JP4430345B2 - 製版装置および製版印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等に用いられる製版装置および孔版印刷装置等を含む製版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
簡便な印刷方式としてデジタル感熱式の製版装置を搭載した製版印刷装置が知られている。その製版装置では、主走査方向に配列された複数の発熱部(以下、「発熱体」と言い替える)を有するサーマルヘッドとプラテンローラとで、感熱性孔版原紙とも呼ばれるマスタを押し付けながら、主走査方向と直交する副走査方向(以下、「マスタ搬送方向」というときがある)にプラテンローラの回転を介してマスタを相対的に移動させつつ、一般にスキャナ等によって読み込まれた画像データ信号を基に、サーマルヘッドの画像データに対応する所定の発熱体を発熱させることにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」というときがある)を位置選択的に加熱溶融穿孔・製版してドット状の製版画像(穿孔パターン)をマスタに形成するものである。
この時、サーマルヘッドヘ印加するエネルギーは環境温度、主走査方向の印字率、隣接ドットに対応した発熱体の発熱状況などに応じて、最適な穿孔状態となるように、通電時間(通電パルス幅)を変えることや、印加電圧を変えることで調整されている(例えば、特許文献1参照)。
上記製版装置で得られた製版されたマスタ(以下、「製版済みのマスタ」というときがある)を自動的に搬送して印刷ドラムとも呼ばれる版胴の外周面に自動的に巻装し、版胴の内周側からインキを供給しながらプレスローラや圧胴等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押し付けてそのドット状の製版画像からインキを通過させ印刷用紙に転移させることで、画像データ信号に応じた印刷画像を印刷用紙上に形成して所望の印刷物を得る孔版印刷装置等を含む製版印刷装置も既に公知である。
【0003】
現在までの製版装置や製版印刷装置で使用されているマスタの多くは、その搬送性および印刷ドラム側から供給されるインキの保持のために、フィルムとそれを支持している多孔性支持体とから構成されており、その多孔性支持体は天然繊維または天然繊維と化学繊維(合成繊維とも呼ばれる)とが混抄された態様でなるものが多い。
また、上記構成を採るマスタの多孔性支持体は、吸湿性を有する天然繊維を具備しているために、雰囲気湿度(相対湿度)が高い状況では天然繊維が吸水し膨張することにより、多孔性支持体と貼り合わせた湿度依存性の少ないフィルムをも結果的に張らせることとなって、穿孔に影響のあるマスタ自体の平滑性を上げる特性を持つ。逆に言えば、雰囲気湿度が低い状況では、マスタの多孔性支持体の平滑性は高湿時に対して劣ることになる(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
さらに、サーマルヘッドの個々の発熱体の発熱によりマスタへ穿孔を施す際の穿孔の確率は、マスタ自体の平滑性に寄与するところが多いことが知られている(例えば、特許文献4参照)。ここで、マスタへの穿孔の確率(以下、「フィルムの穿孔確率」と言い替えるときがある)とは、マスタのフィルムの一定面積内、すなわちマスタのフィルムの一定領域内において穿孔すべきドット状の画像データに対応して穿孔されている確率をいい、ドット状の全ての画像データに対応してその全てが穿孔されている場合を100%とする。サーマルヘッドの解像度およびマスタの副走査方向の解像度(送り速度)の設定内容にもよるが、通常、フィルムの穿孔確率が98%以下になると、いわゆる「白抜け」と呼ばれる画像不良が多くなることで穿孔されていない未穿孔箇所が目立ちはじめ、最終的な印刷画像品質(以下、「画質」という)の劣悪化を招くこととなる。
【0005】
上述した湿度によるマスタのフィルムに対する穿孔性への影響に関してまとめると次のようになる。すなわち、マスタの多孔性支持体が、吸湿性を有する天然繊維のみまたは天然繊維と化学繊維とが混抄された態様で構成されている場合、多孔性支持体自体の吸湿性によりマスタの平滑性に変化が生じる。ミクロ的に見ると、湿度が相対的に高い場合にはマスタのフィルム部分の平滑性が上がり、これによりサーマルヘッドの発熱体とマスタのフィルムとの密着性が増すことによって、マスタのフィルムには穿孔に必要な十分なエネルギーが伝えられ、穿孔不良の生じない画質が良好となるマスタを作成することができる。
これとは逆に、湿度が相対的に低い場合にはマスタのフィルム表面は波打ち状に多少荒れてその表面粗さが粗の状態になっており、その結果、サーマルヘッドの発熱体とマスタのフィルムとの密着性が低くなり、マスタのフィルムには穿孔に十分なエネルギーが伝わらず、穿孔不良となり、印刷画像においてはその部分からのインキ供給ができず、画像不良(白抜け)が生じる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−264292号公報
【特許文献2】
特開平9−207304号公報、段落「0006」
【特許文献3】
特開平11−188832公報、段落「0006」〜「0007」
【特許文献4】
特開2002−144689号公報、段落「0005」〜「0008」
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術におけるサーマルヘッドヘの印加エネルギーの供給は、環境の雰囲気温度またはサーマルヘッド温度に応じた印加エネルギー条件を基にし、主走査方向の印字率、隣接ドットに対応した発熱体の発熱状況などに対応した条件となるようにしているものがほとんどで、環境の雰囲気湿度(相対湿度)に応じてサーマルヘッドの駆動条件を変える制御、すなわちサーマルヘッドへ通電する周期(以下、「通電周期」という)および印加エネルギーを変える制御を行うようなことはなかった。なお、印加エネルギーは、穿孔用エネルギーとも呼ばれる。
【0008】
従って、吸湿性を有する多孔性支持体を具備するマスタを用いて穿孔・製版する制御システム下においては、低湿時に対応すべく全環境下でサーマルヘッドヘの通電周期を長くし、サーマルヘッドの発熱体群へ通電する時間を長くすることで熱可塑性樹脂フィルムに十分に熱を加えて穿孔させるか、低湿時での穿孔不良には目をつぶり通電周期を短くして製版時間の短縮を図るということくらいしかできなかった。
前者の場合では、製版装置や製版印刷装置における製版時間が長くなってしまうことにつながるし、後者の場合では、穿孔不良による印刷画像上での白抜けの問題が残ってしまうことになる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上述した問題点を解決して後述する効果を奏する製版装置および製版印刷装置を提供することにあり、これをまとめると次のようである。
