JP4671801B2 - 掻き取りブレードを有する印刷機 - Google Patents
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Description
このような印刷機は、用いるインクの種類に応じて、その構造が異なり、以下のように大別される。
しかしながら、従来の印刷機械には、以下のような技術的問題がある。
第1の観点として、インクの色替え準備の効率が悪い点である。より詳細には、単一の掻き取りブレードによるインクの回収は、通常印刷後にインク貯留部内に残留するインクを大部分回収した後に、なおインク貯留部の底部に少量残存するインクを対象に行われる。単一の掻き取りブレ-ドをロール軸方向に移動させながら、インクを回収することにより、ロールの側面に付着するインクを掻き取って、インク貯留部内に案内して回収するとともに、特に一対の堰部材によりインク貯留部を画成する場合には、掻き取りブレ-ドを堰部材の一方に向かって移動させることにより、掻き取りブレ-ドと堰部材の一方とによって仕切られるインク貯留部部内のインクの液位が上昇し、総じてインクの回収歩留まりを向上させることが可能である。
第1の点について、単一の掻き取りブレ-ドをロール軸方向の一端から他端に向かって移動させるまでインクの回収を終了することができず、また液位の上昇スピードも遅いため、インク回収ノズルを掻き取りブレードに固定してブレードとともに軸方向に移動させながら回収するのであれば、インク回収の歩留まり確保のためにインク回収の効率性が低下する結果となる。
以上から、インクの回収効率が低く、インクの回収工程とインクの洗浄工程とを並行して行えないことから、インクの色替え準備の効率性が低く、昨今の小ロット化への対応が不十分であった。
本発明の目的は、印刷に用いられなかったインクの回収と、インク転移ロールおよびドクターブレードの洗浄とを並行して行うことにより、インクの色替え準備の効率を向上することが可能な印刷機を提供することにある。
本発明の目的は、フレキソインクの回収をしつつ、アニロックスロールの側周面の無数の凹部内に残存したフレキソインクの洗浄を行うとともに、アニロックスロール或いはドクターブレードの摩耗進行を抑制することが可能なフレキソインク用印刷機を提供することにある。
印版にインクを転移するインク転移ロールと、該インク転移ロールの軸方向に延び、且つ該インク転移ロールに接することにより、転移するインク量の絞り調節を行うインク絞り体と、該インク転移ロールと、該インク絞り体とによって、前記インク転移ロールの軸方向に延びるように画成されるインク貯留部と、該インク貯留部内に臨む一端開口を有するインク管路と、前記インク貯留部内で、前記インク転移ロール及び前記インク絞り体それぞれの側面に当接して設けられた掻き取りブレードと、該掻き取りブレードを軸方向に移動させるブレード移動機構とを有し、該インク貯留部に溜められたインクを用いて印刷を行う印刷機において、
前記インク管路は、2本のインク回収用管路を有し、該2本のインク回収用管路の一方の前記一端開口は前記インク貯留部の一端に、他方の前記一端開口は前記インク貯留部の他端に設けられ、
さらに、前記インク貯留部内で、前記インク転移ロール及び前記インク絞り体それぞれの側面に当接して設けられた一対の掻き取りブレードと、
前記一対の掻き取りブレードを軸方向に対応する前記一端開口に向かって互いに逆方向に移動させるブレード移動機構とを有し、
前記一対の掻き取りブレード同士が対向する面それぞれに、該対向する面の側縁に向けて洗浄液を噴射可能なように取り付けられた洗浄液噴射ノズルとを有する、構成としている。
一方、一対の掻き取りブレードの対向する面に設けた洗浄液噴射ノズルから洗浄液を対向する面の側縁に向けて噴射することにより、洗浄液噴射ノズルが一対の掻き取りブレードとともに移動することから、一対の掻き取りブレードの各当接面と、インク転移ロール及びインク絞り体それぞれの側面との間を通って掻き取りブレードの移動方向遅れ側に漏れ出し始めたインクに向かって、洗浄液噴射ノズルから洗浄液を噴射することを通じて、漏れ出したインクのインク転移ロール或いはインク絞り体の側周面上でのインクの汚れ範囲の広がりを未然に防止することが可能となる。
