実施の形態1.
図1は、本発明に基づく画像形成装置の実施の形態1の要部構成を示す要部構成図である。
同図に示すように、画像形成装置1は、感光体ドラム11、この感光体ドラム11の周囲にその回転方向の上流側から順に配置された、帯電ローラ12、露光ヘッド13、現像装置14、濃度センサ23、転写ローラ18、及び感光体クリーニングブレード20を備え、更に印刷媒体22の搬送方向に沿って、感光体ドラム11の下流側に配置された定着装置21を備えている。
像担持体である感光体ドラム11は、アルミニウムなどのドラム形状の導体の表面に光導電層が形成され、図示しない駆動手段によって同図中の矢印方向に回転駆動される。帯電部材である帯電ローラ12は、例えばステンレスなどの導体を軸としてエピクロルヒドリンなどの導電性の弾性体が被覆されており、感光体ドラム11に接触するように配置されている。露光部材である露光ヘッド13は、例えばLED素子とレンズアレイからなり、LED素子から出力される照射光が感光体ドラム11の表面に結像する位置に配置されている。そして感光体ドラム11は、トナーを担持する現像剤担持部材でもある。
現像装置14は、例えばステンレスなどの導体を軸としてウレタンなどの導電性の弾性体を被覆した現像部材である現像ローラ15と、例えばステンレスなどの導体を軸としてシリコーンなどの発泡性の弾性体を被覆した現像剤供給部材であるトナー供給ローラ16と、例えばステンレス鋼の板状部材からなる現像剤規制部材であるトナー規制ブレード17を備え、更に内部にはトナーを収容して供給する図示ないトナーカートリッジを備え、現像ローラ15が感光体ドラム11に接触するように配置されている。
現像剤検出部材である濃度センサ23は、例えば発光ダイオードと受光ダイオードからなるフォトセンサであり、感光体ドラム11と現像ローラ15との接触位置の下流に配置されている。転写ローラ18は、例えばステンレスなどの導体を軸としてシリコーンなどの発泡性の弾性体を被覆し、感光体ドラム11に接触するように配置されている。感光体クリーニングブレード20は、転写ローラ18の下流において感光体ドラム11に接触配置されている。印刷媒体22は、感光体ドラム11と転写ローラ18の間を搬送されて通過する。また環境センサ24は、装置内の温度及び湿度を検出すべく、装置内の所定位置に配設されている。
図2は、実施の形態1の画像形成装置の制御系2の要部構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御系2は、濃度センサ23、帯電ローラ12、現像ローラ15、トナー供給ローラ16、環境センサ24、帯電電圧制御部32、現像電圧制御部33、トナー供給電圧制御部34、演算部31、及び記憶部35を有する。
帯電電圧制御部32は、帯電ローラ12に接続されており、電圧制御部である演算部31で設定した帯電電圧を帯電ローラ12に印加する。現像電圧制御部33は、現像ローラ15に接続されており、演算部31で設定した現像電圧を現像ローラ15に印加する。トナー供給電圧制御部34は、トナー供給ローラ16に接続されており、演算部31で設定したトナー供給電圧をトナー供給ローラ16印加する。濃度センサ23は、感光体ドラム11上のトナー反射率を読取ってその読取り情報を演算部31に出力し、演算部31は、この読取り情報に基づいてトナー反射濃度を算出する。また演算部31は、接続された記憶部35から、帯電電圧の環境テーブル36、トナー供給電圧補正テーブル37、及び印刷カウント記憶部38に記憶された印刷カウント値等の各種の記憶データを読み出すことができる。環境センサ23は、画像形成装置1内部の温度及び湿度を測定し、その測定情報を演算部31に出力し、演算部31は、この測定情報に基づいて後述する環境レベル値を算出する。
以上の構成において、印刷時における各部の基本的な動作について説明する。
印刷を実行する場合には、まず、帯電ローラ12に所定の帯電電圧を印加して感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。次に、露光ヘッド13に駆動電流を供給し、帯電された感光体ドラム11の表面を露光して所望の静電潜像パターンを形成する。現像器14内においてはトナー供給ローラ16にトナー供給電圧を印加し、同じく現像ローラ15にも印加されている現像電圧との電位差によって現像ローラ15上にトナーを供給する。現像ローラ15の表面上のトナーは、トナー規制ブレード17によって薄層化されると同時に摩擦によって帯電される。そして、現像ローラ15は、その表面のトナーを感光体ドラム11上の静電潜像パターンの部分に移して現像する。続いて、転写ローラ18に転写電圧を印加して感光体ドラム11上に担持される現像剤像であるトナー像を印刷媒体22上へ転写させる。その後、印刷媒体22上のトナー像は、定着器21により印刷媒体22に定着され、印刷動作が完了する。
ここで、負帯電性のトナーを用いて、初期状態の画像形成装置1を常温常湿環境で動作させる場合の例について説明する。帯電ローラ12に印加する帯電電圧を−1000Vとすることにより、感光体ドラム11の表面は約−500Vに帯電する。また、現像ローラ15に印加する現像電圧を−250Vとし、トナー供給ローラ16に印加するトナー供給電圧を−400Vとすることにより、現像ローラ15の表面のトナー電位が約−60Vとなり、現像電圧と合わせて約−310Vが、動作状態での現像ローラ15の表面の帯電位となる。
一方、露光ヘッド13により感光体ドラム11を露光すると、一様に約−500Vに帯電していた感光体ドラム11の表面電位が、露光された部分のみ約−100Vに低下する。このため、現像ローラ15の表面(表面電位約−310V)に対してプラス側に帯電している感光体ドラム11の露光された部分の表面(表面電位約−100V)にトナーが移動し、潜像が可視化、即ち現像される。一方、感光体ドラム11上で露光ヘッド13により露光されない非露光領域である感光体ドラム11の非露光部の表面電位は約−500Vのままなので、現像ローラ15の表面に比べマイナス側に帯電している感光体ドラム11の非露光部の表面には、トナーが移動しない。
しかしながら、動作環境が同じであったとしても、印刷枚数、使用頻度、環境放置時間、印刷画像の面積率、トナー追加時、或いは、例えばトナー、現像ローラ15、トナー供給ローラ16、トナー規制ブレード17などの画像形成装置を構成する部材である画像形成プロセス部材の特性変化など様々な要因によっては、同一の電圧条件でもトナー供給ローラ16から現像ローラ15上に過剰にトナーが供給されてしまい、その結果トナー規制ブレード17を通過したトナー層の単位面積当りのトナー重量が増え、トナー層の帯電位がマイナス側に大きくなってしまう。
現像ローラ15の表面電位は、現像ローラ15に印加される現像電圧と現像ローラ15上に付着するトナー電位の和であり、感光体ドラム11の非露光部の表面電位が現像ローラ15の表面電位よりも小さい(絶対値で)ときに非露光部にもトナーが付着してしまう。以下、感光体ドラム11の非露光部へのトナー付着を地汚れという。
