JP4768938B2 - エポキシ樹脂発泡体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂発泡体に関し、特に、高難燃性、耐火性のエポキシ樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂発泡体は、断熱性に優れ、建築材料、自動車等の輸送機器、包装材料、家庭用品、その他の広範な用途に使用されている。このような樹脂発泡体には、熱可塑性樹脂発泡体として、ポリオレフィン系樹脂発泡体、ポリスチレン系樹脂発泡体が、また、熱硬化性樹脂発泡体としては、ポリウレタン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、ユリア樹脂発泡体、エポキシ樹脂発泡体等が一般に用いられている。中でも、エポキシ樹脂は、接着性、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性、機械的強度、電気絶縁性に優れており、各種エポキシ樹脂発泡体が提案されている。
【0003】
例えば、特開平1−197553号公報には、エポキシ樹脂、アミン系硬化剤、硬化促進剤及び無機充填剤からなる発泡用エポキシ樹脂組成物が開示されている。このようなエポキシ樹脂発泡体は、その特性から、目地材、シーリング材またはコーキング材等として使用されている。しかしながら、金属サイディングや内外壁管の断熱材等の建築材料として用いられる際には、難燃性さらには耐火性を有することが望まれている。
【0004】
難燃性を有するエポキシ樹脂発泡体として、特開平9−227709号公報には、エポキシ樹脂、リン酸類、発泡剤、整泡剤からなるエポキシ樹脂発泡体が開示されている。しかしながら、この発泡体は、エポキシ樹脂とリン酸を反応させる際の反応熱を利用する発泡、硬化と同時にリン酸類が樹脂骨格にとり込まれて難燃性が付与されるため、取り込まれるリン酸の量が制限されており、その結果難燃性は十分であるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、高難燃性または耐火性を有するエポキシ樹脂発泡体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究をすすめた結果、エポキシ樹脂にリン化合物、特定の熱膨張性黒鉛、無機充填剤、発泡剤を特定量配合した樹脂組成物を発泡させたエポキシ樹脂発泡体が難燃性、耐火性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及び発泡剤を含有し、それぞれの含有量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物が25〜200重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛が10〜150重量部、無機充填剤が10〜200重量部、及び発泡剤が2〜50重量部であり、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及び発泡剤の合計が50〜500重量部であり、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との重量比が10:1〜1:10である樹脂組成物を発泡させてなることを特徴とするエポキシ樹脂発泡体が提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、リン化合物が、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つのリン化合物であることを特徴とする第1発明に記載のエポキシ樹脂発泡体が提供される。
【0010】
【化2】
(式中、Rl及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。)
【0011】
また、本発明の第3の発明によれば、無機充填剤が、含水無機物及び/又は金属炭酸塩であることを特徴とする第1または2の発明に記載のエポキシ樹脂発泡体が提供される。
【0012】
【発明の実施の態様】
本発明のエポキシ樹脂発泡体の樹脂組成物構成成分、製法等を以下に詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基をもつモノマーと硬化剤とを反応させることにより得られる。
【0014】
上記エポキシ基をもつモノマーとしては、2官能のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型等のものが挙げられる。
【0015】
上記2官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6−ヘキサンジオール型、トリメチロールプロパン型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、プロピレンオキサイド−ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型等のモノマーが例示される。
【0016】
上記グリシジルエステル型のモノマーとしては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p−オキシ安息香酸型等のモノマーが例示される。
【0017】
また、上記多官能のグリシジルエーテル型のモノマーとしては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等のモノマーが例示される。
【0018】
上記エポキシ基をもつモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記硬化剤は、重付加型、触媒型のものが挙げられる。
【0020】
重付加型の硬化剤としては、例えば、アミン類、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等が例示される。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸、ルイス塩基等が例示される。
【0021】
また、上記エポキシ樹脂には、他の樹脂が添加されてもよい。他の樹脂の添加量が多くなると、エポキシ樹脂の効果が発現されなくなるので、エポキシ樹脂1に対して他の樹脂の添加量は5(重量比)以下が好ましい。
【0022】
エポキシ樹脂の硬化方法は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。
【0023】
本発明で用いるリン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、難燃性、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の面から、ポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
【0024】
【化3】
【0025】
式(1)中、Rl及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
【0026】
上記赤リンは、少量の添加で難燃効果を向上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好適に用いられる。
【0027】
上記ポリリン酸アンモニウム類としては、特に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いられる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」等が挙げられる。
【0028】
上記一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。中でも、t−ブチルホスホン酸は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0029】