このような構成によれば、インク転移ロールを回転させつつ、一対の掻き取りブレードをそれぞれ、軸方向に互いに逆向きに移動させながら、洗浄液を洗浄液噴射ノズルから一対の掻き取りブレードの対向する面それぞれの側縁に向けて噴射することにより、一対の掻き取りブレードのインク貯留部下方への巻き込みを生じることなく、インク転移ロールの側周面全体に付着するインクを洗浄しつつ、インク転移ロールの側周面に付着する洗浄液により、インク転移ロールの側周面に接触するドクターブレードの絞り先端縁部を洗浄するとともに、インク貯留部に溜まる洗浄液がインク転移ロールの回転により動的状態とされて、インク貯留部の一部を形成するドクターブレードの内側面を本洗浄することが可能となる。これにより、一対の掻き取りブレードを軸方向に移動する間に、インク貯留部に溜まるインクの回収と、インク転移ロール及びドクターブレードに付着したインクの洗浄とを並行して行うことが可能となる。
このような構成によれば、一対の掻き取りブレードをそれぞれ、軸方向に互いに逆向きに移動させることにより、低粘度のフレキソインクを堰部材により堰止めつつ回収するとともに、アニロックスロールの無数の凹部内を除く側周面に付着するインクは、一対の掻き取りブレードにより除去することが可能となる。
その際、水噴射ノズルから水を一対の掻き取りブレードの対向する面それぞれの側縁に向けて噴射することにより、無数の凹部内に残留する速乾性を有するフレキソインクを洗い流すことにより無数の凹部内を洗浄するとともに、インク貯留部に水が溜まることにより、ドクターブレードとアニロックスロールとの回転接触部が保湿され、水が潤滑液として機能することにより、高価なアニロックスロールの表面の摩耗進行を抑制することが可能となる。
このとき、次工程において、インクの色変えをして直後に印刷を行う場合には、無数の凹部内に残留する水が新たなインクのアニロックスロールへのなじみ性を向上することも可能となる。
また、次工程において、アニロックスロールの側周面を本洗浄する場合には、それまでに無数の凹部内に残留するフレキソインクが固化するのを防止して、本洗浄が効率的に行えるようにすることも可能となる。
それにより、印刷時には、前記インク供給源から前記インク供給管を通じて前記インク貯留部へフレキソインクを供給しつつ、前記インク貯留部から前記インク回収管を通じて前記インク供給源へフレキソインクを回収することにより、前記インク貯留部内のフレキソインクを動的状態に維持し、
前記ブレード移動機構は、前記一対の掻き取りブレードを、前記一対の掻き取りブレード各々が前記インク供給用一端開口の近傍に位置するインク回収準備位置から、前記一対の掻き取りブレード各々が対応する前記インク回収用一端開口の近傍に位置するインク回収終了位置まで、軸方向に互いに逆方向に移動させるのがよい。
このような構成によれば、印刷時には、フレキソインクをインク貯留部とインク供給源との間で循環させることにより、インク貯留部内でのフレキソインクの固化を防止することが可能である。一方、インク回収時には、一対の掻き取りブレードを対応するインク回収用一端開口に向かって移動させることにより、両軸端から2本のインク回収管によりインク貯留部内の速乾性のフレキソインクを迅速に回収することが可能である。
さらに、前記堰部材は、前記インク貯留部に臨む内面の下部に第1流出入口を、前記堰部材の上面に第2流出入口をそれぞれ設けた内部流路を有し、該内部流路は、前記インク回収用一端開口が前記第2流出入口を介して前記インク回収管と連通するのでもよい。
さらにまた、前記ドクターブレードは、インク絞り用ドクターブレードと、洗浄液掻き取り用ドクターブレードとからなり、
さらに、前記インク転移ロールと平行に延びるクロスバーを有し、
該クロスバーは、その側面に軸方向に延びる少なくとも2つの傾斜面を有し、一方の傾斜面に前記インク絞り用ドクターブレードが、他方の傾斜面に前記洗浄液掻き取り用ドクターブレードが取り付けられ、