感光体ドラム11の非露光部の表面電位が、現像ローラ15の表面電位に等しい場合や、現像ローラ15の表面電位よりも大きい(絶対値で)場合でもその差が僅かな場合には地汚れが発生する。つまり、現像ローラ15上のトナー1つ1つの帯電には分布が伴い、中にはマイナス側に高く帯電したトナーも存在する。その場合、感光体ドラム11の非露光部の表面電位が、現像ローラ15の表面電位に等しい場合や、現像ローラ15の表面電位よりも大きい(絶対値で)場合でもその差が僅かな場合には高帯電トナーが感光体ドラム11に移動してしまい、地汚れが発生する。
そこで、実施の形態1の画像形成装置1では、感光体ドラム11上の非露光部のトナー反射濃度を監視し、地汚れが発生する感光体ドラム11の非露光部の表面電位からトナー帯電位を求め、そのトナー帯電位に基づいて、電圧条件を制御して地汚れが発生しない、トナー供給ローラ16へ印加するトナー供給電圧を補正して印加する。そして、現像ローラ15上のトナー層の電位を制御する。具体的には、
感光体ドラム11の非露光部の表面電位(−500V)
−トナー層が形成された現像ローラ15の表面電位(約−310V)=約−190V
となるように印加電圧を補正する。つまり、現像ローラ15の表面電位のうち、現像電圧−250Vを差し引いた分であるトナー層の電位が約−60Vとなるようにトナー供給電圧を補正してトナー供給ローラ16に印加する。このように、トナー供給ローラ16は、現像剤層電位制御部材として現像ローラ15上のトナー層の電位を制御する。
以上のように、トナー供給ローラ16へ印加するトナー供給電圧を補正するための、本実施の形態の画像形成装置1におけるトナー供給電圧の決定処理の方法について、図3に示すトナー供給電圧の決定処理の流れを示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
先ず、演算部31は、環境センサ24で検出される装置内の温度及び湿度情報に基づいて環境レベル値を求め、記憶部35内に記憶されている帯電電圧の環境テーブル36から、求めた環境レベル値に対応した帯電電圧値を決定する(ステップST101)。
ここで、環境レベル値とは、環境センサ24により測定した温度と湿度の関係から演算部31で演算して求めた値である。また、図4のグラフに示すように温度と絶対湿度により段階的に6つのレベルに区分けされ、各環境エリアはレベル1〜レベル6とされる。例えば、30℃、80%の高温高湿環境はレベル1、25℃、45%の室温環境はレベル3、10℃、20%の低温低湿環境はレベル6の各エリアに該当する値となる。一方、図5は、帯電電圧の環境テーブル36の内容を示したものである。例えば、環境レベル値がレベル3に該当する場合、帯電電圧として帯電環境テーブル電圧値の−1000Vが選択される。
図6は、帯電ローラ12に印加する帯電電圧と、これによって帯電される感光体ドラム11の表面の帯電電位の対応関係を、環境別に示したグラフである。
以下、この図6を参照しながら、帯電電圧の環境テーブル36の内容の決め方について説明する。図6に示すように、環境レベルが異なる場合でも、帯電ローラ12に印加する帯電電圧に対する感光体ドラム11の帯電電位の増加の傾きは同一であるが、環境レベル値が小さいほど感光体ドラム1の帯電が開始される帯電電圧(放電開始電圧)が低くなる。例えば、感光体帯電電位を−500Vとする場合、印加する帯電電圧の電圧値は環境レベル1では−900V、環境レベル3では−1000V、環境レベル6では−1150Vとなる。図5に示す帯電電圧の環境テーブル36の帯電環境テーブル電圧は、以上のように、図6のデータを基に、各環境レベルにおいて、感光体帯電電位を−500Vとする帯電電圧を記憶させたものである。
帯電電圧として、選択された帯電環境テーブル電圧値(環境レベル3では−1000V)の電圧が帯電ローラ24に印加されると共に、現像ローラ15及びトナー供給ローラ16には、常に一定の現像電圧及びトナー供給電圧が印加される(ステップST102)。本実施の形態では、例えば現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧がそれぞれ印加される。
次に、環境テーブル36により決定した帯電電圧(−1000V)からある一定の時間毎に50Vずつ印加電圧の絶対値を小さくしていきながら、濃度センサ23により感光体ドラム11の表面のトナー反射率を計測してトナー反射濃度を求める地汚れ検知動作を実行する(ステップST103)。ここでの地汚れ検知動作の実施方法について、以下に説明する。
図7は、地汚れ検知動作時の、帯電電圧、現像電圧、トナー供給電圧及び濃度センサ23の出力値のタイムチャートであり、図8〜図12は、タイムチャートの各時間領域(経過期間)における、画像形成装置1の動作状態を示す動作説明図である。尚、ここでは、環境レベルはレベル3とし、現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧がそれぞれ「オン」時に印加される。
帯電電圧は、起動後直ちに−1000Vとなり、所定の経過時間T毎に絶対値で50Vずつ電圧が低下するように制御される。説明の中で、各経過期間Tn(n=1,2,3・・・)を矢印で示す場合、指定された経過時間Tの時間領域を示すものとする。
説明図8は、図7のタイムチャートの経過期間T1での動作状態を示し、説明図8の感光体ドラム11の領域(1)は、−1000Vの帯電電圧が印加された帯電ローラ12によって帯電される領域である。またタイムチャートには、各経過期間に、帯電ローラ12によって帯電される感光体ドラム11の領域番号を付し、更に、濃度センサ23によって検出される感光体ドラム11の領域に同領域番号を付している。
説明図9は、図7のタイムチャートの経過期間T2での動作状態を示し、説明図9の感光体ドラム11の領域(2)は、−950Vの帯電電圧が印加された帯電ローラ12によって帯電される領域である。説明図10は、図7のタイムチャートの経過期間T3での動作状態を示し、説明図10の感光体ドラム11の領域(3)は、−900Vの帯電電圧が印加された帯電ローラ12によって帯電される領域である。また、この経過期間T3では、濃度センサ23が感光体ドラム11の領域(1)(−1000Vの帯電ローラ12によって帯電された領域)を監視するが、領域(1)では地汚れが発生していないので、濃度センサ23からは地汚れ検出の出力はない。尚、濃度センサ23は、地汚れが発生してない場合には、「有」に相当する信号を出力し、地汚れが発生している場合には、「無」に相当する信号を出力するものとする。
説明図11は、図7のタイムチャートの経過期間T4での動作状態を示し、説明図11の感光体ドラム11の領域(5)は、−800Vの帯電電圧が印加された帯電ローラ12によって帯電される領域である。また、この経過期間T4では、濃度センサ23が感光体ドラム11の領域(3)(−900Vの帯電ローラ12によって帯電された領域)を監視するが、領域(3)では地汚れが発生していないので、濃度センサ23からは地汚れ検出の出力はない。
