JP4545037B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、無機フィラーで強化されたポリアミドーポリフェニレンエーテルアロイ樹脂において、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に達成した熱可塑性樹脂組成物に関する。
すなわち本発明の樹脂組成物は、電気・電子部品、OA部品、車両部品、機械部品などの幅広い分野に使用することができ、特に自動車用の外板材として好適に使用できる。
ポリフェニレンエーテルは機械的性質・電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では成形加工性に劣っており、これを改良するためにポリアミドを配合する技術が提案され(特許文献1)、現在では非常に多種多様な用途に使用される材料となっている。
ポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイ樹脂に、導電フィラーと、無機フィラーを配合する従来技術としては、例えば、カーボンフィブリルと、タルクを配合し、衝撃性、流動性、導電性に優れたものとする技術(特許文献2)、カップリング処理した無機フィラーと、カーボン及び中空炭素フィブリルを配合し、耐熱性、衝撃性、導電性に優れたものとする技術(特許文献3)、平均粒子径1.2〜5μm、L/Dが3以上の板状フィラー及び/又は、繊維長2μm以上の繊維状無機フィラーと、カーボンブラック及び又は、微細な繊維状カーボンを配合し、衝撃性、導電性、流動性に優れたものとする技術(特許文献4)が開示されている。
近年、自動車のフェンダー等の大型成形品への、無機フィラーで強化し、導電性を付与したポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイ樹脂の適用が検討され始めており、衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観のバランスに優れる材料が重要な要求として求められるようになってきている。
しかしながら、上述した従来技術では、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に達成するには至っていないのが現状であり、市場からは衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観のバランスに優れた材料が待望されている。
特公昭45−997号公報 特表2003−528941号公報 特開2002−146206号公報 特開2002−194207号公報
本発明の目的は、無機フィラーで強化し、更に導電フィラーで導電性を付与したポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂において、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に達成した熱可塑性樹脂組成物及び、該組成物から成形される成形品、特に自動車用外装材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、無機フィラーに、特定の固め見掛け密度、及び特定の固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比を有するワラストナイトを使用すると、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に満足する事を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下に記載する通りのものである。
(1)(A)ポリアミド、(B)ポリフェニレンエーテル、(C)ゴム状重合体(D)導電フィラー、及び(E)固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50で、かつ、平均粒子径が5〜11μmで、アスペクト比が10〜20のワラストナイトを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
)(A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12及びポリアミド6,6/6,Iからなる群より選ばれる一種以上であることを特徴とする上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
)(D)導電フィラーが、導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル、及びカーボンナノチューブからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
)(D)導電フィラーが、(A)ポリアミドと予め溶融混練されてなる導電性マスターバッチとして添加されてなることを特徴とする上記(1)〜()に記載の熱可塑性樹脂組成物。
)上流部に第1供給口を、中流部に第2供給口を、下流部に第3供給口をそれぞれ備えた二軸押出機を用いて、第1供給口より、ポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口より、ポリアミド及び導電性マスターバッチを供給し溶融混練し、更に第3供給口より、固め見掛け密度0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50で、かつ、平均粒子径が5〜11μmで、アスペクト比が10〜20のワラストナイトを供給し溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
)上記(1)〜()に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
)上記(1)〜()に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用外装材。
導電フィラーと、無機フィラーで強化されたポリアミドーポリフェニレンエーテルアロイ樹脂において、特定の固め見かけ密度と、特定の固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比を有するワラストナイトを使用することで、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に満足する熱可塑性樹脂組成物が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分について詳しく述べる。
(A)ポリアミド
本発明で使用することのできるポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖繰り返し単位中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、いずれも使用することができる。
