JP4735071B2 - 電子部品の製造方法および電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品の製造方法および電子部品に係り、さらに詳しくは、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層電子部品の薄層化を実現することができる電子部品の製造方法と、その製造方法により得られる電子部品に関する。
電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に複数配置された積層構造の素子本体と、この素子本体の両端部に形成された一対の外部端子電極とで構成される。
この積層セラミックコンデンサは、まず、焼成後に誘電体層となるグリーンシートと、焼成後に内部電極層となる焼成前電極膜と、を必要枚数だけ交互に複数積層させて焼成前素子本体を製造し、次に、これを焼成した後、焼成後素子本体の両端部に一対の外部端子電極を形成して製造される。なお、グリーンシートおよび焼成前電極膜は、通常バインダが含有されている。そのため、焼成前素子本体は、通常、バインダを除去するための熱処理(脱バインダ処理)を行った後に、焼成されることとなる。
一方、近年、各種電子機器の小型化により、電子機器の内部に装着される電子部品の小型化および高性能化が進んでおり、積層セラミックコンデンサも小型化、高容量化が求められている。このような小型化および高容量化を進めるために、積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層および内部電極層の薄層化が強く求められており、最近では、これらの厚みが数μm以下になってきた。
このような誘電体層や内部電極層の薄層化に伴い、それぞれ焼成後に誘電体層および内部電極層を形成することとなるグリーンシートおよび焼成前電極膜も薄層化する必要がある。一方で、グリーンシート、焼成前電極膜を薄層化すると、以下のような問題があった。すなわち、グリーンシートを薄層化すると、ピンホール等の構造欠陥が発生し易くなり、不良率が悪化してしまうという問題があった。また、焼成前電極膜を薄層化すると、焼成後の内部電極層のライン性が悪化し、電極被覆率が低下し、結果として容量が低下してしまうという問題があった。
そのため、これらの問題を解決するために、グリーンシートおよび焼成前電極膜の高密度化が図られている。しかしながら、このようにグリーンシートおよび焼成前電極膜を高密度化すると、上述の脱バインダ処理時に発生するガスの影響により、焼成前素子本体にクラックが発生してしまうという不具合があった。特に、グリーンシートおよび焼成前電極膜の高密度化に加えて、これらの積層数を100層以上と多層化した場合には、このようなクラックの問題が顕著となっていた。
また、近年、グリーンシート上に内部電極用ペーストを使用して、焼成前電極膜を形成する際に、内部電極用ペーストに含有されている溶剤が、グリーンシートを浸食してしまうといういわゆるシートアタック現象を防止するために、乾式転写工法が開発された(たとえば、特許文献1)。
この工法では、まず支持フィルム上に形成された剥離層の上に焼成前電極膜と、電極形成による段差を解消するための余白層と、を形成する。次に別の支持フィルム上に接着性を有する樹脂層(接着層)を形成し、これを焼成前電極膜・余白層上に熱圧着により転写し、接着層側の支持フィルムを剥離する。そして、さらに別の支持フィルム上にグリーンシートを形成し、このグリーンシートを、焼成前電極膜・余白層上の接着層上に熱圧着により転写する。この乾式転写工法では、剥離層・焼成前電極膜・余白層・樹脂層・誘電体層を一体とし順次積層していくため、シートアタックの発生を有効に防止することが可能となる。
しかしながら、この乾式転写工法では、従来のようなグリーンシート上に、直接、焼成前電極膜を形成する工法と比較して、接着層としての樹脂層を有している。そのため、焼成前素子本体における樹脂量が増加することとなり、上述の脱バインダ処理時のクラックの発生率が高くなってしまう傾向にあった。
特開2004−303976号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、積層セラミックコンデンサなどの電子部品を小型化、多層化、および高容量化した場合において、焼成後の内部電極層の電極被覆率を高く保ちつつ、しかも、脱バインダ処理時に発生するクラックの抑制された電子部品を製造するための方法、およびこの製造方法により得られる電子部品を提供することである。
本発明者等は、積層セラミックコンデンサなどの電子部品の製造に際して、焼成後に内部電極層を形成することとなる焼成前電極膜の空隙率を所定範囲に制御することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る電子部品の製造方法は、
内部電極層を有する電子部品を製造する方法であって、
導電体粉末と、溶媒と、バインダと、を含有する内部電極用ペーストを準備する工程と、
前記内部電極用ペーストを塗布し、その後、乾燥させて、焼成後に前記内部電極層を形成することになる焼成前電極膜を形成する工程と、を有し、
乾燥後の前記焼成前電極膜の空隙率を、5〜25%とする。
本発明において、前記空隙率とは、焼成前電極膜全体に対する空隙の体積比を意味する。この空隙率は、焼成前電極膜を構成する溶媒以外の成分(すなわち、不揮発成分)の比重と配合重量とから計算される理論密度に対する、実際に形成された焼成前電極膜の実効密度(すなわち、実際の密度)の比から算出することができる。具体的には、理論密度に対する実効密度の比を充填率(充填率(%)=実効密度/理論密度×100)とした場合に、空隙率は、空隙率(%)=100(%)−充填率(%)となる。
本発明においては、前記焼成前電極膜をプレスする工程をさらに有し、
プレス後の焼成前電極膜の単位体積当たりの重量密度を、プレス前の焼成前電極膜の単位体積当たりの重量密度と比較して、3〜20%向上させるようにプレスすることが好ましい。
あるいは、前記焼成前電極膜をプレスする工程をさらに有し、
プレス後の焼成前電極膜の空隙率が、2〜20%となるようにプレスすることが好ましい。
前記焼成前電極膜を、プレスして重量密度を3〜20%向上させるか、あるいは、空隙率が2〜20%となるようにすることにより、焼成後における内部電極層の電極被覆率を向上させることができる。
好ましくは、プレス後の前記焼成前電極膜を加熱して、前記焼成前電極膜に含有されているバインダを除去する工程をさらに有し、
バインダを除去した後の前記焼成前電極膜の空隙率が5〜25%となるように脱バインダする。
前記脱バインダ後の前記焼成前電極膜の空隙率は、脱バインダ処理により除去されるバインダなどの成分を除いた後の空隙率を意味する。
本発明においては、前記内部電極用ペーストが、無機酸化物粉末をさらに含有していることが好ましい。
より好ましくは、前記内部電極用ペーストが、平均粒子径が0.05〜0.4μmの範囲にある導電体粉末と、平均粒子径が0.002〜0.1μmの範囲にある無機酸化物粉末と、を含有し、前記無機酸化物粉末の含有量を、前記導電体粉末100重量部に対して、5〜40重量部の範囲とする。このような無機酸化物粉末は、焼成前電極膜の焼結温度を高くするために添加される。
本発明の製造方法において、前記電子部品は、前記内部電極層に加えて、誘電体層をさらに有していることが好ましい。内部電極層に加えて、誘電体層をさらに有する場合においては、焼成後に内部電極層となる焼成前電極膜、焼成後に誘電体層となるグリーンシートを、それぞれ、以下のいずれかの方法により形成することが好ましい。
