JP4651850B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置に関し、さらに詳しくは、マスタを版胴に巻装し、版胴上のマスタにインキを供給しながら、圧胴等の押圧手段により版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する孔版印刷装置等を含む印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より簡便な印刷方式として、印刷装置の一例としてのデジタル式感熱孔版印刷装置を使用した孔版印刷が知られている。これは、微細な発熱体が主走査方向に多数並んだサーマルヘッドを感熱性孔版マスタ(以下、単に「マスタ」という)を介してプラテンローラに押し付け、サーマルヘッドの発熱体にパルス的に通電し発熱させながらプラテンローラでマスタを搬送し、画像情報に基づいて、マスタの多孔質支持体(ベース)に貼り合わせてある熱可塑性樹脂フィルム部分を加熱溶融穿孔し製版させた後、その製版済みのマスタを自動搬送して、多孔性円筒状の版胴の外周面に自動的に巻き付け、その製版済みのマスタに対して圧胴やプレスローラ等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押し付け、版胴内部に設けられたインキ供給部材によりインキを供給しながら、版胴の開孔部分および製版済みのマスタの穿孔部分からインキを通過させ印刷用紙(以下、単に「用紙」という)に転移させることで印刷画像を形成させるようになっている。
【0003】
このような孔版印刷装置は、「コピーコスト低減」と「高速印刷」といった特徴を有している。そして、印刷速度の高速化については、一般にその最高印刷速度が用紙サイズA3を用いてのA3サイズの画像印刷で120枚/分に設定されている。ユーザとしては、印刷時間を短縮するために、さらに高速で印刷したいという要望がある。
【0004】
高速化への対応の1つとしては、孔版印刷装置を複数台保有してそれらを用いることが行われている。この場合、これらの複数の孔版印刷装置はそれぞれ独立したものであり、相互に関連し合うものではなかったので、画像の読み取りは1台ずつ行う必要がある。
【0005】
比較的大規模な学校や企業あるいは官庁の集中印刷室においては、季節や時期によっては緊急に大量の印刷をすることが求められる場合があるために、また万一の印刷トラブル発生時を考慮して、同じような孔版印刷装置を2台または3台保有し、並べて使用している。
また、高速化への別の対応としては、1台の孔版印刷装置での最高印刷速度を121枚/分以上にアップする方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数台の孔版印刷装置をそれぞれ使用する方法の場合では、同一原稿の画像を緊急で大量に印刷したい場合でも、まず片方の印刷機に原稿をセットして製版動作を行ってから印刷動作をスタートさせ、次に別の印刷機に同じ原稿をセットして製版動作を行ってから印刷動作をスタートさせるという面倒さがあり、画像の読み取りから所定部数の最終印刷物を得るまでのトータルの所要時間も多くかかってしまう問題点があった。また、製版条件も1台毎にバラツキがあり、複数台での印刷の場合は同一原稿であっても印刷画像濃度差が発生したりすることもあった。
【0007】
一方、1台の孔版印刷装置で最高印刷速度を121枚/分以上に速度アップする方法の場合では、印刷画像濃度の低下、版胴等を回転駆動するメインモータのパワー不足により、設定した印刷速度に対してメインモータによる回転速度を確保できず、給紙部からのタイミングのずれが生じ、レジストの悪化、用紙の搬送ジャムの多発などの問題点が生じてしまう。最高印刷速度を121枚/分以上に速度アップする方法としては、現状のメインモータをパワーアップするような変更を加えずにそのままのメインモータを使用して、後述する実施形態で述べるようなソフト上の制約条件を取り払うことによって比較的簡単に実現できる。
上述した問題点は、特に、低温時での印刷条件下にて、インキの粘度が上昇した場合に多発する。インキ粘度上昇によって、版胴の開孔部分および製版済みのマスタの穿孔部分からのインキ通過量が減少し、これにより印刷画像濃度が低下してしまうことで印刷画像のかすれが生じたり、あるいはインキの粘度上昇によって印刷ドラム(版胴)の駆動負荷が増大してしまうことにより、給紙ローラ等の給紙手段やレジストローラ等のレジスト手段との各タイミングずれが生じ、レジストの悪化および搬送ジャムが多発してしまう。
【0008】
一方、上述した問題点の対策として、メインモータをパワーアップしたものに変更するというアイディアはあるが、これではコストアップになることや、外形形状が大きくなって異なるものになることでマシンレイアウトの変更が必要となってしまい、これに伴いメインモータを始めこの周りの部品の金型新規製作などによるさらなるコストアップを招いてしまう。
【0009】
したがって、本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、従来から使用しているメインモータ(電動モータ)を変更せずに、印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度を所定値N+1枚/分以上に設定した場合において、高速印刷時での印刷画像位置ズレおよび用紙の搬送ジャムの防止を図れる印刷装置を提供することにある。
【0010】
第2の目的は、従来から使用しているメインモータ(電動モータ)を変更せずに、印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度を所定値N+1枚/分以上に設定した場合において、高速印刷時での印刷画像濃度を確保して印刷画像のかすれを防止できる印刷装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題点を解決すると共に、上述した目的を達成するために、各請求項記載の発明では、以下の特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、上記電動モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記電流値検出手段からの電流値が上記電動モータの限界電流値以上になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。電流値検出手段の具体例としては、電動モータ(メインモータ)に流れる電流値を簡単な操作で精度良く検出・測定できるという点から、後述する実施形態記載のプローブが好ましく用いられる。このプローブに代えて、電流計で電動モータ(メインモータ)電流値を検出・測定するようにしてもよい。
また、電流値検出手段に限らず、電動モータの駆動能力を検出するものとして電流値検出手段と均等な手段として、電力検出手段であってもよい。
【0012】
請求項2記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、上記版胴および上記押圧手段のうちの少なくとも版胴の駆動系に設けられ上記版胴の回転速度ムラを検出する速度ムラ検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記速度ムラ検出手段からの回転速度ムラが上記印刷速度設定手段により設定された設定印刷速度に対して予め設定された範囲を外れたときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の印刷装置において、上記範囲が、上記設定印刷速度の±2.5%であることを特徴とする。
【0013】
請求項2や3記載の発明等における「速度ムラ検出手段」の具体例としては、ノイズの発生が少なく検知動作の安定化を図れ信頼性が良好で、かつ、安価であるという点から、後述する実施形態で採用している電動モータ(メインモータ)内蔵タイプの光学式ロータリエンコーダが好ましく用いられるが、磁気式ロータリエンコーダであってもよく、またこれらのエンコーダは電動モータ(メインモータ)の出力軸等に個別のエンコーダを取り付けたいわゆる外付けタイプのものであってもよい。
【0014】
請求項4記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、印刷用紙の搬送ジャムを検出するジャム検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記ジャム検出手段からの搬送ジャムが予め設定されたジャム率になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の印刷装置において、上記ジャム率が、0.2(2/10)以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項4や5記載の発明等における「ジャム検出手段」の具体例としては、後述する実施形態ではコストを考慮した検知動作の安定化および信頼性という点から、反射型フォトセンサからなる排紙センサおよび巻き下がりセンサを採用しているが、これに限らず、安価であることをそれ程望まなくても良いのであれば、さらに検知動作の安定化および信頼性を図るべく透過型フォトセンサ等を用いてもよい。また、版胴と押圧手段としての圧胴との組み合わせから、後述する実施形態では排紙センサおよび巻き下がりセンサとの組み合わせを選択したのであるが、例えば版胴と押圧手段としてのプレスローラとの組み合わせからなる構成を用紙搬送方向に複数組配置した複胴式の印刷装置では、反射型フォトセンサからなる排紙センサおよび巻き上がりセンサを採用してもよい。
【0017】
請求項6記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、インキの温度を検出するインキ温度検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記インキ温度検出手段からのインキの温度が予め設定されたインキ温度以下になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の印刷装置において、上記インキ温度が、10℃であることを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、外気の温度を検出する外気温度検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記外気温度検出手段からの外気の温度が予め設定された外気温度以下になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の印刷装置において、上記外気温度が、10℃であることを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、インキの粘度を検出するインキ粘度検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記インキ粘度検出手段からのインキ粘度が予め設定されたインキ粘度の大きさ以上になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、上記電動モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段、上記版胴および上記押圧手段のうちの少なくとも版胴の駆動系に設けられ上記版胴の回転速度ムラを検出する速度ムラ検出手段、印刷用紙の搬送ジャムを検出するジャム検出手段、インキの温度を検出するインキ温度検出手段、外気の温度を検出する外気温度検出手段およびインキの粘度を検出するインキ粘度検出手段のうちの少なくとも一つの検出手段と、上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段とを有することを特徴とする。