説明図12は、図7のタイムチャートの経過期間T5での動作状態を示し、説明図12の感光体ドラム11の領域(7)は、−700Vの帯電電圧が印加された帯電ローラ12によって帯電される領域である。また、この経過期間T5では、濃度センサ23が感光体ドラム11の領域(5)(−800Vの帯電ローラ12によって帯電された領域)を監視し、領域(5)では地汚れが発生しているため、濃度センサ23からは地汚れ検出に相当する信号が出力される。
以上のように、濃度センサ23は、感光体ドラム11の回転によるタイムラグにより、経過時間Tにして2T期間前に帯電ローラ12によって帯電された領域を検出するため、このことから、地汚れが発生している領域における帯電電圧を算出する(ステップST104)。ここでは、地汚れが発生した領域(5)における帯電電圧の値は、−800Vである。
次に、以上に述べた地汚れ検知動作で得られた地汚れ発生時の帯電電圧(−800V)から、次にトナー供給電圧を決定する(ステップST105)。このトナー供給電圧の決定方法について以下に説明する。
図13は、現像電圧とトナー供給電圧との差と、現像ローラ15上のトナー電位の関係を示すグラフである。同図中、実線はトナーの帯電が正常の場合を表し、破線はトナーの帯電が異常な場合を表している。同グラフに示すように、トナー帯電が正常でも異常でもトナー供給電圧が現像電圧に対してマイナス側に大きくなるとトナー電位もマイナス側に大きくなる。これはトナー供給電圧の方がマイナス側に大きくなるに従って現像ローラ15に供給されるトナーが増え、現像ローラ15の表面へ付着するトナーの量が多くなるためである。
図14は、地汚れ検知の検証を行い、地汚れの発生する帯電電圧と、そのときに現像ローラ表面の電位が適正な電位になるために必要となる、現像ローラ5へ印加する電圧(現像電圧)とトナー供給ローラ6へ印加する電圧(トナー供給電圧)との差と、の関係を表したグラフである。但し、ここでは、現像電圧は−250Vの固定値とし、環境レベルは3とする。図15は、図14に基づいて導き出されたトナー供給電圧補正テーブル37の内容である。この図15に示すトナー供給電圧補正テーブル37に基づいて、地汚れを検知したときの帯電電圧に対応する、トナー供給電圧及び現像電圧が決定される。
前記した図7のタイムチャートでは、トナー帯電が正常の場合の地汚れ検知動作の結果を示しているが、この場合、電圧補正は以下のような解釈のもとに決定される。
地汚れ発生時の帯電電圧−800Vから、このときの感光体ドラム11の表面の帯電電位は約−300V(図6参照)である。一方、現像ローラ15の表面電位は、現像電圧−250Vと正常時のトナー帯電電位−60V(図13参照)を合わせて−310Vとなるため、感光体ドラム11と現像ローラ15の表面の電位がほぼ等しくなる。このため、感光体ドラム11へトナーが付着し、地汚れが発生したことがわかる。この場合は正常なトナーを使用し、トナー電位は約−60Vであることが分かっていたが、もし分かっていなくても、前記の検証結果からトナー電位が約−60V付近にあることが推測できる。この場合には、図15の内容を収めたトナー供給電圧補正テーブル37に基づいて、現像電圧とトナー供給電圧の差は変更する必要がなく、トナー供給電圧は−400V、現像電圧は−250Vと決定される。尚、このとき、感光体ドラム11の非露光部の表面電位(−500V)と現像ローラ15の表面電位(−310V)との差電圧が目標とする−190Vに設定されている。
次にトナー帯電が異常な場合の補正方法を述べる。図16は、トナー帯電が異常の場合の地汚れ検知動作のタイムチャートである。尚、同図に示す感光体ドラム11の領域(1)〜(7)は、前記した図7のタイムチャートで設定した感光体ドラム11の領域と同様に設定しており、濃度センサ23も同様に、感光体ドラム11の回転によるタイムラグにより、経過時間Tにして2T期間前に帯電ローラ12によって帯電された領域を検出していることを示している。
図16のタイムチャートによれば、地汚れが発生し始めている領域(2)における帯電電圧が−950V付近であることが分かり、このことから帯電電圧が−950V付近から地汚れが発生していることが分かる。この時の感光体ドラム11の表面の帯電電位は約−450V(図6参照)であり、また現像ローラ15の表面の電位も約−450Vであると推定できることから、このときのトナーの電位は−450Vから現像電圧の−250Vを差引いた約−200Vと推測される。そこで図13の破線を参照すると、トナーが−200Vに帯電している状態の場合、現像電圧とトナー供給電圧の差を約−50Vにすればトナー電位が約−60Vとなり、汚れの発生しにくさは正常時と同じになる。
よってこの場合には、図15の内容を収めたトナー供給電圧補正テーブル37に基づいて、トナー供給電圧は−300V、現像電圧は−250Vと決定される。尚、この場合も、感光体ドラム11の非露光部の表面電位(−500V)と現像ローラ15の表面電位(−310V)との差電圧が目標とする−190Vに設定される。
以上のように、補正電圧を決定する場合は、地汚れ発生時の帯電電圧からトナー供給電圧と現像電圧(例えば、固定値=−250V)の差を決定すれば良く、図15の内容を収めたトナー供給電圧補正テーブル37に示したトナー供給電圧と現像電圧が印加される。尚、図15は、図5に示す環境レベル3の場合のトナー供給電圧補正テーブルであるが、各環境レベルに応じたトナー供給電圧補正テーブルを図15と同様に用意する。
以上のようにして、本実施の形態の画像形成処理装置による、地汚れ検知によるトナー供給電圧の決定処理が完了する。この処理方法によれば、トナーの帯電状態が変化した場合でも地汚れの発生しにくさはトナー帯電が正常な場合と変わらず、汚れの発生を防ぐことができる。また、上記したトナー供給電圧の決定処理は、例えば装置の電源をオンにするタイミングや、環境レベルが変動するタイミング、また印刷カウントが一定の枚数を経過するタイミング等で行う。また本実施の形態で示した各値は一例に過ぎず、テーブル値等については、使用するプロセス材料の特性やプロセス速度などの条件に合わせて、適宜最適値を設定すれば良い。
以上のように、本実施の形態1の画像形成装置によれば、感光体ドラム上の地汚れを濃度センサにより検知し、地汚れの発生する帯電電圧からトナー供給電圧を決定することにより、現像ローラに過剰にトナーが供給されなくなってトナー電位を正常に保つことができ、地汚れの発生を防ぐことができる。また、本実施の形態では、実際の印刷時には感光体ドラム11の表面電位は一定(例えば−500V)に保たれるため、露光ヘッド13により感光体ドラム11上へ書き込まれたハーフパターンや階調が適正に潜像として書き込まれるので、ハーフパターンや階調の再現性を損なうことがない。
実施の形態2.