さらに、前記インク絞り用ドクターブレードおよび前記洗浄液掻き取り用ドクターブレードが前記インク転移ロールの側周面に当たる第1位置と、前記インク絞り用ドクターブレードおよび前記洗浄液掻き取り用ドクターブレードが前記インク転移ロールの側周面から離間する第2位置との間で前記クロスバーを揺動させるクロスバー揺動駆動装置と、
前記クロスバーを長手方向を中心として回転させるクロスバー回転駆動装置とを有するのでもよい。
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷機の斜視図である。図2は、図1の印刷機の印刷部の概略側面図である。図3は、図1の印刷機の主に配管ルートを示す図である。図4は、図1の一対の掻き取りブレードまわりの概略側面図である。図5は、図1のインク堰止板の概略正面図及び概略側面図である。図6は、チュービングポンプを示す概略正面図である。図7は、チュービングポンプを示す概略側面図である。図8は、インク/洗浄液供給源切替装置の斜視図である。図9は、インク色替え時の構成部材の洗浄方法を示す表である。
クロスバー(400)が第1位置にあるとき、インク絞り用ドクターブレード(404)或いは洗浄液掻き取り用ドクターブレード(406)の先端縁はその全長に亘って、クロスバー(400)の各端に設けたピストンシリンダ機構等の押圧手段(図示せず)によりインク転移ロール(12)の表面に対して所定押圧力で押圧されるようにしている。
図1に示すように、インク供給管(20)は、一方の開口部が、インク貯留部(16)に臨み、他方の開口部がインク供給源(302)に臨むようにルーティングされている。インク供給管(20)の内径及び長さは、インク供給量、インク供給源(302)とインク貯留部(16)との距離等に応じて適宜定めればよいが、例えば、内径8ミリメートル、長さ略5メートルの透明な樹脂製である。インク供給管(20)には、インク貯留部(16)からインク供給源(302)に向かう方向に、インク供給管(20)を支持するブラケット(50)、後に説明するフレキソインクの粘度を測定する粘度計(52)、後に説明する移送ポンプ(26A)、及び開閉バルブ(54A)が取り付けられている。インク貯留部(16)の上部近傍には、螺子軸(56)が、ブラケット(50)に螺挿された状態で、ロール(12)に沿って回転可能に軸方向に延び、一方の端に駆動モータ(58)が取り付けられ、他方の端(図示せず)が、一対の機枠(32,34)に支承されている。駆動モータ(58)を駆動することにより、螺子軸(56)が回転し、それによりインク供給管(20)の一方の開口部が、インク貯留部(16)に沿って移動可能になっている。一方の開口部のレベルは、インク貯留部(16)内に溜められるインク及び洗浄液が回収可能なように、印刷時に形成されるインク液位、及び洗浄時に形成される洗浄液液位より少なくとも低いレベルに設定すればよい。なお、一方の開口部のレベルを上下方向に可動として、液位に応じてレベルを調整可能としてもよい。
回収管(22,24)まわりの構成は、インクの流れが、インク供給管(20)と逆方向である点を除いては、基本的にその構成は同様であるから、同様な構成部材には同様な参照番号を附することにより、その説明は省略し、以下には、供給管(20)と相違する点について詳細に説明する。
次に、図8を参照しながら、インク/洗浄液供給源切替装置(300)について説明する。インク/洗浄液供給源切替装置(300)は、インク供給源(302)と、インク供給源(302)と整列した洗浄液回収源(304)と、インク供給源(302)及び洗浄液回収源(304)を固定支持するブラケット(306)と、ブラケット(306)を矢印の方向に、横方向に往復移動させるエアシリンダー(308)とを有する。洗浄液回収源(304)の内部には、管の先端部を受け入れ可能な開口面積を有する円筒状のネット(310)がインク管の数だけ設けられ、ネット(310)の内部には、ネット(310)の内壁から中心部に向かって延びるブラシ(312)が設けられ、ノズルの先端部をネット(310)に挿入する際、先端部を洗浄するようにしている。