すなわち、誘電体ペーストを使用して、支持シート上に、焼成後に前記誘電体層を形成することとなるグリーンシートを形成し、次いで、前記グリーンシート上に、前記内部電極用ペーストを塗布し、その後、乾燥させて前記焼成前電極膜を形成することが好ましい。この方法においては、前記焼成前電極膜上に、さらに別のグリーンシートおよび別の焼成前電極膜を、この順番に、次々に形成していき、複数のグリーンシートおよび複数の焼成前電極膜が交互に積層された構成としても良い。また、前記内部電極用ペーストは、たとえば、印刷法などにより塗布しても良い。
あるいは、焼成後に前記誘電体層を形成することとなるグリーンシートを、第1支持シート上に形成し、前記内部電極用ペーストを、第2支持シート上に塗布し、その後、乾燥させて、前記焼成前電極膜を形成し、前記第1支持シート上に形成された前記グリーンシートの表面に、前記第2支持シート上に形成された前記焼成前電極膜を転写することが好ましい。この方法においては、前記グリーンシートと前記焼成前電極膜とが転写により一体化されたシートを、複数積層して、複数のグリーンシートおよび複数の焼成前電極膜が交互に積層された構成としても良い。また、前記内部電極用ペーストは、たとえば、印刷法などにより塗布しても良い。
前記グリーンシートは、焼成後の前記誘電体層の厚みが2.5μm以下となるように形成することが好ましい。また、前記グリーンシートおよび前記焼成前電極膜は、焼成後の前記誘電体層の厚みと、焼成後の前記内部電極層の厚みと、の比が誘電体層の厚み/内部電極層の厚み=0.5〜2.0の範囲となるように、それぞれ形成することが好ましい。このように誘電体層および内部電極層の厚みを薄層化した場合に、特に本発明の作用効果が大きくなる。
本発明においては、複数の前記焼成前電極膜と、複数の前記グリーンシートと、を交互に積層していき、焼成後の前記誘電体層の積層数を100層以上とすることが好ましい。
本発明においては、前記内部電極用ペーストとして、平滑な基板上に、乾燥後の膜厚が30〜45μmとなるように塗布し、その後、100℃、15分の条件にて送風型の乾燥機で乾燥した場合に、得られる塗膜の表面の60度鏡面光沢度 (Gs(60°))が、100%以上となるような内部電極用ペーストを使用することが好ましい。
なお、前記平滑な基板としては、たとえばPETフィルムなどが挙げられる。
本発明に係る電子部品は、上記いずれかにの方法により得られる。電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明によると、積層セラミックコンデンサなどの電子部品を製造する際に、焼成後に内部電極層を形成することとなる焼成前電極膜の空隙率を所定範囲に制御するため、電子部品を薄層化した場合においても、焼成後の内部電極層の電極被覆率を高く保ちつつ、しかも、脱バインダ処理時におけるクラックの発生の抑制された電子部品を提供することができる。特に、本発明においては、焼成前電極膜の空隙率を所定範囲とすることにより、脱バインダ時に発生するバインダ分解ガスの抜け道を有効に確保させることができる。
なお、本発明において、電極被覆率とは、内部電極層に前記途切れ部が全く無いとして仮定した場合に、内部電極層が誘電体層を被覆する理想面積に対して、内部電極層が誘電体層を実際に被覆する面積の割合である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2(A)、図2(B)は本発明の一実施形態に係るグリーンシート、焼成前電極膜および余白パターン層の形成方法を示す要部断面図、
図3(A)は本発明の焼成前電極膜の微細構造を模式的に表した模式図、図3(B)は従来の焼成前電極膜の微細構造を模式的に表した模式図、
図4(A)〜図4(C)、および図5(A)〜図5(C)は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシート、焼成前電極膜および余白層の形成方法を示す要部断面図、
図6(A)は脱バイクラックの一例を示す断面写真、図6(B)は焼成クラックの一例を示す断面写真、
図7は電極被覆率の測定方法を説明するための図、
図8(A)は本発明の実施例に係る焼成前電極膜の断面写真、図8(B)は比較例に係る焼成前電極膜の断面写真、
図9(A)は本発明の実施例に係る焼成後の素子本体の断面写真、図9(B)は比較例に係る焼成後の素子本体の断面写真である。
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
本実施形態では、内部電極層12は、後で詳細に説明するように、グリーンシート10a上に、焼成後に内部電極層12を形成することとなる焼成前電極膜12aを所定のパターンで形成することにより、製造される。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。
本実施形態においては、各誘電体層10の厚みは、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2μm以下に薄層化されている。さらに、誘電体層10の厚みと、内部電極層12の厚みと、の比(誘電体層10の厚み/内部電極層12の厚み)が、好ましくは0.5〜2.0である。本実施形態では、後に説明するように、焼成後に内部電極層12を形成することとなる図2(B)に示す焼成前電極膜12aを、所定の空隙率を有する構造としているため、電極被覆率を高く保ち、しかも、脱バインダ時のクラックの発生を防止しながら、誘電層10および内部電極層12の薄層化が可能となる。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられ、また、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.4〜5.6mm、好ましくは0.4〜3.2mm)×横(0.2〜5.0mm、好ましくは0.2〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.1〜1.6mm)程度である。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
誘電体ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末は、通常、平均粒子径が0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下の粉末として用いられる。なお、きわめて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉末を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが例示される。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、ターピネオール、ブチルカルビトール、イソボニルアセテートなどの通常の有機溶剤が例示される。
