JP4558471B2 - ナノ粒子およびナノ粒子の製造方法 - Google Patents

ナノ粒子およびナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノ粒子および、ハードディスクドライブ等の、磁気的に情報の記録および/または再生を行う磁気記録再生装置用媒体(すなわち、磁気記録媒体)に関するものである。
高密度記録化に対応するため、磁気記録媒体には粒径が小さく熱揺らぎ耐性に優れた材料が求められており、この問題に対しては、化学的な手法により形成され、粒径とその分散が小さく磁気異方性エネルギーが高いFePtナノ粒子が提案されている(例えば特許文献1,2および非特許文献1参照。)。
特開2000−48340号公報(特許請求の範囲) 特開2000−54012号公報(特許請求の範囲) スン等(Sun et al.),「サイエンス(Science)」,第287巻,2000年,p.1989−1992
上記の化学合成によるナノ粒子は、粒径が揃っており遷移ノイズを小さくできるが、形状については、これまでに知られている限りほぼ球形であり、磁気記録媒体にこのようなナノ粒子を適用する場合には、記録膜中の磁性体の充填密度に損失が生じるという問題がある。
このような損失は、再生信号出力の低下を招くため、磁気記録再生装置の高性能化のためには、より高い充填密度を可能とする形状のナノ粒子を作成できることが好ましい。さらに、高密度記録を実現するためには、情報記録層に磁気的異方性が導入されている必要があるため、磁気的異方性の導入も同時に可能であることが好ましい。
本発明は、これらの課題を解決し、より充填密度が高く、磁気異方性の大きいナノ粒子を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、FePt、CoPtまたはFePdからなり、その平均アスペクト比が1.5以上であるナノ粒子が提供される。本態様に関しては、2個以上の粒子が数珠状に結合した形状の、FePt、CoPtまたはFePdからなる粒子を含んでなることが好ましい。
本発明の他の一態様によれば、Fe塩およびCo塩の少なくともいずれか一方と、Pt塩およびPd塩の少なくともいずれか一方とを、生成するナノ粒子のアスペクト比を大きくできる有機ポリマーおよび還元剤とともに有機溶媒に混合し、加熱撹拌して得られるナノ粒子が提供される。
塩の少なくとも一つが、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、アセチルアセトナト、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩およびスルホン酸塩からなる群から選ばれた塩であること、有機溶媒が一分子中に2〜20個の炭素原子を含むエーテルであること、還元剤が、LiALH4、NaH、KHおよびCaH2からなる群から選ばれた少なくとも一つの還元剤であること、有機ポリマーが、ポリブタジエン、ポリアセチレン、ポリイソプレンおよびポリアニリンからなる群から選ばれた少なくとも一つの有機ポリマーであること、ナノ粒子の平均アスペクト比が1.5以上であること、ナノ粒子が、2個以上の粒子が数珠状に結合した形状の、FePt、CoPtまたはFePdからなる粒子を含んでなること、ナノ粒子の平均短軸長が2〜6nmの範囲にあること、ナノ粒子が硬磁性ナノ粒子であること、が好ましい形態である。
本発明の上記態様により、高充填密度で、磁気異方性が大きく、従って低ノイズのナノ粒子が得られる。
本発明のさらに他の一態様によれば、上記のナノ粒子を構成要素として使用した磁気記録媒体が提供される。垂直磁気記録媒体であって、情報記録層の面内方向に対する保磁力が、情報記録層面に垂直な方向に対する保磁力の40%以下であることが好ましい。
本発明のさらに他の一態様によれば、上記の磁気記録媒体を備え、磁気記録媒体に対して、熱アシスト記録が可能である磁気記録再生装置が提供される。