図17は、本発明に基づく画像形成装置の実施の形態2の要部構成を示す要部構成図である。
同図に示すように、本実施の形態の画像形成装置101は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を印刷可能な電子写真式カラープリンタとしての構成を備えている。画像形成装置101の内部には、印刷媒体22の搬送経路に沿ってその上流側から順に、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナーを搭載してそれぞれのトナー像を形成する4つの感光体ドラムユニット111〜114が配置されている。各感光体ドラムユニットは、同一の構成を有し、例えば、ブラック(K)の感光体ドラムユニット111に示すように、実施の形態1で説明した感光体ドラム11、帯電ローラ12、露光ヘッド13、現像装置14、感光体クリーニングブレード20から構成されている。従ってこれ等についての詳細な説明はここでは省略する。
転写部材である転写ベルト117は、例えばポリアミドなどからなる半導体のベルト状部材であり、感光体ドラムユニット111〜114の各感光体ドラム11に接触するように配置されている。各感光体ドラム11との接触部には、それぞれの感光体ドラム11に対向する位置に例えば発砲性弾性体からなる4つの転写ローラ18が配置されている。そして転写ベルト117は、トナーを担持する現像剤担持部材でもある。
転写ベルトクリーニングブレード116は、媒体の搬送経路の最も上流側にある感光体ドラムユニット111の、更に転写ベルト117の回転上流側に配置され、転写ベルト117上に転写したトナーが感光体ドラムユニット111に戻らないように、転写ベルト117からトナーを掻き落とす。濃度センサ115は、前記した実施の形態1の濃度センサ23と同様、発光ダイオードと受光ダイオードからなるフォトセンサであるが、ここでは媒体の搬送経路の最も下流側にある感光体ドラムユニット114と転写ベルトクリーニングブレード116の間に配置されている。この位置で、転写ベルト117上に転写されたトナー像の濃度を測定することで、各感光体ドラムユニット111〜114に対応して配置することなく、全ての色のトナー濃度を1つの濃度センサ115で測定できる。
転写ベルト117の媒体の搬送経路の下流側には定着器21が備えられ、装置内の所定位置には、装置内の温度及び湿度を検出する環境センサ24が配置されている。これ等の定着装置21及び環境センサ24は、前記した実施の形態1で説明したものと同一のものである。
図18は、実施の形態2の画像形成装置101の制御系102の要部構成を示すブロック図である。この制御系102の構成は、前記した実施の形態1の画像形成装置1の制御系2(図2)に対して、4つの転写ローラ8に接続されて、演算部31で設定された転写電圧を印加する転写電圧制御部120を新たに加えた構成となっている。またここでは、例えば、帯電電圧制御部32は、各感光体ドラムユニット111〜114に備えられた4つの帯電ローラ12に個々に対応した帯電電圧を印加し、現像電圧制御部33、及びトナー供給電圧制御部34も同様に、4つの現像ローラ15及びトナー供給ローラ16に個々に対応した帯電電圧を印加する。
以上の構成において、印刷時における各部の基本的な動作について説明する。
各感光体ドラムユニット111〜114内の動作は、前記した実施の形態1で説明した画像形成装置1の同符号が付された構成要素の動作と全く同じなので、ここでの説明は省略する。各感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、転写電圧制御部120により転写電圧が印加されたそれぞれに対応する転写ローラ18によって、転写ベルト117上を搬送されてきた印刷媒体22上へ転写される。印刷媒体12上に転写されたトナー像は、定着器21により印刷媒体12に定着され印刷動作が完了する。尚、負帯電性のトナーを用いて印刷する際の、帯電電圧、現像電圧、及びトナー供給電圧の役割は、前記した実施の形態1で説明した通りなので、ここでの説明を省略する。
本実施の形態による画像形成装置101においても、動作環境が同じであったとしても、印刷枚数、使用頻度、環境放置時間、印刷画像の面積率、トナー追加時、或いは画像形成プロセス材料の特性変化など様々な要因によっては、同一の電圧条件でもトナー供給ローラ16から現像ローラ15上に過剰にトナーが供給されてしまい、その結果トナー規制ブレード17を通過したトナー層の単位面積当りのトナー重量が増え、トナー帯電位がマイナス側に大きくなってしまう。
現像ローラ15の表面電位は、現像ローラ15に印加される現像電圧と現像ローラ15上に付着するトナー電位の和であり、感光体ドラム11の非露光部の表面電位が現像ローラ15の表面電位よりも小さい(絶対値で)ときに地汚れが発生する。また前記したように感光体ドラム11の非露光部の表面電位が、現像ローラ15の表面電位に等しい場合や、現像ローラ15の表面電位よりも大きい(絶対値で)場合でもその差が僅かな場合には高帯電トナーが感光体ドラム11に移動してしまい、地汚れが発生する。
そこで、現像ローラ15から感光体ドラム11に移動し、転写ベルト117上に転写され、転写ベルト117上に担持されるトナーの濃度を測定する濃度センサ116を利用して、転写ベルト117上の感光体ドラム11の非露光部に相当する部分に担持されるトナー反射濃度を監視し、地汚れが発生する感光体ドラム11の非露光部の表面電位からトナー帯電位を求め、そのトナー帯電位に基づいて、電圧条件を制御して地汚れが発生しない、トナー供給ローラ16へ印加するトナー供給電圧を補正して印加する。そして、現像ローラ15上のトナー層電位を制御する。尚、本実施の形態では、地汚れ検知動作の際は印刷媒体22を搬送しない。そのため、地汚れが発生し、現像ローラ15から感光体ドラム11上に移動したトナーがあれば、このトナーは感光体ドラム11上から転写ベルト117表面に転写され、濃度センサ116によって検出される。
本実施の形態の画像形成装置101におけるトナー供給電圧の決定処理の方法について以下に説明する。
