JP2008186933A - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

積層型電子部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008186933A
JP2008186933A JP2007018080A JP2007018080A JP2008186933A JP 2008186933 A JP2008186933 A JP 2008186933A JP 2007018080 A JP2007018080 A JP 2007018080A JP 2007018080 A JP2007018080 A JP 2007018080A JP 2008186933 A JP2008186933 A JP 2008186933A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive material
internal electrode
electrode
firing
paste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2007018080A
Other languages
English (en)
Inventor
要 ▲崎▼山
Kaname Sakiyama
Kazutaka Suzuki
和孝 鈴木
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2007018080A priority Critical patent/JP2008186933A/ja
Publication of JP2008186933A publication Critical patent/JP2008186933A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】内部電極層の厚みが薄層化した場合でも、焼成段階での導電体粒子の粒成長を抑制し、球状化、電極途切れを有効に防止しつつ、しかも、製品のクラック発生率の改善された信頼性の高い積層型電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体と、前記素子本体の両端部に形成された一対の端子電極と、を有する積層型電子部品を製造する方法において、焼成後に前記内部電極層となる電極パターン膜を形成するための電極ペーストとして、ニッケルを主成分とする第1導電材と、レニウム(Re)を主成分とする第2導電材と、を所定の比率で含有するペーストを用い、かつ、焼成後に前記誘電体層となるグリーンシートと、焼成後に前記内部電極層となる電極パターン膜とを交互に積層してなる積層体の脱脂処理温度を850〜1000℃とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法に関する。
積層型電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に複数配置された積層構造の素子本体と、この素子本体の両端部に形成された一対の外部端子電極とで構成される。
この積層セラミックコンデンサを製造するには、まず、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを必要枚数だけ交互に複数積層させて焼成前素子本体とし、これを焼成することにより製造される。すなわち、積層セラミックコンデンサの製造に際しては、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とを同時に焼成することになる。
そのため、焼成前内部電極層に含まれる導電材には、焼成前誘電体層に含まれる誘電体粉末の焼結温度よりも高い融点を持つこと、誘電体粉末と反応しないこと、焼成後誘電体層に拡散しないこと、などが要求される。従来は、これらの要求を満足させるために、焼成前内部電極層に含まれる導電材としては、PtやPdなどの貴金属が使用されている。しかしながら、貴金属は、それ自体が高価であり、結果として最終的に得られる積層セラミックコンデンサがコスト高になるという欠点がある。そこで、従来では、誘電体粉末の焼結温度を900〜1100℃に低下させ、焼成前内部電極層に含まれる導電材としてAg−Pd合金を用いたり、Niなどの安価な卑金属を用いている。
しかしながら、焼成前内部電極層に含まれる導電材にNiを用いた場合には、次のような問題が発生していた。すなわち、Niは、焼成前誘電体層に含まれる誘電体粉末と比較して融点が低いため、これらを同時焼成した場合、両者の焼結温度の間で大きな差が生じる。焼結温度に大きな差がある場合に高い温度で焼結させると、内部電極層の割れや剥離が生じ、一方、低い温度で焼結させると、誘電体粉末の焼成不良を生じることがある。
また、積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化を図るために、焼成前内部電極層の厚みを薄くしていくと、還元雰囲気での焼成中に、導電材に含まれるNi粒子は粒成長により球状化してしまうことがあった。そして、その結果、焼成前には連結していた隣接するNi粒子同士の間隔が開いて任意の箇所に空孔を生じ、その結果、焼成後内部電極層を連続的に形成することが困難となってしまう。焼成後の内部電極層が連続していない場合、積層セラミックコンデンサの静電容量が低下するという問題がある。
これに対して、本出願人は、上記問題を解決するために、積層セラミックコンデンサにおいて、内部電極層を、Niと、Ru等の貴金属と、の合金で形成することを提案している(特許文献1)。内部電極を、このようなNiとRu等の貴金属との合金で構成することにより、特に内部電極層の厚みを薄層化した場合でも、焼成段階でのNi粒子の粒成長を抑制し、球状化、電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を効果的に抑制することが可能となった。
一方で、近年、各種電子機器の小型化が進んでおり、電子機器の内部に装着される積層セラミックコンデンサについても、更なる小型化および大容量化が求められている。そして、小型化および大容量化を図るために、たとえば特許文献1において、内部電極層の厚みを1μm以下とし、誘電体層および内部電極層の積層数を増加させると、信頼性が低下してしまうという新たな課題が発生していた。