本発明の上記二態様により、高性能の磁気記録媒体および磁気記録再生装置を実現できる。
本発明により、高充填密度で、磁気異方性が大きく、従って低ノイズのナノ粒子が得られる。このナノ粒子を使用すれば、高性能の磁気記録媒体および磁気記録再生装置を実現できる。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。図中、同一の符号は同一の要素を表す。
ナノ粒子は、その粒子を構成する金属の前駆体である金属塩を還元剤とともに有機溶媒に混合し、加熱撹拌して得ることができる。
本発明に係るナノ粒子は、このようなナノ粒子の製造に際し、ナノ粒子を構成する金属の前駆体としてFe塩およびCo塩の少なくともいずれか一方と、Pt塩およびPd塩の少なくともいずれか一方とを選択し、上記有機溶媒には、金属の前駆体および還元剤と共に、特定の有機ポリマーを共存させ、この混合物を加熱撹拌することにより得られる。このナノ粒子は、従来のナノ粒子に比べ充填密度の向上が実現でき、アニール処理を行えば、大きな磁気異方性を有する硬磁性粒子の磁性膜を作製できる。
ナノ粒子を構成する金属の前駆体としてFe塩およびCo塩の少なくともいずれか一方と、Pt塩およびPd塩の少なくともいずれか一方とを選択することにより、FePt,FePd,CoPt,CoPdまたはこれらの混合物のナノ粒子が生成する。特に好ましいのは、FePt,FePdおよびCoPtのナノ粒子である。
なお、本発明の要件を充足するナノ粒子は、いずれの場合も、アニール処理前の状態の物とアニール処理後の状態の物とのいずれについても本発明の範疇に属する。
また、本発明において、ナノ粒子とは平均粒径が100nm以下の粒子を意味する。平均粒径としては10nm以下であることが好ましい。長軸長と短軸長とで表す場合には、平均で長軸長が20nm以下で短軸長が10nm以下の粒子がより好ましい。短軸長は平均で2〜6nmが特に好ましい。
上記金属の前駆体は、公知の化合物の中から任意に選択することができる。無機酸塩または有機酸塩またはその両方を使用することができる。無機塩としては、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、アセチルアセトナト、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、スルホン酸塩またはこれらの混合物を使用することができる。
FePt,FePd,CoPt等は合金である。これらの合金における各金属の割合は前駆体の量比を変更することにより変更可能である。
上記還元剤は、使用される金属塩を金属に還元できる公知の化合物の中から任意に選択することができるが、還元力の強さから、いわゆるハイドライド試薬が好ましく、中でもLiALH4、NaH、KH、CaH2またはこれらの混合物がより好ましい。還元剤の使用量については、理論還元量以上であれば特に制限はなく、生成するナノ粒子の品質等に応じて適宜定めることができる。
加熱撹拌する場合の雰囲気温度は、使用する還元剤等の実状に合わせ任意に選択できるが、一般的には150〜400℃の範囲が好ましい。撹拌条件については特に制限はない。また、加熱撹拌は窒素や不活性ガス等、還元反応を妨げない雰囲気中で行うことが好ましい。
上記のように、ナノ粒子を形成させる合成方法において特定の有機ポリマーを用いると、従来のナノ粒子に比べ充填密度の向上が実現でき、磁気異方性が発揮される。
この理由は、恐らく次のような機構によるものと考えられている。すなわち、上記加熱撹拌中に金属への還元が起こるが、その還元された金属に有機ポリマーが配位する。そして還元された金属が互いに結合し合って金属微粒子として成長するに連れ、その周りを有機ポリマーが包むような形状を取るようになる。このとき、図1に模式的に示すように金属微粒子2の表面の一部のみに露出部分6が生じ、加熱撹拌中に、露出部分6同士の接触により、図2に模式的に示すように、金属微粒子2が結合して本発明に係るナノ粒子3が得られるのである。露出部位外の場所は有機ポリマー1に保護されて他の粒子との結合が妨げられる。有機ポリマー1は、ナノ粒子3の周囲を覆っているので、その後アニール時にナノ粒子3が互いに焼結するのを防止する機能も有する。