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジアミンが挙げられ、具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルナノメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジカルボン酸が挙げられ、具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,1,3−トリデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。
ラクタム類としては、具体的にはε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。
本発明においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を、単独あるいは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類のいずれもが使用できる。
また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
特に本発明で有効に用いることのできるポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12、ポリアミド/MXD(m−キシリレンジアミン)/6、ポリアミド6,T、ポリアミド6,I、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6/6,T/6,I、ポリアミド6,6/6,T/6,I、ポリアミド6/12/6,T、ポリアミド6,6/12/6,T、ポリアミド6/12/6,I、ポリアミド6,6/12/6,Iなどが挙げられ、複数のポリアミドを押出機等で共重合化したポリアミド類も使用することができる。
好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,I、またはそれらの混合物である。より好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド6、またはポリアミド6,6とポリアミド6、ポリアミド6,6とポリアミド6,6/6,Iのブレンド物であり、更に好ましくはポリアミド6、またはポリアミド6とポリアミド6,6のブレンド物である。
樹脂組成物の衝撃性の低下を抑制するため、本発明で使用されるポリアミドの相対粘度は、2.0以上である事が望ましく、2.0以上2.8以下がより望ましい。
なお、本発明でいう相対粘度とは、JIS K6920−1:2000に準拠して測定した値である。具体的には、98%濃硫酸に、1g/100cmの濃度でポリアミドを溶解し、オストワルド型粘度計により25℃で測定した流下時間をt、98%濃硫酸単体の25℃での流下時間をtとして、
ηr=t/t
で示される値である。
本発明においてポリアミドを混合物として用いた場合の相対粘度は、組成物中に含まれるポリアミド成分を分離して測定する方法、もしくは、原料とするポリアミド成分をηrを測定する濃度(1g/100cm)の溶液として、それらを配合比に応じて混合した混合溶液を実測する方法で知ることができる。
ポリアミドの末端基は、一般にアミノ基、カルボキシル基を有しており、好ましい比はカルボキシル基/アミノ基濃度比で、6/4〜9/1であり、より好ましくは7/3〜8/2である。
これらポリアミド樹脂の末端基の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるようにジアミン類やジカルボン酸類、モノカルボン酸類などを添加する方法、あるいは、末端基の比率が異なる2種類以上のポリアミド樹脂の混合物により調整する方法等が挙げられる。
また、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平1−163262号公報に記載されているような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、CuI、CuCl2 、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられる。また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるアルカリ金属のハロゲン化塩も好適に使用することができる。これらは、もちろん併用添加しても構わない。
金属系安定剤および、又はアルカリ金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド樹脂の100質量部に対して、0.001〜1質量部である。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもかまわない。
(B)ポリフェニレンエーテル
本発明で使用できるポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
Figure 0004545037
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されているような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が使用でき、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報及び同63−152628号公報等に記載されている製造方法等を挙げることができる。
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
また、本発明において使用できるポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度でポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶融混練して反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び(2)の方法が好ましい。
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物について具体的に説明する。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の1個または2個がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素−炭素二重結合とグリシジル基とを同時に有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基とを同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式CnH2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式CnH2n-5OH、CnH2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3質量%である。
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または、変性化合物の重合体が残存していても構わない。
ポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対し、50質量部未満の量であればスチレン系熱可塑性樹脂を配合しても構わない。本発明でいうスチレン系熱可塑性樹脂としては、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