すなわち、従来技術では低湿環境を見越してサーマルヘッドヘの通電周期はそう短くすることはできなかったが、低湿環境での穿孔不良はサーマルヘッドの駆動条件の変更により補えるため、本発明の目的は、製版装置周辺の雰囲気の湿度、さらに好ましくはサーマルヘッドの近傍の雰囲気の湿度を検出する湿度検出手段により検出された湿度情報に応じて、サーマルヘッドへ通電する周期を変えると共に、サーマルヘッドに印加する印加エネルギーを変える制御を行うことにより、穿孔性およびサーマルヘッドの寿命に影響を来さない範囲にて可能な限り通電周期を短く設定できて、製版装置および製版印刷装置に特有の製版時間を幾らかでも短縮できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと吸湿性を有する多孔性支持体とからなるマスタに、サーマルヘッドの発熱部を接触させた状態で相対的に移動させながら穿孔・製版を行う製版装置において、マスタへの穿孔の確率を低減させないように上記サーマルヘッドの駆動条件を変えるための、上記製版装置周辺の雰囲気の湿度を検出する湿度検出手段と、上記湿度検出手段により検出された湿度情報に応じて、上記サーマルヘッドへ通電する周期を変えると共に、上記サーマルヘッドに印加する印加エネルギーを変える制御を行う第1の制御手段とを有し、第1の制御手段は、上記制御を行うときに、該制御を行わないときと比べて、上記サーマルヘッドへ通電する1ライン周期を長くし、かつ、上記サーマルヘッドに印加する通電パルス幅を長くし、なおかつ、上記サーマルヘッドに印加する印加電力を小さくすることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の製版装置において、上記湿度検出手段を上記サーマルヘッドの近傍に配置したことを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の製版装置において、上記サーマルヘッドに対向しマスタを介して回転自在に設けられたプラテンローラと、上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの押圧力を変える押圧力調整手段と、上記湿度検出手段により検出された湿度情報に応じて、上記押圧力を変えるように上記押圧力調整手段を制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項1または3記載の製版装置において、上記湿度検出手段により検出された湿度情報を報知する報知手段と、上記報知手段により報知された湿度情報に基づいて、第1の制御手段または第2の制御手段による制御を行うか否かを手動で選択する制御選択手段とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つの記載の製版装置と、該製版装置で製版されたマスタを巻装する印刷ドラムと、該印刷ドラム上のマスタにインキを供給するインキ供給手段とを具備し、上記印刷ドラム上のマスタに印刷用紙を押し付けて印刷用紙に印刷を行うことを特徴とする製版印刷装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等を引用して構成や動作例等を説明する場合には、引用した構成要素等の符号に括弧を付して区別することとする。
【0018】
まず、図1を参照して、本発明を適用した製版装置およびこの製版装置を有するデジタル感熱式の製版印刷装置の全体構成とその動作について説明する。製版印刷装置は、孔版印刷装置とも呼ばれる。
図1において、符号50は、装置本体フレームを示す。装置本体フレーム50の上部にある、符号80で示す部分は原稿読取装置を構成し、その下方の符号19で示す部分は本発明を具体的に適用した製版装置、その左側に符号100で示す部分は多孔性の版胴とも呼ばれる印刷ドラム101が配置された印刷ドラム装置、その左の符号70で示す部分は排版装置、製版装置19の下方の符号110で示す部分は給紙装置、印刷ドラム101の下方の符号120で示す部分は印圧装置、装置本体フレーム50の左下方の符号130で示す部分は排紙装置をそれぞれ示している。この製版印刷装置には、デジタル感熱製版式の製版装置19が装置本体フレーム50に装備されている。
【0019】
この製版印刷装置の全体構成および動作について、図1および図2を参照して以下に説明する。
先ず、原稿読取装置80の上部に配置された原稿載置台(図示せず)に、印刷すべき画像をもった原稿60を載置し、図2に示す操作パネル90の製版スタートキー91を押す。この製版スタートキー91の押下に伴いスタート信号が生成されこれがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム装置100の印刷ドラム101の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ12が装着されたまま残っている。
【0020】
印刷ドラム101が反時計回り方向に回転し、印刷ドラム101外周面の使用済みのマスタ12の後端部が排版装置70における排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ71bで使用済みのマスタ12の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで矢印Y1方向へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出され、使用済みのマスタ12が印刷ドラム101の外周面から引き剥がされ排版工程が終了する。このとき印刷ドラム101は反時計回り方向への回転を続けている。剥離排出された使用済みのマスタ12は、その後、圧縮板75により排版ボックス74の内部で圧縮される。
【0021】
排版工程と並行して、原稿読取装置80では原稿読み取りが行われる。すなわち、図示しない原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2からY3方向に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素子)からなる画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。
【0022】
原稿60の光学情報は画像センサ89で光電変換され、そのアナログの電気信号は図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換基板に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジタル画像信号は後述するように復号化回路にてイメージデータ信号に復号処理され、さらに後述するサーマルヘッド駆動回路で公知の処理をされてサーマルヘッド10に送信される。
なお、上記復号化回路を介して上記サーマルヘッド駆動回路に入力されるイメージデータ信号は、画像センサ89で読み取ったものに限らず、例えば密着センサ等の画像センサで読み取ったものや、パーソナル・コンピュータ等から送信される画像信号(ラスタイメージデータ等)であっても構わない。
【0023】
一方、この画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報(画像データ信号)に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、マスタ12は、製版装置19の所定部位にマスタ12を繰り出し可能にセットされ、芯管12aの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタロール12Aから引き出され、サーマルヘッド10にマスタ12を介して押圧しているプラテンローラ14、および一対のテンションローラ15a,15bの回転により副走査方向Y(マスタ搬送方向でもある)の下流側に搬送される。このように搬送されるマスタ12に対して、サーマルヘッド10における副走査方向Yと直交する主走査方向にライン状に並んだ多数個(複数個)の微小な発熱体9が、上記サーマルヘッド駆動回路から送られてくる画像データ信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱体9に保護膜層(図示せず)を介して接触しているマスタ12の熱可塑性樹脂フィルム部分が加熱溶融穿孔される。このように、画像情報に応じたマスタ12の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとしてマスタ12に書き込まれる。
