JP6523147B2 - タイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、外表面に保護膜を有するタイヤ、及びその製造方法に関する。
従来、タイヤのトレッド部、サイドウォール部、ビード部の表面は、ゴム部材で形成されている。ゴム部材は空気中のオゾンに触れると、劣化するため、経年したタイヤ外表面には劣化による微小なクラックが発生しやすく、製品外観が損なわれる場合がある。特に走行中に路面に接せず摩耗しにくいトレッド部の溝部、サイドウォール部、ビード部の外表面でこのクラックが発生しやすい。サイドウォール部の外表面には、各種情報を示す文字、記号、図形等が刻印された情報表示部(凸部)が形成されている。外表面の中でも、溝部(凹部)の端部や、情報表示部(凸部)の端部で、クラックは発生しやすい傾向にある。
タイヤ外表面のクラックの発生を抑制する技術としては、溝部が形成されているトレッド部の外表面に対クラック性にすぐれた薄膜を設ける技術(例えば、特許文献1)や、サイドウォール部にウレタンを主成分とする被膜を設ける技術(例えば、特許文献2)が知られている。
実願昭59−125702号(実開昭61−039604)のマイクロフィルム 特開2004−58752号公報
外観上の別の問題として、ビード部のゴム表面荒れの問題がある。ビード部は複雑な外面形状に成形されることが多い。このため、タイヤ製造時の加硫工程において、ビード部では金型(Mold)とタイヤ表面間のエア抜け性が低下する傾向にある。この場合、エアだまり現象が発生すると、加硫後にゴム表面の荒れが発生する場合がある。
本発明は、ビード部のゴム表面荒れの発生を抑制でき、かつ、空気中のオゾンによるクラックの発生を外表面全体において抑制できるタイヤ、及びそのタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
(1) 本発明に係るタイヤは、トレッド部と、前記トレッド部の両端に連なる一対のサイドウォール部と、前記サイドウォール部に連なる一対のビード部とを備え、前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部とはゴム部材により形成されている。そして、本発明に係るタイヤは、前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部との外表面に、ウレタンを用いて形成された保護膜を設け、前記ビード部の保護膜の平均厚さが、前記サイドウォール部の保護膜の平均厚さ及び前記トレッド部の保護膜の平均厚さよりも厚いことを特徴とする。
(2) 上記(1)に記載のタイヤであって、前記サイドウォール部の保護膜、前記トレッド部の保護膜、前記ビード部の保護膜の順に平均厚さが厚くなっていることを特徴とする。
(3) 上記(2)に記載のタイヤであって、前記サイドウォール部の保護膜の平均厚さは30μm〜100μmであり、前記トレッド部の保護膜の平均厚さは50μm〜150μmであり、前記ビード部の保護膜の平均厚さは100μm〜200μmであることを特徴とする。
(4) 加硫工程を有するタイヤの製造方法であって、前記タイヤは、トレッド部と、前記トレッド部の両端に連なる一対のサイドウォール部と、前記サイドウォール部に連なる一対のビード部とを備え、前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部とはゴム部材により形成されており、ウレタン部材を加硫用金型の内面に配置する、または前記ウレタン部材を加硫前のタイヤの外表面に配置する配置工程を、前記加硫工程の前段に設け、前記加硫工程において、前記加硫用金型を用いて前記ウレタン部材と共に前記加硫前のタイヤを加硫し、加硫されたタイヤの前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部との外表面に、ウレタンを用いた保護膜を形成し、前記配置工程で用いる前記ウレタン部材は、前記ビード部の保護膜となる部分の厚さが、前記サイドウォール部の保護膜となる部分の厚さ及び前記トレッド部の保護膜となる部分の厚さよりも厚いことを特徴とする。
(5) 上記(4)に記載のタイヤの製造方法であって、前記配置工程で用いる前記ウレタン部材は、前記サイドウォール部の保護膜となる部分、前記トレッド部の保護膜となる部分、前記ビード部の保護膜となる部分の順に厚さが厚くなっていることを特徴とする。
本発明は、ビード部のゴム表面荒れの発生を抑制でき、かつ、空気中のオゾンによるクラックの発生を外表面全体において抑制できるタイヤを提供することができる。