また、水系ペーストにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダを溶解させたものである。水溶性バインダとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電助剤などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。バインダ樹脂として、ブチラール系樹脂を用いる場合には、可塑剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、25〜100質量部の含有量であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
そして、この誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、図2(A)に示すように、第1支持シートとしてのキャリアシート20上に、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下の厚みで、グリーンシート10aを形成する。グリーンシート10aをこのような厚みで形成することにより、焼成後の誘電体層10の厚みを、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2μm以下と薄層化することができる。
グリーンシート10aは、キャリアシート20上に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後のグリーンシート10aの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。
キャリアシート20としては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシート20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。
次いで、図2(B)に示すように、キャリアシート20上に形成したグリーンシート10aの表面に、所定パターンの焼成前電極膜12aを形成し、その前後に、その焼成前電極膜12aが形成されていないグリーンシート10aの表面に、焼成前電極膜12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層22を形成する。焼成前電極膜12aの厚みは、2μm以下とすることが好ましく、より好ましくは1.5μm以下とする。焼成前電極膜12aをこのような厚みで形成することにより、焼成後の内部電極層12の厚みを、所望の厚みとすることができる。
焼成前電極膜12aは、内部電極用ペーストを用いる印刷法などの厚膜形成方法により、グリーンシート10aの表面に形成することが好ましい。厚膜法の1種であるスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法により、グリーンシート10aの表面に焼成前電極膜12aを形成する場合には、次のようにして行う。
まず、内部電極用ペーストを準備する。内部電極用ペーストは、導電体粉末と、共材としての無機酸化物粉末と、有機ビヒクルと、を混練して調製する。
導電体粉末としては、特に限定されないが、Cu、Niおよびこれらの合金から選ばれる少なくとも1種で構成してあることが好ましく、より好ましくはNiまたはNi合金、さらにはこれらの混合物で構成される。
NiまたはNi合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される少なくとも1種の元素、またはPt、Re、Rh、Ru、Ir、OsおよびWから選択される少なくとも一種の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は80モル%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P、Fe、Mgなどの各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
このような導電体粉末は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよいが、本実施形態では、主として球状の導電体粉末を使用することが好ましい。導電体粉末としては、平均粒子径が、好ましくは0.05〜0.4μm、より好ましくは0.05〜0.2μmのものを使用する。平均粒子径の大きな導電体粉末を使用すると、焼成前電極膜12aの厚みの薄層化が困難となり、結果として、焼成後の内部電極層12の薄層化が困難となる。一方、平均粒子径の小さな導電体粉末を使用すると、取扱が困難となる。導電体性末は、内部電極用ペースト全体に対して、好ましくは35〜70重量%、より好ましくは40〜55重量%で含まれる。
内部電極用ペースト中には、無機酸化物粉末が共材として含まれている。このような無機酸化物粉末としては、上述のグリーンシート10aに含まれるセラミック粉末と同じ組成のセラミック粉末が好ましい。共材は、焼成過程において導電体粉末の焼結を抑制する作用を奏する。共材として用いる無機酸化物粉末としては、平均粒子径が、好ましくは0.002〜0.2μm、より好ましくは0.005〜0.1μmのものを使用する。本実施形態においては、導電体粉末の平均粒子径と、共材の平均粒子径とを、それぞれ上記所定範囲とすることにより、焼成前電極膜12aの薄層化が可能となるとともに、導電体粉末と共材とを良好に分散させることができる。
共材としての無機酸化物粉末の内部電極用ペースト中における含有量は、導電体粉末100重量部に対して、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部とする。共材の含有量が少なすぎると、内部電極の焼結が低温から始まってしまい、内部電極層12と誘電体層10との焼結温度の差が大きくなるため、焼成クラックが発生してしまう。一方、共材の含有量が多すぎると、内部電極層12の電極被覆率が低下してしまう。
有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを含有する。バインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示されるが、これらのなかでも、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールを用いることが好ましい。バインダは、導電体粉末100重量部に対して、好ましくは2〜6重量部で含まれる。
溶剤としては、特に限定されず、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテートなどが例示されるが、本実施形態では特にターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピネオールアセテートまたはジヒドロターピネオールアセテートを用いる。溶剤は、内部電極用ペースト中に、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは25〜55重量%で含まれる。
内部電極用ペーストには、グリーンシートとの接着性を改善する目的で、可塑剤または粘着剤が含まれることが好ましい。可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤は、有機ビヒクル中のバインダ100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは10〜150重量部で含有される。可塑剤の含有量が少なすぎると添加効果がなく、多すぎると形成される焼成前電極膜12aの強度が著しく低下し、しかも焼成前電極膜12aから過剰な可塑剤が滲み出す傾向がある。