【0024】
プラテンローラ14は、タイミングベルトおよびギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ送りモータ11に連結されていて、マスタ送りモータ11により回転される。マスタ送りモータ11は、例えばステッピングモータからなる。マスタ送りモータ11の回転駆動力は、ギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して、テンションローラ対15a,15bおよび電磁クラッチ(図示せず)を介して上下一対の反転ローラ17a,17bに伝達されるようになっている。
【0025】
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ12の先端は、ガイド板16上を案内されつつ反転ローラ対17a,17bにより印刷ドラム101の外周部側へ向かって送り出され、給版ガイド板18により進行方向を下方へ変えられ、図示する給版位置状態にある印刷ドラム101の拡開したマスタクランパ102(二点鎖線で示す)へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム101は、排版工程により使用済みのマスタ12を既に除去されている。
【0026】
そして、製版済みのマスタ12の先端が、一定のタイミングでマスタクランパ102によりクランプされると、印刷ドラム101は図中A方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ12を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ12の後端部はカッタ13により一定の長さに切断される。
【0027】
一版の製版済みのマスタ12が印刷ドラム101の外周面に巻装されると製版および給版工程が終了し、印刷工程が開始される。先ず、給紙台51上に積載された印刷用紙62の内の最上位の1枚が、給紙コロ111および分離コロ対112a,112bによりレジストローラ対113a,113bに向けて矢印Y4方向に送り出され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム101の回転と同期した所定のタイミングで印圧装置120に送られる。送り出された印刷用紙62が、印刷ドラム101とプレスローラ103との間にくると、印刷ドラム101の外周面下方に離間していたプレスローラ103が上方に移動されることにより、印刷ドラム101の外周面に巻装された製版済みのマスタ12に押圧される。こうして、印刷ドラム101の多孔部および製版済みのマスタ12の穿孔パターン部(共に図示せず)からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙62の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0028】
この時、印刷ドラム101の内周側では、インキ供給管104からインキローラ105とドクターローラ106との間に形成されたインキ溜まり107にインキが供給され、印刷ドラム101の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム101の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ105により、インキが印刷ドラム101の内周側に供給される。インキ供給管104、インキローラ105およびドクターローラ106は、印刷ドラム101上の製版済みのマスタ12にインキを供給するインキ供給手段を構成する。
【0029】
印圧装置120において印刷画像が形成された印刷用紙62は、排紙装置130における排紙剥離爪114により印刷ドラム101から剥がされ、吸着用ファン118により吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された搬送ベルト117の反時計回り方向の回転により、矢印Y5のように排紙装置130へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにしていわゆる版付け印刷が終了する。
次に、図2に示すテンキー93で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー92を押すと上記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程がセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0030】
以下、操作パネル90、マスタ12および製版装置19周りの構成について補足説明をする。
操作パネル90は、原稿読取装置80の上部の一側部に配設されている。操作パネル90には、図2に示すように、製版スタートキー91、テンキー93、印刷スタートキー92、試し刷りキー94、湿度表示キー96、湿度制御オン/オフキー97、オンランプ97a、LCD(液晶表示装置)表示部98および印刷枚数表示器99等が配置されている。
【0031】
製版スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、印刷スタートキー92は、テンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試し刷りキー94は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。試し刷りキー94は、1回押すと1枚通紙されて試し刷り印刷され、押し続けるとその枚数分通紙されて試し刷り印刷される。
【0032】
湿度表示キー96は、これを1回押すことによりその内部に設けられたLED(発光ダイオード)を点灯表示すると共に、LCD表示部98に湿度情報としての例えば相対湿度を表示し、2回押すと上記LEDを消灯すると共に、LCD表示部98に表示された上記相対湿度の表示を消去する機能を有する。
湿度制御オン/オフキー97は、LCD表示部98に表示された湿度情報としての相対湿度に基づいて、ユーザが後述する第1の制御手段または第2の制御手段による制御を行うか否かを手動で選択する制御選択手段としての機能を有し、具体的にはユーザがLCD表示部98に表示された相対湿度を視認することにより任意に湿度情報に応じてのサーマルヘッド10への通電周期を変える制御、印加エネルギーを変える制御およびプラテンローラ14のサーマルヘッド10に対する押圧力を変える制御を行うかどうかを設定する機能を有する。湿度制御オン/オフキー97は、これを1回押すことによりLEDからなるオンランプ97aを点灯表示させて上記制御を行える状態に設定されていることを表示する機能を、2回押すことによりオンランプ97aを消灯させて上記制御を行えない状態に設定されていることを表示する機能を有する。
【0033】
