JP4588176B2 - 共役ジエン系重合体及びそれを用いたゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の組成を有する共役ジエン系重合体及びこの共役ジエン系重合体を含有し、十分な加工性を有するゴム組成物に関する。本発明のゴム組成物からなる加硫ゴムは優れた耐摩耗性を有し、耐ウェットスキッド性等も良好であり、転がり抵抗が小さく、特に、タイヤトレッド用として有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車に対する低燃費化の要求にともない、転がり抵抗が小さく、耐摩耗性及び破壊特性に優れ、更に、操縦安定性の代表的な指標であるウェットスキッド抵抗が大きい共役ジエン系ゴム組成物等の原料ゴムが必要とされている。
【0003】
タイヤの転がり抵抗を低減するためには、加硫ゴムのヒステリシスロスを小さくすればよい。このヒステリシスロスは各種の物性を指標として評価することができる。例えば、50〜80℃における反発弾性が大きい、50〜80℃におけるtanδが小さい、或いはグッドリッチ発熱が小さい原料ゴムが好ましい。ヒステリシスロスの小さい原料ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム及びブタジエンゴム等が挙げられるが、これらはウェットスキッド抵抗が小さいという問題を有する。
【0004】
一方、近年、タイヤ用ゴム組成物において、補強剤としてシリカ等の無機充填剤を使用する、或いは無機充填剤とカーボンブラックとを併用する方法が提案されている。無機充填剤を使用し、或いは無機充填剤とカーボンブラックとを併用したタイヤトレッドでは、転がり抵抗が小さく、ウェットスキッド抵抗に代表される操縦安定性に優れる。しかし、加硫ゴムの耐摩耗性及び引張強度等に劣るという問題がある。そして、その一因が、共役ジエン系ゴムに対する無機充填剤の親和性がカーボンブラックよりも小さく、十分な補強効果が得られない点にあると考えられている。
【0005】
この無機充填剤の1種であるシリカと共役ジエン系ゴムとの親和性を高めるため、シリカと親和性のある官能基を導入した共役ジエン系ゴムを用いることが従来より検討されている。例えば、ヒドロキシル基を導入した共役ジエン系ゴム(WO96/23027号公報)、アルコキシシリル基を導入した共役ジエン系ゴム(特開平9−208632号公報)、及びアルコキシシリル基と、アミノ基及び/又はヒドロキシル基とを導入した共役ジエン系ゴム(特開平9−208633号公報)が提案されている。しかし、これらの官能基を導入した共役ジエン系ゴムの多くは、シリカを混合する際にシリカとの相互作用が強いため、シリカの分散不良が生じたり、加工時の発熱が大きく、加工性に劣る等の問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、優れた耐摩耗性を有し、耐ウェットスキッド性等も良好であり、転がり抵抗が小さく、自動車のタイヤトレッド用等として有用な加硫ゴムを得ることができる共役ジエン系重合体及びこの共役ジエン系重合体を含有し、十分な加工性を有するゴム組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1発明の共役ジエン系重合体は、繰り返し単位として、(1)共役ジエン単位70〜99.9質量%、及び(2)1個の重合性不飽和基とポリシロキサン単位とを有する単量体単位0.1〜30質量%を含み、ムーニー粘度が20〜150(ML1+4、100℃)であり、上記重合性不飽和基は、ビニル基及びスチリル基から選ばれることを特徴とする。
【0008】
第2発明の共役ジエン系重合体は、繰り返し単位として、(1)共役ジエン単位40〜94.9質量%、(2)1個の重合性不飽和基とポリシロキサン単位とを有する単量体単位0.1〜30質量%、及び(3)芳香族ビニル単位5〜59.9質量%を含み、ムーニー粘度が20〜150(ML1+4、100℃)であり、上記重合性不飽和基は、ビニル基及びスチリル基から選ばれることを特徴とする。
【0009】
上記「共役ジエン系重合体」は、第1発明においては、(1)共役ジエン単位を形成する単量体(以下、「単量体(1)」という。)、及び(2)他の単量体と共重合する1個の重合性不飽和基とポリシロキサン単位とを有する単量体単位を形成する単量体(以下、「単量体(2)」という。)により構成される。また、第2発明では、第1発明の(1)及び(2)の各単量体に加えて、(3)芳香族ビニル単位を形成する単量体(以下、「単量体(3)」という。)により構成される。更に、第1及び第2発明においては、後述する他の重合性不飽和単量体(以下、「単量体(4)」という。)を用いることもできる。
この共役ジエン系重合体は、これらの単量体を共重合させることにより得られるランダム共重合体である。
【0010】
単量体(1)としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及びクロロプレン等が挙げられる。これらの単量体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0011】