特定の有機ポリマーを使用すると、金属微粒子表面の露出部が、粒子の中心についてほぼ点対称の位置に二個所生じる。この露出部が他の粒子の露出部に付着することにより、従来のナノ粒子に比べ充填密度の向上が実現でき、また、生成するナノ粒子のアスペクト比が大きくなって、磁場印加による記録膜への磁気異方性の導入が可能となるものと考えられる。電子顕微鏡による観察の結果、図3に示すように、粒子が互いに結合した数珠状のナノ粒子が得られていることが判明した。
このような特定の有機ポリマーとしては、金属微粒子を互いに結合させ、生成するナノ粒子のアスペクト比を大きくするのに貢献できるものであればどのようなものでもよい。本発明に係る有機ポリマーとして機能し得るかどうかは、その有機ポリマーが存在しない場合におけるナノ粒子のアスペクト比に対し、その有機ポリマーを存在させた場合に、ナノ粒子のアスペクト比が大きくなるかどうかで容易に判断することができる。なお、上記有機ポリマーの作用機構はあくまでも推測であり、このような機構の有無は本発明に係る有機ポリマーの要件とはならない。
本発明に係る有機ポリマーが生成するナノ粒子のアスペクト比を大きくできるのは、この有機ポリマーが還元反応中に生成する金属に対し配位能を有することによるものと考えられているので、一般的にFe,Co,PtまたはPdに対して配位能を有すると考えられる有機ポリマーの中から適当なものを選択することが好ましい。たとえば炭素−炭素二重結合や孤立電子対を有する直鎖状の有機ポリマーが好ましい。このような有機ポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリアセチレン、ポリイソプレン、ポリアニリンを例示することができる。これらは混合物として使用してもよい。有機ポリマーは生成するナノ粒子の表面を覆うので、その使用量は、生成するナノ粒子の表面積に応じて決まるものと推察される。一般的には、生成するナノ粒子の品質等に応じて適宜定めることができる。
本発明に係る溶媒としては、安定したナノ粒子を与える意味から、エーテル、アルコール、エステル、炭化水素等の有機溶媒が好ましく、一分子中に2〜20個の炭素原子を含むエーテルがより好ましい。
また、生成した金属微粒子やナノ粒子の、分散液中での凝集、沈殿等を防止するために、加熱撹拌処理に供する系中に分散安定剤を共存させてもよい。この分散安定剤としては、一分子中の炭素原子数が6〜22のカルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸等の酸が挙げられる。あるいは、同じく一分子中の炭素原子数が6〜22であるアミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
特に、金属微粒子やナノ粒子を液中に分散させる能力の大きいカルボン酸の一種であるオレイン酸と、オレイン酸と同一の炭素鎖を有し、化学的性質が類似したオレイルアミンが好適である。これらの酸、アミンは単独で用いてもよいし、同時に組み合わせて用いてもよい。特に、オレイル酸とオレインアミンの組み合わせが適している。分散安定剤の量については特に制限はなく、適宜選択することができる。
なお、ナノ粒子の形状についての検討の結果、純粋にナノ粒子の形状にのみ着目した場合には、FePt、CoPtまたはFePdからなり、その平均アスペクト比が1.5以上であるナノ粒子であれば、従来のナノ粒子に比べ充填密度の向上が実現でき、磁気異方性が発揮できることが判明した。