図1は、タイヤの一実施形態における幅方向の断面図である。 図2は、タイヤの製造方法の一実施形態における工程を示す図である。
以下に、本発明の実施形態に係るタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
図1に、第1実施形態に係るタイヤの幅方向の断面図を示す。このタイヤ10aは、トレッド部11と、このトレッド部11の両端に連なる一対のサイドウォール部12と、このサイドウォール部12に連なる一対のビード部13とを備えている。トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13とは、ゴム部材により形成されている。ここでは、タイヤ製造時に用いた加硫用金型のサイドモールドの分割位置に対応した位置31よりも接地面側をトレッド部11とする。また、サイドモールドの分割位置に対応した位置31とリムライン32との間をサイドウォール部12とする。リムライン32よりもサイドモールドの分割位置に対応した位置31とは反対側の部分、即ち、リムライン32とビードヒールとの間の領域をビード部13とする。
ここで、リムライン32の位置は、適用リムに装着し、所定内圧を適用した無負荷状態のタイヤにおいて、ビードヒールからタイヤ径方向外方に20.0mmの位置を通ってタイヤ幅方向と平行に延びる仮想線が、タイヤ外表面と交差する位置である。但し、仮想線がタイヤ外表面と交差する位置が、タイヤとリムとの離反点を通るタイヤ幅方向線よりもタイヤ径方向内方に位置する場合には、「リムラインの位置」とは、タイヤとリムとの離反点を通るタイヤ幅方向線が通る位置を指すものとする。また、適用リムとは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格に規定されたリムであり、例えば、日本では、JATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州では、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国では、TRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.) YEAR BOOKに規定されたリムを指す。
一対のビード部13の間にはトロイド状に延在するカーカス14を有している。カーカス14は、ビード部13内に埋設されたビードコア15の周りに、例えば、タイヤ幅方向内側から外側に向けて折り返すことで係止されている。
また、カーカス14のクラウン部14aのタイヤ径方向外側には複数のベルト層からなるベルト16が配置されている。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面CLに対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、複数のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト16を構成する。
トレッド部11の外表面側には、溝41と陸部51とで形成されるトレッドパターンが設けられている。サイドウォール部12の外表面には、各種情報を示す文字、記号、図形等が刻印された情報表示部が形成されている。前述したようにこの溝41や情報表示部で、オゾンによるゴム部材の劣化に伴うクラックが特に発生しやすい。
ビード部13の外表面には、トレッド部11とサイドウォール部12との外表面に比べて、溝や情報表示部は少ないものの、ビード部13の外表面も、トレッド部11とサイドウォール部12との外表面と同様にオゾンに触れるので、クラックが発生する。
本実施形態は、トレッド部11とサイドウォール部12との外表面ばかりでなく、ビード部13の外表面にも、オゾンに対する耐性を有し、オゾンによるクラック発生を防止する保護膜20aを設けている。保護膜20aにおいて、トレッド部11の外表面部分を保護膜21、サイドウォール部12の外表面部分を保護膜22、ビード部13の外表面部分を保護膜23とする。トレッド部11の保護膜21は、溝41の側壁部及び底部にも当然形成される。また、保護膜21は、陸部51に設けられている細かい溝であるサイプ42の外表面にも形成される。サイプ42は、例えば接地面において、タイヤ周方向からやや傾斜した方向に形成されている。サイドウォール部12の保護膜22は、情報表示部の外表面部分にも当然形成される。
保護膜20aには、オゾンに対する耐性を有し、オゾンによるダメージを受けず、オゾンに対するクラック発生防止効果、耐久性に優れたウレタンを用いて形成される保護膜であるウレタン膜を用いた。このウレタン膜は、その硬度が、トレッド部11、サイドウォール部12、ビード部13を形成するゴム部材の外表面側の硬度よりも高い。
