JP4552165B2 - 工業用抗菌剤組成物及び工業用抗菌方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は工業用抗菌剤組成物及び工業用抗菌方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水や洗浄水、重油スラッジ、金属加工油剤、繊維油剤、ペイント、紙用塗工液、ラテックス、糊剤の防腐用、殺菌用として有用である工業用抗菌剤組成物、及び、微生物の増殖と付着を効果的に防止することができる工業用抗菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紙・パルプ工業における抄紙工程や、各種工業における冷却水系には、細菌や真菌によるスライムが発生し、製品の品質低下や、生産効率の低下などの障害を惹起している。また、多くの工業製品、例えば、重油スラッジ、金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、糊剤などでは、細菌や真菌による腐敗や汚染が発生し、製品を汚損し、商品価値を低下させる。これらの微生物による障害を防止するために、多くの殺菌剤が使用されてきた。
古くは有機水銀化合物や塩素化フェノール系化合物などが使用されていたが、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒性が強く、環境汚染を引き起こすために使用が規制されるようになり、最近では比較的低毒性の有機窒素硫黄系化合物、有機ハロゲン系化合物、有機硫黄系化合物が工業用殺菌剤として汎用されている(防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会、昭和61年発行)。しかし、これらの殺菌剤は、ある種の細菌や真菌に対しては殺菌力が小さく、実系に適用した場合、極めて高濃度の添加が必要となり、経済性が悪いなどの問題があった。
このような問題を解決するために、いわゆる相乗効果を期待して、複数の殺菌剤を組み合わせて使用することが提案されている。例えば、特開昭54−44024号公報には、用水系や産業用製品の微生物障害を防止し得る非医療用防菌、防藻剤として、イソチアゾロン化合物とハロゲン化酢酸エステル化合物とを含有する非医療用防菌、防藻剤が提案されている。しかし、この防菌、防藻剤は、改善された殺菌効力を有するものの、実系に適用した場合、その効果は必ずしも満足し得る水準には達していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水や洗浄水、重油スラッジ、金属加工油剤、繊維油剤、ペイント、紙用塗工液、ラテックス、糊剤などの防腐用、殺菌用として有用であり、水中の分散菌に対しても、壁面のスライムに対しても長期間効果を発揮する工業用抗菌剤組成物及び工業用抗菌方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、イソチアゾロン化合物が殺菌又は増殖抑制という特性を有し、さらにブロモ酢酸化合物とニトロアルコール化合物を組み合わせることにより、水中の分散菌に対して、単剤及び二剤配合よりも相乗的に優れた防止効果が発揮されることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
(1)(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン及び(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールを含有することを特徴とする工業用抗菌剤組成物、
(2)(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンとの割合が、1:10〜100:1(重量比)であり、かつ(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンの合計量と(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとの割合が1:10〜20:1(重量比)である第1項記載の工業用抗菌剤組成物、及び、
(3)(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンとの割合が1:10〜100:1(重量比)であり、(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンの合計量と(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとの割合が1:10〜20:1(重量比)であり、かつ(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン及び(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールの合計濃度が0.1〜1,000mg/Lとなるようにこれらの化合物を添加することを特徴とする工業用抗菌方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の工業用抗菌剤組成物は、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含有する。
本発明組成物に用いる(A)イソチアゾロン化合物に特に制限はなく、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどを挙げることができる。これらのイソチアゾロン化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン及びベンゾイソチアゾリン−3−オンを特に好適に用いることができる。
【0006】