本発明で用いる中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0030】
上述のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和することにより、上記中和処理された熱膨張性黒鉛が得られる。
【0031】
上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
【0032】
上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
【0033】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が、200メッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定の耐火断熱層が得られず、また、20メッシュより大きくなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、樹脂分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の低下が避けられない。
【0034】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカットGREP−EG」、UCAR Carbon社製「GRAFGurad」等が挙げられる。
【0035】
本発明で用いられる無機充填剤としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。中でも、含水無機物及び金属炭酸塩が好ましい。
【0036】
含水無機物の水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等は、加熱時の脱水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点で特に好ましい。また、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得られることから、併用することが好ましい。
【0037】
上記金属炭酸塩は、上記リン化合物との反応で膨張を促すと考えられ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウムを使用した場合に、高い難燃効果が得られる。
【0038】
また、上記金属炭酸塩の中では、更に、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸亜鉛等の周期律表IIb族金属の炭酸塩が好ましい。
【0039】
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜400μmが好ましく、より望ましくは約1〜100μmである。上記無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の小さいのが望ましいが、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。上記無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高くなり成型性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、粒径の大きいものが好ましい。粒径が400μmを超えると、成型体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
【0040】
上記無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウムでは、粒径1μmの「H−42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「H−31」(昭和電工社製)、及び、炭酸カルシウムである粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(備北粉化社製)、粒経8μmの「BF300」(備北粉化社製)等が挙げられる。
【0041】
上記無機充填剤は、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。また、粒径の大きい無機充填剤と粒径の小さいものを組み合わせて使用することがより好ましく、組み合わせて用いることによって、樹脂発泡体の力学的性能を維持したまま、高充填化することが可能となる。
【0042】
本発明で用いる発泡剤は、上記熱膨張性黒鉛の膨張温度より低い分解温度を示し、その分解温度以上の温度に加熱したとき、ガスを発生するものであればよく、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等の有機系発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤が挙げられる。
【0043】
本発明のエポキシ樹脂発泡体用の樹脂組成物における、各構成成分の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物は25〜200重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛は10〜150重量部、無機充填剤は10〜200重量部、及び発泡剤は2〜50重量部である。
【0044】
上記リン化合物の配合量が25重量部未満では、十分な難燃性、耐火性が得られず、200重量部を超えると機械的物性の低下が大きく使用に耐えられなくなる。
【0045】
上記中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量が10重量部未満であると、十分な難燃性、耐火性が得られず、150重量部を超えると、機械的物性の低下が大きく使用に耐えられなくなる。
【0046】
上記無機充填剤の配合量が10重量部未満であると、十分な難燃性、耐火性が得られず、200重量部を超えると、機械的物性の低下が大きく使用に耐えられなくなる。
【0047】
上記発泡剤の配合量は、発泡体の用途に基づく要求性能によって発泡倍率は異なるが、2重量部未満であると十分な発泡が行えず、50重量部を超えると発泡体を得ることが困難になる。
【0048】
さらに、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤及び発泡剤の合計量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、50〜500重量部である。リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤及び発泡剤の合計量が50重量部未満であると、十分な難燃性、耐火性が得られず、500重量部を超えると機械的物性の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。
【0049】
特に、本発明のエポキシ樹脂発泡体用の樹脂組成物においては、中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物とを組み合わせることにより、燃焼時の形状を保持し、燃焼時の熱膨張性黒鉛の飛散を抑え、難燃性、耐火性の向上を図ることができる。中和処理された熱膨張性黒鉛とリン化合物との重量比は、10:1〜1:10が好ましく、より好ましくは5:1〜1:5である。中和処理された熱膨張性黒鉛の量が多すぎると燃焼時に膨張した黒鉛が飛散して膨張断熱層が形成されない。一方、リン化合物が多すぎると、加熱時に十分な難燃性、耐火性が発揮されない。上記範囲にすることにより形状保持性の大きい用途形態に使用することができる。