【0023】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11の何れか一つに記載の印刷装置において、上記制御手段は、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に自動的に変えることを特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか一つに記載の印刷装置において、上記印刷速度を検出するための印刷速度検出手段を有することを特徴とする。
【0025】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか一つに記載の印刷装置において、上記所定値N枚/分が、120枚/分であることを特徴とする。
【0026】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか一つに記載の印刷装置において、マスタを製版する製版手段を備えた製版装置を有することを特徴とする。
【0027】
請求項1ないし15の何れか一つに記載の「電動モータ」としてのメインモータの具体例としては、比較的小型なもので必要な回転力(トルク)を容易に得られ、またその速度制御等が比較的容易であるという点から、後述する実施形態におけるDCモータ(直流モータ)が好ましく用いられる。上記前段に記載した程の利点を望まなくてもよいのであれば、例えばステッピングモータ等であってもよい。
【0028】
請求項1ないし15の何れか一つに記載の「制御手段」の具体例としては、汎用的な制御を行うことができるという点等から、後述する実施形態におけるマイクロコンピュータやマイクロプロセッサ等が好ましく用いられる。このような利点を望まなくてもよいのであれば、例えば専用の制御回路等であってもよい。
【0029】
ここで、請求項1ないし15の何れか一つに記載の印刷装置においては、次の特徴ある技術構成を付加して構成することができる。
すなわち、第1の技術構成記載の印刷装置は、請求項1ないし15の何れか一つに記載の印刷装置において、上記押圧手段が、給送されて来た印刷用紙の先端部を保持する保持手段を備え上記版胴の外径と略同径の圧胴であり、上記保持手段に向けて印刷用紙の先端を送り出すレジスト手段と、該レジスト手段を回転駆動するレジスト駆動手段と、印刷用紙を上記レジスト手段に向けて給送する給紙手段と、該給紙手段を回転駆動する給紙駆動手段とを有することを特徴とする。
第2の技術構成記載の印刷装置は、第1の技術構成記載の印刷装置において、上記レジスト駆動手段および/または上記給紙駆動手段が、ステッピングモータであることを特徴とする。
【0030】
第1の技術構成記載の印刷装置における「版胴の外径と略同径の圧胴」とは、版胴の外径寸法が圧胴の外径寸法と同じであるものの他、設計上の寸法公差範囲内にある場合も含む。
第1の技術構成記載の印刷装置においては、版胴に対して圧胴を相対的に押し付けて印刷を行う印刷方式が含まれる。この印刷方式には、版胴に対して圧胴を押し付けて印刷を行う圧胴接離方式と、圧胴に対して版胴を押し付けて印刷を行う版胴接離方式と、その併用方式とがある。圧胴接離方式の具体例としては、後述する発明の実施の形態における圧胴およびその接離手段が挙げられる。一方、版胴接離方式としては、版胴が圧胴側へ移動(版胴内部のインキローラが圧胴側へ突出するタイプも含む)して印刷を行う周知のものが挙げられる。
【0031】
請求項10および11記載の「インキ粘度検出手段」の具体例としては、後述する実施形態2に記載のインキ粘度測定装置74が挙げられる他、例えば本願出願人が提案した特開平10−44577号公報に記載されているような別の手段であってもよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、図を参照して実施例を含む本発明の第1の実施の形態(以下、「実施形態1」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能や形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後はその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略する。
【0033】
この実施形態1を含め後述する実施例や実施形態2等では、例えば比較的大規模な学校や企業あるいは官庁の集中印刷室等において、季節や時期によっては緊急に大量の印刷をすることが必要な場合に、また万一の印刷トラブル発生時を考慮して、従来のメインモータ(電動モータ)を変更せずにそのまま使用し、従来の最高印刷速度である120枚/分(用紙サイズA3使用)を超える121枚/分以上で高速短時間印刷を行う(このような高速短時間印刷は、従来の孔版印刷装置等では実施していなかった)ことを可能とするものである。
すなわち、予め設定された高速印刷規制条件を満足するときにおいては、従来のメインモータにおいて予め設定された保証最高印刷速度で高速印刷を行い、上記高速印刷規制条件以外のときにおいては、従来のメインモータの保証最高印刷速度を超えての速度確保が何の問題点を伴うことなくできる設定最高印刷速度、換言すれば高速印刷時での印刷画像位置ズレや用紙の搬送ジャムの発生あるいは高速印刷時での印刷画像濃度低下による印刷画像のかすれ等の問題点を伴うことなく、従来のメインモータで許容される限界最高印刷速度で許容される時間だけ高速印刷を行い、上記目的を達成しようとするものである。つまり、孔版印刷装置等の印刷装置では、一般的に設計上、印刷装置の種々の駆動負荷条件等を考慮して、すなわち予め設定した負荷条件の下で、メインモータ(電動モータ)の駆動能力上の使用領域を設計上の余裕・安全率を見込んで制限しているが、本発明では、上述した事情に着目しメインモータの駆動能力上の使用領域を最大許容できる使用領域まで拡大して有効活用を図るものである。
【0034】
まず、図1を参照して、実施形態1における印刷装置の一例としてのデジタル感熱式孔版印刷装置100(以下、「孔版印刷装置100」という)の概略的な全体構成とその動作について説明する。
図1において、符号99は孔版印刷装置100の骨組みをなす装置本体フレームを、符号1で示す部分は装置本体フレーム99の中央上部に配置され製版されたマスタ3を外周面に巻装する版胴を、この版胴1の右側の符号40で示す部分は製版装置を、版胴1の左側に符号48で示す部分は排版装置を、版胴1の下方に符号8で示す部分は圧胴を、この圧胴8の右側に符号29で示す部分は給紙装置を、圧胴8の左側に符号28で示す部分は排紙装置を、それぞれ示している。
装置本体フレーム99には、上記各装置に配置されている図示しない側板が固定して取り付けられている。孔版印刷装置100には、デジタル感熱製版式の製版装置40が装置本体フレーム99内に一体的に装備されている。
【0035】
版胴1は、図1に示すように、多孔構造の円筒体を有し、この円筒体の外周面にメッシュスクリーンを巻着して構成されている。版胴1の外周部には、版胴1の母線と平行に開閉自在なマスタクランパ2が設けられている。このマスタクランパ2は、装置本体フレーム99側に配置された図示しない開閉装置により駆動力を伝達されて、所定位置にて開閉される。マスタクランパ2には、マスタ3の一端が挾持・係止されて位置決めされ、マスタ3の他端側は、版胴1の外周面に巻装される。
【0036】
版胴1は、図1に簡略的に示すメインモータ50により、支軸としての軸パイプ7の周りに時計回りの向きに回転駆動される(図1中、矢印Aの向き)。版胴1の両端部(図1の紙面の手前側端部および奥側端部に相当する)には、軸パイプ7の周りに図示しない軸受を介して回転自在に支持された端板がそれぞれ設けられている。版胴1は、上記各端板の外周部にネジ等の締結手段により固定して取り付けられている。なお、版胴は、印刷ドラムの外周部分を指す場合と印刷ドラム全体を指す場合とがあるが、本明細書では印刷ドラム全体を指すものとする。
【0037】
版胴1の内部には、該版胴1と同方向に同期して回転するインキローラ4と、このインキローラ4の外周面と僅かに隙間を設けて平行に配置されたドクターローラ5とが配設されている。これらのローラ4,5により、断面楔形状をなすインキ溜まり6が形成され、該インキ溜まり6のインキをインキローラ4の外周面に薄膜状に供給する。上述したとおり、インキローラ4、ドクターローラ5および軸パイプ7は、インキ供給手段を構成している。
インキは、例えば版胴1および上記インキ供給手段等が一体的に構成された版胴ユニットにおける適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、軸パイプ7の孔(図示せず)より楔状空間のインキ溜まり6に供給される。さらに、インキローラ4の外周面に供給されたインキは、版胴1の内周面とインキローラ4の外周面との間に僅かな隙間があるので、版胴1の内周面に供給される。
なお、インキの供給は、軸パイプ7の上記孔から供給される構成に限らず、軸パイプ7と別体に設けられたインキディストリビュータ等で分配供給されるタイプのものもある。
【0038】
版胴1の内部において軸パイプ7に垂下して設けられた図示しないインキ側板には、インキ溜まり6のインキの温度を検出するインキ温度検出手段としてのインキ温度センサ70が固設されている。
また、版胴1の内部の上記側板には、外気の温度を検出する外気温度検出手段としての外気温度センサ72が固設されている。外気の温度を検出する位置は、できるだけ版胴1の内周面に近いインキ供給部位の方がインキの温度と近似できて好ましいことから、外気温度センサ72を上記版胴1の内部に設けた。インキ温度センサ70や外気温度センサ72としては、サーミスタを用いている。
【0039】
製版装置40は、製版書き込み装置とも呼ばれていて、原稿の情報に基づいてマスタ3を穿孔・製版する機能・構成を有する。製版装置40は、マスタ3に穿孔・製版する製版手段としてのサーマルヘッド41と、マスタ3をサーマルヘッド41の発熱素子に押し付けつつ、マスタ3を搬送するプラテンローラ42と、このプラテンローラ42を回転駆動するパルスモータ43と、マスタ3を切断するための可動刃および固定刃を備えたカッタ44と、このカッタ44の可動刃を駆動するカッタ駆動モータ45と、マスタ3の切断時機を決定する偏心カム46と、マスタ3の先端をマスタクランパ2へ案内する給版ローラ対47とから主に構成されている。
製版装置40内において、マスタ3は、ロール状に巻かれて収納されていて、図示しないマスタ支持部材によりそれを繰り出し可能に支持・貯容されている。排版装置48は、すでに版胴1に巻装されている使用済みのマスタ3を版胴1から剥離して収納する周知の機能・構成を具備している。なお、給版ローラ対47、版胴1のマスタクランパ2および上記開閉装置等を総称して給版装置ということがある。
【0040】
圧胴8は、版胴1の下方においてインキローラ4に対向して配設されている。圧胴8は、版胴1に対して給送されて来た用紙(印刷用紙)Pを押し付ける押圧手段としての機能・構成を有し、後述する接離手段によって版胴1の外周面に対して接離自在になされている。圧胴8の外径(直径)は、版胴1の外径(直径)と略同一に設定されている。圧胴8は、この圧胴8の基部をなす本体部9と、圧胴8の両端部を支持する軸11と、本体部9の外周面に設けられた弾性層10とから主に構成されている。
【0041】
本体部9は、例えば特開平11−227310号公報明細書の段落番号(0039)、(0040)に記載されていて、その図2および図3に示されているような形状、すなわち一端に底板を有する有底円筒体、すなわち、熱硬化性の合成樹脂でできたカップ形状の円筒体からなる。弾性層10としては、上記同公報明細書の段落番号(0042)、(0043)に記載されているような圧縮残留歪みが小さい単発泡のウレタンフォームのスポンジ状のシートからなるものが、押圧力の部分的な集中によるマスタ3の破損防止およびマスタ3のシワの発生を防止できることから、好ましく使用される。