(C)ゴム状重合体
本発明に使用できるゴム状重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックから構成される芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、その水素添加物及びエチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
ここでいう芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
この場合、例えば芳香族ビニル化合物ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物もしくは他の化合物が結合されているブロックの場合であっても、該ブロックの50質量%が芳香族ビニル化合物より形成されていれば、芳香族ビニル化合物を主体とするブロック共重合体とみなす。また、共役ジエン化合物の場合においても同様である。
本発明における芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体で使用することのできる芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
また、共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
該ブロック共重合体の共役ジエン化合物のソフトセグメント部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、10〜40%が最も好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]がA−B型、A−B−A型、A−B−A−B型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。また、これらの混合物であってももちろん構わない。
これらの中でもA−B−A型、A−B−A−B型がより好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用することのできる芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合を0を超えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは98%以上である。
これらブロック共重合体は水素添加されていないブロック共重合体と水素添加されたブロック共重合体との混合物としても問題なく使用可能である。
これら芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
その具体例を芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体の水素添加物をもとに例示すると、例えば、ブロック共重合体中における芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの含有量が60質量%以上90質量%以下のブロック共重合体と、ブロック共重合体中における芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの含有量が20質量%以上60質量%未満の2混合物等が挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用するブロック共重合体中には、パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合したものを用いても構わない。パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合する事により、樹脂組成物の加工性を向上させることができる。この際の好ましいパラフィンを主成分とするオイルの量はブロック共重合体100質量部に対して、1〜70質量部である。70質量部を超えて混合すると取り扱い性に劣る。
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及び、パラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50質量%以上のものである。より好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90質量%,ナフテン環含有化合物が10〜40質量%、芳香環含有化合物が5質量%以下のものである。
これら、パラフィンを主成分とするオイルは市販されており、例えば出光興産(株)製のPW380等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用することのできるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、特開2001−302911号公報に記載されているようなシングルサイト触媒で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく使用可能である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用するゴム状重合体は、全部又は一部が変性されたゴム状重合体であっても構わない。
ここでいう変性されたゴム状重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたゴム状重合体を指す。
該変性されたゴム状重合体の製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でゴム状重合体の軟化点温度以上250℃以下の範囲の温度でゴム状重合体と変性化合物とを溶融混練し反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でゴム状重合体の軟化点以下の温度で、ゴム状重合体と変性化合物とを溶液中で反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でゴム状重合体の軟化点以下の温度で、ゴム状重合体と変性化合物とを溶融させることなく反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行なう方法が最も好ましい。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルについて述べた変性化合物と同じものが使用できる。
(D)導電フィラー
本発明に使用できる導電フィラーは、導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル及びカーボンナノチューブからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である。
