JP4148886B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、流動性と耐熱性を保持しながらアイゾット(Izod)衝撃値のみならず、特に、引張伸びおよび面衝撃特性の著しく改良された樹脂組成物および射出成形体に関する。
ポリフェニレンエーテルは機械的性質・電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では耐油性および成形加工性に劣るという大きな欠点を有している。これを改良するためにポリフェニレンエーテルにポリアミドを配合する技術が提案され、現在では非常に多種多様な用途に使用される材料となっている。(特許文献1)
ポリフェニレンエーテルとポリアミドからなるポリマーアロイへの耐衝撃性付与の為に、衝撃改良材として、エチレンプロピレンゴム、SBR、ポリブタジエン、ポリスチレン−ジエンゴムのジブロックあるいはトリブロック共重合体あるいはこれらの部分水素化物等を配合する技術は既に開示されている。(特許文献2)
また、ABA型トリブロック共重合体とAB型ジブロック共重合体の2種のエラストマーを配合することにより耐衝撃性を向上させる技術も開示されている。(特許文献3)
更に、芳香族ビニル化合物ブロックの重量比が異なる複数のブロック共重合体を配合することにより、成形加工性・機械的特性・耐熱性を向上させる技術等も開示されている。(特許文献4)
また、分子量の異なる複数ブロック共重合体を併用することにより、熱暴露後のIzod衝撃値を維持しながら、表面外観の悪化及び生産時の黒点発生を抑制されるという技術も既に開示されている。(特許文献5)
最近、ポリアミド/ポリフェニレンエーテルアロイからなる組成物は、自動車用電装部品の一つであるリレーブロック、あるいは自動車外装部材であるドアおよびフェンダーなどの用途向けに使用される。これらの用途においては、衝撃強度の中でも、特に落錘などの面衝撃特性を高めることが要求されている。この衝撃特性の改善は、流動性および耐熱性のような他の重要な特性を実質的に保持しながら達成しなければならない点で極めて困難である。
また、これまで一般に、衝撃特性を評価する方法として、Izod衝撃試験(ノッチ付)等の衝撃破壊靭性といわれる方法で解析されている。これは、材料あるいは製品にとっては厳しい力学条件下の衝撃試験であり、必ずしも材料あるいは製品の持っている実用衝撃強さを反映させた値とは限らない。むしろ、切り欠きなどを入れないで材料の持っている性質をできるだけ反映させながら応答を測定する引張試験あるいは面衝撃試験のほうが実用衝撃強さとの対応性がよいと判断されていることが多い。(非特許文献1)
上述した従来の技術では、充分にこれらの課題を解決することができず、こうした用途の拡大には流動性と耐熱性を保持しながら、自動車の衝突や容器の落下等に対応する衝撃特性、特に面衝撃特性を向上させることが望まれてきた。
特公昭45−997号公報 米国特許4,315,086号明細書 特開平2−58563号公報 特開平6−240130号公報 国際公開第02/094936号パンフレット 成澤郁夫著「プラスチックの耐衝撃性」シグマ出版、2001年1月1日発行、第5頁
本発明は、ポリアミド/ポリフェニレンエーテルアロイの流動性と耐熱性を保持しながら自動車の衝突や容器の落下等に対応する衝撃特性、特に引張伸びおよび面衝撃特性を向上させた熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、2種類以上のブロック共重合体を併用し、その芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックおよび共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量を最適な範囲にすることにより、流動性と耐熱性を保持しながら靭性、特に、引張伸びおよび面衝撃特性の著しく改良された熱可塑性樹脂組成物およびその成形体が得られることを見いだした。
すなわち本発明は、
(A)ポリアミド50〜90重量部、(B)ポリフェニレンエーテル50〜10重量部の合計100重量部に対して、(C)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び/又は水素添加された該ブロック共重合体1〜35重量部を含む組成物であって、(C)成分が(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上30,000未満、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上100,000未満からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形体は、流動性と耐熱性を保持しながら自動車の衝突等に対応する衝撃特性、特に引張伸びおよび面衝撃特性を向上させることができる。
次に本発明で使用することのできる各成分について詳しく述べる。
本発明に用いる(A)成分のポリアミド樹脂としては、二塩基酸とジアミンの重縮合物、環状ラクタム開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、および、これらのコポリマー、ブレンド物が挙げられる。より具体的には、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド612、ポリアミド610、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、などの脂肪族ポリアミド樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)などの半芳香族ポリアミド樹脂、および、これらの共重合体やブレンド物を用いることができる。本発明では、耐熱性、機械的強度の点でより優れることからポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド66/6、ポリアミド66/6Iが特に好ましく用いられるが、最も好ましくはポリアミド66、ポリアミド6及び両者の混合物である。
本発明で使用される(A)ポリアミド樹脂の重合度については、特に限定されないが、通常の射出成形加工性の面から、JIS−K−6810に準じた98%硫酸溶液で測定される25℃での相対粘度が2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2〜3.0である。本発明における(A)ポリアミド樹脂はこれらに限定されるものではなく、分子量の異なる複数のポリアミド樹脂の混合物であっても良い。
本発明に用いるポリアミド樹脂の重合方法は特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、および、これらを組み合わせた方法のいずれでもよい。これらの中では、溶融重合がより好ましく用いられる。
ポリアミドの末端基は、官能化ポリフェニレンエーテルとの反応に関与する。ポリアミド樹脂は、末端基として一般的にはアミノ基、カルボキシル基を有しているが、一般的に、カルボキシル基濃度が高くなると、耐衝撃性が低下し、流動性が向上し、逆にアミノ基濃度が高くなると耐衝撃性が向上し、流動性が低下する。
