JP4627943B2 - 空気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は空気浄化装置に関し、さらには空気中の有機汚染物質が除去された清浄空気を製造すると共に、除去した有機汚染物質を分解して無害化する空気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気浄化装置としては、従来より回転ロータ式吸着濃縮装置が知られている。この空気浄化装置は、例えば有機汚染物質を吸着する吸着性及び通気性を有する回転ロータと、被処理空気を回転ロータに通すための吸着領域と、吸着領域にて被処理空気を通した回転ロータを回転ロータから有機汚染物質が放出される温度以上に加熱して回転ロータの吸着力を再生する再生領域と、再生領域にて加熱された回転ロータを冷却する冷却領域とを有し、回転ロータが吸着領域、再生領域、及び冷却領域の各領域を移動することにより被処理空気を連続して浄化するものである。この空気浄化装置では、吸着領域にて回転ロータに吸着された有機汚染物質は、再生領域における加熱によって回転ロータから放出される。回転ロータから放出された有機汚染物質は、一般に燃焼装置によって燃焼され、あるいは触媒の存在下で分解される。
【0003】
前述した空気浄化装置は、一般に再生用の加熱空気を製造するための加熱手段と、前記燃焼装置とを個別に有しており、このような空気浄化装置としては、例えば特開平10−146514号公報に記載されている排ガス処理装置が挙げられる。前記公報には、熱交換器を用いて燃焼装置の燃焼熱を回収して再生用空気の加熱に利用する構成や、燃焼装置の排気の一部を再生領域に循環させる構成等が記載されており、このような構成によれば、被処理空気の浄化に伴い発生する熱を有効に活用する上で有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の空気浄化装置は、再生時における回転ロータの温度変化が急激であったり、燃焼装置で発生した熱の熱交換時における空気の温度差が大きく、熱力学的観点からエントロピーの増大が大きいものであり、空気の浄化に際して熱エネルギーが仕事をする能力を有効に活用し、ランニングコストを低減する上で検討の余地が残されている。
【0005】
本発明は前記事項に鑑みなされたものであり、被処理空気の浄化に係るエントロピーの増大を抑制し、エネルギーロスの少ない空気浄化装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、吸着部材の吸着力を再生するために加熱した空気の熱を再生前の吸着部材の昇温に利用することにより、加熱手段で発生した熱を有効利用すると共に、吸着部材等における熱交換時に急激な温度変化を抑制する空気浄化装置を提供する。
【0007】
すなわち本発明の空気浄化装置は、有機汚染物質を吸着する吸着性及び通気性を有する吸着部材と、被処理空気を吸着部材に通すための吸着領域と、吸着領域にて被処理空気を通した吸着部材を昇温するための昇温領域と、昇温領域にて昇温された吸着部材を吸着部材から有機汚染物質が放出される温度以上に加熱して吸着部材の吸着力を再生するための再生領域と、再生領域にて加熱された吸着部材を冷却するための冷却領域とを有し、吸着部材が吸着領域、昇温領域、再生領域、及び冷却領域の各領域を移動することにより被処理空気を連続して浄化する空気浄化装置であって、吸着領域に被処理空気を通す浄化用通気路と、冷却領域、昇温領域、及び再生領域をこの順に接続し、冷却領域に空気を通し、冷却領域を通った空気を昇温領域に通し、昇温領域を通った空気を再生領域に通す再生用通気路と、昇温領域と再生領域とを結ぶ再生用通気路の空気を吸着部材から有機汚染物質が放出される温度以上に加熱する加熱手段と、冷却領域を通過し昇温領域を通過する前の空気と再生領域を通過した後の空気との間で熱交換を行う第一の熱交換器とを有する。
【0008】
前記構成によれば、吸着時から再生時にかけて吸着部材の急激な温度変化が抑制され、吸着部材と空気との広義な対向流熱交換によって、エントロピーの増大が抑制される。また再生用通気路の空気は、冷却領域において再生後の吸着部材から熱を回収し、さらに昇温領域通過前には、再生後の加熱空気の熱を前記第一の熱交換器により回収し、これらの回収熱によって吸着部材を昇温領域にて昇温させることから、発生させた熱を回収することによる熱の有効利用と、吸着部材の再生に伴うエントロピーの増大が抑制される。したがって被処理空気の浄化に係るエントロピーの増大を抑制し、エネルギーロスを少なくすることが可能となる。
【0009】
なお前記第一の熱交換器は、再生領域を通過した空気と昇温領域を通過する前の空気との間で熱交換を行うものであれば特に限定されず、具体的には、冷却領域を通過する前の空気、及び冷却領域を通過し昇温領域を通過する前の空気、のいずれか一方又は両方と、再生領域を通過した空気との間で熱交換を行うものであれば良いが、温度差のより小さな空気の間で熱交換を行うことがエントロピー増大を抑制する上で好ましいことから、再生領域を通過した後の空気と、冷却領域を通過し昇温領域を通過する前の空気との間で熱交換を行うものであることが好ましい。
【0010】
また前記各領域は、導入される任意の空気と吸着部材との接触が行われる領域であれば良く、このような領域は、例えば吸着部材が移動自在な状態で吸着部材の全部又は一部を覆うケーシングと、このケーシングに形成される複数の通気口と、この通気口に対応してケーシング内において吸着部材とケーシングとの間の空間を仕切る仕切り板とによって構成することが可能である。
【0011】
本発明では、再生用通気路等の通気路の構成、及びこれと熱交換器との組み合わせによって、エントロピー増大の抑制及びエネルギーロスの低減においてより一層有効な構成を実現することが可能である。なお、本発明に用いられる熱交換器については、温度差の小さい空気の間で熱交換を行うように適宜配置することが好ましい。