本発明で使用可能な導電性カーボンブラックとしては、WO01/081473号公報に導電用カーボンブラックとして記載されているカーボンブラック等が挙げられる。市販されている導電性カーボンブラックの一例を挙げると、ケッチェンブラックインターナショナル社から入手可能なケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD等が挙げられる。また、本発明で使用可能なカーボンフィブリルとしては、国際公開特許WO94/023433号公報に記載されている微細な炭素繊維等が挙げられる。市販されているカーボンフィブリルとしてはハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なBNフィブリル等が挙げられる。
本発明で使用する導電フィラーの好ましい添加形態は、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ブロック共重合体から選ばれる1種以上の樹脂中にあらかじめ混合されたマスターバッチの形態で添加する事である。好ましくは、ポリアミドへあらかじめ混合されたマスターバッチの形態で添加する方法である。その際の混合方法に特に制限はないが、押出機を使用した溶融混練が最も好ましい。より好ましくは、250〜300℃に設定した2箇所以上の供給口を備えた同方向回転二軸押出機を用いて、上流側供給口より樹脂を供給し溶融混練した後、下流側供給口よりカーボンを供給し溶融混練する方法が挙げられる。
この際に樹脂温度は340℃未満にする事がより好ましい。該マスターバッチ中のカーボンの好ましい配合量は5〜30質量%である。より好ましくは8〜25質量%である。
該マスターバッチは市販しているものを使用しても構わない。市販品のマスターバッチの例としては、ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(商品名:Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20%)等が挙げられる。
(E)ワラストナイト
本発明に使用できるワラストナイトとしては、珪酸カルシウムを主成分とする天然鉱物を精製、粉砕及び分級したものが好ましく使用できる。また、人工的に合成したものも使用可能である。
本発明のワラストナイトは、固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50の範囲である必要があり、好ましくは固め見掛け密度が0.50〜0.70g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.00の範囲である。
固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイトを使用する事で、衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に満足させる事ができる。
また、固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイトは、製造時の供給安定性にも優れ、物性バラツキの少ない組成物を得る事が可能となる。
市場より入手可能なワラストナイトは、固め見掛け密度が0.4〜1.3g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が1.5〜3.5の範囲内のものが多い。理由は不明確ながら、これらの中でも、固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイトが、衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観のバランスに優れる。
本発明でいう、ゆるめ見掛け密度とは、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)によって求められる粉体の見掛け密度の一つであり、具体的には100cmの容器に、約10cmの高さから静かにワラストナイトを入れた時の、100cmの容器中に入ったワラストナイトの重量から測定可能であり、単位はg/cmである。この時、容器のすり切りいっぱいとした重量を測定する。また、測定誤差を少なくするため、少なくとも5回は同様の操作を実施し、その平均の値を採るべきである。
本発明でいう、固め見掛け密度とは、ゆるめ見掛け密度と同様に、パウダーテスターによって求められる粉体の見掛け密度の一つで、100cmの容器に所定の振動を加えた後の100cmの容器中に入っているワラストナイトの重量から測定可能である。単位はゆるめ見掛け密度と同様にg/cmである。通常、加えられる振動(上下動)の回数は180回であり、振幅は5cmを超えない範囲である。
この時の具体的な操作方法としては、約200cmの容器に、約10cmの高さから静かにワラストナイトを入れ、その後、所定の振動を加えた後の、100cmの容器中に入ったワラストナイトの重量から測定可能であり、単位はg/cmである。この時、容器のする切りいっぱいとした重量を測定する。また、測定誤差を少なくするため、少なくとも5回は同様の操作を実施し、その平均の値を採るべきである。
固め見かけ密度は、その検体の圧縮されやすさを示す指標であり、この値が高いほど、圧縮され固まりやすいことを表す。
上述した、固め見掛け密度、ゆるめ見掛け密度は、温度23℃、湿度50%の環境下で測定する事が望ましい。
また、本発明に使用できるワラストナイトの平均粒子径としては、平均粒子径が5〜11μmで、アスペクト比が10〜20の範囲のものが好ましい。より好ましくは平均粒子径が5〜9μmで、アスペクト比が10〜20の範囲である。
平均粒子径とアスペクト比が上述の範囲のものを使用する事で、衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観のバランスを更に高くする事が可能となる。
本発明でいう平均粒子径とは、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instrument社製、モデル5100)を用いて測定した数平均粒子径の値をいう。
本発明でいうアスペクト比とは、SEMにより、約5000個のワラストナイト粒子の直径及び長さを測定し、その値より算出する。
また、本発明のワラストナイトは樹脂との親和性を向上させる目的で添加される、シランカップリング剤等の表面処理剤を含んでいても構わない。その量に制限はないが、添加する際は、概ねワラストナイト100質量部に対して0.1質量部以上が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合割合は、(A)ポリアミド樹脂40〜80質量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂20〜60質量%の合計100質量部に対して、(C)ゴム状重合体5〜40質量部、(D)導電フィラー1〜4質量部、(E)固め見掛け密度0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイト10〜50質量部である。より好ましくは、(A)ポリアミド樹脂50〜80質量%、(B)ポリフェニレンエーテル樹脂20〜50質量%の合計100質量部に対して、(C)ゴム状重合体5〜30質量部、(D)導電フィラー1.5〜3質量部、(E)固め見掛け密度0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイト15〜40質量部である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、相溶化剤を添加しても構わない。相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良することである。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。