【0042】
圧胴8の外周面の一部には、版胴1上のマスタクランパ2との衝突を避けるために、圧胴8の母線方向に延在する凹部17が形成されている。この凹部17には、合成樹脂からなるクランパベース18が設けられている。このクランパベース18には、給送されて来た被印刷部材としての用紙Pの先端部を保持する保持手段としての用紙クランパ19が取り付けられている。用紙クランパ19は、軸19aに所定角度回動可能に支持されており、装置本体フレーム99側に設けられた図示しないカムにより所定のタイミングで開き、用紙Pの先端部をくわえた後、閉じて圧胴8の外周面上に用紙Pを保持し、剥離爪20の近傍位置に至ると再び開き、用紙Pを開放して該用紙Pを排紙搬送装置21に送り出す。
【0043】
本実施形態1では、用紙Pのレジスト精度を向上すると共に騒音の低減を図る目的で、またインキの粘着力により用紙Pが版胴1に巻き上がるのを防止する目的で圧胴8を用いている。圧胴8は、上述したように版胴1の外径と実質的に等しく形成されているので、版胴1が1回転したとき、図2に示す版胴駆動系49を介して圧胴8も1回転する。このため、給送されて来た用紙Pの先端部を挾持・保持する用紙クランパ19を圧胴8上に設けることができ、用紙Pの先端を用紙クランパ19に突き当てながら給紙することで用紙Pのレジスト精度を向上することができる。
【0044】
圧胴8の軸11は、支点軸12を中心に揺動自在な一対のアーム13(図1における紙面奥側のみ図示し、紙面手前側を省略している)に支持されており、圧胴8は、各アーム13の揺動に応じて版胴1に対して接離自在になされている。各アーム13の自由端は、一端が装置本体フレーム99の図示しない側板に固定されたスプリング14によって、圧胴8を版胴1に押圧する向きに常時付勢されている。各アーム13の自由端には、カムフォロア15が設けられており、これらのカムフォロア15は、各アーム13の揺動を制御する、すなわち、圧胴8の版胴1への押圧を制御するための各印圧カム16に選択的に当接している。
上述したとおり、上記接離手段は、それぞれ一対の、軸11、支点軸12、アーム13、スプリング14、カムフォロア15および印圧カム16から構成されている。
【0045】
また、圧胴8は、用紙Pの搬送ジャム等の搬送不良時の対処として、版胴1に対して圧胴8が押圧されないように、版胴1と同期して回転する各印圧カム16,16により、所定のタイミングで版胴1から離間する。そして、搬送不良がない場合には、再び、用紙Pを外周面に保持した圧胴8が各スプリング14,14により版胴1の外周面に押圧されることとなる。搬送不良が発生した場合には、圧胴8は、版胴1に押圧されず、図示しない印圧解除装置により版胴1から離間した位置で保持されたままとなって圧解除される。
【0046】
図2を参照して、版胴1と圧胴8とを同期して回転駆動する版胴駆動系49について説明する。
版胴駆動系49は、図2に示すように、メインモータ50、駆動プーリ52、無端ベルト53、2連の版胴プーリ54、無端ベルト55、圧胴プーリ56、中間ギヤ57、第1圧胴ギヤ58、第2圧胴ギヤ59およびカムギヤ60から主に構成されている。
【0047】
メインモータ50は、版胴1と圧胴8とを回転駆動する電動モータとしての機能・構成を有し、DCモータ(直流モータ)からなる。このメインモータ50には、版胴駆動系49の少なくとも版胴1の回転速度ムラを検出するための速度ムラ検出手段としてのエンコーダ51が内蔵されている。エンコーダ51は、例えば周知の光学式ロータリエンコーダ(フォトロータリエンコーダ)と、このエンコーダの外周部を挟む態様で設けられ図2では省略されているフォトインタラプタとからなる。また、エンコーダ51は、印刷速度を検出するための印刷速度検出手段の機能も有する。
【0048】
このメインモータ50は、後述するように給紙装置29を駆動する給紙駆動系を版胴駆動系49に対して独立させて負荷を低減しているので、例えば本願出願人が特開平11−48595号や特開平11−58916号公報で提案したと同様に、パワーが小さくて小型化された安価なものとなっている。
【0049】
メインモータ50は、予め設定した負荷条件下としての、この実施形態1では0℃のインキ温度や外気温度の環境条件下に孔版印刷装置100があるときに、その回転速度を確保できる印刷速度、すなわち保証最高印刷速度が用紙サイズA3使用印刷時において所定値N枚/分=120枚/分に設定されている。これに関連する技術事項については、後述する制御構成等で補足説明する。
【0050】
メインモータ50の出力軸には、メインモータ50の回転駆動力を版胴1および圧胴8に伝達するための駆動プーリ52が固設されている。版胴1における図2の紙面の奥側に配置された上記端板には、メインモータ50からの回転駆動力を伝達するための2連の版胴プーリ54が固設されている。駆動プーリ52と版胴プーリ54との間には、無端ベルト53が掛け渡されて連結されていて駆動力伝達関係にあり、メインモータ50の回転駆動力が版胴1に伝達される。
【0051】
一方、圧胴8側には、装置本体フレーム99側の図示しない側板に回転自在に支持された、版胴1を介してメインモータ50からの回転駆動力を伝達するための圧胴プーリ56が設けられている。圧胴プーリ56の同軸上には、中間ギヤ57が取り付け固定されていて、圧胴プーリ56と中間ギヤ57とは一体となって回転する。圧胴8における図2の紙面の奥側に配置された上記底板側には、中間ギヤ57と噛み合う第1圧胴ギヤ58が配設されている。
圧胴8における図2の紙面の奥側に配置された上記底板と第1圧胴ギヤ58との間には、本願出願人が特開平10−258566号公報で提案した圧胴駆動部の伝達手段と同様のオルダム継手(前記同公報の図3に示されているオールダム軸継手83に相当する)が設けられていて、第1圧胴ギヤ58の回転駆動力が圧胴8に滑らかに伝達される。
版胴プーリ54と圧胴プーリ56との間には、無端ベルト55が掛け渡されて連結されていて駆動力伝達関係にある。したがって、メインモータ50の回転駆動力は、無端ベルト53等を介して版胴1に伝達されると同時に、無端ベルト55および中間ギヤ57と噛み合う第1圧胴ギヤ58等を介して圧胴8に伝達される。
また、圧胴8側における第1圧胴ギヤ58の同軸上には、メインモータ50の回転駆動力の一部を印圧カム16に伝達するための第2圧胴ギヤ59が固設されている。図2の紙面の奥側に配置された印圧カム16には、該印圧カム16と同軸上に第2圧胴ギヤ59と常時噛み合うカムギヤ60が固設されている。
【0052】
上記した版胴駆動系49により、図2において、メインモータ50が時計回りに回転したとき、版胴1は図2中矢印Aで示す時計回りに、圧胴8は図2中矢印Bで示す反時計回りに、カムギヤ60および印圧カム16は図2中矢印Fで示す時計回りに、それぞれ回転することとなる。
【0053】
給紙装置29は、図1に示すように、多数の用紙Pを積載して昇降可能なエレベータ方式の給紙トレイ30と、給紙トレイ30上の最上の用紙Pに当接して用紙搬送方向に送り出す呼び出しローラ32と、呼び出しローラ32により送り出された用紙Pを1枚ずつに分離してレジストローラ対31に向けて給送する分離ローラ33と、呼び出しローラ32および分離ローラ33を回転駆動する給紙駆動手段としての給紙モータ35と、用紙Pを案内するためのガイド板34と、圧胴8の拡開した用紙クランパ19にタイミングを合わせて用紙Pの先端を送り出すレジスト手段としての上下一対のレジストローラ31,31と、レジストローラ対31,31を回転駆動するレジスト駆動手段としてのレジストモータ38等とから主に構成されている。
【0054】
給紙トレイ30は、積載された最上の用紙Pが、常に呼び出しローラ32に当接して給紙可能とする適切な範囲、すなわち、用紙Pが搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持しつつ、昇降する。
分離ローラ33は、給紙トレイ30とレジストローラ対31,31との間に配設されていて、用紙Pの重送を防止する機能を有する。分離ローラ33は、給紙トレイ30からの用紙Pをレジストローラ対31,31に向けて送り出す給紙ローラ33aと、この給紙ローラ33aの下方に配設され、最上の用紙P以外を給紙トレイ30に戻す分離ローラ33bとから構成されている。上記のとおり、呼び出しローラ32および分離ローラ33は、用紙Pをレジストローラ対31に向けて給送する給紙手段を構成している。
【0055】
給紙モータ35は、パルスモータとも呼ばれるステッピングモータからなる。給紙モータ35は、該給紙モータ35の出力軸に設けられた駆動プーリと給紙ローラ33aの軸に設けられた2連の給紙プーリとの間に掛け渡された歯付の無端ベルト36を介して、給紙ローラ33aに連結されている。これにより、給紙モータ35と給紙ローラ33aとは回転駆動力伝達関係にあり、給紙ローラ33aは、給紙モータ35の回転駆動によって、図1中、Eの向き(時計回り)に回転する。
【0056】
給紙ローラ33aの軸に設けられた2連の給紙プーリと呼び出しローラ32の軸に設けられた呼び出しプーリとの間には、給紙ローラ33aと呼び出しローラ32とを連結して回転駆動力伝達関係とする無端ベルト37が掛け渡されている。これにより、給紙モータ35と給紙ローラ33aと呼び出しローラ32とは回転駆動力伝達関係にあり、呼び出しローラ32は、給紙モータ35の回転駆動によって、図1中、Dの向き(時計回り)に回転される。また、給紙ローラ33aおよび呼び出しローラ32の各軸には、ワンウェイクラッチ(図示せず)がそれぞれ組み込まれていて、給紙ローラ33aおよび呼び出しローラ32は時計回りのみに回転するようになっている。
【0057】
レジストモータ38は、ステッピングモータからなる。レジストモータ38は、レジストモータ38の出力軸に設けられた駆動プーリと下側のレジストローラ31の軸に設けられたレジストプーリとの間に掛け渡された歯付の無端ベルト39を介して、下側のレジストローラ31に連結されている。これにより、レジストモータ38と下側のレジストローラ31とは回転駆動力伝達関係にあり、レジストモータ38の回転駆動によって、下側のレジストローラ31は図1中、矢印C2の向き(反時計回り)に、上側のレジストローラ31は図1中、矢印C1の向き(時計回り)に、それぞれ回転する。
【0058】
分離ローラ33とレジストローラ対31,31との間には、用紙Pをレジストローラ対31,31のニップ部に案内するガイド板34が設けられており、レジストローラ対31,31から用紙クランパ19に向かう部分にも、用紙Pを案内するガイド板34が設けられている。
【0059】
図1中、版胴1の左下方には、印刷後(インキ塗布後)の用紙Pを圧胴8から剥離するための剥離爪20と、剥離した用紙Pを排紙トレイ22に搬送するための、版胴1と圧胴8とで形成されるニップ部よりも下流側に配置された排紙搬送装置21と、排紙搬送装置21により搬送された用紙Pを蓄えておく排紙トレイ22とがそれぞれ配設されている。排紙搬送装置21は、用紙Pの裏面を吸引する吸着ファン23と、一対の搬送ローラ24,25と、これら搬送ローラ24,25の間に掛け渡された多孔性のベルト26とから構成されている。
【0060】
排紙搬送装置21における搬送ローラ24寄りのベルト26の下方には、用紙Pの搬送ジャムを検出するジャム検出手段としての排紙センサ62が配設されている。また、剥離爪20の下方近傍には、剥離爪20で剥離できずに圧胴8の下方に巻き下がる用紙Pの検出を行うための、ジャム検出手段としての機能も有する巻き下がりセンサ64が配設されている。排紙センサ62および巻き下がりセンサ64は、共に反射型フォトセンサからなる。
【0061】
次に、図3を参照して、孔版印刷装置100を操作するための操作パネル80の細部構成を説明する。