本発明組成物に用いる(B)ブロモ酢酸化合物に特に制限はなく、例えば、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸フェニル、ジブロモ酢酸メチル、ジブロモ酢酸エチル、トリブロモ酢酸メチル、トリブロモ酢酸エチル、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)ブタン、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)ブタン、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ジブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(ジブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(ジブロモアセトキシ)ブタン、1,4−ビス(ジブロモアセトキシ)ブタン、1,4−ビス(ジブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(トリブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(トリブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(トリブロモアセトキシ)ブタン、1,4−ビス(トリブロモアセトキシ)ブタン、1,4−ビス(トリブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパンなどを挙げることができる。これらのハロゲン化酢酸エステルは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン及び1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパンを特に好適に用いることができる。
【0007】
本発明組成物に用いる(C)ニトロアルコール化合物に特に制限はなく、例えば、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、3,3−ジブロモ−3−ニトロプロパノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2−ブロモ−2−ニトロブタン−1,4−ジオール、2−ブロモ−2−ニトロペンタン−1,5−ジオール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン−2,4−ジオール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン−1、5−ジオール、2−ブロモ−2−ニトロヘキサン−1,6−ジオール、3−ブロモ−3−ニトロヘキサン−1,6−ジオール、2−ブロモ−2−ニトロヘプタン−1,7−ジオール、3−ブロモ−3−ニトロヘプタン−1,7−ジオール、4−ブロモ−4−ニトロヘプタン−1,7−ジオールなどを挙げることができる。これらのニトロアルコール化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールを特に好適に用いることができる。
【0008】
本発明の工業用抗菌剤組成物の形態には特に制限はなく、例えば(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含有する1剤型とすることができ、あるいは、それぞれが(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物又は(C)ニトロアルコール化合物を含む2剤型又は3剤型として、別々に添加することもできる。これらの中で、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物のすべてを含む液状の1剤型抗菌剤は、取り扱いが容易であり、好適に使用することができる。
本発明組成物を1剤型抗菌剤とするとき、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を有機溶媒に溶解して製剤化することができ、あるいは、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコールを含む水性懸濁液として製剤化することもできる。これらの化合物を有機溶媒に溶解して製剤化するとき、使用する有機溶媒は、殺菌対象系が製紙工程のプロセス水や工業冷却水などの各種水系である場合には、有効成分の分散性及び溶解性を考慮して、親水性有機溶媒であることが好ましい。
【0009】
親水性有機溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセルソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール類、メチルアセテート、エチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、プロピレンカーボネートなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類などを挙げることができる。
(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含む水性懸濁液として製剤化する場合は、ボールミルやアトライターなどを用いて、これらの化合物を湿式粉砕し、水性懸濁液とすることができる。水性懸濁液を製造する場合には、増粘剤としてキサンタンガム、ラムザンガム、グアーガムなどや、分散剤としてノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
殺菌対象系が重油スラッジ、切削油、油性塗料など油系である場合には、重油、灯油、スピンドル油などの炭化水素溶媒を用いて、液状の1剤型抗菌剤とすることが好ましい。炭化水素系溶媒を用いて1剤型抗菌剤とする場合も、上記の各種界面活性剤などを用いることができる。
【0010】
本発明においては、(A)イソチアゾロン化合物と(B)ブロモ酢酸化合物との割合が、1:10〜100:1(重量比)であることが好ましい。(A)イソチアゾロン化合物と(B)ブロモ酢酸化合物との割合が1:10(重量比)未満であると、両者の配合による相乗効果が十分に発揮されないおそれがある。(A)イソチアゾロン化合物と(B)ブロモ酢酸化合物との割合が100:1(重量比)を超えると、両者の配合による相乗効果が十分に発揮されないおそれがある。本発明においては、(A)イソチアゾロン化合物と(B)ブロモ酢酸化合物の合計量と(C)ニトロアルコール化合物との割合が、1:10〜20:1(重量比)であることが好ましい。(A)イソチアゾロン化合物と(B)ブロモ酢酸化合物の合計量と(C)ニトロアルコール化合物との割合が1:10(重量比)未満であると、配合による相乗効果が十分に発揮されないおそれがある。(A)イソチアゾロン化合物と(B)ブロモ酢酸化合物の合計量と(C)ニトロアルコール化合物との割合が20:1(重量比)を超えると、配合による相乗効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0011】