いずれにしても得られるポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物は改良された相溶性を示す事が望ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8−48869号公報及び特開平9−124926号公報等に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられ、それらの中でも無水マレイン酸が最も好ましい。
本発明で使用することのできる相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。
本発明では、上記した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例を以下に挙げる。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル、モンタン酸金属塩類等)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、着色用カーボンブラック、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
これらの成分の具体的な添加量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、合計で100質量部を超えない範囲である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための製法は特に限定はないが、その例のいくつかを以下に列挙する。
(1)少なくとも上流部に1箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体、ポリアミド、導電性マスターバッチ、固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイトを供給し溶融混練する方法。
(2)少なくとも上流部(第1供給口)及び中流部(第2供給口)の2箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド、導電性マスターバッチ、固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイトを供給し溶融混練する方法。
(3)少なくとも上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)、下流部(第3供給口)の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド、導電性マスターバッチを供給し溶融混練し、更に第3供給口より固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50のワラストナイトを供給し溶融混練する方法、等が挙げられる。
これらの中でも3の方法が最も好ましい。
また、使用する二軸押出機のL/Dは38以上が好ましい。L/Dの上限は特にないが、L/D70以下が望ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物中の各成分の分散性を十分にし、目的の性能を得るためには、L/D38以上が好ましい。
また、溶融混練温度も特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
このようにして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品の成形体として成形できる。
これら各種部品としては、例えばICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のフェンダー、ドアーパネル、フロントパネル、リアパネル、ロッカーパネル、リアバンパーパネル、バックドアガーニッシュ、エンブレムガーニッシュ、燃料注入口パネル、オーバーフェンダー、アウタードアハンドル、ドアミラーハウジング、ボンネンットエアインテーク、バンパー、バンパーガード、ルーフレール、ルーフレールレッグ、ピラー、ピラーカバー、ホイールカバー、スポイラー等に代表される各種エアロパーツ、各種モール、エンブレムといった外装部品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品等に好適に使用できる。
これらの中でも、自動車の外板部品に好適に使用可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例により、詳細に説明するが、本発明はこの実施例に示されたものに限定されるものではない。
(使用した原料)
実施例等において使用した原料は次のとおりである。
(A)ポリアミド(以下、PAと略記)
(PA−1)ポリアミド6
宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン 1011FB
(B)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記)
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)旭化成ケミカルズ(株)製
(PPE−1)ポリフェニレンエーテル
還元粘度:0.52dl/g(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
(PPE−2)無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル
還元粘度:0.52dl/gのPPE100質量部に対して、ラジカル開始剤0.1質量部および無水マレイン酸1.5質量部を添加し、二軸押出機を用いてシリンダー温度320℃で溶融混練して作製した。なお、無水マレイン酸の付加率は、0.5%であった。
(C)ゴム状重合体(以下、SEBSと略記)
(SEBS−1)ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
クレイトンポリマー(株)製、商品名:クレイトン G1651
(D)導電フィラー
(PA/KB−MB)
ポリアミド6,6(レオナ1200−011:旭化成ケミカルズ社製)を90質量部と、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600−JD:ケッチェンブラックインターナショナル社製)を10質量部とを、二軸押出機にて溶融混練し、導電性マスターバッチとした。
(E)ワラストナイト
(ワラストナイト−1)
固め見掛け密度:0.58g/cm、ゆるめ見かけ密度:0.23g/cm
固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比:2.53
平均粒子径:8μm、アスペクト比:17