国際公開第2004/070748号パンフレット
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、特に内部電極層の厚みが薄層化した場合でも、焼成段階での導電体粒子の粒成長を抑制し、球状化、電極途切れを有効に防止しつつ、しかも、製品のクラック発生率の改善された信頼性の高い積層型電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者等は、焼成時における、焼成後に誘電体層となるグリーンシートおよび焼成後に内部電極層となる電極パターン膜に含有される残留溶剤および残留バインダの影響に着目し、焼成前に、残留溶剤および残留バインダを効果的に除去することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体と、前記素子本体の両端部に形成された一対の端子電極と、を有する積層型電子部品を製造する方法であって、
焼成後に前記誘電体層となるグリーンシートを形成する工程と、
電極ペーストを用いて、焼成後に前記内部電極層となる電極パターン膜を形成する工程と、
前記グリーンシートと前記電極パターン膜とを交互に積層し、積層体を得る工程と、
前記積層体の脱脂処理を行う脱バインダ工程と、
脱脂処理を行った前記積層体の両端部に一対の端子電極を形成する工程と、
端子電極を形成した前記積層体を焼成する工程と、を有し、
前記脱バインダ工程における脱脂処理の温度を850〜1000℃とし、かつ、
前記電極パターン膜を形成するための電極ペーストとして、
ニッケルを主成分とする第1導電材と、
レニウム(Re)を主成分とする第2導電材と、を含有し、
前記第1導電材と前記第2導電材との合計を100重量%とした場合に、これらの比率が、
第1導電材:80重量%以上、100重量%未満、
第2導電材:0重量%より多く、20重量%以下、
である電極ペーストを用いる積層型電子部品の製造方法が提供される。
本発明においては、前記脱バインダ工程の後に、前記積層体の端面の研磨を行い、端面の研磨を行った後に、前記端子電極を形成することが好ましい。
好ましくは、前記端子電極を構成する導電材が、NiまたはNi合金である。なお、Ni合金を用いる場合における、合金中のNi量は、好ましくは95重量%以上とする。
好ましくは、前記内部電極層の厚みが、1μm以下であり、より好ましくは0.6μm以下である。内部電極層を薄層化することにより、積層型電子部品の小型、大容量化が可能となる。
前記電極ペーストに含有される第1導電材および第2導電材としては、たとえば、第1導電材と第2導電材とからなる合金粉末としてペースト中に含有させても良いし、あるいは、別々の粉末、すなわち、第1導電材粉末と第2導電材粉末とを、混合して用いても良い。
本発明に係る積層型電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明によれば、焼成後に内部電極層となる電極パターン膜を、Niを主成分として含む第1導電材と、レニウム(Re)を主成分とする第2導電材と、を含有する電極ペーストを用いて形成する。そのため、内部電極層の厚みを薄層化した場合でも、Ni等の卑金属を単独で用いていた場合において問題となっていた焼成段階での導電粒子の粒成長を抑制することができ、これにより、球状化、電極途切れを有効に防止し、静電容量の低下を有効に防止することができる。
しかも、本発明においては、焼成前の積層体に対して、焼成後に誘電体層となるグリーンシートおよび焼成後に内部電極層となる電極パターン膜に含有される残留溶剤およびバインダを除去するための脱バインダ処理を850〜1000℃と比較的に高い温度で行っている。そのため、脱バインダ処理後の残留溶剤および残留バインダの量を低減することができ、その結果、脱バインダ後に焼成を行った際に、残留溶剤および残留バインダに含有されている残留炭素分が酸化され二酸化炭素ガスとなることにより、素子内に気泡が生成し、これによりクラックが発生してしまうという不具合を有効に防止できる。すなわち、クラック発生率を低減でき、信頼性の高い積層型電子部品を提供できる。
なお、本発明においては、焼成後に内部電極層となる電極パターン膜を、上述した第1導電材と第2導電材とを用いて形成し、これらの比率を所定の範囲としているため、電極パターン膜の耐酸化性を向上させることができ、その結果、脱バインダ処理の温度を850〜1000℃と比較的に高い温度とした場合でも、内部電極層の酸化を有効に防止することができ、そのため、このような温度での脱バインダ処理が可能となる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2(A)〜図2(C)は内部電極層用膜の転写方法を示す要部断面図、
図3(A)〜図3(C)は図2の続きの工程を示す要部断面図である。
まず、本発明に係る積層型電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体(素子本体)4と、第1端子電極6と、第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の一方の端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の他方の端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
内部電極層12は、導電材として、卑金属としてのニッケルを主成分とする第1導電材と、レニウム(Re)を主成分とする第2導電材と、を含んでなるものである。内部電極層12においては、第1導電材と第2導電材とは、これらの合金の形で存在すると考えられる。
内部電極層12における第1導電材の含有比率は、第1導電材と第2導電材との合計を100重量%とした場合に、80重量%以上、100重量%未満であり、好ましくは、90重量%以上、95重量%以下である。また、第2導電材の含有比率は、0重量%より多く、20重量%以下であり、好ましくは5重量%以上、20重量%以下である。第2導電材を含有させないと、脱バインダ処理時に、内部電極の端部酸化が発生してしまい、得られる積層セラミックコンデンサの容量バラツキが大きくなり、製品としての信頼性が低下してしまう。一方、第2導電材の含有比率が多すぎると、誘電損失や抵抗率が上昇するなどの不都合を生じる傾向にある。