共役ジエン系重合体における繰返し単位において、単量体(1)からなる単位の含有量は、第1発明では、70〜99.9質量%であり、特に80〜99.9質量%であることが好ましい。また、第2発明では、40〜94.9質量%であり、特に50〜89.9質量%であることが好ましい。第1及び第2発明において、単量体(1)からなる単位の含有量が下限値末満であると、ゴム組成物の加工性が改良されず、加硫ゴムの引張強度が低下する。
【0012】
単量体(2)は、ビニル基及びスチリル基から選ばれる重合性不飽和基と、この重合性不飽和基に結合されるポリシロキサン単位とを有する。ポリシロキサン単位の末端には、第3発明のように、アルコキシシリル基を導入することができる。それによって、シリカを配合してゴム組成物とした場合に、共役ジエン系重合体とシリカとの親和性を高めることができ、加工性が改善されるとともに、加硫ゴムの耐摩耗性等も向上する。この単量体(2)としては、より具体的には、下記の一般式(1)及び一般式(2)によって表されるように、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分にポリシロキサン単位が結合された単量体を使用することができる。更に、スチリル基のフェニル基のパラ位等にポリシロキサン単位が結合された単量体を用いることもできる。これらの単量体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5及びR6並びに一般式(2)におけるR7、R8、R9及びR10は水素原子又はアルキル基である。これらは水素原子又は低級アルキル基であることが好ましい。低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基及びオクチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
R1乃至R10は、すべてが同一であってもよく、すべてが異なっていてもよい。また、これらのうちのいずれかが同一であり、他は異なっていてもよい。
【0016】
更に、一般式(1)におけるm及び一般式(2)におけるnは2以上の整数であり、2〜20、特に5〜15であることが好ましい。また、重合のし易さの観点からはm及びnは10以下、特に2〜10、更には3〜10であることが好ましい。更に、一般式(1)におけるAL1及び一般式(2)におけるAL2はアルキレン基を表し、通常、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基及びプロピレン基等の炭素数1〜5の短鎖のアルキレン基である。
【0017】
共役ジエン系重合体における繰返し単位において、単量体(2)からなる単位の含有量は0.1〜30質量%であり、特に0.3〜15質量%であることが好ましい。単量体(2)からなる単位の含有量が0.1質量%未満であると、シリカを配合してゴム組成物とした場合に、共役ジエン系重合体とシリカとの親和性が不十分となり、加硫ゴムの耐摩耗性及び引張強度等が低下し、tanδも大きくなって、タイヤに用いた場合に転がり抵抗が大きくなる。一方、この含有量が30質量%を越える場合は、共役ジエン系ゴムとシリカとが相互に強く作用し合い、ゴム組成物の加工性が低下する。
【0018】
第2発明における単量体(3)としては、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン及びtert−ブトキシスチレン等が挙げられる。これらの単量体(3)は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる
【0019】
共役ジエン系重合体における繰返し単位において、単量体(3)からなる単位の含有量は5〜59.9質量%であり、特に10〜49.9質量%であることが好ましい。単量体(3)からなる単位の含有量が5質量%未満であると、加硫ゴムの耐ウェットスキッド性及び耐摩耗性が低下する。一方、この含有量が59.9質量%を越える場合は、反発弾性が小さくなり、tanδが大きくなって、タイヤに用いた場合に転がり抵抗が大きくなる。
【0020】
第1乃至第2発明の共役ジエン系ゴムのムーニー粘度は20〜150(ML1+4、100℃)であり、特に30〜120であることが好ましい。ムーニー粘度が20未満であると、タイヤゴム等として用いた場合に加工時の発熱が大きく、耐摩耗性も低下する。一方、150を越える場合は、この共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物の加工性が低下する。
尚、共役ジエン系重合体のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は100000〜2000000であり、特に100000〜1000000である。
【0021】
必要に応じて共重合させることができる単量体(4)は、共重合し得る不飽和基を1個有する化合物であればよく、その種類は特に限定されない。
この単量体(4)としては、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの単量体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