さらに、内部電極用ペーストには、導電体粉末および共材の分散性の向上と塗料の安定性(経時変化)を改善する目的で、分散剤が含まれていることが好ましい。分散剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、多価アルコール部分エステル系分散剤、エステル系分散剤、エーテル系分散剤などが例示される。その他、ブロックポリマー型分散剤やグラフトポリマー型分散剤もある。分散剤は、導電体粉末100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部で含有される。分散剤の含有量が少なすぎると、添加効果が不十分となり、多すぎるとミセル形成や再凝集による分散性低下の不都合を生じることがある。
内部電極用ペーストは、上記各成分を、ボールミルや3本ロールミルなどで混合し、スラリー化することにより形成することができる。
そして、この内部電極用ペーストを用いて、所定パターンの電極ペースト膜を印刷法で形成し、次いで、乾燥することにより焼成前電極膜12aを形成する。乾燥は、電極ペースト膜中に含まれている溶剤などの揮発成分を、除去するために行われる。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜15分である。
本実施形態においては、内部電極用ペーストを印刷法により塗布し、その後、乾燥することにより得られる焼成前電極膜12aを、図3(A)に示すような所定の空隙を有する構造とする。すなわち、本実施形態の焼成前電極膜12aは、図3(A)に示すように、導電体粉末120と共材(無機酸化物粉末)122とが、バインダなどの有機不揮発成分124中に分散した構造となっているとともに、所定の空隙126を複数有する構造となっている。本実施形態は、このように焼成前電極膜12aを所定の空隙126を有する構造とする点に最大の特徴を有しており、このような構造とすることにより、焼成前電極膜12a(すなわち、焼成後の内部電極層12)を薄層化した場合においても、脱バインダ処理時のクラックの発生を有効に防止することができ、しかも焼成後の内部電極層12の電極被覆率を高くすることができる。
具体的には、焼成前電極膜12a全体に対する空隙126の存在割合を体積比で表した場合の空隙率を、5〜25%、好ましくは5〜20%とする。空隙率は、焼成前電極膜12aを構成する導電体粉末120、共材(無機酸化物粉末)122、および有機不揮発成分124の比重と配合重量から計算される理論密度に対する、実際に形成された焼成前電極膜12aの実効密度の比から算出することができる。具体的には、理論密度に対する実効密度の比を充填率(充填率(%)=実効密度/理論密度×100)とした場合に、空隙率は、空隙率(%)=100(%)−充填率(%)で求めることができる。空隙率が低すぎると、脱バインダ処理時におけるクラックの発生率が高くなってしまう。一方、空隙率が高すぎると、焼成後の内部電極層12の電極被覆率が低下してしまう傾向にある。なお、有機不揮発成分124としては、バインダや、可塑剤、接着剤、分散剤などの上記乾燥条件で除去される溶剤以外の成分が含まれる。
特に、本実施形態においては、乾燥後の焼成前電極膜12aの空隙率を上記範囲とすることにより、その後、焼成後の内部電極層12の電極被覆率を向上させるために、プレスにより焼成前電極膜12aの空隙率を低下させた場合においても、脱バインダ時に発生するバインダ分解ガスの抜け道を十分に確保することができる。
なお、従来においては、塗布・乾燥後の焼成前電極膜12a’を図3(B)に示すような空隙を実質的に有しない構造としていた。この従来の焼成前電極膜12a’においては、焼成後の内部電極層の電極被覆率を高く保つために、焼成前電極膜12a’の充填密度を向上させていた。具体的には、図3(B)に示すように、導電体粉末120’と共材122’との隙間がなるべく少なくなるような構造としていた。しかしながら、このような構造とした場合においては、焼成前電極膜12a’の充填密度の向上により、電極被覆率を高くすることが可能な一方で、脱バインダ処理時に発生するバインダ分解ガスの抜け道を確保することが困難となり、結果として、クラック(脱バイクラック)が発生するという問題があった。さらに、この従来の焼成前電極膜12a’においては、共材122’が凝集してしまい、導電体粉末120’を包む構造が崩れてしまい、共材122’の添加による焼結抑制効果が不十分となってしまい、電極膜12a’の焼結温度が低温化してしまい、焼成時にクラック(焼成クラック)が発生してしまうという問題もあった。
これに対して、本実施形態では、焼成前電極膜12aの空隙率を上記所定範囲とするため、これらの問題を有効に解決することができる。
本実施形態において、焼成前電極膜12aの空隙率を上記所定範囲とする方法としては、たとえば、内部電極用ペーストを混練する際の混練方法や、内部電極用ペーストを作製する際の配合組成を調整する方法や、内部電極用ペーストを作製する際に添加する分散剤の量を調整する方法などが挙げられる。特に、本実施形態においては、上記各方法により、内部電極用ペースト中に含有される導電体粉末120と共材122とを均一に分散させることが好ましい。このように、導電体粉末120と共材122とを均一に分散することにより、焼成前電極膜12aを形成した際に、これらの粉体が最密充填されること有効に防止することができ、焼成前電極膜12a内部に微細で均一な空隙を形成することができる。さらに、導電体粉末120と共材122とを均一に分散させることにより、共材の添加効果を十分に発揮させることができ、結果として、焼成クラックを防止することができる。
なお、上述のような本実施形態で用いる内部電極用ペーストは、導電体粉末120と共材122とが均一に分散しているため、たとえば、この内部電極用ペーストを、使用して得られる塗膜は、高い平滑性を有することとなる。具体的には、このような内部電極用ペーストを、Gap250μmのアプリケーターでPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が30〜45μmとなるように塗布し、その後、100℃、15分の条件にて送風型の乾燥機で乾燥した場合に、得られる塗膜の表面の60度鏡面光沢度 (Gs(60°))を、好ましくは100%以上とすることができる。なお、60度鏡面光沢度は、JIS Z 8741の「鏡面光沢度測定方法」における測定方法3により測定することができる。
また、余白パターン層22は、図2(B)に示すように、グリーンシート10a上に、所定パターンの焼成前電極膜12aを印刷法で形成した後、またはその前に、焼成前電極膜12aが形成されていないグリーンシート10a上に、焼成前電極膜12aと実質的に同じ厚みで形成される。余白パターン層22は、上述したグリーンシート10aと同様な材質で構成される。また、余白パターン層22は、焼成前電極膜12aあるいは、上述したグリーンシート10aと同様な方法で形成することができる。
