JP3827020B2 - ジエン系ゴム - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、補強剤としてシリカを配合した場合に改善された発熱性、引張強度及び耐摩耗性を有する加硫ゴムを与えるジエン系ゴム及びその製造方法に関する。また、本発明は、該ジエン系ゴムからなるゴム成分及び補強剤を含んでなるゴム組成物に関する。
背景技術
近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車ダイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。
従来より、タイヤ用ゴム材料として、ジエン系ゴムに補強剤としてカーボンブラックに替えてシリカを配合したゴム組成物を用いることにより、発熱性を低めることが提案されている。ところが、シリカ配合ゴム組成物は、カーボンブラック配合ゴム組成物に比べて、十分な耐摩耗性と引張強度が得られないという問題点があった。この原因の一つは、ジエン系ゴムに対するシリカの親和性がカーボンブラックより小さいために、十分な補強効果を発現することができないことにあると考えられている。
従来、シリカとジエン系ゴムとの親和性を高めるために、シリカと親和性のある置換基を導入したジエン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、乳化重合法によるジエン系ゴムでは、第3級アミノ基を導入したジエン系ゴム(特開平1−101344号公報)が、また、アニオン重合法によるジエン系ゴムでは、アルキルシリル基(特開平1−188501号公報)、ハロゲン化シリル基(特開平5−230286号公報)または置換アミノ基(特開昭64−22940号公報)などを導入したジエン系ゴムが、提案されている。しかしながら、これらの置換基を導入したジエン系ゴムは、発熱性、引張強度及び耐摩耗性などの改善が十分でない。
一方、特公昭58−41282号公報には、グリーン強度を改善する為に、第3級アミノ基を含有するブタジエン−スチレン共重合体と4,4′−ビス−(ブロモアセチル)−ジフェニルメタン(以下、BADMと略す。)などのようなジハロゲン化物とを反応させた生成物とカーボンブラックとからなるゴム組成物が開示されている。しかしながら、この反応生成物をシリカと配合すると、引張強度の改善はみられるが、シリカ配合の特徴である筈の発熱性の改善がみられず、しかも耐摩耗性などの特性も十分でないという欠点を有している。
本発明の目的は、補強剤としてシリカを配合した場合に、加硫ゴムについて、転動抵抗の指標となる発熱性の改善が得られしかもカーボンブラックを配合した場合と同等の引張強度及び耐摩耗性が得られるようなジエン系ゴム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ジエン系ゴム及び補強剤を含有して成り、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基を含有するジエン系ゴム(以下において第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムと省略することがある)をゴム成分として用いることにより、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に十分に優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物が得られること、及び該第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムが、第3級アミノ基含有ビニル系単量体を共重合させたジエン系ゴムとモノハロゲン化炭化水素とを反応させることにより、あるいは、ハロゲン含有ビニル系単量体を共重合体させたジエン系ゴムと3級アミンとを反応させることにより効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、及び少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基を含有するビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%とからなり、第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR11-A2-NR12R13
[式中、R11は水素原子または低級アルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表されるものであり、4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR1-A1-N+R2R3R4・X1 -
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるものであり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有するジエン系ゴムが提供される。
本発明によれば、また、共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合させた後にモノハロゲン化炭化水素を反応させることを特徴とする上記ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに、共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを重合した後に3級アミンを反応させることを特徴とする上記ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに加えて、上記ジエン系ゴムからなるゴム成分及び補強剤を含んでなるゴム組成物が提供される。
第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム
本発明のジエン系ゴムは、共役ジエン単量体の結合単位と少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位(=第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位+第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位;以下、「少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位」という。)とからなり、必要に応じて、芳香族ビニル単量体の結合単位を含有する。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
4級化する炭化水素基としては、格別な限定はないが、例えば、アルキル基、アリール基またはアラルキル基などが挙げられ、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。炭化水素基の炭素数は、格別な限定はないが、通常1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
炭化水素基で4級化された第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体としては、例えば、一般式(1)
CH2=CR1−A1−N+R2R3R4・X1 - (1)
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるものが挙げられる。
一般式(1)中のR1が低級アルキル基である場合、それは具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基などを表わし、好ましくはメチル基を表わす。
一般式(1)中のR2及びR3は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基、エチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
一般式(1)中のA1は、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R5−(Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、好ましくはアリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基、一般式−C(=O)−M−R5−で表される結合基などである。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ヘキシレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などが挙げられ、一部の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい。アリーレン−アルキレン基やアルキレン−アリーレン基としては、これらの組み合わせたものが例示される。
一般式−C(=O)−O−R5−で表されるアルキレンオキシカルボニル基やアリーレンオキシカルボニル基としては、例えば、カルボニルオキシメチレン基、カルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシイソプロピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレン基、カルボニルオキシ−tert−ブチレン基、カルボニルオキシ−n−ヘキシレン基、カルボニルオキシ−n−オクチレン基などのようなカルボニルオキシアルキレン基;カルボニルオキシ−1,2−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,3−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,4−フェニレン基などが挙げられ、好ましくはカルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレン基などである。
一般式−C(=O)−NH−R5−で表されるアルキレンアミド基またはアリーレンアミド基としては、例えば、カルボニルイミノメチレン基、カルボニルイミノエチレン基、カルボニルイミノ−n−プロピレン基、カルボニルイミノイソプロピレン基、カルボニルイミノ−n−ブチレン基、カルボニルイミノ−tert−ブチレン基、カルボニルイミノ−n−ヘキシレン基、カルボニルイミノ−n−オクチレン基などのようなカルボニルイミノアルキレン基;カルボニルイミノ−1,2−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,3−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,4−フェニレン基などのカルボニルイミノアリーレン基;などが挙げられる。
また、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよい。好ましくは,R2とR3とA1が一緒になったピリジニウム環である。
一般式(1)中のR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのような低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい、アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換ベンジル基などが挙げられる。
一般式の(1)の中のX1は、ハロゲン原子を示す。具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などである。
これら一般式(1)で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の中でも、好ましい態様の一つとして、例えば、一般式(2)
CH2=CR6-Ph(R7)-(CH2)m-N+R8R9R10・X2 - (2)
(式中、R6及びR7は水素原子または低級アルキル基、R8、R9及びR10はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X2はハロゲン原子、mは1〜6の整数を示す。)
で表されるものが挙げられる。
一般式(2)中のR6及びR7は、水素原子または低級アルキル基を示す。R6の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基などが例示され、好ましくはメチル基である。
一般式(2)中のR8及びR9は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキルとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのような低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
一般式(2)中のR10は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキルとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのような低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
一般式(2)中のX2は、ハロゲン原子を示す。具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などである。
一般式(2)中のmは、1〜6の整数を示し、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1または2である。
これらの第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
第3級アミノ基含有ビニル系単量体としては、第3級アミノ基を有する重合性の単量体であれば格別な制限はないが、例えば、前記一般式(1)で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体に対応するものは、一般式(3)
CH2=CR11−A2−NR12R13 (3)
[式中、R11は水素原子または低級アルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表される。R11、R12、R13及びA2の具体例としては、一般式(1)に関連してR1、R2、R3及びA1の具体例として前述したものと同様のものが挙げられる。
また、前記一般式(2)の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体に対応する第3級アミノ基含有ビニル系単量体としては、一般式(4)
CH2=CR15-Ph(R16)-(CH2)n-NR17R16 (4)
(式中、R15及びR16は水素原子または低級アルキル基、R17及びR18はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、そしてnは1〜6の整数を示す。)で表わされる。R15、R16、R17、R18及びnの具体例としては、一般式(2)に関連して、R6、R7、R8、R9及びmの具体例として前述したものと同様のものが挙げられる。
第3級アミノ基含有ビニル系単量体の具体例としては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物、N,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物及びピリジン基を有するビニル化合物などが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物、ピリジン基含有ビニル化合物などが特に好ましい。
N,N−ジ置換アミノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフオリンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物及びN,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物としては、例えば、p−N,N−ジメチルアミノスチレン、p−N−メチル−N−エチルアミノスチレン、p−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジイソプロピルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジオクチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノプロピルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノプロピルスチレン、p−ジメチルアミノブチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノブチルスチレンなどが挙げられ、これらの中でも、p−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジイソプロピルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジプロピルアミノエチルスチレンなどが好ましい。
