JP4569052B2 - 車体外装品の保持クリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バンパ等の車体外装品をボデー側部材に取付けるための保持クリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のバンパをボデー側部材に固定するために、例えば特開2000−52900号公報に記載されているように、クリップを用いたバンパ取付構造が提案されている。この従来例は、車体に固定されるクリップに形成された剛性壁と弾性挾持片との間に、バンパの板状の支持部を差し込むとともに、この支持部に形成された係止穴にクリップの係止突起を嵌合させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
乗用車等のバンパの両端部は、車体の両側面に沿って車体の前後方向に延びている。このため前記クリップによってバンパの両端部をボデー側部材に取付けるには、バンパの両端部を車体の幅方向に大きく広げた状態にしてから、バンパの両端部をボデー側部材に設けた左右一対のクリップに嵌合させる作業が必要である。このため作業性が悪く、しかもクリップの係止突起を前記係止穴に嵌合させる際の位置合わせが難しかった。また、一旦ボデー側部材に取付けたバンパを取外す必要が生じたときに、バンパをクリップから取外しにくいなどの問題もあった。
【0004】
従ってこの発明の目的は、バンパ等の車体外装品をボデー側部材の所定位置に容易に取付けることができる保持クリップを提供することにある。さらに他の目的は、車体外装品を容易に取外すことができるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の保持クリップは、請求項1に記載したように構成され、車体外装品をボデー側部材に取付ける際に、車体外装品を車体下方から上方側へ押上げると、車体外装品の縁部の先端がガイド傾斜壁と接した状態で、このガイド傾斜壁を滑りながら車体外方に移動しつつ上方へ移動することにより、車体外装品の縁部の先端が第2係止部に案内され、車体外装品の縁部を第2係止部に係止させることができる。
【0006】
請求項1に記載した発明においては、前記第2係止部に、車体外装品の縁部に形成された係止孔に嵌合可能な凸部が形成されている。この凸部は、前記車体外装品の縁部の先端が車体外方から該凸部の頂部に向かって摺動することを許容する傾斜面と、該凸部が前記係止孔に嵌合した状態において該係止孔の縁に引っ掛かることができる角度で前記係止面から立ち上がる抜け止め壁とを有し、さらに前記凸部の側面には、前記車体外装品を車体前後方向にずらしたときに前記縁部が前記凸部を乗り上げることによって該凸部を前記係止孔から外すことができるよう前記係止面に対して前記抜け止め壁よりも小さな角度で傾斜するガイド斜面が形成されている。この場合、車体外装品の縁部の先端が凸部の傾斜面を乗り上げながら移動し、最終的に凸部が前記係止孔に嵌合する。この車体外装品を保持クリップから取外す必要が生じたときには、車体外装品を車体前後方向に少しずらす。
【0007】
こうすることにより、車体外装品の縁部が前記凸部のガイド斜面に沿って凸部を乗り上げるため、凸部が係止孔から外れ、車体外装品を保持クリップから取外すことができる。このガイド斜面を凸部の両側面に形成すれば、車体の左右いずれの側にも同じクリップを使用することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明においては、車体外装品の縁部を車体外方側から前記凸部に向けて移動させる際に、前記係止孔が前記凸部に嵌合可能な位置に達した時点で、車体外装品の縁部の先端がストッパ壁に当接することにより、縁部の位置を規制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
図1は、車両(この場合は自動車)の車体10の一部を示している。この車両は、車体10の外表面を成すボデーパネル等のボデー側部材11と、車体10の骨格を成すフレーム部材12と、車体外装品の一例である合成樹脂製のフロントバンパ13などを備えている。
【0010】
バンパ13の両端部13a,13bは、以下に説明する保持クリップ30によって、ボデー側部材11の左右両側部の所定位置に取付けられている。車体10に対するバンパ13の取付箇所は、端部13a,13b以外については周知のボルト等によって車体10に固定されるため説明は省略する。
【0011】
バンパ13の両端部13a,13bのうち一方の端部13aの取付構造が図2に示されている。他方の端部13bも同様の取付構造である。
図2に示すようにボデー側部材11の一部に凹部15が形成されている。凹部15は、ボデー側部材11の外面11aから車体内側に向かって折曲された内壁16と、内壁16から下方に延びる奥壁17とを有している。奥壁17の上部に取付孔18が形成されている。バンパ13の端部13aの上縁部20には、バンパ13の外表面13cから車体内方側に向けて、ほぼ水平方向に延出する取付部21が設けられている。取付部21に上下方向に貫通する係止孔22が形成されている。係止孔22は、後述する保持クリップ30の第2係止部32と向かい合って開口している。
【0012】