この操作パネル80上には、製版スタートキー81、テンキー83、印刷スタートキー82、印刷速度設定キー86、印刷速度表示器87、ジャム率設定キー88および液晶表示部89等が配置されている。
【0062】
製版スタートキー81は、原稿画像の画像読み取りから製版・給版ないしは版付け印刷に至る各動作の起動を設定・入力するためのものであり、テンキー83は、印刷枚数等を設定・入力するためのものであり、印刷スタートキー82は、テンキー83で設定・入力された印刷枚数の印刷動作の起動等を行うためのものである。ジャム率設定キー88は、ユーザが用紙Pの搬送ジャムを所定のジャム率以下に抑えたい場合に、適宜設定・入力するためのものである。ジャム率の設定は、ユーザがジャム率設定キー88を押した後に、テンキー83を用いてジャム率を例えば百分率(%)に換算して入力・設定すればよい。これにより、設定されたジャム率が液晶表示部89に表示されるようになっている。
【0063】
印刷速度設定キー86は、版胴1の印刷時の回転速度としての印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段としての機能を有する。印刷速度表示器87は、それぞれLED(発光ダイオード)からなり、印刷速度設定キー86で選択的に設定された設定印刷速度値を表示する機能を有する。
印刷速度設定キー86は、設定印刷速度1〜8の8段階の中から1つの設定印刷速度を選択的に設定するための速度ダウンキー86aおよび速度アップキー86bからなる。印刷速度表示器87は、速度ダウンキー86aまたは速度アップキー86bの1回毎の押下により、上記8段階の設定印刷速度(以下、「設定印刷速度:1速〜8速」という)に切り換えられる設定印刷速度を点灯表示する。これにより、オペレータが選択した設定印刷速度が印刷速度表示器87にて目視確認できる。
【0064】
印刷速度表示器87において、プリントスピードと表示されているハッチングを施した「設定印刷速度:3速」は、通常使用される印刷速度に対応した標準印刷速度であって、上記電源スイッチをオンした後、速度ダウンキー86aまたは速度アップキー86bを押下しなかったときに自動的に設定されるようになっている。
ここで、例えば「おそく」と表示されている1番左側の「設定印刷速度:1速」は最低速の60枚/分(min):60rpmに、左側から2番目の「設定印刷速度:2速」は75枚/分:75rpmに、左側から3番目のハッチングを施した「設定印刷速度:3速」は90枚/分:90rpmに、左側から4番目の「設定印刷速度:4速」は105枚/分:105rpmに、左側から5番目の「設定印刷速度:5速」は従来の孔版印刷装置において最高速であった120枚/分:120rpmに、左側から6番目の「設定印刷速度:6速」は130枚/分:130rpmに、左側から7番目の「設定印刷速度:7速」は135枚/分:135rpmに、「はやく」と表示されている一番右側の「設定印刷速度:8速」はこの孔版印刷装置100において最高速である150枚/分:150rpmに、それぞれ対応して設定されている。つまり、実施形態1では、印刷速度設定キー86の速度ダウンキー86aまたは速度アップキー86bにより設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上、すなわち121枚/分以上に設定されている。
【0065】
液晶表示部89は、後述する制御装置からの指令により、原稿画像の読み取りから印刷に至る各動作・工程での指定・設定すべき操作内容や、各センサやセンサ群からの検知情報を随時表示する機能を有し、LCD(液晶表示装置)からなる。
印刷速度表示器87は、発光ダイオード駆動回路(図示せず)を介して図4に示す制御装置90により駆動制御される。液晶表示部89は、液晶駆動回路(図示せず)を介して制御装置90により駆動制御される。
【0066】
図4において、制御装置90は、本実施形態1における孔版印刷装置100の主として印刷速度制御、給紙・レジスト速度制御および給紙・レジストタイミング制御を行うためのものである。制御装置90は、図示を省略した、CPU(中央演算処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0067】
図4において、符号66は、メインモータ50、給紙モータ35、レジストモータ38等に電力(電流)を供給する電源を示し、符号67は、電源66からメインモータ50に供給されるメインモータ電流値68を検出するための電流値検出手段としてのプローブを示す。メインモータ電流値68は、電源66とメインモータ50とを接続する電線を電流測定用のプローブ67で挟み、電流の変化を電圧に変換することによって、容易に測定・検出することができる。
プローブ67は、電流プローブの略称であり、その先端部のトランスに、被測定電流の流れている配線を通過させることによって、被測定電流をトランスの2次側に伝え、その電流を内部の終端抵抗に流して電圧を発生させる構造を備えているものであって、被測定回路に与える影響の極めて小さい測定方法である。
【0068】
制御装置90の上記CPU(以下、説明の簡明化を図るため、「制御装置90」というときがある)は、上記入力ポート等を介して操作パネル80の上記各種キーから出力されるオン/オフ信号やデータ信号等の各種出力信号、および図示しないA/D変換器および上記入力ポート等を介してプローブ67により検出されたメインモータ電流値68に係るデジタル出力信号を受信する。
また、制御装置90は、図示しないセンサ入力回路および上記入力ポート等を介してエンコーダ51、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64から出力されるオン/オフ信号やデータ信号等の各種出力信号、および図示しないA/D変換器、図示しないセンサ入力回路および上記入力ポート等を介してインキ温度センサ70および外気温度センサ72から出力されるデータ信号等を受信する。
【0069】
制御装置90は、上記出力ポートおよび各モータドライバを介して、メインモータ50、給紙モータ35およびレジストモータ38に各種指令信号を送信してこれらを後述するように制御する。
制御装置90は、上記出力ポートを介して、操作パネル80の印刷速度表示器87、液晶表示部89に各種指令信号を送信してこれらを制御する。
【0070】
第1に、制御装置90は、操作パネル80の印刷速度設定キー86により設定された設定印刷速度となるように、上記モータドライバを介してメインモータ50を制御する機能を有する。そして、制御装置90は、その設定印刷速度およびエンコーダ51で検出された実印刷速度を印刷速度表示器87に点灯・表示するように、発光ダイオード駆動回路や液晶駆動回路を介して印刷速度表示器87や液晶表示部89を制御する機能も有する。
【0071】
第2に、制御装置90は、印刷速度設定キー86により設定された設定最高印刷速度が121枚/分以上であり、かつ、プローブ67、エンコーダ51、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64、インキ温度センサ70および外気温度センサ72の少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったときに、120枚/分の保証最高印刷速度に自動的に変えるべくメインモータ50を制御する制御手段としての機能を有する。
【0072】
ここで、「プローブ67、エンコーダ51、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64、インキ温度センサ70および外気温度センサ72の少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったとき」とは、以下の状態のときを意味する。
すなわち、第1に、プローブ67からのメイン電流値がメインモータ50の限界電流値(リミット電流値)以上になったとき、第2に、エンコーダ51からの回転速度ムラが印刷速度設定キー86により設定された設定印刷速度に対して予め設定された範囲である設定印刷速度の±2.5%を外れたとき、第3に、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64からの搬送ジャムが予め設定されたジャム率である0.2(2/10)以上になったとき、第4に、インキ温度センサ70からのインキの温度が予め設定されたインキ温度10℃以下になったとき、第5に、外気温度センサ72からの外気の温度が予め設定された外気温度10℃以下になったとき、の第1から第5までのうちの少なくとも一つの条件を満足したときをいう。
なお、上記予め設定された値の具体的数値は、後述する孔版印刷装置100の一機種等におけるものであり、あくまでも一実施例的な例示であって、別の機種によってはメインモータの仕様や上記数値等が相違する場合のあることを付記しておく。
【0073】
第3に、制御装置90は、圧胴8に設けられた遮光板と給紙開始センサ(透過型フォトセンサからなり、共に図示せず)との係合による上記給紙開始センサからのオン出力信号(スタート信号)に基づき、用紙Pの先端をレジストローラ対31,31に対して給送すべく給紙モータ35を起動制御する機能を有する。
第4に、制御装置90は、圧胴8に設けられ上記遮光板とは別の遮光板と給紙開始センサ(透過型フォトセンサからなり、共に図示せず)との係合による上記給紙開始センサからのオン出力信号(スタート信号)に基づき、圧胴8の用紙クランパ19の用紙くわえ位置にタイミングを合わせて用紙Pの先端を給送すべくレジストモータ38を起動制御する機能を有する。
制御装置90の第3および第4の制御機能の詳細としては、例えば特開平11−48595号および特開平11−309934号公報等で開示したとおりであり、この明細書の要旨とするところではないためこれ以上の説明を省略する。
【0074】
制御装置90内の上記ROMには、上記CPUが上記した制御を行うために必要な関係データが予め記憶されている。制御装置90内の上記RAMは、上記CPUでの計算結果を一時記憶したり、メイン電流値68、エンコーダ51からの回転速度ムラに係る検出データ、各センサ62,64,70,72からの各出力信号等を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。
なお、図4に示したブロック図では、本実施形態1の印刷速度制御および給紙制御に係る主要なもののみを図示している。
【0075】
次に、孔版印刷装置100の概略的な全体動作について説明する。以下の動作は、制御装置90からの指令の下に行われる。
ユーザにより図示しない原稿読み取り部に原稿がセットされ、操作パネル80の製版スタートキー81が押下(オン)されると、これによりスタート信号が生成されることで、先ず、すでに版胴1に巻装されている使用済みのマスタ3が版胴1から剥離される排版動作が行われる。すなわち、メインモータ50が駆動されることにより版胴1が回転し、使用済みのマスタ3が版胴1の外周面から排版装置48により剥離され図示しない排版ボックスに収納・廃棄される。その後、版胴1は、マスタクランパ2が図1において略右横に位置する給版位置を占めた位置で停止し、クランパ軸が回動されて、マスタクランパ2が開かれ、給版待機状態となる。
【0076】
次いで、パルスモータ43が駆動されることにより、プラテンローラ42が回転され始め、マスタ3が繰り出されつつ搬送される。一方、上記原稿読み取り部においてスキャナ(図示せず)が作動することにより、原稿の画像が読み取られ、A/D変換部および製版制御部(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像信号によって、サーマルヘッド41の発熱素子が選択的に発熱され、マスタ3が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔され始める。
【0077】