本発明方法において、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の添加量は、これらの化合物の合計濃度が0.1〜1,000mg/Lであることが好ましく、1〜50mg/Lであることがより好ましい。(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の合計濃度が0.1mg/L未満であると、十分な抗菌効果が発現しないおそれがある。(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の合計濃度は、1,000mg/L以下で十分な抗菌効果が得られ、通常は1,000mg/Lを超える量を添加する必要はない。
本発明の工業用抗菌剤組成物は、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の3成分が相乗的に作用し、各種工業用対象系において、顕著に微生物の増殖と付着を防止し、特に抄紙工程用スライムコントロール剤、紙用塗工液や糊剤などの殺菌剤として極めて有用である。
【0012】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
製剤例1
(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン18重量部、(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン1重量部、(C)2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール1重量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル8重量部及び水72重量部を配合して、製剤1を調製した。
製剤例2〜16
第1表に示す配合により、15種の製剤2〜16を調製した。
比較製剤例1
(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン19重量部、(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン1重量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル4重量部及び水76重量部を配合して、比較製剤1を調製した。
比較製剤例2〜13
第2表に示す配合により、12種の比較製剤2〜13を調製した。
製剤例1〜16で調製した製剤の配合を第1表に、比較製剤例1〜13で調製した比較製剤の配合を第2表に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
[注]
Cl−MIT:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
DOIT:4,5−ジクロロ−2−オクチルイソチアゾリン−3−オン
BIT:ベンゾイソチアゾリン−3−オン
BBAB:1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン
BBAE:1,2−ビス(ブロモアセトキシ)−2−エタン
BBAP:1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン
TBAP:1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン
BNP:2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール
DBNE:2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
DEGME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
参考例1
(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含有する本発明の工業用抗菌剤組成物、及び、1成分又は2成分のみを含有する組成物による水中の浮遊菌に対する増殖抑制効果を確認するために、下記の試験を行った。
Pseudomonas aeruginosaIF03080を用いて、増殖を抑制する最小濃度を比較した。あらかじめDAVIS培地(グルコース1,130mg/L、硝酸ナトリウム800mg/L、リン酸水素二カリウム4,670mg/L、リン酸二水素カリウム2,000mg/L、硫酸マグネシウム67mg/L pH7.0、BOD1,000mgO/L)で前培養した菌液を、滅菌水道水で生菌数107cell/Lに調製し、あらかじめ所定濃度の薬剤成分を含むDAVIS培地9mLに1mL添加した。30℃で振盪培養し、48時間又は96時間培養したのち、培地の濁りが認められない濃度を最小発育阻止濃度とした。
製剤1の最小発育阻止濃度は、48時間後、96時間後ともに0.1mg/L以下であった。比較製剤1の最小発育阻止濃度は、48時間後、96時間後ともに0.25mg/Lであった。試験結果をまとめて、第3表に示す。
【0016】
【表3】
【0017】
第3表の結果から、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の3成分を含有する製剤1、2、5、6、12、14〜16は、1成分のみを含有する比較製剤9〜12、2成分を含有する比較製剤1、5よりも低濃度で水中の浮遊菌の増殖を抑制し、かつ、長時間有効であることが分かる。
実施例2
(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含有する本発明の工業用抗菌剤組成物、及び、1成分又は2成分のみを含有する組成物による白水中の浮遊菌に対する増殖抑制効果を確認するために、下記の試験を行った。
製紙工場の中性上質紙抄造機より採取した白水(pH7.5)に、製剤を有効成分濃度が20mg/Lになるよう添加したのち、30℃で30分間振盪し、生菌数をポリペプトン・イーストエキストラクト培地により測定した。また、製剤を添加しない対照試験も行った。
製剤を添加しないとき生菌数は1.3×107CFU/mLであり、製剤2を添加したとき生菌数は3.6×106CFU/mLであり、比較製剤2を添加したとき生菌数は7.3×106であった。試験結果をまとめて、第4表に示す。
【0018】
【表4】
【0019】
第4表の結果から、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の3成分を含有する製剤2、6、11〜16を用いると、1成分のみを含有する比較製剤9〜12、2成分を含有する比較製剤2、5、7、8、13を用いた場合に比べて、生菌数ほぼ1/10となり、本発明の工業用抗菌剤組成物が強い殺菌力を有することが分かる。
実施例3
