JP4543922B2 - 炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤、炭素繊維前駆体繊維、耐炎化繊維および炭素繊維およびそれらの製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤、炭素繊維前駆体繊維、耐炎化繊維および炭素繊維およびそれらの製造方法 Download PDF

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本発明は、単繊維弾性率分布の小さい炭素繊維、およびそれを得るための耐炎化繊維、炭素繊維前駆体繊維、およびかかる炭素繊維前駆体繊維を提供することのできる炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤、およびそれらの製造方法に関するものである。
炭素繊維は他の補強用繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、その優れた機械的特性を利用して複合材料用補強繊維として工業的に広く利用されている。その適用範囲は、従来からのスポーツ、航空宇宙用途に加え、土木・建築など一般産業用途へも大きく拡がりつつあり、市場の要求は、単なる高性能化だけではなく、低コスト化した上でのさらなる高性能化へと、より厳しいものとなってきている。さらに、高性能化しつつ、信頼性を向上することで、材料許容値を高めることが求められている。
炭素繊維を複合材料として構造設計する場合には、微視的な要因が巨視的な強度や破壊現象に大きく影響を与えるため、微視的な要因を含む複合材料は、巨視的な均質体として捉えることができず、ばらつきが大きくなると、材料の信頼性は低下してしまう。複合材料の信頼性を高めるためには、炭素繊維束、さらには炭素繊維単繊維の力学物性を均質化する必要がある。特に、炭素繊維単繊維の強度および弾性率の双方のばらつきを減少させることが重要である。強度は、繊維のもつ欠陥の大きさ、形状、数によって異なるので、信頼性を高めるためには、欠陥をできるだけ一定に制御させることが重要になる。一方、弾性率は、黒鉛構造の配向性や結晶子サイズなどの材料の内部構造に大きく左右される。そのため、強度分布と弾性率分布の相関は必ずしも高くなく、強度分布が狭くとも弾性率分布が広くなることがある。そこで、強度および弾性率の双方のばらつきを減少させることが重要である。これらの達成により、破断伸度が均一となり、複合材料の破断時に微少な初期破断が発生しないために、局所的な応力集中が減少し複合材料の信頼性が大幅に向上する。
それに対して従来、単繊維引張り強度分布をワイブル形状係数で規定した炭素繊維が提案されている(特許文献1、2参照)。しかしながら、本発明者らの検討したところ、弾性率分布は狭くなっておらず、破断伸度という観点からは均質化しきれていないという問題がある。
また、炭素繊維は、耐炎化繊維を不活性雰囲気中で1,000℃以上の温度に加熱(炭素化処理)して得られるが、耐炎化反応の進行度むら、いわゆる、焼成むらが存在すると、続く炭化工程において糸切れや毛羽発生の原因となり、生産性向上の大きな障害となる。仮に、糸切れや毛羽発生がなく、炭化工程を通過しても、単繊維弾性率むらが発生するという問題がある。それに対して、ギ酸溶解度という指標を用いて、耐炎化繊維束全体の耐炎化進行度を促進することで焼成工程通過性を向上させることが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、同一耐炎化繊維において、ギ酸溶解度の試験数を増やすと、その平均値は特定範囲内にあるものの、ばらついているためにその範囲外にあるものも存在した。そのため、耐炎化単繊維間の焼成むらは、依然として残っており、これが炭素繊維単繊維の弾性率の変動が大きいことの原因となっていると考えられる。
また、耐炎化繊維は、炭素繊維前駆体繊維(以下、前駆体繊維と表記する)を酸化性雰囲気中で220〜300℃の温度に加熱(耐炎化処理)して耐炎化繊維に転換するが、前駆体繊維にて単繊維間の接着を効果的に防止するために用いられる各種変性シリコーン系化合物は、確かに単繊維同士の融着を防止する効果は有しているが、単繊維間に介在、堆積し耐炎化反応に必須となる酸素の供給の妨げとなり、その結果、焼成むらの発生を誘起していることが明らかとなっている。それに対して、シリコーン油剤を硬化させることで流動性を低く抑え、単繊維間への堆積を防止することが提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、シリコーン油剤の流動は抑制されるものの、前駆体繊維上に油剤の多寡による表面凹凸が存在しており、この油剤の多く溜まっている部分は、焼成むらを誘起する原因となっている。
特開平4−222229号公報 特開2002−266173号公報 特開平11−217734号公報 特開2001−172880号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、耐炎化工程における焼成むらがなく、焼成における高張力化を達成し、低コストで高品質・均質な炭素繊維、ならびにかかる炭素繊維を生産性よく、かつ効率的に得ることのできる耐炎化繊維および炭素繊維前駆体繊維、ならびにかかる炭素繊維前駆体繊維を提供することができる炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤およびコストパフォーマンスに優れた炭素繊維の製造方法を提供せんとするものである。