【0012】
まず前記再生用通気路は、再生領域を通過した空気を、昇温領域と加熱手段とを結ぶ再生用通気路に導入する通気路であると、昇温領域を通過して熱を放出した空気と、再生領域を通過した空気とが加熱手段による加熱前に混合され、加熱手段に導入される前の空気の温度がより高められ、加熱前後の空気の温度差をより小さくすることができ、エントロピーの増大を抑制し、エネルギーロスを少なくする上でより好ましい。
【0013】
また本発明の空気浄化装置は、加熱手段と再生領域とを結ぶ再生用通気路に接続され加熱手段によって加熱された空気を外部に排出する排出用通気路と、加熱手段によって加熱される前の再生用通気路の空気と排出用通気路の空気との間で熱交換を行う第二の熱交換器とを有することが、加熱前の空気の温度を高くし、あるいは再生用通気路の空気の温度を適切に調整する上でより好ましい。
【0014】
なお前記第二の熱交換器は、前記排出用通気路中の空気と加熱手段で加熱される前の空気との間で熱交換を行うものであれば特に限定されず、具体的には、冷却領域を通過する前の空気、冷却領域を通過し昇温領域を通過する前の空気、及び昇温領域を通過し加熱手段で加熱される前の空気のいずれか一つ又は二つ以上と熱交換を行うものであれば良い。
【0015】
また本発明の空気浄化装置は、昇温領域を通過し加熱手段で加熱される前の再生用通気路の空気と、加熱手段によって加熱され再生領域を通過する前の再生用通気路の空気との間で熱交換を行う第三の熱交換器を有すると、加熱前後の空気の温度差をより小さくすることができ、エントロピーの増大を抑制し、エネルギーロスを少なくする上でより好ましい。
【0016】
なお前記第三の熱交換器は、加熱における直前直後の空気の間で熱交換を行うものであることが好ましく、具体的には、昇温領域を通過し加熱手段で加熱される前の空気と、加熱手段で加熱され再生領域を通過する前の空気や、前記第二の熱交換器を通過する前の前記排出用通気路の空気、との間で熱交換を行うことが好ましい。
【0017】
また再生用通気路は、前記昇温領域及び冷却領域のそれぞれにおいて、通気路中の空気を吸着部材に複数回通過させる通気路であると、冷却領域における吸着部材からの熱回収や、昇温領域における吸着部材への加熱効率を向上させる上でより好ましい。
【0018】
本発明では、従来より知られている種々の加熱手段を用いることができるが、燃焼装置と、この燃焼装置の周囲に設けられ有機汚染物質を分解するための触媒金属を含有する通気体と、燃焼装置及び通気体を内部に収納する燃焼室とを有する燃焼式ヒータであると、空気の加熱と、有機汚染物質の分解とを単一の加熱手段で行うことが可能となり、装置の省力化運転や小型化等の観点からより好ましい。
【0019】
また前記第三の熱交換器を設ける場合では、加熱手段による加熱前の空気の温度をより高温に制御することが可能であり、また加熱直後の空気は系内において最も高温であることから、第三の熱交換器と加熱手段との間の再生用通気路に、有機汚染物質を分解するための触媒を有すると、有機汚染物質の分解や無害化を促進させる上でより好ましい。
【0020】
前記燃焼装置は、少なくとも前記触媒の存在化で有機汚染物質を燃焼させることができ、かつ加熱空気を生成するのに十分な熱量を発生するものであれば特に限定されず、このような燃焼装置としては、例えばガスバーナや、灯油バーナ等の液体燃料バーナ、ニクロム線を有する電気ヒータ等が挙げられる。
【0021】
前記通気体は、プラチナやパラジウム等の触媒金属を含み、前記燃焼装置によって加熱された状態の空気が通気自在なものであれば特に限定されず、格子体や網目体等、種々の構成が挙げられるが、加熱空気と密な接触性が得られるものが好ましい。また通気体は前記燃焼室中に一体又は二体以上収納しても良い。また通気体は触媒金属によって構成されていなくても良く、例えば触媒金属を表面に担持するものであっても良い。
【0022】
前記触媒は、空気中の有機汚染物質を分解するためのものであれば良く、使用条件に応じて適当なものを用いることが好ましい。本発明では、比較的高温の環境下で使用することが好ましいことから、耐熱性及び活性に優れたプラチナやパラジウム等の触媒金属を使用することが好ましい。なお再生用通気路中に設けられる触媒には、前述した通気体を用いても良いし、又は触媒を表面に担持する粒子であっても良い。前記粒子は通気路に充てんすることにより再生用通気路中に設けることができる。
【0023】
また本発明では、空気浄化装置の処理風量や、有機汚染物質の種類等に応じて種々の形態の吸着部材を用いることができる。
【0024】
本発明で用いられる吸着部材は、少なくとも有機汚染物質を吸着する吸着性及び通気性を有する部材であり、前記吸着領域、昇温領域、再生領域、及び冷却領域の各領域を移動するものであれば良い。このような吸着部材としては、例えば無端ベルト状、円柱状、環状等の吸着部材が装置の小型化等の観点から好ましくは挙げられる。このような形状の吸着部材は、プーリの回転又は吸着部材自体の回転によって各領域を移動させることが可能である。
【0025】
また吸着部材は、空気中の有機汚染物質を吸着するための吸着成分を少なくとも表面に有するものであれば良く、吸着形態については特に限定されないが、物理吸着によって有機汚染物質を吸着するものであることが、耐久性や繰り返し使用における吸着効率低下を抑制する観点から好ましい。このような吸着部材としては、例えばハニカム構造等の多孔質体に形成されたセラミック焼結体、又はこのような多孔質体の表面に吸着成分が担持されたもの等を好ましくは例示することができる。
【0026】