本発明における、これらの好ましい比はアミノ基/カルボキシル基濃度比で、9/1〜1/9であり、より好ましくは8/2〜1/9、更に好ましくは6/4〜1/9である。
より好ましくは、カルボキシル基濃度はアミノ基濃度より30ミリ等量/kg以上多いことが望ましい。また、末端のアミノ基の濃度としては少なくとも10ミリ当量/kgであることが好ましい。更に好ましくは30ミリ当量/kg以上である。
これらポリアミド樹脂の末端基の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるようにジアミン類やジカルボン酸類、モノカルボン酸類などを添加する方法が挙げられる。
また、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平1−163262号公報に記載されてあるような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、CuI、CuCl2 、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられる。また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるアルキル金属のハロゲン化塩も好適に使用することができる。これらは、もちろん併用添加しても構わない。
金属系安定剤および、又はアルキル金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド樹脂の100重量部に対して、0.001〜1重量部である。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100重量部に対して10重量部未満の量で添加してもかまわない。
本発明で使用できる(B)ポリフェニレンエーテルとは、次式(1)の構造の繰り返し単位からなる、ホモ重合体及び/又は共重合体である。
Figure 0004148886
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)の基を表わす。〕
本発明の(B)ポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されてあるような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)の如きポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
ポリフェニレンエーテルとして2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体を使用する場合の各単量体ユニットの比率は、ポリフェニレンエーテル全量を100重量%としたときに、約80〜約90重量%の2,6−ジメチルフェノールと、約10〜約20重量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体が特に好ましい。
本発明で用いる(B)ポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報及び同63−152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
本発明で使用することのできる(B)ポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
また、本発明で使用できる(B)ポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び、(2)の方法が好ましい。
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物について具体的に説明する。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素−炭素二重結合とグリシジル基を同時に有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式Cn2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式Cn2n-5OH、Cn2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5重量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対して0.001〜1重量部である。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3重量%である。
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/又は変性化合物の重合体が残存していても構わない。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中に残存する変性化合物及び/又は変性化合物の重合体の量を減少させるために、該変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際に、必要に応じてアミド結合及び/又はアミノ基を有する化合物を添加しても構わない。
ここでいうアミド結合を有する化合物とは、分子構造中にアミド結合{−NH−C(=O)−}構造を有する化合物であり、アミノ基を有する化合物とは末端に{−NH2}構造を有する化合物である。これら化合物の具体例としては、オクチルアミン、ノニルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン類、アニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、上記アミン類とカルボン酸、ジカルボン酸等との反応物、ε−カプロラクタム等のラクタム類及び、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらアミド結合またはアミノ基を有する化合物を添加する際の好ましい添加量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し0.001重量部以上、5重量部未満である。好ましくは0.01重量部以上、1重量部未満、より好ましくは0.01重量部以上、0.1重量部未満である。
また、本発明では、スチレン系熱可塑性樹脂を(A)ポリアミドと(B)ポリフェニレンエーテルの合計100重量部に対し、50重量部未満の量であれば配合しても構わない。
本発明でいうスチレン系熱可塑性樹脂とは、スチレンホモポリマー、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100重量部に対して10重量部未満の量で添加しても構わない。
次に、本発明で使用することのできる(C)ブロック共重合体について説明する。
本発明で使用することのできる(C)ブロック共重合体とは、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体である。
芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレン又はこれらの混合物が好ましい。
ブロック共重合体の共役ジエン化合物としてブタジエンを使用する場合は、ポリブタジエンブロック部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、15〜40%が最も好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b)がa−b型、a−b−a型、a−b−a−b型のから選ばれる結合形式を有するブロック共重合体であることが好ましい。
これらの中でもa−b−a型がより好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
また、本発明で使用することのできる芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合を0を越えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは98%以上である。
これらブロック共重合体は水素添加されていないブロック共重合体と水素添加されたブロック共重合体の混合物としても問題なく使用可能である。
本発明において、(C)成分のブロック共重合体は(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物である必要がある。
また、その混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上30,000未満、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上100,000未満の範囲にある必要がある。さらに好ましくは、ブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上25,000未満、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上80,000未満である。
本発明の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50重量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50重量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
この場合、例えば芳香族ビニル化合物ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物もしくは他の化合物が結合されているブロックの場合であっても、該ブロックの50重量%が芳香族ビニル化合物より形成されていれば、芳香族ビニル化合物を主体とするブロック共重合体とみなす。また、共役ジエン化合物の場合においても同様である。
流動性と耐熱性を保持しながら靭性、特に、引張伸びおよび面衝撃特性を著しく改良するといった本発明の効果を発現させるために、(C1)成分と(C2)成分から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量と、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量を上述の範囲内に調整することは重要である。
本発明でいうブロック共重合体の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量および共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とブロック共重合体中のすべての芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの重量%およびブロック共重合体中のすべての共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの重量%より算出することができる。
具体的には、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量の事を指す。[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G、K−800RL、K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm、圧力15〜17kg/cm2 ]。この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。
組成物中に含まれているブロック共重合体の数平均分子量は、例えばペレットを20〜50μm厚みにミクロトームでスライスし、これをクロロホルム中に浸漬し、80℃程度に設定した恒温振とう機を用いて1時間程度抽出し、クロロホルム中にポリフェニレンエーテルとブロック共重合体を溶解させる。これを、濾別し、濾液中に濾液の3倍以上のメタノールを滴下して再沈殿させ、真空乾燥する。得られた粉体状のサンプルを更に塩化メチレンに溶解し、−10℃の環境で12時間静置する。析出した成分(ポリフェニレンエーテル成分)を濾別し、濾液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置で測定することで確認することができる。
1種類のブロック共重合体の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式(1)により求めることができる。
Mn(a),n={Mn×a/(a+b)}/N(a) ・・・(1)
上式中において、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの重量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの重量%、およびN(a)はブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
さらに、(C)成分のブロック共重合体は(C1)成分と(C2)成分から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であるため、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、下式(2)により求めることができる。
Mn(a),av=Σ(Mn(a),n×Cn) ・・・(2)
上式中において、Mn(a),avはブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの重量分率を表す。
一方、1種類のブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式(3)により求めることができる。
Mn(b),n={Mn×b/(a+b)}/N(b) ・・・(3)