保護膜20aにより、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13とを形成するゴム部材の外表面に、オゾンが接触することを防止できる。よって、本実施形態のタイヤは、外表面側のゴム部材のオゾンによる経年劣化を防止して、トレッド部11、サイドウォール部12、及びビード部13の外表面におけるクラック発生を長期にわたり抑制でき、良好な外観を維持できる。
クラック発生を抑制する効果を得るための保護膜20aの厚みは、30μm〜200μm程度が好適である。30μmよりも小さいと抑制効果が弱く、200μm以上では抑制効果はほぼ一定ではほとんど増加しなくなる。
ここで、ビード部13は、複雑な外面形状に成形されることが多い。このため、タイヤ製造時の加硫工程において、ビード部13では金型(Mold)とタイヤ外表面との間のエア抜け性が低下する傾向にある。この場合、エアだまり現象が発生すると、金型(Mold)とタイヤ表面間が接しない部分が生じ、加硫後にゴム表面の荒れがビード部13に発生する場合がある。このゴム表面荒れは、タイヤの外観低下につながる。
そこで、本発明者は、クラック発生を抑制するために設けるウレタンを用いて形成される保護膜(ウレタン膜)20aを、ビード部13のゴム表面荒れの発生を抑制するためにも用いることができるように開発を行った。そして、タイヤ製造時の加硫工程において、ウレタン膜を保護膜20aとして形成することが、上述のエア抜け性を向上させ、エアだまり現象の発生を抑制させるために、極めて有効であることを見出した。加硫工程の前段の工程において、加硫前のタイヤの外表面の所定部分に、スポンジ状態のウレタン部材(発泡ウレタン)を配置する。即ち、加硫前のタイヤ外表面において、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13とのそれぞれに相当する部分に、スポンジ状態のウレタン部材を配置しておく。または、加硫装置に備える加硫用金型の内面において、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13とのそれぞれに対応する部分に、スポンジ状態のウレタン部材を配置する。その後、加硫工程において、ウレタン部材と共に加硫前のタイヤを加硫し、ウレタン部材を薄膜化して、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13との外表面に、それぞれ所定厚さのウレタン膜である保護膜20aを形成する。トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13との各保護膜21,22,23の膜厚に応じて、加硫前に各部に配置するウレタン部材の厚みを調整しておく。
ウレタン膜(保護膜20a)は加硫後においても表面に微細な凹凸が残るため、金型(Mold)とタイヤ外表面との間のエア抜け性を向上させ、エアだまり現象の発生を抑制できる。これにより、保護膜20aはビード部13のゴム表面荒れの発生を抑制できる。ビード部13のゴム表面荒れの発生を抑制するために好適な、ビード部13における保護膜23の平均厚さは、100μm〜200μm程度である。この平均厚さであれば、当然十分なクラック発生の抑制効果も得られる。
トレッド部11の保護膜21の平均厚さ、サイドウォール部12の保護膜22の平均厚さは、クラック発生の抑制効果が得られる程度の厚さであればよい。よって、保護膜21、22の平均厚さは、ビード部13の保護膜23の平均厚さよりも薄いものでよく、30μm〜150μm程度でよい。
このように、本実施形態のタイヤは、ビード部13のゴム表面荒れの発生を抑制して、より一層良好な外観が得られ、かつ、空気中のオゾンによるクラックの発生を外表面全体において長期にわたり抑制して、良好な外観を長期間維持できる。
なお、本実施形態において、保護膜20aの各部の平均厚さは、次のようにして測定した値である。まず、タイヤをタイヤ幅方向に切断し、タイヤ幅方向断面を撮影する。得られた画像において、ゴム部材の外表面と保護膜100との界面上の2点a、bを線分a、bの長さが1mmとなるようにそれぞれ定め、上記2点a、b間の保護膜の厚さの平均値を測定した。
本実施形態のタイヤの製造方法について図2と共に説明する。図2は、タイヤの製造方法の一実施形態における工程を示す図である。混合工程S101、パーツ作成工程S102、成型工程S103、検査工程S106は従来と同様の工程である。配置工程S104によりウレタン部材を配置して、加硫工程S105において保護膜20aを形成する点が従来と異なる。
