以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。本実施形態において同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。
図1を参照して、本発明を適用した印刷装置である両面印刷装置の一例としての両面孔版印刷装置200の全体構成について説明する。両面孔版印刷装置200は、図1に示すように、図1の左側上方に配置されロール状に巻かれたマスタ8を製版する製版部15と、図1における略中央部に配置され製版されたマスタ8(以下、「製版済みマスタ8」という)を外周面に巻装する版胴1およびこの版胴1の外周面に対して接離自在であり該版胴1上の製版済みマスタ8にシートとしての用紙36を押し付ける押圧体としてのプレスローラ21等を有する印刷部16と、版胴1を挟んで製版部15に対向して配置され版胴1上の使用済みマスタ8を剥離・排版する排版部17と、この排版部17の下方に配置され給紙台としての給紙トレイ35上の用紙36を印刷部16に向けて給送する給紙部30と、この給紙部30に対向して製版部15の下方に配置され印刷された用紙36を版胴1から剥離して排紙台としての排紙トレイ172に排出する排紙部19とを具備している。
また、両面孔版印刷装置200は、印刷部16においてその一方の面である表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙36を、その他方の面である裏面にも印刷を行うために再度印刷部16に搬送する再給紙手段201と、表面印刷済み用紙36を再給紙手段201に導くガイド手段としての剥離ガイド46と、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36がプレスローラ21との間に進入することを禁止するようにプレスローラ21に当接している当接部材としての固定ガイド202と、排紙部19の一部を構成する排紙搬送手段47とを有している。
再給紙手段201は、表面印刷済み用紙36を一時的に載置され貯容する再給紙貯容手段としての下部搬送装置たる再給紙トレイである用紙受け45と、表面印刷済み用紙36を用紙受け45に搬送する用紙保持手段60と、用紙受け45に貯容された表面印刷済み用紙36を印刷部16に向けて再給紙する再給送手段49とを有している。
また、両面孔版印刷装置200は、図示しないが、版胴1、製版部15および排版部17が配設された印刷装置本体上部に配置され原稿等の画像を読み取る画像読取部と、両面孔版印刷装置200の動作全般を制御する制御手段としての制御装置と、制御装置に対して所定の情報を入力するなど両面孔版印刷装置200に対して所定の操作を行うための入力手段としての操作パネルとを具備している。
製版部15は、マスタ8に製版を行い、図2に示すように、版胴1の回転方向(用紙搬送方向X、マスタ搬送方向X1に沿う方向である)に沿って表面印刷用の第1の製版画像8A(以下、「表面製版画像8A」と言い替える)と裏面印刷用の第2の製版画像8B(以下、「裏面製版画像8B」と言い替える)とを有する分割製版済みマスタ8X、あるいは同図に示すように、版胴1の回転方向に沿って表面製版画像8Aと裏面製版画像8Bとの2面分の画像量域を有する第3の製版画像8YA(以下、「片面製版画像8YA」と言い替える)を有する製版済みマスタ8Yを作製する機能・構成を有する。表面製版画像8Aは、分割製版済みマスタ8Xが版胴1の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域1Aと対応する位置に形成され、裏面製版画像8Bは同裏面領域1Bと対応する位置に形成される。
図1、図2等において、製版済みマスタ8Yには括弧を付して示すことにより、分割製版済みマスタ8Xと区別する。図2において、製版済みマスタ8Yに形成された片面製版画像8YAの領域範囲を二点鎖線で示し、マスタ搬送方向X1の同領域範囲の境界線が表面製版画像8Aおよび裏面製版画像8Bの実線と重なるため、その領域範囲を少し大きめに図示しているが、片面製版画像8YAの領域範囲は、表面製版画像8A、裏面製版画像8Bおよびこれらの中間に位置する未製版の空白領域である中間未製版領域8Cを合わせた全範囲である。なお、図2においては、表面製版画像8A、裏面製版画像8B、中間未製版領域8C、片面製版画像8YAは、スケールアウトして描かれており、特に中間未製版領域8Cは誇張拡大して描いてある。
図1に示すように、製版部15は、マスタ8をマスタ搬送方向X1に繰り出し可能に支持するマスタ支持手段としてのマスタ支持部材8cと、繰り出されたマスタ8を画像情報に応じて加熱製版するサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11にマスタ8を押圧しながらマスタ搬送方向X1下流側にマスタ8を回転しながら搬送するマスタ搬送手段としてのプラテンローラ9と、プラテンローラ9により搬送されて来たマスタ8を適度の張力を付与しながらさらにマスタ搬送方向X1下流側に搬送するマスタ搬送手段としての搬送ローラ対13と、プラテンローラ9と搬送ローラ対13との間に配設され製版済みマスタ8または未製版のマスタ8を所定の長さに切断するカッタ12と、プラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されてきたマスタ8の先端を後述するように版胴1上の拡開したクランパ7に案内するマスタガイド板14等とを具備する。
マスタ8は、連続シート状をなし、合成樹脂製のロール芯8bに巻き付けられてマスタロール8aが形成される。ロール芯8bは、マスタロール8aの両端面から突出していてマスタ8の幅よりも長く形成されている。マスタロール8aは、両端側のロール芯8bがマスタ支持部材8cにより反時計回りに回転自在に支持されていて、マスタ支持部材8cに対して着脱自在となっている。マスタ支持部材8cの両端側は、製版部15におけるマスタ搬送方向X1に沿ってその左右両側に配設されている図示しない製版側板対に取り付け固定されている。したがって、マスタ8は、マスタ支持部材8cによって、マスタロール8aからマスタ搬送方向X1に繰り出し可能に支持されている。
マスタ8は、例えば厚さが1〜2μmの熱可塑性樹脂フィルムと、合成繊維等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造をなす。なお、マスタは、これに限らず、例えば和紙繊維、あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを貼り合わせたものや、いわゆる実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ等も用いられる。
サーマルヘッド11は、プラテンローラ9のプラテンローラ軸と図1の紙面の手前側および奥側に平行に延在して設けられていて、図示しないカムおよびバネ部材等を備えた接離機構により、マスタ8を介してプラテンローラ9に接離自在となっている。サーマルヘッド11は、上記バネ部材によりプラテンローラ9に接触する向きに付勢されている。サーマルヘッド11の主走査方向には、プラテンローラ9にマスタ8を介して当接する部位に多数の発熱素子(図示せず)が配設されている。サーマルヘッド11は、共に図示しないA/D変換部および画像信号処理部等を経て、製版制御装置およびサーマルヘッド駆動回路(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像信号に基づき上記発熱素子を選択的に加熱することにより、マスタ8を選択的に加熱溶融穿孔・製版する製版手段としての周知の機能を有する。
プラテンローラ9は、金属製の芯金を介してプラテンローラ軸と一体的に形成されている。プラテンローラ9は、プラテンローラ軸の両端部が上記製版側板対に回転可能に支持されていることにより、時計回りに回転自在となっている。プラテンローラ9は、タイミングベルトやギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ搬送駆動手段としてのマスタ搬送モータ10に連結され、これにより時計回りに回転駆動される。マスタ搬送モータ10は、例えばステッピングモータからなる。上記構成のとおり、プラテンローラ9がマスタ搬送モータ10により時計回りに回転駆動されることにより、マスタ8はマスタロール8aから引き出されることとなる。
搬送ローラ対13は、バネ等の付勢手段により適度な押圧力を与えられて互いに圧接して設けられていて、各ローラ軸の両端部が上記製版側板対に回転自在に支持されていることにより互いに反対方向に回転自在となっている。搬送ローラ対13は、マスタ搬送モータ10を含む上記回転伝達部材によって、プラテンローラ9の周速度(搬送速度)よりもわずかに速い周速度(搬送速度)で回転するように設定されていて、マスタ8との間で滑りながら適度のフロントテンションをマスタ8に付与するようになっている。
カッタ12は、固定刃12bおよび可動刃12aを備えたギロチンタイプの公知のものである。カッタ12は、上記ギロチンタイプに限らず、可動刃がマスタ搬送方向X1と直行するマスタ幅方向に回転しながら移動する回転刃移動タイプのものを用いてもよい。
版胴1は、多孔性で円筒状の支持円筒体と、その支持円筒体の外周を覆うように複数層巻き付けられた樹脂あるいは金属網体製の図示しないメッシュスクリーンとの2層構造からなる。版胴1は、インキ通過性の多数の開孔が開けられた印刷可能な開口部1a(以下、「画像形成領域」というときがある)と、クランパ7等が設けられていて非印刷可能な非開口部(以下、「非画像形成領域」というときがある)とが、図1中矢印で示す版胴1の回転方向に沿って形成されている。上記画像形成領域は、図1中の版胴1における第1の画像領域1A(以下、「表面領域1A」という)と、中間領域1Cと、第2の画像領域1B(以下、「裏面領域1B」という)とを少なくとも含む領域である。
版胴1は、図示しない端板フランジの外周部に巻着・固設されていて、後述するインキパイプ5を兼ねる支軸5の周りに回転自在に支持されている。版胴1の大きさは、片面印刷時において最大でA3サイズの用紙36に印刷を行ってA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさ、すなわちA3サイズの1版のマスタ8を巻装可能な大きさを有しており、その外周直径が180mm(版胴1の外周長としては約565mm)に、その幅方向(回転中心軸線方向)の寸法が350mmに設定されている。