アスペクト比は、長軸長と短軸長の比(長軸長/短軸長)であり、平均アスペクト比は、例えば電子顕微鏡下で長軸長と短軸長とを測定して求めることができる。本発明に係る平均アスペクト比が1.5以上のナノ粒子は、典型的には棒状の形状を有するため、一般的には、本発明に係るナノ粒子を円柱体として扱うことが可能であるが、その他の形状、例えば板状であってもよい。短軸長は、ナノ粒子を長軸長方向に沿ってみた場合の断面の円相当直径として求めてもよい。平均アスペクト比が1.5未満では磁気異方性の発現が不十分となる場合が多い。平均アスペクト比の上限については特に制限はない。
このようにして得られたナノ粒子は、従来のような球形の粒子に比べ体積の損失が改善されるため、従来のナノ粒子に比べ充填密度の向上が実現でき、磁気異方性が発揮できる。従って低ノイズのナノ粒子が得られる。また、ナノ粒子一般に見られるように、粒径のばらつきが小さい。
充填密度の向上と磁気異方性の発揮の理由は次のように説明できるものと思われる。図4の(a)は従来の球形のナノ粒子(すなわち、本発明に係るナノ粒子を構成する金属微粒子に相当する粒子)2が二個、互いに接触している様子を模式的に表している。また、(b)は、本発明に係る平均アスペクト比が1.5以上のナノ粒子3を模式的に表している。(b)の短軸長Sは(a)の粒子2の直径と同じ長さであり、(b)の長軸長Lは、(a)の粒子二個の直径の和とほぼ同じ長さである。すなわち、アスペクト比L/Sはほぼ2である。
このような場合、(a)の二つの粒子2の間にある空間4(斜線部分)が体積の損失となるが、本発明に係るナノ粒子3では、金属微粒子同士の結合により空間4に相当する体積の損失が減少する。
なお、実際には、従来のナノ粒子製造において、後述するアニール時に微粒子同士が焼結するのを防止するため、図5に示すように粒子を覆う保護層5を設けることが必要であり、図4(a)に示すように粒子同士が接触せず、アニールの際に保護層が消失した後も、図5のように保護層5が介在することに起因したロスが生じているものと考えられる。その分、従来のナノ粒子製造においては体積の損失が増大しているものと考えられるが、本発明に係るナノ粒子では、図4(b)に示すように、微粒子同士が結合した部分には有機分子(あるいは保護膜5の材料)が介在せず、体積の損失が生じない。従ってこの点でも体積の損失が減少する。
また、FePt、CoPtまたはFePdからなるナノ粒子において、たとえば微粒子2個が結合すればアスペクト比L/Sがほぼ2となり、容易に磁気異方性を実現できることが理解される。
このようなナノ粒子は、2個以上の粒子が数珠状に結合した形状の、FePt、CoPtまたはFePdからなる粒子を含んでなるナノ粒子として得ることが可能である。この2個以上の粒子が数珠状に結合した形状を例示すると図6のようになる。図6には、2個の粒子が結合した形状と3個の粒子が結合した形状を示してある。このような形状であれば、球状の粒子と比較して、体積の損失も低減でき、アスペクト比も大きくできる。
数珠状に結合した形状が存在すれば、従来のナノ粒子に比べ充填密度の向上が実現でき、磁気異方性が発揮できるという効果が得られると思われるのでそれ以外の形状のナノ粒子が共存していてもよいことはいうまでもない。また、数珠状の形状がある程度の枝分かれを有していてもよいものと思われる。
なお、上記の、平均アスペクト比が1.5以上である条件や2個以上の粒子が数珠状に結合した形状の、FePt、CoPtまたはFePdからなる粒子を含んでなるナノ粒子であるという要件は、上記した、金属の前駆体を特定の有機ポリマーおよび還元剤とともに有機溶媒に混合し、加熱撹拌して得られるナノ粒子についても適用することが好ましい。このような条件を充足するナノ粒子は、充填密度と磁気異方性とがより向上する。
また、アスペクト比に関連して、本発明に係るナノ粒子は、上述のごとく、平均短軸長が2〜6nmの範囲にあることが好ましい。このような範囲にあれば、ナノ粒子である特徴を活かして、大きな磁気異方性を十分に発揮できる。