混合工程S101では、天然ゴム、合成ゴムなどの原材料と、カーボンブラック、硫黄、亜鉛華などの配合剤を混合する。パーツ作成工程S102では、混合されたゴム材料からカーカス部(補強するベルト部を含む)、ビード部、トレッド部の各パーツを別々に加工して作成する。成型工程S103では、作成されたカーカス部(補強するベルト部を含む)、ビード部、トレッド部の各パーツを成型機で貼り合わせて一本のタイヤの形に組み上げる。
配置工程S104では、加硫装置に備える加硫用金型の内面において、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13とのそれぞれに対応する部分に、スポンジ状態のウレタン部材(発泡ウレタン)を配置する。または、成型工程S103で組み上げられた加硫前のタイヤ(生タイヤ)の外表面において、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13とのそれぞれに相当する部分に、スポンジ状態のウレタン部材を配置しておく。
加硫工程S105では、加硫用金型に加硫前のタイヤを入れてウレタン部材と共に加熱・加圧し、タイヤを加硫させる。加硫用金型の内面にウレタン部材を配置した場合には、ウレタン部材を配置していない加硫前のタイヤをその加硫用金型に入れて加硫を行う。加硫前のタイヤにウレタン部材を配置した場合には、ウレタン部材を配置していない加硫用金型に、ウレタン部材を配置した加硫前のタイヤ入れて加硫を行う。この加硫によって、耐久性と弾力性があり、トレッドパターン、情報表示部(文字、記号、図形等が刻印された部分)の施されたタイヤに仕上げる。それと同時に、ウレタン部材を薄膜化して、トレッド部11とサイドウォール部12とビード部13との外表面に、それぞれ所定厚さのウレタン膜(保護膜20a)を形成する。検査工程S106では、目視・官能検査、検査装置による品質チェックが行われる。
なお、配置されるウレタン部材は、ビード部13の保護膜23となる部分の厚さが、サイドウォール部12の保護膜22となる部分の厚さ及びトレッド部11の保護膜21となる部分の厚さよりも厚くなるようにしておく。これにより、ビード部13の保護膜23の平均厚さが、サイドウォール部12の保護膜22の平均厚さ及びトレッド部11の保護膜21の平均厚さよりも厚くなるように保護膜20aが形成される。
次に、タイヤの第2実施形態について説明する。この第2実施形態は第1実施形態と同様の構造を有し、サイドウォール部12よりもトレッド部11でクラックの発生をより効果的に抑制できるように、トレッド部11の保護膜21の平均厚さと、サイドウォール部12の保護膜22の平均厚さとをより詳細に規定したものである。本実施形態のビード部13の保護膜23は上述の第1実施形態と同一である。この第2実施形態では、サイドウォール部12の保護膜22、トレッド部11の保護膜21、ビード部13の保護膜23の順に平均厚さが厚くなるように保護膜20aを形成している。この場合、配置工程S104で用いられるウレタン部材は、サイドウォール部12の保護膜22となる部分、前記トレッド部11の保護膜21となる部分、前記ビード部13の保護膜23となる部分の順に厚さが厚くなるようになされており、これにより、保護膜20aが形成される。
ウレタン膜である保護膜20aの硬度は、前述したように、トレッド部11を形成するゴム部材の外表面側の硬度よりも高い。よって、トレッド部11の保護膜21の厚さによっては、トレッド部11において保護膜21により、接地面のウエット時の摩擦係数(μ)が低下することもあり、制動距離の増加につながる場合も考えられる。ここで、トレッド部11の接地面(主に陸部51の表面)の保護膜21は、タイヤ10aを車両に装着してある程度の距離を走行させることにより、摩耗してなくなる。接地面の保護膜21が摩耗してなくなれば、トレッド部11のゴム部材(トレッドゴム)による通常の良好なウエット時の摩擦係数(μ)に回復する。トレッド部11の溝41の側壁部及び底部に形成された保護膜21、トレッド部11のサイプ42の外表面に形成された保護膜21は、走行後においても残る。そこで、トレッド部11の溝41、サイプ42におけるクラックの発生抑制の度合いと、ウエット時の摩擦係数(μ)の低下期間との双方を考慮して、さらには、ビード部13の保護膜23よりも平均厚さが薄くなるようして、保護膜21の厚さを決定する。トレッド部11の溝41、サイプ42において、所定レベル以上のクラックの発生抑制効果が得られ、かつ、所定走行距離以内でウエット時の摩擦係数(μ)が保護膜21がない状態の良好な値に回復する保護膜21の平均厚さとしては、50μm〜150μmが好適である。