内部電極層12は、後で詳細に説明するように、図2〜図3に示すように、電極パターン膜12aをセラミックグリーンシート10aに転写して形成される。内部電極層12は、電極パターン膜12aと同じ材質で構成されるが、その厚みは、焼成による水平方向の収縮分だけ電極パターン膜12aよりも厚くなる。内部電極層12の厚みは、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。内部電極層を薄層化することにより、積層セラミックコンデンサ2の小型・大容量化を図ることができる。特に、本実施形態では、内部電極層12を、上述した第1導電材および第2導電材を所定の比率で含有させた構成とするため、焼成段階での導電粒子の粒成長を抑制することができ、その結果、内部電極層をこのように薄層化することができる。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。また、これらの誘電体材料に加えて、必要に応じて各種副成分をさらに添加しても良い。たとえば、焼成温度の低下を図るための副成分として、SiO、B、Liなどを主成分とするガラス成分が挙げられる。また、耐還元性や温度特性を調整するための副成分として、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどの希土類元素を含む酸化物や、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属を含む酸化物などが挙げられる。
誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下に薄層化されている。
端子電極6および8を構成する導電材としては、本実施形態では、NiまたはNi合金が好ましく用いられる。Ni合金を用いる場合における、合金中のNi量は、95重量%以上とすることが好ましい。また、端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。これらの導電性材料の形状は特に限定されるものではなく、球状、鱗片状などであってもよく、またこれらの形状の混合物であってもよい。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm)×横(0.3〜5.0mm)×厚み(0.1〜3.2mm)程度である。
次に、積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
誘電体ペーストは、通常、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.1〜3.0μm程度の粉末として用いられる。なお、きわめて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉末を使用することが望ましい。
なお、誘電体原料としては、たとえば、誘電体層10を構成することとなる原料の一部または全部を、ボールミル等により湿式混合し、次いで、スプレードライヤー等により乾燥させ、その後仮焼し、仮焼原料として用いても良い。仮焼は、通常800〜1300℃の条件で、2〜10時間程度とする。また、仮焼原料は、ジェットミルあるいはボールミル等にて所定粒径となるまで粉砕して用いても良い。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、特に限定されず、たとえば、アビチエン酸レジン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アクリル樹脂などが用いられるが、なかでも、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂が好ましい。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、エタノール、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、ケロシン、酢酸エチルなどの有機溶剤が用いられる。また、水系ペーストにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダを溶解させたものである。水溶性バインダとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。誘電体ペースト中の各成分の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえば、誘電体原料は30〜80重量%程度、バインダは2〜5重量%程度、溶剤(または水)は20〜70重量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されても良い。
たとえば、可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが挙げられる。また、分散剤としては、たとえば、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤などが挙げられる。可塑剤の含有量は0.1〜5重量%程度である。可塑剤が少なすぎるとグリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。また、分散剤の含有量は0.1〜5重量%程度である。
誘電体ペーストは、誘電体原料と、有機ビヒクルと、必要に応じて添加される各種添加物とをバスケットミル、ボールミル、ビーズミルなどを用いて調製することができる。
次に、上記誘電体ペーストを用いて、図3(A)に示すように、第2支持シートとしてのキャリアシート30上に、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μm程度の厚みで、グリーンシート10aを形成する。グリーンシートは、たとえば、ドクターブレード、リップコーター、ダイコーター、リバースコーターなどを用いた塗布法により形成することができる。グリーンシート10aは、キャリアシート30に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜5分である。