なお、インクの色替えの際には、旧オーダのインク供給源(302)をブラケット(306)から取り外し、新オーダの所望色のインク供給源(302)をブラケット(306)に設置するだけでよい。
印刷前段階においては、まず各種バルブの操作を行う。より具体的には、開閉バルブ(54A)を開いて、インク供給管(20)にフレキソインクを流入させ、一方、開閉バルブ(82A)を閉じて、側路(80A)へのフレキソインクの流入を防止するとともに、開閉バルブ(78A)を閉じて、高圧空気(72)からの高圧空気のエアエジェクタ(30A)への流入を防止する。次いで、移送ポンプ(26A)のエアーシリンダ(96)を駆動させて、インク供給管(20)の外周面にロータ(94)の回転圧力が付勢されるように、支持装置(98)をロータ(94)に近接させる。さらに、バルブ(152)、バルブ(154)、開閉バルブ(113)および開閉バルブ(68A)を閉じて、水供給管(28)からの水分がインク貯留部(16)に流入するのを防止する。一対の掻き取りブレード(102A,102B)は、軸方向第1位置において、上方待機レベルに位置決めしておく。また、クロスバー(400)を下方ピボット位置(408)を中心として第1位置から第2位置まで揺動させ、その位置でプランジャーを開放して、クロスバー(400)を手動で回転し、図2の矢印に示すように、インク絞り用ドクターブレード(404)を洗浄液掻き取り用ドクターブレード(406)の周方向角度位置まで回転させる。次いで、クロスバー(400)を下方ピボット位置(408)を中心として第2位置から第1位置へ揺動させ、押圧手段によってインク絞り用ドクターブレード(404)をインク転移ロール(12)に対して押圧する。
印刷段階において、移送ポンプ(26A)を運転することにより、インク供給源(302)に貯留されているフレキソインクをインク貯留部(16)に供給する。この際、移送ポンプ(26B、26C)の回転を調整することにより、インク回収管をインク供給管として用いて、3本のインク移送管により、フレキソインクをインク供給源(302)からインク貯留部(16)へ供給する。供給されたフレキソインクは、一対のインク堰止板(36,38)により両ロール(12,14)の端から漏れることなくインク貯留部(16)に貯留される。貯留されたフレキソインクは、インク貯留部(16)に周面の一部が浸漬した回転中のインク転移ロール(12)の周面に塗布され、機枠(32,34)に回転可能に支承された版胴(40)に取り付けられている印版(42)に転移して段ボールシートSに印刷される。
このようにして、インク供給源(302)とインク貯留部(16)との間でフレキソインクが循環するように、インクの供給と回収とを連続して行ってインクの動的状態を維持することにより、インク貯留部(16)内で速乾性のフレキソインクが固化するのを防止するとともに、フレキソインクの粘度がインク貯留部(16)の幅方向の位置や、インク供給管(20)またはインク回収管(22,24)の位置によって異なり、それにより印刷ムラが生じることを防ぐことが可能となる。さらに、駆動モータ(58)を起動して螺子軸(56)を回転させることにより、インク供給管(20)が支持されたブラケット(50)をインク貯留部(16)の長手方向に沿って移動させ、インク貯留部(16)の特定位置に貯留するフレキソインクに積極的に動的状態を与えるようにしてもよい。以上のようにして、1ロットの段ボールシートの印刷を終了する。
(イ)インクの本回収段階
インクの除去回収段階において、まず、インク貯留部(16)内に残留するフレキソインクンキをインク供給源(302)へ回収する。より具体的には、チュービングポンプ(26B,26C)の運転を継続することにより、内部流路(210)及びインク回収管(22,24)を介してインク貯留部(16)からインク供給源(302)へのフレキソインクの回収を行う。その際、インク供給管(20)に係合した移送ポンプ(26A)の回転を印刷時と逆転し、インク供給管(20)をインク回収管として使って、インク貯留部(16)のフレキソインクをインク供給源(302)に回収する。これにより、インク貯留部(16)内に残留するフレキソインクンキの回収時間をより短縮することが可能となる。