LCD表示部98は、図示しないLCD駆動回路を介して駆動され、図1に示す製版装置19に配置された湿度検出センサ1により検出された湿度情報に係る湿度データを報知・表示する報知手段ないしは表示手段としての機能を有するほか、操作の状態や警告等のメッセージあるいは選択されている機能等の表示をしたり、その機能を選択・設定するための操作内容を随時表示したりする機能を有する。報知手段としては、LCD表示部98に限らず、例えばLED駆動回路を介して駆動制御されるLEDによる湿度情報の表示等も含まれる。
【0034】
湿度表示キー96は、これに限らず、例えば湿度制御オン/オフキー97のように、湿度表示キー96の押下による上記信号の生成を表示するLEDを該キーから独立して設けたような構成のキーやボタン等でもよい。これと反対に、湿度制御オン/オフキー97は、これに限らず、例えば1回押すと、そのキーの内部に配設されているオン文字部の図示しないLEDが点灯することで、2回押すと、上記オン文字部の点灯が消灯すると共に、そのキーの内部に配設されているオフ文字部の図示しないLEDが点灯することで、上記信号の生成や消滅を視認できるようにしてもよい。
印刷枚数表示器99は、図示しないLED駆動回路を介して印刷枚数および印刷動作中の残印刷枚数等を表示する機能を有する。
【0035】
マスタ12は、従来技術で述べたと同様の特性を有するフィルムとそれを支持している多孔性支持体とから構成されており、その多孔性支持体は天然繊維または天然繊維と合成繊維(化学繊維)とが混抄されたものからなり、吸湿性を有する天然繊維および湿度依存性の少ないフィルムを具備している。そのため、雰囲気湿度(相対湿度)が高い状況では天然繊維が吸水し膨張することにより、多孔性支持体と貼り合わせたフィルムも結果的に張らせることとなって、穿孔に影響のあるマスタ12自体の平滑性を上げる特性を持つものである。逆に言えば、雰囲気湿度が低い状況では、マスタ12の多孔性支持体の平滑性は高湿時に対して劣るものである。また、マスタ12のフィルムの表面上には、帯電防止剤やスティック防止剤等を含有したオーバーコート剤が一般的には塗布されている。
また、マスタ12には、図示してはいないが、接着層があるのが一般的である。一般的に、製版印刷装置で使用されるマスタ12の厚みとしては、20〜60μmの範囲のものであり、そのうちのフィルムの厚みとしては、1〜8μmの範囲のものが使用される。
【0036】
製版装置19には、サーマルヘッド10をプラテンローラ14に対して相対的に接離させる周知の接離手段と、サーマルヘッド10とプラテンローラ14との押圧力を変える図3に示す押圧力調整手段30とが配設されている。
上記接離手段は、その図示を省略しているが、例えば本願出願人が提案した特開平10−157052号公報の図4および図5等に示されているものと略同様の構成を具備している。
【0037】
図3において、符号20は、サーマルヘッド10を支持・固定するサーマルヘッド支持部材を、符号21は、サーマルヘッド支持部材20を介してサーマルヘッド10をプラテンローラ14へ接離する方向に接離・揺動する際の中心となる支軸をそれぞれ示す。
押圧力調整手段30は、図3に示すように、装置本体フレーム50に固設された図示しない製版側板に固着されその出力軸にウォーム34が取付けられた正転および逆転可能なプラテン押圧可変モータ35と、その一端がサーマルヘッド支持部材20の左端に係止され他端が後述する可動軸32の一端に係止されたスプリング(引張ばね)31と、スプリング31の他端が係止されていて、かつ、上記製版側板に固着された不動部材に形成された溝(共に図示せず)を介して進退方向Zにのみ往復直線運動可能に支持されその内周部に雌ねじが形成された可動軸32と、可動軸32の雌ねじと螺合する雄ねじがその外周部に形成され回転自在な回転軸33と、この回転軸33に固設されウォーム34と常時噛合するウォームホイール36と、回転軸33の他端に固設されウォームホイール36の回転数を検出するためのエンコーダ板37と、上記製版側板に固着されエンコーダ板37を所定の間隔をもって挾み付ける回転数検出センサ38と、可動軸32の外周部から突出形成された遮蔽板32aと、上記製版側板に固着され所定の間隔をもって遮蔽板32aを挾み付けてエンコーダ板37、すなわち可動軸32のホームポジション(押圧標準状態を示す位置)を検知するためのホームポジションセンサ39とから主に構成される。
【0038】
エンコーダ板37は、外周部に多数のスリットを形成されて周知のフォトエンコーダであり、回転数検出センサ38およびエンコーダ板37の協働により発生するパルス数に対応したウォームホイール36の回転数、すなわち進退方向Zのにおける可動軸32の進退量、換言すればスプリング31の引張り長さの変位量を検出することができる。
【0039】
上記接離手段および押圧力調整手段30が上記のとおり構成されていることにより、スプリング31の両端はサーマルヘッド支持部材20の左側自由端部および可動軸32で変位可能に係止されていることになる。それ故に、プラテン押圧可変モータ35の正転あるいは逆転の回転駆動により、プラテン押圧可変モータ35の回動量がウォーム34からウォームホイール36に伝達され、さらに上記ネジ機構によって可動軸32における進退方向Zの左斜め上もしくは右斜め下への直線運動に変換されることで、可動軸32が進退方向Zの左斜め上もしくは右斜め下へ移動され、これによりスプリング31の引張り長さが変化されることとなって、スプリング31の張力が可変されるため、プラテンローラ14に対するサーマルヘッド10の相対的な押圧力(以下、「プラテンローラ押圧力」または単に「押圧力」という)が変化される。なお、本実施形態の場合、上記した押圧力制御は、常に、押圧力調整手段30のホームポジションセンサ39による稼動軸32のホームポジション検出位置から開始されるようになっている。
【0040】
次に、図4を参照して、製版装置19周辺の雰囲気の湿度(以下、「雰囲気湿度」という)を検出するための構成、サーマルヘッド10へ通電する通電周期(以下、「通電周期」または「印字周期」という)、サーマルヘッド10に印加する印加エネルギーおよびプラテンローラ押圧力等を変えるための制御構成について説明する。通電周期または印字周期は、製版速度に係るものであり、ライン周期と呼ばれることもある。
【0041】
図1に示すように、製版装置19周辺の雰囲気湿度を検出するための、後述する効果をより好ましく奏する点からサーマルヘッド10近傍の雰囲気湿度を検出するための湿度センサ1が、製版装置19におけるマスタロール12Aの支持部、サーマルヘッド10およびプラテンローラ14を覆っている図示しない上カバーの上部内壁面に配置・取り付けられている。
【0042】
湿度センサ1は、マスタ12のフィルムへの穿孔の確率を低減させないようにサーマルヘッド10の駆動条件を変えるための、製版装置19周辺の雰囲気湿度、より好ましくはサーマルヘッド10近傍の雰囲気湿度を検出するための湿度検出手段としての機能を有する。湿度センサ1は、図示しないA/D変換器を介して後述するマイクロコンピュータ2のCPUにその出力信号を送信可能に接続されている。
【0043】
湿度センサ1としては、インピーダンス変化型の湿度センサを用いて抵抗値の変化によって検出してもよいし、あるいは静電容量変化型の湿度センサを用いて静電容量の変化によって検出してもよい。これら電気湿度計に限定されず、当然のことながら、他の公知の湿度センサ、例えば現状では高価であるが赤外線吸収湿度計等を用いて雰囲気湿度としての相対湿度を検出してもよいことは言うまでもない。
ここに、インピーダンス変化型の湿度センサは、雰囲気湿度の変化によりセンサ材料の電気伝導率が変化し、抵抗値が変わることを応用しているものであり、その感湿材料の違いによりセラミック型と高分子型に分類される。但し、これらは、電気的特性、回路での取り扱いに大きな違いはない。