また、ウレタン膜である保護膜20aの硬度は、前述したように、サイドウォール部12を形成するゴム部材の外表面側の硬度よりも高い。よって、サイドウォール部12の保護膜22の厚さによっては、サイドウォール部12において保護膜22により縦バネ成分(タイヤ半径方向のばね定数)が増加することもあり、乗り心地が低下する場合も考えられる。そこで、クラックの発生抑制の度合いと、縦バネ成分の増加による乗り心地低下との双方を考慮して、保護膜22の厚さを決定する。さらには、サイドウォール部12よりもトレッド部11でクラックの発生をより効果的に抑制するように、保護膜22の平均厚さを保護膜21の平均厚さよりも薄くなるように決定する。サイドウォール部12として、所定レベル以上のクラックの発生抑制効果が得られ、かつ、所定のレベル以上の乗り心地が得られる保護膜22の平均厚さとしては、30μm〜100μmが好適である。
本実施形態においては、第1実施形態による効果に加えて、保護膜20aによるタイヤの基本的な性能への影響を抑制でき、ウエット時の摩擦係数(μ)の良好な値への早期回復と、良好な乗り心地の確保とを実現できる。
上述の第2実施形態では、サイドウォール部12よりもトレッド部11でクラックの発生をより効果的に抑制できるように、トレッド部11の保護膜21をサイドウォール部12の保護膜22よりも厚くなるようにした。逆に、トレッド部11よりもサイドウォール部12でのクラックの発生をより効果的に抑制できるように、サイドウォール部12の保護膜22をトレッド部11の保護膜21よりも厚くなるようにしてもよい。この場合、保護膜22の平均厚さとしては、50μm〜150μmが好適であり、保護膜21の平均厚さとしては、30μm〜100μmが好適である。この実施形態においても、第1実施形態による効果に加えて、保護膜20aによるタイヤの基本的な性能への影響を抑制でき、ウエット時の摩擦係数(μ)の良好な値への早期回復と、良好な乗り心地の確保とを実現できる。
次に、実施形態に関する実施例と比較例とについて説明する。各実施例、比較例のタイヤサイズは何れも195/65 R15である。
[実施例1] 第2実施形態において、トレッド部11の保護膜21の平均厚さを50μm、サイドウォール部12の保護膜22の平均厚さを30μm、ビード部13の保護膜23の平均厚さを100μmとしたものである。
[実施例2] 第2実施形態において、トレッド部11の保護膜21の平均厚さを100μm、サイドウォール部12の保護膜22の平均厚さを50μm、ビード部13の保護膜23の平均厚さを150μmとしたものである。
[実施例3] 第2実施形態において、トレッド部11の保護膜21の平均厚さを150μm、サイドウォール部12の保護膜22の平均厚さを100μm、ビード部13の保護膜23の平均厚さを200μmとしたものである。
[比較例1] 保護膜20aを設けていない従来のタイヤである。
[比較例2] 保護膜20aの各部の平均厚み以外は第2実施形態と同様の構造を有するタイヤであり、トレッド部11の保護膜の平均厚さを150μm、サイドウォール部12の保護膜の平均厚さを100μm、ビード部13の保護膜23の平均厚さを90μmとしたものである。
これらの実施例、比較例の各試験タイヤについて、以下の各評価を行った結果を表1に示す。
[クラック発生の抑制評価]
試験タイヤを車両で規定される内圧にて装着し、3年間に相当する走行をさせる。トレッド部、サイド部、ビード部でのクラックの発生レベルを目視で評価した。レベルとしては0(クラック発生無し)から6(タイヤ交換要)までの7段階で評価した。数字が低いレベルほど、クラック発生の抑制効果が高い。今回は、4以下の発生レベルで、所定のレベル以上のクラックの発生抑制効果が得られるものとする。3以下の発生レベルがより望ましい。
[ゴム表面荒れ発生の抑制評価]
加硫後のビード部13の表面荒れ度合を、目視により、1(全く問題なし)、2(OKレベル)、3(やや難あり)の3段階で評価した。
[ウエット時摩擦係数(μ)の回復評価]
試験タイヤを車両で規定される内圧にて装着し、トレッド部11の接地面における保護膜21が完全に摩耗してなくなるまで(完摩するまで)の走行距離を計測する。完摩するまでの走行距離が500km未満のものを良好な早期回復と判定(ウエット時摩擦係数(μ)の低下期間に対する良好な抑制効果ありと判定)し、完摩するまでの走行距離が500km以上のものを早期回復に難ありと判定(ウエット時摩擦係数(μ)の低下期間に対する抑制効果に難ありと判定)する。表1においては、完摩するまでの走行距離が500km未満のものを「○」で示し、完摩するまでの走行距離が500km以上のものを「△」で示すこととする。