先ず、演算部31は、環境センサ24で検出される装置内の温度及び湿度情報に基づいて環境レベル値を求め、記憶部35内に記憶されている帯電電圧の環境テーブル36から、求めた環境レベル値に対応した帯電電圧値及び転写電圧値を決定する。図19は、帯電電圧の環境テーブル121の内容を示したものである。例えば、環境レベル値がレベル3の場合、帯電電圧として帯電環境テーブル電圧値の−1000Vが選択され、転写電圧として転写環境テーブル電圧値の+3200Vが選択される。図19の帯電電圧の環境テーブル121の内容における帯電環境テーブル電圧の決め方は、実施の形態1で、前記した図6を参照しての説明と同じなのでここでの説明は省略する。
帯電電圧として、選択された帯電環境テーブル電圧値(環境レベル3では−1000V)の電圧が帯電ローラ24に印加され、転写電圧として、選択された転写環境テーブル電圧値(環境レベル3では+3200V)の電圧が転写ローラ18に印加されると共に、現像ローラ15及びトナー供給ローラ16には、常に一定の現像電圧及びトナー供給電圧が印加される。本実施の形態では、例えば現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧がそれぞれ印加される。
次に、環境テーブル121により決定した帯電電圧(−1000V)からある一定の時間毎に50Vずつ印加電圧の絶対値を小さくしていきながら、濃度センサ115により転写ベルト117の表面のトナー反射率を計測してトナー反射濃度を求める地汚れ検知動作を実行する。ここでの地汚れ検知動作の実施方法について、図17の要部構成図を参照しながら以下に説明する。
図20は、地汚れ検知動作時の、帯電電圧、現像電圧、トナー供給電圧、転写電圧及び濃度センサ115の出力値のタイムチャートである。尚、ここでは、環境レベルはレベル3とし、現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧が、そして転写電圧として+3200Vの電圧がそれぞれ「オン」時に印加される。尚、同図中の領域(n)(n=11,12,・・・)は、前記した図7での場合と同様に、段階的に低下する帯電電圧の帯電ローラ12で順次帯電される、感光体ドラム11の個々の帯電領域を示すものである(図8〜図12参照)。
地汚れ検知動作は上流側の感光体ドラムユニット111(図17)から行われる。感光体ドラムユニット111の地汚れ検知動作は、図7で説明した手順と似ている。即ち、感光体ドラム11の領域(11)が帯電電圧値−1000Vの帯電ローラ12で帯電され、同様にして、領域(12)、領域(13)、・・・・領域(17)が順次帯電電圧値−950V、−900V、・・・・−700Vの帯電ローラ12で帯電される。そしてこれらの領域が所定のタイムラグの後、順次に転写ベルト117に転写されて、濃度センサ115(図17)が、この転写ベルト117への転写状態を監視して地汚れを検出する。尚、図20のタイムチャートでは、簡単のため、濃度センサ115が転写ベルト117への転写時の状態を監視しているように記述したが、実際には転写ベルト117への転写部分が、自身の移動によって濃度センサ115の位置に至るまでのタイムラグを生じるものである。
感光体ドラムユニット111への電圧(現像電圧、トナー供給電圧、転写電圧、及び帯電電圧)印加は、感光体ドラムユニット111の地汚れ検知動作が終了した後も、感光ドラムユニット112,113,114についての地汚れ検知動作が終了するまでオンのまま維持される。感光体ドラムユニット111の場合、−800Vの帯電ローラ12によって帯電された領域(15)で、地汚の発生が検出されるが、この場合、前記した実施の形態1で説明したように、地汚れ検知動作のなかで帯電異常がなかったので、図21に内容を示すトナー供給電圧補正テーブル122(図18)に基づいて、地汚れ検知動作が終了した後も、トナー供給電圧として環境レベル3で標準に印加される−400Vが継続して印加される。尚、図21のトナー供給電圧補正テーブル122の各印加電圧(転写電圧を除く)の決め方は、実施の形態1で、前記した図13,14を参照しての説明と同じなのでここでの説明は省略する
感光体ドラムユニット111の地汚れ検知動作が終わったら、引き続き、感光体ドラムユニット112の地汚れ検知動作が行われる。感光体ドラムユニット112の地汚れ検知動作は、感光体ドラムユニット111の場合と同様に、感光体ドラム11の領域(21)が帯電電圧値−1000Vの帯電ローラ12で帯電され、同様にして、領域(22)、領域(23)、・・・・領域(27)が順次帯電電圧値−950V、−900V、・・・・−700Vの帯電ローラ12で帯電される。そしてこれらの領域が所定のタイムラグの後、順次に転写ベルト117に転写されて、濃度センサ115が、この転写ベルト117への転写状態を監視して地汚れを検出する。尚、ここでも転写ベルト117への転写部分が、自身の移動によって濃度センサ115の位置に至るまでのタイムラグを省略している。
各感光体ドラムユニット111〜114は、図20のタイムチャートにおける感光ドラムユニット112と同様に、他の感光体ドラムユニット(ここでは111)の地汚れ検地動作が始まるとき、現像電圧、トナー供給電圧、転写電圧、帯電電圧がそれぞれ印加される。ここでのトナー供給電圧は、環境レベル3で標準に印加される−400Vが印加される。
感光体ドラムユニット112の場合、−800Vの帯電ローラ12によって帯電された領域(25)で、地汚の発生が検出されるが、この場合、前記した実施の形態1で説明したように、地汚れ検知動作のなかで帯電異常がなかったので、図21に内容を示すトナー供給電圧補正テーブル122(図18)に基づいて、地汚れ検知動作が終了した後も、トナー供給電圧として環境レベル3で標準に印加される−400Vが継続して印加される。
図20のタイムチャートでは示さないが、同様にして感光体ドラムユニット113の地汚れ検知動作、及び感光ドラム114の地汚れ検知動作が行われる。