インク貯留部(16)のフレキソインクをインク供給源(302)へ回収し始めるとともに、軸方向第1位置にある一対の掻き取りブレード(102A,102B)を上方待機レベルから下方作動レベルに下方に移動させ、一対の掻き取りブレード(102A,102B)が浸漬されて3箇所に仕切られたインク貯留部(16)の各々に残留するインクを、インク供給管(20)とインク回収管(22、24)とにより、インク供給源(302)に回収する。次いで、一対の掻き取りブレード(102A,102B)を軸方向第2位置、すなわち対応する軸端に向けて軸方向に互いに逆方向に移動させるとともに、洗浄液噴射ノズル(105A、105B)から洗浄液である水をインク転移ロール(12)の側周面およびインク絞り用ドクターブレード(404)の内側面に向かって噴射する。これにより、一対の掻き取りブレード(102A,102B)により、無数の凹部内を除くインク転移ロール(12)の側周面全体に付着するインク、及びインク絞り用ドクターブレード(404)の側面に付着する残留インクを掻き取って、一対のインク堰止板(36、38)と一対の掻き取りブレード(102A,102B)とによりせき止められた残留インクに導くとともに、一対の掻き取りブレード(102A,102B)の移動に伴い残留インクの液位が徐々に上昇し、インク堰止板の流出入開口(204)を通じて残留インクを歩留まり良く回収することが可能となる。
さらに、一対の掻き取りブレード(102A,102B)のインク貯留部(16)下方への巻き込みを生じることなく、無数の凹部内に残留する速乾性を有するフレキソインクを洗い流すことにより無数の凹部内を洗浄しつつ、インク転移ロール(12)の側周面に付着する水により、インク転移ロール(12)の側周面に接触するインク絞り用ドクターブレード(404)の絞り先端縁部を洗浄するとともに、インク貯留部(16)に溜まる水がインク転移ロール(12)の回転により動的状態とされて、インク貯留部(16)の一部を形成するインク絞り用ドクターブレード(404)の内側面を本洗浄することが可能となる。これにより、一対の掻き取りブレード(102A,102B)を軸方向に移動する間に、インク貯留部(16)に溜まるインクの回収と、インク転移ロール(12)及びインク絞り用ドクターブレード(404)に付着したインクの洗浄とを並行して行うことが可能となる。
また、次の洗浄工程において、後に説明するように、インク転移ロール(12)の側周面を散水管(158)からの水により本洗浄する場合には、それまでに無数の凹部内に残留するフレキソインクが固化するのを防止して、本洗浄が効率的に行えるようにすることも可能となる。一方、たとえば、インク転移ロール(12)或いはインク絞り用ドクターブレード(404)の洗浄が、一対の掻き取りブレード(102A,102B)の洗浄液噴射ノズル(105A、105B)からの水噴射により十分に行われ、散水管(158)からの水により本洗浄が省略可能な場合には、無数の凹部内に残留する水が新たなインクのアニロックスロール(12)へのなじみ性を向上することにより、色替え直後の不良な印刷を防止することも可能とする。
なお、洗浄液噴射ノズル(105A、105B)から一対の掻き取りブレード(102A,102B)の対向面(103A、103B)、およびクロスバー(400)の内側面に向かって水を噴射することにより、対向面および内側面に付着したインクを除去洗浄することが可能である。
次いで、インク供給管(20)に係合された移送ポンプ(26A)を停止し、エアーシリンダ(96)を駆動して、支持装置(98)をロータ(94)から離間させることにより、ロータ(94)によるインク供給管(20)の圧搾を停止するとともに、バルブ(154)及び開閉バルブ(68A)を開く。
このとき、掻き取りブレード(102A,102B)により仕切られたインク貯留部(16)の両外側部では、インクの回収が継続して行われている。