マスタ3が、プラテンローラ42の回転により搬送され、マスタ3の先端部が、給版待機状態で拡開しているマスタクランパ2へ向けて送出される。パルスモータ43のステップ数がある設定値に達すると、クランパ軸が回動されることでマスタクランパ2が閉じられて、製版済みのマスタ3の先端部がマスタクランパ2に挾持される。
【0078】
このクランプ動作と同時に版胴1と圧解除位置を占めている圧胴8とが、マスタ3の搬送速度と略同じ周速度で回転され、版胴1の外周面に製版済みのマスタ3が巻装されていく。版胴1の外周面に製版済みのマスタ3が所定長さ巻装されると、版胴1、圧胴8、プラテンローラ42の回転が停止する。この停止動作と同時に、カッタ駆動モータ45が偏心カム46を回転させて上方のカッタ44を下降駆動させ、マスタ3を切断する。そして版胴1が再び矢印Aの向きに回転され、切断されたマスタ3の後端(図示せず)が、製版装置40から引き出され、版胴1の外周面に製版済みのマスタ3が完全に巻き付けられて、製版・給版動作が完了する。
【0079】
続いて、給紙動作が行われる。圧胴8が、図1中、矢印Bの向きに回転し、圧胴8に設けられた図示しない遮光板が給紙開始センサ(透過型フォトセンサ)を通過すると、そのオン出力信号が制御装置90に入力され、給紙モータ35が回転駆動される。これにより、給紙ローラ33aは時計回りに回転されると同時に、呼び出しローラ32の図1中矢印Dの同じ向きの回転により用紙Pが給送され、給紙ローラ33aと分離ローラ33bとで用紙Pの重送が防止されて、最上の1枚の用紙Pだけがレジストローラ対31,31に向けて送られる。そして、用紙Pの先端がレジストローラ対31,31のニップ部に衝突し、さらに搬送されて、図1に示すレジストローラ対31,31の手前上方のガイド板34に所定量の湾曲たるみが形成された時点で、給紙ローラ33aと呼び出しローラ32とが停止する。
このときの用紙Pの送り量等に関する詳細動作は、例えば特開平11−48595号および特開平11−309934号公報等で開示したとおりに行われる。
【0080】
次いで、圧胴8がさらに図1中矢印Bの向きに回転し、圧胴に設けられた図示しない別の遮光板が所定タイミングでフォトセンサ(図示せず)を通過すると、そのオン出力信号が制御装置90に入力され、図4に示すように、制御装置90において予め設定された所定の遅れ時間経過するように調整された後、制御装置90からの指令によりレジストモータ38が回転駆動される。これにより、レジストローラ対31,31が図1中、矢印C1,C2の向きに回転され、図1に示すように用紙Pの湾曲たるみが消滅する。このとき、各ワンウェイクラッチの作用により、給紙ローラ33aと呼び出しローラ32とが用紙Pの搬送によって従動回転しながら、用紙Pの先端が圧胴8の用紙クランパ19に向けて搬送される。このタイミングに合わせ、圧胴8中の用紙クランパ19は開き、用紙Pの先端を突き当てた後、用紙クランパ19は閉じ、圧胴8の外周面に用紙Pが保持されたまま、圧胴8が回転し、版胴1と圧胴8とのニップ部に用紙Pが送り込まれる。
このときの用紙Pの送り量等に関する詳細動作は、例えば上記と同様、特開平11−48595号および特開平11−309934号公報等で開示したとおりに行われる。
【0081】
図1において、版胴1と圧胴8とのニップ部は、スプリング14の力により加圧されており、用紙Pが版胴1の外周面に押圧される。こうして、圧胴8の外周面の押圧によって、回転する版胴1の外周面に巻装された製版済みのマスタ3に用紙Pが連続的に押圧されることにより、製版済みのマスタ3が版胴1の外周面に密着すると共に、版胴1の開孔部分から製版済みのマスタ3の穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙Pの表面に転移され、孔版印刷が行われる。
このとき、インキローラ4も版胴1の回転の向きと同一の向きに回転する。インキ溜まり6のインキは、インキローラ4の回転によりインキローラ4の表面に付着され、インキローラ4とドクターローラ5との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
【0082】
インキが転写された用紙Pは、圧胴8がさらに回転することにより、剥離爪20の手前で用紙クランパ19が開き、剥離爪20により剥離されて剥離爪20に載った状態にて受け渡され、搬送ベルト26で搬送されて排紙トレイ22上に排出積載される。こうして、製版済みのマスタ3にインキを充填する所謂版付けが行われると共に、版胴1が圧胴8から離間して初期状態に復帰し、印刷待機状態となる。
【0083】
印刷終了後、ユーザは排出された印刷物を目視して、印刷画質の確認や印刷画像位置の確認等を行い、これらがオーケーであれば、操作パネル80のテンキー83により印刷枚数を設定・入力し、適宜、印刷速度設定キー86により設定印刷速度を設定・入力した後、印刷スタートキー82を押下(オン)すると、印刷スタート信号が生成されて、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
上記通常印刷時における用紙Pの送り量等に関する詳細動作は、例えば上記と同様、特開平11−48595号および特開平11−309934号公報等で開示したとおりに行われる。つまり、ユーザが印刷速度設定キー86により選択・設定した設定印刷速度を制御装置90が認識し、制御装置90はその設定印刷速度で版胴1を回転させるべく対応した回転速度でメインモータ50が回転するように上記モータドライバに指令を送る。これに伴い、制御装置90は、設定印刷速度に対応して、かつ、圧胴8の用紙クランパ19により用紙Pの先端が突き当て・クランプされるタイミングに合わせて用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ38および給紙モータ35の回転速度をそれぞれ可変するように上記各モータドライバに指令を送る。
なおこのとき、例えば特開平11−309935号公報で開示されているように、制御装置により、選択・設定された設定印刷速度に拘らず、呼び出しローラ32および給紙ローラ33aを単一の回転速度で回転するように給紙モータ35が制御される技術もある。
(実施例)
図5ないし図10を参照して、実施形態1に係る実施例を説明する。まず、実施形態1においてある程度実施例的に説明した内容について補充しておく。
孔版印刷装置100の機種としては、株式会社リコー製「JP5050」を使用した。
メインモータ50としては、「アウタロータ形ギヤ付DCブラシレスモータ」で、100W、使用電源24V(限界電圧40V)で限界電流値(リミット電流値)6Aの仕様のものを使用した。リミット電流値:6Aは、メインモータ50が回転駆動されることで、モータドライバ基板(コントローラ)内のパワートランジスタの抵抗の温度上昇(UL規格内)によって設定されている。リミット電流値は、上記設定方法の他に、メインモータ50自体の定格トルクで設定してもよい。
【0084】
インキとしては、リコープリポートインキ「JP−10」のエマルションインキを使用した。インキの色の種類としては、その顔料成分として緑色、青色、赤色、黒色の順にインキの粘度が低くなるが、今回の実験ではインキの粘度が最も高い緑色のインキを用いた。
図6におけるインキ転移量の測定方法としては、用紙サイズA3の用紙Pの100枚に、1mになる印刷画像を印刷し、そのときの印刷前後での版胴1全体(印刷ドラム全体)の重量差を天秤にて測定して求めた。
プローブ67としては、ソニー・テクトロニクス(株)製の「TM502A」を使用した。
【0085】
また、メインモータ50をその設定最高印刷速度150枚/分で回転駆動制御するために、そのモータドライバのソフト的な制限を取り払うことにより行った。すなわち、メインモータ50に内蔵しているエンコーダ51を使い、ソフト的に指定周波数を入れることで回転速度を可変する方式を採用した。その指定周波数を120枚/分以上に入力することにより、121枚/分以上に設定することができる。
【0086】
図5は、印刷速度設定キー86により設定された設定印刷速度とエンコーダ51により検出された実測印刷速度との関係についての実験結果を表している。以下、設定印刷速度に関する補助単位「枚/分」を「cpm」(copy per minute)と、実測印刷速度を「実印刷速度」と、それぞれ略記する。
【0087】
実施形態1の前書きで述べたように大量印刷物を即座に得たい場合等において、孔版印刷装置100にて従来の最高印刷速度120cpm(メインモータ50での保証最高印刷速度でもある)を超える印刷速度で高速印刷を行いたい場合がある。このような場合において、図3に示す印刷速度設定キー86の速度アップキー86bにより、図5に示すように設定最高印刷速度を121cpm以上にアップしていくと、インキ温度センサ70により検出されたインキ温度(または外気温度センサ72により検出された外気温度)が低温時のときには、メインモータ50は制御装置90から指令されている設定最高印刷速度を確保できなくなることが分かる。これは、主としてインキの粘度が高くなっていることにより版胴1の駆動負荷が増大しているためである。図5において、実印刷速度(cpm)を実線で、設定印刷速度(cpm)を破線で、それぞれ示す。
【0088】
図5の実験結果より、設定印刷速度130cpmではインキ温度5℃以下、設定印刷速度135cpmではインキ温度10℃以下、設定印刷速度150cpmではインキ温度23℃以下のときでは、設定印刷速度と実印刷速度とが一致しないことが確認できた。
【0089】
この原因は、設定最高印刷速度を121cpm以上にアップしていくと、低温時においては主としてインキの粘度が高くなっていることにより、版胴1の駆動負荷が増大し、メインモータ50での保証最高印刷速度、換言すれば孔版印刷装置100において0℃の環境条件で確保できる定格トルク値を超えてしまうために、制御装置90で指令している設定印刷速度を確保できなくなるからである。
これにより、制御装置90より指令されている設定印刷速度に対し、版胴1および圧胴8の回転速度が遅くなり、各設定印刷速度毎に予め設定している給紙モータ35やレジストモータ38の回転速度とのズレが生じ、圧胴8の用紙クランパ19とのタイミングが合わなくなり、用紙Pの先端部をクランプできずに、用紙Pの搬送ジャム(以下、単に「ジャム」という)が発生したり、印刷画像位置ズレが発生したりする。
【0090】
メインモータ50の速度確保対策として、メインモータ50が設定印刷速度に対応した回転速度に達していないことを検知する手段として、上述した各検出手段を有することにより、孔版印刷装置100において0℃の環境で印刷速度を確保できるメインモータ50での保証最高印刷速度に印刷速度を落とすようにメインモータ50を制御することで、ジャムおよび印刷画像位置ズレの発生を防止することができる。本発明では、メインモータ50の速度検出方式、すなわち例えばプローブ67、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64、インキ温度センサ70および外気温度センサ72の少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったときに、120cpmの保証最高印刷速度にメインモータ50の回転速度を落とすことを特徴とするものである。
【0091】
以下、メインモータ50の速度検出方式について順次補足説明する。
メインモータ50の速度検出方式の一つとして、メインモータ50のメインモータ電流値68を把握する方式がある。プローブ67を適宜、増幅器を介してオシロスコープに接続し、上記したようにプローブ67で検出・測定したメインモータ電流値68をオシロスコープにメインモータ電流波形として描かせることができる。
【0092】