一方、静電容量変化型の湿度センサは、雰囲気湿度の変化に対してセンサ材料の誘電率が変化し、端子間に静電容量の変化として現れるものである。インピーダンスの変化としても捉えることも可能であるが、インピーダンス変化型の湿度センサと比べ変化量が小さい。そのため、湿度による可変コンデンサとして扱う方が適切となる場合がある。
【0044】
図4において、符号2は、マイクロコンピュータを示す。マイクロコンピュータ2は、後述するように、湿度センサ1、サーマルヘッド駆動回路27、マスタ送りモータ駆動回路41、原稿搬送ローラ用モータ駆動回路83B、操作パネル90(湿度表示キー96、湿度制御オンオフキー97、オンランプ97a、オフランプ97b、LCD表示部98)の間で、指令信号およびデータ信号を送受信し、製版印刷装置全体のシステムを制御している。マイクロコンピュータ2は、CPU(中央演算処理装置)、I/O(入出力)ポートおよびROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)等を備え、信号バスによって接続された周知の構成を有する。
【0045】
マイクロコンピュータ2は、湿度センサ1により検出された湿度情報に係る湿度データ信号に応じて、また湿度制御オンオフキー97からの低湿環境駆動条件可変指示に係る信号に基づいて、サーマルヘッド10の個々の発熱体9への通電周期(印字周期)およびサーマルヘッド10の個々の発熱体9に供給・印加する印加エネルギーを変えるようにサーマルヘッド駆動回路27を制御する第1の制御手段としての機能を有する。
第1の制御手段としての機能に付随して、マイクロコンピュータ2は、印字周期の変更に同期するように、副走査方向の解像度に対応して予め設定されている送り速度(送りピッチ)に変えるようにマスタ送りモータ駆動回路41を介してマスタ送りモータ40を制御すると共に、副走査方向の解像度に対応して予め設定されている送り速度(送りピッチ)に変えるように原稿搬送ローラ用モータ駆動回路83Bを介して原稿搬送ローラ用モータ83Aを制御する機能も有する。
【0046】
マイクロコンピュータ2は、湿度センサ1により検出された湿度情報に係る湿度データ信号に応じて、また湿度制御オンオフキー97からの低湿環境駆動条件可変指示に係るオン信号に基づいて、回転数検出センサ38およびホームポジションセンサ39からの信号を参照しながら、プラテンローラ押圧力を変えるようにプラテンローラ押圧可変回路40を介して押圧力調整手段30のプラテンローラ押圧可変モータ35を制御する第2の制御手段としての機能を有する。
【0047】
また、マイクロコンピュータ2は、湿度表示キー96からの信号に基づいて、湿度センサ1により検出された湿度情報に係る相対湿度%を表示・報知するように図示しないLCD駆動回路を介してLCD表示部98を制御する機能を有する。マイクロコンピュータ2は、湿度制御オンオフキー97からの低湿環境駆動条件可変指示に係るオン信号に基づいて、オンランプ97aを点灯するように、湿度制御オンオフキー97からのオフ信号に基づいて、オンランプ97aを消灯するように図示しないLED駆動回路を制御する機能を有する。
【0048】
マイクロコンピュータ2のROMには、湿度データに対応した印字周期を設定するための関係データおよびそのプログラムと、設定された印字周期に同期したマスタ12の送り速度および原稿60の送り速度をそれぞれ設定するための関係データおよびそのプログラムと、湿度データに対応した印加エネルギー、すなわち通電パルス幅や印加エネルギー設定のための関係データおよびその印加エネルギー調整に係るプログラムと、図5に示すフローチャートに係るプログラム等とが、予め実験等によって定められて記憶されている。
マイクロコンピュータ2のRAMには、上記CPUの計算・演算結果を一時記憶したり、上記各センサや各種キー等から入力されたオン/オフ信号やデータ信号を随時記憶する。
【0049】
図4において、符号25は復号化回路、符号26は電源を、それぞれ示す。復号化回路25は、上記A/D変換基板でデジタル符号化された画像信号をイメージデータ信号に復号する機能を有し、サーマルヘッド駆動回路27へイメージデータ信号を出力する。
マスタ送りモータ駆動回路41は、例えば1−2相励磁パルスを発生する1−2相励磁回路の出力をマスタ送りモータ40に供給するようになっている。マスタ送りモータ駆動回路41は、マスタ送りモータ40に接続されていて、マスタ送りモータ40を駆動する。
原稿搬送ローラ用モータ駆動回路83Bは、マスタ送りモータ駆動回路41と同様な構成を有し、例えば1−2相励磁パルスを発生する1−2相励磁回路の出力を原稿搬送ローラ用モータ83Aに供給するようになっている。
【0050】
サーマルヘッド駆動回路27は、復号化回路25から出力されるイメージデータ信号や、1副走査を示す信号、マイクロコンピュータ2から出力される通電パルス幅の指令およびデータ信号を受けてサーマルヘッド駆動信号を出力する駆動回路から主に構成される。またサーマルヘッド10は、1主走査分のイメージデータ信号を順次シフトするシフトレジスタと、このシフトレジスタの各段の出力をラッチするラッチ回路と、黒画素に対応するサーマルヘッド10の発熱体9のみ駆動するためのAND回路と、サーマルヘッド10の発熱体9を駆動するトランジスタと、逆電流防止用のダイオード等を具備している。
電源26は、サーマルヘッド駆動回路27に接続されていて、サーマルヘッド駆動回路27を介して、サーマルヘッド10の個々の発熱体9にマスタ12を加熱溶融穿孔するための印加エネルギーに対応する電気エネルギーを供給する。
【0051】
上述したように、本発明では、サーマルヘッド10の近傍における雰囲気湿度に応じて(特に雰囲気湿度が低い場合)、サーマルヘッド10ヘ通電する通電周期を長くし、発熱体9が発熱している時間を長く取ることでマスタ12のフィルムへ穿孔に必要な十分な熱量を加えることおよびサーマルヘッド10にマスタ12を押し付けるプラテンローラ14の押圧力を高めることで、サーマルヘッド10の発熱体9の発熱によって生じたエネルギーのロスを極力減らした状態でマスタ12へ熱を伝えることにある。
【0052】
従来においては、本発明に一見類似するような構成をとることも可能であったが、実使用上余り多くない低湿環境時に対応すべく常時印字周期を長くすることは製版印刷装置(感熱性孔版印刷装置)特有の製版時間を長くしてしまうことになり、製版時間をより短くして欲しいとのユーザ要望に応えることができなくなってしまう。また、サーマルヘッド10とマスタ12との押圧力(圧接力)を常時高めることは、サーマルヘッド10ヘ常にメカ的ストレスを与えるという観点から好ましいものではなかった。
従って、今までは低湿環境時にマスタ12のフィルムの穿孔性が多少劣化することを良しとして進めてきたのであるが、このような事情に鑑みて、本発明では低湿環境時のみサーマルヘッド10の駆動条件等を変更することで対応しようとするものである。
【0053】
マイクロコンピュータ2は、上述した本発明の基本的な機能の他に、既に公知である熱履歴制御を行う図示しない熱履歴制御手段、コモンドロップ補正制御を行う図示しない印字率補正制御手段としての機能を有すると共に、これらからのサーマルヘッド10を駆動する際の各種信号の生成を行う。加えて、マイクロコンピュータ2は、それぞれ図示しない公知の、サーマルヘッド温度別印加エネルギー調整手段、通電率別印加エネルギー調整手段、インキ温度別印加エネルギー調整手段からのサーマルヘッド10を駆動する際の各種信号の生成を行うための機能も有する。