上記のようにして得られた本発明に係るナノ粒子は、fcc(面心立方)構造を有するので、アニール処理によりfct(L10型超格子構造)構造の大きな保磁力を持ち、長軸方向に磁化容易軸の揃った硬磁性ナノ粒子に変えることができる。従って、このナノ粒子を構成要素として使用すれば高性能の磁気記録媒体を実現することができる。
本発明に係るナノ粒子を構成要素として使用した磁気記録媒体は、特に、垂直磁気記録媒体として使用した場合に優れた効果を発揮する。ここで垂直磁気記録媒体の構成について図7を使用して説明すると次のようになる。図7は垂直磁気記録媒体の一例の側断面図である。図7に示すように、垂直磁気記録媒体70は、たとえば、基板71上に、軟磁性裏打ち層72、シード層73、非磁性中間層74、情報記録層75、媒体保護層76および媒体潤滑層77が順次積層された構成となっている。情報記録層は、硬磁性の垂直磁化膜からなり、軟磁性裏打ち層は、水平方向に磁化可能な軟磁性の膜からなっている。このような情報記録層としては、上記のごとく、面内方向に対する保磁力が、情報記録層面に垂直な方向に対する保磁力の40%以下であれば、高い磁化異方性を持つ高性能の垂直磁気記録媒体を実現することができる。
また、本発明に係る硬磁性ナノ粒子は、熱アシスト記録機能を有する磁気記録再生装置用の磁気記録媒体に使用することもできる。高い記録密度を得るため粒径の小さい磁性体を使用した場合に、熱擾乱を防止するために異方性エネルギーの大きいものが必要となるが、異方性エネルギーの大きい磁性体は、磁気情報の書き込みが困難になる。そこで、書き込み対象部分を一時的に熱擾乱状態にして書き込むのが熱アシスト記録であるが、熱アシスト記録を前提とした場合、例えば高度に規則化したfct構造を持つFePtのような異方性エネルギー密度の高い材料を使用できるため、熱アシスト記録を前提としない場合と比較してより粒径の小さい磁性粒子を用いることが出来る。そのため、本発明に係る硬磁性ナノ粒子は、熱アシスト記録を行うことによって、粒径の小ささという本来の特徴をより発揮することができ、結果として高S/N比とともに、記録電流マージン,オーバーライト特性を確保できる。本発明に係る硬磁性ナノ粒子は、特に長軸を媒体面に垂直に配向した垂直磁気記録媒体に用いた場合、面内方向での粒径が同じである略球形のナノ粒子と比較して体積が大きくなる分、異方性エネルギー密度の低い材料からなっていても、熱揺らぎ耐性を確保できる。すなわち、粒怪に依存するノイズが同等である場合、よりヘッドでの記録がしやすくなる。これは熱アシストを用いない場合には必要なヘッド磁界が小さくなるということであり、熱アシストを用いた場合には記録時に必要な温度を下げることができるということである。従って、熱アシストを用いない場合にはヘッド設計の面から高密度記録に有利であり、熱アシストを用いた場合には消費電力や潤滑剤の劣化の抑制に効果がある。
次に本発明の実施例を詳述する。
[実施例1]
本発明に係る金属塩である鉄アセチルアセトナト177mgおよび白金アセチルアセトナト197mg、本発明に係る有機ポリマーであるポリブタジエン(平均分子量約5,000)150mg、分散安定剤としてのオレイン酸0.64mL(4mmol)、本発明に係る還元剤であるNaH(鉱油に分散したもの、含有率60質量%以上)320mg、を溶媒オクチルエーテル10mLに溶解した混合物を230℃まで加熱し、30分間撹拌した。これによって金属微粒子が2〜5個、ほぼ直線状に連なった数珠状のFePtナノ粒子を含む分散液が得られるが、この段階では、粗大な粒子が混ざっているので次のようにして精製を行った。