(ワラストナイト−2)
固め見掛け密度:0.67g/cm、ゆるめ見かけ密度:0.29g/cm
固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比:2.31
平均粒子径:4μm、アスペクト比:8
(ワラストナイト−3)
固め見掛け密度:0.48g/cm、ゆるめ見かけ密度:0.20g/cm
固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比:2.40
平均粒子径:12μm、アスペクト比:13
(測定方法)
以下に、測定方法について述べる。
<流動性(MFR)>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、80℃で3時間乾燥した後、ASTM−D−1238に準拠して求めた。但し、荷重は5kg、設定温度は280℃で行った。
<面衝撃強度(Dart)>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×3mmの平板試験片を作成し、グラフィックインパクトテスター(東洋精機社製)を用いて、試験を実施した。
<導電性>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定)を用いて、ダンベルバーとしてISO294の記載の如く成形した。この試験片の両端を折り取って均一な断面積10×4mm、長さ70mmで両端に破断面を持つ試験片とした。
試験片の折り取り方については、−75 〜−70℃のドライアイス/メタノールの中に、予めカッターナイフでキズをつけた試験片を1時間浸漬後、折り取る方法で行った。この両端の破断面に銀塗料を塗布し、エレクトロメーター(日本国アドバンテスト製、R8340A)を用いて、250Vの印加電圧で両方の破断面間の体積抵抗率を測定した。測定は5個の異なる試験片を用いて行い、その加算平均値を導電性(体積固有抵抗値)とした。
<線膨張係数>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×3mmの平板試験片を作成し、試験を実施した。
平板の中央部分から、10×4×3mmの試験片を切出し、JIS K7197に準拠して、TMA−7(パーキンエルマー社製)を用いて、昇温速度=5℃/分、荷重=10mNで、−30〜80℃の線膨張係数を測定した。
<表面外観>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×3mmの平板試験片を作成し、試験を実施した。
表面外観は、平板試験片の表面平滑性にて判定し、表面粗さ(Ra)の平均値で評価した。数値の小さい方が平滑性に優れる。
JIS B 0601(1994)に準拠し、表面粗さ計Surfcom579A(日本国際東京精密(株)製)を用いて、平板表面部の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
測定条件 触針:標準測定子(ダイヤモンド製、先端R5μm)
触針の移動速度:0.5mm/秒
測定長さ:50mm
測定点数10点の平均値を算出した。
(実施例、比較例の製造方法)
押出機の、上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)、下流部(第3供給口)を有するL/Dが46である二軸押出機[ZSK−58MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量400kg/hrに設定した条件下で、表1に記載の組成にて、第1供給口より、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体を供給し、第2供給口より、ポリアミド、導電性マスターバッチを供給、更に、第3供給口より、種々のワラストナイトを供給して、樹脂組成物のペレットを作成した。
得られた該ペレットについて上述した各種試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例1]
ワラストナイトとして、ワラストナイト−1を使用した。
[比較例1]
ワラストナイトとして、ワラストナイト−2を使用した。
実施例1と比較して、流動性、導電性、線膨張係数が低下している事が判る。
[比較例2]
ワラストナイトとして、ワラストナイト−3を使用した。
実施例1と比較して、衝撃性、表面外観が低下している事が判る。
Figure 0004545037
ワラストナイトとして特定の固め見かけ密度と、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比を有するワラストナイトを使用することで、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に満足した組成物が得られる事が判る。
本発明の導電フィラーとワラストナイトとを含有するポリアミドーポリフェニレンエーテルアロイ樹脂組成物は、優れた衝撃性、流動性、導電性、線膨張係数、表面外観を同時に満足する熱可塑性樹脂組成物であるので、その成形体は特に自動車用外装部品の用途に好適である。

Claims (7)

  1. (A)ポリアミド、(B)ポリフェニレンエーテル、(C)ゴム状重合体(D)導電フィラー、及び(E)固め見掛け密度が0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50で、かつ、平均粒子径が5〜11μmで、アスペクト比が10〜20のワラストナイトを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. (A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12及びポリアミド6,6/6,Iからなる群より選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (D)導電フィラーが、導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル、及びカーボンナノチューブからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (D)導電フィラーが、(A)ポリアミドと予め溶融混練されてなる導電性マスターバッチとして添加されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上流部に第1供給口を、中流部に第2供給口を、下流部に第3供給口をそれぞれ備えた二軸押出機を用いて、第1供給口より、ポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口より、ポリアミド及び導電性マスターバッチを供給し溶融混練し、更に第3供給口より、固め見掛け密度0.50〜0.80g/cmで、固め見掛け密度/ゆるめ見掛け密度の比が2.50〜3.50で、かつ、平均粒子径が5〜11μmで、アスペクト比が10〜20のワラストナイトを供給し溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用外装材。
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