次に、上記のキャリアシート30とは別に、図2(A)に示すように、第1支持シートとしてのキャリアシート20を準備し、その上に、剥離層22を形成する。次に、剥離層22の表面に、焼成後に内部電極層12を構成することになる電極パターン膜12aを所定パターンで形成する。
形成される電極パターン膜12aの厚さは、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μm程度である。電極パターン膜12aは、単一の層で構成してあってもよく、あるいは2以上の組成の異なる複数の層で構成してあってもよい。
電極パターン膜12aは、たとえば電極ペーストを用いたスクリーン印刷などの印刷法により形成される。印刷法の1種であるスクリーン印刷法により、剥離層22の表面に電極パターン膜12aを形成する場合には、以下のようにして行う。
まず、電極パターン膜12aを形成するための電極ペーストを準備する。電極ペーストとしては、上記した第1導電材原料および第2導電材原料を、有機ビヒクルとともに混練してペースト化することにより製造することができる。第1導電材原料としては、Ni粉末、あるいは焼成後にNiとなる各種酸化物、有機金属化合物、またはレジネート等が挙げられる。また、同様に、第2導電材原料としては、Re元素の粉末、またはReを主成分とする合金、さらには焼成後にこれらの金属となる各種酸化物、有機金属化合物、またはレジネート等が挙げられる。
なお、第1導電材原料と第2導電材原料とは、それぞれ別々の原料粉末の状態で用いても良いし、あるいは第1導電材と第2導電材とを予め合金化した合金粉末を用いても良く、本実施形態では、合金粉末を用いることが好ましい。このような第1導電材と第2導電材とからなる合金粉末としては、所望の組成比を有する粉末を、適宜、用いれば良い。
得られた電極ペーストを、図2(A)に示すように、たとえばスクリーン印刷により、剥離層22の表面に所定パターンで形成することで、所定パターンの電極パターン膜12aを形成する。
本実施形態では、電極パターン膜12aを形成した後、あるいは形成前に、剥離層22の電極パターン膜12aが形成されていない部分に、電極パターン膜12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層14を形成する。余白パターン層14は、グリーンシート10aと同様な材質で構成される。余白パターン層14は、電極パターン膜12aと同様に、印刷法により形成すれば良い。余白パターン層14を形成することで、所定パターンの電極パターン膜12aによる表面の段差が解消され、段差に起因する積層時または焼成後の不都合を解消することができる。
次に、上記のキャリアシート20および30とは別に、図2(A)に示すように、第3支持シートとしてのキャリアシート26の表面に接着層28が形成してある接着層転写用シートを準備する。キャリアシート26は、キャリアシート20および30と同様なシートで構成される。
図2(A)に示す電極パターン膜12aの表面に、接着層を形成するために、本実施形態では、転写法を採用している。すなわち、図2(B)に示すように、キャリアシート26の接着層28を、電極パターン膜12aの表面に押し付け、加熱加圧して、その後キャリアシート26を剥がすことにより、図2(C)に示すように、接着層28を、電極パターン膜12aの表面に転写する。
その時の加熱温度は、40〜100℃が好ましく、また、加圧力は、0.2〜15MPaが好ましい。加圧は、プレスによる加圧でも、カレンダロールによる加圧でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。
その後に、電極パターン膜12aおよび余白パターン層14を、図3(A)に示すキャリアシート30の表面に形成してあるグリーンシート10aの表面に転写する。本実施形態では、図3(B)に示すように、キャリアシート20の電極パターン膜12aおよび余白パターン層14を、接着層28を介して、グリーンシート10aの表面にキャリアシート20と共に押し付け、加熱加圧して、図3(C)に示すように、電極パターン膜12aおよび余白パターン層14を、接着層28を介して、グリーンシート10aの表面に転写する。ただし、グリーンシート10a側のキャリアシート30が引き剥がされることから、グリーンシート10a側から見れば、グリーンシート10aが電極パターン膜12aおよび余白パターン層14に接着層28を介して転写される。
この転写時の加熱および加圧は、プレスによる加圧・加熱でも、カレンダロールによる加圧・加熱でも良いが、一対のロールにより行うことが好ましい。その加熱温度および加圧力は、接着層28を転写するときと同様である。
このような図2(A)〜図3(C)に示す工程により、単一のグリーンシート10a上に、所定パターンの電極パターン膜12aおよび余白パターン層14が形成される。これを用いて、電極パターン膜12aおよび余白パターン層14と、グリーンシート10aと、が交互に多数積層された積層体を得る。
その後、この積層体を最終加圧した後、キャリアシート20を引き剥がす。最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaである。また、加熱温度は、40〜100℃が好ましい。
その後に、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。そして、グリーンチップに対し、まず、脱バインダ処理(脱脂処理)を施す。
本実施形態では、脱バインダ処理は、保持温度(脱脂処理温度)を850〜1000℃、好ましくは900〜950℃と、比較的に高い温度とする。本実施形態では、焼成後に内部電極層12を構成することとなる、電極パターン膜12aを、上記した第1導電材および第2導電材で構成しているため、このように比較的に高い温度での脱脂処理が可能となる。すなわち、電極パターン膜12aを耐酸化性に優れたものとしているため、比較的に高い温度で脱脂処理を行った場合でも、内部電極層の酸化を有効に防止することができる。そして、これにより脱脂処理を十分に行うことができ、後の焼成の際における、チップ内の残留溶剤および残留バインダの量(残炭素量)を低減することができる。そのため、結果として、残留溶剤および残留バインダに含有されている残留炭素分が、焼成時に酸化され二酸化炭素ガスとなることにより、素子内に気泡が生成し、これによりクラックが発生してしまうという不具合を有効に防止できる。