版胴1は、図示しないギヤやベルト等の駆動伝達手段を介して版胴駆動手段としてのメインモータ20に連結されていて、メインモータ20により図1中矢印方向(時計回り)に回転駆動される。メインモータ20としては、例えば制御用のDCモータが使用されている。メインモータ20の出力軸には、図示しない光学式のロータリエンコーダとこれを挟み付けて該ロータリエンコーダとの協働作用によりパルスを発生する図示しない版胴センサが設けられている。この版胴センサは、透過型の光学センサからなり、版胴1の回転速度(印刷速度)の制御や回転位置の割り出し等のために用いられる。
版胴1の内部には、図示しない側板に回転自在に支持されていて、図示しないギヤ等の駆動伝達手段によりメインモータ20の回転駆動力が伝達されて版胴1と同期して図中矢印方向(時計回り)に回転駆動され、版胴1の内周面に接触してインキを供給するインキローラ2と、インキローラ2とわずかな間隙を置いて平行に配置されインキローラ2との間に断面楔状のインキ溜まり4を形成するドクタローラ3と、インキ溜まり4へインキを供給するインキパイプ5とが配置されている。インキローラ2、ドクタローラ3およびインキパイプ5がインキ供給手段を構成しており、本形態では該インキ供給手段は単一のものとなっている。インキ溜まり4のインキは、版胴1の外部に設けられた図示しないインキパック等より図示しないインキポンプで吸引され、インキパイプ5の供給孔より供給されて混練される。インキ溜まり4のインキは、ドクタローラ3により計量されながらインキローラ2の外周面上に薄膜状に供給され、さらにインキローラ2の外周面が版胴1の上記支持円筒体内周面に接触することにより版胴1の開口部1a部分に供給される。
版胴1の上記非開口部外周面上の一部分には、版胴1の一つの母線に沿って設けられた強磁性体製のステージ6と、このステージ6の両側端に設けられたクランパ軸に回動自在に取り付けられ、ステージ6の平面部に対して開閉自在なゴム磁石を有するクランパ7とがそれぞれ設けられている。クランパ7は、本体フレーム側に設けられた図示しない開閉装置により所定位置において開閉される。版胴1は、クランパ7が図1に示す略真上に位置する状態、すなわち給版待機位置において停止されるようになっている。版胴1は、上記インキパックや上記インキポンプ等と一体的になされた版胴ユニットとして構成されており、両面孔版印刷装置200の本体フレームに対してインキパイプ5の軸線方向に挿脱自在になっている。
図1において紙面奥側の版胴1の端板フランジおよびこの端板フランジ近傍の本体フレーム側には、版胴1の回転位置を検出することにより給紙部30の給紙モータ37およびレジストモータ41への起動(スタート)・トリガ情報を与える構成要素が配設されている。すなわち、版胴1における奥側の上記端板フランジの外側壁には、図示しない給紙開始用遮光板とレジスト開始用遮光板とが版胴1の同円周上に所定の間隔をおいてそれぞれ所定の位置に取り付けられており、これら遮光板近傍の本体フレーム側には、図示しない給紙レジストセンサが取り付けられている。
本形態では、版胴1のホームポジション(初期位置)は、そのクランパ7が略真上に位置して製版部15から搬送されてくる分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yの先端部を受け取り保持する位置である給版待機位置と同様の位置に設定されている。版胴1における奥側の上記端板フランジ外側壁の所定位置には、版胴1のホームポジションを検出するための図示しないホームポジション用遮光板が取り付けられている。該ホームポジション用遮光板近傍の本体フレーム側には、版胴1の上記ホームポジション用遮光板に対向してこれを挟む態様で、ホームポジションセンサ(図示せず)が取り付けられている。該ホームポジションセンサは、透過型の光学センサである。上記版胴センサ、給紙レジストセンサおよび上記ホームポジションセンサは、版胴1の回転位置を検出する版胴位置検知手段としての版胴位置検知センサを構成している。
再給送手段49は、表面印刷済み用紙36をその外周表面に保持して版胴1に回転搬送するプレスローラ21と、再給紙レジストローラ51と、ローラガイド板50と、ストッパ203と、図示しない表面印刷済み用紙検知手段としての再給紙センサとから主に構成されている。
プレスローラ21は、インキローラ2に対向する版胴1の外周面の下方近傍に配設されている。プレスローラ21は、金属製のプレスローラ軸21aに弾性体を一体的に固着して構成されており、版胴1の軸方向に延在して設けられている。プレスローラ21は、その横幅が版胴1の開孔部1aを覆うマスタ8と同程度か、それよりもやや幅が広い長さとなるように形成されている。プレスローラ21は、プレスローラ軸21aの両端部を介して、紙面の手前側および奥側に配設された押圧手段支持部材としての一対の印圧アーム22(紙面の手前側は省略されている)によって回転自在に支持されている。
各印圧アーム22は、アーム軸22aおよび図示しない連結補強部材によってそれぞれ一体化されている。アーム軸22aは、本体フレーム側に固設された一対の図示しない筐体側板の間に図示しない軸受を介して所定角度回動自在に支持されている。
プレスローラ21は、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、オフセット印刷装置等で印刷物の汚れ防止等に用いられているガラスビーズ等が均一に配設されており、あるいはプレスローラ21の外周表面は、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜を平滑にコーティングしたものであっても良い。これにより、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yと接触したときや、表面印刷済み用紙36の印刷画像面側のインキと接触することによる膨潤およびインキ付着等による汚れが最小となるようになされている。
プレスローラ21は、後述する図示しない印圧範囲可変手段および各印圧アーム22により、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36を押し付ける図1に示す印刷位置とこの印刷位置から離れた図6に示す非印刷位置(初期位置でもある)との間で変位自在に構成されている。
プレスローラ21は、図示しない押圧手段駆動手段としてのプレスローラ回転駆動手段によって回転駆動される。プレスローラ回転駆動手段は、プレスローラ21を、版胴1の周速度と略同じ周速度で版胴1の回転方向と反対方向に回転駆動する駆動手段としてのプレスローラ駆動モータと、プレスローラ駆動モータの回転駆動力をプレスローラ21に伝達する駆動力伝達手段とから主に構成される。
プレスローラ21は、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36あるいは片面印刷済み用紙36を圧接するタイミングに合わせて、プレスローラ駆動モータにより回転駆動されるようになっている。プレスローラ駆動モータの作動は、制御装置によって制御される。プレスローラ21がプレスローラ駆動モータによって版胴1の周速度と略同じ周速度で回転駆動されるので、印刷画像位置ずれのない良好な印刷物を得ることができる。
各印圧アーム22間には、上記プレスローラ21の他、再給紙レジスト部材としての再給紙レジストローラ51、給紙案内部材としてのローラガイド板50等が配設されている。再給紙レジストローラ51は、プレスローラ21の下側に位置しており、図示しない駆動手段により、図1に示す状態においてはその外周面がプレスローラ21の外周面に圧接し、図6に示す状態においてはその外周面がプレスローラ21の外周面から離間する。再給紙レジストローラ51は、プレスローラ21に圧接することで、用紙受け45に貯容された表面印刷済み用紙36の先端部をプレスローラ21との間に保持させ、プレスローラ21が版胴1に接触するときのプレスローラ21の回転により所定のタイミングを取って表面印刷済み用紙36の先端を版胴1に搬送する機能を有する。再給紙レジストローラ51は、串刺し状に分割された複数のローラからなり、軸51aと一体的に形成されている。再給紙レジストローラ51は、軸51aの両端部が各印圧アーム22間に回転自在かつ変位自在に支持されていることにより、プレスローラ21の回転力を受けてプレスローラ21の回転方向と反対方向に従動回転する。
ローラガイド板50は、プレスローラ21の回転力によって搬送される表面印刷済み用紙36をプレスローラ21の外周面に当接させて版胴1に向けて案内する機能を有する。ローラガイド板50は、表面印刷済み用紙36をプレスローラ21の外周面に沿わせて案内するためにプレスローラ軸21aを中心とした湾曲した部分円筒形状をなし、プレスローラ21の外周面と所定の隙間を開けて各印圧アーム22間に固着されている。ローラガイド板50における表面印刷済み用紙36の案内面側は、表面印刷済み用紙36に対して摩擦係数が低く、かつ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜がコーティングされている。
ストッパ203は、用紙受け45から搬送されてきた、用紙受け45上に貯容された表面印刷済み用紙36の先端と当接して位置を規制するものである。ストッパ203は、各印圧アーム22間に固定されており、再給紙レジストローラ51の変位及びを許容する図示しないスリットを有している。ストッパ203に先端を規制された表面印刷済み用紙36は、再給紙レジストローラ51が上方に変位しプレスローラ21に当接して回転したときに、プレスローラ21と再給紙レジストローラ51との間にその先端を挟持され、版胴1に向けて搬送される。
次に、プレスローラ21の印圧範囲を決定している印圧範囲可変手段周りの構成について詳述する。本形態では、図1および図2に示すように、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した表面領域1Aのみに印圧を付与する第1の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIと、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応した裏面領域1Bのみに印圧を付与する第2の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIと、版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに対応して表面領域1Aから続けて裏面領域1Bに亘って印圧を付与する第3の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIIとの少なくとも3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換え可能になっている。