また、ピリジル基を有するビニル化合物としては、例えば2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどが好ましい。
これらの第3級アミノ基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
芳香族ビニルとしては、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基を有さない芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明のジエン系ゴム中の芳香族ビニル単量体の結合単位の有無は、使用目的に応じて適宜選択される。
発熱性を特に重視する場合は、共役ジエン単量体の結合単位と少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位とからなる共重合体が用いられる。その場合、共重合体中の各単量体結合単位の割合は、共役ジエン単量体の結合単位が、80〜99.99重量%、好ましくは85〜99.95重量%、より好ましくは90〜99.9重量%の範囲であり、少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位が、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位の割合が、過度に少ないと、発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でなく、一方、過度に多いと、加工性が悪化するため発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でない。
発熱性とウエットスキッド抵抗性とを高度にバランスさせるには、共役ジエン単量体の結合単位と芳香族ビニル単量体の結合単位と少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位とからなる共重合体が用いられる。その場合、共重合体中の各単量体結合単位の割合は、共役ジエン単量体の結合単位が、40〜94.99重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%の範囲であり、芳香族ビニル単量体の結合単位が、5〜55重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%の範囲であり、少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位が、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位の割合が、過度に少ないと、発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でなく、一方、過度に多いと、加工性が悪化するため発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でない。芳香族ビニル単量体の結合単位の割合が過度に多いと発熱性の改善が十分でない。
本発明のジエン系ゴム中の4級化の程度は、使用目的に応じて適宜選択されるが、ジエン系ゴム中の全第3級アミノ基量の通常5モル%以上であり、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%の範囲である。全く4級化されていない第3級アミノ基含有ジエン系ゴムを用いると発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善の効果が十分でない。
また、本発明のジエン系ゴム中の4級化された第3級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位の割合は、使用目的に応じて、上記[少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位の含有量]及び[4級化の程度]の範囲内で適宜選択されるが、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である時に、発熱性、引張強度及び耐摩耗性が高いレベルでバランスされる。
本発明のジエン系ゴムの共役ジエン結合単位部分のミクロ構造は、特に制限されず、使用目的によって適宜選択される。例えば、共役ジエン結合単位部分のビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)割合は、通常、5〜95%、好ましくは7〜50%、より好ましくは10〜30%の範囲である。共役ジエン結合単位中のビニル結合量がこの範囲にあるときに、発熱特性及び耐摩耗性が向上する。ビニル結合以外の残部の共役ジエン結合(1,4−結合)単位は、シス1,4−結合及びトランス1,4−結合のいずれであってもよい。
本発明のジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは25〜120の範囲である。ムーニー粘度が過度に小さいと発熱性及び耐摩耗性の改善が得られず、一方、過度に大きいと加工性の改善が認められない。
本発明のジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はないが、例えば、(a)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合した後にモノハロゲン化炭化水素を反応させる方法、(b)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合した後に3級アミノを反応させる方法などは、重合体分子内に第4級アンモニウム基を効率よく導入できるので好適である。
(a)の方法で用いられる共役ジエン、芳香族ビニル及び第3級アミノ基含有ビニル系単量体の具体例としては、前述したと同様のものが挙げられる。
(b)の方法で用いられるハロゲン含有ビニル系単量体としては、例えば、一般式(5)
CH2=CR19−A3−X3 (5)
[式中、R19は水素原子または低級アルキル基、A3はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R20−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R20はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、X3はハロゲン原子を示す。]
で表わされるものが挙げられる。R19、A3、一般式−C(=O)−M−R20−及びX3の具体例としては、一般式(1)に関連してR1、A1、一般式−C(=O)−M−R5−及びX1の具体例として前述したと同様のものが挙げられる。
一般式(5)で表されるハロゲン含有ビニル系単量体の好ましい態様の一つとして、例えば、一般式(6)
CH2=CR21−Ph(R22)−(CH2)r−X4 (6)
(式中、R21及びR22は水素原子または低級アルキル基、X4はハロゲン原子、rは1〜6の整数を示す。)
で表されるものが挙げられる。R21、R22、X4及びrの具体例としては、一般式(2)に関連してR6、R7、X2及びmの具体例として前述したと同様のものが挙げられる。
ハロゲン含有ビニル系単量体の具体例としては、例えば、o−クロロメチルスチレン,m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、p−ヨードメチルスチレン、p−クロロエチルスチレン、p−ブロモエチルスチレン、m−ヨードメチルスチレン、p−クロロプロピルスチレン、p−ブロモプロピルスチレン、p−ヨードブチルスチレンなどが挙げられ、これらの中でも、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン及びp−ヨードメチルスチレンが最も好ましい。
これらのハロゲン含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
各単量体の使用量は、目的とするジエン系ゴムの用途に応じて適宜選択できる。共役ジエンと第3級アミノ基含有ビニル系単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合する場合には、共役ジエンは全単量体中の80〜99.99重量%、好ましくは85〜99.95重量%、より好ましくは90〜99.9重量%の範囲で使用され、第3級アミノ基含有ビニル系単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体は全単量体中の0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲で使用される。
共役ジエンと芳香族ビニル及び第3級アミノ含有ビニル基単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合させる場合には、共役ジエンは全単量体中の40〜94.99重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%の範囲で使用され、芳香族ビニルは全単量体の5〜55重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%の範囲で使用され、第3級アミノ基含有ビニル系単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体は全単量体中の0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲で使用される。
上記各単量体を用いる(a)または(b)の重合方法は、特に限定はないが、通常乳化重合法が採用される。乳化重合法は、通常の乳化重合手法を用いればよく、例えば、所定量の上記単量体を乳化剤の存在下に水生媒体中に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する方法が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及び/又はロジン酸塩が用いられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などのカリウム塩またはナトリウム塩などが例示される。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどのような過硫酸塩;過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄との組合わせ、有機過酸化物と硫酸第二鉄との組み合わせ、及び過酸化水素と硫酸第二鉄との組み合わせなどのようなレドックス系開始剤;などが用いられる。
共重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を添加することもできる。連鎖移動剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルビネン類などを用いることができる。
乳化重合の温度は、用いられるラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択することができるが、通常、0〜100℃、好ましくは0〜60℃である。重合様式は、連続重合、回分重合等のいずれでも構わない。
乳化重合において重合転化率が大きくなると、ゲル化する傾向がみられる。そのため、重合転化率を90%以下に抑えるのが好ましく、特に、転化率50〜80%の範囲で重合を停止するのが好ましい。重合反応の停止は、通常、所定の転化率に達した時点で、重合系に重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては、例えば、ジエチルヒドロキシルアミンやヒドロキシルアミンなどのようなアミン系化合物、ヒドロキノンやベンゾキノンなどのようなキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム、ソジウムジチオカーバメートなどが用いられる。
重合反応停止後、得られた重合体ラテックスから必要に応じて未反応モノマーを除去し、次いで、必要に応じて硝酸、硫酸等のような酸を添加混合してラテックスのpHを所定の値に調整した後に、モノハロゲン化炭化水素(aの方法)または3級アミン(bの方法)を反応系に添加して第4級化を行うことができる。
モノハロゲン化炭化水素としては、例えば、一般式(7)
R23−X5 (7)
(式中、R23はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X5はハロゲン原子を示す。)
で表されるものが使用される。R23及びX5の具体例としては、一般式(1)に関連してR4及びX1の具体例として前述したと同様のものが挙げられる。
好ましいモノハロゲン化炭化水素の具体例としては、例えば、ハロゲン化アルキルやハロゲン化ベンジルなどが挙げられ、ハロゲン化アルキルが好ましい。ハロゲン化アルキルの中では、ハロゲン化低級アルキルが好ましく、ハロゲン化メチルが特に好ましい。具体例には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ヘキシルなどのようなハロゲン化低級アルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどのようなハロゲン化ベンジル;などが挙げられる。
これらのモノハロゲン化炭化水素は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のジエン系ゴムを製造するためのモノハロゲン化炭化水素の使用量は、モノハロゲン化炭化水素の種類や反応条件に応じて適宜選択できるが、ジエン系重合体ゴム中に含有される第3級アミノ基の量に対して、通常0.05当量以上であり、好ましくは0.1〜10当量、より好ましくは0.3〜5当量の範囲である。ただし、第3級アミノ基含有ビニル系単量体単位の100%を4級化した本発明のジエン系ゴムを製造する場合には、ジエン系重合体ゴム中に含有される第3級アミノ基の量に対して、通常1当量以上、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1.2〜5当量の範囲の量のモノハロゲン化炭化水素が使用される。
3級アミンとしては、例えば、一般式(8)
NR24R25R26 (8)
(式中、R24、R25及びR26は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
で表されるものを用いることができる。R24、R25及びR26の具体例としては、一般式(1)に関連してR2、R3及びR4の具体例として前述したものと同様のものが挙げられる。
これら3級アミンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。3級アミンの使用量は、反応条件に応じて適宜選択できるが、ジエン系重合体ゴム中に含有されるハロゲン原子の量に対して、通常1当量以上、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1.2〜5当量の範囲である。
4級化の反応は、常法に従って行えばよく、例えば、重合反応後に重合液に上記モノハロゲン化炭化水素または3級アミンを加えて撹拌することによって遂行することができる。反応温度は、通常0〜90℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間である。
4級化反応終了後に、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムなどのような塩を凝固剤として添加混合し、重合体をクラムとして凝固させたのち回収する。クラムは洗浄、脱水後、バンドドライヤーなどで乾燥し、目的とする第4級アンモニウム基含有のジエン系ゴムを得ることができる。
4級化の確認は、常法に従って行えばよく、例えば、紫外線(UV)吸収スペクトルやキンヒドロンの定性反応によって行うことができる。
ゴム成分
本発明のゴム組成物のゴム成分としては、上記ジエン系ゴムを含むものが用いられる。ゴム成分中の該ジエン系ゴムの割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上であり、好ましくは15〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは25〜100重量%の範囲である。ゴム成分中の本発明のジエン系ゴムの割合が過度に少ないと、改質の効果が充分でない。
併用できるその他ゴムとしては、特に限定はないが、通常はジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブラジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム(BR)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム(SIR)、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(SIBR)、乳化重合SIBR、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体ゴム等が挙げられる。これらの中でもNR、BR、IR、SBR、SIBRなどが好ましく、NR、BR、SBRが特に好ましい。これらのその他のジエン系ゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