上記以外の脱バインダ処理条件は下記の条件が好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜60℃/時間、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気 :加湿したN雰囲気等の不活性ガス雰囲気等。
次いで、脱バインダ処理を行ったチップの端面研磨を行う。端面研磨は、たとえば、バレル研磨、サンドブラスト等が挙げられる。端面研磨を行うことにより、脱バインダ処理後のチップに、コーナー部を形成できるとともに、電極端部(電極パターン膜の端部)をチップ表面に露出させることができる。電極端部を露出させることにより、焼成後に内部電極層12となる電極パターン膜の端部と、後述する端子電極6,8との電気的な接続を良好なものとすることができる。
次いで、端面研磨を行ったチップに対し、端子電極6,8を形成するための端子電極用ペーストを塗布する。端子電極用ペーストに含有させる導電材としては、NiまたはNi合金を用いる。端子電極用ペーストは、上記した電極ペーストと同様にして調製すればよい。また、端子電極用ペーストを塗布した後に、端子電極用ペースト中に含有されている溶剤を除去するために、必要に応じて乾燥処理を行っても良い。
次いで、端子電極用ペーストを塗布したチップに対し、焼成およびアニール(熱処理)を行う。
焼成は、下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:50〜1000℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、1Pa以下、特に10−2〜10−8 Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
アニール(熱処理)は、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗(IR)の加速寿命を著しく長くすることができ、信頼性が向上する。
このような焼成を行った後のアニール(熱処理)は、保持温度または最高温度を、好ましくは800℃以上として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜10Pa、より好ましくは10−2Pa〜10Paである。前記範囲未満では、誘電体層2の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層12が酸化する傾向にある。
なお、本実施形態においては、焼成およびアニールの前に、チップ端面に端子電極を形成するという工程を採用しているため、内部電極層が露出していない状態で、焼成およびアニールを行うことができる。そのため、比較的に高い温度あるいは比較的に高い酸素分圧で、焼成およびアニールを行うことができる。特に、アニールを比較的に高い温度や、高い酸素分圧で行うことにより、絶縁抵抗(IR)や、絶縁抵抗(IR)の加速寿命をより優れたものとすることができ、信頼性のさらなる向上を図ることができる。
本実施形態においては、焼成とアニール処理とは連続して行うことが好ましい。この場合においては、焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。
焼成とアニール処理とを連続して行う場合における、上記以外のアニール条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、特に0.5〜5時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
なお、Nガスを加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。
そして、必要に応じて端子電極にNiめっきやSnめっきを施すことにより、図1に示す積層セラミックコンデンサを得ることができる。このようにして得られた本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得る。
たとえば、本発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の電子部品に適用することが可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
誘電体ペーストの作製
まず、BaTiO粉末(BT−02/堺化学工業(株))と、MgCO、MnCO、(Ba0.6Ca0.4)SiOおよび希土類酸化物(Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y)から選択された粉末とを、ボールミルにより16時間、湿式混合し、乾燥させることにより誘電体材料とした。これら原料粉末の平均粒径は0.1〜1μmであった。(Ba0.6Ca0.4)SiOは、BaCO、CaCOおよびSiOをボールミルにより、16時間、湿式混合し、乾燥後に1150℃にて空気中で焼成したものをボールミルにより、100時間湿式粉砕して作製した。
得られた誘電体材料をペースト化するために、有機ビヒクルを誘電体材料に加え、ボールミルで混合し、誘電体ペーストを得た。有機ビヒクルは、誘電体材料100重量部に対して、バインダとしてポリビニルブチラール:6重量部、可塑剤としてフタル酸ビス(2エチルヘキシル)(DOP):3重量部、酢酸エチル:55重量部、トルエン:10重量部、剥離剤としてパラフィン:0.5重量部の配合比である。
電極ペーストの作製
電極ペーストを形成するための導電材料として、Ni/Re合金粉末を準備した。次いで、Ni/Re合金粉末:100重量部に対して、BaTiO:20重量部、有機ビヒクル(エチルセルロース:ターピネオール=5:200(重量比)):205重量部を添加し、三本ロールで混練、分散することにより電極ペーストを調製した。
なお、本実施例では、表1に示すようにNi/Re比を変化させた複数の合金粉末を準備し、Ni/Re比の異なる導電材料を用いた複数の電極ペーストを調製した。