次いで、開閉バルブ(82A,82B,82C)および開閉バルブ(78A,78B,78C)それぞれを開いて、インク供給管(20)に接続されたエアエジェクタ(30A)及びインク回収管(22,24)に接続されたエアーエジェクタ(30B,30C)それぞれに高圧空気源(72)から高圧空気を供給する。エアーエジェクタに一次側エアである高圧空気を供給することによって、インク貯留部(16)からエアーエジェクタ(30A,30B,30C)に至るインク供給管(20)とインク回収管(22,24)の内部にインク供給源(302)に向かって高速空気流が生じる。一方、エアーエジェクタ(30A,30B,30C)への高圧空気の供給とほぼ同時に、バルブ(154)を開くとともに、開閉バルブ(68A,68B,68C)を制御することにより、水供給管(28)から適宜の時間間隔でインク供給管(20)とインク回収管(22,24)とに水分を添加する。水分添加の時間間隔は、水供給管(28)に接続された開閉バルブ(68A,68B,68C)の開閉によって調整する。適宜の時間間隔は、例えば、インク供給管(20)及びインク回収管(22,24)内に付着するフレキソインクの量、エアエジェクタ(30A,30B,30C)によって発生する高速空気流れ等に応じて定めればよい。これにより、高速空気流によって水分が蒸発したフレキソインクが、インク供給管(20)またはインク回収管(22,24)の内壁で固化し内壁に付着することを水分の添加により防止することによって、インク供給管(20)とインク回収管(22,24)内に残留するフレキソインクを管内から除去して、インク供給源(302)へ回収するとともに、インク供給管(20)およびインク回収管(22,24)の内部を洗浄することが可能となる。
(イ)散水管による洗浄段階
まず、いったんインク転移ロール(12)の回転を止めるとともに、押圧手段によるドクターブレード(404、406)のインク転移ロール(12)に対する押圧を解除して、図2の矢印に示すように、クロスバー(400)を下方ピボット位置(408)を中心として第1位置から第2位置へ揺動する。次いで、プランジャーを開放して、クロスバー(400)を手動で回転し、図2の矢印に示すように、洗浄液掻き取り用ドクターブレード(406)をインク絞り用ドクターブレード(404)の周方向角度位置まで回転させる。次いで、クロスバー(400)を下方ピボット位置(408)を中心として第2位置から第1位置へ揺動させ、押圧手段によって洗浄液掻き取り用ドクターブレード(406)をインク転移ロール(12)に対して押圧する。次いで、インク/洗浄液供給源切替装置(300)により、インク供給源(302)から洗浄液回収源(304)に切り替え、管(20、22,24)の先端ノズルをネット(310)に挿入して、ブラシ(310)により洗浄する。
次いで、それぞれロールの軸端位置にある一対の掻き取りブレード(102A,102B)を軸方向第1位置に戻すとともに、上方待機位置に移動させる。なお、一対の掻き取りブレード(102A,102B)は、噴射ノズル(160)による洗浄中に戻してもよい。次いで、インク回収の場合と同様に、インク貯留部(16)に溜まった洗浄水を3本の管路(20,22,24)により回収し、これによりインク貯留部(16)に溜まった洗浄水を大部分回収し、その後に一対の掻き取りブレード(102A,102B)を下方作動位置に移動させ、対応する軸端に向かって移動させながら、流出入開口(204)から内部流路(210)を介してインク管路(22,24)により回収することにより、残った洗浄液を歩留まり良く洗浄液回収源(304)へ回収することが可能となる。次いで、一対の掻き取りブレード(102A,102B)の各湾曲側面部及び対向面(103A、103B)の反対側の面について、一対の掻き取りブレード(102A,102B)を上方待機位置に配置した状態で、それぞれ別途洗浄手段により、付着したインクを除去して、色替え準備を行う。