次にトナー帯電が異常な場合の補正方法を述べる。図22は、トナー帯電が異常の場合の地汚れ検知動作タイムチャートである。尚、ここでは、環境レベルはレベル3とし、現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧が、そして転写電圧として+3200Vの電圧がそれぞれ「オン」時に印加される。尚、同図中の領域(n)(n=11,12,・・・)は、前記した図7での場合と同様に、段階的に低下する帯電電圧の帯電ローラ12で順次帯電される、感光体ドラム11の個々の帯電領域を示すものである(図8〜図12参照)。
地汚れ検知動作は、前記した図20の動作時と同様に、上流側の感光体ドラムユニット111(図17)から行われる。感光体ドラムユニット111の地汚れ検知動作は、感光体ドラム11の領域(11)が帯電電圧値−1000Vの帯電ローラ12で帯電され、同様にして、領域(12)、領域(13)、・・・・領域(17)が順次帯電電圧値−950V、−900V、・・・・−700Vの帯電ローラ12で帯電される。そしてこれらの領域が所定のタイムラグの後、順次に転写ベルト117に転写されて、濃度センサ115が、この転写ベルト117への転写状態をチェックして地汚れを検出する。尚、図22のタイムチャートでは、簡単のため、濃度センサ115が転写ベルト117への転写直後の状態をチェックしているように記述したが、実際には転写ベルト117への転写部分が、自身の移動によって濃度センサ115の位置に至るまでのタイムラグを生じるものである。
感光体ドラムユニット111への電圧(現像電圧、トナー供給電圧、転写電圧、及び帯電電圧)印加は、感光体ドラムユニット111の地汚れ検知動作が終了した後も、感光ドラムユニット112,113,114についての地汚れ検知動作が終了するまでオンのまま維持される。ここでの感光体ドラムユニット111の場合、−950Vの帯電ローラ12によって帯電された領域(12)で、地汚の発生が検出される。この場合、前記した実施の形態1で説明したように、トナー帯電異常があったので、図21に内容を示すトナー供給電圧補正テーブル122(図18)に基づいて、トナー供給電圧が−300Vに補正されるように判断され、地汚れ検知動作が終了した後の時刻t1で、トナー供給電圧が−400Vから−300Vに変更される。
感光体ドラムユニット111の地汚れ検知動作が終わったら、引き続き、感光体ドラムユニット112の地汚れ検知動作が行われる。感光体ドラムユニット112の地汚れ検知動作は、感光体ドラムユニット111の場合と同様に、感光体ドラム11の領域(21)が帯電電圧値−1000Vの帯電ローラ12で帯電され、同様にして、領域(22)、領域(23)、・・・・領域(27)が順次帯電電圧値−950V、−900V、・・・・−700Vの帯電ローラ12で帯電される。そしてこれらの領域が所定のタイムラグの後、順次に転写ベルト117に転写されて、濃度センサ115が、この転写ベルト117への転写状態をチェックして地汚れを検出する。尚、ここでも転写ベルト117への転写部分が、自身の移動によって濃度センサ115の位置に至るまでのタイムラグを省略している。
各感光体ドラムユニット111〜114は、図22のタイムチャートにおける感光ドラムユニット112と同様に、他の感光体ドラムユニット(ここでは111)の地汚れ検地動作が始まるとき、現像電圧、トナー供給電圧、転写電圧、帯電電圧がそれぞれ印加される。ここでのトナー供給電圧は、環境レベル3で標準に印加される−400Vが印加される。
ここでの感光体ドラムユニット112の場合、−950Vの帯電ローラ12によって帯電された領域(22)で、地汚の発生が検出される。この場合、前記した実施の形態1で説明したように、トナー帯電異常があったので、図21に内容を示すトナー供給電圧補正テーブル122(図18)に基づいて、トナー供給電圧が−300Vに補正されるように判断され、地汚れ検知動作が終了した後の時刻t2で、トナー供給電圧が−400Vから−300Vに変更される。
図22のタイムチャートでは示さないが、同様にして感光体ドラムユニット113の地汚れ検知動作、及び感光ドラムユニット114の地汚れ検知動作が行われる。
以上のように、補正電圧を決定する場合は、地汚れ発生時の帯電電圧から、図21の内容を収めたトナー供給電圧補正テーブル122に示したトナー供給電圧と現像電圧が印加される。尚、図21は、環境レベル3の場合のトナー供給電圧補正テーブルであるが、各環境レベルに応じたトナー供給電圧補正テーブルを図21と同様に用意する。
以上のようにして、本実施の形態の画像形成処理装置による、地汚れ検知によるトナー供給電圧の決定処理が完了する。この処理方法によれば、トナーの帯電状態が変化した場合でも地汚れの発生しにくさはトナー帯電が正常な場合と変わらず、汚れの発生を防ぐことができる。また、上記したトナー供給電圧の決定処理は、例えば装置の電源をオンにするタイミングや、環境レベルが変動するタイミング、また印刷カウントが一定の枚数を経過するタイミング等で行う。また本実施の形態で示した各値は一例に過ぎず、テーブル値等については、使用するプロセス材料の特性やプロセス速度などの条件に合わせて、適宜最適値を設定すれば良い。
尚、本実施の形態では、転写ベルトは印刷媒体を搬送する搬送ベルトとしての役割を兼ねるものであったが、この構成に限定されるものではなく、転写ベルトが中間転写ベルトのように、搬送ベルトとしての役割を兼ねないものであってもよい。
以上のように、本実施の形態2の画像形成装置によれば、カラー印刷装置等の場合でも簡単な構成で転写ベルト上の地汚れを濃度センサにより検知し、地汚れの発生する帯電電位条件からトナー供給電圧を決定することにより、現像ローラに過剰にトナーが供給されなくなるため、トナー電位を正常に保つことができ、地汚れの発生を防ぐことができる。また、本実施の形態では、実際の印刷時には感光体ドラム11の表面電位は一定(例えば−500V)に保たれるため、露光ヘッド13により感光体ドラム11上へ書き込まれたハーフパターンや階調が適正に潜像として書き込まれるので、ハーフパターンや階調の再現性を損なうことがない。
実施の形態3.