単量体(4)を使用する場合は、単量体(1)、(2)及び(3)の合計量を100質量部(以下、「部」と略記する。)とした場合に、0.1〜50部、特に0.5〜30部とすることができる。
【0022】
共役ジエン系重合体は、ラジカル重合開始剤を用いる乳化重合或いは懸濁重合により製造することができる。この重合方法は特に限定されないが、通常、乳化重合により製造することが好ましい。
【0023】
ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。また、アゾビスイソブチロニトリルにより代表されるジアゾ化合物、過硫酸カリウムにより代表される無機過酸化物、及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄との組み合せにより代表されるレドックス系触媒等を用いることもできる。これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
更に、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、タ−ピノーレン及びγ−テルピネン類等の連鎖移動剤を併用することもできる。
【0024】
乳化重合において用いられる乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。また、ふっ素系の界面活性剤を使用することもできる。これらの乳化剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0025】
懸濁重合において用いられる懸濁安定剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの懸濁安定剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0026】
乳化重合又は懸濁重合において、各単量体及びラジカル重合開始剤等は、反応容器に全量を投入してから重合を開始してもよいし、反応継続時に連続的或いは間欠的に添加してもよい。重合は酸素を除去した反応容器を用いて0〜80℃で行うことができ、反応途中で温度或いは攪拌等の操作条件などを適宜に変更することもできる。重合方式は連続式でもよいし、回分式であってもよい。
【0027】
このようにして製造された共役ジエン系重合体には、必要に応じて他の共役ジエン系ゴム(以下、「併用ゴム」という。)を含有させることもできる。
そのような併用ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−スチレン−イソプレン共重合ゴム、天然ゴム及びクロロプレンゴム等を使用することができる。更に、これらの共役ジエン系ゴムに、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基及びアルコキシシリル基のうちの少なくとも1種の官能基が導入された共役ジエン系ゴムを用いることもできる。これらの併用ゴムを含有させることにより、共役ジエン系重合体にシリカを配合した場合に、それらの親和性をより高めることができる。
【0028】
第5発明のゴム組成物は、第1乃至第4発明の共役ジエン系重合体とシリカとを含有することを特徴とする。
【0029】
ゴム組成物を実用に供する場合、通常、補強剤が配合される。この補強剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、カーボンブラック、カーボン−シリカデュアルフェーズフィラー等が挙げられる。これらの補強剤のうち、第4発明では、特に、上記「シリカ」が用いられる。このシリカとしては、一般に合成ゴムの明色補強配合剤として用いられているものを使用することができる。シリカの含有量は、共役ジエン系重合体を含む重合体成分を100部とした場合に、2〜100部、特に30〜90部とすることが好ましい。シリカの含有量が2部未満であると、十分な補強効果が得られず、耐ウェットスキッド性等が低下することがあるため好ましくない。一方、この含有量が100部であれば十分な補強効果が得られ、これを越えて多量に含有させる必要はない。
【0030】
また、シリカとカーボンブラックとを併用する場合は、その合計量を10〜100部、特に50〜90部とすることが好ましい。この合計量が10部未満であると、十分な補強効果が得られず、耐ウェットスキッド性等が低下することがあるため好ましくない。一方、この含有量が100部であれば十分な補強効果が得られ、これを越えて多量に含有させる必要はない。更に、シリカとカーボンブラックとの量比は特に限定されないが、シリカを100部とした場合に、カーボンブラックを5〜30部、特に10〜15部とすることが好ましい。この範囲の量比であれば、優れた耐ウェットスキッド性、引張強度及び反発弾性等を併せ有する加硫ゴムとすることができる。
【0031】
このように、本発明のゴム組成物を用いて得られる加硫ゴムは、優れた耐ウェットスキッド性、引張強度及び反発弾性等を有している。また、良好な加工性をも併せ有しており、このゴム組成物は、本発明のように、タイヤ用ゴム組成物として有用であり、特に、タイヤトレッド用として好適である。
【0032】
