれ本発明による溶液B及びCを基剤とするコーティングで被覆された溝底部2B及び2C上では、劣化、すなわちコーティングの層割れも亀裂も観察されない。したがって、これらの溝底部2B及び2Cは、脂肪族ポリエステルまたはポリエーテルを基剤とするポリウレタンのいずれの場合にも、オゾンの効果に対して効果的に保護された。
【0022】
実施例3
この実施例においては、航空機試験を実施するため及びそのようなタイヤの走行及び離陸中の動的変形の本発明によるコーティングの耐久強さに及ぼす影響を研究するために、先行実施例に記載したものと同一のタイヤを使用した。
タイヤの接地面の縦断面の溝底部を以下のように調製した。
溝底部3B及び3Cは、それぞれ先行実施例の溝底部2B及び2Cと同一である。
溝底部3′B及び3′Cは、TIC溶液を用いた表面処理を受けずに、それぞれ溶液B及びCの付着より得られる約100μmの厚さのコーティングで被覆されている。
得られた結果を以下の表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
溝底部3B及び3Cの本発明によるコーティングは通常の大気下で耐え、動的試験における層割れに耐えるが、溝底部3′B及び3′Cを覆うコーティングは遠心力の影響下では層割れし、もはや溝底部を保護せず、大気中に存在するオゾンの影響下ではひび割れする。
したがって、本発明によるポリウレタンコーティングは、これらのコーティング及び保護すべきゴム面間の結合を保持するために、コーティングを付着させる前に保護すべきゴム表面にその後のコーティングとの共有結合を創成させる官能化処理を実施する必要があるけれども、静的及び動的歪みの両方においてオゾンに対して保護する。
Claims (6)
- 実質的に不飽和なジエンエラストマーを基剤とするタイヤの外部表面の少なくとも一部をオゾンに対して保護する方法において、
(a) 加硫タイヤの表面を処理して極性を提供し及びこの表面のエラストマーを官能化する工程、
(b) 少なくとも1層の水性ポリウレタン分散液からなる層をこの処理表面に適用する工程、及び
(c) 保護コーティングが形成されるまでこの層を乾燥させる工程、
を含む方法。 - 前記水性ポリウレタン分散液を周囲温度で適用する請求項1記載の方法。
- 前記水性ポリウレタン分散液からなる層を周囲温度で乾燥する請求項1または2記載の方法。
- 前記水性ポリウレタン分散液が界面活性剤を含み、前記界面活性剤がアニオン性の極性基を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記ポリウレタンが自己架橋性である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記水性ポリウレタン分散液中のポリウレタンの濃度が10乃至50質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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