図23は、本発明に基づく実施の形態3の画像形成装置の制御系152の要部構成を示すブロック図である。
この制御系152を採用する画像形成装置が、前記した図2に示す実施の形態1の制御系2と主に異なる点は、トナー規制ブレード17(図1)に、演算部31で設定されトナー規制電圧を印加するトナー規制電圧制御部153が追加された点と、記憶部にトナー規制電圧補正テーブル154が設定された点である。従って、この制御系152を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
本実施の形態3の画像形成装置の印刷時における各部の基本的な動作について説明する。尚、本実施の形態3の画像形成装置の要部構成は、図1に示す前記した実施の形態1の画像形成装置1と変わらないため、説明に際しては図1の要部構成図を参照する。
実施の形態3の画像形成装置では、感光体ドラム11上の非露光部のトナー反射濃度を監視し、地汚れが発生する感光体ドラム11の非露光部の表面電位からトナー帯電位を求め、そのトナー帯電位に基づいて、電圧条件を制御して地汚れが発生しない、トナー規制ブレード17へ印加するトナー規制電圧を補正して印加する。そして、現像ローラ15上のトナー層の電位を制御する。具体的には、
感光体ドラム11の非露光部の表面電位(−500V)
−トナー層が形成された現像ローラ15の表面電位(約−310V)=約−190V
となるように印加電圧を補正する。つまり、現像ローラ15の表面電位のうち、現像電圧−250Vを差し引いた分であるトナー層の電位が約−60Vとなるようにトナー規制電圧を補正してトナー規制ブレード17に印加する。このように、トナー規制ブレード17は、現像剤層電位制御部材として現像ローラ15上のトナー層の電位を制御する。
以上のように、トナー規制ブレード17へ印加するトナー規制電圧を補正するための、本実施の形態の画像形成装置におけるトナー規制電圧の決定処理の方法について、図24に示す決定処理の流れを示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
先ず、演算部31は、環境センサ24で検出される装置内の温度及び湿度情報に基づいて環境レベル値を求め、記憶部35内に記憶されている帯電電圧の環境テーブル36から、求めた環境レベル値に対応した帯電電圧値を決定する(ステップST201)。
ここで、環境レベル値とは、環境センサ24により測定した温度と湿度の関係から演算部31で演算して求めた値であり、図4のグラフに示すように絶対湿度を段階的に6つのレベルに区分けして示すレベル値である。例えば、30℃、80%の高温高湿環境はレベル1、25℃、45%の室温環境はレベル3、10℃、20%の低温低湿環境はレベル6となる。また、図5は、帯電電圧の環境テーブル36の内容を示したものである。例えば、環境レベル値がレベル3の場合、帯電電圧として帯電環境テーブル電圧値の−1000Vが選択される。
帯電電圧として、選択された帯電環境テーブル電圧値(環境レベル3では−1000V)の電圧が帯電ローラ24に印加されると共に、現像ローラ15、トナー供給ローラ16及びトナー規制ブレード17には、常に一定の現像電圧、トナー供給電圧、及びトナー規制電圧が印加される(ステップST202)。本実施の形態では、例えば現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧が、そしてトナー規制電圧として−350Vがそれぞれ印加される。
次に、環境テーブル36により決定した帯電電圧(−1000V)からある一定の時間毎に50Vずつ印加電圧の絶対値を小さくしていきながら、濃度センサ23により感光体ドラム11の表面のトナー反射率を計測してトナー反射濃度を求める地汚れ検知動作を実行する(ステップST203)。ここでの地汚れ検知動作の計測の方法について、以下に説明する。
図25は、地汚れ検知動作時の、帯電電圧、現像電圧、トナー供給電圧、トナー規制電圧、及び濃度センサ23の出力値のタイムチャートである。尚、同図に示す感光体ドラム11の領域(1)〜(7)は、前記した図7のタイムチャートで設定した感光体ドラム11の領域と同様に設定しており、濃度センサ23も同様に、感光体ドラム11の回転によるタイムラグにより、経過時間Tにして2T期間前に帯電ローラ12によって帯電された領域を検出していることを示している(図8〜図12参照)。尚、ここでは、環境レベルはレベル3とし、現像電圧として−250Vの電圧が、トナー供給電圧として−400Vの電圧が、そしてトナー規制電圧として−350Vの電圧がそれぞれ「オン」時に印加される。
帯電電圧は、起動後直ちに−1000Vとなり、所定の経過時間T毎に絶対値で50Vずつ電圧が低下するように制御される。このタイムチャートによれば、感光体ドラム11の領域(5)で初めて地汚れの発生が認められ、この領域(5)が帯電されたときの帯電ローラ12に印加された帯電電圧を算出する(ステップST204)。ここでは、地汚れが発生した領域(5)における帯電電圧の値は、−800Vである。
次に、以上に述べた地汚れ検知動作で得られた地汚れ発生時の帯電電圧(−800V)から、次にトナー規制電圧を決定する(ステップST205)。このトナー規制電圧の決定方法について以下に説明する。
図26は、現像電圧とトナー規制電圧との差と、現像ローラ15上のトナー電位の関係を示すグラフである。同図中、実線はトナーの帯電が正常の場合を表し、破線はトナーの帯電が異常な場合を表している。同グラフに示すように、トナー帯電が正常でも異常でもトナー規制電圧が現像電圧に対してマイナス側に大きくなるとトナー電位もマイナス側に大きくなる。これはトナー規制電圧の方がマイナス側に大きくなるに従ってトナーに注入される電荷が増えるためと考えられる。またトナー規制電圧が現像電圧に対してプラス側に大きくしたときにトナー電位が小さくなるのは、トナーの電荷がトナー規制ブレード側に放電されているためと考えられる。
図27は、地汚れ検知の検証を行い、地汚れの発生する帯電電圧と、そのときに現像ローラ表面の電位が適正な電位になるために必要となる、現像ローラ5へ印加する電圧(現像電圧)とトナー規制ブレード17へ印加する電圧(トナー規制電圧)との差と、の関係を表したグラフである。但し、ここでは、現像電圧は−250Vの固定値とし、環境レベルは3とする。図28は、図27に基づいて導き出されたトナー規制電圧補正テーブル154の内容である。この図28に示すトナー規制電圧補正テーブル154に基づいて、地汚れを検知したときの帯電電圧に対応する、トナー規制電圧及び現像電圧が決定される。
前記した図25のタイムチャートでは、トナー帯電が正常の場合の地汚れ検知動作の結果を示しているが、この場合、電圧補正は以下のような解釈のもとに決定される。
地汚れ発生時の帯電電圧−800Vから、このときの感光体ドラム11の表面の帯電電位は約−300V(図6参照)である。一方、現像ローラ15の表面電位は、現像電圧−250Vと正常時のトナー帯電電位−60V(図26参照)を合わせて−310Vとなるため、感光体ドラム11と現像ローラ15の表面の電位がほぼ等しくなる。このため、感光体ドラム11へトナーが付着し、地汚れが発生したことがわかる。この場合は正常なトナーを使用し、トナー電位は約−60Vであることが分かっていたが、もし分かっていなくても、前記の検証結果からトナー電位が約−60付近にあることが推測できる。この場合には、図28の内容を収めたトナー規制電圧補正テーブル154に基づいて、現像電圧とトナー規制電圧の差は変更する必要がなく、トナー規制電圧は−350V、現像電圧は−250Vと決定される。尚、このとき、感光体ドラム11の非露光部の表面電位(−500V)と現像ローラ15の表面電位(−310V)との差電圧が目標とする−190Vに設定されている。