補強剤
補強剤としては、特に制限はないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどを用いることができる。
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に開示される沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカの比表面積は、特に制限はないが、窒素吸着比表面積(BET法)が50〜400m2/g、好ましくは100〜220m2/g、さらに好ましくは120〜190m2/gの範囲である時に、補強性、耐摩耗性及び発熱性等の改善が十分に達成される。窒素吸着比表面積(BET法)は、ASTM D3037−81に準じた方法で測定される。
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FFF等のような種々のグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に制限はないが、5〜200m2/g、好ましくは50〜150m2/g、より好ましくは80〜130m2/gの範囲である時に、引張強度及び耐摩耗性が高いレベルで改善される。また、カーボンブラックのDBP吸着量は、特に制限はないが、5〜300ml/100g、好ましくは50〜200ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gの範囲である時に、引張強度及び耐摩耗性が高いレベルで改善される。
カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されるハイストラクチャーカーボンブラック、即ち、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gで24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸着量が110〜130ml/100gであるようなカーボンブラック、を用いることにより、耐摩耗性をさらに改善できる。
補強剤の配合割合は、ゴム成分100重量部あたり、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜120重量部である。
本発明の目的を高度に達成するためには、補強剤として、シリカを単独で用いるか、あるいはシリカとカーボンブラックとを併用することが好ましい。シリカとカーボンブラックとを併用する場合の混合割合は、用途や目的に応じて適宜選択されるが、通常、シリカ:カーボンブラック=10:90〜99:1、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは50:50〜90:10(重量比)である。
シランカップリング剤
本発明において補強剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用することによって発熱性及び耐摩耗性をさらに改善させることができる。
シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのほか、特開平6−248116号公報に記載されるγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのようなテトラスルフィド類を挙げることができる。
これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シリカ100重量部あたり、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲である。
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、充填剤等のようなその他の配合剤をそれぞれ必要量含むことができる。
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などのような硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのようなハロゲン化硫黄;ジクルミパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどのような有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのようなキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4′−メチレンビス−o−クロロアニリンなどのような有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。これらの加硫剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部あたり、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫剤の配合割合がこの範囲にある時に、引張強度及び耐摩耗性に優れるとともに耐熱性や残留ひずみ等の特性にも優れた加硫ゴムが得られる。
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのようなスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のようなグアニジン系加硫促進剤;チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のようなチオウレア系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のようなチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のようなチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ベンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のようなジチオカルバミン酸系加硫促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のようなキサントゲン酸系加硫促進剤;などが挙げられる。
これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられるが、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものが特に好ましい。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
加硫活性化剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸などのような高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛としては、例えば、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、かかる具体例としては、粒度が、例えば、0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることができる。
これらの加硫活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。加硫活性化剤の配合割合は、加硫活性化剤の種類により適宜選択される。高級脂肪酸を用いる場合、ゴム成分100重量部あたり、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化亜鉛を用いる場合、ゴム成分100重量部あたり、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。酸化亜鉛の配合割合がこの範囲にある時に、加工性、引張強度及び耐摩耗性などの特性が高度にバランスされる。
用い得るその他の配合剤としては、例えば、シランカップリング剤以外のカップリング剤;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどのような活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどのような充填剤;プロセス油、ワックスなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、加硫剤及び加硫促進剤を除く配合剤とゴム成分とを混合後、その混合物に加硫剤及び加硫促進剤を混合してゴム組成物を得ることができる。加硫剤及び加硫促進剤除く配合剤とゴム成分との混合温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは140〜180℃であり、混合時間は、通常、30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である、加硫剤及び加硫促進剤の混合は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃まで冷却したのち行われる。このようにして得られた本発明のゴム組成物を通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度でプレス加硫することにより、本発明が目的とする改善された特性を有する加硫ゴムを得ることができる。
発明を実施例するための最良の形態
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)共重合体中のスチレン結合単位量は、JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(2)共重合体中のブタジエン結合単位のビニル結合割合は、赤外分光法(ハンプトン法)で測定した。
(3)共重合体中の第3級アミノ基含有単量体の結合単位量は、共重合体をテトラヒドロンフランに溶解し、メタノール/アセトン(50/50容量%)で再沈澱凝固を2回行い、真空乾燥後、500MHz1H−NMRで測定した。
(4)第4級アンモニウム基は、365nmのUV吸収スペクトルで確認した。
(5)ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS K6301に準じて測定した。
(6)引張強度は、JIS K6301に準じて、300%応力(Kgf/cm2)モジュラスを測定した。
(7)発熱性、レオメトリックス社製RDA−IIを用い、1%ねじれ、20Hz、60℃のtanδを測定した。この特性は、指数(tanδ60℃の指数=コントロール部分のtanδ/テスト部分のtanδ)で表示した。この指数は、大きい程好ましい。
(8)耐摩耗性は、ASTM D2228に従い、ピコ摩耗試験機を用いて測定した。この特性は、指数(耐摩耗指数=コントロール部分の摩耗量/テスト部分の摩耗量)で表示した。この指数は、大きい程好ましい。
製造例1〜7および比較製造例1〜3
撹拌機付きタンクに水200部、ロジン酸石鹸3部、t−ドデシルメルカプタン0.2部及び表1の組成の単量体を仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1部、ソジウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.2部及び硫酸第二鉄0.01部を添加して重合を開始した。転化率が70%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加し反応を停止させた。次いで、未反応単量体を回収し、表1記載の反応物(ハロゲン化炭化水素または3級アミン)を添加し50℃で30分間反応させた後、硫酸と食塩によりポリマーを凝固させてクラムとし、クラムドライヤーで乾燥させることにより、ジエン系ゴムNo.1〜10を得た。ジエン系ゴムの第4級アンモニウム基は、365nmのUV吸収スペクトルで確認し、各重合体の性状を表1に示した。尚、ジエン系ゴムNo.1〜10のブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量は、17〜18%であった。
配合例1〜9及び比較配合例1〜2
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.1〜9を用い、表2の配合処方(配合1)に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を170℃で2分間混合後、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表3に示した。
表3の結果から、本発明の少なくとも1部が4級化された第3級アミノ基含有ジエン系ゴムを用いたゴム組成物(配合例1〜9)は、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれの特性も高度に改善されることがわかる。第3級アミノ基の4級化の割合が、14モル%(配合例1:ジエン系ゴム中の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の含有量としては0.0168重量%)、34モル%(配合例7:ジエン系ゴム中の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の含有量としては0.136重量%)及び58モル%(配合例2〜4:ジエン系ゴム中の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の含有量としては0.696重量%)の場合に、引張強度、発熱性及び耐摩耗性が十分に改善されること、また、4級化度が100%の場合(配合例5、6、8及び9)には、非常に高いレベルでこれら3つの特性が改善されること、がわかる。また、配合例5と配合例6とを比較することにより、より低級なハロゲン化アルキルを用いた時に、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれの改善効果も高いことがわかる。さらに、比表面積の小さいシリカを用いることにより、引張強度、発熱性および耐摩耗性がさらに改善されること(配合例3と4との比較)、酸化亜鉛の配合量をゴム成分100重量部あたり2重量部以下にすることにより、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれもがさらに改善されること(配合例2と3との比較)もわかる。これに対して、第3級アンモニウム基含有ジエン系ゴムとジハロゲン化物である架橋剤とを反応させて得られるジエン系ゴムを用いた場合(比較配合例2)は、引張強度が改善されるが、発熱性及び耐摩耗性が悪化することがわかる。
配合例10〜13および比較配合例3
表5記載の原料ゴムを用い、表4記載の配合2に基づいて以下の操作を行った。容量250mlのバンバリー中で、先ず、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を160℃で2分間混練した後、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表5に示す。
表5の結果から、本発明のゴム組成物は、補強剤としてシリカとカーボンブラックとを併用した場合(配合例10)でも、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれもが十分に改善されることがわかる。また、ゴム成分として本発明のジエン系ゴムとその他のジエン系ゴムを併用した場合(配合例11〜13)にも、引張強度、発熱性及び耐摩耗性が高度にバランスされることがわかる。
製造例8〜12および比較製造例4〜6
撹拌機付きタンクに水200部、ロジン酸石鹸3部、t−ドデシルメルカプタン0.2部及び表6の組成の単量体を仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1部、ソジウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.2部及び硫酸第二鉄0.01部を添加して重合を開始した。転化率が70%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加し反応を停止させた。次いで、未反応単量体を回収し、表6記載のモノハロゲン化物を添加し50℃で30分間反応させた後、硫酸及び食塩の添加によりポリマーを凝固させてクラムとし、クラムドライヤーで乾燥させることにより、ジエン系ゴムNo.11〜18を得た。ジエン系ゴムの第4級アンモニウム基は、365nmのUV吸収スペクトルで確認し、各重合体の性状を表6に示した。尚、ジエン系ゴムNo.11〜18のブタジエン単位部分の1,2−ビニル結合量は、17〜18%であった。