そのため、マイクロコンピュータ2のROMには、上述した関係データおよびそのプログラムの他に、それぞれ後述するサーマルヘッド温度別印加エネルギー調整、通電率別印加エネルギー調整、インキ温度別印加エネルギー調整等を行うことによって、マスタ12の穿孔・製版時において最適な穿孔の大きさを得るための印加エネルギー(通電パルス幅または印加電圧等)に係る関係データおよびプログラム等が予め記憶されている。なお、上記ROMに予め記憶されている関係データやプログラム等の変更は、ROMチップの変更やプログラム可能なPROMとすることにより行うことができる。
【0054】
上記熱履歴制御手段は、サーマルヘッド10の個々の発熱体9を熱履歴制御するためのものであり、例えば特許第3188599号公報の段落「0014」に記載されていると同様の、特開昭57−80078号公報等に記載の記録パルス制御方式を利用した構成を有するもの、あるいは例えば特開平8−132584号公報の図8等に開示されているものが用いられる。
【0055】
上記サーマルヘッド温度別印加エネルギー調整手段は、サーマルヘッド10の個々の発熱体9に印加する印加エネルギーを、サーマルヘッド10の温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段が検出したサーマルヘッドの温度に応じて、所定のエネルギーに調整する機能を有する。
上記サーマルヘッド温度検出手段としては、例えば特許第3188599号公報の図3に示されているサーミスタ(2)と同様のものが用いられる。
【0056】
上記通電率別印加エネルギー調整手段は、サーマルヘッド10の個々の発熱体9に印加する印加エネルギーを、各発熱体9に通電させる通電数を計数する通電数計数手段が計数した通電数に応じて、所定のエネルギーに調整する機能を有する。
上記通電率別印加エネルギー調整手段の機能を概略的に説明すると、次のようになる。すなわち、穿孔・製版させる印字数が多いほど、サーマルヘッド10までのハーネス低抗分やサーマルヘッド10内のコモン電極での抵抗分のロスが大きくなり、低印字率で最適な印加エネルギーを印加させて穿孔させた場合、最適な穿孔状態が得られず、最悪の場合は印加エネルギーの不足による穿孔不良(未穿孔)が生じてしまう。このような現象を発生させないために穿孔・製版させようとする各発熱体9に対する印字数をカウントし、そのロス分を補うために通電パルス幅を長くしたりあるいは印加電圧を高くしたりして、最適な印加エネルギー条件に設定する手段である。
【0057】
上記インキ温度別印加エネルギー調整手段は、サーマルヘッド10の個々の発熱体9に印加する印加エネルギーを、インキの温度を検出するインキ温度検出手段が検出したインキの温度に応じて、所定のエネルギーに調整する機能を有する。本実施形態では、印刷ドラム101から印刷用紙62に転移されるインキの温度を直接的に検知しているのではなく、これに近い印刷ドラム101内部のインキ溜まり107の温度を、例えば特許第2756219号公報の図1(b)に示されているインキ温度検出手段としてのサーミスタ(201)と同様のものを用いて検出している。
【0058】
上記インキ温度別印加エネルギー調整手段は、上記サーミスタからのインキの温度に係る信号に基づいて、そのインキ温度に見合った最適な穿孔状態を得るために印加エネルギーを調整するものである。一般的に、インキは温度が高くなると柔らかくなり、逆に温度が低くなると硬くなる。この事実は、インキ温度が高いほどインキの吐出量すなわちインキ転移量が多くなり、逆にインキ温度が低いほどインキの吐出量すなわちインキ転移量が少なくなる。従って上記インキ温度別印加エネルギー調整手段では、上記特性を補うために印加エネルギーを調整するものである。
【0059】
上記サーマルヘッド温度別印加エネルギー調整手段、上記通電率別印加エネルギー調整手段や上記インキ温度別印加エネルギー調整手段としては、複数のマイクロコンピュータ等を用いてもよい。所定のエネルギーに調整された印加エネルギーの供給は、画像信号に応じて、サーマルヘッド10の多数(複数)の発熱体9への通電パルス幅の変化により行ってもよいし、あるいは画像信号に応じて多数の発熱体9に流す電流値もしくは多数の発熱体9に印加する印加電圧値の変化により行うようにしてもよい。
【0060】
次に、図5を参照して本実施形態おける動作の流れを上述した全体動作と相違する点を中心に説明する。
まず、湿度センサ1により検出された雰囲気湿度(相対湿度)が操作パネル90のLCD表示部98に常時表示されていない場合には、ユーザが湿度表示キー96を押すことにより、サーマルヘッド10の近傍における湿度センサ1により検出された現在の雰囲気湿度が表示される。なお、現在の雰囲気湿度が操作パネル90上に常時表示されている場合、湿度表示キー96の配設やその操作を省略してもよい(ステップS1、ステップS2参照)。
【0061】
次いで、ステップS3において、ユーザはLCD表示部98に表示された湿度情報としての相対湿度値(%)を視認することにより、湿度情報に応じてのマイクロコンピュータ2によるサーマルヘッド10の上記駆動条件を変える制御を行うかどうかを任意に設定すべく、湿度制御オン/オフキー97を操作する。
ここで、湿度センサ1により検出された雰囲気湿度(例えば相対湿度)の値によって、サーマルヘッド10の上記駆動条件を変える低湿環境駆動条件の範囲は、主としてマスタ12の多孔性支持体を構成する天然繊維の吸湿性の程度および天然繊維の構成割合によって決まるが、用いているフィルムの材質やその厚みでも多少変化するので、最終的には使用するマスタ12の仕様ごとに実験等によって決定することとなる。この低湿環境駆動条件の範囲は、例えばユーザがLCD表示部98の表示に従い、テンキー93にて入力することにより、その閾値を任意に変更できるような構成にしてもよい。
【0062】
例えば、湿度センサ1により検出された雰囲気湿度(例えば相対湿度)の値がサーマルヘッド10の上記駆動条件を変える低湿環境駆動条件の範囲にある時であって、白抜けを防止して最終的な画質向上を図りたいような場合には、湿度制御オン/オフキー97を押せばよい。湿度制御オン/オフキー97を1回押すと、オンランプ97aが点灯することにより、サーマルヘッド10の駆動条件を変えるための制御が自動的に実行される条件が設定されると共に、その設定状態になったことが視認される。
【0063】
この時、湿度制御オンオフキー97からの低湿環境駆動条件可変指示に係るオン信号に基づいて、マイクロコンピュータ2は、湿度センサ1からの湿度データ信号に応じて、印字周期の最適値および最適な穿孔状態となる印加エネルギーの値を上記ROMから選択して、サーマルヘッド10の個々の発熱体9への通電タイミングを変えると共に、印加エネルギーを変えるようにサーマルヘッド駆動回路27を制御する状態を設定する。
【0064】
またこの際、スキャナを含む原稿読取装置80での読み取り速度も合わせて変えても構わないし、一旦、RAM等のメモリにデータを取り入れ、通電タイミングに応じてデータ転送する方式を採用してもよい。また、製版搬送途中に、印刷ドラム101ヘの製版済みのマスタ12の巻装を始めるような場合には、その回転速度もあわせて変更することは言うまでもない。
すなわち本実施形態では、上記制御と共に、マイクロコンピュータ2は、印字周期の最適値の選択設定に同期するように、原稿60の送り速度およびマスタ12の送り速度の最適値を上記ROMから選択して、マスタ送りモータ40および原稿搬送ローラ用モータ83Aを駆動制御する状態を設定する。
【0065】