また吸着部材は、吸着成分を含む多孔質体を成形することによって吸着部材全体が形成されていても良いが、吸着成分を含む板状多孔質部材を適当な枠体で支持することで形成しても良い。このような構成であると、種々の形態の吸着部材を形成するのに好適であり、空気浄化装置の処理風量能力や有機汚染物質の種類等に応じて適当な吸着部材を構成する上で好ましい。
【0027】
本発明に用いられる吸着部材としては、例えば環状の板状部材であり、内周側の枠体と、外周側の枠体と、これらの枠体によって平面状に支持される多孔質の板状吸着材とを有し、環の中心軸を回転軸として回転自在に設けられる吸着部材が挙げられる。このような構成によれば、処理風量能力が比較的小さな空気浄化装置に適用する上で好ましい。
【0028】
また本発明に用いられる吸着部材としては、例えば、環状の部材であり、内周側の枠体と、外周側の枠体と、これらの枠体によって吸着部材の端面に対して斜めに支持、例えば吸着部材の一端側から見たときに吸着部材の円周方向に沿って山と谷が連続して形成されるように支持される多孔質の板状吸着材とを有し、環の中心軸を回転軸として回転自在に設けられる吸着部材が挙げられる。
【0029】
このような構成によれば、吸着部材全体における板状吸着材の表面積がより大きくなり、処理風量能力が比較的大きな空気浄化装置に適用する上で好ましい。またこのような構成では、板状吸着材を支持し、かつ板状吸着材に導入される空気を分配するために、前記両枠体間に掛け渡される支持部材を設けることがより好ましい。
【0030】
また本発明では、有機汚染物質の種類に応じて、二種以上の吸着材を併用しても良い。このような吸着材としては、例えば低沸点の有機汚染物質を吸着するための吸着材としての活性炭等が挙げられる。二種以上の吸着材を併用する場合では、吸着材の物性に応じて適当に配置することが好ましい。
【0031】
このような吸着部材としては、例えば二層構造の部材であり、再生領域を通過する空気の流れ方向において、上流側に設けられる上流側吸着材と、下流側に設けられる下流側吸着材とを有し、この下流側吸着材が活性炭を含む吸着材である吸着部材が挙げられる。このような多層構造の吸着部材では、上流側から下流側に向けて、耐温性の高い吸着材を積層することが、吸着材への熱的影響を低減する上で好ましい。例えば、前述したセラミック系の吸着材と活性炭とを併用する場合では、活性炭を高温再生気流に対して下流側吸着材とする。
【0032】
本発明の空気浄化装置では、前述した各種手段や部材の他にも、通気路中の空気を送風する送風手段や、通気路中の空気の送風量を制御する送風量制御手段や、吸着部材の移動速度を制御する変速機や、空気浄化装置の運転状況を監視するための各種検出手段等、種々の手段等を適宜設けることが可能である。これらの手段を適宜設けることにより、空気浄化装置のさらなる好適な運転が可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の空気浄化装置における一実施の形態を説明する。
本実施の形態における空気浄化装置は、図1に示すように、少なくとも有機汚染物質を吸着する吸着性及び通気性を有する吸着部材1と、被処理空気を通す浄化用通気路2と、再生用通気路3とを有する。なお本実施の形態では、便宜上、図1における吸着部材1の下側を「一端側」、吸着部材1の上側を「他端側」として説明する。また本実施の形態では、説明にあたって「上流側」及び「下流側」との用語を用いるが、これらは再生用通気路3における空気の流れ方向、又は吸着部材1の移動方向(それぞれ図1に矢印にて示す)を基準とする。
【0034】
吸着部材1は環状の板状部材であり回転自在に設けられている、吸着部材1は、図示しないケーシングに収納されている。このケーシングは、ラビリンスパッキンを有する仕切り板によって吸着領域4、昇温領域5、再生領域6、及び冷却領域7の各領域を形成し、吸着部材1は回転によって各領域を移動するように構成されている。浄化用通気路2は吸着領域4と接続されている。再生用通気路3は、まず冷却領域7に接続され、次いで冷却領域7と昇温領域5を接続し、次いで昇温領域5と燃焼式ヒータ11を接続し、次いで燃焼用ヒータ11と再生領域6を接続している。
【0035】
冷却領域7よりも上流側の再生用通気路3には、送風機f1と、後述する排出用通気路中の空気と冷却領域7よりも上流側の空気との間で熱交換を行う熱交換器h1と、熱交換器h1の上流側及び下流側の再生用通気路3同士を接続するバイパス通気路8と、冷却領域7よりも上流側でバイパス通気路8よりも下流側の空気の温度を検出する温度計9とが設けられている。バイパス通気路8には自動弁10が設けられている。自動弁10は、温度計9と接続されており、温度計9の検出結果に基づいて開度を調整するものである。
【0036】
冷却領域7では、前記仕切り板と再生用通気路3によって蛇行形状の通気路が形成されており、再生用通気路3によって導入される空気が、冷却領域7において吸着部材1の一端側から他端側へ吸着部材1を複数回(本実施形態では三回)通過するように構成されている。冷却領域7よりも下流側で昇温領域5よりも上流側の再生用通気路3には、後述する再生後の空気と冷却後の空気との間で熱交換を行う熱交換器h2が設けられている。また昇温領域5では、冷却領域7と同様に、前記仕切り板と再生用通気路3によって蛇行形状の通気路が形成されており、再生用通気路3によって導入される空気が、昇温領域5において吸着部材1の他端側から一端側へ吸着部材1を複数回(本実施形態では三回)通過するように構成されている。
【0037】
昇温領域5よりも下流側で燃焼式ヒータ11よりも上流側の再生用通気路3には、後述する排出用通気路の空気と再生用通気路3の空気との間で熱交換を行う熱交換器h3と、送風機f2と、加熱後再生前の加熱空気と再生用通気路3の空気との間で熱交換を行う熱交換器h4及びh5と、それぞれの熱交換器のすぐ下流側にあって有機汚染物質を分解するための触媒c1及びc2とが設けられている。