配合例14〜19および比較配合例4〜5
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.11〜15及びジエン系ゴムNo.17を用い、表7の配合処方(配合3)に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を170℃で2分間混合後、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。原料ゴム、シリカ及び酸化亜鉛の配合量は表9に示した。
次ぎに、得られた混合物と、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤とを50℃のオープンロールで混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表8に示した。
表8の結果から、本発明の第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを用いたゴム組成物(配合例14〜19)は、第3級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを用いたゴム組成物(比較配合例4)に比べて、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれもが充分に改善されることがわかる。また、配合例15と配合例18とを比較すると、より低級なアルキル化剤(モノハロゲン化物)を用いた時に、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれも改善効果が高いことがわかる。また、比表面積の小さいシリカを用いた時に引張強度、発熱性および耐摩耗性がいずれも高値にバランスされること(配合例14、15、18及び19)、酸化亜鉛の配合量をゴム成分100重量部あたり2重量部以下にすることによってさらに改善されること(配合例15と16との比較)がわかる。これに対して、第3級アンモニウム基含有ジエン系ゴムとジハロゲン化物である架橋剤を反応させて得られるジエン系ゴムを用いた場合(比較配合例5)には、引張強度が改善されるが、発熱性及び耐摩耗性が悪化することがわかる。
配合例20〜23および比較配合例6
表10記載の原料ゴムを用い、表9記載の配合4に基づいて以下の操作を行った。容量250mlのバンバリー中で、先ず、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を160℃で2分間混練した後、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で2.5分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤とを50℃のオープンロールで混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表10に示す。
表10の結果から、ゴム成分として本発明の第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを単独で使用した場合(配合例20)も、あるいは、その他のジエン系ゴムを併用した場合(配合例21〜23)も、引張強度、発熱性及び耐摩耗性が高度にバランスされることがわかる。
本発明の実施態様を以下に示す。
(1)共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、及び少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基を含有するビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%からなり、第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR11-A2-NR12R13
[式中、R11は水素原子または低級アルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表されるものであり、4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR1-A1-N+R2R3R4・X1 -
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるものであり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有するジエン系ゴム。
(2)4級化する炭化水素基が、アルキル基、アリール基またはアラルキル基である(1)記載のジエン系ゴム。
(3)4級化の程度が、ジエン系ゴム中の全第3級アミノ基量の5モル%以上である(1)または(2)記載のジエン系ゴム。
(4)4級化された第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体単位の含有量が、ジエン系ゴム中の0.01〜20重量%である(1)〜(3)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(5)第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体が、一般式(2)
CH2=CR6-Ph(R7)-(CH2)m-N+R8R9R10・X2 - (2)
(式中、R6及びR7は水素原子または低級アルキル基、R8、R9及びR10はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X2はハロゲン原子、mは1〜6の整数を示す。)
で表されるものである(1)〜(4)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(6)第3級アミノ基含有ビニル系単量体、一般式(4)
CH2=CR15-Ph(R16)-(CH2)n-NR17R18 (4)
(式中、R15及びR16は水素原子または低級アルキル基、R17及びR18はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、nは1〜6の整数を示す。)
で表されるものである(5)記載のジエン系ゴム。
(7)第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物、N,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物及びピリジン基を有するビニル化合物から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(8)共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、一般式(1)
CH2=CR1-A1-N+R2R3R4・X1 - (1)
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%からなり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する(1)記載のジエン系ゴム。
(9)共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、及び一般式(2)
CH2=CR6-Ph(R7)-(CH2)m-N+R8R9R10・X2 - (2)
(式中、R6及びR7は水素原子または低級アルキル基、R8、R9及びR10はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X2はハロゲン原子、mは1〜6の整数を示す。)
で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%からなり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する(1)記載のジエン系ゴム。
(10)共役ジエン結合単位のビニル結合量が、5〜95%である(1)〜(9)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(11)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合させた後にモノハロゲン化炭化水素を反応させることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のジエン系ゴムの製造方法。
(12)モノハロゲン化炭化水素の使用量が、ジエン系重合体ゴム中の全第3級アミノ基の量に対して0.05当量以上である(11)記載の製造方法。
(13)モノハロゲン化炭化水素が、一般式(7)
R23-X5 (7)
(式中、R23はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X5はハロゲン原子を示す。)
で表されるものである(11)または(12)記載の製造方法。
(14)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを重合した後に3級アミンを反応させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴムの製造方法。
(15)ハロゲン含有ビニル系単量体が、一般式(5)
CH2=CR19-A3-X3 (5)
[式中、R19は水素原子または低級アルキル基、A3はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R20−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R20はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、X3はハロゲン原子を示す。]
で表される(14)記載の製造方法。
(16)ハロゲン含有ビニル系単量体が、一般式(6)
CH2=CR21-Ph(R22)-(CH2)r-X4 (6)
(式中、R21及びR22は水素原子または低級アルキル基、X4はハロゲン原子、rは1〜6の整数を示す。)
で表されるものである(14)記載の製造方法。
(17)3級アミンの使用量がジエン系重合体ゴム中の含有ハロゲン原子に対して1当量以上である(14)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)3級アミンが、一般式(8)
NR24R25R26 (8)
(式中、R24、R25及びR26は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
で表されるものである(14)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)(1)〜(10)のいずれかに記載のジエン系ゴムからなるゴム成分及び補強剤を含んでなるゴム組成物。
(20)該ジエン系ゴムの含有量が、ゴム成分中の10重量%以上である(19)記載のゴム組成物。
(21)補強剤の使用量が、ゴム成分100重量部あたり、10〜200重量部である(19)または(20)記載のゴム組成物。
(22)補強剤が、カーボンブラックまたはシリカである(19)〜(21)のいずれかに記載のゴム組成物。
(23)補強剤が、シリカを含むものである(19)〜(21)のいずれかに記載のゴム組成物。
(24)シリカの窒素吸着比表面積(BET法)が、50〜400m2/gである(22)または(23)に記載のゴム組成物。
(25)さらにシランカップリング剤を含んだものである(23)または(24)記載のゴム組成物。
(26)シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部あたり0.1〜30重量部である(25)記載のゴム組成物。
(27)さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものである(19)〜(26)のいずれかに記載のゴム組成物。
(28)ゴム成分100重量部あたり、加硫剤0.1〜15重量部および加硫促進剤0.1〜15重量部を含む(27)記載のゴム組成物。
(29)加硫促進剤が、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものである(27)または(28)記載のゴム組成物。
(30)加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含むものである(27)〜(29)のいずれかに記載のゴム組成物。
(31)酸化亜鉛の配合量が、ゴム成分100重量部あたり、0.05〜15重量部である(30)記載のゴム組成物。
(32)酸化亜鉛の粒度が5μm位下である(30)または(31)記載のゴム組成物。
(33)共役ジエンが、ブタジエンまたはイソプレンである(1)〜(32)のいずれかに記載のジエン系ゴム、その製造方法またはそれを含むゴム組成物。
(34)芳香族ビニルが、スチレンである(1)〜(33)のいずれかに記載のジエン系ゴム、その製造方法またはそれを含むゴム組成物。
産業上の利用可能性
本発明によれば、補強剤としてシリカを配合した場合に改善された発熱性、引張強度及び耐摩耗性を有する加硫ゴムを与える第4級アンモニウム基含有のジエン系ゴム、及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、発熱性、引張強度及び耐摩耗性が大幅に改善された加硫ゴムを与えるゴム組成物が提供される。
本発明の第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム及びそれを含むゴム組成物は、その特性を活かした各種用途において有用である。例えば、トレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部などのようなタイヤ各部位の材料としての利用、ホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのようなゴム製品としての利用、あるいは耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等のような樹脂の強化用ゴムとしての利用、などが可能である。特に、トレッドとしての有用性が高く、例えば、低燃費タイヤのタイヤトレッドのほか、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッドとして好適である。
本発明は、補強剤としてシリカを配合した場合に改善された発熱性、引張強度及び耐摩耗性を有する加硫ゴムを与えるジエン系ゴム及びその製造方法に関する。また、本発明は、該ジエン系ゴムからなるゴム成分及び補強剤を含んでなるゴム組成物に関する。
背景技術
近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車ダイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。
従来より、タイヤ用ゴム材料として、ジエン系ゴムに補強剤としてカーボンブラックに替えてシリカを配合したゴム組成物を用いることにより、発熱性を低めることが提案されている。ところが、シリカ配合ゴム組成物は、カーボンブラック配合ゴム組成物に比べて、十分な耐摩耗性と引張強度が得られないという問題点があった。この原因の一つは、ジエン系ゴムに対するシリカの親和性がカーボンブラックより小さいために、十分な補強効果を発現することができないことにあると考えられている。
従来、シリカとジエン系ゴムとの親和性を高めるために、シリカと親和性のある置換基を導入したジエン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、乳化重合法によるジエン系ゴムでは、第3級アミノ基を導入したジエン系ゴム(特開平1−101344号公報)が、また、アニオン重合法によるジエン系ゴムでは、アルキルシリル基(特開平1−188501号公報)、ハロゲン化シリル基(特開平5−230286号公報)または置換アミノ基(特開昭64−22940号公報)などを導入したジエン系ゴムが、提案されている。しかしながら、これらの置換基を導入したジエン系ゴムは、発熱性、引張強度及び耐摩耗性などの改善が十分でない。
一方、特公昭58−41282号公報には、グリーン強度を改善する為に、第3級アミノ基を含有するブタジエン−スチレン共重合体と4,4′−ビス−(ブロモアセチル)−ジフェニルメタン(以下、BADMと略す。)などのようなジハロゲン化物とを反応させた生成物とカーボンブラックとからなるゴム組成物が開示されている。しかしながら、この反応生成物をシリカと配合すると、引張強度の改善はみられるが、シリカ配合の特徴である筈の発熱性の改善がみられず、しかも耐摩耗性などの特性も十分でないという欠点を有している。