また、本発明の炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤は、油剤成分中のシリコーン系化合物の25℃における平均シリコーン動粘度(以下、「油剤成分中のシリコーン系化合物の25℃における平均シリコーン動粘度」を単に「25℃における平均シリコーン動粘度」ともいう。)が750〜1500cStであり、かつ、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される振り子の振動周期差が0.03〜0.4である。また、前記シリコーン系化合物は、アミノ変性シリコーン、脂環式エポキシ変性シリコーンとアルキレンオキサイド変性シリコーンにより構成され、かつ、アミノ変性シリコーン100重量部に対するアルキレンオキサイド変性シリコーンの割合が15〜900重量部であり、全てのシリコーン系化合物100重量部に対する脂環式エポキシ変性シリコーンの割合が〜20重量部である。
また、本発明の炭素繊維前駆体繊維は、前記炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤を、乾燥した炭素繊維前駆体繊維に0.1〜5重量%付着させてなり、平均面粗さが8nm以下である。
また、本発明の耐炎化繊維は、前記炭素繊維前駆体繊維を空気中で耐炎化させてなり、ギ酸溶解度の変動係数が10%以下である。
また、本発明の炭素繊維の製造方法は、前記耐炎化繊維を不活性雰囲気中で炭化させる。
また、本発明の炭素繊維の製造方法で製造された炭素繊維は、単繊維引張試験により求められる単繊維弾性率の変動係数が10%以下である。
本発明によれば、以下に説明するとおり、シリコーン油剤粘度を低減しつつ、油剤硬化性を維持することで、均一で変形することのない油剤皮膜を前駆体繊維上に形成できるので、焼成むらの少ない耐炎化繊維が得られ、続く炭化工程での糸切れ、毛羽発生の抑制が可能となり、その結果、従来焼成技術に比べ生産性を低下させることなく、より高糸条密度化、高張力化、高速化でき、コストパフォーマンスに優れた単繊維弾性率分布の狭い炭素繊維を得られる。
本発明の炭素繊維は、従来の炭素繊維に比較して、前駆体繊維におけるシリコーン油剤皮膜の平均面粗さが小さく、その結果、焼成むらが抑制されるため、単繊維弾性率分布の狭いものである。
本発明の炭素繊維前駆体用シリコーン油剤は、上記課題を達成するため、次の構成を有する。すなわち、油剤成分中のシリコーン系化合物の25℃における平均シリコーン動粘度が750〜1500cStであり、かつ、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される振り子の振動周期差が0.03〜0.4である炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤(以下、シリコーン油剤と表記する)である。
本発明のシリコーン油剤は、25℃における平均シリコーン動粘度が750〜1500cStである。かかる25℃における平均シリコーン動粘度が750cSt未満の場合、シリコーン油剤の粘性が不足して、ニップなどでシリコーン油剤が絞られた際に、単繊維間に保持されがたく、単繊維間接着の発生しやすい乾燥工程などで単繊維間接着を防止する効果が十分得られない。一方、25℃における平均シリコーン動粘度が1500cStを超える場合には、シリコーン系化合物の油滴の拡展が遅く、平滑皮膜化する前に油剤が硬化することが多いため、油滴形状を反映したような表面凹凸が前駆体繊維上に残ることがある。この表面凹凸が著しくなると、耐炎化において糸束内への酸素の供給を阻害し、結果として焼成むらを生じるものと考えられる。
前述の平均シリコーン動粘度とは、油剤中に含まれるシリコーン系化合物の混合比に応じて、それぞれの動粘度を重量平均した値のことである。油剤中に含まれるシリコーン系化合物が1種類であれば、そのシリコーン動粘度が平均シリコーン動粘度となる。動粘度は、本発明においては、以下の方法で測定する。オストワルド型粘度計(毛管粘度計)に25℃に保たれたシリコーン系化合物を10mlセットし、測定液の上面が一定の距離を通過す
る時間tを測定する。基準液体の粘度をη、密度をρ、流下時間をtとすると、動粘度は、
動粘度(cSt)=(η/ρ)×(t/t
により算出される。また、動粘度は、シリコーン系化合物メーカーのカタログ値を用いてもかまわない。
本発明のシリコーン油剤は、後述する方法で測定される、剛体振り子の自由減衰振動法による振動周期差Tが0.03〜0.4であり、0.05〜0.35であるのが好ましく、0.10〜0.30であるのがより好ましい。すなわち、下式の関係にあるものである。
0.03≦T≦0.4
T=T30−T180
T30:30℃における振動周期(秒)
T180:180℃で20分間熱処理後の振動周期(秒)
剛体振り子の自由減衰振動法は、一般的なレオメーターと異なり、開放系、薄膜の状態で粘弾性挙動を測定できる。該測定方法により測定される振動周期は、シリコーン油剤の架橋度に対応し、小さいほど架橋度が高いことを示す。従って、振動周期差T(=T30−T180)は、加熱時の硬化挙動に対応し、大きくなるほど硬化しやすい、すなわち架橋しやすいことを示している。振動周期差を上記範囲に制御したシリコーン油剤を適用することにより、耐炎化での焼成むらを抑制することができる理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように推定される。即ち、耐炎化の焼成むらは、糸束内への酸素の透過が阻害され十分供給されない部分が生じることが原因であり、単繊維間に存在するシリコーン油剤がその阻害要因の一つとして考えられる。すなわち、シリコーン油剤が単繊維間に入り込み、シーリング剤のようなはたらきをするのである。一般に、シリコーン油剤は、製糸工程の乾燥工程直前で付与され、熱処理を受ける。この乾燥熱処理時に架橋せず流動性を有するオイル状態を保持すると、その後、単繊維間の空間に合わせて自由に変形できるため、単繊維間に厚く堆積する可能性が高く、結果としてシーリング作用が高まると考えられる。一方、速やかに硬化し流動性が低く抑えられれば、単繊維間への堆積が防止され、また、単繊維間相互の拘束も小さくなり、焼成むらが生じにくいとも考えられる。しかし、硬化が著しく進むと、逆に単繊維間相互の拘束が強まり、結果として焼成むらを生じるものと考えられる。