上式中において、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの重量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの重量%、およびN(b)はブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
さらに、(C)成分のブロック共重合体は(C1)成分と(C2)成分から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であるため、混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量は、下式(4)により求めることができる。
Mn(b),av=Σ(Mn(b),n×Cn) ・・・(4)
上式中において、Mn(b),avはブロック共重合体の混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの重量分率を表す。
また、本発明において、(C)成分が、数平均分子量120,000未満のブロック共重合体から構成される混合物にすることにより、流動性の低下を抑制することができるのでより好ましい。
また、これら芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
また、本発明で使用するブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であっても構わない。
ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたブロック共重合体を指す。
該変性されたブロック共重合体の製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点温度以上250℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶液中で反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶融させることなく反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行う方法が最も好ましい。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルで述べた変性化合物と同じものが使用できる。
また、本発明のブロック共重合体中には、パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合したものを用いても構わない。パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合することにより、樹脂組成物の加工性を向上させることができる。
この際の好ましいパラフィンを主成分とするオイルの量は、ブロック共重合体100重量部に対して、1〜70重量部である。70重量部以上混合すると取り扱い性に劣る。
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及び、パラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50重量%以上のものである。
より好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90重量%,ナフテン環含有化合物が10〜40重量%、芳香環含有化合物が5重量%以下のものである。
これら、パラフィンを主成分とするオイルは市販されており、例えば出光興産(株)製のPW380等が挙げられる。
また、本発明においては(D)成分として導電性材料を添加しても構わない。
本発明で使用可能な導電性材料としては、非導電材料に導電性を付与する目的のために使用されるカーボンのような非金属性のものが好ましい。
カーボンの例としては、例えばケッチェンブラックインターナショナル社から入手可能なケッチェンブラック(EC、EC−600JD)や、ハイペリオンキャタリシスインターナショナル社から入手可能なカーボンフィブリル(BNフィブリル)を挙げることができる。特に国際公開第94/23433号パンフレットに開示されているようなカーボンフィブリルが好ましい。
これら導電性材料の好ましい量比は、(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して0.1重量部以上3重量部未満の量である。より好ましくは0.5重量部以上2.5重量部未満である。導電性材料の量が3重量部以上になると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および流動性が低下する可能性がある。
導電性材料の配合方法に関して特に制限はないが、例えば、粉体のままポリフェニレンエーテルとともに加える方法、粉体のままポリアミドとともに加える方法、米国特許5741846号明細書及び米国特許5977240号明細書に開示されているようにポリアミドとポリフェニレンエーテルを相溶化させた後に粉体のまま加える方法等が挙げられる。
また、国際公開第01/81473号パンフレットの実施例に開示されてあるように、導電性材料を予めエラストマーやポリフェニレンエーテル中に存在させたマスターバッチの形態で加えても、特開平2−201811号公報に開示されてあるように、カーボンブラックを予めポリアミド中に均一分散させたマスターバッチ、あるいはハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(商品名:Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20%)等のカーボンフィブリルマスターバッチとして加えても構わない。
また、本発明では、組成物の製造の際に公知の相溶化剤を添加することが好ましい。
相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良することである。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。この相互作用は化学的(たとえばグラフト化)であっても、または物理的(たとえば分散相の表面特性の変化)であってもよい。
いずれにしても得られるポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物は改良された相溶性を示す。
本発明において使用することのできる相溶化剤の例としては、国際公開第01/81473号パンフレットに詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられる。