本発明の目的は、補強剤としてシリカを配合した場合に、加硫ゴムについて、転動抵抗の指標となる発熱性の改善が得られしかもカーボンブラックを配合した場合と同等の引張強度及び耐摩耗性が得られるようなジエン系ゴム、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ジエン系ゴム及び補強剤を含有して成り、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基を含有するジエン系ゴム(以下において第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムと省略することがある)をゴム成分として用いることにより、発熱性、引張強度及び耐摩耗性に十分に優れた加硫ゴムを与えるゴム組成物が得られること、及び該第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムが、第3級アミノ基含有ビニル系単量体を共重合させたジエン系ゴムとモノハロゲン化炭化水素とを反応させることにより、あるいは、ハロゲン含有ビニル系単量体を共重合体させたジエン系ゴムと3級アミンとを反応させることにより効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、及び少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基を含有するビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%とからなり、第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR11-A2-NR12R13
[式中、R11は水素原子または低級アルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表されるものであり、4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR1-A1-N+R2R3R4・X1 -
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるものであり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有するジエン系ゴムが提供される。
本発明によれば、また、共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合させた後にモノハロゲン化炭化水素を反応させることを特徴とする上記ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに、共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを重合した後に3級アミンを反応させることを特徴とする上記ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、さらに加えて、上記ジエン系ゴムからなるゴム成分及び補強剤を含んでなるゴム組成物が提供される。
第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム
本発明のジエン系ゴムは、共役ジエン単量体の結合単位と少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位(=第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位+第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位;以下、「少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位」という。)とからなり、必要に応じて、芳香族ビニル単量体の結合単位を含有する。共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
4級化する炭化水素基としては、格別な限定はないが、例えば、アルキル基、アリール基またはアラルキル基などが挙げられ、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。炭化水素基の炭素数は、格別な限定はないが、通常1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
炭化水素基で4級化された第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体としては、例えば、一般式(1)
CH2=CR1−A1−N+R2R3R4・X1 - (1)
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるものが挙げられる。
一般式(1)中のR1が低級アルキル基である場合、それは具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基などを表わし、好ましくはメチル基を表わす。
一般式(1)中のR2及びR3は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基、エチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
一般式(1)中のA1は、アルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R5−(Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、好ましくはアリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基、一般式−C(=O)−M−R5−で表される結合基などである。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ヘキシレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などが挙げられ、一部の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい。アリーレン−アルキレン基やアルキレン−アリーレン基としては、これらの組み合わせたものが例示される。
一般式−C(=O)−O−R5−で表されるアルキレンオキシカルボニル基やアリーレンオキシカルボニル基としては、例えば、カルボニルオキシメチレン基、カルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシイソプロピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレン基、カルボニルオキシ−tert−ブチレン基、カルボニルオキシ−n−ヘキシレン基、カルボニルオキシ−n−オクチレン基などのようなカルボニルオキシアルキレン基;カルボニルオキシ−1,2−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,3−フェニレン基、カルボニルオキシ−1,4−フェニレン基などが挙げられ、好ましくはカルボニルオキシエチレン基、カルボニルオキシ−n−プロピレン基、カルボニルオキシ−n−ブチレン基などである。
一般式−C(=O)−NH−R5−で表されるアルキレンアミド基またはアリーレンアミド基としては、例えば、カルボニルイミノメチレン基、カルボニルイミノエチレン基、カルボニルイミノ−n−プロピレン基、カルボニルイミノイソプロピレン基、カルボニルイミノ−n−ブチレン基、カルボニルイミノ−tert−ブチレン基、カルボニルイミノ−n−ヘキシレン基、カルボニルイミノ−n−オクチレン基などのようなカルボニルイミノアルキレン基;カルボニルイミノ−1,2−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,3−フェニレン基、カルボニルイミノ−1,4−フェニレン基などのカルボニルイミノアリーレン基;などが挙げられる。
また、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよい。好ましくは,R2とR3とA1が一緒になったピリジニウム環である。
一般式(1)中のR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのような低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい、アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換ベンジル基などが挙げられる。
一般式の(1)の中のX1は、ハロゲン原子を示す。具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などである。
これら一般式(1)で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の中でも、好ましい態様の一つとして、例えば、一般式(2)
CH2=CR6-Ph(R7)-(CH2)m-N+R8R9R10・X2 - (2)
(式中、R6及びR7は水素原子または低級アルキル基、R8、R9及びR10はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X2はハロゲン原子、mは1〜6の整数を示す。)
で表されるものが挙げられる。
一般式(2)中のR6及びR7は、水素原子または低級アルキル基を示す。R6の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基などが例示され、好ましくはメチル基である。
一般式(2)中のR8及びR9は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキルとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのような低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
一般式(2)中のR10は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキルとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などのような低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などがより好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
一般式(2)中のX2は、ハロゲン原子を示す。具体的には、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などである。
一般式(2)中のmは、1〜6の整数を示し、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1または2である。
これらの第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
第3級アミノ基含有ビニル系単量体としては、第3級アミノ基を有する重合性の単量体であれば格別な制限はないが、例えば、前記一般式(1)で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体に対応するものは、一般式(3)
CH2=CR11−A2−NR12R13 (3)
[式中、R11は水素原子または低級アルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表される。R11、R12、R13及びA2の具体例としては、一般式(1)に関連してR1、R2、R3及びA1の具体例として前述したものと同様のものが挙げられる。
また、前記一般式(2)の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体に対応する第3級アミノ基含有ビニル系単量体としては、一般式(4)
CH2=CR15-Ph(R16)-(CH2)n-NR17R16 (4)
(式中、R15及びR16は水素原子または低級アルキル基、R17及びR18はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、そしてnは1〜6の整数を示す。)で表わされる。R15、R16、R17、R18及びnの具体例としては、一般式(2)に関連して、R6、R7、R8、R9及びmの具体例として前述したものと同様のものが挙げられる。
第3級アミノ基含有ビニル系単量体の具体例としては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物、N,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物及びピリジン基を有するビニル化合物などが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物、ピリジン基含有ビニル化合物などが特に好ましい。
N,N−ジ置換アミノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフオリンなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物及びN,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物としては、例えば、p−N,N−ジメチルアミノスチレン、p−N−メチル−N−エチルアミノスチレン、p−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジイソプロピルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジオクチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノプロピルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノプロピルスチレン、p−ジメチルアミノブチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノブチルスチレンなどが挙げられ、これらの中でも、p−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジイソプロピルアミノメチルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、p−N,N−ジプロピルアミノエチルスチレンなどが好ましい。
また、ピリジル基を有するビニル化合物としては、例えば2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどが好ましい。
これらの第3級アミノ基含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
芳香族ビニルとしては、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基を有さない芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明のジエン系ゴム中の芳香族ビニル単量体の結合単位の有無は、使用目的に応じて適宜選択される。
発熱性を特に重視する場合は、共役ジエン単量体の結合単位と少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位とからなる共重合体が用いられる。その場合、共重合体中の各単量体結合単位の割合は、共役ジエン単量体の結合単位が、80〜99.99重量%、好ましくは85〜99.95重量%、より好ましくは90〜99.9重量%の範囲であり、少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位が、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位の割合が、過度に少ないと、発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でなく、一方、過度に多いと、加工性が悪化するため発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でない。
発熱性とウエットスキッド抵抗性とを高度にバランスさせるには、共役ジエン単量体の結合単位と芳香族ビニル単量体の結合単位と少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位とからなる共重合体が用いられる。その場合、共重合体中の各単量体結合単位の割合は、共役ジエン単量体の結合単位が、40〜94.99重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%の範囲であり、芳香族ビニル単量体の結合単位が、5〜55重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%の範囲であり、少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位が、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位の割合が、過度に少ないと、発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でなく、一方、過度に多いと、加工性が悪化するため発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善が十分でない。芳香族ビニル単量体の結合単位の割合が過度に多いと発熱性の改善が十分でない。