また同時に、マイクロコンピュータ2は、湿度制御オンオフキー97からの低湿環境駆動条件可変指示に係るオン信号に基づいて、湿度センサ1により検出された湿度情報に係る湿度データ信号に応じて、また回転数検出センサ38およびホームポジションセンサ39からの信号を参照しながら、プラテンローラ14の押圧力の最適値を上記ROMから選択して、プラテンローラ押圧可変モータ35を駆動制御する状態を設定する(ステップS4参照)。
【0066】
一方、ステップS3において、ユーザはLCD表示部98に表示された相対湿度値(%)を視認することにより、例えば多少の白抜けが発生することで画質が低下しても何よりもいち早く大量の印刷物を得たいような場合、つまり画質は重視せず短時間で大量の印刷物を得たい場合には、ユーザは湿度制御オン/オフキー97を操作せずに、すなわち湿度制御オン/オフキー97からの信号がオフのまま、換言すれば従来工程と同様にステップS5に進む。
【0067】
次いで、ステップS5において、ユーザが製版スタートキー91を押すと、スタート信号が生成されこれがトリガとなって、上記した排版工程、上記した原稿60の画像読み取り工程、上記した製版・給版工程が実行される。この製版工程では、マイクロコンピュータ2によって、湿度センサ1からの湿度データ信号に応じて、選択・設定された印字周期の最適値となるようにサーマルヘッド10の個々の発熱体9への通電タイミングが、および最適な穿孔状態となる印加エネルギーが印加されるようにサーマルヘッド駆動回路27が制御される。
上記制御と共に、マイクロコンピュータ2によって、印字周期の最適値の選択設定に同期するように、選択・設定された最適な原稿60の送り速度および最適なマスタ12の送り速度となるように、マスタ送りモータ40および原稿搬送ローラ用モータ83Aが駆動制御される。
【0068】
また同時に、マイクロコンピュータ2によって、選択設定された最適なプラテンローラ押圧力となるように、プラテンローラ押圧可変モータ35が駆動制御される。
【0069】
上述したステップS5の特有の制御は、ステップS3において、湿度制御オン/オフキー97からの信号がオフのままであって従来の製版工程と同様の場合には、勿論実行されないことを付記しておく。
【0070】
上述した特有の制御に加えて、ステップS3において、湿度制御オン/オフキー97からの信号がオフのままであって従来の製版工程と同様の場合も含め、マイクロコンピュータ2による上記熱履歴制御、上記コモンドロップ補正制御、上記通電率別印加エネルギー調整・制御によって、サーマルヘッド10の個々の発熱体9への最適な印加エネルギーが上記ROMに予め記憶されていた関係データ、すなわち予め実験等で求めておいた製版状態と通電パルス幅や印加電圧との関係データから最適な通電パルス幅や印加電圧を呼び出して設定される。
そして、マイクロコンピュータ2の制御の下に、ステッピングモータからなるマスタ送りモータ11が駆動されることによりマスタ12が繰り出し搬送されながら、上述したように設定された最適な通電パルス幅や印加電圧に基づいてマスタ12の熱可塑性樹脂フィルム部分が加熱溶融穿孔される。この製版済みのマスタ12の先端が上述したようにマスタクランパ102にクランプされた後、図1中A方向に回転する印刷ドラム101の外周面に巻装されていき、一版分の製版済みのマスタ12が印刷ドラム101の外周面に完全に巻装された時、給版工程が終了する。
【0071】
次いで、ステップS6に進み、所定の印刷枚数に応じた上記した印刷工程が実行される。この印刷工程では、マイクロコンピュータ2による上記インキ温度別印加エネルギー調整・制御によって、上記サーミスタが検出したインキの温度に応じて、インキ温度によってインキの粘性が異なりマスタ12の穿孔部分からのインキの吐出量が異なってしまうということを、マスタ12の熱可塑性樹脂フィルム部分に形成される穿孔状態(穿孔径)をコントロールし補正するという制御も同時に実施される。
【0072】
(実施例)
図6を参照して、上述した実施形態の実施例について説明する。
上記実施形態の構成・動作におけるステップS3〜ステップS5で説明した特有の制御を実施した実施例1(図6では丸1で示す)および実施例2(図6では丸2で示す)を、従来例(図6では丸3で示す)と比較して説明する。
【0073】
実施例1、2および従来例に共通する製版条件としては、以下の同一条件で実施した。
製版装置…株式会社リコー製:サーマルヘッド製版評価装置
サーマルヘッド10の仕様…解像度:300dpi(ドット/インチ)
サイズ:A3サイズ用
製版印刷装置…今回は未使用
マスタ12…フィルム:ポリエステル系で厚みが1.5μm
オーバーコート層:有り、帯電防止剤の塗布も有り
多孔性支持体:有り、天然繊維として麻とポリエステル系繊維との混抄からなる
トータルの厚み:約50μm。
【0074】
実施例1、2および従来例で相違する製版条件としては、以下の条件で実施した。
Figure 0004430345
図6は、環境(湿度センサ1が配置されているサーマルヘッド10の近傍)の相対湿度(%:Rh)を横軸に、マスタ12のフィルムの穿孔確率(%)を縦軸に取ってプロットしたものである。図6において、白抜き四角印のプロットは印字周期を2倍にすると共に押圧アップした実施例1を、黒三角印のプロットは印字周期を2倍にした実施例2を、黒菱形印のプロットは従来例をそれぞれ示す。
【0075】
実施例1および2に関しては、予め適正な穿孔状態となるよう算出された印加エネルギーをサーマルヘッド10ヘ加えている。今回は、印加エネルギーの可変は印加電圧を変えることにより行っている。また、今回は効果の確認が目的であったため、プラテンローラ14の押圧力は押付け用のスプリングの強さを変えて行ったが、実使用時には図3に示した押圧力調整手段30のスプリング31の張力をプラテン押圧可変モータ35の駆動制御により自動的に変えること等で対応することになる。
【0076】
穿孔確率を求めるためのマスタ12におけるフィルムの穿孔状態の確認方法としては、穿孔・製版されたマスタ12のフィルム部分を光学顕微鏡で観察し、「未穿孔部と不完全穿孔部と」を穿孔していない箇所としてカウントして、黒ドット・データ数に対する完全穿孔部の数を比率として求め、これを穿孔確率とした。不完全穿孔部には、インキを通過させることが可能と思われるものも存在するが、印刷ドラム101に上記穿孔・製版されたマスタ12を巻装して印刷した場合にその印刷画像に影響をきたす可能性が高いため、今回の試験では未穿孔部として扱っている。
また、フィルム部分を光学顕微鏡で観察したのは、例えば印刷ドラム101に上記穿孔・製版されたマスタ12を巻装して印刷することにより、「実際にマスタ12のフィルムの穿孔部分にインキを通過させて、通過しない箇所をカウントする」等の方策も考えられるが、インキの微妙な滲み等の要因でばらつきが大きくなってしまうことと、その個数をカウントするのが難しいからである。
【0077】
まず、丸3の従来例から分かるように、穿孔確率(一定領域内に穿孔されている確率:100%が全て穿孔)はおおよそ相対湿度60%を境に高い確率での飽和領域にある。逆に、60%を下回るにつれ穿孔確率は徐々に劣化していく。また、穿孔確率の劣化に伴い、その図示を省略しているが穿孔面積のばらつきも大きくなってきているのが知見され、マスタ12のフィルムへの熱エネルギーの伝達不足となっている箇所が顕著になってきていることが分かった。
【0078】
これに反して、丸2の実施例2においては、低湿環境の場合に印字周期を長くし、発熱時間を長く取ることで穿孔確率は改善され、画質上問題とならない合格レベルである98%以上に入っていることが分かる。
【0079】