図8ないし図10において、横軸には時間経過(版胴1の回転角度)が、縦軸にはメイン電流値68の大きさ(0〜8A)が、それぞれ示されている。図8には、インキ温度が10℃、設定印刷速度が120cpmの条件時において、メインモータ50に流れるメイン電流値68の時間経過(版胴1の回転角度)に応じての電流波形が示されている。
図9には、上記と同様のインキ温度10℃で、設定印刷速度が135cpmの条件時において、メインモータ50に流れるメイン電流値68の時間経過に応じての電流波形が、図10には、上記と同様のインキ温度10℃で、設定最高印刷速度が150cpmの条件時において、メインモータ50に流れるメイン電流値68の時間経過に応じての電流波形が、それぞれ示されている。
【0093】
図8ないし図10において、符号76は、版胴1のホームポジション信号波形を示し、そのホームポジション信号波形76の信号の立ち上がりから次の立ち上がりまでは版胴1の回転の1周期を表している。符号77は、メインモータ50に流れるメイン電流値68としてプローブ67から出力されたモータ電流波形を表している。符号78は、メインモータ50の回転速度変動を示すFG信号波形を表す。このFG信号波形78は、メインモータ50内のエンコーダ51からのパルス信号を制御装置90内で周波数変換し出力したデータである。これらのホームポジション信号波形76、モータ電流波形77およびFG信号波形78は、図8ないし図10において何れも同一ラインを基準として4チャンネルのオシロスコープに描かせた波形であり、そのままの状態で比較可能であることを付記しておく。
【0094】
まず、図8ないし図10において、モータ電流波形77を比較してみると、特に図10のモータ電流波形77は、リミット電流値6A以上となってしまっていることにより、図8におけるモータ電流波形77を丸で囲んで符号Gで示したような印圧開始時の駆動負荷ピークがなくなり、波形が鈍ってしまっていることが分かる。このときの図10におけるFG信号波形78をみると、印圧直後の回転数の低下後すぐに150cpmに復帰していないことにより、リミット電流値以上になり、図8において符号Gで囲んで示すような印圧開始時の駆動負荷ピークがなくなり、鈍る波形になることは設定最高印刷速度に到達しないことを端的に表している。
【0095】
このとき、孔版印刷装置100では、圧胴8の周速度と、レジストモータ38の駆動により送られた用紙Pの先端の搬送速度との間には、速度差が生じてしまい、用紙クランパ19で用紙Pの先端を突き当て・クランプできなかったり、そのくわえ位置がズレてしまうことで、用紙搬送方向の上流側で版胴1上に用紙Pが巻き上がったりして、圧胴8上から剥離爪20でうまく剥離されずにジャムが発生することとなる。
【0096】
それ故に、設定最高印刷速度が121cpm以上での印刷速度で印刷中に予め設定されているリミット電流値(この実施例では6A)になった場合は、ジャムが発生して孔版印刷装置100が停止する虞があることから、直ちに、制御装置90がメインモータ50での保証最高印刷速度120cpmで印刷を行うようにメインモータ50に指令を送ると共に、保証最高印刷速度120cpmに応じた用紙Pの給紙速度およびレジスト送り出し速度となるように給紙モータ35およびレジストモータ38に指令を送る。これにより、用紙Pのジャムおよび印刷画像位置ズレを解消することができる。
【0097】
あるいは、上記したようにリミット電流値になった場合において、ジャムが発生して孔版印刷装置100が停止してしまったときには、ジャム処理後、印刷スタートキー82を押したときは直ちに、制御装置90がメインモータ50での保証最高印刷速度120cpmで印刷を行うようにメインモータ50に指令を送ると共に、保証最高印刷速度120cpmに応じた用紙Pの給紙速度およびレジスト送り出し速度となるように給紙モータ35およびレジストモータ38に指令を送る。これにより、用紙Pのジャムの発生を最低限に抑えて、印刷画像位置ズレを解消することができる。
【0098】
メインモータ50の速度検出の別の方式として、メインモータ50内のエンコーダ51からのパルス信号を制御装置90内で周波数変換し出力したデータ、すなわちFG信号波形78で判断する方式がある。図8において符号Gで示すモータ電流波形77に対応した図9や図10のモータ電流波形77が鈍って、なだらかな山形状ないし台地形状になると、実印刷速度が設定印刷速度に達せず、用紙Pのジャムが発生したり、印刷画像位置精度が悪化することは上述したとおりである。
ここでは、図7を参照して版胴1の回転速度ムラに対するジャム率(用紙Pのジャムの発生率)を測定した実験結果について述べる。図7において、横軸には実印刷速度/設定印刷速度=版胴1の回転速度ムラを取っており、この回転速度ムラについては、実印刷速度が設定印刷速度よりも遅い場合を−の符号で、速い場合を+の符号でそれぞれ表している。図7では、設定印刷速度が120cpmの場合についてプロットしているが、他の設定印刷速度130,135,150cpmについても同様の傾向にあることが実験結果より判明している。
【0099】
図7を含めた実験結果から、各設定印刷速度に対して回転速度ムラが±2.5%になると約90%のジャム率となることが判明している。参考までに、FG信号波形78については、図9の設定印刷速度:135cpmでは回転速度ムラが−1%であり、図10の設定印刷速度:150cpmでは回転速度ムラが−5%である状態を表している。
【0100】
それ故に、設定最高印刷速度が121cpm以上での印刷速度で印刷中に予め設定されている回転速度ムラが設定印刷速度の±2.5%以上になった場合は、約90%の確率でジャムが発生して孔版印刷装置100が停止する虞があることから、直ちに、制御装置90がメインモータ50での保証最高印刷速度120cpmで印刷を行うようにメインモータ50に指令を送ると共に、保証最高印刷速度120cpmに応じた用紙Pの給紙速度およびレジスト送り出し速度となるように給紙モータ35およびレジストモータ38に指令を送る。これにより、用紙Pのジャムおよび印刷画像位置ズレを解消することができる。
【0101】
上述した2方式は、設定最高印刷速度が121cpm以上での印刷速度条件で印刷の際における、用紙Pのジャムおよび印刷画像位置ズレの発生の原因であるメインモータ50の回転速度を確保することができない状態を、メインモータ電流値68を用いたり、版胴1の回転速度ムラを表すエンコーダ51からのFG信号波形78を用いたりして検出し、メインモータ50での保証最高印刷速度120cpmに変更する制御方式についてのものであった。
【0102】
次に、上述した2方式以外の方式で、回転速度ムラによる用紙Pのジャムおよび印刷画像位置ズレを解消する方法について説明する。
一番簡単な方法としては、設定最高印刷速度が121cpm以上の条件で印刷中ジャムが多くなったら、メインモータ50での保証最高印刷速度120cpmに印刷速度を変更する方法がある。
【0103】
印刷中のジャムを検出する手段としては、上述した排紙センサ62および巻き下がりセンサ64がある。版胴1と圧胴8とのニップ部にてインキが転写された印刷済みの用紙Pは、上述した排紙動作のとおり、圧胴8がさらに回転して剥離爪20の手前で用紙クランパ19が所定のタイミングで開くことにより、剥離爪20により剥離されて剥離爪20に載った状態にて受け渡され、排紙搬送装置21送られる。通常は、上記したように印刷済みの用紙Pを圧胴8の外周面から確実に剥離爪20で剥離できるのであるが、上記したように版胴1の回転速度ムラ(同時に圧胴8の回転速度ムラでもある)により、用紙Pの先端部が用紙クランパ19で確実にクランプされなかったり、画像にベタが多い場合にはインキの粘着力が増加することによって版胴1上に印刷済みの用紙Pが貼り付く巻き上がりが発生したり、またうまく剥離されずにそのまま圧胴8に貼り付いたまま圧胴8の下側に搬送される巻き下がりとなる不具合現象がある。どちらの不具合現象でも、印刷済みの用紙Pが排紙センサ62を通過しないので、同排紙センサ62でジャムを検出することができる。
【0104】
但し、印刷済みの用紙Pが巻き上がる場合と巻き下がる場合との区別を確実に行うために巻き下がりセンサ64を設けている。また、用紙Pのジャムには、上記した巻き上がり・巻き下がりの他に、湿気が多くその先端部がウエーブした用紙Pの場合ではその用紙Pがウエーブしているため一部が剥離爪20にうまくのらず剥離爪20に刺されてしまう、いわゆる刺さりジャム等もある。この場合も、印刷済みの用紙Pが排紙センサ62を通過しないので、ジャムの検出が可能である。
【0105】
このように、用紙Pのジャムには、版胴1の回転速度ムラによって圧胴8における用紙Pのクランプ不十分による巻き上がりジャムの他にも、別のジャムがあるので、一概に、設定最高印刷速度が121cpm以上での印刷速度条件でジャムが印刷中に1回でも発生したからといって、すぐにメインモータ50での保証最高印刷速度120cpmに印刷速度を変更する制御では回転速度ムラが原因であるジャムと限定するのは難しい。
【0106】
そこで、設定最高印刷速度が121cpm以上に設定されているとき、ユーザが操作パネル80のジャム率設定キー88で抑えたいジャム率を入力・設定し、その入力値以上のジャム率になった場合、そのジャム処理後、印刷スタートキー82を押したときには直ちに、制御装置90がメインモータ50での保証最高印刷速度120cpmで印刷を行うようにメインモータ50に指令を送ると共に、保証最高印刷速度120cpmに応じた用紙Pの給紙速度およびレジスト送り出し速度となるように給紙モータ35およびレジストモータ38に指令を送ることによって、用紙Pのジャムおよび印刷画像位置ズレを解消することができるとともに、版胴1の回転速度ムラ以外の原因でのジャムによる誤診の回避が可能となる。
ちなみに、初期のジャム率の設定は、0.2(2/10)がよい。たまたま版胴1の回転速度ムラ以外の原因でジャムが発生した場合は、そのジャム処理後にはジャムが発生しなくなるが、版胴1の回転速度ムラが原因の場合では、図7において回転速度ムラによるジャムは回転速度ムラ:±2.5%でジャム率:約90%と高い発生率にあることから、そのジャム処理後にすぐジャムする確率は高いので、ジャム率を20%、すなわち0.2(2/10)のジャム率に初期設定することは他の原因でのジャム検知の誤診を防止し、かつ、回転速度ムラによるジャム検知が正確にできることとなる。
【0107】
図5を見て分かるように、インキの粘度は、環境の変化としての特にインキの温度変化に敏感であり、版胴1の回転負荷を増大させることから、図5においてインキ温度が10℃以下の場合では設定印刷速度135cpm以上にて印刷速度が確保できないことを確認できる。インキの粘度に影響を与える副次的な要因(パラメータ)としては、上記インキの温度以外に、インキの色等のインキ種類による顔料成分の差異および湿度等が挙げられる。
【0108】
また、図6において、インキ温度:10℃時(このときの相対湿度20%)で実印刷速度:120cpmの場合に印刷画像濃度が最低濃度になるように版胴1の構成を設定しており、それ以下のインキ転移量になると印刷画像がかすれることを実験で確認している。これにより、インキ温度が10℃以下で、かつ、設定最高印刷速度が121cpm以上に設定されている場合、インキ温度:10℃で実印刷速度:120cpmのインキ転移量以下になるため、印刷画像濃度が規定値外となって印刷画像のかすれが発生することが実験により確認されている。
【0109】
つまり、インキ温度:10℃を境界に回転速度ムラは発生しやすくなり、かつ、印刷画像濃度も低下することから、インキの温度または外気の温度を検出することで、設定最高印刷速度が121cpm以上でかつインキ温度または外気温度が10℃以下の場合、印刷スタートキー82を押したときは直ちに、インキの温度または外気の温度を検出し、制御装置90がメインモータ50での保証最高印刷速度120cpmで印刷を行うようにメインモータ50に指令を送ると共に、保証最高印刷速度120cpmに応じた用紙Pの給紙速度およびレジスト送り出し速度となるように給紙モータ35およびレジストモータ38に指令を送る。これにより、用紙Pのジャムおよび印刷画像位置ズレを解消することができると共に、印刷画像濃度低下による印刷画像のかすれを防止することができる。