本発明のジエン系ゴム中の4級化の程度は、使用目的に応じて適宜選択されるが、ジエン系ゴム中の全第3級アミノ基量の通常5モル%以上であり、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%の範囲である。全く4級化されていない第3級アミノ基含有ジエン系ゴムを用いると発熱性、引張強度及び耐摩耗性の改善の効果が十分でない。
また、本発明のジエン系ゴム中の4級化された第3級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位の割合は、使用目的に応じて、上記[少なくとも一部が4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体の結合単位の含有量]及び[4級化の程度]の範囲内で適宜選択されるが、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である時に、発熱性、引張強度及び耐摩耗性が高いレベルでバランスされる。
本発明のジエン系ゴムの共役ジエン結合単位部分のミクロ構造は、特に制限されず、使用目的によって適宜選択される。例えば、共役ジエン結合単位部分のビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)割合は、通常、5〜95%、好ましくは7〜50%、より好ましくは10〜30%の範囲である。共役ジエン結合単位中のビニル結合量がこの範囲にあるときに、発熱特性及び耐摩耗性が向上する。ビニル結合以外の残部の共役ジエン結合(1,4−結合)単位は、シス1,4−結合及びトランス1,4−結合のいずれであってもよい。
本発明のジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは25〜120の範囲である。ムーニー粘度が過度に小さいと発熱性及び耐摩耗性の改善が得られず、一方、過度に大きいと加工性の改善が認められない。
本発明のジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はないが、例えば、(a)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合した後にモノハロゲン化炭化水素を反応させる方法、(b)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合した後に3級アミノを反応させる方法などは、重合体分子内に第4級アンモニウム基を効率よく導入できるので好適である。
(a)の方法で用いられる共役ジエン、芳香族ビニル及び第3級アミノ基含有ビニル系単量体の具体例としては、前述したと同様のものが挙げられる。
(b)の方法で用いられるハロゲン含有ビニル系単量体としては、例えば、一般式(5)
CH2=CR19−A3−X3 (5)
[式中、R19は水素原子または低級アルキル基、A3はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R20−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R20はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、X3はハロゲン原子を示す。]
で表わされるものが挙げられる。R19、A3、一般式−C(=O)−M−R20−及びX3の具体例としては、一般式(1)に関連してR1、A1、一般式−C(=O)−M−R5−及びX1の具体例として前述したと同様のものが挙げられる。
一般式(5)で表されるハロゲン含有ビニル系単量体の好ましい態様の一つとして、例えば、一般式(6)
CH2=CR21−Ph(R22)−(CH2)r−X4 (6)
(式中、R21及びR22は水素原子または低級アルキル基、X4はハロゲン原子、rは1〜6の整数を示す。)
で表されるものが挙げられる。R21、R22、X4及びrの具体例としては、一般式(2)に関連してR6、R7、X2及びmの具体例として前述したと同様のものが挙げられる。
ハロゲン含有ビニル系単量体の具体例としては、例えば、o−クロロメチルスチレン,m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、p−ヨードメチルスチレン、p−クロロエチルスチレン、p−ブロモエチルスチレン、m−ヨードメチルスチレン、p−クロロプロピルスチレン、p−ブロモプロピルスチレン、p−ヨードブチルスチレンなどが挙げられ、これらの中でも、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン及びp−ヨードメチルスチレンが最も好ましい。
これらのハロゲン含有ビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
各単量体の使用量は、目的とするジエン系ゴムの用途に応じて適宜選択できる。共役ジエンと第3級アミノ基含有ビニル系単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合する場合には、共役ジエンは全単量体中の80〜99.99重量%、好ましくは85〜99.95重量%、より好ましくは90〜99.9重量%の範囲で使用され、第3級アミノ基含有ビニル系単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体は全単量体中の0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲で使用される。
共役ジエンと芳香族ビニル及び第3級アミノ含有ビニル基単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合させる場合には、共役ジエンは全単量体中の40〜94.99重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%の範囲で使用され、芳香族ビニルは全単量体の5〜55重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%の範囲で使用され、第3級アミノ基含有ビニル系単量体またはハロゲン含有ビニル系単量体は全単量体中の0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲で使用される。
上記各単量体を用いる(a)または(b)の重合方法は、特に限定はないが、通常乳化重合法が採用される。乳化重合法は、通常の乳化重合手法を用いればよく、例えば、所定量の上記単量体を乳化剤の存在下に水生媒体中に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する方法が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及び/又はロジン酸塩が用いられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などのカリウム塩またはナトリウム塩などが例示される。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどのような過硫酸塩;過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄との組合わせ、有機過酸化物と硫酸第二鉄との組み合わせ、及び過酸化水素と硫酸第二鉄との組み合わせなどのようなレドックス系開始剤;などが用いられる。
共重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を添加することもできる。連鎖移動剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルビネン類などを用いることができる。
乳化重合の温度は、用いられるラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択することができるが、通常、0〜100℃、好ましくは0〜60℃である。重合様式は、連続重合、回分重合等のいずれでも構わない。
乳化重合において重合転化率が大きくなると、ゲル化する傾向がみられる。そのため、重合転化率を90%以下に抑えるのが好ましく、特に、転化率50〜80%の範囲で重合を停止するのが好ましい。重合反応の停止は、通常、所定の転化率に達した時点で、重合系に重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては、例えば、ジエチルヒドロキシルアミンやヒドロキシルアミンなどのようなアミン系化合物、ヒドロキノンやベンゾキノンなどのようなキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム、ソジウムジチオカーバメートなどが用いられる。
重合反応停止後、得られた重合体ラテックスから必要に応じて未反応モノマーを除去し、次いで、必要に応じて硝酸、硫酸等のような酸を添加混合してラテックスのpHを所定の値に調整した後に、モノハロゲン化炭化水素(aの方法)または3級アミン(bの方法)を反応系に添加して第4級化を行うことができる。
モノハロゲン化炭化水素としては、例えば、一般式(7)
R23−X5 (7)
(式中、R23はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X5はハロゲン原子を示す。)
で表されるものが使用される。R23及びX5の具体例としては、一般式(1)に関連してR4及びX1の具体例として前述したと同様のものが挙げられる。
好ましいモノハロゲン化炭化水素の具体例としては、例えば、ハロゲン化アルキルやハロゲン化ベンジルなどが挙げられ、ハロゲン化アルキルが好ましい。ハロゲン化アルキルの中では、ハロゲン化低級アルキルが好ましく、ハロゲン化メチルが特に好ましい。具体例には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ヘキシルなどのようなハロゲン化低級アルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどのようなハロゲン化ベンジル;などが挙げられる。
これらのモノハロゲン化炭化水素は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のジエン系ゴムを製造するためのモノハロゲン化炭化水素の使用量は、モノハロゲン化炭化水素の種類や反応条件に応じて適宜選択できるが、ジエン系重合体ゴム中に含有される第3級アミノ基の量に対して、通常0.05当量以上であり、好ましくは0.1〜10当量、より好ましくは0.3〜5当量の範囲である。ただし、第3級アミノ基含有ビニル系単量体単位の100%を4級化した本発明のジエン系ゴムを製造する場合には、ジエン系重合体ゴム中に含有される第3級アミノ基の量に対して、通常1当量以上、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1.2〜5当量の範囲の量のモノハロゲン化炭化水素が使用される。
3級アミンとしては、例えば、一般式(8)
NR24R25R26 (8)
(式中、R24、R25及びR26は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
で表されるものを用いることができる。R24、R25及びR26の具体例としては、一般式(1)に関連してR2、R3及びR4の具体例として前述したものと同様のものが挙げられる。
これら3級アミンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。3級アミンの使用量は、反応条件に応じて適宜選択できるが、ジエン系重合体ゴム中に含有されるハロゲン原子の量に対して、通常1当量以上、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1.2〜5当量の範囲である。
4級化の反応は、常法に従って行えばよく、例えば、重合反応後に重合液に上記モノハロゲン化炭化水素または3級アミンを加えて撹拌することによって遂行することができる。反応温度は、通常0〜90℃、好ましくは20〜80℃であり、反応時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間である。
4級化反応終了後に、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムなどのような塩を凝固剤として添加混合し、重合体をクラムとして凝固させたのち回収する。クラムは洗浄、脱水後、バンドドライヤーなどで乾燥し、目的とする第4級アンモニウム基含有のジエン系ゴムを得ることができる。
4級化の確認は、常法に従って行えばよく、例えば、紫外線(UV)吸収スペクトルやキンヒドロンの定性反応によって行うことができる。
ゴム成分
本発明のゴム組成物のゴム成分としては、上記ジエン系ゴムを含むものが用いられる。ゴム成分中の該ジエン系ゴムの割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上であり、好ましくは15〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは25〜100重量%の範囲である。ゴム成分中の本発明のジエン系ゴムの割合が過度に少ないと、改質の効果が充分でない。
併用できるその他ゴムとしては、特に限定はないが、通常はジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブラジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム(BR)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム(SIR)、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(SIBR)、乳化重合SIBR、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体ゴム等が挙げられる。これらの中でもNR、BR、IR、SBR、SIBRなどが好ましく、NR、BR、SBRが特に好ましい。これらのその他のジエン系ゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
補強剤
補強剤としては、特に制限はないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどを用いることができる。
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に開示される沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカの比表面積は、特に制限はないが、窒素吸着比表面積(BET法)が50〜400m2/g、好ましくは100〜220m2/g、さらに好ましくは120〜190m2/gの範囲である時に、補強性、耐摩耗性及び発熱性等の改善が十分に達成される。窒素吸着比表面積(BET法)は、ASTM D3037−81に準じた方法で測定される。
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FFF等のような種々のグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に制限はないが、5〜200m2/g、好ましくは50〜150m2/g、より好ましくは80〜130m2/gの範囲である時に、引張強度及び耐摩耗性が高いレベルで改善される。また、カーボンブラックのDBP吸着量は、特に制限はないが、5〜300ml/100g、好ましくは50〜200ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gの範囲である時に、引張強度及び耐摩耗性が高いレベルで改善される。
カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されるハイストラクチャーカーボンブラック、即ち、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gで24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸着量が110〜130ml/100gであるようなカーボンブラック、を用いることにより、耐摩耗性をさらに改善できる。
補強剤の配合割合は、ゴム成分100重量部あたり、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜120重量部である。
本発明の目的を高度に達成するためには、補強剤として、シリカを単独で用いるか、あるいはシリカとカーボンブラックとを併用することが好ましい。シリカとカーボンブラックとを併用する場合の混合割合は、用途や目的に応じて適宜選択されるが、通常、シリカ:カーボンブラック=10:90〜99:1、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは50:50〜90:10(重量比)である。