端子電極用ペーストの作製
端子電極用ペーストを形成するための導電材料として、Ni粉末を準備した。次いで、Ni粉末:100重量部に対して、BaTiO:20重量部、有機バインダとしてのエチルセルロース:5重量部、溶剤としてのターピネオール:15重量部を添加し、三本ロールで混練、分散することにより端子電極用ペーストを調製した。
グリーンシートの形成
上記にて得られた誘電体ペーストを用いて、PETフィルム(第2支持シート)上に、ワイヤーバーコーターを用いて、厚み1.0μmのグリーンシートを形成した。
電極パターン膜、余白パターン層の形成
まず、上記にて作製した誘電体ペーストをエタノール/トルエン(55/10)によって重量比で2倍に希釈し、これを剥離層用ペーストとした。そして、この剥離層用ペーストを、別のPETフィルム(第1支持シート)上に、ワイヤーバーコーターにより塗布乾燥させて、厚み0.3μmの剥離層を形成した。
次いで、剥離層の上に、上記にて作製した電極ペーストをスクリーン印刷機により所定パターンで印刷し、乾燥することにより、電極パターン膜を形成した。なお、乾燥後の電極パターン膜の厚みは0.7μmであった。
次いで、剥離層の電極パターン膜が形成されていない部分に、上記にて作製した誘電体ペーストを、スクリーン印刷機により印刷し、乾燥することにより、余白パターン層を形成した。余白パターンの印刷には、上記電極パターン膜を印刷する際に使用したパターンと、相補的なパターンとなっているスクリーン製版を使用した。余白パターンは、乾燥時の膜厚が内部電極層と同じ厚みとなるように形成した。
接着層の形成
誘電体粒子および剥離剤を入れない以外は、上記にて作製した誘電体ペーストと同様にして得られたペーストを、トルエンによって重量比で4倍に希釈し、これを接着層用ペーストとした。そして、この接着層用ペーストを、別の、表面にシリコーン系樹脂による剥離処理を施したPETフィルム(第3支持シート)の上に、ワイヤーバーコーターにより塗布乾燥させて、厚み0.2μmの接着層28を形成した。
グリーンチップの形成
まず、内部電極層用膜12aの表面に、図2に示す方法で接着層28を転写した。転写時には、一対のロールを用い、その加圧力は0.1MPa、温度は80℃とした。
次に、図3に示す方法で、接着層28を介してグリーンシート10aの表面に電極パターン膜12aを接着(転写)した。転写時には、一対のロールを用い、その加圧力は0.1MPa、温度は80℃とした。
次に、次々に電極パターン膜12aおよびグリーンシート10aを積層し、最終的に、400層の電極パターン膜12aが積層されたグリーンチップを得た。積層条件は、加圧力は50MPa、温度は120℃とした。
脱バインダ処理、バレル研磨、端子電極の形成、焼成およびアニール
得られたグリーンチップに対し、以下の条件で脱バインダ処理(脱脂処理)を行った。
昇温速度:60℃/時間、
保持温度:950℃、
保持時間:1時間、
冷却速度:60℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNガス、
で行った。なお、後述するように、脱バインダ処理を行ったチップのうちの一部を用いて、残留炭素量の測定を行った。
次に、脱バインダ処理を行ったチップに対して、バレル研磨を行った。そして、バレル研磨を行ったチップの電極端部の露出端面に端子電極用ペーストを転写し、溶剤を除去するために乾燥を行った。
次に、端子電極を形成したチップに対し、以下の条件で焼成およびアニール(熱処理)を行った。
すなわち、焼成は、
昇温速度:100℃/時間、
保持温度:1260℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:100℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHの混合ガス、
酸素分圧:10−4Pa
で行った。
アニール(熱処理)は、
保持温度:800℃、
保持時間:0.5時間、
冷却速度:100℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNガス、
酸素分圧:10−1Pa、
で行った。
なお、本実施例では、焼成の保持温度(1260℃)で2時間保持した後、冷却速度100℃/時間で、アニール(熱処理)の保持温度(800℃)まで冷却し、次いで、雰囲気ガスおよび酸素分圧を変更して、アニール(熱処理)を行った。
また、焼成およびアニール(熱処理)における雰囲気ガスの加湿には、水温を0〜75℃としたウェッターを用いた。
以上のようにして、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。このようにして得られた各サンプルのサイズは、2.0mm×1.2mm×0.8mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は400、その厚さは0.7μmであった。なお、本実施例では、内部電極層を形成する導電材として、Ni/Re合金を用い、表1に示すように、それぞれNiとReとの比率(重量比)の異なる複数のサンプルを作製した。
得られた各サンプルについて、残留炭素量、容量バラツキ、誘電損失tanδ、端部酸化率およびクラック発生率の各評価を以下に示す方法により行った。
残留炭素量
脱バインダ処理工程後のチップを粉砕し、酸素気流中において、燃焼−赤外吸収法(LECO社製CS−600)にて発生したCOの量を測定し、これにより、残留炭素量を測定した。結果を表1に示す。
容量バラツキ
まず、基準温度25℃でデジタルLCRメータ(YHP社製4284A)を用い、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で、各コンデンササンプルの静電容量を測定した。この静電容量の測定を50個のサンプルについて行い、50個のサンプルの測定結果を標本とする標準偏差、および平均値を求めた。そして、測定結果より算出した標準偏差を平均値で除すことにより変動係数(%)を求めることにより、容量バラツキを評価した。変動係数(%)が低い程、容量バラツキが小さいものと評価できる。結果を表1に示す。
誘電損失tanδ
誘電損失tanδの測定は、得られたコンデンササンプルに対し、基準温度25℃でデジタルLCRメータ(HP社製 HP4284A)を用い、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で行った。