【0038】
燃焼式ヒータ11は、バーナ11aと、このバーナ11aを収容する副燃焼室11bと、副燃焼室11bを囲むメッシュ状の通気体11c〜11eと、これらを収納する燃焼室11fとを有する。通気体11c〜11eは2mm角程度の目の粗さであり触媒金属であるプラチナで形成されている。通気体11cは通気体11dに囲まれ、通気体11dは通気体11eに囲まれるように設けられている。
【0039】
燃焼式ヒータ11よりも下流側で再生領域6よりも上流側の再生用通気路3には、有機汚染物質を分解するための触媒c3と、熱交換器h5及びh4とが設けられている。また熱交換器h4よりも下流側で再生領域6よりも上流側の再生用通気路3からは排出用通気路12が分岐し、延出している。なお排出用通気路12は、熱交換器h3及びh2を経て通気路中の空気を外部に排出する通気路である。
【0040】
再生領域6では、再生用通気路3は、再生領域6に導入した加熱空気が吸着部材1の他端側から一端側へ吸着部材1を通過する通気路を形成している。再生領域6よりも下流側の再生用通気路3は、熱交換器h2を経て、熱交換器h3よりも下流側で送風機f2よりも上流側の再生用通気路3に接続している。
【0041】
吸着部材1は、図2に示すように、複数のローラによって水平方向に支持されており、減速装置13を介してモータ14の動力が伝達されるように構成されている。吸着部材1は、図4に示す通気自在な多孔質吸着材を、図3に示すように、内周側の枠体1aと外周側の枠体1bとによって平面状に支持することによって形成されており、外周側の枠体1bの全周に設けられた噛合部によって減速装置13と接続されている。なお吸着部材1は、鉛直方向に、すなわち回転軸が水平方向に延出するように、支持されていても良いし、形状についても円盤状であっても良い。
【0042】
なお、図4に示す多孔質吸着材は、特開平11−19436号公報、特開平11−70313号公報、特開平11−333226号公報に開示されているようなセラミックケミカルフィルタであり、セラミックペーパ等の無機鉱物製セラミックによってハニカム構造体等の支持体を適当な形状に成形し、その表面にゼオライト、アルミノケイ酸塩鉱物、アルミノケイ酸亜鉛鉱物アルカリ塩、無機酸塩、及び金属酸化物等から選ばれる無機材料を添着し焼成したものである。
【0043】
次に、有機汚染物質を含む工場排出ガスを被処理空気とする場合を例に、前述した空気浄化装置における作用を説明する。
【0044】
まず被処理空気の浄化について説明すると、浄化用通気路2から吸着領域4へ工場排出ガスが送られる。吸着領域4に送られた工場排出ガス中の有機汚染物質は吸着部材1によって吸着され、工場排出ガスは、吸着部材1を通過することによって浄化される。吸着領域4を通過して浄化されたガスは、大気中に放出される。
【0045】
一方で有機汚染物質を吸着した吸着部材1は、吸着領域4を通過し昇温領域5に至る。ここで吸着部材1は、再生用通気路3の空気によって三回にわたり昇温される。昇温領域5では、冷却領域7で吸着部材1から回収された熱、及び熱交換器h2によって再生後の空気から回収された熱によって吸着部材1を昇温することから、吸着部材1は、吸着部材1が再生領域6で加熱されたときの温度未満に昇温される。なお再生用通気路3における空気の流れと熱回収等については後に詳しく説明する。
【0046】
昇温領域5で昇温した吸着部材1は、昇温領域5を通過し再生領域6に至る。ここで吸着部材1は、加熱空気(約200℃)によって加熱され、吸着した有機汚染物質を加熱空気に放出する。再生領域6では、燃焼式ヒータ11によって加熱され、熱交換器h5及びh4で熱放出して温度が調整された空気によって、吸着部材1から対象となる全ての有機汚染物質が放出される温度以上に加熱される。
【0047】
再生領域6で加熱された吸着部材1は、再生領域6を通過し冷却領域7に至る。ここで吸着部材1は、熱交換器h1、及びバイパス通気路8、温度計9、自動弁10によって温度が調整された空気によって三回にわたり冷却される。
【0048】
冷却領域7で冷却された吸着部材1は、冷却領域7を通過して再び吸着領域4に至る。前述した工程を繰り返すことにより工場排出ガスが連続して浄化される。
【0049】
次に再生用通気路3における空気の流れについて説明する。
まず、再生用通気路3の起端である外気取り入れ口から外気が導入される。ここで導入される空気は外気に限定されず、また空調機によって予め調整された空気であっても良い。
【0050】
再生用通気路3に導入された空気は、自動弁10の開度に応じて熱交換器h1とバイパス通気路8とに分配される。このときの分配条件は、温度計9によって検出される空気の温度であり、冷却領域7上流側の空気が所定の温度(例えば25℃)になるように自動弁10の開度が制御される。導入された空気の温度が低い場合は熱交換器h1への通気量が増加し、導入された空気の温度が高い場合はバイパス通気路8への通気量が増加する。
【0051】
再生用通気路3の空気は、冷却領域7においてまず吸着部材1を一回通過し、吸着部材1との間で熱交換を行い、吸着部材1を冷却し、また吸着部材1によって例えば60℃に加熱される。この加熱された空気は、冷却領域7において、一回目の通過位置よりも吸着部材1の回転方向の上流側でさらに吸着部材1を通過し、冷却領域7において、二回目の通過位置よりも吸着部材1の回転方向のさらに上流側で吸着部材1を通過する。このように冷却領域7においては、再生用通気路3の空気が吸着部材1の温度の低い部分から順に吸着部材1を三回通過し、冷却領域7通過後の再生用通気路3の空気は130℃まで加熱され、一方で、再生領域6で再生(加熱)された吸着部材1は三段階で常温(例えば30℃前後)まで冷却される。
【0052】