シランカップリング剤
本発明において補強剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用することによって発熱性及び耐摩耗性をさらに改善させることができる。
シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのほか、特開平6−248116号公報に記載されるγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのようなテトラスルフィド類を挙げることができる。
これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シリカ100重量部あたり、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲である。
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、充填剤等のようなその他の配合剤をそれぞれ必要量含むことができる。
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などのような硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのようなハロゲン化硫黄;ジクルミパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどのような有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのようなキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4′−メチレンビス−o−クロロアニリンなどのような有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。これらの加硫剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部あたり、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫剤の配合割合がこの範囲にある時に、引張強度及び耐摩耗性に優れるとともに耐熱性や残留ひずみ等の特性にも優れた加硫ゴムが得られる。
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのようなスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のようなグアニジン系加硫促進剤;チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のようなチオウレア系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のようなチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のようなチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ベンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のようなジチオカルバミン酸系加硫促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のようなキサントゲン酸系加硫促進剤;などが挙げられる。
これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられるが、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものが特に好ましい。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
加硫活性化剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸などのような高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛としては、例えば、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、かかる具体例としては、粒度が、例えば、0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることができる。
これらの加硫活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。加硫活性化剤の配合割合は、加硫活性化剤の種類により適宜選択される。高級脂肪酸を用いる場合、ゴム成分100重量部あたり、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化亜鉛を用いる場合、ゴム成分100重量部あたり、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。酸化亜鉛の配合割合がこの範囲にある時に、加工性、引張強度及び耐摩耗性などの特性が高度にバランスされる。
用い得るその他の配合剤としては、例えば、シランカップリング剤以外のカップリング剤;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどのような活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどのような充填剤;プロセス油、ワックスなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、加硫剤及び加硫促進剤を除く配合剤とゴム成分とを混合後、その混合物に加硫剤及び加硫促進剤を混合してゴム組成物を得ることができる。加硫剤及び加硫促進剤除く配合剤とゴム成分との混合温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは140〜180℃であり、混合時間は、通常、30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である、加硫剤及び加硫促進剤の混合は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃まで冷却したのち行われる。このようにして得られた本発明のゴム組成物を通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度でプレス加硫することにより、本発明が目的とする改善された特性を有する加硫ゴムを得ることができる。
発明を実施例するための最良の形態
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)共重合体中のスチレン結合単位量は、JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(2)共重合体中のブタジエン結合単位のビニル結合割合は、赤外分光法(ハンプトン法)で測定した。
(3)共重合体中の第3級アミノ基含有単量体の結合単位量は、共重合体をテトラヒドロンフランに溶解し、メタノール/アセトン(50/50容量%)で再沈澱凝固を2回行い、真空乾燥後、500MHz1H−NMRで測定した。
(4)第4級アンモニウム基は、365nmのUV吸収スペクトルで確認した。
(5)ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS K6301に準じて測定した。
(6)引張強度は、JIS K6301に準じて、300%応力(Kgf/cm2)モジュラスを測定した。
(7)発熱性、レオメトリックス社製RDA−IIを用い、1%ねじれ、20Hz、60℃のtanδを測定した。この特性は、指数(tanδ60℃の指数=コントロール部分のtanδ/テスト部分のtanδ)で表示した。この指数は、大きい程好ましい。
(8)耐摩耗性は、ASTM D2228に従い、ピコ摩耗試験機を用いて測定した。この特性は、指数(耐摩耗指数=コントロール部分の摩耗量/テスト部分の摩耗量)で表示した。この指数は、大きい程好ましい。
製造例1〜7および比較製造例1〜3
撹拌機付きタンクに水200部、ロジン酸石鹸3部、t−ドデシルメルカプタン0.2部及び表1の組成の単量体を仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1部、ソジウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.2部及び硫酸第二鉄0.01部を添加して重合を開始した。転化率が70%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加し反応を停止させた。次いで、未反応単量体を回収し、表1記載の反応物(ハロゲン化炭化水素または3級アミン)を添加し50℃で30分間反応させた後、硫酸と食塩によりポリマーを凝固させてクラムとし、クラムドライヤーで乾燥させることにより、ジエン系ゴムNo.1〜10を得た。ジエン系ゴムの第4級アンモニウム基は、365nmのUV吸収スペクトルで確認し、各重合体の性状を表1に示した。尚、ジエン系ゴムNo.1〜10のブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量は、17〜18%であった。
配合例1〜9及び比較配合例1〜2
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.1〜9を用い、表2の配合処方(配合1)に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を170℃で2分間混合後、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表3に示した。
表3の結果から、本発明の少なくとも1部が4級化された第3級アミノ基含有ジエン系ゴムを用いたゴム組成物(配合例1〜9)は、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれの特性も高度に改善されることがわかる。第3級アミノ基の4級化の割合が、14モル%(配合例1:ジエン系ゴム中の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の含有量としては0.0168重量%)、34モル%(配合例7:ジエン系ゴム中の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の含有量としては0.136重量%)及び58モル%(配合例2〜4:ジエン系ゴム中の第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の含有量としては0.696重量%)の場合に、引張強度、発熱性及び耐摩耗性が十分に改善されること、また、4級化度が100%の場合(配合例5、6、8及び9)には、非常に高いレベルでこれら3つの特性が改善されること、がわかる。また、配合例5と配合例6とを比較することにより、より低級なハロゲン化アルキルを用いた時に、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれの改善効果も高いことがわかる。さらに、比表面積の小さいシリカを用いることにより、引張強度、発熱性および耐摩耗性がさらに改善されること(配合例3と4との比較)、酸化亜鉛の配合量をゴム成分100重量部あたり2重量部以下にすることにより、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれもがさらに改善されること(配合例2と3との比較)もわかる。これに対して、第3級アンモニウム基含有ジエン系ゴムとジハロゲン化物である架橋剤とを反応させて得られるジエン系ゴムを用いた場合(比較配合例2)は、引張強度が改善されるが、発熱性及び耐摩耗性が悪化することがわかる。
配合例10〜13および比較配合例3
表5記載の原料ゴムを用い、表4記載の配合2に基づいて以下の操作を行った。容量250mlのバンバリー中で、先ず、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を160℃で2分間混練した後、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表5に示す。
表5の結果から、本発明のゴム組成物は、補強剤としてシリカとカーボンブラックとを併用した場合(配合例10)でも、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれもが十分に改善されることがわかる。また、ゴム成分として本発明のジエン系ゴムとその他のジエン系ゴムを併用した場合(配合例11〜13)にも、引張強度、発熱性及び耐摩耗性が高度にバランスされることがわかる。
製造例8〜12および比較製造例4〜6
撹拌機付きタンクに水200部、ロジン酸石鹸3部、t−ドデシルメルカプタン0.2部及び表6の組成の単量体を仕込んだ。反応器温度を5℃とし、ラジカル重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1部、ソジウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.2部及び硫酸第二鉄0.01部を添加して重合を開始した。転化率が70%に達した時点でジエチルヒドロキシルアミンを添加し反応を停止させた。次いで、未反応単量体を回収し、表6記載のモノハロゲン化物を添加し50℃で30分間反応させた後、硫酸及び食塩の添加によりポリマーを凝固させてクラムとし、クラムドライヤーで乾燥させることにより、ジエン系ゴムNo.11〜18を得た。ジエン系ゴムの第4級アンモニウム基は、365nmのUV吸収スペクトルで確認し、各重合体の性状を表6に示した。尚、ジエン系ゴムNo.11〜18のブタジエン単位部分の1,2−ビニル結合量は、17〜18%であった。
配合例14〜19および比較配合例4〜5
原料ゴムとして、製造例で作成したジエン系ゴムNo.11〜15及びジエン系ゴムNo.17を用い、表7の配合処方(配合3)に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を170℃で2分間混合後、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。原料ゴム、シリカ及び酸化亜鉛の配合量は表9に示した。
次ぎに、得られた混合物と、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤とを50℃のオープンロールで混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表8に示した。
表8の結果から、本発明の第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを用いたゴム組成物(配合例14〜19)は、第3級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを用いたゴム組成物(比較配合例4)に比べて、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれもが充分に改善されることがわかる。また、配合例15と配合例18とを比較すると、より低級なアルキル化剤(モノハロゲン化物)を用いた時に、引張強度、発熱性及び耐摩耗性のいずれも改善効果が高いことがわかる。また、比表面積の小さいシリカを用いた時に引張強度、発熱性および耐摩耗性がいずれも高値にバランスされること(配合例14、15、18及び19)、酸化亜鉛の配合量をゴム成分100重量部あたり2重量部以下にすることによってさらに改善されること(配合例15と16との比較)がわかる。これに対して、第3級アンモニウム基含有ジエン系ゴムとジハロゲン化物である架橋剤を反応させて得られるジエン系ゴムを用いた場合(比較配合例5)には、引張強度が改善されるが、発熱性及び耐摩耗性が悪化することがわかる。
配合例20〜23および比較配合例6
表10記載の原料ゴムを用い、表9記載の配合4に基づいて以下の操作を行った。容量250mlのバンバリー中で、先ず、原料ゴムの全量、シリカの半量、シランカップリング剤の半量及びステアリン酸の全量を160℃で2分間混練した後、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で2.5分間混練した。次ぎに、得られた混合物と、酸化亜鉛、硫黄及び加硫促進剤とを50℃のオープンロールで混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表10に示す。
表10の結果から、ゴム成分として本発明の第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴムを単独で使用した場合(配合例20)も、あるいは、その他のジエン系ゴムを併用した場合(配合例21〜23)も、引張強度、発熱性及び耐摩耗性が高度にバランスされることがわかる。
本発明の実施態様を以下に示す。