従来のシリコーン油剤は、耐熱性の観点から高粘度のものが選ばれる傾向があった。そのため、表面平滑な油剤皮膜を形成させることはできなかった。仮に、低粘度のものが選ばれ、表面平滑な油剤皮膜を形成することができても、シリコーン油剤の架橋度が低い場合には、耐炎化工程では単繊維間に堆積してしまっていた。本発明では、平滑皮膜を形成し、かつ、その皮膜の変形がないために、焼成むらを抑制することが可能となった。
本発明においてシリコーン油剤とは、シリコーン系化合物を少なくとも0.1重量%含む油剤のことであり、シリコーン系化合物単独でも、有機溶媒などを用いた溶液の状態でもよいが、前駆体繊維への均一付与性、付与簡便性の観点から、水系のエマルジョンの状態が好ましい。水系のエマルジョンとする際には、シリコーン系化合物に適当な乳化剤を加えることもでき、シリコーン系化合物100重量部に対して乳化剤は5〜40重量部で十分乳化できることが多い。また、長期安定性の観点から、酸化防止剤などを加えることもできるが、シリコーン系化合物の架橋反応を阻害しないものを選択することが好ましい。
本発明のシリコーン油剤に用いるシリコーン系化合物は、平均シリコーン動粘度が前記した範囲を満足し、かつ、振動周期差Tが前記した範囲を満足すれば、特に限定されないが、以下のような態様が好ましく採用される。
本発明のシリコーン油剤に用いるシリコーン系化合物は、ポリジメチルシロキサンを基本構造とし、メチル基の一部が変性されたものが好ましく用いられる。該変性基としては、アミノ基、脂環式エポキシ基、アルキレンオキサイド基などが好ましく、さらに加熱により架橋反応を生じるものが好ましく使用される。複数の変性基を有するシリコーン系化合物でもよく、また、異なる変性基をもつシリコーン系化合物を混合して用いてもよい。前駆体繊維への均一付与性の観点からは、アミノ変性シリコーンを使用する。その変性基はモノアミンタイプでもポリアミンタイプでもよいが、とりわけ、次の一般式に示す変性基が好ましく用いられる。即ち、一般式―Q−(NH−Q’)p−NH2で表され、QおよびQ’が同種または異種の炭素数1〜10の2価の炭化水素基、Pは0〜5の整数である。アミノ基は架橋反応の起点となると考えられ、変性量が高いほど架橋反応が促進されるが、シリコーン油剤が乾燥ローラーに脱落し、ローラーへの巻付きを誘起する、いわゆるガムアップが増加することもあるため、その変性量は、末端アミノ基量を−NH2の重量に換算して、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。また、アミノ変性シリコーンの25℃における動粘度は、低いほど表面平滑な油剤皮膜が形成されるが、具体的には10〜10000cStが好ましく、100〜2000cStがより好ましく、300〜1000cStがさらに好ましい。
また、従来、アルキレンオキサイド変性シリコーンは加熱残存率が低く、積極的に用いられてこなかったが、全体の残存量ではなく、ケイ素残存量でみると、アルキレンオキサイド変性シリコーンは予備炭化工程までのケイ素残存量が多い。一方、単繊維間接着防止の観点からはケイ素残存量の高いことが重要であることがわかっている。そのため、ケイ素耐熱残存性の観点から、アルキレンオキサイド変性シリコーンを使用するその際には、25℃における動粘度は、低いほど表面平滑な油剤皮膜が形成されるが具体的には、10〜1000cStが好ましく、50〜800cStがより好ましく、100〜500cStがさらに好ましい。また、その割合は、アミノ変性シリコーン系組成物100重量部に対して15〜900重量部とするものであり、25〜200重量部とするのが好ましく、30〜100重量部とするのがさらに好ましい。900重量部を超えると、他のシリコーン系化合物の架橋反応を遅延し本発明の効果を得にくくなることがある。また、15重量部を下回ると、ケイ素耐熱残存性向上効果が顕著に得られないことがある。
かかるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド(以下、EOと表記する)、プロピレンオキサイド、あるいは、これらのブロックコポリマーが好ましく用いられるが、特にEOが好ましい。
また、集束性の観点から、脂環式エポキシ変性シリコーンを使用する。変性量は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。また、脂環式エポキシ変性シリコーンの25℃における動粘度は、集束性の観点からは高いほどよく、100〜10000cStが好ましく、500〜6000cStがより好ましいが、具体的には1000〜4000cStがさらに好ましい。全てのシリコーン系化合物100重量部に対する脂環式エポキシ変性シリコーンの割合は〜20重量部であり、3〜15重量部が好ましく、6〜10重量部がさらに好ましい。20重量部を超えると、他のシリコーン系化合物の架橋反応を遅延し本発明の効果を得にくくなる。
本発明のシリコーン油剤は、これまで述べてきた好ましく適用できる成分以外にも、振動周期差を前述した範囲に制御できれば、平滑剤、吸湿剤、界面活性剤、粘度調整剤、離型剤、展着剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、およびpH調整剤などの成分を含んでもよい。これらの成分は、シリコーン系化合物に対して5重量%を超えない範囲で混合することが好ましい。