本発明のゴム組成物には、併用ゴムを含む共役ジエン系重合体及び補強剤の他、以下の各種の成分を配合することができる。
充填剤として、クレー、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等を適量配合することもできる。また、石油系配合油である芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル等のゴム用伸展油を配合し、加工性を向上させることもできる。この伸展油としては、芳香族系及びナフテン系のプロセスオイルが好ましい。
【0033】
更に、加硫促進剤として、アルデヒドアンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系及びジチオカルバミン酸系などを使用することができる。これらは併用ゴムを含む共役ジエン系重合体を100部とした場合に、0.5〜15部、特に1〜10部配合することが好ましい。また、加硫剤としては、硫黄が代表的なものであるが、その他に硫黄含有化合物及び過酸化物等を用いることもできる。この加硫剤は、共役ジエン系重合体を含む重合体成分を100部とした場合に、通常、0.5〜10部、特に1〜6部配合することが好ましい。
【0034】
この他、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、亜鉛華、加硫助剤、老化防止剤及び加工助剤などを適量配合することもできる。
【0035】
本発明のゴム組成物及びそれを用いたゴム製品は、以下のようにして製造することができる。
先ず、共役ジエン系重合体を含む重合体成分、シリカ、カーボンブラック、カ−ボン−シリカデュアル・フェイズフィラー等の補強剤、ゴム用伸展油、その他の配合剤などをバンバリーミキサ等の混練機を使用して70〜180℃の温度で混練する。その後、混練物を冷却し、これにさらに硫黄等の加硫剤及び加硫促進剤などを、バンバリーミキサ或いはミキシングロール等を用いて配合し、所定の形状に成形する。次いで、140〜180℃の温度で加硫し、所望の加硫ゴム、即ち、ゴム製品を得る。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1〜4及び比較例1(共役ジエン系重合体の製造)
重合用容器に水200部、ロジン酸石鹸4.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.15部及び表1の組成の単量体(表1における仕込量の単位は「部」である。)を仕込んだ。その後、重合用容器の温度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイド0.1部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.07部、硫酸第一鉄7水和物0.05部及びソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を添加して重合を開始した。
【0037】
重合転化率が60%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させた。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を回収して、共役ジエン系重合体を含むエマルジョンを得た。その後、このエマルジョンを硫酸と塩により凝固させてクラムとし、熱風乾燥機により乾燥させ、表1の単量体組成からなり、表1のムーニー粘度を有する実施例1〜4及び比較例1(比較例1の重合体はポリシロキサン含有単量体を有していない。)の共役ジエン系重合体を得た。
【0038】
【表1】
【0039】
ポリシロキサン含有単量体(a)としては化学式(a)により表される化合物を使用した。また、ポリシロキサン含有単量体(b)としては化学式(b)により表される化合物を用いた。化学式(b)におけるシロキサン単位の繰り返し数は3又は4であり、ポリシロキサン含有単量体(b)はこれらの混合物である。
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
表1における単量体の結合量及びムーニー粘度は以下のようにして測定した。
(1)結合スチレン量(質量%);赤外吸収スペクトル法により検量線を作成して求めた。
(2)ポリシロキサン含有単量体結合量(質量%);共役ジエン系重合体をトルエンに溶解し、メタノールで再沈殿させる精製操作を2回行い、減圧乾燥後、赤外吸収スペクトル法により、Si−CH3結合由来の波数1258cm−1における吸光度を測定し、険量線を作成して求めた。
(3)ムーニー粘度;JIS K 6300に準拠し、測定温度100℃、予熱1分、測定4分の条件で測定した。
【0043】
実施例5〜10及び比較例2〜3(ゴム組成物及び加硫ゴムの調製並びに加工性及び物性の評価)
表1の共役ジエン系重合体を使用し、表2の配合処方でラボプラストミル(東洋精機株式会社製)により混練してゴム組成物とした。その後、プレス加硫により、160℃で20分加硫し、表2に記載の実施例2〜10及び比較例2〜3の加硫ゴムを得た。