冷却領域7を通過した再生用通気路3の空気は、熱交換器h2において熱交換によりさらに加熱され、この状態(例えば160℃)で昇温領域5に導入される。
【0053】
再生用通気路3の空気は、昇温領域5においてまず吸着部材1を一回通過し、吸着部材1との間で熱交換を行い、吸着部材1を昇温し、また吸着部材1によって例えば130℃に冷却される。この冷却された空気は、昇温領域5において、一回目の通過位置よりも吸着部材1の回転方向の上流側でさらに吸着部材1を通過し、昇温領域5において、二回目の通過位置よりも吸着部材1の回転方向のさらに上流側で吸着部材1を通過する。このように昇温領域5においては、再生用通気路3の空気が吸着部材1の温度の高い部分から順に吸着部材1を三回通過し、昇温領域通過後の再生用通気路3の空気は約60℃まで冷却され、一方で、吸着領域4で有機汚染物質を吸着した吸着部材1は所定の温度まで三段階で昇温される。
【0054】
昇温領域5を通過した再生用通気路3の空気は、熱交換器h3において熱交換により加熱(180℃)され、送風機f2を通り(165℃)、熱交換器h4において熱交換により加熱(350℃)され、触媒c1を通り、熱交換器h5において熱交換により加熱(550℃)され、触媒c2を通り、燃焼式ヒータ11に送られる。
【0055】
燃焼式ヒータ11に送られた空気は、バーナ11aによってさらに加熱(600℃)され、触媒c3を通過し、熱交換器h5を通過(400℃)し、熱交換器h4を通過(200℃)する。熱交換器h4を通過した空気は、一部(例えば半分)は排出用通気路12に送られ、一部は再生領域6へ送られる。排出用通気路12に送られた空気は、熱交換器h3において、昇温領域5通過後の空気との間で熱交換を行い、昇温領域5を通過し燃焼式ヒータ11で加熱される前の空気を加熱する。熱交換器3を通過した空気は、及び熱交換器h1を通り、外部に排出される。
【0056】
一方で熱交換器h4から再生領域6に送られた再生用通気路3の加熱空気は、再生領域6において吸着部材1を通過し、吸着部材1を加熱し、吸着部材1が吸着した有機汚染物質を吸着部材1から放出させる。再生領域6を通過した再生用通気路3の空気(180℃)は、有機汚染物質を含んだ状態で熱交換器h2を通過(150℃)し、昇温領域5を通過する前の空気に熱を放出する。熱交換器h2を通過した空気は、熱交換器h3にて加熱空気から熱を回収した昇温後の空気と合流して送風機f2を通る。
【0057】
有機汚染物質を含む空気は、熱交換器h4で加熱され、その後触媒c1を通過し、次いで熱交換器h5で加熱され、その後触媒c2を通過し、燃焼式ヒータ11に送られる。触媒c1及びc2の通過時に、空気中の有機汚染物質の一部が、有機汚染物質の種類と通過時の空気の温度とに応じて分解される。
【0058】
燃焼式ヒータ11では、有機汚染物質を含む空気は、まず副燃焼室11aに導入され、高温に加熱された後に、触媒金属を含む通気体11c〜11eを順次通過する。これに伴い空気中の有機汚染物質は分解される。
【0059】
燃焼式ヒータ11を通った加熱空気は、高温状態を保ったまま触媒c3に導入される。燃焼式ヒータ11を通った空気中に有機汚染物質が残存している場合では、空気中の有機汚染物質は触媒c3によってさらに分解され、再生領域6において吸着部材1から放出された有機汚染物質はほぼ分解される。
【0060】
再生に使用された加熱空気は、前述したように排出用通気路12と再生領域6とに分配され、一部は排出され、一部は吸着部材1の再生に用いられる。
【0061】
本実施の形態における吸着部材1の温度変化を図5に示す。図5において波線は吸着部材の温度を示し、実線は吸着部材1を通る空気の温度を示す。図5から、吸着領域4と再生領域6との間における温度変化は滑らかなものであることがわかる。
【0062】
ここで吸着部材1の再生に関する熱収支について説明すると、吸着部材1の再生に要する加熱は、燃焼式ヒータ11によってのみ行われている。すなわち、再生領域6での吸着部材1の加熱における熱源は燃焼式ヒータ11のみである。
【0063】
一方、冷却領域7では、再生用通気路3の空気が、再生により加熱された吸着部材1から熱を回収している。冷却後の空気は吸着部材1から回収した熱を有した状態で、熱交換器h2において再生後の空気の熱を吸収し、この空気が昇温領域5の昇温に利用されている。すなわち再生に利用した熱は冷却領域7及び熱交換器h2によって回収され、この回収された熱のみによって昇温領域5が昇温される。
【0064】
また冷却領域7では、所定温度の空気を再生領域6から離れた部分から再生領域6に近い部分へと段階的に通過させ、昇温領域5では、熱回収した空気を再生領域6に近い部分から離れた部分へ段階的に通過させており、熱の回収時において、熱を回収する側と熱が回収される側(例えば空気と空気や、吸着部材1と空気など)との温度差はより小さくなっている。
【0065】
また、燃焼式ヒータ11前後における再生用通気路3の空気の熱収支について説明すると、熱交換器h4及びh5では、加熱直後の空気から加熱直前の空気に熱が回収されており、加熱前後における空気の温度差はより小さくなっている。また、加熱直前において熱を回収した空気は触媒を通過するように構成されており、加熱直前において回収された熱は、各触媒における有機汚染物質の分解に利用されている。
【0066】
また、排出用通気路12の空気と再生用通気路3の空気との間における熱収支について説明すると、排出用通気路12では、熱交換器h1及びh3によって、燃焼式ヒータ11で発生した熱が再生用通気路3の空気の加熱に利用されている。
【0067】
本実施の形態における空気浄化装置は、吸着部材1、吸着領域4、昇温領域5、再生領域6、及び冷却領域7を有し、かつ冷却領域7、熱交換器h2、昇温領域5、燃焼式ヒータ11、再生領域6、及び熱交換器h2をこれらの順で通る再生用通気路3を有することから、冷却領域7では吸着部材1から、熱交換器h2では再生領域通過後の加熱空気から、それぞれ再生利用後の熱を回収し、この回収熱を熱源として吸着部材1における再生前の昇温が行われるので、吸着部材1の昇温と再生領域6の温度確保に要するエネルギーを節約することができる。