【0050】
本発明の樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等が添加されてもよい。
【0051】
本発明のエポキシ樹脂発泡体は、上記樹脂組成物を成形加工後発泡させて得ることができる。すなわち、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール、遊星式攪拌機等の公知の装置を用いて、エポキシ樹脂の完全架橋が起こらず、かつ発泡剤が分解しない温度以下で混練した後、つづいて適宜形状、例えば、シート状に成形する。成形方法としては、例えば、プレス成形、押出成形、射出成形、コーター成形等の従来公知の成形方法が挙げられる。成形の際、エポキシ樹脂と硬化剤が反応して変形しなくなるまで加熱して架橋し、続いて発泡剤が発泡する温度以上に加熱して樹脂発泡体が得られる。発泡は、熱風、赤外線、メタルバス、オイルバス等により加温し、これらの成形および発泡工程は連続に行ってもよく、又バッチ式で行ってもよい。架橋発泡工程の際に、樹脂発泡体の用途の要求品質により、架橋の度合、発泡倍率の度合を調整することができる。
【0052】
本発明のエポキシ樹脂発泡体は、エポキシ樹脂、リン化合物、中和された熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤の各成分がそれぞれの性能を発揮することにより、難燃性、耐火性を発揮する。具体的には、燃焼時に熱膨張性黒鉛が膨張し、リン化合物が存在することにより強固な膨張断熱層を形成して、火源からの輻射熱の抑制や発泡体の熱分解物の拡散を抑制し、難燃性、耐火性を発揮する。その際、エポキシ樹脂を用いているため、樹脂分もチャー(炭化)層を形成し、膨張性断熱層として寄与する。また、無機充填剤は、その際に熱容量を増大させる効果があり、特に含水無機物は燃焼時に冷却水を発生し、温度上昇を抑制するため、難燃・耐火効果を発揮する。さらに、金属炭酸塩はリン化合物との反応により、膨張断熱層をより強固なものにするため、難燃・耐火効果を向上させる。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、実施例における性能評価方法は、次の通りである。
【0054】
(1)難燃性:JIS K 7201に準拠して、樹脂発泡体の酸素指数を測定した。
(2)発泡状態:樹脂発泡体の横断面、縦断面をランダムに各5視野を測定し、気泡の径が微細で均質であるか否か、その発泡体の状態によってシートの外観に悪影響があるか否かを目視により観察し、良好な場合は○、不良の場合は×とした。
(3)外観:樹脂発泡体の表面の平滑度、変色等を総合的に目視により観察し、良好な場合は○、不良の場合は×とした。
(4)耐火性:発泡体を500℃に加熱したホットプレート上に設置し、60分間加熱した時の裏面温度を測定し、裏面温度が260℃を超えなかった場合は○、260℃を超えた場合は×とした。
【0055】
実施例1
ビスフェノールF型エポキシモノマー(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート807」)40重量部、ジアミン系硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「エピキュアFL052」)60重量部、ポリリン酸アンモニウム(ヘキスト社製「AP−422」)100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)50重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「H−31」)100重量部、アゾジカルボンアミド(永和化成製「ビニホールFZ#80」)5重量部を混練ロールで混練して、エポキシ樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を、加熱プレスにてシート成形した後、80℃、15分間プレスにて加熱し、厚さ2.5mmのシートを得た。作製したシートを160℃のオーブンにて加熱発泡して、エポキシ樹脂発泡体を得た。得られた発泡体の性能評価の結果を表1に示す。
【0056】
実施例2
ビスフェノールF型エポキシモノマー(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート807」)100重量部、ヘキサメチレンジアミン(和光純薬社製)17重量部、t−ブチルホスホン酸(和光純薬社製)30重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)50重量部、炭酸カルシウム(備北粉化社製「ホワイトンBF−300」)50重量部、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(永和化成製「ネオセルボンN#1000S」)10重量部を遊星式攪拌機で混練して、エポキシ樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を、加熱プレスにてシート成形した後、60℃、10分間プレスにて加熱し、厚さ2.5mmのシートを得た。作製したシートを160℃のオーブンにて加熱発泡して、エポキシ樹脂発泡体を得た。得られた発泡体の性能評価の結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
ウレタン変性ビスフェノールA型エポキシモノマー(ジャパンエポキシレジン社製「E292」)45重量部、ジアミン系硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「エピキュアFL052」)55重量部、赤リン(ヘキスト社製「EXOLIT PR602」)50重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)80重量部、水酸化マグネシウム(協和化学社製「キスマ5A」)70重量部、炭酸ストロンチウム(堺化学社製)50重量部、炭酸水素ナトリウム(永和化成製「セルボンSCP」)20重量部を混練ロールで混練して、エポキシ樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を、ロールコートにてシート成形した後、100℃、5分間にて加熱し、厚さ2.5mmのシートを得た。作製したシートを180℃のオーブンにて加熱発泡して、エポキシ樹脂発泡体を得た。得られた発泡体の性能評価の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂発泡体は、上述の構成であり、加熱時に膨張断熱層を形成して、高難燃性、耐火性を発現するため、建築材料等の幅広い用途に使用可能である。
Claims (3)
- エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及び発泡剤を含有し、それぞれの含有量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物が25〜200重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛が10〜150重量部、無機充填剤が10〜200重量部、及び発泡剤が2〜50重量部であり、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及び発泡剤の合計が50〜500重量部であり、リン化合物と中和処理された熱膨張性黒鉛との重量比が10:1〜1:10である樹脂組成物を発泡させてなることを特徴とするエポキシ樹脂発泡体。
- 無機充填剤が、含水無機物及び/又は金属炭酸塩であることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ樹脂発泡体。
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