(実施形態2)
この実施形態2は、実施形態1および実施例と比較して、図4に示されている実施形態1の制御構成におけるインキ温度センサ70および外気温度センサ72を除去しこれに代えて、インキの粘度を検出するインキ粘度検出手段としてのインキ粘度測定装置74を有すること、および制御装置90に代えて、制御装置90と略同様のマイクロコンピュータを具備する制御装置90Aを有することが主に相違する。
【0110】
インキの粘度については、一般的に、インキの粘度が低い程インキが軟らかくて流動性が高いから、マスタ3の穿孔部分を通過して用紙Pに転移するインキの量が多くなり、それ故に版胴1の駆動負荷が小さくなると共に、印刷画像濃度が濃くなる。これと反対に、一般的に、インキの粘度が高い程インキが硬く流動性が低いから、マスタ3の穿孔部分を通過して用紙Pに転移するインキの量が少なくなり、それ故に版胴1の駆動負荷が大きくなると共に、印刷画像濃度が淡くなる。
上述した点に着目して、本実施形態2では、実施形態1の制御構成においてインキの粘度をいわば間接的に検出するインキ温度センサ70および外気温度センサ72を除去しこれに代えて、インキの粘度そのものをいわば直接的に検出・測定するインキ粘度測定装置74を設けた。
【0111】
インキ粘度測定装置74の具体例としては、例えば、本願出願人が提案した特開平10−44577号公報の図1および図5ないし図7等に示されているインキの粘度を検出するためのインキ粘度検出ローラ(16)およびインキ粘度検出モータ(17)等を具備したインキ粘度検出手段(21)や図1、図16および図17等に示されているインキ粘度検出手段(21A)、あるいは図1、図7、図14および図19等に示されているインキ粘度検出手段(21B)が好ましく用いられる。なお、インキの粘度の検出・測定箇所は、上記公報の段落番号(0080)にも記載されている理由から、本実施形態2では、図1においてインキがドクターローラ5によりインキローラ6外周面上で一定の厚さのインキ層に計量された後に、インキ粘度検出ローラ(16,16X)により版胴1(印刷ドラム101)内周面にできるだけ近い部分のインキであるインキローラ6の外周面上のインキ層のインキの粘度を検出・測定する構成とした。検出したインキの粘度に係る信号は、最終的に図示しないA/D変換器でデジタル量に変換されて図示しない入力ポート等を介して制御装置90Aの上記CPUに送信・入力される。
【0112】
制御装置90Aは、実施形態1の制御装置90と比較して、制御装置90の第2の制御機能に代えて、次の制御機能を有することのみ相違する。
すなわち、制御装置90Aは、印刷速度設定キー86により設定された設定最高印刷速度が121枚/分以上であり、かつ、プローブ67、エンコーダ51、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64、インキ粘度測定装置74の少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったときに、120枚/分の保証最高印刷速度に自動的に変えるべくメインモータ50を制御する制御手段としての機能を有する。
【0113】
ここで、「プローブ67、エンコーダ51、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64、インキ粘度測定装置74の少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったとき」とは、以下の状態のときを意味する。
すなわち、第1に、プローブ67からのメイン電流値がメインモータ50の限界電流値(リミット電流値)以上になったとき、第2に、エンコーダ51からの回転速度ムラが印刷速度設定キー86により設定された設定印刷速度に対して予め設定された範囲である設定印刷速度の±2.5%を外れたとき、第3に、排紙センサ62および巻き下がりセンサ64からのジャムが予め設定されたジャム率である0.2(2/10)以上になったとき、第4に、インキ粘度測定装置74からのインキの粘度が予め設定されたインキ粘度(ここでは具体的数値は省略する)よりも高くなったとき、の第1から第4までのうちの少なくとも一つの条件を満足したときをいう。
【0114】
制御装置90A内の上記ROMには、上記CPUが上記した制御を行うために必要な関係データが予め記憶されている。制御装置90A内の上記RAMは、上記CPUでの計算結果を一時記憶したり、メイン電流値68、エンコーダ51からの回転速度ムラに係る検出データ、各センサ62,64やインキ粘度測定装置74からの各出力信号等を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。
制御装置90Aによる詳細な制御動作は、実施形態1に基づいて容易に理解し実施できるので、これ以上の説明は省略する。
【0115】
実施形態2においては、図11の制御構成に対して、実施形態1の制御構成におけるインキ温度センサ70および外気温度センサ72を付加して構成することもできる。この場合、インキ温度センサ70や外気温度センサ72は、インキの粘度をいわば間接的に検出するための手段とみなしたので、実施形態2ではこれらの検出手段を除去したのであるが、インキ温度センサ70や外気温度センサ72は、例えば特許第2756219号(特開平6−320851号公報)や特開平7−241974号公報等で開示されているように、感熱式の製版装置や感熱式の製版印刷装置においてサーマルヘッドの駆動制御に用いられることから、図11の制御構成に付加して利用するようにしても構わない(請求項11参照)。
これと同様に、実施形態1の制御構成に対して、インキ粘度測定装置74を付加して構成してもよい(請求項11参照)。
【0116】
また、本発明の実施形態は、実施形態1や2の制御構成に限定されず、プローブ67より出力されたメインモータ電流値68、エンコーダ51、排紙センサ62、巻き下がりセンサ64、インキ温度センサ70、外気温度センサ72、インキ粘度測定装置74の何れか一つのみを有し、それからの検出情報値が予め設定された値になったときに、120枚/分の保証最高印刷速度に自動的に変えるべくメインモータ50を制御する制御手段としての制御装置として構成してもよい(請求項1ないし請求項10参照)。
【0117】
実施形態1および2によれば、現在の孔版印刷装置が適宜具備している構成(ハードウエア)をほとんどそのまま利用してメインモータ50のモータドライバを制御するソフトウエアの一部を変更するだけで、上記利点や後述する効果を得られるから、簡素な制御構成で安価にできる印刷装置を提供できる。加えて、上記利点の他に、ユーザの必要に応じて現在の最高印刷速度(通常120cpm)を超える高速印刷(例えば150cpm)を行うことができるので、現状のメインモータ50をパワーアップすることなくユーザの要望に応えることもできる。
実施形態1および2では、押圧手段として圧胴8を用いた例で説明したことから、用紙Pのジャムを防止すると共に印刷画像位置精度の向上を図ることができるという特有の利点・効果を奏するものであったが、押圧手段としてプレスローラ等を用いた場合でも、高速印刷(例えば150cpm)での印刷画像濃度低下を防止するという点から、ある程度上記利点を得ることができると共に、ユーザからの高速印刷化の要望に応えることも勿論できる。
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明は上述した実施形態等に限定されるものではなく、上記各実施形態等を適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0118】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な印刷装置を提供することができる。請求項毎の効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、電流値検出手段からの電流値が電動モータの限界電流値以上になったときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、例えば温度等の印刷装置使用環境条件の変動やインキの種類の差異や版胴の組付け誤差等による駆動負荷のバラツキ等による現状の電動モータでの回転速度ムラを防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止することができると共に、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができ、しかも簡素な制御構成で安価に提供できる。
【0119】
請求項2、3および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、速度ムラ検出手段からの回転速度ムラが印刷速度設定手段により設定された設定印刷速度に対して予め設定された範囲(例えば設定印刷速度の±2.5%)を外れたときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、例えば温度等の印刷装置使用環境条件の変動やインキの種類の差違や版胴の組付け誤差等による駆動負荷のバラツキ等による現状の電動モータでの回転速度ムラを防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止することができると共に、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができ、しかも簡素な制御構成で安価に提供できる。
【0120】
請求項4、5および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、ジャム検出手段からのジャムが予め設定されたジャム率(例えば0.2)以上になったときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、現状の電動モータでの回転速度ムラ以外における印刷用紙のジャムによる誤検知を防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止することができると共に、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができ、しかも簡素な制御構成で安価に提供できる。
【0121】
請求項6、7および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、インキ温度検出手段からのインキの温度が予め設定されたインキ温度(例えば10℃)以下になったときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、現状の電動モータでの回転速度ムラを防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止することができると共に、高速印刷時での印刷画像濃度低下を防止することができ、これにより印刷画像かすれを防止することができる。また、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができて、しかも簡素な制御構成で安価に提供できる。
【0122】
請求項8、9および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、外気温度検出手段からの外気の温度が予め設定された外気温度(例えば10℃)以下になったときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、現状の電動モータでの回転速度ムラを防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止することができると共に、高速印刷時での印刷画像濃度低下を防止することができ、これにより印刷画像かすれを防止することができる。また、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができて、しかも簡素な制御構成で安価に提供できる。