かかるシリコーン油剤の製造には、公知の各種油剤調製法が適用でき、例えば、これまで述べてきた油剤成分を混合して、油剤とすることができる。油剤の各成分の混合は、プロペラ撹拌、ホモミキサーおよびホモジナイザーなどを使って行うこともできる。また、この混合物を水に分散して用いることもでき、その場合は、転相乳化法などを用いて油剤成分の平均粒子径を0.001〜1μmに制御することが好ましい。平均粒子径はより好ましくは0.01〜0.5μmであり、さらに好ましくは0.05〜0.25μmである。かかる平均粒子径は、市販のレーザー回折を原理とする粒度分布計で確認することができる。
また、本発明の前駆体繊維は、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される該単繊維表面の平均面粗さ(Ra)が8nm以下である(測定法の詳細は後述)。この平均面粗さは、油剤皮膜平滑度の指標である。油剤皮膜が粗く、表面凹凸が著しくなると、耐炎化において糸束内への酸素の供給を阻害し、結果として焼成むらを生じるものと考えられる。平均面粗さは、6〜8nmでも効果があるが、4〜6nmであることがより好ましく、4nm以下であることがさらに好ましい。平均面粗さが8nmを超えると、油剤の酸素シーリング作用が高まり、焼成むらを生じる。平均面粗さは、焼成むら抑制の観点から低ければ低いほど好ましく、0nmが最も好ましいが、0.1nm未満となるとほぼ効果が飽和することが多い。
また、この油剤皮膜平滑度の指標として、後述する方法で測定される最大高低差が1〜80nmであることが好ましい。60〜80nmでも効果があるが、30〜60nmであることがさらに好ましい。最大高低差が80nmを超えると、油剤の酸素シーリング作用が高まり、焼成むらを生じる。最大高低差が1nm未満では、油剤の単繊維間への堆積はなくなるが、逆に単繊維同士が密着しやすくなり、焼成むらを生じる。
従来の前駆体繊維においては、油剤の平滑度の指標として表面積比が1.00〜1.05で規定されたものは存在した。しかしながら、表面積比が1.00であっても、油剤の表面平滑度は不十分であることがあり、平均面粗さとしても8nmを超えるものもあった。そのため、繊維基質の表面形態ではなく、油剤の皮膜平滑度を表すことに表面積比は不適当であると考えられる。
本発明の前駆体繊維は、アクリル系重合体を湿式または乾湿式紡糸した後、水洗して得られる水膨潤状態の糸条に上述の油剤を付与した後、130〜200℃で熱処理することにより製造することができる。アクリル系重合体の成分としては、少なくとも95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のアクリロニトリルと、5モル%以下、より好ましくは2モル%以下の、耐炎化を促進し、かつ、アクリロニトリルと共重合性のある、耐炎化促進成分を共重合したものを好適に使用することができる。
かかる耐炎化促進成分としては、ビニル基含有化合物(以下ビニル系モノマーと表記する)からなる共重合体が好適に使用される。ビニル系モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など使用することができるが、これらに限定されるものではない。また、一部または全量をアンモニア中和したアクリル酸、メタクリル酸、またはイタコン酸のアンモニウム塩からなる共重合体は、耐炎化促進成分としてより好適に使用される。
紡糸原液は、従来知られている溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などによるものを採用し得る。紡糸原液に使用される溶媒としては、有機、無機の従来公知の溶媒が使用することができる。特に有機溶媒を使用するのが好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが使用され、特にジメチルスルホキシドが好ましく使用される。
紡糸方法は、乾湿式紡糸法や湿式紡糸法が好ましく採用されるが、より表面が平滑な原糸を、生産性よく製造することができることから、前者がより好ましく使用される。
口金から直接または間接に凝固浴中に紡糸原液を吐出し、凝固糸を得る。凝固浴液は、紡糸原液に使用する溶媒と凝固促進成分とから構成するのが、簡便性の点から好ましく、凝固促進成分として水を用いるのがさらに好ましい。凝固浴中の紡糸溶媒と凝固促進成分の割合、および凝固浴液温度は、得られる凝固糸の緻密性、表面平滑性および可紡性などを考慮して適宜選択して使用される。
得られた凝固糸は、20〜98℃に温調された単数または複数の水浴中で水洗、延伸するのがよい。延伸倍率は、糸切れや単繊維間の接着が生じない範囲で、適宜設定することができるが、より表面が平滑なアクリルプリカーサーを得るためには、5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。また、得られるアクリルプリカーサーの緻密性を向上させる観点から、延伸浴の最高温度は、50℃以上とするのが好ましく、70℃以上がより好ましい。
水洗、延伸された後の水膨潤状態の糸条に、上述したシリコーン油剤を付与するのが好ましい。付与方法としては、糸条内部まで均一に付与できることを勘案し、適宜選択して使用すればよいが、具体的には、油剤を適正な乳化剤を使用して水分散液にして調製し、その水分散液を浸漬法、噴霧法、タッチロール法、あるいはガイド給油法などで水膨潤繊維に付与する手段が採用される。
かかるシリコーン油剤の付着量は、繊維の乾燥重量に対する純分の割合が、0.1〜5重量%が好ましく、0.3〜3重量%がより好ましく、0.5〜2重量%がさらに好ましい。0.1重量%を下回ると、単繊維同士の融着が生じ、得られる炭素繊維の引張強度が低下することがある。また、5重量%を超えると、本発明の効果が得にくくなることがある。