次いで、図2(B)に示すグリーンシート10a、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22からなるシートを複数積層することにより、グリーンシート10aと、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22と、が複数積層された焼成前の積層体を得る。なお、焼成前の積層体を得る方法としては、図2(B)に示すグリーンシート10a、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22からなるシートを複数積層する方法の他、図2(B)に示す焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22上に、さらに別のグリーンシート10a、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22を、次々と形成する方法などが挙げられる。
次いで、上記にて得られた積層体の上面および下面に、厚さ15μm程度の外層用のグリーンシートを積層し、その後、プレスすることにより、プレス後の積層体を得る。本実施形態においては、プレス後の積層体における焼成前電極膜12aが以下の範囲となるように、プレスすることが好ましい。すなわち、プレス後の焼成前電極膜12aの単位体積当たりの重量密度(g/cm)が、プレス前の焼成前電極膜12aの単位体積当たりの重量密度(g/cm)と比較して、3〜20%向上するように、プレスすることが好ましい。あるいは、プレス後の焼成前電極膜12aの空隙率が2〜20%となるようにプレスすることが好ましい。本実施形態においては、プレス後の焼成前電極膜12aが上記所定の範囲となるようにプレスすることにより、脱バインダ時に発生するバインダ分解ガスの抜け道を十分に確保しつつ(すなわち、脱バイクラックを防止しつつ)、焼成後の内部電極層12の電極被覆率を向上させることができる。
本実施形態では、プレス後の焼成前電極膜12aが上記範囲となるように、積層体を、プレス圧力:0.1〜10t/cm、プレス温度:60〜150℃、プレス時間:6秒〜60分の条件でプレスすることが好ましい。
次いで、プレス後の積層体を所定サイズに切断して、グリーンチップとし、その後、このグリーンチップについて、脱バインダ処理を施す。
本実施形態においては、脱バインダ処理後におけるグリーンチップ中の焼成前電極膜12aの空隙率が5〜25%、好ましくは5〜20%となるように、脱バインダ処理を行う。
具体的な脱バインダ処理条件としては、昇温速度:5〜300℃/時間、特に5〜50℃/時間、保持温度:200〜700℃、特に300〜650℃、保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、雰囲気:加湿したNとHとの混合ガスとすることが好ましい。
次いで、脱バインダ処理を行ったグリーンチップについて、焼成および熱処理を施す。
焼成は、昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等の条件とすることが好ましい。
ただし、焼成時の雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8 Paとすることが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
このような焼成を行った後の熱処理(アニール)は、保持温度または最高温度を、好ましくは900℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層10の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層12が酸化する傾向にある。
そして、そのほかの熱処理条件としては、保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、雰囲気用ガス:加湿したNガス等とすることが好ましい。
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えば加温した水にガスを通し、バブリングする装置等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、焼成の全過程を加湿したNとHとの混合ガス雰囲気下で行っても良く、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けても良く、熱処理時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けても良い。また、熱処理に際しては、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としても良く、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更しても良い。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、その他の電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
また、上述した実施形態では、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22は、印刷法により、グリーンシート10a上に直接形成したが、たとえば、図4、図5に示すような転写工法により形成しても良い。
すなわち、この転写工法においては、図4(A)に示すように、まず、キャリアシート(第2支持シート)24上に、剥離層26を形成し、次いでこの剥離層26上に焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22を形成する。なお、剥離層26は、セラミック粒子と、バインダと、可塑剤と、任意成分として剥離剤とを含み、通常0.02〜0.2μmの厚みとする。また、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22は、上述の方法と同様の方法により形成することができる。
一方、これとは別のキャリアシート(第3支持シート)28上に、接着層30を形成しておく。接着層30は、バインダと、可塑剤とを含み、通常、0.01〜0.3μmの厚みとする。
そして、図4(B)および図4(C)に示すように、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22上に接着層30を押し付け、これに続いて、接着層30が形成されていたキャリアシート28を剥がし、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22の表面に接着層30を形成する。
次いで、図5(A)に示すように、さらに別のキャリアシート(第1支持シート)20上に、上述の方法と同様にしてグリーンシート10aを形成する。そして、このキャリアシート20上に形成されたグリーンシート10aを、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22の表面に形成された接着層30に押し付ける。そして、グリーンシート10aが形成されていたキャリアシート20を剥がし、接着層30を介して、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22上に、グリーンシート10aを形成する。