凹部15の奥壁17に保持クリップ30が取付けられている。保持クリップ30は、例えばポリアセタールやナイロン等に代表される合成樹脂の一体成形品であり、ボデー側部材11に係止される第1係止部31と、バンパ13を係止する第2係止部32と、前記奥壁17と対向する取付面33などを備えている。第2係止部32は、内壁16と向かい合っている。
【0013】
第1係止部31は、図2に示すように上下一対のばね性を有する抜け止め部37を有している。この第1係止部31を奥壁17の取付孔18に挿入し、抜け止め部37を取付孔18の開口縁に引っ掛けることにより、保持クリップ30をワンタッチで奥壁17に取付けることができる。
【0014】
第2係止部32は、このクリップ30を奥壁17に取付けた状態においてほぼ水平方向に延びる係止面40と、係止面40の上方に突出する凸部41と、凸部41の車体内方側に位置する一対のストッパ壁42などを有している。保持クリップ30の車体外方側の端面45の上縁部45aには、係止面40に向かって次第に高くなる傾斜面46が形成されている。
【0015】
車体外方側の端面45に上下方向に沿うガイド傾斜壁50が形成されている。
ガイド傾斜壁50は、上縁部45aから車体下方側に向かうにつれてボデー側部材11に接近してゆくような外側に凸の円弧形状をなしている。すなわちこのガイド傾斜壁50は、バンパ13を車体下方から上方側へ押上げる際に、図6に示すようにバンパ13の縁部20の先端51がガイド傾斜壁50と接した状態で、縁部20の先端51がガイド傾斜壁50を滑りながら車体外方(図6に矢印Aで示す方向)に移動しつつ、上方(図6に矢印Bで示す方向)へ移動して、縁部20の先端51が第2係止部32に案内されるような斜面をなしている。
【0016】
第2係止部32は、バンパ13に形成された係止孔22に嵌合可能な凸部41を有している。凸部41は、傾斜面46の近傍から内壁16に向かって突出している。この凸部41は、バンパ13の縁部20の先端51が車体外方側から凸部41の頂部41aに向かって摺動することを許容する傾斜面55を有している。
この傾斜面55は、バンパ13の縁部20が図6中の矢印C方向に移動する際に、縁部20の先端51が滑りながら凸部41を乗り上げることができるように、車体内方側に向かって高さが大となるように傾斜している。
【0017】
凸部41の背面側に、凸部41が係止孔22に入り込んだのち係止孔22の縁22aが引っ掛かる抜け止め壁56が形成されている。この抜け止め壁56は、係止孔22に嵌合した凸部41が図2中の矢印D方向に戻らないようにするために、係止面40に対して直角に近い角度で立上がっている。
【0018】
図4に示すように、第2係止部32に一対のスリット60が形成されている。
これらスリット60の内側の領域が、図2において上下方向に撓むことのできるばね部61となっている。ばね部61の上面に前記凸部41が形成されている。
バンパ13の縁部20の先端51が図6中の矢印C方向に挿入される際、凸部41がバンパ13の取付部21の下面21aによって下方に押され、ばね部61が撓むため、取付部21をストッパ壁42に向かって挿入することが可能となる。
そして係止孔22が凸部41に嵌合できる位置に到達したとき、ばね部61の弾力によって、凸部41が係止孔22に嵌合する。すなわちこの凸部41は、ばね部61によって、上下方向に撓むことができるばね性をもたせている。
【0019】
図5に示すように、凸部41の両側面(車体の前後方向の両面)にガイド斜面62,63が形成されている。これらガイド斜面62,63は、バンパ13をボデー側部材11に沿って車体前後方向に移動させたときに、その移動方向に応じてガイド斜面62,63のいずれか一方をバンパ13の取付部21の下面21aが滑りながら凸部41を乗り上げるように、頂部41aに向かって高さが大となる傾斜面をなしている。
【0020】
第2係止部32の後部、すなわち取付面33に近い側に、内壁16に向かって上方に突出する前記ストッパ壁42が形成されている。このストッパ壁42は、バンパ13の縁部20を車体外方側から凸部41に向かって移動させる際に、係止孔22が凸部41に嵌合できる位置に達した状態において、縁部20の先端51が当接する位置に設けられている。
【0021】
次に、前記保持クリップ30を用いてバンパ13をボデー側部材11に取付ける手順について説明する。
まず、保持クリップ30の第1係止部31をボデー側部材11の取付孔18に挿入することにより、保持クリップ30を凹部15の奥壁17に取付けておく。
保持クリップ30の第2係止部32と凹部15の内壁16との間に隙間が形成される。
【0022】
図6に示すようにバンパ13の縁部20の先端51がガイド傾斜壁50に接するように、バンパ13を車体の下側から押上げる。こうすることにより、バンパ13の縁部20の先端51がガイド傾斜壁50と接した状態で、縁部20の先端51がガイド傾斜壁50を滑りながら車体外方(矢印Aで示す方向)に移動しつつ上方(矢印Bで示す方向)へ移動することにより、縁部20の先端51が保持クリップ30の第2係止部32に案内される。ガイド傾斜壁50が円弧状をなしているため、縁部20の先端51を上記A,B方向に円滑に案内することができる。
【0023】