油剤を付与された糸条は、速やかに乾燥するのがよい。乾燥の方法は、特に限定されないが、加熱された複数のローラーに直接接触させる方法が好ましく用いられる。乾燥温度は、高いほどシリコーン油剤の架橋反応を促進し、また、生産性の観点からも好ましいので、単繊維間の融着が生じない範囲で高く設定できる。具体的には、130℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。通常、乾燥温度の上限は200℃程度である。乾燥時間は、膨潤糸条が乾燥するのに十分な時間とするのがよい。また、糸条への加熱状態が均一になるよう、糸条をできるだけ拡幅した状態でローラーに接触させるのがよい。
乾燥された糸条は、さらに加圧スチーム中または乾熱下で後延伸されるのが、得られるアクリルプリカーサーの緻密性や生産性の観点から好ましい。後延伸時のスチーム圧力または温度や後延伸倍率は、糸切れ、毛羽発生のない範囲で適宜選択して使用するのがよい。
本発明の前駆体繊維の単糸繊度は、0.1〜2.0dTexであることが好ましく、0.3〜1.5dTexであることがより好ましく、0.5〜1.2dTexがさらに好ましい。該繊度は小さいほど、得られる炭素繊維の引張強度や弾性率の点で有利であるが、生産性は低下するため、性能とコストのバランスを勘案し選択するのがよい。
また、本発明の前駆体繊維の糸条を構成する単繊維数は、好ましくは、1000〜96000本であり、より好ましくは、12000〜48000本であり、さらに好ましくは、24000〜48000本である。ここで、前駆体繊維の糸条を構成する単繊維数とは、耐炎化処理される直前の単繊維数をいい、生産性の観点からは多いほど好ましい。単繊維の数が1000本未満では、生産性が悪化することが多いが、一方で、96000本を超えると耐炎化の際に焼成むらを発生しやすくなることが多い。
以上のような好ましい方法により、前駆体繊維を製造することができる。前駆体繊維を200〜300℃で耐炎化してなる耐炎化繊維において、耐炎化繊維束やその単繊維内部に焼成むらが存在すると、炭素繊維の弾性率が低下したり、弾性率分布が広くなったりすることがある。かかる焼成むらを観測する手段として、前駆体繊維の耐炎化処理を増加するにしたがってそのギ酸への溶解度(以下、ギ酸溶解度と表記する)が高くなることを利用して、後述する方法で測定されるギ酸溶解度の変動係数を用いることができる。そのため、本発明の耐炎化繊維は、耐炎化繊維単繊維間の耐炎化反応の進行度を一定にする観点から、かかる変動係数が10%以下であることを特徴としている。かかる変動係数が10%より大きいときは、耐炎化繊維単繊維間にて焼成むらが大きくなっていることを示す。また、かかる変動係数は、焼成むら抑制の観点から低ければ低いほど好ましく、0%が最も好ましいが、0.1%未満となるとほぼ効果が飽和することが多い。かかる変動係数は、6〜10%でも効果は得られるが、好ましくは、4〜6%である。また、ギ酸溶解度の平均値は、0〜5%となるように耐炎化するのが好ましい。かかる平均値は、耐炎化繊維束の耐炎化反応の進行度を示すため、高弾性率の炭素繊維を少ない熱処理量で得る観点から、かかる平均値が低ければ低いほど好ましく、0%が最も好ましいが、0.1%未満となるとほぼ効果が飽和することが多い。かかる平均値は、1.2〜2%でも効果は得られるが、好ましくは、0.8〜1.2%である。
さらに本発明の耐炎化繊維について説明する。
上述したような好ましい方法により、前駆体繊維が製造され、さらに以下に述べるような方法で、該前駆体繊維を耐炎化することにより製造することができる。
耐炎化温度は、200〜300℃がよく、糸条が反応熱の蓄熱によって糸切れを生じる温度よりも、10〜20℃低い温度で耐炎化するのがコスト削減および得られる炭素繊維の性能を高める観点から好ましい。耐炎化時間は、生産性および得られる炭素繊維の性能を高める観点から、10〜100分間が好ましく、30〜60分間がより好ましい。この耐炎化時間とは、糸条が耐炎化炉内に滞留している全時間をいう。この時間が10分を下回ると、各単繊維の二重構造が全体的に顕著となり、本発明の効果が得にくくなることがある。耐炎化工程における糸条の延伸比は0.85〜1.10が良く、0.88〜1.06がより好ましく、0.92〜1.02がさらに好ましい。
また、本発明の炭素繊維について説明する。本発明の炭素繊維は、後述する方法で測定される単繊維弾性率分布の変動係数が10%以下であることを特徴とする。単繊維弾性率は、JIS R7601(1986年)に基づいて、以下の通りにして求める。つまり、まず、20cm程度の長さの炭素繊維の束をほぼ4等分し、4つの束から順番に単糸をサンプリングする。このとき、束全体からできるだけまんべんなくサンプリングする。サンプリングした単糸は、穴あき台紙に接着剤を用いて固定する。単糸を固定した台紙を引張試験機に取り付け、試長25mm、歪速度1mm/分、単糸試料数50で引張試験をおこなう。繊維の断面積は、後述する方法で測定される繊度および密度より算出した。炭素繊維の弾性率は、材料の内部構造に大きく左右されるが、単繊維間では内部構造は一様とならず、黒鉛構造の配向性むらが発生する。かかる配向性は、耐炎化・炭化工程における繊維の張力に影響されると推測されるが、単繊維間で耐炎化工程における酸化反応や分子間架橋にむらが発生していることが単繊維間に張力差を生みだし、配向性むらの原因となっていることが考えられる。かかる単繊維弾性率の変動係数が10%より大きいときは、炭素繊維強化複合材料の信頼性は低くなってしまう。単繊維弾性率の変動係数は炭素繊維強化複合材料の信頼性の観点から低ければ低いほど好ましく、0%が最も好ましいが、0.1%以下となるとほぼ効果が飽和することが多い。かかる変動係数は、6〜8%でも効果は得られるが、好ましくは4〜6%である。また、単繊維弾性率の平均値は、400GPa以下となるように炭化することが好ましい。所望の平均弾性率を得るためには、高温で焼成する、あるいは、延伸処理しながら焼成するなどの方法があるが、最高温度が2000℃以上で炭化処理する場合は、圧縮強度の低下が顕著となるため、可能な限り低温で炭化することが要望される。かかる平均値は、より好ましくは、360GPa以下であり、さらに好ましくは、320GPa以下であるように炭化したときに圧縮強度の低下と単繊維弾性率のばらつきの両方を抑制できることが多い。