印圧範囲可変手段は、プレスローラ21を印刷位置と非印刷位置との間に変位させるための構成・機能を有し、これら3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換える。印圧範囲可変手段は、押圧手段接離手段としてのプレスローラ接離機構とも呼ばれることがある。
印圧範囲可変手段は、アーム軸22a、印圧アーム対22、22、図示しない一対のカムフォロア、図示しない一対の印圧バネ、図示しない一対の複数組の印圧カム、図示しないソレノイド等を有する周知の構成である。
各カムフォロアは、各印圧アーム22により、回転自在に保持されている。各印圧バネは、各印圧アーム22と図示しない筐体側板との間に係止され、プレスローラ21を常に版胴1の外周面に圧接する向きに付勢している。各印圧カムは、各カムフォロア近傍の筐体側板側に回転自在に支持され、図示しないベルトやギヤ等の駆動伝達手段を介してメインモータ20に連結されており、版胴1の回転と同期して回転するようになっている。カムフォロアは、印圧バネ25により、印圧カムに常に当接する向きに付勢されている。
印圧カムは、小径部(凹部部分)と大径部(凸部部分)とが形成された例えば板カムからなるが、各組の印圧カムは互いに、小径部、大径部の位相、形状等が異なっている。印圧カムの大径部が印圧バネの付勢力に抗してカムフォロアと圧接することにより、プレスローラ21による印圧をオフ・解除するようになっている。上記3つの印圧範囲パターンに応じてカムフォロアに係合する印圧カムがソレノイド等によって切り換えられる。
図2は、プレスローラ21の印圧範囲を分かりやすくこれを展開して図示したものである。図2において、同図2に図示しない版胴1上の開口部1aに巻装された分割製版済みマスタ8Xには、表面製版画像8Aの領域部分と裏面製版画像8Bの領域部分とが形成されていて、それらの間には未製版空白の中間未製版領域8Cを設けてある。ここで、同図2に図示しない版胴1のクランパ7に挟持・固定される先端余白部とも呼ばれる分割製版済みマスタ8Xの先頭側は左端側である。
片面印刷を含む通常印刷時用の印圧範囲パターンは、IIIのようになっている。すなわち、印圧範囲パターンIIIは、表面製版画像8Aの領域部分から中間未製版領域8Cを経て続けて裏面製版画像8Bの領域部分に亘って印圧を付与することにより、製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAに用紙36を連続して押し付けて印刷されるように、所定の印圧カムの小径部がカムフォロアに対向するようにその印圧カムが回転駆動される。
表面印刷時には、印圧範囲パターンIのようになっていて、表面製版画像8Aの領域部分に対応して印刷されるように、所定の印圧カムの小径部がカムフォロアに対向するようにその印圧カムが回転駆動され、次いで、中間未製版領域8C部分では印圧が解除されるように、所定の印圧カムの大径部がカムフォロアに当接するようにソレノイドがオン/オフ駆動制御される。
裏面印刷時には、印圧範囲パターンIIのようになっていて、始めの表面製版画像8Aの領域部分では印圧が解除されるように所定の印圧カムの大径部がカムフォロアに当接するようにソレノイドがオン/オフ駆動制御され、次いで、所定の印圧カムの小径部がカムフォロアに対向するようにその印圧カムが回転駆動される。
上述したことをまとめると次のようになる。すなわち、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した表面領域1Aのみに印圧を付与する第1の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIと、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応した裏面領域1Bのみに印圧を付与する第2の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIと、表面領域1Aから続けて裏面領域1Bに亘って印圧を付与する第3の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIIとの少なくとも3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換え可能になっている。これら3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換える機構が、上述した印圧範囲可変手段である。
図1に示すように、排紙搬送手段47は、版胴1の左側に配置されている。排紙搬送手段47は、図示しない筐体側板対の間に回動自在に支持された駆動軸85に一体的に設けられた駆動ローラとしての排紙ローラ後84と、駆動軸85よりも用紙搬送方向Xの上流側であって剥離ガイド46の近傍に配置された従動軸87に一体的に設けられた従動ローラとしての排紙ローラ前86と、排紙ローラ後84と排紙ローラ前86との間に巻き掛け・張設され表面印刷済み用紙36、版胴1とプレスローラ21との圧接部である画像形成部としてのニップ部Nから排出・搬送された両面印刷済み用紙36または片面印刷済み用紙36の何れか一つを保持して搬送する無端ベルトとしての空気吸引用の複数の図示しない孔が形成された排紙ベルト88と、駆動軸85にギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して連結され排紙ローラ後84の回転駆動を介して排紙ベルト88を回転駆動するベルト駆動手段としてのベルト駆動モータ90と、ニップ部Nから排紙ベルト88に向けて排出・搬送された表面印刷済み用紙36、両面印刷済み用紙36または片面印刷済み用紙36の何れか一つを複数の孔88から空気を吸引することにより排紙ベルト88の上面に吸引・保持させるための単一の吸引ファン89とから主に構成されている。
排紙ローラ後84および排紙ローラ前86は、串刺し状に分割されていて歯付きのローラからなり、例えばニトリルゴム(NBR)等の耐油性(耐インキ腐食性)を有する高摩擦材料で形成されているが、このような性質を有する材料であれば樹脂等であっても構わない。排紙ベルト88は、歯付きベルトからなり、複数本のものが串刺し状に分割された排紙ローラ後84と排紙ローラ前86との間にそれぞれ巻き掛けられ張設されている。排紙ベルト88は、表面印刷済み用紙36の印刷画像面側に接触して保持・搬送するため、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされている。吸引ファン89には、ファン駆動手段としてのファン駆動モータが内蔵されている。以下、説明の簡単化のために、該「ファン駆動モータ」のことを単に「吸引ファン89」というときがある。
排紙ベルト88は、制御装置からの指令信号に基づくベルト駆動モータ90の作動によって回転されるようになっている。
剥離ガイド46は、排紙ベルト88から用紙搬送方向Xの上流側に配設され、用紙搬送方向Xの下流側の軸46aを中心に所定角度回動するようになっている。剥離ガイド46は、その先端部が尖った薄板状をなしている。剥離ガイド46は、図示しないソレノイド、ステッピングモータ等の駆動手段により回動されるようになっており、プレスローラ21が印刷位置を占めたときには、先端が版胴1側に向けて回動し、プレスローラ21が非印刷位置を占めたときには、先端がプレスローラ21側に向けて回動する。剥離ガイド46は、先端が版胴1側に向けて回動したとき、ニップ部Nで印刷された表面印刷済み用紙36を版胴1から剥離する剥離手段を兼ねている。
排版部17は、上排版部材160、下排版部材161、排版ボックス162、圧縮板163等を具備している。上排版部材160は、駆動ローラ164、従動ローラ165、無端ベルト166等を有している。駆動ローラ164は、図示しない排版モータを含む排版駆動手段によって図1の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト166が図1中矢印方向に移動する。下排版部材161は、駆動ローラ167、従動ローラ168、無端ベルト169等を有している。駆動ローラ167は、駆動ローラ164を回転駆動する上記排版モータの駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることにより、図1の時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト169が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材161は、排版駆動手段に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が版胴1の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
排版ボックス162は、その内部に使用済みマスタを貯容するものであり、本体フレームに対して着脱自在に設けられている。圧縮板163は、上排版部材160と下排版部材161とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス162の内部に押し込むように本体フレームに上下動自在に支持されており、排版駆動手段に含まれる昇降モータを含む図示しない昇降手段によって上下動される。
排版ボックス162は、その内部に使用済みマスタを貯容するものであり、印刷装置本体に対して着脱自在に設けられている。圧縮板163は、上排版部材160と下排版部材161とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス162の内部に押し込むように本体フレームに上下動自在に支持されており、排版駆動手段に含まれる昇降モータを含む図示しない昇降手段によって上下動される。排版部17の上記排版モータ、上記移動手段、上記昇降モータを含む排版部17の制御対象駆動手段を総括的に排版駆動手段とする。