端部酸化率
得られたコンデンササンプルについて、電子線プローブマイクロアナライザ(日本電子(株)製 JXA8500F型FE−EPMA)を用い、端子電極と内部電極層との界面付近の元素マップデータの収集を行った。測定は50層の内部電極層に対して行い、測定の結果、酸素原子の存在が確認できるものを「端部酸化」とし、端部酸化の発生割合を求め、これを端部酸化率(%)とした。結果を表1に示す。
クラック発生率
得られたコンデンササンプルについて、顕微鏡による概観検査を行い、クラックの発生の有無を測定した。測定は、200,000個のサンプルについて行い、200,000個のサンプルにおける、クラックの発生したサンプルの割合を求め、これをクラック発生率(ppm)とした。結果を表1に示す。
Figure 2008186933
表1中、試料番号1は、内部電極層を形成する導電材として、Ni/Re合金の代わりに、Niを用いた。
評価1
表1より、内部電極層を形成する導電材として、Ni(第1導電材)とRe(第2導電材)とを本発明所定の割合とし、脱バインダ処理を950℃で行うことにより、容量バラツキ、誘電損失および端部酸化率を低く保ちながら、脱バインダ処理工程後のチップ中における残留炭素量を低減でき、これによりクラック発生率の低減が可能となることが確認できる。
一方、内部電極層を形成する導電材として、Ni/Re合金の代わりに、Niを用いた試料番号1においては、端部酸化率が高くなり、容量バラツキが大きくなる結果となった。この試料番号1においては、主に脱バインダ処理時に端部酸化が起こったものと考えられる。また、試料番号7の結果より、内部電極層中におけるRe(第2導電材)の割合が多すぎると、誘電損失が悪化してしまうことが確認できる。
実施例2
脱バインダ処理時における保持温度(脱脂処理温度)を、表1に示すように変化させた以外は、実施例1の試料番号3と同様にしてコンデンササンプルを作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2008186933
表2中、試料番号16は、実施例1の試料番号3と同じサンプルである。
評価2
表2より、Ni(第1導電材)とRe(第2導電材)とを本発明所定の割合とし、脱バインダ処理を850〜1000℃の範囲で変化させた場合においても、実施例1と同様に、容量バラツキ、誘電損失および端部酸化率を低く保ちながら、脱バインダ処理工程後のチップ中における残留炭素量を低減でき、これによりクラック発生率の低減が可能となることが確認できる。
一方、脱バインダ処理を800℃以下の温度で行った場合には、脱バインダ処理後のチップ中における残留炭素量が多くなってしまい、結果としてクラック発生率が高くなる結果となった。また、脱バインダ処理を1050℃で行った場合には、端部酸化率が高くなり、容量バラツキが大きくなる結果となった。
実施例3
焼成後の内部電極層の厚みを表1に示すように変化させた以外は、実施例1の試料番号3と同様にしてコンデンササンプルを作製し、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
比較例1
焼成後の内部電極層の厚みを0.9μmとした以外は、実施例1の試料番号1と同様にしてコンデンササンプルを作製し、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
比較例2
脱バインダ処理における保持温度(脱脂処理温度)を、600℃とした以外は、実施例1の試料番号1と同様にしてコンデンササンプルを作製し、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2008186933
表3中、試料番号24,25は、内部電極層を形成する導電材として、Ni/Re合金の代わりに、Niを用いた。
評価3
表3の試料番号21〜23の結果より、内部電極層厚みを表3に示すように変化させた場合にも、同様の結果が得られることが確認できる。
一方、内部電極層を形成する導電材として、Ni/Re合金の代わりに、Niを用いた試料番号24においては、内部電極層厚みを0.9μmと比較的に厚くした場合においても、同様に端部酸化率が高くなり、容量バラツキが大きくなる結果となった。また、内部電極層を形成する導電材として、Ni/Re合金の代わりにNiを用い、かつ、脱バインダ処理を600℃で行った試料番号25においては、端部酸化率が高くなり、容量バラツキが大きくなることに加え、脱バインダ処理工程後のチップ中における残留炭素量も多くなり、クラック発生率も悪化する結果となった。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2(A)〜図2(C)は内部電極層用膜の転写方法を示す要部断面図である。 図3(A)〜図3(C)は図2の続きの工程を示す要部断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
12… 内部電極層
12a… 電極パターン膜
14… 余白パターン層
20… キャリアシート(第1支持シート)
22… 剥離層
26… キャリアシート(第3支持シート)
28… 接着層
30… キャリアシート(第2支持シート)

Claims (4)

  1. 内部電極層と誘電体層とが交互に積層してある素子本体と、前記素子本体の両端部に形成された一対の端子電極と、を有する積層型電子部品を製造する方法であって、
    焼成後に前記誘電体層となるグリーンシートを形成する工程と、
    電極ペーストを用いて、焼成後に前記内部電極層となる電極パターン膜を形成する工程と、
    前記グリーンシートと前記電極パターン膜とを交互に積層し、積層体を得る工程と、
    前記積層体の脱脂処理を行う脱バインダ工程と、
    脱脂処理を行った前記積層体の両端部に一対の端子電極を形成する工程と、
    端子電極を形成した前記積層体を焼成する工程と、を有し、
    前記脱バインダ工程における脱脂処理の温度を850〜1000℃とし、かつ、
    前記電極パターン膜を形成するための電極ペーストとして、
    ニッケルを主成分とする第1導電材と、