さらに本発明の炭素繊維の製造方法について説明する。上述したような方法で、耐炎化繊維が製造され、さらに以下に述べるような方法で、かかる耐炎化繊維を焼成することにより、炭素繊維を製造することができる。
予備炭化工程の温度は好ましくは300〜800℃がよい。また、延伸比は、好ましくは0.98〜1.20、より好ましくは1.00〜1.15、特に好ましくは1.05〜1.10であるのが、得られる炭素繊維の性能を高める観点からよい。
炭化工程の温度は800〜2000℃であるのがよい。また、その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて適宜選択して使用されるが、800℃を下回ると、得られる炭素繊維の引張強度、弾性率が低下することがある。炭化工程における延伸比は、好ましくは0.95〜1.05、より好ましくは0.97〜1.02、特に好ましくは0.98〜1.00であるのが、得られる炭素繊維の性能を高める観点からよい。
より弾性率が高い炭素繊維を所望する場合には、炭化工程に続き黒鉛化を行うこともできる。黒鉛化工程の温度は2000〜2800℃であるのがよい。また、その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて適宜選択して使用される。黒鉛化工程における延伸比は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて、毛羽発生など品位低下の生じない範囲で適宜選択するのがよい。
得られた炭素繊維に対して、表面処理をすることにより、複合材料としたときのマトリックスとの接着強度をより高めることができる。表面処理方法としては、気相、液相処理を採用できるが、生産性、品質ばらつきを考慮すると、液相処理における電解処理が好ましく適用される。
電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸といった酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドといったアルカリあるいはそれらの塩を用いることができるが、特に好ましくはアンモニウムイオンを含む水溶液が好ましい。例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、燐酸2水素アンモニウム、燐酸水素2アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、あるいは、それらの混合物を用いることができる。
電解処理の電気量は、使用する炭素繊維により異なり、例えば、炭化度の高い炭素繊維ほど、高い通電電気量が必要となる。表面処理量としては、X線光電子分光法(ESCA)により測定される炭素繊維の表面酸素濃度O/Cおよび表面窒素濃度N/Cが、それぞれ0.05以上0.40以下、および、0.02以上0.30以下の範囲になることが、接着特性の上から好ましい。
これらの条件を満足することにより、炭素繊維とマトリックスとの接着が、適正なレベルとなり、したがって接着が強すぎて非常にブリトルな破壊となって強度が低下してしまうという欠点も、あるいは、強度は強いものの接着力が低すぎて、非縦方向の機械的特性が発現しないといった欠点も防止することができ、縦および横方向にバランスのとれたコンポジット特性が発現される。
得られた炭素繊維は、さらに、必要に応じて、サイジング処理がなされる。サイジング剤には、マトリックスとの相溶性の良いサイジング剤が好ましく、マトリックスに併せて選択して使用される。
このようにして得られた炭素繊維は、プリプレグ化したのち複合材料に成形することもできるし、織物などのプリフォームとした後、ハンドレイアップ法、プルトルージョン法およびレジントランスファーモールディング法などにより複合材料に成形することもできる。また、フィラメントワインディング法や、チョップドファイバーやミルドファイバー化した後射出成形することにより複合材料に成形することができる。
本発明で得られた炭素繊維を用いた複合材料は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポーツ用途、航空宇宙用途、フードおよびプロペラシャフトなどの自動車構造部材用途、フライホイールおよびCNGタンクなどのエネルギー関連用途などに好適に用いることができる。
前述した各測定値、および後述する実施例中での各測定値は、以下の方法により測定した。また、動粘度は、シリコーン系化合物メーカーのカタログ値を用いた。
<単繊維弾性率の変動係数>
<炭素繊維の単糸断面積・平均単糸径>
炭素繊維の単繊維弾性率は、JIS R7601(1986年)に基づいて、以下の通りにして求める。つまり、まず、20cm程度の長さの炭素繊維の束をほぼ4等分し、4つの束から順番に単糸を50本サンプリングする。このとき、束全体からできるだけまんべんなくサンプリングする。サンプリングした単糸は、穴あき台紙に接着剤を用いて固定する。単糸を固定した台紙を引張試験機に取り付け、試長25mm、歪速度1mm/分、単糸試料数50で引張試験をおこなう。弾性率は以下の式で定義される。
弾性率=(得られる強力)/(単繊維の断面積×得られる伸度)
単繊維の断面積は、測定する繊維束について、単位長さ当たりの重量(g/m)を密度(g/m)で除して、さらにフィラメント数で除して単糸断面積を求める。密度は、比重液をo−ジクロロエチレンとしてアルキメデス法で測定した。かかる弾性率の50点の平均を平均値とし、変動係数は下記式により求める。