給紙部30は、図1に示すように、画像形成すなわち印刷を行われる用紙36を繰り出し可能に積載して昇降自在な上記したトレイとしての給紙トレイ35と、版胴1の外周面とプレスローラ21との間に後述するタイミングを取って用紙36を給送するレジスト手段としてのレジストローラ対31と、給紙トレイ35上の用紙36に接触してレジストローラ対31のニップ部に向けて用紙36を1枚ずつ分離して搬送する給紙手段としての給紙ローラ33および分離部材34と、用紙36の用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段等とを具備している。
給紙トレイ35は、給紙トレイ35を上下動させる図示しない昇降手段としての給紙トレイ昇降モータおよびワイヤ式昇降機構等を備えた図示しない駆動装置により、積載された用紙36の最上位が常に給紙ローラ33に所定の押圧力(用紙36が搬送可能な押圧力)をもって接触するように、すなわち用紙36の増減に連動して用紙36が搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持しつつ昇降される。給紙トレイ35は、多くの用紙種類および用紙サイズを使用できる構造を有すると共に、その用紙積載容量を例えば用紙サイズA3(縦)やA4の用紙36で500枚以上を積載可能とする孔版印刷装置に適した構造を有する。
給紙ローラ33は、金属製の給紙ローラ軸33aと一体的に形成されていて、給紙ローラ軸33aの一端部が上記筐体側板に回転自在に支持されている。給紙ローラ33の表面は、少なくともゴム等の高摩擦抵抗部材で形成されている。給紙ローラ軸33aは、用紙搬送方向Xにのみ用紙36を搬送するように給紙ローラ33を回転させる、時計回りにのみ回転させるための図示しないワンウェイクラッチを介して給紙モータ37に接続されている。分離部材34は、用紙36に対する摩擦係数の高いゴムや樹脂で形成され給紙ローラ33に当接可能となっている分離パッドと呼ばれる部材を有している。この分離パッドは、付勢手段としての図示しない圧縮バネにより給紙ローラ33に押し付けられる向きに付勢されている。
給紙モータ37は、パルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなっている。
レジストローラ対31を構成する下側のローラの軸31cにはレジストモータ41が接続されている。レジストモータ41はパルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなっている。
図1において、版胴1とプレスローラ21とのニップ部からレジストローラ対31のニップ部までの用紙搬送経路XAには、レジストローラ対31から送り出された用紙36の先端および後端を検知する用紙検知手段としての用紙検知センサ32が配設されている。用紙検知センサ32は、該用紙検知センサ32の配置位置(用紙36の先端を検知できる位置)よりも上流側の用紙搬送経路XAに用紙36が留まっていること(ジャム等を生じていること)を検知する機能も有する。用紙検知センサ32は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサである。
給紙部30の上記給紙トレイ昇降モータ、給紙モータ37、レジストモータ41を含む給紙部30の制御対象駆動手段を、総括的に給紙駆動手段とする。なお、給紙ローラ33を回転駆動する給紙駆動手段は、給紙モータ37等に限らず、メインモータ20からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって給紙ローラ33に伝達されることで、版胴1と同期した所定のタイミングで回転駆動されるように構成してもよい。同様に、レジストローラ対31を回転駆動するレジスト駆動手段は、レジストモータ41等に限らず、メインモータ20からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで、版胴1とプレスローラ21とのニップ部Nに向けて用紙36を所定のタイミングで給送するように構成してもよい。
排紙部19は、図1に示すように、版胴1の外周面に近接自在に設けられ、片面印刷済み用紙36を版胴1上の製版済みマスタ8Yから剥離する剥離爪170と、剥離爪170で剥離された片面印刷済み用紙36の先端部と版胴1との間に送風して剥離爪170による剥離作用を助勢するための剥離ファン171と、排紙搬送手段47と、排紙トレイ172とから主に構成されている。
剥離爪170は、版胴1の外周面にプレスローラ21が圧接することにより形成される印刷ニップ部Nにおける下流近傍に設けられている。剥離爪170は、版胴1の回転と同期して回転駆動されるカムおよびバネ等を具備した図示しない剥離爪変位手段により、版胴1の外周面に近接して版胴1上の製版済みマスタ8Yから片面印刷済み用紙36を強制的に剥離する剥離位置と、この剥離位置から離間して版胴1の外周面から突出したクランパ7配置部との接触を避ける非剥離位置との間で変位自在に構成されている。剥離ファン171は、該剥離ファンを回転駆動するファン駆動モータを内蔵している。
操作パネルは、両面孔版印刷装置200に所定の動作等をさせるべく指示等をするためのものである。
操作パネル173は、その上面に製版スタートキー、印刷スタートキー、クリア/ストップキー、テンキー、エンターキー、印刷速度設定キー、両面印刷キー、片面印刷キー、LCD(液晶表示装置)からなる表示装置等を有している。
製版スタートキーは、両面孔版印刷装置200に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキーが押下されると排版動作および原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われる。
印刷スタートキーは、両面孔版印刷装置200に印刷動作を行わせる際に押下される。
クリア/ストップキーは、両面孔版印刷装置200の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下される。
テンキーは、数値入力等に用いられる。
エンターキーは、各種設定時に数値等を設定する際に押下される。
印刷速度設定キーは、印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下される。
両面印刷キー、片面印刷キーはそれぞれ、両面孔版印刷装置200に両面印刷動作、片面印刷動作を行わせる際に製版スタートキーの押下前に押下される。
表示装置には、「製版・プリントできます」のような両面孔版印刷装置200の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等の警告、用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
これら、各モード、各設定に応じた制御は、後述する制御装置によって行われるようになっている。
また、両面孔版印刷装置200には、制御装置に対して所定の情報を入力する入力手段として、操作パネルの他に、パーソナルコンピュータ等の、外部の入力手段を接続可能とすることができ、かかる入力手段を接続した場合には、これにより、上述した、操作パネルによって入力される情報をすべて入力することが可能となるようになっている。また、かかる入力手段によって、形成すべき画像のデータすなわち印刷すべき画像のデータを入力することもできる。なお、かかる入力手段が両面孔版印刷装置200に接続可能である場合、操作パネルは必ずしも必要ではない。
制御装置は、両面孔版印刷装置200の主として原稿読取動作、製版動作、給紙動作および印刷動作を制御する制御手段としての機能・構成を有する。制御装置は、図示しないCPU(中央演算処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)および電池付きのタイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備し、操作パネルからの各種信号および各種センサからの検知信号およびROMから呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部16、製版部15、給紙部30、排版部17、排紙部19、画像読取部の各作動等を制御し、両面孔版印刷装置200全体の動作を制御する。
ROMには、両面孔版印刷装置200全体の動作プログラムや必要なデータ等が記憶されており、この動作プログラムはCPUによって適宜呼び出される。RAMは、CPUの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン/オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
図1に示すように、用紙受け45は、排紙搬送手段47の下方に配置されている。用紙受け45は、筐体側板対の間に回動自在に支持された駆動軸155に一体的に設けられた駆動ローラとしての搬送ローラ後154と、再給紙レジストローラ51の近傍に配置された従動軸157に一体的に設けられた従動ローラとしての搬送ローラ前156と、搬送ローラ後154と搬送ローラ前156との間に巻き掛け・張設され表面印刷済み用紙36を保持して搬送する無端ベルトとしての空気吸引用の図示しない複数の孔が形成された搬送ベルト158と、駆動軸155にギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して連結され搬送ローラ後154の回転駆動を介して搬送ベルト158を回転駆動するベルト駆動手段としてのベルト駆動モータ150と、表面印刷済み用紙36を複数の孔から空気を吸引することにより搬送ベルト158の上面に吸引・保持させるための吸引ファン159とを有している。
用紙受け45はまた、表面印刷済み用紙36に係合し、用紙受け45上における表面印刷済み用紙36の斜行を防止する斜行防止手段151と、再給送手段49の一部をなす図示しない再給紙センサと、搬送ローラ前156及びこれに巻き掛けられた部分の搬送ベルト158が常に再給紙レジストローラ51の近傍に位置するように、用紙受け台45を駆動軸155を中心に搖動させる変位手段と、搬送ベルト158の内側に配設された図示しない面板とを有している。