すなわち、放冷により混合物を室温まで冷却した後に、反応混合液にエタノール10mLを加えて3000回転/分(rpm)にて10分間の遠心分離を行い沈殿を得た。生じた沈殿にヘキサン5mLとオレイン酸・オレイルアミンを各50μL加えて撹拌し、得られた分散液に3000rpm、10分間の遠心分離を行った。ヘキサンを加えたのは、系の極性を減少させ、粒子の沈降を妨げることにより、粗大粒子の沈降分離を容易にするためである。分散液の上部部分を取り出し、エタノール5mLを加えて系の極性を上げ、粒子の沈降を促進できる状態にした後、さらに3000rpm、10分間の遠心分離を行うことで、微粒子が2〜5個、ほぼ直線状に連なった数珠状のFePtナノ粒子を沈殿として得た。本発明に係る平均短軸長に相当する金属微粒子の平均粒径は約2nmであった。組成はFe49Pt51(モル比)であった。
[実施例2]
平均短軸長2.0nm、平均長軸長11.2nmである数珠状のFePtナノ粒子を、同質量の分散安定剤オレイン酸とオレイルアミンの1:1混合物とともに、ナノ粒子1gに対してヘキサン100mLの割合で分散させた分散液を調製した。
次に直径2.5インチ(換算値は6.4cm)の熱酸化膜の形成されたSi基板に、FeSiをスパッタ法により200nm形成し、この軟磁性裏打ち層を形成した基板に、カーボンをスパッタすることで膜厚5nmの非磁性中間層を成膜し、その上に、上記の分散液を用いて、FePtナノ粒子を含む膜が全体で15nmの膜厚となるようにスピンコート法により成膜した。なお、カーボン中間層の膜厚は1〜10nmの範囲が望ましい。成膜時には、基板表面と垂直な方向に1T(10kOe)の磁場を印加しながら成膜した。
成膜後、基板表面と垂直な方向に5T(50kOe)の磁場を印加しながら、常圧のAr雰囲気下、200℃で30分間の熱処理を行い磁化容易軸の方向を揃え、その後500℃でのアニール処理を行うことによって、ナノ粒子を硬磁性とした。このアニール処理の結果、ポリブタジエン等の有機物は分解し、若干の炭素以外は消失した。なお、本発明に係るナノ粒子は、完全に純粋なもののみを指すのではなく、この例に示されるように他の物質が共存するものを指すことができる。共存物の典型例は炭素である。この炭素は隣接する粒子同士の孤立化に寄与することによりノイズの減少および分解能の向上に寄与し得る。
さらにスパッタ法により厚さ3nmのカーボン保護膜を成膜し、その上にパーフルオロポリエーテルからなる媒体潤滑層を設けて、垂直磁気記録媒体を作成した。この方法によって作成された磁気記録媒体について保磁力を測定したところ、媒体面に垂直な方向については4.2kOe、面内方向については1.6kOeであった。すなわち、情報記録層の面内方向に対する保磁力は、情報記録層面に垂直な方向に対する保磁力の38%であった。
この方法によって作製された垂直磁気記録媒体は、fct構造を持つ、平均粒径2.4nmの球形硬磁性FePtナノ粒子をスピンコート法にて5層分の厚さで塗布した後に、磁場中熱処理により配向制御を行う方法によって作製された垂直磁気記録媒体と比較して、情報記録層の充填率が85%高く、信号出力は71%上昇し、結果としてS/N比は4.6dB向上した。なお、情報記録層の充填率は、上記数珠状の粒子を使用した場合の垂直磁気記録媒体の飽和磁化をA、球状の粒子を使用した場合の垂直磁気記録媒体の飽和磁化をA’、数珠状の粒子を使用した場合においてナノ粒子磁性層が100%ナノ粒子から成り立っているとしたときの垂直磁気記録媒体の飽和磁化をB、球状の粒子を使用した場合においてナノ粒子磁性層が100%ナノ粒子から成り立っているとしたときの垂直磁気記録媒体の飽和磁化をB’としたときに(A/B)/(A’/B’)で表される特性である。
なお、前記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
FePt、CoPtまたはFePdからなり、その平均アスペクト比が1.5以上であるナノ粒子。
(付記2)
2個以上の粒子が数珠状に結合した形状の、FePt、CoPtまたはFePdからなる粒子を含んでなる、付記1に記載のナノ粒子。
(付記3)
Fe塩およびCo塩の少なくともいずれか一方と、Pt塩およびPd塩の少なくともいずれか一方とを、生成するナノ粒子のアスペクト比を大きくできる有機ポリマーおよび還元剤とともに有機溶媒に混合し、加熱撹拌して得られるナノ粒子。