本発明における相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの混合物100重量部に対して0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜5重量部、最も好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明では、上記した成分のほかに、本成分の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例を以下に挙げる。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、無機充填材(タルク、カオリン、ゾノトライト、ワラストナイト、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭素繊維、ガラス繊維など)、無機充填材と樹脂との親和性を高める為の公知のシランカップリング剤、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、カーボンブラック等の着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
これらの成分の具体的な添加量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対して、合計で100重量部を越えない範囲である。
本発明の組成物を得るための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられるが、中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えたスクリュー直径45mm以上でL/Dが30以上の二軸押出機が最も好ましい。
スクリュー直径が45mm以上で、L/Dが30以上の二軸押出機を用いることで、混練不足を予防し所望の物性(特に衝撃性と引張伸び)を得ることができる。
本発明の具体的な製造方法例は、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、(1)上流側供給口よりブロック共重合体、及びポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミドを供給し溶融混練する方法、(2)上流側供給口よりブロック共重合体の一部、及びポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミド及び残りのブロック共重合体を溶融混練する方法、(3)上流側供給口よりポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口よりブロック共重合体及びポリアミドを供給し溶融混練する方法等が挙げられるが、いずれの方法を用いても構わない。
この場合の下流側供給口の位置は、押出機のスクリュー長を1.0とした場合、上流側より見て0.3〜0.8の位置に置くことが望ましい。
この際の溶融混練温度は特に限定されるものではなく、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができるが、好ましい温度は、ポリフェニレンエーテルが充分に溶融し、かつ芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び、または水素添加されたブロック共重合体が熱により劣化しにくい温度範囲である。具体的には、280℃〜340℃の範囲内である。特に上流側供給口よりブロック共重合体、及びポリフェニレンエーテルを主成分とする材料を供給し溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミドを主成分とする材料を供給し溶融混練する方法を取る場合、下流側供給口までの温度を300℃〜340℃の範囲内に設定し、下流側供給口以降を280℃〜300℃の範囲内に設定することが望ましい。
このようにして得られる本発明の組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品の成形体として成形できる。
これら各種部品としては、例えばリレーブロック材料等に代表されるオートバイ・自動車の電装部品、ICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のバンパー・フェンダー・ドアーパネル・各種モール・エンブレム・アウタードアハンドル・ドアミラーハウジング・ホイールキャップ・ルーフレール及びそのステイ材・スポイラー等に代表される外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品等に好適に使用できる。
以下、本発明を実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
(使用した原料)
成分(A);ポリアミド
ポリアミド66樹脂(以下、PAと略記)
相対粘度(98%硫酸/25℃)=2.7(JIS−K−6810)
末端アミノ基濃度=30ミリ等量/kg
末端カルボキシル基濃度=100ミリ等量/kg
成分(B);ポリフェニレンエーテル
還元粘度=0.42dl/g(以下、PPEと略記)
成分(C);ブロック共重合体
(C1−1)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=58,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=19,400
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=19,100
スチレン成分合計含有量=67%
1,2−ビニル含有量=41%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(C1−2)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=97,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=29,100
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=38,800
スチレン成分合計含有量=60%
1,2−ビニル含有量=36%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(C2−1)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=88,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=12,300
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=63,400
スチレン成分合計含有量=28%
1,2−ビニル含有量=32%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(C2−2)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリスチレン
数平均分子量=100,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=15,000
水素添加ポリイソプレンの数平均分子量=70,000
スチレン成分合計含有量=30%
ポリイソプレン部の水素添加率=98%以上