(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含有する本発明の工業用抗菌剤組成物、及び、1成分又は2成分のみを含有する組成物のスライム付着防止効果を確認するために、下記の試験を行った。
人工白水を用いて、スライム付着防止効果を評価した。人工白水(pH7.0、30℃)は、デンプンを栄養源としてBOD100mgO/Lとなるように調製した。この人工白水を培地とした複数の細菌種からなる集殖培養液を、コロニー形成単位濃度が5×107CFU/mLとなるように、評価装置に連続注入した。評価装置は、市販の回転式粘度計を用い、スライムがロータに付着するとロータのトルクが上昇することから、このトルク上昇開始時間をスライム付着開始時間として測定するものである。この評価装置に、抗菌剤組成物を、有効成分の合計濃度が、系内で20mg/L又は40mg/Lを毎回15分間維持するように、1日に3回、すなわち8時間ごとに間欠注入し、スライム付着開始時間を測定した。この人工白水に、抗菌剤組成物を添加することなく試験したとき、スライム付着開始時間は10時間であった。抗菌剤組成物を添加したときのスライム付着開始時間から10時間を差し引き、スライム付着遅延時間とした。
製剤2を、有効成分の合計濃度20mg/Lを毎回15分間維持するように注入したとき、スライム付着遅延時間は15時間であり、有効成分の合計濃度40mg/Lを毎回15分間維持するように注入したとき、スライム付着遅延時間は24時間であった。比較製剤2を、有効成分の合計濃度20mg/Lを毎回15分間維持するように注入したとき、スライム付着遅延時間は5時間であり、有効成分の合計濃度40mg/Lを毎回15分間維持するように注入したとき、スライム付着遅延時間は10時間であった。試験結果をまとめて、第5表に示す。
【0020】
【表5】
【0021】
第5表の結果から、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の3成分を含有する製剤2、6、11〜16を添加すると、1成分のみを含有する比較製剤9〜12、2成分を含有する比較製剤2、5、7、8、13を用いた場合に比べて、スライム付着遅延時間が長くなり、本発明の工業用抗菌剤組成物の添加により、人工白水系において顕著なスライム付着防止効果が発現されることが分かる。
実施例4
(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物を含有する本発明の工業用抗菌剤組成物、及び、1成分又は2成分のみを含有する組成物の細菌増殖防止効果を確認するために、製紙工場の上質紙抄造機において使用されている製紙用デンプン塗工液に対する細菌増殖防止試験を行った。
使用した製紙用デンプン塗工液は、pH9.6、生菌数8.5×105個/mL(寒天平板希釈法)であり、主要な構成細菌種はシュードモナス属、アルカリゲネス属、フラボバクテリウム属であった。この一部をあらかじめ保温器に入れて十分に腐敗させ、これを種菌として生菌数6.0×108個/mLとなるようにデンプン塗工液に加えたのち、試験管に分注し、抗菌剤組成物を有効成分の濃度が30mg/Lとなるように添加した。試験管を30℃の恒温器に5日間保存したのち、生菌数を寒天平板希釈法で測定した。本発明の工業用抗菌剤組成物を添加したとき、生菌数はすべて102個/mL以下であった。比較製剤1を添加したとき、生菌数は3.0×103個/mLであった。試験結果をまとめて、第6表に示す。
【0022】
【表6】
【0023】
第6表の結果から、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の3成分を含有する製剤1〜16を添加すると、生菌数はすべて102個/mL以下となるのに対して、1成分のみを含有する比較製剤9〜12、2成分を含有する比較製剤1〜8、13を添加したときは、生菌数はすべて103個/mL以上であり、本発明の工業用抗菌剤組成物が、製紙工場の上質紙抄造機において使用されている製紙用デンプン塗工液に対して、優れた細菌増殖防止効果を有することが分かる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の工業用抗菌剤組成物及び工業用抗菌方法は、(A)イソチアゾロン化合物、(B)ブロモ酢酸化合物及び(C)ニトロアルコール化合物の3成分が顕著な相乗効果を発揮し、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水や洗浄水、重油スラッジ、金属加工油剤、繊維油剤、ペイント、紙用塗工液、ラテックス、糊剤の防腐用、殺菌用として有用であり、水中の分散菌に対しても、壁面のスライムに対しても長期間効果が継続する。
Claims (3)
- (A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン及び(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールを含有することを特徴とする工業用抗菌剤組成物。
- (A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンとの割合が、1:10〜100:1(重量比)であり、かつ(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンの合計量と(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとの割合が1:10〜20:1(重量比)である請求項1記載の工業用抗菌剤組成物。
- (A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンとの割合が1:10〜100:1(重量比)であり、(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンの合計量と(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールとの割合が1:10〜20:1(重量比)であり、かつ(A)5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(B)1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン及び(C)2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールの合計濃度が0.1〜1,000mg/Lとなるようにこれらの化合物を添加することを特徴とする工業用抗菌方法。
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