【0068】
また本実施の形態における空気浄化装置は、昇温領域5を有することから、吸着領域4から再生領域6への加熱による温度変化がより滑らかであり、エントロピーの増大をより抑制することができ、エネルギーロスをより小さくすることができる。
【0069】
また本実施の形態における空気浄化装置は、再生領域6よりも下流側の再生用通気路3が、昇温領域5と燃焼式ヒータ11とを接続する再生用通気路3に接続されていることから、昇温領域5で熱を放出した空気と、再生領域6を通過した加熱空気とが混合した状態で燃焼式ヒータ11に送られ、加熱前の空気の温度をより高めることで再生後の熱を有効利用することができる。
【0070】
また本実施の形態における空気浄化装置は、加熱後の空気が通る排気用通気路12、熱交換器h3及び熱交換器h1を有することから、加熱空気と昇温後の空気との間で熱交換が行われ、この熱交換後の加熱空気と冷却前の空気との間で熱交換を行うことができ、昇温前の空気の温度をより高めることで加熱前後における空気の温度差をより小さくし、また前記熱交換後の空気がもつ熱を、冷却前における再生用通気路3の空気の温度制御に利用しており、燃焼式ヒータ11で発生した熱を有効に利用することができる。
【0071】
また本実施の形態における空気浄化装置は、熱交換器h4及び熱交換器h5を有することから、燃焼式ヒータ11の直前直後の空気の間で熱交換が行われ、燃焼式ヒータ11での加熱による急激な温度変化を抑制することができ、また再生に適した温度の加熱空気を再生領域6に送ることができる。
【0072】
また本実施の形態における空気浄化装置は、再生用通気路3から導入された空気が、昇温領域5では他端側から一端側に向けて吸着部材1を三回通過し、一方で冷却領域7では一端側から他端側に向けて吸着部材1を三回通過することから、吸着領域5及び冷却領域7において、吸着部材1及びこれを通過する空気の急激な温度変化をより抑制することができる。
【0073】
また本実施の形態における空気浄化装置は、副燃焼室11bを、触媒金属を含んだ金網である通気体で囲ったことから、単一の加熱手段のみを用いて、加熱空気の生成と、有機汚染物質の分解とを行うことができる。
【0074】
また本実施の形態における空気浄化装置は、燃焼式ヒータ11前後の再生用通気路3に触媒c1〜c3を有することから、空気中の有機汚染物質の分解をより促進させることができる。
【0075】
また本実施の形態における空気浄化装置は、バイパス通気路8、温度計9、及び自動弁10を有することから、冷却前の再生用通気路3における空気の温度を適切に制御することができる。
【0076】
また本実施の形態における空気浄化装置は、セラミックを含む無機系の吸着部材1を用いることから、耐温性が高く、再生温度を高くすることができ、また温度の高い状態でも長期にわたって安定して使用することができる。
【0077】
なお吸着部材1は、前述したように板状の吸着材を枠体で支持することにより環状の板状吸着部材として構成されており、簡易な構成で高い性能を示す。このような平板状の吸着部材1は、再生用通気路3に導入される外気導入量に比べて例えば10倍程度の被処理空気を処理することができるが、より多くの被処理空気を処理する場合では、図6〜図9に示す吸着部材21を用いることが好ましい。この吸着部材21は、図6に示すように、前述した吸着部材1と同様に取り付けることができ、また吸着部材1と同様に鉛直方向に支持することもできる。
【0078】
吸着部材21は環状の部材であり、内周側の枠体21aと、外周側の枠体21bと、図9に示す多孔質の板状吸着材と、枠体21a及び21bの間に掛け渡される板状の支持部材21c、21dとを有する。支持部材21cは、他端側における板状吸着材の近接部で前記枠体間に掛け渡されており、支持部材21dは、一端側における板状吸着材の近接部で前記枠体間に掛け渡されている。
【0079】
板状吸着材は図7及び図8に示すように、吸着部材の端面に対して斜めの向きに、かつ支持部材21c及び21dにて隣り合う板状部材の一縁部が近接するように支持され、一端側から見たときに吸着材表面が連続する山と谷を形成している。板状吸着材は、形状が異なる以外は、吸着部材1で使用したものと同じものを使用することができる。なお、図8中の21eはケーシングの隔壁を示している。
【0080】
吸着部材21は、一端側から見たときに吸着材表面が山と谷を形成する構成であることから、吸着材の表面積、すなわち被処理空気の通気可能領域がより大きくなるので、処理風量のより大きな場合に用いるのに適している。
【0081】
なお、本発明の空気浄化装置では、吸着部材と、吸着部材を通過する空気との間で、時間当たりの熱容量を近い値にしておくと、吸着部材、及び前記空気のそれぞれにおける温度変化も近い値を示し、吸着領域等の各部における出入り口温度を制御する上で好ましい。よって吸着部材の移動速度や処理風量、及び外気の取入量は、吸着部材とこれを通過する空気との熱容量を検討することによって決定することが、本発明の空気浄化装置における熱効率の観点から好ましい。
【0082】
また、本発明に用いられる吸着部材は、有機汚染物質の種類に応じて、二種類以上の吸着材を用いて構成しても良く、このような一例としては、図10に示す吸着部材31が挙げられる。この吸着部材31は、セラミック系吸着材層32と、活性炭吸着材層33とを有する。セラミック系吸着材層は、吸着部材1及び21で用いられる吸着材と同じものである。活性炭吸着材層33は、セラミック系の支持体(例えばセラミックペーパによるハニカム構造体等)の表面に活性炭が担持されたものである。