次いで、開閉バルブの側路(80A,80B,80C)に接続された開閉バルブ(82A,82B,82C)、および開閉バルブ(78A,78B,78C)それぞれを開いて、インク供給管(20)に接続されたエアエジェクタ(30A)及びインク回収管(22,24)に接続されたエアーエジェクタ(30B,30C)それぞれに高圧空気源(72)から高圧空気を供給する。エアーエジェクタに一次側エアである高圧空気を供給することによって、インク貯留部(16)からエアーエジェクタ(30A,30B,30C)に至るインク供給管(20)とインク回収管(22,24)の内部に洗浄液回収源(304)に向かって高速空気流が生じることにより、インク供給管(20)及びインク回収管(22、24)の内壁に付着する洗浄液を除去して、洗浄液回収源(304)に回収する。
ドクターブレード(404、406)のインク貯留部(16)を構成する内側面部については、インク貯留部(16)に溜まる洗浄水による間接的な洗浄が主たる洗浄であるが、それに加えて、或いは代替的に、掻き取りブレード(102)の噴射ノズル(160)からの直接の噴射、或いはインク貯留部(16)に溜まる洗浄水による間接的な洗浄も可能である。
クロスバー(400)の内側面については、掻き取りブレード(102)の噴射ノズル(160)からの直接の噴射が主たる洗浄であるが、それに加えて或いは代替的に、散水管(158)からの洗浄水の直接の噴射による洗浄或いはインク貯留部(16)に溜まる洗浄水による間接的な洗浄も可能である。
掻き取りブレード(102)の対向面(103)については、掻き取りブレード(102)の噴射ノズル(160)からの直接の噴射が主たる洗浄であるが、それに加えて、或いは代替的に、インク貯留部(16)に溜まる洗浄水による間接的な洗浄も可能である。
しかしながら、本実施の形態と同様に、一対の掻き取りブレード(102)をロール軸方向に移動させつつ、洗浄液噴射ノズル(105)から水を噴射することにより、インク貯留部(16)に回収しきれずに残ったインク或いは洗浄液を効率的に回収することが可能であるとともに、一対の掻き取りブレード(102)により挟まれたインク貯留部(16)の部分において、一対の掻き取りブレード(102)とインク転移ロール(12)及び絞りロールそれぞれとの接触部からインクが漏れ出して、両ロールの周側面上にインクの汚れ範囲が広がるのを未然に防止することは可能である。
例えば、本実施形態では、インク貯留部(16)とインク供給源(302)とを3本のインク管路を介して接続するものとして説明したが、これに限定されることなく、印刷時にインクを循環させることができる限り、少なくともインク供給管路とインク回収管路とが存在し、インク回収時には、インク供給管をインク回収用に使用し、一方インク供給時には、インク回収管をインク供給用に使用するのでもよい。
12 インク転移ロール
14 インク絞りロール
16 インク貯留部
20 インク供給管
22、24 インク回収管
26 チュービングポンプ
28 水供給管
30 エアーエジェクタ
32、34 機枠
36、38 インク堰止板
40 版胴
42 印版
52 インク粘度計
54 開閉バルブ
56 螺子軸
58 モータ
64 水分供給源
68 水分量計測装置
72 高圧空気源
94 ロータ
98 支持装置
101 第1湾曲側面
102 一対の掻き取りブレード
105 洗浄液噴射ノズル
110 移動機構
111 洗浄液供給管
112 機枠
113 開閉バルブ
158 散水管
160 噴射ノズル
202 内面
204 流出入開口
205 上面
210 内部流路
214 接続用第1開口
216 接続用第2開口
300 インク/洗浄液供給源切替装置
302 インク供給源
304 洗浄液回収源
306 ブラケット
308 エアシリンダ
400 クロスバー
402 傾斜面
404 インク絞り用ドクターブレード
406 洗浄液掻き取り用ドクターブレード
408 下方ピボット位置
Claims (7)
- 印版にインクを転移するインク転移ロールと、該インク転移ロールの軸方向に延び、且つ該インク転移ロールに接することにより、転移するインク量の絞り調節を行うインク絞り体と、該インク転移ロールと、該インク絞り体とによって、前記インク転移ロールの軸方向に延びるように画成されるインク貯留部と、該インク貯留部内に臨む一端開口を有するインク管路と、前記インク貯留部内で、前記インク転移ロール及び前記インク絞り体それぞれの側面に当接して設けられた掻き取りブレードと、該掻き取りブレードを軸方向に移動させるブレード移動機構とを有し、該インク貯留部に溜められたインクを用いて印刷を行う印刷機において、