そして、このようにして得られた焼成前電極膜12a、余白パターン層22およびグリーンシート10aからなるシートを複数積層し、焼成前の積層体を形成することができる。このような転写工法によると、乾式での積層が可能となるため、グリーンシート10aへの有機溶剤の染み込みによるグリーンシート10aの浸食(シートアタック現象)を有効に防止することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
以下に示す誘電体ペーストおよび内部電極用ペーストを調製した。
誘電体ペースト
まず、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株))と、MgCO、MnCO、(Ba0.6Ca0.4)SiOおよび希土類(Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y)から選択された粉末とを準備した。次いで、これらの原料粉末を、ボールミルにより16時間、湿式混合し、乾燥させることにより誘電体材料とした。これら原料粉末の平均粒径は0.1〜1μmであった。(Ba0.6Ca0.4)SiOは、BaCO、CaCOおよびSiOをボールミルにより、16時間、湿式混合し、乾燥後に1150℃にて空気中で焼成したものをボールミルにより、100時間湿式粉砕して作製した。
次いで、得られた誘電体材料をペースト化するために、有機ビヒクルを誘電体材料に加え、ボールミルで混合し、誘電体ペーストを得た。有機ビヒクルは、誘電体材料100質量部に対して、バインダとしてポリビニルブチラール:6質量部、可塑剤としてフタル酸ビス(2エチルヘキシル)(DOP):3質量部、エタノール:85質量部、トルエン:15質量部の配合比とした。
内部電極用ペースト
まず、導電体粉末として、平均粒子径が0.2μmのNi粉末:100重量部、共材として、平均粒子径が0.05μmのセラミック粉末:20重量部、バインダとしてエチルセルロース樹脂 :4.5重量部、分散剤として脂肪酸エステル系分散剤:1重量部、および溶剤としてターピネオール :75重量部を、それぞれ準備した。なお、上記セラミック粉末としては、誘電体ペースト中に含有させた誘電体原料と同様の組成を有するものを使用した。
次に、上記にて準備した原料を、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストを得た。なお、本実施例においては、表1に示すように、3本ロールのパス回数をそれぞれ1〜100回の範囲で変化させることにより、混練条件の異なる内部電極用ペーストを調製した。また、本実施例の内部電極用ペーストは、揮発成分であるターピネオールを除いた各原料から算出される理論密度は、6.33g/cmであった。理論密度は、各原料の密度と各原料の配合量から算出した。
焼成前電極膜サンプル
次いで、上記にて得られた内部電極用ペーストを使用して、以下に示す焼成前電極膜を作製し、塗布・乾燥工程、プレス工程、および脱バインダ工程の各工程における焼成前電極膜の特性を評価した。
塗布・乾燥工程
まず、上記にて作製した混練回数の異なる内部電極用ペーストを、Gap250μmのアプリケーターでPETフィルム上に塗布し、その後、送風乾燥器にて、100℃、15分の条件で乾燥することにより、塗布・乾燥後の焼成前電極膜を得た。本実施例では、乾燥後の膜厚が30〜45μmとなるように焼成前電極膜を形成した。そして、得られた各焼成前電極膜の体積(=電極膜の形成面積×電極膜の厚み)と、重量とから、各焼成前電極膜の塗布・乾燥後の密度を計算し、得られた塗布・乾燥後の密度および理論密度(6.33g/cm)から、各焼成前電極膜の塗布・乾燥後の空隙率を算出した。結果を表1に示す。
また、得られた各焼成前電極膜について、日本電色工業株式会社製VGS−1Dを用い、JIS Z−8741(1983)方法3に準拠して、60度鏡面光沢度 (Gs(60°))を測定した。結果を表1に示す。光沢度の%が大きいほど、表面の平滑性に優れている。
プレス工程
次に、上記にて得られた塗布・乾燥後の各焼成前電極膜について、プレス温度:120℃、プレス圧力:1t/cm、プレス時間:10分の条件で、プレスを行い、プレス後の焼成前電極膜を得た。そして、プレス後の各焼成前電極膜の体積(=電極膜の形成面積×電極膜の厚み)と、重量とから、各焼成前電極膜のプレス後の密度を計算し、得られたプレス後の密度およびプレス前の密度(=塗布・乾燥後の密度)から、各焼成前電極膜のプレス後の密度向上率を算出した。さらに、得られたプレス後の密度および理論密度(6.33g/cm)から、各焼成前電極膜のプレス後の空隙率を算出した。
脱バインダ工程
脱バインダ工程における空隙率は、脱バインダ処理により除去される不揮発有機成分の比重をほぼ1であるとして、プレス後の空隙率(%)に、脱バインダ処理により除去される不揮発有機成分の重量比(重量%)を加えることにより算出した。
積層セラミックコンデンササンプル
次いで、上記にて得られた誘電体ペーストおよび内部電極用ペーストを使用して、積層セラミックコンデンササンプルを製造し、脱バインダ後のクラック発生率(脱バイクラック率)、焼成後のクラック発生率(焼成クラック率)、および内部電極層の電極被覆率をそれぞれ評価した。なお、積層セラミックコンデンササンプルは、以下の方法により製造した。
すなわち、まず、上記にて得られた誘電体ペーストを使用して、図2(A)に示すグリーンシート10aを形成した。次いで、図2(B)に示すように、印刷法により焼成前電極膜12aと、この焼成前電極膜12aと同じ厚みを有する余白パターン層22と、をそれぞれ形成した。なお、焼成前電極膜12aは、上記にて得られた混練条件のそれぞれ異なる内部電極用ペーストを使用して形成した。また、余白パターン層22は、上記にて得られた誘電体ペーストを使用して形成した。
次いで、図2(B)に示す焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22上に、さらに別のグリーンシート10aを形成し、次いでこのグリーンシート10a上に、さらに別の焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22上を形成し、これらを次々に形成していくことにより、積層体を得た。なお、本実施例では、グリーンシート10aの厚みを2.6μm、焼成前電極膜12aおよび余白パターン層22の厚みを1.3μmとした。
次いで、得られた積層体の上面および下面に、外層用のグリーンシートを積層し、その後、この積層体をプレスし、プレス後の積層体を得た。プレス時の条件としては、プレス温度:120℃、プレス圧力:1t/cm、プレス時間:10分の条件とした。
次いで、得られたプレス後の積層体を所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、チップ形状の焼結体を作製した。
脱バインダは、昇温速度:15〜50℃/時間、保持温度:600℃、保持時間:2時間、雰囲気ガス:加湿したNとHの混合ガス(PO=10−19Pa)、で行った。焼成は、昇温速度:200〜300℃/時間、保持温度:1200℃、保持時間:2時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNとHの混合ガス、酸素分圧:10−7Pa、で行った。アニール(再酸化)は、昇温速度:200〜300℃/時間、保持温度:1050℃、保持時間:2時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス、酸素分圧:10−1Pa、で行った。なお、脱バインダ、焼成およびアニール時の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。