【0123】
請求項10および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、インキ粘度検出手段からのインキ粘度が予め設定されたインキ粘度の大きさ以上になったときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、インキ粘度が大きく(高く)なったときによる駆動負荷のバラツキ等による現状の電動モータでの回転速度ムラを防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止することができると共に、高速印刷時での印刷画像濃度低下を防止することができ、これにより印刷画像かすれを防止することができる。また、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができて、しかも簡素な制御構成で安価に提供できる。
【0124】
請求項11および14記載の発明によれば、制御手段は、設定最高印刷速度が所定値N+1枚/分(例えば121枚/分)以上であり、かつ、電動モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段、版胴および押圧手段のうちの少なくとも版胴の駆動系に設けられ版胴の回転速度ムラを検出する速度ムラ検出手段、印刷用紙のジャムを検出するジャム検出手段、インキの温度を検出するインキ温度検出手段、外気の温度を検出する外気温度検出手段およびインキの粘度を検出するインキ粘度検出手段のうちの少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったときに、所定値N枚/分(例えば120枚/分)の保証最高印刷速度に変えるので、例えば温度等の印刷装置使用環境条件の変動やインキの種類の差違や版胴の組付け誤差等による駆動負荷のバラツキ等による現状の電動モータでの回転速度ムラを防止して、あるいは現状の電動モータでの回転速度ムラ以外における印刷用紙のジャムによる誤検知を防止して、印刷用紙のジャムおよび印刷画像位置ズレを防止したり、あるいは高速印刷時での印刷画像濃度低下を防止することができることにより印刷画像かすれを防止することができると共に、現状の電動モータをパワーアップすることなく、ユーザからの高速印刷化の要望に対して応えることができ、しかも従来の印刷装置に具備されている検出手段を適宜共用することによって安価に提供できる。
【0125】
請求項12記載の発明によれば、制御手段は、所定値N枚/分の保証最高印刷速度に自動的に変えるので、上記各発明の効果に加えて、例えばユーザがスイッチ等で制御手段に対して制御の起動指令を与えなくてもよいから、操作性の向上を図れる。
【0126】
請求項13記載の発明によれば、印刷速度を検出するための印刷速度検出手段を有することにより、実印刷速度を検出することが可能となって上記各発明の効果を奏する。
【0127】
請求項15記載の発明によれば、マスタを製版する製版手段を備えた製版装置を有することにより、マスタの製版から印刷動作に至るまで連続的に行うことが可能となるので、上記各発明の効果に加えて、印刷装置の効率および操作性等が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す孔版印刷装置の一部断面正面図である。
【図2】実施形態1における版胴駆動系の概略的な正面図である。
【図3】実施形態1における操作パネルの要部の平面図である。
【図4】実施形態1における制御構成を表すブロック図である。
【図5】実施形態1の実施例における各環境での設定印刷速度と実印刷速度との関係を表したグラフである。
【図6】実施形態1の実施例におけるインキ温度または外気温度をパラメータとした実印刷速度毎のインキ転移量のグラフである。
【図7】実施形態1の実施例における版胴の回転速度ムラとジャム率との関係を表したグラフである。
【図8】実施形態1の実施例におけるホームポジション信号波形、モータ電流波形およびFG信号波形をオシロスコープに描かせた波形図である。
【図9】実施形態1の実施例におけるホームポジション信号波形、モータ電流波形およびFG信号波形をオシロスコープに描かせた波形図である。
【図10】実施形態1の実施例におけるホームポジション信号波形、モータ電流波形およびFG信号波形をオシロスコープに描かせた波形図である。
【図11】実施形態2における制御構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 版胴
3 マスタ
8 押圧手段としての圧胴
19 保持手段としての用紙クランパ
29 給紙装置
35 給紙駆動手段としての給紙モータ
38 レジスト駆動手段としてのレジストモータ
40 製版装置
41 製版手段としてのサーマルヘッド
49 版胴駆動系
50 電動モータとしてのメインモータ
51 速度ムラ検出手段および印刷速度検出手段としてのエンコーダ
62 ジャム検出手段としての排紙センサ
64 ジャム検出手段としての巻き下がりセンサ
67 電流値検出手段としてのプローブ67
68 メインモータ電流値
70 インキ温度検出手段としてのインキ温度センサ
72 外気温度検出手段としての外気温度センサ
74 インキ粘度検出手段としてのインキ粘度測定装置
86 印刷速度設定手段としての印刷速度設定キー
90,90A 制御手段としての制御装置
100 印刷装置の一例としての孔版印刷装置
P 用紙(印刷用紙)

Claims (15)

  1. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    上記電動モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記電流値検出手段からの電流値が上記電動モータの限界電流値以上になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  2. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    上記版胴および上記押圧手段のうちの少なくとも版胴の駆動系に設けられ上記版胴の回転速度ムラを検出する速度ムラ検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記速度ムラ検出手段からの回転速度ムラが上記印刷速度設定手段により設定された設定印刷速度に対して予め設定された範囲を外れたときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2記載の印刷装置において、
    上記範囲が、上記設定印刷速度の±2.5%であることを特徴とする印刷装置。
  4. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    印刷用紙の搬送ジャムを検出するジャム検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記ジャム検出手段からの搬送ジャムが予め設定されたジャム率になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項4記載の印刷装置において、
    上記ジャム率が、0.2(2/10)以上であることを特徴とする印刷装置。
  6. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    インキの温度を検出するインキ温度検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記インキ温度検出手段からのインキの温度が予め設定されたインキ温度以下になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項6記載の印刷装置において、
    上記インキ温度が、10℃であることを特徴とする印刷装置。
  8. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    外気の温度を検出する外気温度検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記外気温度検出手段からの外気の温度が予め設定された外気温度以下になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項8記載の印刷装置において、
    上記外気温度が、10℃であることを特徴とする印刷装置。
  10. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    インキの粘度を検出するインキ粘度検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記インキ粘度検出手段からのインキ粘度が予め設定されたインキ粘度の大きさ以上になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  11. 製版されたマスタを巻装する版胴と、該版胴に対して給送されて来た印刷用紙を押し付ける押圧手段と、上記版胴および該押圧手段のうちの少なくとも版胴を回転駆動する電動モータと、印刷速度を選択的に設定する印刷速度設定手段とを具備し、上記版胴上のマスタにインキを供給しながら、上記押圧手段により上記版胴に対して印刷用紙を押し付けて印刷画像を印刷用紙上に形成する印刷装置において、
    予め設定した負荷条件下における上記電動モータでの保証最高印刷速度が、所定値N枚/分であり、上記印刷速度設定手段により設定可能な設定最高印刷速度が、上記所定値N+1枚/分以上に設定されており、
    上記電動モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段、上記版胴および上記押圧手段のうちの少なくとも版胴の駆動系に設けられ上記版胴の回転速度ムラを検出する速度ムラ検出手段、印刷用紙の搬送ジャムを検出するジャム検出手段、インキの温度を検出するインキ温度検出手段、外気の温度を検出する外気温度検出手段およびインキの粘度を検出するインキ粘度検出手段のうちの少なくとも一つの検出手段と、
    上記設定最高印刷速度が上記所定値N+1枚/分以上であり、かつ、上記少なくとも一つの検出手段からの検出情報値が予め設定された値になったときに、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に変える制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷装置。
  12. 請求項1ないし11の何れか一つに記載の印刷装置において、
    上記制御手段は、上記所定値N枚/分の上記保証最高印刷速度に自動的に変えることを特徴とする印刷装置。
  13. 請求項1ないし12の何れか一つに記載の印刷装置において、
    上記印刷速度を検出するための印刷速度検出手段を有することを特徴とする印刷装置。
  14. 請求項1ないし13の何れか一つに記載の印刷装置において、
    上記所定値N枚/分が、120枚/分であることを特徴とする印刷装置。
  15. 請求項1ないし14の何れか一つに記載の印刷装置において、
    マスタを製版する製版手段を備えた製版装置を有することを特徴とする印刷装置。
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