そののち、車体外方側からバンパ13の縁部20を叩くなどして奥壁17に向かって押込むことにより、係止孔22が凸部41に嵌合する位置まで縁部20を移動させる。取付部21がストッパ壁42に向かって移動する途中で、凸部41が取付部21の下面21aに押されることによって、凸部41が係止面40の内側に引っ込む方向にばね部61が撓む。このため、取付部21を内壁16と係止面40との間に挿入することができる。縁部20の先端51がストッパ壁42に達する直前に、ばね部61の弾力によって凸部41が係止孔22に入り込む。
【0024】
バンパ13を保持クリップ30から取外すには、バンパ13を車体10の前後方向(図1に矢印Eで示す方向)に少し移動させる。こうすることにより、凸部41のガイド斜面62にバンパ13の取付部21の下面21aが乗り上げるとともに、凸部41が押されてばね部61が撓むため、凸部41が係止孔22から外れる。そののち、バンパ13をボデー側部材11から離す方向に移動させれば、取付部21を保持クリップ30から取外すことができる。
【0025】
この実施形態の場合、バンパ13の左右いずれの端部13a,13bにも共通の保持クリップ30を使用できるようにするために、凸部41の両側面にガイド斜面62,63を設けている。すなわち、バンパ13の一方の端部13aにおいては、バンパ13を取外す際に一方のガイド斜面62に取付部21の下面21aが乗り上げる。バンパ13の他方の端部13bにおいては、バンパ13を取外す際に他方のガイド斜面63に取付部21の下面21aが乗り上げることになる。
【0026】
前述した本発明の保持クリップは、フロントバンパやリヤバンパ以外の車体外装品をボデー側部材に取付ける場合に適用することができる。またこの発明を実施するに当たり、ボデー側部材や車体外装品の具体的な形状、保持クリップの第1係止部や第2係止部、ガイド傾斜壁の形態など、この発明の構成要素をこの発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更して実施できることは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明によれば、車体外装品を車体下方側から押上げることにより、車体外装品の縁部が保持クリップのガイド傾斜壁によって第2係止部に案内されるため、車体外装品をボデー側部材の所定位置に取付ける作業を容易に行うことができる。
【0028】
請求項1に記載した発明によれば、車体外装品の縁部を保持クリップの第2係止部にさらに容易に係止させることができ、しかも車体外装品を保持クリップから取外す必要が生じたときに、車体外装品を横に少しずらすことにより、車体外装品の縁部を保持クリップから容易に外すことができる。
【0029】
請求項2に記載した発明によれば、車体外装品をボデー側部材に取付ける際、車体外装品の縁部の先端がストッパ壁に当接することにより、第2係止部の凸部に対する車体外装品の係止孔の位置を規制することができるため、車体外装品をさらに容易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す車体外装品を備えた車両の一部の斜視図。
【図2】 図1中のF2−F2線に沿う車両の一部の縦断面図。
【図3】 図1に示された車体外装品をボデー側部材に取付けるための保持クリップの斜視図。
【図4】 図3に示された保持クリップの平面図。
【図5】 図3に示された保持クリップの正面図。
【図6】 図2に示された車体外装品が保持クリップに係止される直前の状態を示す断面図。
【符号の説明】
10…車体
11…ボデー側部材
13…バンパ(車体外装品)
30…保持クリップ
31…第1係止部
32…第2係止部
41…凸部
42…ストッパ壁
50…ガイド傾斜壁
55…傾斜面
62,63…ガイド斜面
Claims (2)
- 車両のボデー側部材に車体外装品の縁部を固定する保持クリップであって、
前記ボデー側部材に係止される第1係止部と、
前記車体外装品の縁部を係止する第2係止部と、
車体外方側の端面に形成されたガイド傾斜壁であって、その上縁部から車体下方側に向かうにつれて前記ボデー側部材に接近してゆくガイド傾斜壁とを有し、
前記ガイド傾斜壁は、前記車体外装品を車体下方から上方側へ押上げる際、該車体外装品の縁部の先端が前記ガイド傾斜壁と接した状態で、前記ガイド傾斜壁を滑りながら車体外方に移動しつつ上方へ移動させる斜面をなし、
前記第2係止部は、係止面と、該係止面の上方に突出し前記車体外装品の縁部に形成された係止孔に嵌合可能な凸部を有し、該凸部は、前記車体外装品の縁部の先端が車体外方から該凸部の頂部に向かって摺動することを許容する傾斜面と、該凸部が前記係止孔に嵌合した状態において該係止孔の縁に引っ掛かることができる角度で前記係止面から立ち上がる抜け止め壁とを有し、
さらに前記凸部の側面には、前記車体外装品を車体前後方向にずらしたときに前記縁部が前記凸部を乗り上げることによって該凸部を前記係止孔から外すことができるよう前記係止面に対して前記抜け止め壁よりも小さな角度で傾斜するガイド斜面が形成されていることを特徴とする車体外装品の保持クリップ。 - 前記凸部の車体内方に、前記車体外装品の縁部を車体外方から前記凸部に向けて移動させる際、前記係止孔が前記凸部に嵌合する位置に達した状態において前記縁部の先端が当接するストッパ壁が形成されていることを特徴とする請求項1記載の車体外装品の保持クリップ。
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