更に、これら実施例2〜10及び比較例2〜3のゴム組成物の加工性及びそれらを加硫してなる加硫ゴムの物性を評価した。結果を表2に併記する。
【0044】
表2の配合処方における配合剤としては以下のものを用いた。
(1)シリカ;日本シリカ株式会社製、商品名「ニプシルAQ」
(2)シランカップリング剤;デグッサ社製、商品名「Si69」
(3)老化防止剤;大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック810NA」
(4)加硫促進剤(a);大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーD」
(5)加硫促進剤(b);大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ」
【0045】
また、ゴム組成物の加工性及び加硫ゴムの物性は以下のようにして評価した。
尚、ゴム組成物のムーニー粘度は共役ジエン系重合体の場合と同様にして測定した。
(a)加工性;ゴム組成物をロールにより混練した際のロールへの巻き付き性により評価した。尚、評価基準は以下のとおりである。
◎;ロール面からの浮きがなく、優れている。○;僅かに浮き上がる程度であり、良好である。△;巻き付くが、浮き上がり易く、劣っている。
【0046】
(b)引張強度;JIS K 6301に準拠し、3号型試験片を用い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で、破断時強さを測定した。
(c)3%tanδ;米国レオメトリックス社製の動的アナライザー(RDA)を使用し、動歪み3%、周波数10Hz、測定温度50℃の条件で測定した。数値が小さいほど、転がり抵抗が小さく良好である。
(d)ランボーン摩耗指数;ランボーン型摩耗試験機を使用し、スリップ率が60%での摩耗量を算出した。測定温度は50℃である。指数が大きいほど耐摩耗性が良好である。
【0047】
【表2】
【0048】
表2の結果によれば、実施例5〜10のゴム組成物は、いずれも十分な加工性を有し、特に、実施例5〜6ではゴム組成物のムーニー粘度が低く、加工性に優れることが分かる。更に、実施例5〜10のゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムでは、tanδが小さいため、タイヤに用いた場合に転がり抵抗を低減することができ、ランボーン摩耗指数も十分に大きく、優れた耐摩耗性を有していることが分かる。また、シランカップリング剤を減量した実施例8及び10においても、ムーニー粘度はそれほど上昇しておらず、他の実施例と同等の引張強度及び耐摩耗性を有しており、シランカップリング剤を減量しても、優れた性能のゴム組成物及び加硫ゴムが得られていることが分かる。
【0049】
一方、繰り返し単位としてポリシロキサン単位が含まれていない比較例1の共役ジエン系重合体を使用した比較例2では、加硫ゴムのtanδが大きく、タイヤに用いた場合に転がり抵抗が増大することが推察される。更に、比較例2に比べてシランカップリング剤の配合量が少ない比較例3では、ゴム組成物の加工性が低下し、加硫ゴムのランボーン摩耗指数が小さくなり、耐摩耗性が低下することが分かる。
【0050】
【発明の効果】
第1乃至第2発明によれば、特に、第3発明のように、アルコキシシリル基を導入することにより、補強剤として配合されるシリカとの親和性の高い共役ジエン系重合体とすることができ、第5発明のように、良好な加工性を有するゴム組成物とすることができる。更に、このゴム組成物は、優れた耐摩耗性及び耐ウェットスキッド性等を有し、転がり抵抗が小さい加硫ゴムとすることができ、第6発明のように、特に、タイヤ用として有用である。
Claims (6)
- 繰り返し単位として、(1)共役ジエン単位70〜99.9質量%、及び(2)1個の重合性不飽和基とポリシロキサン単位とを有する単量体単位0.1〜30質量%を含み、ムーニー粘度が20〜150(ML1+4、100℃)であり、
上記重合性不飽和基は、ビニル基及びスチリル基から選ばれることを特徴とする共役ジエン系重合体。 - 繰り返し単位として、(1)共役ジエン単位40〜94.9質量%、(2)1個の重合性不飽和基とポリシロキサン単位とを有する単量体単位0.1〜30質量%、及び(3)芳香族ビニル単位5〜59.9質量%を含み、ムーニー粘度が20〜150(ML1+4、100℃)であり、
上記重合性不飽和基は、ビニル基及びスチリル基から選ばれることを特徴とする共役ジエン系重合体。 - 上記ポリシロキサン単位の末端にアルコキシシリル基を有する請求項1又は2記載の共役ジエン系ゴム。
- 上記の(2)1個の重合性不飽和基とポリシロキサン単位とを有する単量体単位を形成する単量体は、下記一般式(1)及び(2)に表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体。
- 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の共役ジエン系重合体とシリカとを含有することを特徴とするゴム組成物。
- タイヤ用である請求項5記載のゴム組成物。
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