搬送ローラ後154および搬送ローラ前156は、串刺し状に分割されていて歯付きのローラからなり、例えばニトリルゴム(NBR)等の耐油性(耐インキ腐食性)を有する高摩擦材料で形成されているが、このような性質を有する材料であれば樹脂等であっても構わない。搬送ベルト158は、歯付きベルトからなり、複数本のものが串刺し状に分割された搬送ローラ154と搬送ローラ前156との間にそれぞれ巻き掛けられ張設されている。搬送ベルト158は、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされている。吸引ファン159には、ファン駆動手段としてのファン駆動モータが内蔵されている。以下、説明の簡単化のために、該「ファン駆動モータ」のことを単に「吸引ファン159」というときがある。
搬送ベルト158は、制御装置からの指令信号に基づき所定のタイミングで断続的に駆動されるベルト駆動モータ150によって、表面印刷済み用紙36を受け入れるときと給送するときとで反対方向に回転されるようになっている。
面板には、搬送ローラ後154および搬送ローラ前156の回転や吸引ファン159による吸引を妨げることのない形状をなしているとともに、後述するローラガイド59a,59b及び移動板152a,152bの用紙幅方向への変位を許容する切欠が形成されている。
再給紙センサは、表面印刷済み用紙36が用紙保持手段60によって用紙受け45に搬送されるとき、表面印刷済み用紙36を検知する。再給紙センサは、用紙受け45の、再給紙レジストローラ51の近傍位置に配置されており、表面印刷済み用紙36の前後端を検知する。
変位手段は、用紙受け台45を駆動軸155を中心に搖動させ、再給紙レジストローラ51の上下動にかかわらず搬送ローラ前156及びこれに巻き掛けられた部分の搬送ベルト158が常に再給紙レジストローラ51の近傍に位置するように用紙受け台45を駆動する。
用紙保持手段60は、図1、図6に示すように、用紙受け台45の上方に位置しており、用紙保持部材64と、用紙保持部材64に回転自在に支持されたクランプ軸64aと、クランプ軸64aに支持されたクランプ爪64bと、クランプ爪64bの先端を用紙保持部材64に当接するように付勢した図示しない付勢バネと、用紙保持部材64を図1に示す第1の位置としての用紙保持位置と図6に示す第2の位置としての待機位置との間で移動可能に支持する図示しない支持部材と、用紙保持部材64を用紙保持位置と待機位置との間で往復動させる図示しない駆動手段とを有している。
クランプ軸64aは図1における紙面垂直方向に延設され、クランプ爪64bは同方向において複数配設されている。クランプ爪64bは、用紙保持部材64に対して傾斜しているとともに、剥離ガイド46によって再給紙手段201に案内されてきた表面印刷済み用紙36の移動方向に対して傾斜しており、その先端において、同表面印刷済み用紙36の先端を、用紙保持部材64との間で挟持するようになっている。
クランプ軸64aは、待機位置において図示しない本体側の解除部材と当接する図示しないレバーを一体に有しており、レバーが解除部材に当接すると、付勢バネの付勢力に抗してクランプ爪64bの先端を用紙保持部材から離間させ、クランプ爪64bと用紙穂慈雨b材64との間でその先端を挟持されていた表面印刷済み用紙36を解放する。
用紙保持部材64、クランプ軸64a、クランプ爪64b、付勢バネ、解除部材は、用紙保持位置において表面印刷済み用紙36の先端を挟持して保持するとともに待機位置において表面印刷済み用紙36の先端を開放する用紙先端挟持部材を構成している。用紙保持部材64のホームポジションは待機位置であって、通常は待機位置を占めている。
駆動手段は、制御装置によって駆動を制御され、両面印刷モードにおける表面印刷時において、プレスローラ21が印刷位置を占め剥離ガイド46の先端が版胴1側に向けて回動したときに、用紙保持部材64を待機位置から用紙保持位置とし、その後プレスローラ21が非印刷位置を占め剥離ガイド46の先端がプレスローラ21側に向けて回動するまでの間に、表面印刷済み用紙36が版胴1とプレスローラ21との間のニップ部Nから送り出される速度と略同じ速度で、用紙保持部材64を待機位置まで変位させる。
斜行防止手段151による表面印刷済み用紙36の斜行の解消は、クランプ爪64bが表面印刷済み用紙36の先端を開放し、表面印刷済み用紙36が用紙受け45に向けて落下し搬送ベルト158に吸着されるまでの間に行われるが、クランプ爪64bによる挟持力の強さによっては、用紙保持部材64が用紙保持位置から待機位置に向けて移動し表面印刷済み用紙36の搬送を行う過程で行なわれる。
固定ガイド202は、用紙搬送方向Xにおけるニップ部Nより下流側で、その先端がニップ部Nに向いた状態で配設されている。固定ガイド202は、本体フレームに固定された本体204と、本体204に支持されプレスローラ21に当接可能な当接部としての先端部205とを有している。
固定ガイド202は、図1に示すように、印刷位置を占めたときすなわちプレスローラ21が用紙36を版胴1上のマスタ8に押圧するために版胴1に向けて変位したときのみ先端部205がプレスローラ21に当接し、かつ、図6に示すように、非印刷位置など版胴1から離間した位置を占めたときにはプレスローラ21から離間する定位置を占めている。
本体204は、金属製のプレートによって構成されている。
先端部205は、その基部を本体204の上面側に貼設された、ポリエチレン等の可撓性樹脂からなるシート状の可撓性部材である。先端部205を本体204の上面側に配設したのは、先端部205と本体204との接合部において用紙36の先端が突き当たらないようにするためである。
先端部205の厚みは0.1〜0.4mmであり、その素材のみならず厚みによっても可撓性を有している。先端部205の素材は、用紙36との摩擦によって静電気を帯びないように、固体抵抗が低く導電性を有する材料とすることが好ましい。
図4に示すように、先端部205の、同図における右側に位置する、プレスローラ21に当接する側の端部はその厚さが端部側に向けて薄くなり先が尖ったテーパ状になっており、用紙36の先端が突き当たることを防止ないし抑制している。
先端部205がこのような構成となっていることにより、プレスローラ21が印刷位置を占めたときには、先端部205は、プレスローラ21との間に用紙36が進入しないように密着する。よって、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することが防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制される。
剥離ガイド46は、用紙搬送方向Xにおいて、剥離爪170及び剥離ファン171よりも上流側において、用紙36の搬送経路を変更する必要があるため、その配設位置、用紙36に対する係合位置は剥離爪170及び剥離ファン171よりもニップ部Nに近づけざるを得ず、その分だけ、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36は、プレスローラ21に近い位置を移動することとなり、通常の印刷装置に比べてプレスローラ21による用紙36の巻き込みは発生しやすい。
しかしながら、固定ガイド202が配設されていることにより、上述のように、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することは防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制される。
図6に示すように、剥離ガイド46がプレスローラ21側に向けて回動したときには、剥離ガイド46の先端は、用紙搬送方向Xにおいて、固定ガイド202の先端よりも上流側に位置しているが、用紙36の先端を固定ガイド202により剥離ガイド46よりも早く掬い上げるように、用紙36の搬送不良の生じない範囲で、固定ガイド202の先端の方を、用紙搬送方向Xにおける上流側に位置するように配設しても良い。
なお、剥離爪170、剥離ファン171は、ニップ部Nにおいて印刷が行われた用紙36を、印刷装置本体外に排出するために、版胴1上のマスタ8から剥離するための第1の剥離手段を構成しており、剥離ガイド46は、ニップ部Nにおいて片面に印刷が行われた用紙36を、再度ニップ部Nに搬送してその用紙36の他面に印刷を行うために、版胴1上のマスタ8から剥離するための第2の剥離手段を構成している。
また、先端部205はプレスローラ21に当接するようになっているが、プレスローラ21の外周面にはガラスビーズが配設されているため、先端部205の当接によるプレスローラ21の磨耗は抑制ないし防止され、また固定ガイド202に付着している汚れが転移しにくく汚れにくいため汚れが表面印刷済み用紙36に再付着しにくくなっている。このように、プレスローラ21のガラスビーズ等による表面処理は、固定ガイド202の当接に対する耐磨耗加工としての機能も有している。
図5に示すように、固定ガイド202は、先端部205が本体204に回動可能に支持された構成であっても良い。この構成の固定ガイド202は、本体204に一体に配設され、先端部205の基部を回動可能に支持した軸206を有している。これにより、先端部205は、プレスローラ21の変位に柔軟に追従し、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36がプレスローラ21との間に進入することをより良好に防止ないし抑制する。
この構成においては、軸206による先端部205の回動角を調整することにより、先端部205が常にプレスローラ21に当接するようにしてもよい。先端部205が常にプレスローラ21に当接すると、先端部205の磨耗が進行しやすくなるものの、用紙36の進入をさらに良好に防止ないし抑制することとなる。先端部205を本体204に回動可能に支持した場合には、先端部205のプレスローラ21に対する追従性が良好であるため、先端部205は必ずしも可撓性部材でなくとも良い。
上述の構成に基づき、本形態における両面孔版印刷装置200の操作手順を含む動作について説明する。この動作は、制御装置による制御の下になされるため、各種モータや各種ソレノイド等のアクチュエータ(制御対象駆動手段)の起動、作動、停止等の詳細動作を説明する際において、制御装置からの指令あるいは指令信号に基づきというような表現をできるだけ省略する。