(付記4)
前記塩の少なくとも一つが、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、アセチルアセトナト、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩およびスルホン酸塩からなる群から選ばれた塩である、付記3に記載のナノ粒子。
(付記5)
前記有機溶媒が一分子中に2〜20個の炭素原子を含むエーテルである、付記3または4に記載のナノ粒子。
(付記6)
前記還元剤が、LiALH4、NaH、KHおよびCaH2からなる群から選ばれた少なくとも一つの還元剤である、付記3〜5のいずれかに記載のナノ粒子。
(付記7)
前記有機ポリマーが、ポリブタジエン、ポリアセチレン、ポリイソプレンおよびポリアニリンからなる群から選ばれた少なくとも一つの有機ポリマーである、付記3〜6のいずれかに記載のナノ粒子。
(付記8)
平均アスペクト比が1.5以上である、付記3〜7のいずれかに記載のナノ粒子。
(付記9)
2個以上の粒子が数珠状に結合した形状の、FePt、CoPtまたはFePdからなる粒子を含んでなる、付記3〜8のいずれかに記載のナノ粒子。
(付記10)
平均短軸長が2〜6nmの範囲にある、付記1〜9のいずれかに記載のナノ粒子。
(付記11)
硬磁性ナノ粒子である、付記1〜10のいずれかに記載のナノ粒子。
(付記12)
付記1〜11のいずれかに記載のナノ粒子を構成要素として使用した磁気記録媒体。
(付記13)
垂直磁気記録媒体であって、情報記録層の面内方向に対する保磁力が、当該情報記録層面に垂直な方向に対する保磁力の40%以下である、付記12に記載の磁気記録媒体。
(付記14)
付記12または13に記載の磁気記録媒体を備え、当該磁気記録媒体に対して、熱アシスト記録が可能である磁気記録再生装置。
金属微粒子の表面の一部のみが露出した状態を示す模式図である。 金属微粒子が結合して本発明に係るナノ粒子が得られる様子を示す模式図である。 本発明に係るナノ粒子の電子顕微鏡写真である。 従来の球形のナノ粒子と本発明に係るナノ粒子とを比較するための模式図である。 従来の球形のナノ粒子に保護層が設けられた様子を示す模式図である。 本発明に係るナノ粒子を例示する模式図である。 垂直磁気記録媒体の一例の模式的側断面図である。
符号の説明
1 有機ポリマー
2 金属微粒子
3 ナノ粒子
4 二つの粒子の間にある空間
5 保護層
6 露出部分
70 垂直磁気記録媒体
71 基板
72 軟磁性裏打ち層
73 シード層
74 非磁性中間層
75 情報記録層
76 媒体保護層
77 媒体潤滑層

Claims (5)

  1. 2個以上の粒子の一部が互いに結合して、数珠状に連なった形状であり、FePt、CoPtまたはFePdからなるナノ粒子であって、
    前記数珠状に連なった形状のナノ粒子の周囲がポリブタジエンで覆われた、
    ナノ粒子。
  2. 前記数珠状に結合した形状の平均アスペクト比が1.5以上である、請求項1に記載のナノ粒子。
  3. 平均短軸長が2〜6nmの範囲にある、請求項1または2に記載のナノ粒子。
  4. Fe塩およびCo塩の少なくともいずれか一方と、Pt塩およびPd塩の少なくともいずれか一方とをナノ粒子を構成する金属の前駆体として選択し、
    前記前駆体である金属塩を還元剤と共にポリブタジエンを含む有機溶媒に混合し、加熱撹拌する
    ことを含む、ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記還元剤が、LiAlH、NaH、KHおよびCaHからなる群から選ばれた少なくとも一つの還元剤を含む、請求項に記載のナノ粒子の製造方法。
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