変動係数(%)=(測定した50点の標準偏差)/(平均値)×100
<剛体振り子の自由減衰振動法によるシリコーン油剤の振動周期差>
剛体振り子の自由減衰振動法に基づき、剛体振り子型物性試験機を用いて振動周期を測定する(本発明の実施例においては、株式会社エーアンドディ社製剛体振り子型物性試験機RPT−3000)。測定に供するシリコーン油剤がエマルジョンまたは溶液の場合には、直径が約60mm、高さが約20mmのアルミ製の容器にエマルジョンまたは溶液約1gを採取し、40℃で乾燥および/または真空乾燥により溶媒を除去しておく。水エマルジョンの場合は、40℃で10時間乾燥する。次に、長さ5cm、幅2cm、厚み0.5mmの亜鉛メッキ鋼板製塗布基板(本発明の実施例においては、株式会社エーアンドディ社製 STP−012を使用)の上に、測定に供するシリコーン油剤を厚みが20〜30μmとなるように基板幅方向全面に塗布する。塗布後速やかに、試験機にセットし測定を開始する。試験機は予め30℃に温調しておき、塗布板および振り子をセットした後、50℃/分の速度で180℃まで昇温し、180℃で20分間保持する。測定の間、7秒間隔で連続的に周期の測定を行う。シリコーン油剤塗布基板7個について測定は各1回、計7回行い、振動周期差Tの最大値と最小値を除いて、5回の平均値をそれぞれT30、T180の値とした。なお、振り子は、下記のものを使用する。
使用エッジ:ナイフ形状エッジ(本発明の実施例においては、株式会社エーアンドディ社製RBEー160)
振り子重量/慣性能率:15g/640g・cm(本発明の実施例においては、株式会社エーアンドディ社製FRBー100)
振動周期差Tは下記式により求められる。
T=T30−T180
T30:30℃における振動周期(秒)
T180:180℃で20分間熱処理後の振動周期(秒)
剛体振り子の自由減衰振動法により測定される振動周期は、シリコーン油剤の架橋度に対応し、小さいほど架橋度が高いことを示す。従って、振動周期差Tは、加熱時の硬化挙動に対応し、大きくなるほど架橋しやすいことを示している。
<前駆体繊維の平均面粗さおよび最大高低差>
評価すべき前駆体繊維単繊維を数本試料台にのせ、両端を接着液(例えば、文具の修正液)で固定したものをサンプルとし、原子間力顕微鏡(本発明の実施例においては、セイコーインスツルメンツ製、SPI3800N/SPA−400)を用いた。また、本発明の実施例においては、下記条件にて3次元表面形状の像を得た。
探針:シリコンカンチレバー(セイコーインスツルメンツ製、DF−20)
測定モード:ダイナミックフォースモード(DFM)
走査速度:1.5Hz
走査範囲:3μm×3μm
分解能:256ピクセル×256ピクセル
得られた測定画像は、繊維断面の曲率を考慮し、付属のソフトウエアにより、画像の全データから最小二乗法により1次平面を求めてフィッティングし、面内の傾きを補正する1次傾き補正を行い、続いて同様に2次曲線を補正する2次傾き補正を行った後、付属のソフトウエアにより表面粗さ解析を行い、平均面粗さと最大高低差を算出した。ここで、平均面粗さ(Ra)とは、JIS B601(2001年)で定義されている中心線粗さRaを測定面に対し適用できるよう三次元に拡張したもので基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値と定義される。また、最大高低差は、測定画像における高さ方向データの最大値と最小値の差と定義される。測定は、異なる単繊維10本をランダムにサンプリングし、単繊維1本につき、各1回ずつ、計10回行い、その平均値を値とした。
<耐炎化糸のギ酸溶解度の変動係数>
連続する耐炎化糸約50gを約2.5gずつ20点に分けて熱風オーブンなどで120℃、2時間乾燥した後、乾燥後の重量を精秤し、Gp(g)とする。200ccの三角フラスコに乾燥後の試料を入れ、純度99%のギ酸を100cc注ぎ、そのまま25℃で100分間、振盪し処理する。この後、試料を取り出し、流水中で60分間、次に90℃の温水中で2時間洗浄する。さらに、120℃で2時間乾燥した後、乾燥後の重量を精秤し、Gl(g)とする。得られた値より、次式によりギ酸溶解度(%)を求める。
ギ酸溶解度(%)={(Gp−Gl)/Gp}×100
耐炎化糸20点の平均をギ酸溶解度の平均値とし、変動係数は下記式により求める。
変動係数(%)=(測定した20点の標準偏差)/(平均値)×100
<炭素繊維のストランド強度および弾性率の測定>
炭素繊維束に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃の温度で35分間硬化させた後、JIS R7601(1986年)に基づいて引張試験を行い、n=6本のストランドについて測定し、平均値で以てストランド強度を求めた。
*樹脂組成(かっこ内は本発明の実施例で用いたメーカー等)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ERL−4221、ユニオンカーバイド社製) 100重量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製) 3重量部
・アセトン(和光純薬工業(株)製) 4重量部
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1〜6]表1に示したシリコーン系化合物の組成比をもつシリコーン油剤を作製し、振動周期差Tを測定した。油剤作製に用いたシリコーン系化合物は、末端にメチル基を有するジメチルシリコーンの側鎖の一部を、下記化学式1で示したアミノ基、下記化学式2で示したエポキシ基、下記化学式3で示したエチレンオキサイド基でそれぞれ置換した3種類を用いた。変性量はそれぞれ、1.0重量%、1.0重量%、50重量%とした。上記3種類のシリコーン系化合物100重量部に対して、30重量部のノニオン系界面活性剤および水を加え、ホモミキサー、ホモジナイザーを用いて、純分30重量%のシリコーン油剤とし、上記測定に供した。