(動作例1)まず、片面印刷モードを設定し、片面印刷を行う動作例1について説明する。動作例1は、従来の孔版印刷装置により片面印刷を行うる動作と略同様であり、印圧範囲パターンIIIが使用される。動作例1では各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA3サイズのものが用いられるものとする。なお、連続モードは設定せず、画像位置調整は行わないものとする。
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA3サイズの用紙36を積載し、画像読取部に原稿をセットし、操作パネル上の各種キーによって製版条件を設定した後、片面印刷キーを押下して片面印刷モードを設定して製版スタートキーを押下し、製版スタートキーを押下する。
製版スタートキーが押下されてスタート信号が生成され、これが制御装置に入力されると、排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。これに先後して、上記給紙トレイ昇降モータがオンすることにより給紙トレイ35が上昇して、最上の用紙36が給紙ローラ33に当接することにより、図示しない給紙位置検知センサのオン検知によって最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置により判断されると、給紙装置30では給紙待機状態となる。
先ず、排版部17において、版胴1の外周面から使用済みマスタを剥離する排版動作が行われる。製版スタートキーが押下されると版胴1が回転を開始し、版胴1はクランパ7が略真上となる上記ホームポジションに達すると、上記ホームポジションセンサから制御装置にホームポジション信号が送られる。ホームポジション信号を受けた制御装置は、このホームポジションを基点として図示しない上記エンコーダが発するパルス数を計測し、版胴1の外周面上に巻装された使用済みマスタの先端が従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169と対応する所定の排版位置に達したと判断すると、メインモータ20の作動を停止させる。
メインモータ20が停止されて版胴1が所定の排版位置で停止すると、メインモータ20および排版駆動手段が作動して各駆動ローラ164,167が回転駆動されると共に、下排版部材161が版胴1側に移動し、従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が使用済みマスタと当接する。すると、版胴1の回転および無端ベルト169の移動によって版胴1の外周面上よりすくい上げられた使用済みマスタは、下排版部材161と上排版部材160とで挟持搬送されて版胴1の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタは排版ボックス162内に廃棄された後、圧縮板163によって圧縮される。外周面上より使用済みマスタが全て剥離された後も版胴1は、回転を継続し、クランパ7が略真上に位置する所定の給版待機位置まで回転して停止する。版胴1が給版待機位置で停止すると、図示しない開閉装置が作動してクランパ7が開放され、両面孔版印刷装置200は給版待機状態となる。
上記排版動作と並行して、画像読取部での原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、光学的に行われ、光電変換される。光電変換された電気信号はA/D変換された後、サーマルヘッド駆動回路に画像情報として送信される。
排版動作および画像読取動作と一部並行して、製版部15では製版動作が行われる。すなわち、サーマルヘッド11の上記発熱素子を発熱駆動制御するためのデジタル画像信号が、図示しない製版制御装置およびサーマルヘッド駆動回路を介してサーマルヘッド11へ送信される。これにより、サーマルヘッド11の上記多数の発熱素子が主走査方向にパルス状に通電されて選択的に発熱されると共に、マスタ搬送モータ10が回転駆動されることにより、プラテンローラ9、搬送ローラ対13が回転を開始して、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔される。
そして、製版済みマスタ8Yの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数がある設定値に達し、製版済みマスタ8Yの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、製版済みマスタ8Yの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挾持される。
製版済みマスタ8Yの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開して、製版済みマスタ8Yがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10の所定ステップ数の回転駆動により、マスタ8への製版および設定量の製版済みマスタ8Yの搬送が終了したと判断されると、カッタ12が作動して製版済みマスタ8Yが切断されると共に、マスタ搬送モータ10の回転駆動が停止されることによりプラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止する。
そして、切断された製版済みマスタ8Yの後端が、版胴1の回転によって製版部15内から引き出され、版胴1の外周面に完全に巻き取られた段階で版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が終了することにより、給版動作が終了する。版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度で図1に示す矢印方向に回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。なお、用紙36の先端が用紙検知センサ32を横切り・通過するまでは、換言すれば用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、印圧範囲可変手段は非作動状態にあり、これによりプレスローラ21は非印刷位置、すなわち版胴1の外周面から離間した初期位置で保持されている。
版胴1が矢印方向に低速で回転して、先ず、給紙開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、給紙レジストセンサがオンして給紙スタート信号が生成され、この信号がトリガとなって給紙モータ37が起動(回転駆動開始)する。給紙モータ37が作動することにより、給紙ローラ軸33aおよび給紙ローラ33が時計回りに回転することで、給紙ローラ33と接触している給紙トレイ35上の最上の用紙36が、搬送されながら分離部材34との協働作用によって1枚に分離されて用紙搬送方向Xの下流側であるレジストローラ対31のニップ部に向けて給送される。
次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、給紙レジストセンサがオンしてレジストスタート信号が生成され、この信号がトリガとなってレジストモータ41が起動(回転駆動開始)する。このレジストモータ41が起動するタイミングは、版胴1上に巻装された製版済みマスタ8Yの版胴回転方向における片面製版画像8YAの画像領域先端部がプレスローラ21と対応する位置に到達する所定のタイミングになるように設定されている。レジストモータ41が作動することにより、軸31cが反時計回りに回転することで、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機している用紙36が、版胴1とプレスローラ21とのニップ部Nに向けて送り出される。
次いで、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が正常に行われ、すなわち用紙36の先端が、上記タイマで計時される所定の時間内(あるいはレジストモータ41に供給される所定のパルス数内)に用紙検知センサ32によってオン検知されることによって、この信号が制御装置に入力される。この用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサからの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置は印圧範囲可変手段を作動させる。
プレスローラ21は、その外周面が図1に示す版胴1の表面領域1Aないしは裏面領域1B上に巻装されている製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAよりも少し左寄りの先端余白部分に用紙36を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位する。これと同時に、プレスローラ駆動モータがプレスローラ21を版胴1の周速度と略同じ周速度で回転させることにより、プレスローラ21は版胴1の回転方向と反対方向に回転しながら版胴1上の製版済みマスタ8Yに用紙36を連続的に押し付けることで、製版済みマスタ8Yを版胴1の外周面に密着させそれにインキを充填させるためのいわゆる版付けが行われる。この版付けでは、版胴1の開口部1aの開孔部分から製版済みマスタ8Yの穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙36の表面に転移されることで孔版印刷が行われる。
この時、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキローラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、インキローラ2とドクタローラ3との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
こうして版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに対応した版付け印刷が行われ、版胴1がさらに回転して片面製版画像8YAの後端より少し右寄りの後端余白部分において、プレスローラ21による印圧付与状態が解除される。
なお、版胴1が図1中矢印方向に回転して、クランパ7が版胴1に圧接しているプレスローラ21の近傍に至ると、プレスローラ21は版胴1の外周面から外側へ突出しているクランパ7から離間し、プレスローラ21とクランパ7部位との干渉が避けられるようになっている。