次いで、チップ形状の焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極用ペーストを端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中において、800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンササンプルを得た。なお、本実施例においては、上記にて作製した混練条件のそれぞれ異なる内部電極ペーストを使用し、表1に示す試料1〜7の各コンデンササンプルを製造した。
このようにして得られた各サンプルのサイズは、2.0mm×1.2mm×0.9mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は250、その厚さは1.8μmであり、内部電極層の厚さは1.0μmであった。
次いで、得られた各コンデンササンプルについて、脱バインダ時のクラック発生率(脱バイクラック率)、焼成時のクラック発生率(焼成クラック率)、および内部電極層の電極被覆率をそれぞれ評価した。
脱バインダ時に発生するクラック(脱バイクラック)は、図6(A)に示すに、積層体の積層面に沿って大きく入ることが特徴である。そのため、このようなクラックが発生した場合を、脱バイクラックとし、各サンプルの脱バイクラック発生率(脱バイクラック率)を算出した。脱バイクラック率は、低いほうが好ましい。結果を表1に示す。
一方、焼成時に発生するクラック(焼成クラック)は、内部電極層と誘電体層との間の焼結挙動の差によって生じるため、図6(B)に示すように、電極端部に近いところに発生し、しかも、脱バイクラックに比べると比較的に小さく入ることが特徴である。そのため、このようなクラックが発生した場合を、焼成クラックとし、各サンプルの焼成クラック発生率(焼成クラック率)を算出した。焼成クラック率は、低いほうが好ましい。結果を表1に示す。
内部電極層の被覆率は、コンデンサ素子の切断面について、金属顕微鏡画像の測定を行うことにより、測定した。
まず、各コンデンササンプルを積層方向に垂直な面で切断し、その切断面を研磨した。そして、その研磨面の金属顕微鏡写真から内部電極層の電極被覆率を求めた。図7に示すように、積層方向に垂直な面で切断した場合、内部電極は線分状に観察され、電極面の穴は線分の途切れとして観察される。電極線分の実際の長さを測定し、視野長さに対する電極線分の長さの比率を電極被覆率(%)とした。具体的には、図7に示す電極線分の長さの合計(すなわち、視野長さから途切れ部分を除いた長さ)を求め、視野長さに対する、電極線分の長さの合計の割合を求める算出することにより、求めた。なお、電極被覆率は、金属顕微鏡写真4枚を使用し、視野長さ170μm、電極線分10本(合計40本)について測定を行うことにより求めた。結果を表1に示す。
表1に、3本ロールへのパス回数をそれぞれ変更することにより得られた混練状態の異なる内部電極用ペーストを使用して、それぞれ製造した焼成前電極膜サンプルおよびコンデンササンプルの評価結果を示す。
表1より、塗布・乾燥後の空隙率を5〜25%、プレス後の密度向上率を3〜20%、プレス後の空隙率を2〜20%、脱バインダ後の空隙率を5〜20%とした試料2〜5は、いずれも脱バイクラック率および焼成クラック率が、0ppmとなり、また、内部電極層の電極被覆率も80%を超え、良好な結果となった。また、これら実施例の試料2〜5は、いずれも塗布・乾燥後の焼成前電極膜の光沢度が100%以上となり、表面の平滑性に優れていることも確認できた。
一方、塗布・乾燥後の空隙率を30%と高くした比較例1の試料は、プレス後の空隙率についても21%、脱バインダ後の空隙率についても26%と高くなり、結果として、焼成後の内部電極層の電極被覆率が60%と低くなってしまい、コンデンサとしての容量が不十分となる結果となった。さらに、この試料1は塗布・乾燥後の光沢度も低くなる結果となった。
また、塗布・乾燥後の空隙率をそれぞれ4%、1%と低くした比較例の試料6,7は、プレス後の空隙率も1.8%、1%と低くなり、脱バイクラック率および焼成クラック率が悪化する傾向にあった。なお、これらの試料において、脱バイクラック率が悪化した原因としては、プレス後の空隙率を低くしたため、脱バインダ処理時に発生したバインダ分解ガスの抜け道を確保できなかったことにより、クラックが起こったと考えられる。また、焼成クラック率が悪化した原因としては、焼成前電極膜中において、Niの充填が進んだため、共材がNiの間から外へ出てしまい、Ni同士が接触することから、電極の焼結温度が低温化したことに起因すると考えられる。さらに、これらの試料6,7においては、塗布・乾燥後の光沢度も低くなる結果となった。
なお、図8(A)に、実施例のサンプル(試料3)のプレス後の焼成前電極膜の断面写真を、図8(B)に、比較例のサンプル(試料7)のプレス後の焼成前電極膜の断面写真を、それぞれ示す。図8(A)より、実施例のサンプルにおいては、複数の空隙が存在し、Ni粉体と共材が均一に分散していることが確認できる。また、図8(B)より、比較例のサンプルにおいては、共材がNi粉体の間から外に出てしまい、焼成前電極膜とグリーンシートとの界面付近に、凝集した状態で分布していることが確認できる。
図9(A)に、実施例のサンプル(試料4)の焼成後の素子本体の断面写真を、図9(B)に、比較例のサンプル(試料1)の焼成後の素子本体の断面写真を、それぞれ示す。図9(A)より、実施例のサンプルにおいては、内部電極層が良好なライン性を有しているのに対し、比較例のサンプルは、電極途切れが多数発生し、ライン性に乏しいことが確認できる。
なお、本実施例においては、塗布・乾燥後の焼成前電極の空隙率を調製する方法の一例として、内部電極用ペーストを製造する際における3本ロールのパス回数を変更する方法を例示したが、その他の方法、たとえば、内部電極用ペーストの配合比や、分散剤の量などを変更することによっても空隙率を調整することも、可能である。
実施例2
プレス条件を表2に示す各条件に変更した以外は、実施例1の試料2と同様にして、試料8〜12に係る焼成前電極膜サンプルおよび積層セラミックコンデンササンプルを、実施例1の試料5と同様にして、試料13に係る焼成前電極膜サンプルおよび積層セラミックコンデンササンプルを、それぞれ製造した。
表2に、プレス工程におけるプレス条件を変化させた場合における焼成前電極膜サンプルおよびコンデンササンプルの評価結果を示す。なお、表2中、試料2、5は、実施例1の試料2、5と同じ試料である。
表2より、プレス条件を変化させて、プレス後の密度向上率およびプレス後の空隙率を変化させた場合においても、プレス後の密度向上率を3〜20%、プレス後の空隙率を2〜20%とした実施例の試料2,9,10は、いずれも脱バイクラック率および焼成クラック率が、0ppmとなり、また、内部電極層の電極被覆率も80%を超え、良好な結果となった。
一方で、プレス後の密度向上率を3%未満、プレス後の空隙率を20%超とした参考例の試料8,11,12は、いずれも焼成後の内部電極層の電極被覆率が低くなってしまい、コンデンサとしての容量が不十分となる結果となった。
また、プレス後の空隙率を1%と低くした参考例の試料13は、脱バイクラック率が悪化してしまう結果となった。
実施例3