Figure 0004543922
Figure 0004543922
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さらに、アクリロニトリル99.5モル%とイタコン酸0.5モル%からなる共重合体をジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により重合し、濃度22重量%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスをpH8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和して、アンモニウム基をポリマー成分に導入することにより、紡糸原液の親水性を向上させた。得られた紡糸原液を40℃として、直径0.15mm、孔数4000の紡糸口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約4mmの距離の空間を通過させた後、3℃にコントロールした35重量%ジメチルスルホキシド水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸により凝固させた。得られた凝固糸を水洗したのち70℃の温水中で3倍に延伸し、さらに油剤浴中を通過させることにより、作製したシリコーン油剤を付与した。油剤浴中の濃度は、純分2.0重量%となるように水で希釈して調整した。さらに180℃の加熱ローラーを用いて、接触時間40秒の乾燥処理を行った。得られた乾燥糸を、0.4MPa−Gの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率を14倍とし、単糸繊度0.7dTex、単繊維本数24000本のアクリルプリカーサーを得た。なお、得られた前駆体繊維のシリコーン油剤付着量は純分で1.0重量%であった。この前駆体繊維の平均面粗さと最大高低差を測定した。
得られた前駆体繊維を、240〜280℃の空気中で耐炎化繊維に転換した。耐炎化時間は40分、耐炎化工程において延伸比は0.90および1.00の2種類とした。この耐炎糸のギ酸溶解度を測定し、その平均値と変動係数を求めた。
さらに、この耐炎化繊維を、300〜800℃の不活性雰囲気中で予備炭化した後、最高温度1500℃で炭化した。予備炭化工程における延伸比は、耐炎化工程における延伸比が0.90のものは1.00とし、1.00のものは1.10とした。炭化工程における延伸比は、耐炎化工程における延伸比が0.90のものは0.97とし、1.00のものは1.00とした。さらに、得られた炭化繊維を硫酸水溶液中で、10クーロン/g−CFの陽極酸化処理を行った後、得られた炭素繊維の強度、および単繊維弾性率を測定し、単繊維弾性率についてはその平均値と変動係数を求めた。
[比較例1〜5]表1に示した油剤のシリコーン系化合物の組成比をもつシリコーン油剤を作製し、実施例1と同様に振動周期差T、平均面粗さ、最大高低差、ギ酸溶解度、強度、単繊維弾性率を測定した。ただし、比較例2〜5の耐炎化延伸比1.00で処理した耐炎化糸は、予備炭化延伸比1.10では糸切れが生じプロセスできなかったので、中止した。また、比較例の炭素繊維は、毛羽が多かった。
表2に、各油剤を用いた場合の前駆体繊維、耐炎糸、炭素繊維の特性を示す。
Figure 0004543922
Figure 0004543922
耐炎化工程における焼成むらがなく、焼成の高張力化を達成する、本発明のシリコーン油剤を用いることにより、炭素繊維の高性能化と均質化とを両立させることができる耐炎化繊維、ならびに前駆体繊維を得ることができる。この耐炎化繊維、ならびに前駆体繊維から得られた炭素繊維は、プリプレグ化したのち複合材料に成形することもでき、本発明で得られた炭素繊維を用いた複合材料は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポーツ用途、航空宇宙用途、フードおよびプロペラシャフトなどの自動車構造部材用途、フライホイールおよびCNGタンクなどのエネルギー関連用途などに好適に用いることができ、有用である。

Claims (5)

  1. 油剤成分中に含まれるシリコーン系化合物の25℃における平均シリコーン動粘度が750〜1500cStであり、かつ、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される振り子の振動周期差が0.03〜0.4であるアミノ変性シリコーン、脂環式エポキシ変性シリコーンとアルキレンオキサイド変性シリコーンにより構成されているとともに、アミノ変性シリコーン100重量部に対するアルキレンオキサイド変性シリコーンの割合が15〜900重量部であり、全てのシリコーン系化合物100重量部に対する脂環式エポキシ変性シリコーンの割合が〜20重量部である炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤。
  2. 請求項1記載の炭素繊維前駆体繊維用シリコーン油剤を、乾燥した炭素繊維前駆体繊維に0.1〜5重量%付着させてなる、平均面粗さが8nm以下である炭素繊維前駆体繊維。
  3. 請求項2記載の炭素繊維前駆体繊維を空気中で耐炎化させてなる、ギ酸溶解度の変動係数が10%以下である耐炎化繊維。
  4. 請求項3記載の耐炎化繊維を不活性雰囲気中で炭化させてなる炭素繊維の製造方法。
  5. 単繊維引張試験により求められる単繊維弾性率の変動係数が10%以下である請求項4記載の炭素繊維の製造方法で製造された、炭素繊維。
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