こうして版付け印刷された片面印刷済み用紙36はプレスローラ21で押圧された状態で版胴1の図1中矢印方向の回転によってさらに搬送され、片面印刷済み用紙36の先端部は、版胴1の外周面に接近する剥離爪170および剥離ファン171からの送風により版胴1上の製版済みマスタ8Yから確実に剥離され、剥離された片面印刷済み用紙36は下方へと落下して排紙搬送手段47へ送られ、反時計回りに回転している排紙ベルト88の上面に吸引ファン89による吸引力によって引きつけられ保持されながら用紙搬送方向Xの下流側に搬送されて、排紙トレイ172に排出される。
このとき、固定ガイド202がプレスローラ21に当接していることにより、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって排紙搬送手段47に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することが防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制され、排紙が良好に行われる。
プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1が略4分の3周したとき、プレスローラ21は、版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置200は印刷待機状態となる。
また、給紙ないしは版付け中において、プラテンローラ9および搬送ローラ対13が回転を再開して、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に向けて送り込まれる。マスタ搬送モータ10のパルス数から、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に届き挟持されたと判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。
両面孔版印刷装置200が印刷待機状態となった後、テンキーによって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキーが押下されると、給紙部30から用紙36が連続的に給送され、印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数(所定枚数)が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、両面孔版印刷装置200は再び印刷待機状態となる。
(動作例2)次に、両面印刷モードを設定して両面印刷を行う動作例2について説明する。この動作例2は、印圧範囲パターンIおよび印圧範囲パターンIIが使用される。動作例2では、各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA4サイズのものが用いられるものとする。以下、動作例1と相違する点を中心に説明する。
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA4サイズの用紙36を積載し、画像読取部に表面印刷用の1枚目のA4サイズの原稿をセットし、操作パネル上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷キーを押下して両面印刷モードを設定して製版スタートキーを押下する。
製版スタートキーが押下されると、動作例1と同様に排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。動作例1と同様にして、給紙トレイ35の最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置により判断されると、給紙部30では給紙待機状態となる。動作例1と同様の排版動作が行われた後、外周面上より使用済みマスタを全て剥離された版胴1は、動作例1のときと同様に給版待機位置で停止し、図示しない開閉装置によってクランパ7が開放される。この排版動作と一部並行して画像読取部では表面印刷用の1枚目の原稿画像の読取動作が動作例1と同様に行われ、その画像データ信号がサーマルヘッド駆動回路に送信される。
排版動作および画像読取動作と一部並行して、製版部15では動作例1と同様にサーマルヘッド11による製版が行われ、プラテンローラ9、搬送ローラ対13の回転によって、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔されて、マスタ8の前半部分に表面印刷用の表面製版画像8Aが形成される(図2に示す分割製版済みマスタ8X参照)。
そして、分割製版済みマスタ8Xの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数がある設定値に達し、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挾持される。
分割製版済みマスタ8Xの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開して、分割製版済みマスタ8Xがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10のステップ数により、図2に示す分割製版済みマスタ8Xのうちの表面製版画像8Aの製版が完了したと制御装置によって判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13ならびに版胴1の回転が停止し、次の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面印刷用の裏面製版画像8Bの製版のための製版待機状態となる。
次いで、ユーザは画像読取部に裏面印刷用のA4サイズの2枚目の原稿をセットし、再度、製版スタートキーを押下すると、画像読取部では裏面印刷用の2枚目の原稿画像の読取動作が上記1枚目の原稿のときと同様に行われ、その画像データ信号がサーマルヘッド駆動回路に送信される。製版部15では1枚目の原稿のときと同様にサーマルヘッド11による製版が行われ、マスタ搬送モータ10が再び回転駆動されることにより、プラテンローラ9、搬送ローラ対13が回転されることで、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔されて、マスタ8の後半部分に裏面印刷用の裏面製版画像8Bが形成される(図2参照)。
この時、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開することにより、分割製版済みマスタ8Xの後半部分が製版部15内から引き出されつつ版胴1の外周面へ巻装されていく。そして、マスタ搬送モータ10のステップ数により、分割製版済みマスタ8Xのうちの最後の裏面製版画像8Bの製版が完了したと制御装置によって判断されると、カッタ12が作動して分割製版済みマスタ8Xの後端部分が切断されると共に、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、版胴1の回転によって切断された1版分の分割製版済みマスタ8Xの後端が製版部15内から完全に引き出され、版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装・給版動作が完了する。
版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度(通常、版付け用の低速度)で回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。動作例1と同様に、用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、プレスローラ21は非印刷位置で保持されている。
版胴1が矢印方向に回転して、先ず、給紙開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、動作例1と同様にして給紙モータ37が起動する。給紙モータ37が作動することにより、動作例1と同様の動作を介して、給紙ローラ33と接触している給紙トレイ35上の最上の1枚目の用紙36が、搬送されながら分離部材34との協働作用によって1枚に分離されてレジストローラ対31のニップ部に向けて送り出される。こうして送り出された用紙36の先端がレジストローラ対31のニップ部で当接した後、用紙36の先端部に所定の湾曲した撓みが形成された状態で保持される。次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、動作例1と同様にしてレジストモータ41が起動する。レジストモータ41が作動することにより、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機していた用紙36が動作例1と同様の所定のタイミングで版胴1とプレスローラ21との間に向けて送り出される。この時、動作例1と同様に、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が用紙検知センサ32によって正常に検知される。
次いで、用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサからの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置は動作例1と同様に印圧範囲可変手段を作動させる。