    レニウム(Re)を主成分とする第2導電材と、を含有し、
    前記第1導電材と前記第2導電材との合計を100重量%とした場合に、これらの比率が、
    第1導電材:80重量%以上、100重量%未満、
    第2導電材:0重量%より多く、20重量%以下、
    である電極ペーストを用いる積層型電子部品の製造方法。
  2. 前記脱バインダ工程の後に、前記積層体の端面の研磨を行い、端面の研磨を行った後に、前記端子電極を形成する請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
  3. 前記端子電極を構成する導電材が、NiまたはNi合金である請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
  4. 前記内部電極層の厚みが、1μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
JP2007018080A 2007-01-29 2007-01-29 積層型電子部品の製造方法 Withdrawn JP2008186933A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007018080A JP2008186933A (ja) 2007-01-29 2007-01-29 積層型電子部品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007018080A JP2008186933A (ja) 2007-01-29 2007-01-29 積層型電子部品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008186933A true JP2008186933A (ja) 2008-08-14

Family

ID=39729779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007018080A Withdrawn JP2008186933A (ja) 2007-01-29 2007-01-29 積層型電子部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008186933A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014036219A (ja) * 2012-08-08 2014-02-24 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 積層セラミック電子部品及びその製造方法
JP2017168488A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014036219A (ja) * 2012-08-08 2014-02-24 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 積層セラミック電子部品及びその製造方法
JP2017168488A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5434407B2 (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JPWO2005117041A1 (ja) 電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2007173480A (ja) 積層型電子部品およびその製造方法
JP2008247656A (ja) 誘電体磁器組成物の製造方法および電子部品の製造方法
JP2012033556A (ja) 積層型セラミック電子部品
JP5423977B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP5293951B2 (ja) 電子部品
JP5221059B2 (ja) 電極段差吸収用印刷ペーストおよび積層セラミック電子部品の製造方法
JP2007063040A (ja) 誘電体磁器組成物の製造方法、および電子部品
JP3924286B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JPWO2005117040A1 (ja) 電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP4182009B2 (ja) 導電性粒子、導電性ペースト、電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2006324637A (ja) 共材粒子、その製造方法、電極ペースト、電子部品の製造方法
JP4735071B2 (ja) 電子部品の製造方法および電子部品
JP2007234588A (ja) 導電性ペースト、電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP4661203B2 (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JP4888572B2 (ja) 導電性ペーストおよび電子部品の製造方法
JP2001217137A (ja) 積層セラミック電子部品およびその製造方法
JP4432882B2 (ja) 積層型電子部品およびその製造方法
JP4867948B2 (ja) 導電性粒子、導電性ペースト、電子部品、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
JP2001284161A (ja) ニッケル粉末、電極用ペーストおよび電子部品の製造方法
JP2007149780A (ja) 積層型セラミック電子部品およびその製造方法
JP2008186933A (ja) 積層型電子部品の製造方法
JP5803688B2 (ja) 誘電体磁器組成物および積層セラミックコンデンサ
JP2005255461A (ja) 電子部品、誘電体磁器組成物およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20100406