(C2−3)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=170,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=29,800
水素添加ポリイソプレンの数平均分子量=110,500
スチレン成分合計含有量=35%
1,2−ビニル含有量=38%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
パラフィンオイルを35重量%含む
(C2−4)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=250,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=41,300
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=167,500
スチレン成分合計含有量=33%
1,2−ビニル含有量=33%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
成分(D);導電性材料
導電性カーボンブラック(以下、CCBと略記)
商品名:ケッチエンブラックEC600JD
ポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(以下、CF−MBと略記)
商品名:Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20%
実施例及び比較例で行った各評価試験は、以下のようにして行った。
(1)試験片の作成
引張およびIzod衝撃試験片は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製:PS40E)を用い、シリンダー温度290℃、金型温度80℃で、ASTM−D638に記載のTYPE−I試験片を作成した。面衝撃試験用の試験片は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製:FS80S)を用い、シリンダー温度300℃、金型温度80℃で100mm×100mm(厚み2mm)の平板を作成した。
(2)引張試験およびIzod衝撃試験の測定
引張試験は、ASTM−D638に準拠し、ノッチ付きIzod衝撃試験は、ASTM−D256に準拠して測定した。
(3)面衝撃試験の測定
面衝撃試験は、落錘グラフィックインパクトテスター((株)東洋精機製)を用い、ホルダ径φ50mm、ストライカー径1inch、ストライカー重量6.5kgを使用し、高さ128cmから衝撃試験を行い、亀裂発生エネルギーを測定した。
(4)荷重たわみ温度(DTUL)の測定
荷重たわみ温度は、ASTM−D648(0.45MPa及び1.82MPaの荷重下)に準拠して測定した。試験片は、厚み3mmのものを用いた。
(5)流動性の測定
流動性は、メルトフローレイト(MFR)をASTM−D1238に準拠して温度280℃、荷重5kgの条件下で10分間あたりの流出量を測定した。
〔実施例1〜6、比較例1〜3〕
上流側に1カ所と、押出機中央部に1カ所と下流部に1箇所の2つの供給口を有する二軸押出機[ZSK−58MC:ウェルナー&フライデラー社製(ドイツ)]のシリンダー温度を上流側供給口(以下メイン−Fと略記)より押出機中央部供給口(以下サイド−F1と略記)までを320℃、サイド−F1からダイまでを280℃に設定した。このときのサイド−F1の位置はスクリューの全長を1.0とした時に、上流側より見て約0.55の位置とし、下流側供給口(以下サイド−F2)の位置は約0.75の位置とした。また、約0.35の位置及び約0.90の位置の2箇所にベントポートを設置し、真空吸引を行った。
なお、このとき用いた押出機のL/Dは52であり、スクリュー回転数は900回転/分とし、吐出量を540kg/hになるよう各フィーダーを調整した。
メイン−Fより、ポリフェニレンエーテル及びブロック共重合体、サイド−F1よりポリアミドを表1記載の割合で供給し、溶融混練し、ペレットを得た。このとき、相溶化剤として無水マレイン酸0.5重量部を、ポリフェニレンエーテル及びブロック共重合体とともに添加した。得られたペレットを前記した方法により、成形し、各種試験を行った。
得られた結果は表1に併記した。なお、このときCCBはサイド−F2より供給した。
なお、ペレット状のブロック共重合体はポリフェニレンエーテルとは異なるフィーダーで供給し、粉体状のブロック共重合体はポリフェニレンエーテルと予め予備混合して供給した。
Figure 0004148886
〔実施例7〕
トップ−Fよりポリフェニレンエーテル38重量部、C1−1を2重量部、C2−1を7重量部の割合で供給し、サイド−F1よりポリアミド47重量部を供給し、サイド−F2よりCF−MB7.5重量部を供給した以外は例1と同様に実施し、ペレットを得た。このときの実質的な組成は、実施例4のCCBがカーボンフィブリル(CF)に変更した組成に相当する。
得られたペレットを成形し、組成物の面衝撃強度を測定したところ、53Jであった。また、引張伸びは、100%以上であった。
本発明の組成物は、従来技術に比べ、流動性と耐熱性を保持しながら自動車の衝突や容器の落下等に対応する衝撃特性、特に、引張伸びおよび面衝撃特性を著しく改良することができる。

Claims (5)

  1. (A)ポリアミド50〜90重量部、(B)ポリフェニレンエーテル50〜10重量部の合計100重量部に対して、(C)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体及び/又は水素添加された該ブロック共重合体1〜35重量部を含む組成物であって、(C)成分が(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上30,000未満であり、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上100,000未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. (C)成分が少なくとも2個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる水素添加されたブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (C)成分の2種類以上のブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上25,000未満であり、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上80,000未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (C)成分が数平均分子量120,000未満のブロック共重合体のみから構成される混合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする射出成形体。
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