[乗り心地評価]
試験タイヤを車両で規定される内圧にて装着し、テストコースにてドライバーによる官能評価を実施した。評価点数を1〜10点とし、点数が高いほど乗り心地が良いことを示すものとした。今回は評価点数5以上で、所定のレベル以上の乗り心地が得られるものとする。
Figure 0006523147
表1に示す通り、第2実施形態に関する実施例1〜3のタイヤは、比較例1のタイヤに比べて、空気中のオゾンによる外表面全体のクラックの発生を長期にわたり抑制して、良好な外観を長期間維持できる。さらに、実施例1〜3のタイヤは、比較例1、2のタイヤに比べて、ビード部のゴム表面荒れの発生を抑制して、より一層良好な外観が得られるようになる。このように実施例1〜3のタイヤは、ビード部のゴム表面荒れの発生抑制とクラックの発生抑制との両立が図れ、より一層良好な外観が得られると共に、その良好な外観を長期にわたり維持できる
また、実施例1〜3のタイヤは、上記効果に加えて、サイドウォール部よりもトレッド部においてより一層効果的にクラック発生を抑制できると共に、保護膜20aによるタイヤの基本的な性能への影響を抑制でき、ウエット時の摩擦係数(μ)の良好な値への早期回復と良好な乗り心地の確保とを実現できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
10a タイヤ
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
14 カーカス
15 ビードコア
16 ベルト
20a 保護膜
21 トレッド部の保護膜
22 サイドウォール部の保護膜
23 ビード部の保護膜
31 サイドモールドの分割位置に対応した位置
32 リムライン
41 溝
42 サイプ
51 陸部

Claims (5)

  1. トレッド部と、前記トレッド部の両端に連なる一対のサイドウォール部と、前記サイドウォール部に連なる一対のビード部とを備え、前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部とはゴム部材により形成されているタイヤであって、
    前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部との外表面に、ウレタンを用いて形成された保護膜を設け、前記ビード部の保護膜の平均厚さが、前記サイドウォール部の保護膜の平均厚さ及び前記トレッド部の保護膜の平均厚さよりも厚いことを特徴とするタイヤ。
  2. 請求項1に記載のタイヤであって、
    前記サイドウォール部の保護膜、前記トレッド部の保護膜、前記ビード部の保護膜の順に平均厚さが厚くなっていることを特徴とするタイヤ。
  3. 請求項2に記載のタイヤであって、
    前記サイドウォール部の保護膜の平均厚さは30μm〜100μmであり、前記トレッド部の保護膜の平均厚さは50μm〜150μmであり、前記ビード部の保護膜の平均厚さは100μm〜200μmであることを特徴とするタイヤ。
  4. 加硫工程を有するタイヤの製造方法であって、
    前記タイヤは、トレッド部と、前記トレッド部の両端に連なる一対のサイドウォール部と、前記サイドウォール部に連なる一対のビード部とを備え、前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部とはゴム部材により形成されており、
    ウレタン部材を加硫用金型の内面に配置する、または前記ウレタン部材を加硫前のタイヤの外表面に配置する配置工程を、前記加硫工程の前段に設け、
    前記加硫工程において、前記加硫用金型を用いて前記ウレタン部材と共に前記加硫前のタイヤを加硫し、加硫されたタイヤの前記トレッド部と前記サイドウォール部と前記ビード部との外表面に、ウレタンを用いた保護膜を形成し、
    前記配置工程で用いる前記ウレタン部材は、前記ビード部の保護膜となる部分の厚さが、前記サイドウォール部の保護膜となる部分の厚さ及び前記トレッド部の保護膜となる部分の厚さよりも厚いことを特徴とするタイヤの製造方法。
  5. 請求項4に記載のタイヤの製造方法であって、
    前記配置工程で用いる前記ウレタン部材は、前記サイドウォール部の保護膜となる部分、前記トレッド部の保護膜となる部分、前記ビード部の保護膜となる部分の順に厚さが厚くなっていることを特徴とするタイヤの製造方法。
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