これにより、プレスローラ21は、図2に示すように、その外周面が図1に示す版胴1の表面領域1A上に巻装されている分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aよりも少し左寄りの先端余白部分に用紙36を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位する(図2に示す印圧範囲パターンIにおけるプレスローラ21による印圧オンタイミング参照)。これと同時に、プレスローラ駆動モータがプレスローラ21を版胴1の周速度と略同じ周速度で回転させることにより、プレスローラ21は版胴1の回転方向と反対方向に回転しながら版胴1上の分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8A部分に用紙36を連続的に押し付けることで、分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aを版胴1の外周面に密着させそれにインキを充填させるためのいわゆる版付けが行われる。この版付けでは、版胴1の開口部1aの開孔部分から分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aの穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙36の表面に転移されることで孔版印刷が行われる。
この時、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキローラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、インキローラ2とドクタローラ3との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
また、変位手段によって、用紙受け45が駆動軸155を支点として反時計回りに揺動変位されることで図1に示す位置を占めて停止保持されるとともに、用紙保持部材64が図1に示す用紙保持位置に変位される。
こうして版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が行われる。版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が行われた表面印刷済み用紙36の先端部は、剥離爪170、剥離ガイド46および剥離ファン171からの送風により版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから確実に剥離される。
版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから剥離された表面印刷済み用紙36は、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる。このとき、固定ガイド202がプレスローラ21に当接していることにより、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することが防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制される。
固定ガイド202によりプレスローラ21に巻き込まれることなく固定ガイドの上面に沿って再給紙手段201に導かれた表面印刷済み用紙36の先端は、用紙保持手段60において挟持され、この状態で用紙保持部材64が待機位置に向けて変位される。用紙保持部材64が待機位置を占めると表面済み用紙36の先端が開放され、表面印刷済み用紙36は搬送ベルト158に向けて落下して吸着されるが、表面印刷済み用紙36が斜行しているときには、搬送ベルト158に吸着されるまでに進行方向に対して略真っ直ぐな姿勢に修正され斜行防止手段151によって斜行を矯正される。
版胴1の回転により表面製版画像8Aの後端近傍部分が印刷ニップ部Nに対応した回転位置に至ると、制御装置は版胴位置検知センサからの版胴1の回転位置情報に基づいて、プレスローラ21が印刷位置から離間して略非印刷位置を占めた状態で保持され、次の給紙に備えた給紙待機状態となる。
このとき変位手段の揺動モータ96が駆動されることによって、用紙受け45が駆動軸155を支点として時計回りに揺動変位されることで図6に示す位置を占めて停止保持される。
表面印刷済み用紙36の後端が再給紙センサを通り過ぎ、表面印刷済み用紙36の先端がストッパ203に規制された時点で、ベルト駆動モータ150の回転駆動は停止される。
版胴1が所定位置に達したと判断されると、ベルト駆動モータ90が再度駆動され、搬送ベルト158が版胴1の周速度と略同じ線速度で反時計回りに回転される。
これと同時的に、プレスローラ駆動モータが回転駆動されることにより、プレスローラ21が反時計回りに回転され、また再給紙レジストローラ51がプレスローラ21に当接するように上方に変位されることで、ストッパ203によって規制されていた表面印刷済み用紙36の先端が、反時計回りに回転するプレスローラ21とこれに従動して時計回りに回転する再給紙レジストローラ51との間に挟持されながら、版胴1の周速度と略同じ周速度で、かつ、ローラガイド板50によりプレスローラ21の外周面に沿って搬送されるように案内されて、版胴1とプレスローラ21とが圧接されることにより形成されるニップ部Nに向けて表裏反転されながら搬送される。
この搬送と並行して版胴1の所定の回転位置、すなわち版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bの先端近傍部分がニップ部Nに対応した回転位置に至ると、プレスローラ21はその外周面が版胴1の裏面領域1B上に巻装されている分割製版済みマスタ8Xの裏面製版画像8Bよりも少し左寄りの先端部分に表面印刷済み用紙36の裏面を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位することとなって、版付け用の両面印刷が行われる(図2に示す印圧範囲パターンIIにおけるプレスローラ21による印圧オンタイミング参照)。
こうして、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応して両面印刷が行われた版付け用の両面印刷済み用紙36は、片面印刷済み用紙36の排紙動作と同様に、その先端部が版胴1の外周面に接近する剥離爪170および剥離ファン171からの送風により版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから確実に剥離され、剥離された両面印刷済み用紙36は下方へと落下して排紙搬送手段47へ送られ、排紙ベルト88の上面に吸引ファン89による吸引力によって引きつけられ保持されながら用紙搬送方向Xの下流側に搬送されて、排紙トレイ172に排出される。
このとき、固定ガイド202がプレスローラ21に当接していることにより、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって排紙搬送手段47に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することが防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制され、排紙が良好に行われる。
版付けによって印刷された両面印刷済み用紙36は、用紙受け45上において、常に、進行方向に対して略真っ直ぐな姿勢となっているため、表面製版画像8Aによって印刷が行われた位置と裏面製版画像8Bによって印刷が行われた位置とは正確に一致しており、画像位置ずれは生じていない。
一方、プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1が略4分の3周したとき、プレスローラ21が版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置200は次の正規の両面印刷のための印刷待機状態となる。
両面孔版印刷装置200が印刷待機状態となった後、テンキーによって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキーが押下されると、給紙部30から用紙36が連続的に給送され、印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数(所定枚数)が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、両面孔版印刷装置200は再び印刷待機状態となる。
通常の正規の両面印刷動作では、設定された印刷枚数の両面印刷が版胴1の2回転ごとに行われ、版胴1の奇数回転では分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aに対応した表面印刷が、版胴1の偶数回転では分割製版済みマスタ8Xの裏面製版画像8Bに対応した裏面印刷がこの順に行われる。
版胴1の奇数回転時には、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから剥離された表面印刷済み用紙36は、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれるが、固定ガイド202がプレスローラ21に当接していることにより、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって再給紙手段201に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することが防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制される。
版胴1の偶数回転時にも、固定ガイド202がプレスローラ21に当接していることにより、固定ガイド202とプレスローラ21との間に、剥離ガイド46によって排紙搬送手段47に導かれる表面印刷済み用紙36が進入することが防止ないし抑制され、プレスローラ21にかかる表面印刷済み用紙36が巻き付いて巻き込まれることが防止ないし抑制され、排紙が良好に行われる。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、当接部材が定位置を占めるのではなく、当接部材を押圧体に当接させた状態を維持するように構成する場合には、当接部材の全体を押圧体とともに変位させるようにしてもよい。
本発明を適用した印刷装置は、両面印刷装置のみならず、片面印刷装置であっても良いし、版胴は複数備られていても良く、また例えば複数の版胴を用いてカラー印刷を行うものであっても良い。押圧体はプレスローラでなく圧胴であっても良い。
印刷に用いるシートとしては、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の記録媒体、印刷媒体を用いることができる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。