次にトナー帯電が異常な場合の補正方法を述べる。図29は、トナー帯電が異常の場合の地汚れ検知動作タイムチャートである。尚、同図に示す感光体ドラム11の領域(1)〜(7)は、前記した図7のタイムチャートで設定した感光体ドラム11の領域と同様に設定しており、濃度センサ23も同様に、感光体ドラム11の回転によるタイムラグにより、経過時間Tにして2T期間前に帯電ローラ12によって帯電された領域を検出していることを示している。
図29のタイムチャートによれば、地汚れが発生し始めている領域(2)における帯電電圧が−950V付近であることが分かり、このことから帯電電圧が−950V付近から地汚れが発生していることが分かる。この時の感光体ドラム11の表面の帯電電位は約−450V(図6参照)であり、また現像ローラ15の表面の電位も約−450Vであると推定できることから、このときのトナーの電位は−450Vから現像電圧の−250Vを差引いた約−200Vと推測される。そこで図26を参照すると、トナーが−200Vに帯電している状態の場合、現像電圧とトナー供給電圧の差を約+50Vにすればトナー電位が約−60Vとなり、汚れの発生しにくさは正常時と同じになる。
よってこの場合には、図28の内容を収めたトナー規制電圧補正テーブル154に基づいて、トナー規制電圧は−200V、現像電圧は−250Vと決定される。尚、この場合も、感光体ドラム11の非露光部の表面電位(−500V)と現像ローラ15の表面電位(−310V)との差電圧が目標とする−190Vに設定される。
従って、通常補正する場合は、地汚れ発生時の帯電電圧から図28の内容を収めたトナー規制電圧補正テーブル154によりトナー規制電圧と現像電圧(例えば、固定値=−250V)の差を決定すれば良く、図28中のトナー規制電圧、現像電圧、トナー供給電圧が印加される。尚、図28は、図5の環境レベル3の場合のトナー規制電圧補正テーブルであるが、各環境に応じたトナー規制電圧補正テーブルを図28と同様に用意する。
以上のようにして、本実施の形態の画像形成処理装置による、地汚れ検知によるトナー規制電圧の決定処理が完了する。この処理方法によれば、トナーの帯電状態が変化した場合でも地汚れの発生しにくさはトナー帯電が正常な場合と変わらず、汚れの発生を防ぐことができる。また、上記したトナー供給電圧の決定処理は、例えば装置の電源をオンにするタイミングや、環境レベルが変動するタイミング、また印刷カウントが一定の枚数を経過するタイミング等で行う。
また本実施の形態では、前記した実施の形態1の場合と同様に、感光体ドラム上の濃度センサを利用し、トナー反射濃度の変化から地汚れを検出したが、他に前記した実施の形態2のように転写ベルトに濃度センサを設け、転写ベルトのトナー反射濃度の変化により地汚れを検知する方法も可能である。
また、本実施の形態で示した各値は一例に過ぎず、テーブル値等については、使用するプロセス材料の特性やプロセス速度などの条件に合わせて、適宜最適値を設定すれば良い。
更に、本実施の形態では、地汚れ検知による電圧制御はトナー規制電圧を対象としたが、トナー規制電圧と共にトナー供給電圧を対象とすることも可能である。
以上のように、本実施の形態3の画像形成装置によれば、感光体ドラム上の地汚れを濃度センサにより検知し、地汚れの発生する帯電電圧からトナー規制電圧を決定することにより、トナーが過剰に帯電されることがなくなり、また現像ローラに過剰にトナーが供給されなくなってトナー電位を正常に保つことができ、地汚れの発生を防ぐことができる。また、本実施の形態では、実際の印刷時には感光体ドラム11の表面電位は一定(例えば−500V)に保たれるため、露光ヘッド13により感光体ドラム11上へ書き込まれたハーフパターンや階調が適正に潜像として書き込まれるので、ハーフパターンや階調の再現性を損なうことがない。
実施の形態4.
図30は、本発明に基づく実施の形態4の画像形成装置の、トナー供給電圧或いはトナー規制電圧の決定処理の実行タイミングを示すフローチャートである。
前記した実施の形態1乃至3の画像形成装置では、トナー供給電圧或いはトナー規制電圧の決定処理は、例えば装置の電源をオンにするタイミングや、環境レベルが変動するタイミング、印刷カウントが一定の枚数を経過するタイミングなどで行ってきた。しかしながら、例えば環境レベルが変わって間もない時などには、トナー供給電圧或いはトナー規制電圧の決定処理が行われた後、次のトナー供給電圧或いはトナー規制電圧の決定処理タイミングまでの間においても地汚れが発生してしまうことがある。
このような事態に対処するすため、本実施の形態の画像形成装置では、印刷中の感光体ドラム上の非露光部又は転写ベルト上の感光体ドラムの非露光部に相当する部分のトナー濃度反射率を検出することで、印刷工程中(印刷動作時)における地汚れの発生を検知し、それをきっかけとしてトナー供給電圧及びトナー規制電圧の決定処理を行う。
尚、本実施の形態4の画像形成装置におけるトナー供給電圧又はトナー規制電圧の決定処理は、前記した実施の形態1乃至3の画像形成装置で説明した方法によって行うものであり、これらの方法についてのここでの説明は省略する。
図30のフローチャートに基づいて、本実施の形態の画像形成装置によるトナー供給電圧或いはトナー規制電圧の決定処理の実行タイミングについて以下に説明する。
先ず、印刷を開始する前の、例えば装置の電源をオンにするタイミングや、環境レベルが変動するタイミング、更には印刷カウントが一定の枚数を経過するタイミング等の通常設定タイミングで、トナー供給電圧又はトナー規制電圧の決定処理を行う(ステップST301)。次に通常の印刷工程を開始し(ステップST302)、その工程中に、前後する印刷媒体間などの感光体ドラム上の非露光部、或いは同部分に相当する転写ベルト上の反射率を濃度センサによって測定する(ステップST303)。この時、もし非画像部(感光体の非露光部或いは同部分に相当する転写ベルト上)にもかかわらずトナー付着を示す出力が濃度センサから出力された場合(ステップST304、YES)、ステップ301に戻って印刷ジョブを中断して再度トナー供給電圧又はトナー規制電圧の決定処理を行ない、トナー付着を示す出力が濃度センサから出力されない場合には(ステップST304、NO)、印刷が続行される。これらのステップ303,304の処理は印刷が終了するまで繰り返される(ステップST305)。
従って、実施の形態4の画像形成装置では、印刷工程中に地汚れが発生した場合、その時点でトナー供給電圧又はトナー規制電圧の決定処理を実行して、地汚れが発生しないトナー供給電圧又はトナー規制電圧を印加する。
以上のように、実施の形態4の画像形成装置によれば、印刷を開始する前の、例えば装置の電源をオンにするタイミングや、環境レベルが変動するタイミング、更には印刷カウントが一定の枚数を経過するタイミング等の通常設定タイミングでのトナー供給電圧又はトナー規制電圧の決定処理間の印刷工程中に、地汚れが発生してしまった場合でも、直ちに発生した地汚れを解消することができる。
尚、前記した各実施の形態では、本発明を、電子写真式プリンタに採用した例で示したが、これに限定されるものではなく、例えば、MFP(Multi Function Printer)、ファクシミリ、スキャナー、複写装置などの装置にも適用可能である。また、各実施の形態においては、1成分接触現像方式のプリンタに利用する例について説明したが、1成分非接触現像方式、2成分現像方式にも利用できる。更に、実施の形態2では、転写ベルト上を媒体が搬送されるタンデム型カラープリンタについて説明したが、中間転写ベルトを用いて転写を順次4回行繰り返してカラー画像を形成する、4サイクルカラープリンタにも利用できる。