内部電極用ペーストを調製する際に、不揮発性有機成分の含有量を、表3に示す含有量とした以外は、実施例1の試料5と同様にして、試料14、15に係る焼成前電極膜サンプルおよび積層セラミックコンデンササンプルを、それぞれ製造した。
すなわち、試料14においては、共材としてのセラミック粉末(BaTiO)を20重量部、バインダとしてのエチルセルロース樹脂を2.5重量部、分散剤としての脂肪族エステル系分散剤を1.0重量部に、試料15においては、共材としてのセラミック粉末(BaTiO)を5重量部、バインダとしてのエチルセルロース樹脂を5重量部、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(DOP)を5重量部、分散剤としての脂肪族エステル系分散剤を1.0重量部に、それぞれ変更した。
表3に、不揮発有機成分の含有量を変化させた場合における焼成前電極膜サンプルおよびコンデンササンプルの評価結果を示す。なお、表3中、試料5は、実施例1の試料5と同じ試料である。
表3より、不揮発性有機成分の含有量を2.8重量%に変化させた試料14の結果より、不揮発性有機成分の含有量を変化させることにより、各工程における空隙率を調整した場合においても、本発明の効果が奏されることが確認できる。
同様に、試料15の結果より、不揮発性有機成分の含有量を9.5重量%とすることにより、塗布・乾燥後の空隙率を本発明の範囲外にした場合においても、同様の傾向となることが確認できる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2(A)、図2(B)は本発明の一実施形態に係るグリーンシート、焼成前電極膜および余白パターン層の形成方法を示す要部断面図である。 図3(A)は本発明の焼成前電極膜の微細構造を模式的に表した模式図、図3(B)は従来の焼成前電極膜の微細構造を模式的に表した模式図である。 図4(A)〜図4(C)は本発明のその他の実施形態に係るグリーンシート、焼成前電極膜および余白層の形成方法を示す要部断面図である。 図5(A)〜図5(C)は図4の続きの工程を示す要部断面図である。 図6(A)は脱バイクラックの一例を示す断面写真、図6(B)は焼成クラックの一例を示す断面写真である。 図7は電極被覆率の測定方法を説明するための図である。 図8(A)は本発明の実施例に係る焼成前電極膜の断面写真、図8(B)は比較例に係る焼成前電極膜の断面写真である。 図9(A)は本発明の実施例に係る焼成後の素子本体の断面写真、図9(B)は比較例に係る焼成後の素子本体の断面写真である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
12… 内部電極層
12a… 焼成前電極膜
120… 導電体粉末
122… 誘電体粉末(共材)
124… 不揮発有機成分
126… 空隙
20… キャリアシート(第1支持シート)
22… 余白パターン層
24… キャリアシート(第2支持シート)
26… 剥離層
28… キャリアシート(第3支持シート)
30… 接着層

Claims (10)

  1. 内部電極層を有する電子部品を製造する方法であって、
    導電体粉末と、溶媒と、バインダと、無機酸化物粉末と、分散剤と、を含有する内部電極用ペーストを準備する工程と、
    前記内部電極用ペーストを塗布し、その後、乾燥させて、焼成後に前記内部電極層を形成することになる焼成前電極膜を形成する工程と、
    前記焼成前電極膜をプレスする工程と、を有し、
    前記内部電極用ペーストに含有される前記導電体粉末の平均粒子径が0.05〜0.4μmの範囲にあり、
    前記無機酸化物粉末の平均粒子径が0.002〜0.1μmの範囲にあり、
    前記内部電極用ペーストに含有される前記無機酸化物粉末の含有量を、前記導電体粉末100重量部に対して、5〜40重量部の範囲とし、
    前記内部電極用ペーストに含有される前記分散剤の含有量を、前記導電体粉末100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲とし、
    プレス後の焼成前電極膜の単位体積当たりの重量密度を、プレス前の焼成前電極膜の単位体積当たりの重量密度と比較して、3〜20%向上させ、かつプレス後の焼成前電極膜の空隙率が、2〜20%となるようにプレスすることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. プレス後の前記焼成前電極膜を加熱して、前記焼成前電極膜に含有されているバインダを除去する工程をさらに有し、
    バインダを除去した後の前記焼成前電極膜の空隙率が5〜25%となるように脱バインダする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記バインダおよび前記分散剤からなる有機不揮発成分の含有量が、
    前記内部電極用ペーストに含まれる不揮発成分に対して、2.8〜4.4重量%の範囲とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記電子部品が、誘電体層をさらに有しており、
    誘電体ペーストを使用して、支持シート上に、焼成後に前記誘電体層を形成することとなるグリーンシートを形成し、
    次いで、前記グリーンシート上に、前記内部電極用ペーストを塗布し、その後、乾燥させて前記焼成前電極膜を形成する請求項1〜のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記電子部品が、誘電体層をさらに有しており、
    焼成後に前記誘電体層を形成することとなるグリーンシートを、第1支持シート上に形成する工程と、
    前記内部電極用ペーストを、第2支持シート上に塗布し、その後、乾燥させて、前記焼成前電極膜を形成する工程と、
    前記第1支持シート上に形成された前記グリーンシートの表面に、前記第2支持シート上に形成された前記焼成前電極膜を転写する工程と、
    を有する請求項1〜のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  6. 焼成後の前記誘電体層の厚みが2.5μm以下となるように、前記グリーンシートを形成する請求項またはに記載の電子部品の製造方法。
  7. 焼成後の前記誘電体層の厚みと、焼成後の前記内部電極層の厚みと、の比が誘電体層の厚み/内部電極層の厚み=0.5〜2.0の範囲となるように、前記グリーンシートおよび前記焼成前電極膜を形成する請求項のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  8. 複数の前記焼成前電極膜と、複数の前記グリーンシートと、を交互に積層し、
    焼成後の前記誘電体層の積層数を100層以上とする請求項のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  9. 前記内部電極用ペーストとして、平滑な基板上に、乾燥後の膜厚が30〜45μmとなるように塗布し、その後、100℃、15分の条件にて送風型の乾燥機で乾燥した場合に、得られる塗膜の表面の60度鏡面光沢度 (Gs(60°))が、100%以上となるような内部電極用ペーストを使用する請求項1〜のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により得られる電子部品。
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