【0083】
これらの層を形成するにあたっては、例えばそれぞれの吸着材層を接着して支持しても良いし、セラミック系支持体の断面において一端側には無機系の吸着成分を添着し、他端側には活性炭を担持させても良い。また三種類以上の吸着材を用いる三層以上の吸着部材も本発明では使用することができる。
【0084】
吸着部材31を図10に示す状態で本実施の形態における空気浄化装置に適用すると、再生領域6や昇温領域5のように、吸着部材を加熱する空気は、吸着部材31の他端側、すなわちセラミック系吸着材層32側から吸着部材を通過し、冷却領域7や吸着領域4のように、吸着部材を冷却する空気、あるいはほぼ等温の空気は、吸着部材31の一端側、すなわち活性炭吸着材層33側から吸着部材を通過する。
【0085】
すなわち、再生用通気路3の空気の温度が吸着部材31の温度よりも高い場合では、導入される空気の熱がセラミック吸着材層32でまず吸収され、再生用通気路3の空気の温度が吸着部材31の温度よりも低い場合では、活性炭吸着材層33の熱が導入される空気によってまず回収(冷却)されることから、高温条件下における活性炭の損傷を抑制することができる。
【0086】
このように、二層以上の吸着材層を有する吸着部材では、耐熱性の強弱によって吸着部材への空気の導入方向を決めることが、吸着材への熱的影響を抑え、長期にわたって安定した浄化を行う上で好ましい。
【0087】
【発明の効果】
本発明の空気浄化装置は、有機汚染物質を吸着する吸着性及び通気性を有する吸着部材と、被処理空気を吸着部材に通すための吸着領域と、吸着領域にて被処理空気を通した吸着部材を昇温するための昇温領域と、昇温領域にて昇温された吸着部材を吸着部材から有機汚染物質が放出される温度以上に加熱して吸着部材の吸着力を再生するための再生領域と、再生領域にて加熱された吸着部材を冷却するための冷却領域と、を有し、吸着部材が吸着領域、昇温領域、再生領域、及び冷却領域の各領域を移動することにより被処理空気を連続して浄化する空気浄化装置であって、吸着領域に被処理空気を通す浄化用通気路と、冷却領域、昇温領域、及び再生領域をこの順に接続し、冷却領域に空気を通し、冷却領域を通った空気を昇温領域に通し、昇温領域を通った空気を再生領域に通す再生用通気路と、昇温領域と再生領域とを結ぶ再生用通気路の空気を吸着部材から有機汚染物質が放出される温度以上に加熱する加熱手段と、冷却領域を通過し昇温領域を通過する前の空気と再生領域を通過した後の空気との間で熱交換を行う第一の熱交換器とを有することから、被処理空気の浄化に係るエントロピーの増大を抑制し、エネルギーロスの少ない空気浄化装置を提供することができる。
【0088】
また本発明では、再生用通気路は、再生領域を通過した空気を、昇温領域と加熱手段とを結ぶ再生用通気路に導入する通気路であると、再生後の加熱空気の熱を有効に活用する上でより一層効果的である。
【0089】
また本発明の空気浄化装置は、加熱手段と再生領域とを結ぶ再生用通気路に接続され加熱手段によって加熱された空気を外部に排出する排出用通気路と、加熱手段によって加熱される前の再生用通気路の空気と排出用通気路の空気との間で熱交換を行う第二の熱交換器とを有すると、加熱空気の熱を有効に利用し、再生用通気路の空気の温度を制御する上でより一層効果的である。
【0090】
また本発明の空気浄化装置は、昇温領域を通過し加熱手段によって加熱される前の再生用通気路の空気と、加熱手段によって加熱され再生領域を通過する前の再生用通気路の空気との間で熱交換を行う第三の熱交換器を有すると、加熱直前の空気の温度を高め、加熱前後の空気の温度差を小さくする上でより一層効果的である。
【0091】
また本発明では、再生用通気路は、昇温領域及び冷却領域のそれぞれにおいて、通気路中の空気を吸着部材に複数回通過させる通気路であると、昇温領域及び冷却領域のそれぞれにおける急激な温度変化を抑制し、かつ効率の良い熱回収及び昇温を行う上でより一層効果的である。
【0092】
また本発明では、加熱手段は、燃焼装置と、燃焼装置の周囲に設けられ有機汚染物質を分解するための触媒金属を含有する通気体と、燃焼装置及び通気体を内部に収納する燃焼室とを有する燃焼式ヒータであると、一体の加熱手段で加熱空気の生成と有機汚染物質の分解とを行うことができ、省エネルギー化及び装置の小型化の観点からより一層効果的である。
【0093】
また本発明の空気浄化装置は、第三の熱交換器と加熱手段との間の再生用通気路に、有機汚染物質を分解するための触媒を有すると、吸着部材から放出された有機汚染物質の分解を促進させる上でより一層効果的である。
【0094】
また本発明では、吸着部材は、環状の板状部材であり、内周側の枠体と、外周側の枠体と、枠体によって平面状に支持される多孔質の板状吸着材とを有し、環の中心軸を回転軸として回転自在に設けられると、簡易な構成で高性能の空気浄化装置を構築する上でより一層効果的である。
【0095】
また本発明では、吸着部材は、環状の部材であり、内周側の枠体と、外周側の枠体と、枠体によって吸着部材の端面に対して斜めに支持される多孔質の板状吸着材とを有し、環の中心軸を回転軸として回転自在に設けられると、被処理空気の処理風量を大きくする上でより一層効果的である。
【0096】
また本発明では、吸着部材は、二層構造の部材であり、再生領域を通過する空気の流れ方向において、上流側に設けられる上流側吸着材と、下流側に設けられる下流側吸着材とを有し、この下流側吸着材が活性炭を含む吸着材であると、物性の異なる複数種の有機汚染物質を吸着、分解する上でより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である空気浄化装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示される吸着部材1を示す図である。