さらに、丸1の実施例1においては、プラテンローラ14の押圧力を上げ、サーマルヘッド10の発熱体9とマスタ12のフィルムとの密着性を高めることで、穿孔確率がより改善されていることが分かる。
【0080】
本実施形態および実施例1、2によれば、サーマルヘッド10によりマスタ12のフィルム部分へ施された穿孔状態は、環境湿度が低い場合でも穿孔確率をほとんど劣化させること無く、如何なる環境下でもドット抜け・白抜けの無い良好な穿孔状態の製版物を得ることができる。
さらに、従来技術では低湿環境を見越してサーマルヘッド10ヘの通電周期はそう短くすることはできなかったが、低湿環境での穿孔不良は駆動条件の変更により補えるため、穿孔性およびサーマルヘッド10の寿命に影響を来さない範囲にて可能な限り通電周期を短く設定できるようになり、製版印刷装置(感熱性孔版印刷装置)特有の製版時間を幾らかでも短縮できるようになる。
また、任意に、サーマルヘッド10の駆動条件を変更するかどうかを選択できる構成になっているため、多少の白抜けを良しとして、製版時間を短縮させたいというユーザ要望をも可能にすることができるようになる。また、例えばコンピュータ・ネットワーク接続で遠隔地から製版装置や製版印刷装置を操作する場合にも、適宜、湿度検出手段により検出された湿度情報を得ることができるようになる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、前述した従来の問題点を解決して新規な製版装置および製版印刷装置を提供することができる。
請求項1記載の発明によれば、上記構成により、低湿と判断された時にのみ、サーマルヘッドに通電する1ライン周期を長くし、かつ、サーマルヘッドに印加する通電パルス幅を長くし、なおかつ、サーマルヘッドに印加する印加電力を小さくすることができ、その他の環境下では通常の通電周期(印字周期)で製版できるので、必要以上に製版時間が長くなることがなくなると共に、通電周期を長く取っただけではサーマルヘッドからマスタへの熱エネルギー供給量が過多になってしまうことを、適正な印加エネルギーとなるように例えばサーマルヘッドヘの印加電圧または電流値を小さく変えることで防止でき、もって穿孔径のばらつきを抑え、穿孔確率の向上に寄与することができ、ひいてはサーマルヘッドの延命化も図れる。
【0082】
請求項2記載の発明によれば、湿度検出手段をサーマルヘッドの近傍に配置したことにより、請求項1記載の発明の効果に加えて、マスタ繰り出し部の近傍に湿度検出手段を配置しているので、より正確な湿度情報を得ることができるようになる。
【0084】
請求項記載の発明によれば、上記構成により、請求項記載の発明の効果に加えて、低湿と判断された時のみサーマルヘッドとマスタとの押圧力を高めることができるので、サーマルヘッドヘの機械的なストレスを極力低減できる。
【0085】
請求項記載の発明によれば、上記構成により、請求項または記載の発明の効果に加えて、ユーザが報知手段により報知された湿度情報に基づいて、サーマルヘッドの駆動条件を変更するかどうかを任意に選択できるので、製版作業の都度、湿度を考慮しなくとも適正な穿孔状態を得ることができるようになる。また検出された湿度情報に応じてサーマルヘッドの駆動条件を変更するかしないかの制御選択手段を有することにより、画質は重視せず短時間で大量の印刷物を得たいとのユーザ要望に対応することができるようになる。
【0086】
請求項記載の発明によれば、上記構成により、請求項1ないしの何れか一つの記載の発明の効果に加えて、マスタへの穿孔の確率の向上によって、いわゆる白抜けの無い画質の良好な印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す製版印刷装置の概略的な正面図である。
【図2】製版印刷装置に配設された操作パネルの平面図である。
【図3】製版装置に配設された押圧力調整手段の正面図である。
【図4】図1に示した製版印刷装置の制御構成を表すブロック図である。
【図5】製版印刷装置の動作順序を示す簡略的なフローチャートである。
【図6】実施例1、2および従来例について、穿孔・製版の試験を行い、環境相対湿度と穿孔確率とについて3者を比較評価するためにまとめたグラフである。
【符号の説明】
3 サーマルヘッド温度別印加エネルギー調整手段、通電率別印加エネルギー調整手段、インキ温度別印加エネルギー調整手段としてのマイクロプロセッサ
1 湿度検出手段としての湿度センサ
2 第1の制御手段および第2の制御手段としてのマイクロコンピュータ
9 発熱体
10 サーマルヘッド
11 マスタ送りモータ
12 マスタ
14 プラテンローラ
19 製版装置
27 サーマルヘッド駆動回路
30 押圧力調整手段
31 スプリング
35 プラテンローラ押圧可変モータ
37 サーマルヘッド温度検出手段としてのサーミスタ
62 印刷用紙
90 操作パネル
97 制御選択手段としての湿度制御オンオフキー
98 報知手段としてのLCD表示部
101 版胴としての印刷ドラム
105 インキ供給手段を構成するインキローラ
Y 副走査方向

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムと吸湿性を有する多孔性支持体とからなるマスタに、サーマルヘッドの発熱部を接触させた状態で相対的に移動させながら穿孔・製版を行う製版装置において、
    マスタへの穿孔の確率を低減させないように上記サーマルヘッドの駆動条件を変えるための、上記製版装置周辺の雰囲気の湿度を検出する湿度検出手段と、
    上記湿度検出手段により検出された湿度情報に応じて、上記サーマルヘッドへ通電する周期を変えると共に、上記サーマルヘッドに印加する印加エネルギーを変える制御を行う第1の制御手段とを有し、
    第1の制御手段は、上記制御を行うときに、該制御を行わないときと比べて、上記サーマルヘッドへ通電する1ライン周期を長くし、かつ、上記サーマルヘッドに印加する通電パルス幅を長くし、なおかつ、上記サーマルヘッドに印加する印加電力を小さくすることを特徴とする製版装置。
  2. 請求項1記載の製版装置において、
    上記湿度検出手段を上記サーマルヘッドの近傍に配置したことを特徴とする製版装置。
  3. 請求項1または2記載の製版装置において、
    上記サーマルヘッドに対向しマスタを介して回転自在に設けられたプラテンローラと、
    上記サーマルヘッドと上記プラテンローラとの押圧力を変える押圧力調整手段と、
    上記湿度検出手段により検出された湿度情報に応じて、上記押圧力を変えるように上記押圧力調整手段を制御する第2の制御手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  4. 請求項1または3記載の製版装置において、
    上記湿度検出手段により検出された湿度情報を報知する報知手段と、
    上記報知手段により報知された湿度情報に基づいて、第1の制御手段または第2の制御手段による制御を行うか否かを手動で選択する制御選択手段と、
    を有することを特徴とする製版装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つの記載の製版装置と、該製版装置で製版されたマスタを巻装する印刷ドラムと、該印刷ドラム上のマスタにインキを供給するインキ供給手段とを具備し、上記印刷ドラム上のマスタに印刷用紙を押し付けて印刷用紙に印刷を行うことを特徴とする製版印刷装置
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