(1)共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、及び少なくとも一部が炭化水素基で4級化された第3級アミノ基を含有するビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%からなり、第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR11-A2-NR12R13
[式中、R11は水素原子または低級アルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表されるものであり、4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR1-A1-N+R2R3R4・X1 -
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表されるものであり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有するジエン系ゴム。
(2)4級化する炭化水素基が、アルキル基、アリール基またはアラルキル基である(1)記載のジエン系ゴム。
(3)4級化の程度が、ジエン系ゴム中の全第3級アミノ基量の5モル%以上である(1)または(2)記載のジエン系ゴム。
(4)4級化された第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体単位の含有量が、ジエン系ゴム中の0.01〜20重量%である(1)〜(3)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(5)第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体が、一般式(2)
CH2=CR6-Ph(R7)-(CH2)m-N+R8R9R10・X2 - (2)
(式中、R6及びR7は水素原子または低級アルキル基、R8、R9及びR10はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X2はハロゲン原子、mは1〜6の整数を示す。)
で表されるものである(1)〜(4)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(6)第3級アミノ基含有ビニル系単量体、一般式(4)
CH2=CR15-Ph(R16)-(CH2)n-NR17R18 (4)
(式中、R15及びR16は水素原子または低級アルキル基、R17及びR18はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、nは1〜6の整数を示す。)
で表されるものである(5)記載のジエン系ゴム。
(7)第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物、N,N−ジ置換アミノアルキル芳香族ビニル化合物及びピリジン基を有するビニル化合物から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(8)共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、一般式(1)
CH2=CR1-A1-N+R2R3R4・X1 - (1)
[式中、R1は水素原子または低級アルキル基、R2、R3及びR4はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A1はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R5−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R5はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R2またはR3はA1と結合してヘテロ環を形成してもよく、X1はハロゲン原子を示す。]
で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%からなり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する(1)記載のジエン系ゴム。
(9)共役ジエン単量体の結合単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体の結合単位0〜50重量%、及び一般式(2)
CH2=CR6-Ph(R7)-(CH2)m-N+R8R9R10・X2 - (2)
(式中、R6及びR7は水素原子または低級アルキル基、R8、R9及びR10はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X2はハロゲン原子、mは1〜6の整数を示す。)
で表される第4級アンモニウム基含有ビニル系単量体の結合単位0.01〜20重量%からなり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する(1)記載のジエン系ゴム。
(10)共役ジエン結合単位のビニル結合量が、5〜95%である(1)〜(9)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(11)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合させた後にモノハロゲン化炭化水素を反応させることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のジエン系ゴムの製造方法。
(12)モノハロゲン化炭化水素の使用量が、ジエン系重合体ゴム中の全第3級アミノ基の量に対して0.05当量以上である(11)記載の製造方法。
(13)モノハロゲン化炭化水素が、一般式(7)
R23-X5 (7)
(式中、R23はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X5はハロゲン原子を示す。)
で表されるものである(11)または(12)記載の製造方法。
(14)共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを重合した後に3級アミンを反応させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴムの製造方法。
(15)ハロゲン含有ビニル系単量体が、一般式(5)
CH2=CR19-A3-X3 (5)
[式中、R19は水素原子または低級アルキル基、A3はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)-M-R20−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R20はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、X3はハロゲン原子を示す。]
で表される(14)記載の製造方法。
(16)ハロゲン含有ビニル系単量体が、一般式(6)
CH2=CR21-Ph(R22)-(CH2)r-X4 (6)
(式中、R21及びR22は水素原子または低級アルキル基、X4はハロゲン原子、rは1〜6の整数を示す。)
で表されるものである(14)記載の製造方法。
(17)3級アミンの使用量がジエン系重合体ゴム中の含有ハロゲン原子に対して1当量以上である(14)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)3級アミンが、一般式(8)
NR24R25R26 (8)
(式中、R24、R25及びR26は低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
で表されるものである(14)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)(1)〜(10)のいずれかに記載のジエン系ゴムからなるゴム成分及び補強剤を含んでなるゴム組成物。
(20)該ジエン系ゴムの含有量が、ゴム成分中の10重量%以上である(19)記載のゴム組成物。
(21)補強剤の使用量が、ゴム成分100重量部あたり、10〜200重量部である(19)または(20)記載のゴム組成物。
(22)補強剤が、カーボンブラックまたはシリカである(19)〜(21)のいずれかに記載のゴム組成物。
(23)補強剤が、シリカを含むものである(19)〜(21)のいずれかに記載のゴム組成物。
(24)シリカの窒素吸着比表面積(BET法)が、50〜400m2/gである(22)または(23)に記載のゴム組成物。
(25)さらにシランカップリング剤を含んだものである(23)または(24)記載のゴム組成物。
(26)シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部あたり0.1〜30重量部である(25)記載のゴム組成物。
(27)さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものである(19)〜(26)のいずれかに記載のゴム組成物。
(28)ゴム成分100重量部あたり、加硫剤0.1〜15重量部および加硫促進剤0.1〜15重量部を含む(27)記載のゴム組成物。
(29)加硫促進剤が、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものである(27)または(28)記載のゴム組成物。
(30)加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含むものである(27)〜(29)のいずれかに記載のゴム組成物。
(31)酸化亜鉛の配合量が、ゴム成分100重量部あたり、0.05〜15重量部である(30)記載のゴム組成物。
(32)酸化亜鉛の粒度が5μm位下である(30)または(31)記載のゴム組成物。
(33)共役ジエンが、ブタジエンまたはイソプレンである(1)〜(32)のいずれかに記載のジエン系ゴム、その製造方法またはそれを含むゴム組成物。
(34)芳香族ビニルが、スチレンである(1)〜(33)のいずれかに記載のジエン系ゴム、その製造方法またはそれを含むゴム組成物。
産業上の利用可能性
本発明によれば、補強剤としてシリカを配合した場合に改善された発熱性、引張強度及び耐摩耗性を有する加硫ゴムを与える第4級アンモニウム基含有のジエン系ゴム、及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、発熱性、引張強度及び耐摩耗性が大幅に改善された加硫ゴムを与えるゴム組成物が提供される。
本発明の第4級アンモニウム基含有ジエン系ゴム及びそれを含むゴム組成物は、その特性を活かした各種用途において有用である。例えば、トレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部などのようなタイヤ各部位の材料としての利用、ホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのようなゴム製品としての利用、あるいは耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等のような樹脂の強化用ゴムとしての利用、などが可能である。特に、トレッドとしての有用性が高く、例えば、低燃費タイヤのタイヤトレッドのほか、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッドとして好適である。
Claims (13)
- ゴム成分及び補強剤から成るタイヤ用ゴム組成物であって、該ゴム成分が共役ジエン系単量体単位40〜99.99重量%、芳香族ビニル単量体単位0〜50重量%、及び少なくとも1部が4級化された第3級アミノ基を含有するビニル系単量体単位0.01〜20重量%からなり、該4級化された第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH 2 =CR 1 −A 1 −N + R 2 R 3 R 4 ・X 1 -
[式中、R 1 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、R 2 、R 3 及びR 4 はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A 1 はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R 5 −(式中、Mはオキシ基またはNH基、R 5 はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R 2 またはR 3 はA 1 と結合してヘテロ環を形成してもよく、X 1 はハロゲン原子を示す。]
で表されるものであり、10〜200のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有するジエン系ゴムを含んでいることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。 - 第3級アミノ基含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR11−A2−NR12R13
[式中、R11は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、R12及びR13はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、A2はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R14−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R14はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基を示し、R12またはR13はA2と結合してヘテロ環を形成してもよい。]
で表されるものである請求の範囲1に記載のタイヤ用ゴム組成物。 - ゴム成分中の該ジエン系ゴムの割合が、10重量%以上である請求の範囲1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 補強剤が、カーボンブラックである請求の範囲1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 補強剤が、シリカを含むものである請求の範囲1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- さらに、シランカップリング剤を含むものである請求の範囲5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部に対して0.1〜30重量部である請求の範囲6に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- ゴム成分が共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルと第3級アミノ基含有ビニル系単量体とを共重合させた後に、モノハロゲン化炭化水素を反応させることによって製造されたものである請求の範囲1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- モノハロゲン化炭化水素が、式
R23−X5
(式中、R23はアルキル基、アリール基またはアラルキル基、X5はハロゲン原子を示す。)
で表されるものである請求の範囲8に記載のタイヤ用ゴム組成物。 - ゴム成分が共役ジエンまたは共役ジエン及び芳香族ビニルとハロゲン含有ビニル系単量体とを共重合させた後に、3級アミノを反応させることによって製造されたものである請求の範囲1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- ハロゲン含有ビニル系単量体が、式
CH2=CR19−A3−X3
[式中、R19は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、A3はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基、アルキレン−アリーレン基または一般式−C(=O)−M−R20−(式中、Mはオキシ基またはNH基、R20はアルキレン基、アリーレン基、アリーレン−アルキレン基またはアルキレン−アリーレン基を示す。)で表される結合基、X3はハロゲン原子を示す。]
で表されるものである請求の範囲10に記載のタイヤ用ゴム組成物。 - 3級アミンが、式
NR24R25R26
(式中、R24、R25及びR26は炭素数1〜6のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
で表されるものである請求の範囲10に記載のタイヤ用ゴム組成物。 - 共重合が、乳化重合である請求の範囲8〜12のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
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