【図3】図1に示される吸着部材1の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図4】図1に示される吸着部材1に用いられる板状吸着材を示す図である。
【図5】本実施の形態における吸着部材1及び吸着部材1を通過する空気の温度変化を示す図である。
【図6】本発明に用いられる吸着部材の他の実施の形態を示す図である。
【図7】図6に示される吸着部材21の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図8】図7におけるイ−イ線に沿って切断した状態の吸着部材を示す断面図である。
【図9】図6に示される吸着部材21で用いられる板状吸着材を示す図である。
【図10】本発明に用いられる吸着部材の他の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
1、21、31 吸着部材
1a、1b、21a、21b 枠体
2 浄化用通気路
3 再生用通気路
4 吸着領域
5 昇温領域
6 再生領域
7 冷却領域
8 バイパス通気路
9 温度計
10 自動弁
11 燃焼式ヒータ
11a バーナ
11b 副燃焼室
11c〜11e 通気体
11f 燃焼室
12 排出用通気路
13 減速装置
14 モータ
21c、21d 支持部材
21e ケーシングの隔壁
32 セラミック系吸着材層
33 活性炭吸着材層
c1〜c3 触媒
f1〜f3 送風機
h1〜h5 熱交換器

Claims (10)

  1. 有機汚染物質を吸着する吸着性及び通気性を有する吸着部材と、
    被処理空気を前記吸着部材に通すための吸着領域と、
    前記吸着領域にて被処理空気を通した前記吸着部材を昇温するための昇温領域と、
    前記昇温領域にて昇温された前記吸着部材を吸着部材から有機汚染物質が放出される温度以上に加熱して吸着部材の吸着力を再生するための再生領域と、
    前記再生領域にて加熱された前記吸着部材を冷却するための冷却領域と、を有し、前記吸着部材が前記吸着領域、昇温領域、再生領域、及び冷却領域の各領域を移動することにより被処理空気を連続して浄化する空気浄化装置であって、
    前記吸着領域に被処理空気を通す浄化用通気路と、
    前記冷却領域、昇温領域、及び再生領域をこの順に接続し、冷却領域に空気を通し、冷却領域を通った空気を昇温領域に通し、昇温領域を通った空気を再生領域に通す再生用通気路と、
    前記昇温領域と前記再生領域とを結ぶ再生用通気路の空気を前記吸着部材から有機汚染物質が放出される温度以上に加熱する加熱手段と、
    前記冷却領域を通過し前記昇温領域を通過する前の空気と前記再生領域を通過した後の空気との間で熱交換を行う第一の熱交換器と、を有する空気浄化装置。
  2. 前記再生用通気路は、前記再生領域を通過した空気を、前記昇温領域と前記加熱手段とを結ぶ再生用通気路に導入する通気路であることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
  3. 前記加熱手段と前記再生領域とを結ぶ再生用通気路に接続され加熱手段によって加熱された空気を外部に排出する排出用通気路と、前記加熱手段によって加熱される前の再生用通気路の空気と前記排出用通気路の空気との間で熱交換を行う第二の熱交換器とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気浄化装置。
  4. 前記昇温領域を通過し前記加熱手段によって加熱される前の再生用通気路の空気と、加熱手段によって加熱され前記再生領域を通過する前の再生用通気路の空気との間で熱交換を行う第三の熱交換器を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
  5. 前記再生用通気路は、前記昇温領域及び前記冷却領域のそれぞれにおいて、通気路中の空気を前記吸着部材に複数回通過させる通気路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
  6. 前記加熱手段は、燃焼装置と、前記燃焼装置の周囲に設けられ前記有機汚染物質を分解するための触媒金属を含有する通気体と、前記燃焼装置及び通気体を内部に収納する燃焼室とを有する燃焼式ヒータであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空気浄化装置。
  7. 前記第三の熱交換器と前記加熱手段との間の再生用通気路に、前記有機汚染物質を分解するための触媒を有することを特徴とする請求項4に記載の空気浄化装置。
  8. 前記吸着部材は、環状の板状部材であり、内周側の枠体と、外周側の枠体と、前記枠体によって平面状に支持される多孔質の板状吸着材とを有し、環の中心軸を回転軸として回転自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
  9. 前記吸着部材は、環状の部材であり、内周側の枠体と、外周側の枠体と、前記枠体によって吸着部材の端面に対して斜めに支持される多孔質の板状吸着材とを有し、環の中心軸を回転軸として回転自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
  10. 前記吸着部材は、二層構造の部材であり、再生領域を通過する空気の流れ方向において、上流側に設けられる上流側吸着材と、下流側に設けられる下流側吸着材とを有し、この下流側吸着材が活性炭を含む吸着材であることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
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