前記インク管路は、2本のインク回収用管路を有し、該2本のインク回収用管路の一方の前記一端開口は前記インク貯留部の一端に、他方の前記一端開口は前記インク貯留部の他端に設けられ、
さらに、前記インク貯留部内で、前記インク転移ロール及び前記インク絞り体それぞれの側面に当接して設けられた一対の掻き取りブレードと、
前記一対の掻き取りブレードを軸方向に対応する前記一端開口に向かって互いに逆方向に移動させるブレード移動機構と、
前記一対の掻き取りブレード同士が対向する面それぞれに、該対向する面の側縁に向けて洗浄液を噴射可能なように取り付けられた洗浄液噴射ノズルとを有する、
ことを特徴とする印刷機。 - 前記インク絞り体は、先端縁が前記インク転移ロールの側周面に対して軸方向に接触するように配置されたドクターブレードからなり、前記インク転移ロールは、前記一対の掻き取りブレードをそれぞれ、軸方向に互いに逆向きに移動させる間、回転するようにしている、請求項1に記載の印刷機。
- インクは、フレキソインクからなり、前記インク転移ロールは、側周面全体に亘って多数の凹部を備えたアニロックスロールからなり、前記インク貯留部内にフレキソインクが溜まるように、該アニロックスロールおよび前記ドクターブレードそれぞれの端部に設けられた堰部材をさらに有し、前記洗浄液噴射ノズルから水を噴射する、請求項2に記載の印刷機。
- 前記インク管路は、前記インク貯留部とインク供給源とをフレキソインクが流通可能に接続し、前記インク管路は、各インク回収用一端開口が前記インク貯留部の対応する端部に配置された2本のインク回収管と、インク供給用一端開口が前記インク回収用一端開口同士の間に配置され、前記インク貯留部に臨むインク供給管とを有し、
それにより、印刷時には、前記インク供給源から前記インク供給管を通じて前記インク貯留部へフレキソインクを供給しつつ、前記インク貯留部から前記インク回収管を通じて前記インク供給源へフレキソインクを回収することにより、前記インク貯留部内のフレキソインクを動的状態に維持し、
前記ブレード移動機構は、前記一対の掻き取りブレードを、前記一対の掻き取りブレード各々が前記インク供給用一端開口の近傍に位置するインク回収準備位置から、前記一対の掻き取りブレード各々が対応する前記インク回収用一端開口の近傍に位置するインク回収終了位置まで、軸方向に互いに逆方向に移動させる、請求項3に記載の印刷機。 - 前記ドクターブレードは、前記インク転移ロールの回転方向と逆向きに延びるように配置される、請求項2に記載の印刷機。
- 前記堰部材は、前記インク貯留部に臨む内面の下部に第1流出入口を、前記堰部材の上面に第2流出入口をそれぞれ設けた内部流路を有し、該内部流路は、前記インク回収用一端開口が前記第2流出入口を介して前記インク回収管と連通する、請求項3に記載の印刷機。
- 前記ドクターブレードは、インク絞り用ドクターブレードと、洗浄液掻き取り用ドクターブレードとからなり、
さらに、前記インク転移ロールと平行に延びるクロスバーを有し、
該クロスバーは、その側面に軸方向に延びる少なくとも2つの傾斜面を有し、一方の傾斜面に前記インク絞り用ドクターブレードが、他方の傾斜面に前記洗浄液掻き取り用ドクターブレードが取り付けられ、
さらに、前記インク絞り用ドクターブレードおよび前記洗浄液掻き取り用ドクターブレードが前記インク転移ロールの側周面に当たる第1位置と、前記インク絞り用ドクターブレードおよび前記洗浄液掻き取り用ドクターブレードが前記インク転移ロールの側周面から離間する第2位置との間で前記クロスバーを揺動させるクロスバー揺動駆動装置と、
前記クロスバーを長手方向を中心として回転させるクロスバー回転駆動装置とを有する、請求項5に記載の印刷機。
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